JPH06104059B2 - 新規な乳酸菌 - Google Patents
新規な乳酸菌Info
- Publication number
- JPH06104059B2 JPH06104059B2 JP1080446A JP8044689A JPH06104059B2 JP H06104059 B2 JPH06104059 B2 JP H06104059B2 JP 1080446 A JP1080446 A JP 1080446A JP 8044689 A JP8044689 A JP 8044689A JP H06104059 B2 JPH06104059 B2 JP H06104059B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- lactic acid
- strain
- lactobacillus
- acid bacteria
- anaerobic
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Expired - Lifetime
Links
Landscapes
- Fodder In General (AREA)
- Micro-Organisms Or Cultivation Processes Thereof (AREA)
Description
【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明はラクトバチルス属に属する新規な乳酸菌に関す
る。
る。
家畜の飼料となるサイレージは、牧草などを刈り取りサ
イロに保存することにより嫌気性発酵して製造される。
イロに保存することにより嫌気性発酵して製造される。
しかし、牧草などのサイレージ原料を刈り取った直後
は、これらが空気にさらされているため好気性雰囲気と
なっており、所定の嫌気性発酵を起こすことができな
い。したがって、家畜の飼料に供するには、刈り取られ
た原料自体の呼吸が進み、積み上げられた原料間の酸素
が十分に消費されて嫌気性雰囲気に達しなければなら
ず、嫌気性発酵が進行するまで少なからぬ時間を要して
いた。このような場合、サイレージ原料が嫌気性雰囲気
に達するまでに好気性菌が増殖する場合があり、原料に
微生物による障害が生じることがある。
は、これらが空気にさらされているため好気性雰囲気と
なっており、所定の嫌気性発酵を起こすことができな
い。したがって、家畜の飼料に供するには、刈り取られ
た原料自体の呼吸が進み、積み上げられた原料間の酸素
が十分に消費されて嫌気性雰囲気に達しなければなら
ず、嫌気性発酵が進行するまで少なからぬ時間を要して
いた。このような場合、サイレージ原料が嫌気性雰囲気
に達するまでに好気性菌が増殖する場合があり、原料に
微生物による障害が生じることがある。
また、嫌気性雰囲気に達しても、家畜の好まない臭いを
発する酪酸菌などが乳酸菌に替わって先に増殖すること
があり、常に良好な嫌気性発酵を実現することができる
わけではなかった。
発する酪酸菌などが乳酸菌に替わって先に増殖すること
があり、常に良好な嫌気性発酵を実現することができる
わけではなかった。
そこで、本発明は、上記従来の技術の有する問題点を解
消し、牧草などのサイレージ原料に対して刈り取り直後
から、栄養価が高く家畜の好む乳酸発酵を確実に促進さ
せる新規な乳酸菌を提供することを目的とする。
消し、牧草などのサイレージ原料に対して刈り取り直後
から、栄養価が高く家畜の好む乳酸発酵を確実に促進さ
せる新規な乳酸菌を提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、本発明にかかる新規な乳酸菌
の特徴構成は、ラクトバチルス属に属するものであっ
て、好気性及び嫌気性のいずれの雰囲気でもサイレージ
調製能力を有するラクトバチルスKB−292菌株（微工研
菌寄第10475号）である点にある。
の特徴構成は、ラクトバチルス属に属するものであっ
て、好気性及び嫌気性のいずれの雰囲気でもサイレージ
調製能力を有するラクトバチルスKB−292菌株（微工研
菌寄第10475号）である点にある。
本発明者らは、サイレージ原料の保存初期から乳酸発酵
を活発に促進する乳酸菌を発掘すべく多大の努力を重ね
た結果、従来の乳酸菌に比べて好気性雰囲気において
も、また嫌気性雰囲気のいずれにおいても、とくに保存
初期において十分なサイレージ調製能力を有する菌を見
出すことに成功した。
を活発に促進する乳酸菌を発掘すべく多大の努力を重ね
た結果、従来の乳酸菌に比べて好気性雰囲気において
も、また嫌気性雰囲気のいずれにおいても、とくに保存
初期において十分なサイレージ調製能力を有する菌を見
出すことに成功した。
本発明にかかる乳酸菌、ラクトバチルスKB−292菌株
は、下記の性質を有する。
は、下記の性質を有する。
培 地 LCM培地 pH:6.8,37℃,24時間の培養 で良好な生育を示す。
形 態 短桿菌 胞 子 なし グラム染色 陽性 生理学的性質 乳酸発酵 ホモ型 カタラーゼ なし 生育適温 30〜35℃ 生育温度 15〜40℃ 糖の資化性 （これについてはラクトバチルス・プランタルム標準菌
と比較した結果を示す） ラクトバチルス・ 本菌株 プランタルム 標準菌 グルコース ＋ ＋ ガラクトース ＋ ＋ ソルボース − − サッカロース ＋ ＋ マルトース ＋ ＋ セロビオース ＋ ＋ トレハロース ＋ − ラクトース ＋ ＋ メリビオース ＋ ＋ ラフィノース ＋ − メレチトース ＋ ＋ イヌリン − − スターチ ＋ ＋ キシロース − − Ｌ−アラビノース ＋ − リボース ＋ ＋ ラムノース − − エタノール − − グリセロール − − エリスリトール − − ガラクチトール − − マンニトール ＋ ＋ α−Me−グルコシド− − サリシン ＋ ＋ クエン酸 − − イノシトール − − マンノース ＋ ＋ なお、上記糖の資化性については、下記組成の基本培地
にBTBを加え、121℃、20分間滅菌して、冷却後に各糖類
を２％となるように加え、その後、乳酸菌の懸濁液を一
滴づつ接種し30℃下で培養して調べた。そして、培養７
日後に増殖の結果、培地の色が緑色から黄色に変わった
ものについて資化性があると判断したものである。
と比較した結果を示す） ラクトバチルス・ 本菌株 プランタルム 標準菌 グルコース ＋ ＋ ガラクトース ＋ ＋ ソルボース − − サッカロース ＋ ＋ マルトース ＋ ＋ セロビオース ＋ ＋ トレハロース ＋ − ラクトース ＋ ＋ メリビオース ＋ ＋ ラフィノース ＋ − メレチトース ＋ ＋ イヌリン − − スターチ ＋ ＋ キシロース − − Ｌ−アラビノース ＋ − リボース ＋ ＋ ラムノース − − エタノール − − グリセロール − − エリスリトール − − ガラクチトール − − マンニトール ＋ ＋ α−Me−グルコシド− − サリシン ＋ ＋ クエン酸 − − イノシトール − − マンノース ＋ ＋ なお、上記糖の資化性については、下記組成の基本培地
にBTBを加え、121℃、20分間滅菌して、冷却後に各糖類
を２％となるように加え、その後、乳酸菌の懸濁液を一
滴づつ接種し30℃下で培養して調べた。そして、培養７
日後に増殖の結果、培地の色が緑色から黄色に変わった
ものについて資化性があると判断したものである。
基本培地 ポリペプトン 0.5％ 酵母エキス 0.5％ リン酸二カリ 0.5％ 以上の結果より、本発明の乳酸菌はラクトバチルス属に
属することが明かであり、ラクトバチルス・プランタル
ムの類菌種であると認められる。しかしながら、ラクト
バチルス・プランタルムとは、トレハロース、ラフィノ
ース、Ｌーアラビノースの各糖類において資化性を有す
ること、更には後述するように、培養初期において好気
性、嫌気性のいずれの雰囲気においても乳酸生成量が多
いこと及びこれに付随するpH値の低下が著しいことにお
いて顕著な相違点が存する。このような事実を勘案する
と、本菌株はラクトバチルス属に属する新規な乳酸菌と
することが妥当であると認め、ラクトバチルスKB−292
菌株と命名した。
属することが明かであり、ラクトバチルス・プランタル
ムの類菌種であると認められる。しかしながら、ラクト
バチルス・プランタルムとは、トレハロース、ラフィノ
ース、Ｌーアラビノースの各糖類において資化性を有す
ること、更には後述するように、培養初期において好気
性、嫌気性のいずれの雰囲気においても乳酸生成量が多
いこと及びこれに付随するpH値の低下が著しいことにお
いて顕著な相違点が存する。このような事実を勘案する
と、本菌株はラクトバチルス属に属する新規な乳酸菌と
することが妥当であると認め、ラクトバチルスKB−292
菌株と命名した。
なお、本菌株ラクトバチルスKB−292は、微工研菌寄第1
0475号として工業技術院微生物工業技術研究所において
寄託されている。
0475号として工業技術院微生物工業技術研究所において
寄託されている。
つぎに、本菌株の具体的乳酸生成能力を実験結果を基に
説明する。
説明する。
第１図（ａ），（ｂ），（ｃ）は、ラクトバチルス・プ
ランタルム標準菌と本菌株とを夫々20,30,37℃の各培養
温度において96時間まで培養したときのpHの変化を示
す。
ランタルム標準菌と本菌株とを夫々20,30,37℃の各培養
温度において96時間まで培養したときのpHの変化を示
す。
このときの測定は、0.5％ポリペプトン、0.5％酵母エキ
ス、0.5％リン酸二カリからなる基本培地に、グルコー
スを2.0％添加し、しかる後菌株を接種して、経時的に
行った。
ス、0.5％リン酸二カリからなる基本培地に、グルコー
スを2.0％添加し、しかる後菌株を接種して、経時的に
行った。
同図から、とくに培養初期において、本菌株の方がより
pHの低下をもたらすことが理解される。この傾向は、培
養温度が高いほど一層顕著な結果となっている。
pHの低下をもたらすことが理解される。この傾向は、培
養温度が高いほど一層顕著な結果となっている。
ついで、乳酸生成量を上記pHの測定と同様な条件で測定
し、その結果を第２図（ａ），（ｂ），（ｃ）に示す。
このときの、乳酸生成量の測定は次式に基づいて滴定法
により行った。
し、その結果を第２図（ａ），（ｂ），（ｃ）に示す。
このときの、乳酸生成量の測定は次式に基づいて滴定法
により行った。
乳酸量（％）＝N/10NaOH滴定数×ｆ×0.009 ×100/サンプル量 ここに、N/10NaOH滴定数は1/10規定のNaOH滴定数を意味
し、ｆは滴定する際の補正ファクターであり、0.009はN
aOH溶液1cc当りの乳酸相当量である。
し、ｆは滴定する際の補正ファクターであり、0.009はN
aOH溶液1cc当りの乳酸相当量である。
同図の結果についても、第１図の結果とほぼ同様な傾向
が窺える。
が窺える。
さらに、雰囲気の影響をラクトバチルス・プランタルム
標準菌と本菌株について調べた。
標準菌と本菌株について調べた。
第３図（ａ），（ｂ）に好気性雰囲気および嫌気性雰囲
気についての培養時間の経過に伴うpH変化の測定結果を
示す。
気についての培養時間の経過に伴うpH変化の測定結果を
示す。
培地は前記したものと同様のものを用い、30℃下で靜置
培養してこれを好気性雰囲気とし、他方、BBL社製嫌気
ジャー中で培養することによりこれを嫌気性雰囲気とし
た。
培養してこれを好気性雰囲気とし、他方、BBL社製嫌気
ジャー中で培養することによりこれを嫌気性雰囲気とし
た。
本菌株は、好気性、嫌気性のいずれの場合においても、
培養初期の24時間の急激なpHの低下が認められる。
培養初期の24時間の急激なpHの低下が認められる。
同様な条件について乳酸生成量を測定したが、その結果
を第４図（ａ），（ｂ）に示す。
を第４図（ａ），（ｂ）に示す。
この場合も、培養初期の24時間で急激な乳酸生成量がみ
られ、第３図（ａ），（ｂ）に示したpHの低下傾向と対
応する結果が得られた。
られ、第３図（ａ），（ｂ）に示したpHの低下傾向と対
応する結果が得られた。
以上の結果から、本菌株の乳酸菌は、従来の乳酸菌に比
べて好気性雰囲気においても、また嫌気性雰囲気のいず
れにおいても、とくに培養初期において乳酸発酵を活発
に促進することが明かである。したがって、本菌株をサ
イレージ原料に接種することにより、原料雰囲気が好気
性である保存初期においても、速やかにpHを低下させ乳
酸菌を増殖させて、栄養価が高く家畜の好むサイレージ
を提供することができるのであり、本菌株は十分にサイ
レージ調製能力を有するものである。
べて好気性雰囲気においても、また嫌気性雰囲気のいず
れにおいても、とくに培養初期において乳酸発酵を活発
に促進することが明かである。したがって、本菌株をサ
イレージ原料に接種することにより、原料雰囲気が好気
性である保存初期においても、速やかにpHを低下させ乳
酸菌を増殖させて、栄養価が高く家畜の好むサイレージ
を提供することができるのであり、本菌株は十分にサイ
レージ調製能力を有するものである。
本菌株は、幅広いサイレージ原料に対して適応性のある
ものであり、各種の牧草の他、稲わら、麦わらなどの農
産廃棄物にも利用可能である。
ものであり、各種の牧草の他、稲わら、麦わらなどの農
産廃棄物にも利用可能である。
第１図はラクトバチルス・プランタルム標準菌と本菌株
との異なる培養温度におけるpHの経時変化を示す図、第
２図は同じく乳酸生成量の経時変化を示す図、第３図は
異なる雰囲気におけるpHの経時変化を示す図、第４図は
同じく乳酸生成量の経時変化を示す図である。
との異なる培養温度におけるpHの経時変化を示す図、第
２図は同じく乳酸生成量の経時変化を示す図、第３図は
異なる雰囲気におけるpHの経時変化を示す図、第４図は
同じく乳酸生成量の経時変化を示す図である。
Claims (1)
- 【請求項１】ラクトバチルス属に属する乳酸菌であっ
て、好気性及び嫌気性のいずれの雰囲気でもサイレージ
調製能力を有するラクトバチルスKB−292菌株（微工研
菌寄第10475号）であることを特徴とする新規な乳酸
菌。
Priority Applications (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP1080446A JPH06104059B2 (ja) | 1989-03-30 | 1989-03-30 | 新規な乳酸菌 |
Applications Claiming Priority (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP1080446A JPH06104059B2 (ja) | 1989-03-30 | 1989-03-30 | 新規な乳酸菌 |
Publications (2)
| Publication Number | Publication Date |
|---|---|
| JPH02257875A JPH02257875A (ja) | 1990-10-18 |
| JPH06104059B2 true JPH06104059B2 (ja) | 1994-12-21 |
Family
ID=13718487
Family Applications (1)
| Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
|---|---|---|---|
| JP1080446A Expired - Lifetime JPH06104059B2 (ja) | 1989-03-30 | 1989-03-30 | 新規な乳酸菌 |
Country Status (1)
| Country | Link |
|---|---|
| JP (1) | JPH06104059B2 (ja) |
Families Citing this family (3)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| JPH0757186B2 (ja) * | 1992-12-18 | 1995-06-21 | 雪印乳業株式会社 | サイレージ調製用乳酸菌製剤 |
| AU670378B2 (en) | 1993-05-11 | 1996-07-11 | Otsuka Pharmaceutical Co., Ltd. | Antioxidant food, antioxidant preparation and antioxidization method |
| EE05756B1 (et) | 2014-02-14 | 2015-11-16 | OÜ Tervisliku Piima Biotehnoloogiate Arenduskeskus | Isoleeritud mikroorganismi tüvi Lactobacillus brevis TAK 124-1 NCIMB42149 ja selle kasutamine |
-
1989
- 1989-03-30 JP JP1080446A patent/JPH06104059B2/ja not_active Expired - Lifetime
Also Published As
| Publication number | Publication date |
|---|---|
| JPH02257875A (ja) | 1990-10-18 |
Similar Documents
| Publication | Publication Date | Title |
|---|---|---|
| CN109486707B (zh) | 一种枯草芽孢杆菌菌株及其应用 | |
| KR101380516B1 (ko) | 바실러스 섭틸리스 ｉｎ-55, 락토바실러스 플란타룸 ｂｔ-77 및 이를 이용한 사일리지 제조방법 | |
| CN105524867A (zh) | 一种植物乳杆菌及其在天然牧草青贮中的应用 | |
| CN105349477A (zh) | 一种肠膜明串珠菌及其制备方法和应用 | |
| CN113736716B (zh) | 一株副干酪乳杆菌及黄贮复合生物发酵剂和黄贮方法 | |
| CN110819558A (zh) | 一种乳酸片球菌aaf 3-3及其用途 | |
| Langston et al. | Types and sequence change of bacteria in orchardgrass and alfalfa silages | |
| CA2984620C (en) | Biofertilizer to increase agricultural yield | |
| JP3805727B2 (ja) | 新規乳酸菌株、それを含有する微生物添加剤及び当該添加剤を用いる稲発酵粗飼料の調製方法 | |
| JPH03172171A (ja) | 微生物の培養法 | |
| JPH06104059B2 (ja) | 新規な乳酸菌 | |
| CN114015607B (zh) | 一种高产5-甲基四氢叶酸的解淀粉芽孢杆菌及其应用 | |
| EP4166646A1 (en) | Method for isolating lactic acid bacteria (lab) from complex samples | |
| Beck et al. | Lactobacillus graminis sp. nov., a new species of facultatively heterofermentative lactobacilli surviving at low pH in grass silage | |
| CN110669703B (zh) | 一种恶臭假单胞菌s9及其在促进鸡腿菇生长中的应用 | |
| JPH01211487A (ja) | サイレージ調製用乳酸菌スターター | |
| KR100341796B1 (ko) | 당분함량이 낮은 식물체 사일리지 발효에 적합한 균주 및이것을 이용한 사일리지의 제조방법 | |
| Fritze et al. | Spore-forming, lactic acid producing bacteria of the genera Bacillus and Sporolactobacillus | |
| KR20070119825A (ko) | 총체벼 사일리지 발효용 미생물 및 이를 이용한 총체벼사일리지의 제조 방법 | |
| JPH06217713A (ja) | サイレージ調製用乳酸菌製剤 | |
| CN113355265B (zh) | 一种植物乳杆菌及其应用 | |
| CN114672437B (zh) | 一株产有机酸的枯草芽孢杆菌g-1及其应用 | |
| JPH03285675A (ja) | 新規な乳酸菌 | |
| JPH03285674A (ja) | 新規な乳酸菌 | |
| JP3762826B2 (ja) | サイレージ調製用乳酸菌 |