JPH0594188U - 電子部品包装用導電性キャリアテープ - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 導電性が良好で静電気発生を確実に防止し且
つ透明性の良好な電子部品包装用導電性キャリアテープ
を提供する。 【構成】 プラスチックのテープに電子部品を収納する
ための収納ポケットが設けられたプラスチックキャリア
テープ１であって、該キャリアテープの少なくとも片面
にπ電子共役系導電性ポリマー層を有し、表面抵抗率が
１０² 〜１０⁹ Ω／□で、且つ可視光線透過率が４０％
以上に形成した。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は、チップ型電子部品の保管、輸送、装着に際して、チップ型電子部品 を静電気等による破壊やゴミの付着等から保護するために、導電性を付与したキ ャリアテープに関する。

【０００２】

【従来の技術】

近年、表面実装技術（Surface Mount Technology) の進歩により、小型電子部 品、特にチップ型電子部品の需要が著し伸びを示している。これらのチップ型電 子部品として例えばＩＣ、トランジスタ、ダイオード、水晶発振器等は、トレイ 状又はポケット状に成型されたプラスチック成形品からなるキャリアテープのポ ケットに収納し、該キャリアテープの蓋材であるカバーテープにより密封された 包装体として供給され、電子回路基板への組み付けはカバーテープを剥離しキャ リアテープとともに該回路基板の所定の位置に運ばれ装着されている。

【０００３】 上記の表面実装の過程において、供給、輸送の際に静電気が発生したり、特に カバーテープを剥離する工程では、剥離帯電がきわめておこり易い。キャリヤテ ープが帯電した場合、小型軽量な電子部品は静電気によりカバーテープに吸引、 付着され易くなるため、確実に実装することが困難となったり、静電気による静 電破壊等の問題がある。

【０００４】 そのために、キャリヤテープに導電性又は帯電防止性を付与したものを使用す ることが行われている。このような導電性または帯電防止キャリヤテープとして 、例えばポリスチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリエチレンテレフ タレート、ポリアクリロニトリル等に、カーボンブラック等の導電性フィラー を練り込んだものや、界面活性材を練り込んだり塗布したプラスチックシート を用いて収納ポケットを成形したものが従来用いられていた。

【０００５】

【考案が解決しようとする課題】

しかしながら、上記のカーボンブラッ等の導電性フィラーを練り込んだプラ スチック製シートを用いたキャリアテープでは、収納ポケット成形後に十分な導 電性を得る為には例えばカーボンブラックを１０〜３０重量％程度添加する必要 があり、添加量が多いので成形物の引張、引裂強度、伸び等の物性が低下してし まう問題があった。

【０００６】 一方、キャリアテープは通常収納ポケットに電子部品を収納した後カバーテー プで密封するが、内部に収納されている電子部品を外部から識別又は確認するた め、キャリヤテープ自体に透明性が要求される。また、自動化された実装装置で は部品の装着の位置決めに光センサーが用いられるため、収納部は透明であるこ とが要求される。しかし、カーボンブラックを練り込んだキャリアテープは、透 明性がないため内部を確認することが困難であり、光センサー等を用いた位置決 めが困難であるという問題があった。

【０００７】 上記の問題を解決するために、最近カーボンブラックをバインダー等に分散さ せた塗料を用い、プラスチックシートの表面に薄く塗工してカーボンブラックの 導電性層を形成して透明性を確保することが試みられている。

【０００８】 しかし、カーボンブラックの導電性層が設けられたキャリアテープは、カーボ ンブラックをプラスチックの内部に練り込んだものと比較すると、光線透過率は やや改良されるものの未だ不十分であり、特にカーボンの粒子により曇り値が大 きく、内部に収納された電子部品を識別するのが煩わしいという問題があった。

【０００９】 また、プラスチックシートの状態で表面にカーボンブラックの塗料を塗工した 後に、深絞り加工等で収納ポケットを形成する際には、成形時のシートの伸びに カーボンブラックが追随しないので、所望の導電性が得られないという問題が生 じる。

【００１０】 また、上記の界面活性剤を帯電防止剤として使用したシートを用いて形成し たキャリアテープは、透明性が良好であるものの、導電性が低く不十分であり、 且つ導電性の湿度に対する依存性が大きいため、使用環境に導電性が左右される ので、安定した静電気発生防止効果を発揮しえないという問題があった。

【００１１】 本考案は、上記従来技術の欠点を解消するものであり、導電性が良好で静電気 発生を確実に防止し且つ透明性の良好な電子部品包装用導電性キャリアテープを 提供することを目的とする。

【００１２】

【課題を解決するための手段】

本考案者らは、上記問題を解決するために鋭意研究した結果、キャリアテープ の表面に導電性ポリマーであるπ電子共役系ポリマーの層を形成することで、導 電性、可視光線透過率の優れたキャリアテープが得られることが判明した。

【００１３】 即ち、本考案電子部品包装用導電性キャリアテープは、プラスチックのテープ に電子部品を収納するための収納ポケットが設けられたプラスチックキャリアテ ープであって、該キャリアテープの少なくとも片面にπ電子共役系導電性ポリマ ー層を有し、表面抵抗率が１０² 〜１０⁹ Ω／□で、且つ可視光線透過率が４０ ％以上であることを特徴とする。

【００１４】

【実施例】

以下、本考案の実施例を図面に基き詳細に説明する。図面は本考案の１実施例 を示し、図１は本発明電子部品キャリアテープの１例を示す外観斜視図であり、 図２は図１におけるII−II線縦断面図である。

【００１５】 本考案電子部品包装用キャリアテープ（以下、キャリアテープと略記する）１ は図１、及び図２に示すように、プラスチックのテープに電子部品を収納するた めの収納ポケット２が設けられたプラスチックのキャリアテープであって、該キ ャリアテープの両面にπ電子共役系導電性ポリマー層３（以下、導電性ポリマー 層と略記する）が設けられたものである。尚、図１では表裏両面に導電性ポリマ ー層３が形成されているものであるが、本考案は片面のみに導電性ポリマー層３ を形成したものでもよい。

【００１６】 収納ポケット２はテープの長手方向に沿って複数個設けられ、一般にとなり合 うものとは互いに独立して等間隔に形成される。収納ポケット２はプラスチック シートを熱プレス成形、真空成形、圧空成形、真空−圧空成形して形成すること ができる。

【００１７】 また、キャリアテープには収納ポケット２の配列ピッチに相関して複数の送り 穴６を設け、電子部品を自動マウントする場合にテープをピッチ送りをすること もできる。

【００１８】 本考案に於いて用いられるプラスチックシートとしては、上記の成形方法で成 形可能な熱可塑性樹脂シートが用いられる。例えばポリ塩化ビニル、ポリスチレ ン、ポリエチレンタレフタレート、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアクリ ロニトリル等が挙げられる。プラスチックシートの厚みは特に限定されないが、 通常０．１〜１mmのものを用いる。これらのシートには予め導電性ポリマー層と の密着性を向上させるために、予めシート表面にコロナ処理、プラズマ処理、易 接着処理等を施してもよい。

【００１９】 導電性ポリマー層３はキャリアテープの導電性が表面抵抗率で１０² 〜１０⁹ Ω／□となるように、プラスチックシートの表面に予め導電性ポリマー層を形成 したテープを用い、該テープを成形加工して収納ポケットを形成する。導電性ポ リマー層３をプラスチックシートに予め収納ポケット２を形成した後に形成して もよい。

【００２０】 導電性ポリマー層３の厚みは、所望の導電性、ポリマーの種類等に応じ適宜決 められる。例えば導電性ポリマーとしてポリピロールを用いた場合には、０．０ ５〜０．２μｍ程度に形成するのが好ましい。導電性ポリマー層の厚みが厚くな ると、導電性は向上するものの可視光線の吸収が大きくなり可視光線透過率が低 下し、収納ポケット２内部の電子部品の確認が困難となる。また、導電性ポリマ ー層３の厚みが薄くなると、予めプラスチックシートの状態で導電性ポリマー層 を設けた後、該シートを成形加工し収納ポケット２を形成しキャリアテープとす る場合に、成形時の延伸に十分追従できないため、表面抵抗値が著しく増大する 虞れが出てくる。

【００２１】 本考案のキャリヤーテープの導電性は表面抵抗率で１０² 〜１０⁹ Ω／□に形 成する。表面抵抗率が１０⁹ Ω／□を越えると十分な帯電防止性能を発揮するこ とができず、また、１０² Ω／□未満になると可視光線透過率の低下が著しくな る。

【００２２】 本考案のキャリアテープの導電性は表面抵抗率で１０² 〜１０⁹ Ω／□に形成 するが、カバーテープを貼着する平面部８を１０⁶ Ω／□以下、収納ポケット２ の部分を１０⁹ Ω／□以下とすることが好ましい。平面部８の表面抵抗率を１０ ⁶ Ω／□以下とすればカバーテープの剥離時の静電気発生をより良好に防止でき 、また収納ポケット部を１０⁹ Ω／□以下とすれば電子部品が収納されたキャリ アテープの運搬、移動或いは実装時における部品自体による静電気発生をより良 好に防止できる。平面部８と収納ポケット２との表面抵抗率の相違が１０³ オー ダー以内とすることがより好ましい。１０³ オーダー以上の相違があると、両者 間に電位差を生じて電子部品が破壊される問題を生じる場合があり得る。

【００２３】 可視光線透過率は収納ポケット部の透過率であり、ＪＩＳＫ７１０５の方法で 測定される。可視光線透過率が４０％未満になると収納ポケット内部の電子部品 の確認が困難になる。また、キャリアテープの透明性として、目で内部を確認す る場合には曇り価（ヘイズ値）を小さくすることが望ましく、本考案においては 導電性層はポリマー層であるため、導電性フィラー等のように光散乱の損失が生 じ難いのでヘイズ値が小さくなる。

【００２４】 導電性ポリマー層３は、分子構造中に共役二重結合を有するモノマーを重合し てなる、繰り返し単位２０〜２００程度と推定されるπ電子共役系ポリマーであ り、このモノマーとしてはアニリン及びアニリン誘導体、ピロール及びピロール 誘導体、チオフェン及びチオフェン誘導体があり、これらのモノマーを導電性に 応じて無機酸、有機スルホン酸等のドーパントの存在下に酸化重合剤と接触せし めることでポリマー層を形成することができる。

【００２５】 上記のドーパントとしては、例えば塩素、臭素、ヨウ素等のハロゲン類、五フ ッ化リン等のルイス酸、塩化水素、硫酸等のプロトン酸、塩化第二鉄等の遷移金 属塩化物、過塩素酸銀、フッ化ホウ素銀等の遷移金属化合物が挙げられる。

【００２６】 また、上記の酸化重合剤としては、過マンガン酸、過マンガン酸カリウム等の 過マンガン酸（塩）類、三酸化クロム等のクロム酸類、硝酸銀等の硝酸塩類、塩 素臭素、ヨウ素等のハロゲン類、過酸化水素、過酸化ベンゾイル等の過酸化物類 、ペルオクソ二硫酸、ペルオクソ二硫酸カリウム等のペルオクソ酸（塩）類、次 亜塩素酸、次亜塩素酸カリウム等の酸素酸塩類、塩化第二鉄等の遷移金属塩化物 、酸化銀等の金属酸化物等が挙げられる。

【００２７】 上記のモノマーを重合させてキャリアテープの表面に導電性ポリマー層を形成 するには、例えばプラスチックシート又は収納ポケットを設けたキャリアテープ を、上記のモノマー、酸化剤、ドーパント等を分散した処理液中に浸漬して、該 処理液中でプラスチック表面にモノマーと酸化重合剤とを接触せしめる方法（含 浸重合）が用いられる。

【００２８】 図３は本考案キャリアテープの使用状態の１例を示す斜視図である。 本考案のキャリアテープは図１に示すように、収納ポケット２に収納した電子 部品７を封入するためのカバーシート４がキャリアテープ１の表面に積層貼着さ れ、適宜巻芯やリール５等に巻かれて供給され、基板等に実装する際にカバーシ ート４を剥離して収納ポケット２の電子部品をマウントする。

【００２９】 カバーシート４としては、紙、プラスチックシート等任意のものが用いられ、 テープ状体の表面に積層し接着剤を用いて貼着したり、加熱、熔融させて熱シー ルする方法等が用いられる。

【００３０】 以下、具体的実施例を挙げ本考案を更に詳細に説明する。 実施例１〜４ ポリアクリロニトリルシートの表面にポリピロール、又はポリアニリンの導電 性層を形成した表１に示す導電性シートを用い、真空成形方式にて３００％に延 伸して収納ポケットを形成して導電性キャリアテープを作成し、表面抵抗率、可 視光線透過率及び曇り価（ヘイズ）等の物性を測定した。測定結果を表１に示す 。更に、得られたキャリアテープを用いて、収納ポケットの外側から内部に収納 した電子部品を見た場合の見易さを視認性として評価し、またこのキャリアテー プを用い、カバーシートとして導電性のないプラスチックシートを用い、実際に 電子部品を実装してキャリアテープからの部品の飛び出し数及び部品が静電気に より破壊された数により実装性を評価した。これらの評価結果を表１に示す。

【００３１】 尚、視認性及び実装性は、下記に示す様な基準で評価した。 〔視認性〕 ○・・・収納ポケット内部の電子部品の文字が明瞭に識別できる。 △・・・電子部品があるのは確認できるが、部品の文字は識別できない。 ×・・・収納ポケット内部の電子部品が全く見えない。 〔実装性〕 ○・・・部品１万個あたりの飛び出し数及び静電破壊数の合計が０個 △・・・ 〃 １〜２個 ×・・・ 〃 ３個以上

【００３２】 比較例１ 比較のために、内部にカーボンブラックを練り込んだポリ塩化ビニルシートを 用い、実施例１と同様に導電性キャリアテープを作成し物性を測定し、視認性、 実装性について評価した。測定結果及び評価結果を表１に示す。

【００３３】 比較例２ カーボンブラックを分散した塗料を表面に塗工したポリ塩化ビニルシートを用 い、実施例１と同様に導電性キャリアテープを作成し物性を測定し、視認性、実 装性について評価した。測定結果及び評価結果を表１に示す。

【００３４】 比較例３ 界面活性剤を内部に練り混んだポリ塩化ビニルシートを用い、実施例１と同様 に導電性キャリアテープを作成し物性を測定し、視認性、実装性について評価し た。測定結果及び評価結果を表１に示す。

【００３５】 比較例４ 実施例１〜３で用いたポリアクリロニトリルシートを、実施例１〜３と同様に 真空成形した後、ポリピロールの導電性層（厚み０．１２μｍ）を形成し、実施 例１と同様に導電性キャリアテープを作成し物性を測定し、視認性、実装性につ いて評価した。測定結果及び評価結果を表１に示す。

【００３６】

【表１】

【００３７】

【考案の効果】

本考案電子部品包装用導電性キャリアテープは、π電子共役系導電性ポリマー 層を設けたことにより、導電性が良好で且つ透明性に優れたものであり、ゴミの 付着がなく収納ポケット内部に収納した電子部品が良好に確認できる。

【００３８】 特に導電性を表面抵抗率において１０⁹ Ω／□以下に形成したことにより、カ バーテープを剥離して基板等にマウントする際、カバーテープに特別の処理を施 さなくても、電子部品がカバーテープ剥離時の静電気により帯電してカバーテー プに吸引されることがなくなり、電子部品を確実に基板等に装着することができ る。また静電気により収納した電子部品が破壊されるのを防ぐことができる。

【００３９】 更に、可視光線透過率を４０％以上としたことで、カバーシートで封入した後 に収納ポケットの内部を目視で確認するのが容易であり、自動マウント等で位置 決めに光センサーを使用可能であり、自動マウントを確実に行うことができる。 従って電子部品の実装ラインのスピードを上げて、効率の良い実装を行うことが できる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案電子部品包装用導電性キャリアテープの
１例を示す外観斜視図である。

【図２】図１に於けるII−II線縦断面図である。

【図３】本考案電子部品包装用導電性キャリアテープの
使用状態の１例を示す外観斜視図である。

【符号の説明】

１ 電子部品包装用導電性キャリアテープ ２ 収納ポケット ３ π電子共役系導電性ポリマー層

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 プラスチックのテープに電子部品を収納
   するための収納ポケットが設けられたプラスチックキャ
   リアテープであって、該キャリアテープの少なくとも片
   面にπ電子共役系導電性ポリマー層を有し、表面抵抗率
   が１０² 〜１０⁹ Ω／□で、且つ可視光線透過率が４０
   ％以上であることを特徴とする電子部品包装用導電性キ
   ャリアテープ。