JPH0592340A - 長尺の被加工物の加工方法及び装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 加工機械の加工範囲を大幅に超えた長尺の被
加工物を複数の加工区画に分割し１加工区画ごとに該被
加工物を搬送するチェーンコンベアの伸縮等に関係なく
高精度に位置決めしながら加工して比較的小さな加工範
囲の加工機械１台で高精度に加工できるようにし、分割
形治具を不要として、省力化と被加工物の加工品質の向
上を図る。 【構成】 チェーンコンベアによって搬送される長尺の
被加工物の先端部に装着された位置決め治具に被加工物
の送り方向に複数配設した位置決め装置を順次係合させ
て位置決めし、加工範囲が限定された加工機械を用い
て、１加工区画ごとに順次長尺の被加工物を加工するよ
うに構成したことを特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、長尺の被加工物の加工
方法及び装置に係り、特に加工機械の加工範囲を大幅に
超えた長尺の被加工物を複数の加工区画に分割して１加
工区画ごとに順次搬送、位置決めしながら加工するよう
にし、複数の分割型治具を不要化して大幅な省力化を図
った、車輛のシャシフレーム等の加工に好適な長尺の被
加工物の加工方法及び装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】車輛、特にトラック等の大型車輛のシャ
シフレーム等の長尺の被加工物は、加工機械の加工範囲
を大幅に、例えば６倍から１２倍も超える長さがあるの
で、小型部品のように加工治具への一度の取付けで加工
することはできない。そこで従来、該長尺の被加工物の
加工は、ローラコンベアに沿って複数台の単軸ボール盤
を配設し、該単軸ボール盤に装着した分割型治具のガイ
ドブッシュでドリル等の刃具を案内しながら穴あけ加工
等を行い、加工後ローラコンベア上を被加工物を手送り
して搬送していた。

【０００３】しかし、該従来の加工方法によると、被加
工物の種類が変更になる都度、分割型治具を組み立て直
さなければならず、また、該分割型治具は、被加工物が
大きくなればなるほど大きく、また重くなり、組み立て
作業が作業者の大きな負担となるばかりでなく、作業効
率を低下させる原因ともなっていた。また重量の大きい
被加工物をローラコンベア上で手動により位置決めしな
がら送るのは、大変な作業であり、加工精度にも作業者
の疲労によってバラツキが生ずるという欠点があった。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】本発明は，上記した従
来技術の欠点を除くためになされたものであって、その
目的とするところは、長尺の被加工物をマシニングセン
タ等の加工機械で加工可能な範囲で複数の加工区画に分
割し、１加工区画ごとに順次加工を行うことにより比較
的小さな加工範囲の加工機械１台により被加工物の全加
工箇所を加工できるようにすることであり、またこれに
よって分割型治具を不要とし、作業者の負担を軽減する
と共に作業者の人数の削減を可能として大幅な省力化を
図ることである。

【０００５】また他の目的は、位置決め装置を被加工物
の送り方向に複数配設し、該位置決め装置をチェーンコ
ンベアによって搬送される被加工物の先端部に装着され
た位置決め治具に順次係合させて位置決めして１加工区
画毎に順次加工することにより、チェーンコンベアの伸
縮に関係なく高精度に被加工物を位置決めして加工でき
るようにすることであり、またこれによって長尺の被加
工物の加工品質を向上させることである。

【０００６】

【課題を解決するための手段】要するに本発明方法（請
求項１）は、長尺の被加工物との相対的位置が決められ
て該被加工物の先端部に装着された位置決め治具と、前
記被加工物の加工機械の加工範囲の送り方向距離よりも
小さい距離間隔ごとに前記被加工物の送り方向に複数配
設された位置決め装置とを用い、前記加工機械による加
工範囲内の前記被加工物の加工が終わるごとに前記位置
決め治具を前記被加工物と共に次の位置決め装置まで順
次送り、該位置決め装置により前記位置決め治具を固定
して前記被加工物を加工する如く前記被加工物を前記加
工機械の加工範囲よりも小さい複数のブロックに分割し
て順次加工することを特徴とするものである。また、本
発明装置（請求項２）は、複数の加工区画に分割された
長尺の被加工物を１加工区画ごとに順次加工を行う加工
機械と、前記被加工物の先端部に該被加工物との相対的
位置が決められて装着可能とされた位置決め治具と、前
記加工機械の加工範囲の送り方向距離よりも小さい距離
間隔ごとに前記被加工物の送り方向に複数配設され前記
位置決め治具と係合して前記被加工物の位置決めを行う
位置決め装置と、前記位置決め治具を前記被加工物と共
に次の前記位置決め装置の位置まで順次搬送する搬送装
置とを備えたことを特徴とするものである。

【０００７】

【実施例】以下本発明を図面に示す実施例に基いて説明
する。図１を参照して、本発明に係る長尺の被加工物の
加工装置１は、加工機械２と、位置決め治具３と、位置
決め装置４と、搬送装置５とを備えている。

【０００８】加工機械２は、例えば、大型車輛のシャシ
フレーム等の長尺の被加工物６に穴加工等の加工を行う
ためのものであって、３方向からの加工が同時にできる
ように前後方向及び上方に配設された図示しないモータ
によって回転駆動されるスピンドル軸８にドリル９が装
着された公知のマシニングセンタであり、該スピンドル
軸８は、図中仮想線１０で示す被加工物６の送り方向寸
法約１０５０ｍｍの範囲内で互いに独立して移動し、被
加工物６の該加工範囲内の任意の位置に穴あけ加工がで
きるようになっている。

【０００９】またスピンドル軸８には、図示しない刃具
供給装置によってエンドミル等の各種の刃具が供給さ
れ、ドリル９等を自動的に交換して各種の機械加工がで
きるようになっている。

【００１０】位置決め治具３は、図２及び図３も参照し
て、加工に先立って被加工物６の送り方向（矢印Ａ方
向）の位置決めを行うためのものであって、基部３ａと
位置決め部３ｂと被加工物積載部３ｃとが形成されてい
る。基部３ａには、無端のチェーンコンベア１２がボル
ト１３によって固定されていて、該チェーンコンベア１
２と共に矢印Ａ方向に移動するようになっている。

【００１１】位置決め部３ｂは、両側面が例えば９０°
の角度で凸形に形成されおり、位置決め装置４と係合し
て位置決めされるようになっている。被加工物積載部３
ｃは、位置決め部３ｂから上方に立ち上がった直方体形
状になっていて上面３ｄは、被加工物６を積載できるよ
うに平面が形成されている。

【００１２】また上面３ｄには先端に面取り加工が施さ
れた基準ピン１４が固定されており、該基準ピン１４を
被加工物６に形成された位置決め穴６ａに嵌合させて位
置決め治具３と被加工物６とを相対的に位置決めしなが
ら被加工物積載部３ｃに積載するようになっている。

【００１３】位置決め治具３の下面３ｅ及び上面３ｄは
平行であり、また下面３ｅから上面３ｄまでの寸法は、
例えばプラスマイナス０．０１ｍｍ程度の高い精度で加
工されていて、位置決め治具３を、加工機械２の刃具９
との位置が調整されて固定された水平基準台１７上に載
せたとき、被加工物６の高さ方向の位置決めが自動的に
なされるようになっている。

【００１４】位置決め装置４は、位置決め治具３の位置
決め部３ｂと係合して被加工物６の位置決めをするため
のものであって、被加工物６の送り方向に加工機械２の
送り方向の加工範囲約１０５０ｍｍよりも小さな距離、
例えば１０００ｍｍごとに被加工物６の両側方に１台ず
つ対向して複数台配設されている。

【００１５】位置決め装置４の可動ブロック１５は、基
台１６に形成されたあり溝１６ａに嵌合し、矢印Ｂ又は
Ｃ方向に摺動自在となっており、先端部１５ａは９０°
の角度で凹形に形成され、位置決め治具３の位置決め部
３ｂと係合して位置決め治具３を高精度に位置決めする
ようになっている。

【００１６】また可動ブロック１５には、流体圧シリン
ダ１８のピストンロッド１９が固定されていて、図示し
ない圧力流体供給源から圧力流体を供給して作動させ、
可動ブロック１５を矢印Ｂ又はＣ方向に移動させて位置
決め部３ｂと係合させ、又は該係合を解除するようにな
っている。

【００１７】搬送装置５は、被加工物６を搬送するため
のものであって、スプロケット２０に巻き掛けられた無
端のチェーンコンベア１２に複数の支持台２１が固定さ
れている。支持台２１は、被加工物６の送り方向に複数
配設されたガイドローラ２２上に配設されていて、該支
持台２１上に積載された被加工物６を図示しない駆動装
置によりスプロケット２０を回転させて矢印Ａ方向に滑
らかに移動させるようになっている。支持台２１の高さ
寸法は、位置決め治具３と同様に例えばプラスマイナス
０．０１ｍｍ程度の高い精度で加工されていて、支持台
２１を水平基準台１７上に載せたとき、被加工物６の高
さ方向の位置決めがされるようになっている。

【００１８】また、加工機械２の加工部には流体圧シリ
ンダ２２のピストンロッド２３を伸縮させることにより
ピン２４を回転中心として回動自在とされたクランプ部
材２５を備えた４組のクランプ機構２６が配設されてお
り、加工範囲内の被加工物６を水平基準台１７及び垂直
基準台２８に押圧して水平及び垂直方向に固定して加工
するようになっている。

【００１９】そして本発明方法は、長尺の被加工物６と
の相対的位置が決められて該被加工物６の先端部に装着
された位置決め治具３と、被加工物６の加工機械２の加
工範囲の送り方向距離よりも小さい距離間隔ごとに被加
工物６の送り方向に複数配設された位置決め装置４とを
用い、加工機械２による加工範囲内の被加工物６の加工
が終わるごとに位置決め治具３を被加工物６と共に次の
位置決め装置４まで順次送り、該位置決め装置４により
位置決め治具３を固定して被加工物６を加工する如く被
加工物６を加工機械２の加工範囲よりも小さい複数のブ
ロックに分割して順次加工する方法である。

【００２０】本発明は、上記のように構成されており、
以下その作用について説明する。図１から図４におい
て、被加工物の一例たる長さ約１３ｍの車輛のシャシフ
レーム６を加工する例について説明すると、前工程で加
工されたシャシフレーム６の位置決め穴６ａに基準ピン
１４を嵌合させて位置決め治具３とシャシフレーム６と
を相対的に位置決めし、搬送装置５の支持台２１上に積
載する。

【００２１】そして図示しない駆動装置によりスプロケ
ット２０を回転させ、無端のチェーンコンベア１２を矢
印Ａ方向に移動させて支持台２１上に積載したシャシフ
レーム６を位置決め治具３が図４において第１の位置決
め装置４に対向する位置まで搬送する。

【００２２】次いで、第１の位置決め装置４の一対の流
体圧シリンダ１８に図示しない圧力流体供給源から圧力
流体を供給し、可動ブロック１５を矢印Ｂ及びＣ方向に
移動させて凹形に形成された先端部１５ａを位置決め部
３ｂの凸部に係合させてシャシフレーム６の搬送方向の
位置決めを行う。

【００２３】ここで位置決め治具３は、位置決め部３ｂ
の凸部と可動ブロック１５の凹形の先端部１５ａとが係
合することにより、所定の位置に精度よく機械的に位置
決めされるので、チェーンコンベア１２によるシャシフ
レーム６の搬送精度は、位置決め部３ｂの凸部と可動ブ
ロック１５の先端部１５ａとが対向する程度の位置で停
止させればよく、あまり精度を必要としない。

【００２４】そして４組のクランプ機構２６の流体圧シ
リンダ２２を作動させ、クランプ部材２５をピン２４を
回転中心として回動させ、シャシフレーム６を水平基準
台１７及び垂直基準台２８に押圧して水平及び垂直方向
位置を固定し、ドリル９等の刃具を自動的に交換しなが
ら１０５０ｍｍの加工範囲（Ｌ）内の加工を３方向から
同時に行って図４の斜線を施した第１の加工区画６ｂ内
の加工が終了する。

【００２５】次いで、流体圧シリンダ１８及び流体圧シ
リンダ２２を上記とは逆方向に作動させ、位置決め治具
３及びシャシフレーム６の固定を解除した後、再びチェ
ーンコンベア１２を作動させて位置決め治具３及び支持
台２１をガイドローラ２２上で滑らかに移動させて、第
２の位置決め装置４と対向する位置まで矢印Ａ方向に約
１０００ｍｍ移動させて停止させる。そして流体圧シリ
ンダ１８及び流体圧シリンダ２２を作動させ、シャシフ
レーム６を位置決めして固定し、第２の加工区画６ｃ内
の加工を行う。

【００２６】上記した如く、シャシフレーム６を１加工
区画ごとに順次加工することにより長尺のシャシフレー
ム６を１３の加工区画（６ｂから６ｎ）に分割して加工
して加工範囲１０５０ｍｍの加工機械２を用いて該加工
範囲の１３倍もの長さのシャシフレーム６のすべての部
分を加工することができる。

【００２７】またシャシフレーム６の位置決めは、位置
決め穴６ａに基準ピン１４が嵌合する位置決め治具３を
位置決め装置４で固定して行うので、複数の加工区画
（６ｂから６ｎ）に分割して加工するにもかかわらず、
シャシフレーム６の送り方向の加工基準は常に位置決め
穴６ａであり、チェーンコンベア１２の伸びや停止位置
に関係なく高精度に位置決めできる。

【００２８】更に、シャシフレーム６の送り方向と直交
する水平及び垂直方向の位置決めは、シャシフレーム６
の加工区画内の部分を水平基準台１７及び垂直基準台２
８に押圧して位置決めするので、シャシフレーム６を極
めて高精度に加工することができる。

【００２９】

【発明の効果】本発明は、上記のように長尺の被加工物
をマシニングセンタ等の加工機械で加工可能な範囲で複
数の加工区画に分割し、１加工区画ごとに順次加工を行
うようにしたので、比較的小さな加工範囲の加工機械１
台により被加工物の全加工箇所を加工できる効果があ
り、またこの結果分割型治具が不要となり、作業者の負
担を軽減することができると共に作業者の人数の削減を
可能として大幅な省力化を図ることができる効果があ
る。

【００３０】また位置決め装置を被加工物の送り方向に
複数配設し、該位置決め装置をチェーンコンベアによっ
て搬送される被加工物の先端部に装着された位置決め治
具に順次係合させて位置決めして１加工区画毎に順次加
工するようにしたので、チェーンコンベアの伸縮に関係
なく高精度に被加工物を位置決めして加工できる効果が
得られ、またこの結果長尺の被加工物の加工品質を向上
させることができる効果がある。

【図面の簡単な説明】

【図１】図１から図４は本発明の実施例に係り、図１は
長尺の被加工物の加工装置の全体斜視図である。

【図２】長尺の被加工物及び位置決め治具が位置決め装
置により位置決めされる状態を示す要部斜視図である。

【図３】加工区画内における被加工物及び位置決め治具
の状態を示す縦断面図である。

【図４】長尺の被加工物の一例たるシャシフレームが複
数の加工区画に分割されて加工される状態を示す説明図
である。

【符号の説明】

１ 長尺の被加工物の加工装置 ２ 加工機械 ３ 位置決め治具 ４ 位置決め装置 ５ 搬送装置 ６ 長尺の被加工物の一例たるシャシフレー
ム ６ｂから６ｍ 加工区画

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 長尺の被加工物との相対的位置が決めら
   れて該被加工物の先端部に装着された位置決め治具と、
   前記被加工物の加工機械の加工範囲の送り方向距離より
   も小さい距離間隔ごとに前記被加工物の送り方向に複数
   配設された位置決め装置とを用い、前記加工機械による
   加工範囲内の前記被加工物の加工が終わるごとに前記位
   置決め治具を前記被加工物と共に次の位置決め装置まで
   順次送り、該位置決め装置により前記位置決め治具を固
   定して前記被加工物を加工する如く前記被加工物を前記
   加工機械の加工範囲よりも小さい複数のブロックに分割
   して順次加工することを特徴とする長尺の被加工物の加
   工方法。
2. 【請求項２】 複数の加工区画に分割された長尺の被加
   工物を１加工区画ごとに順次加工を行う加工機械と、前
   記被加工物の先端部に該被加工物との相対的位置が決め
   られて装着可能とされた位置決め治具と、前記加工機械
   の加工範囲の送り方向距離よりも小さい距離間隔ごとに
   前記被加工物の送り方向に複数配設され前記位置決め治
   具と係合して前記被加工物の位置決めを行う位置決め装
   置と、前記位置決め治具を前記被加工物と共に次の前記
   位置決め装置の位置まで順次搬送する搬送装置とを備え
   たことを特徴とする長尺の被加工物の加工装置。