JPH0592171U - 錠剤包装体 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 錠剤と乾燥剤を同封した包装体から錠剤を取
り出す際、誤って乾燥剤を取り出す恐れのない錠剤包装
体を提供する。 【構成】 防湿性材料を成形した収納体４及び外蓋体５
と、収納体４の内部に固定する内蓋体６とからなり、収
納体４の底部に乾燥剤３を収納し、その上に内蓋体６を
重ねてその周辺部を収納体４の内部にシールして乾燥剤
３を固定し、さらに錠剤２を収納してその上に外蓋体５
を重ね合わせ、周辺部をシール、密封してなる。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は、吸湿性に富み、しかも崩れ易い錠剤の包装体に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】

吸湿性に富み、しかも崩れ易い錠剤の包装体としては、50μｍ以上の厚手のア ルミニウム箔を含む積層材料を成形した収納部に錠剤を一個ずつ封入した容器が 実開昭 62-185261号公報によって提案されていた。

【０００３】 また、図５に示すように、上記のようなアルミニウム箔を含む積層材料を成形 した収納部に、錠剤１１を一個ずつ封入した場合、錠剤１１を封入した収納部内 の雰囲気中の水分により、錠剤１１が変質し易いので、板状の乾燥剤１２を同封 することが、実開平1-137883号公報に提案されていた。

【０００４】 このように従来は防湿性に優れた容器を用い、しかも容器の収納部内に乾燥剤 を同封することにより、吸湿性に富み、しかも崩れ易い錠剤を包装可能としてい た。

【０００５】 しかしながら、前記のように厚手のアルミニウム箔を含む積層材料を成形した 容器となるため、両面共に成形した収納部を設けた容器体を用いることとなり、 どちらが蓋体で、どちらが収納体であるかの判別がつきにくいものとなっていた 。

【０００６】 このため、飲用に際し開封した時、かならずしも錠剤が上方に位置するもので はなく、板状の乾燥剤が上方に位置することがあり、誤服する恐れがあった。

【０００７】 これを防止するため、実開平1-137883号においては、板状の乾燥剤を一方の容 器体の収納部に固定していた。これにより、開封に際しては、乾燥剤は、容器体 の収納部に固定されているので、誤って乾燥剤を取り出すことは防止できる。

【０００８】 しかし、一方乾燥剤を容器体に固定するため、ヒートシール、接着剤の塗布等 の工程を必要とするため、作業量が増え、コストがかかるものとなっていた。ま た、成形された収納部の底部に固着しているので、開封に際し、端部を両側に開 くようにすると、収納部が変形してしまい、せっかく固着していた乾燥剤が脱離 してしまう恐れがあった。さらに、開封の際に錠剤を落としてしまうこともあり 、取り扱いを慎重にしなければならなかった。

【０００９】 またさらに、乾燥剤と錠剤とが直接接触するので、錠剤の種類によっては好ま しくない影響を及ぼす可能性があった。

【００１０】

【考案が解決しようとする課題】

そこで、本考案は、錠剤と乾燥剤を同封した包装体から錠剤を取り出す際、錠 剤が上方に位置し、しかも乾燥剤を誤って取り出す恐れのない錠剤包装体を提供 することを目的とする。

【００１１】 また、本考案は、錠剤の保護作用があり、充填、保管中に錠剤を壊すことのな い錠剤包装体を提供することを目的とする。

【００１２】

【課題を解決するための手段】

上記目的を達成するために、請求項１の発明は、防湿性材料を成形した収納体 及び外蓋体と、前記収納体の内部に固定する内蓋体とからなり、前記収納体の底 部に乾燥剤を収納し、その上に前記内蓋体を重ねてその周辺部を収納体の内部に シールして乾燥剤を固定し、さらに錠剤を収納してその上に前記外蓋体を重ね、 周辺部をシール、密封してなる錠剤包装体である。

【００１３】 また、請求項２の発明は、上記収納体の側壁に段部を形成し、この段部の上に 前記内蓋体をシール、固定してなる錠剤包装体である。

【００１４】 さらに、請求項３の発明は、防湿性材料を成形した収納体と蓋体とからなり、 前記収納体は底部が上方へ凸状に成形され、かつこの凸状の成形部分に少なくと も１箇所の開口部を有しており、前記収納体に上方から錠剤を収納するとともに 下方から上記凸状の成形部分に乾燥剤を収納し、上下の両面にそれぞれ蓋体を重 ね、周辺部をシール、密封してなる錠剤包装体である。

【００１５】

【作用】

本考案は、以上の如く、錠剤と乾燥剤との間に内蓋体あるいは収納体底部の凸 状成形部分を介在させて錠剤と乾燥剤とを分離する構造としたので、これにより 、錠剤を取り出す際は、蓋体の端部を摘んで引き起こすことにより開封し、中か ら錠剤を取り出せばよく、この時乾燥剤は収納体の底部に収納されているため、 これを誤って取り出し用いることがない。

【００１６】 そして、錠剤と乾燥剤とが直接接触しないため、安全面で優れる。

【００１７】 また、錠剤は収納体内で中空に保持された状態となるので、外部からの衝撃に 対して強く、崩れ易い錠剤の保護作用に優れる。

【００１８】 さらに、錠剤と乾燥剤との間に介在する内蓋体は透湿性材料もしくは開孔を有 する防湿性材料で形成され、防湿性材料からなる収納体底部の凸状成形部分は少 なくとも１箇所の開口部を有するので、乾燥剤が収納体内部に含まれる水分を吸 収し、錠剤の変質を防止することができる。

【００１９】

【実施例】

以下、添付図面により本考案の実施例を詳述する。

【００２０】 図１は本考案の錠剤包装体の一実施例を示す断面図である。

【００２１】 本実施例の錠剤包装体１は、図１より明らかなように、錠剤２及び板状の乾燥 剤３を収納する収納体４と、該収納体４の中の錠剤２と乾燥剤３を分離する内蓋 体６と、収納体４の開口部に重ねて周辺部をシール、密封する外蓋体５とからな る。

【００２２】 収納体４は防湿性材料をトレー状に成形したもので、錠剤２及び乾燥剤３を収 納できるだけの容積を有する。

【００２３】 また、内蓋体６は乾燥剤３の形状にほぼ合うように成形したもので、収納体４ の底部に加熱によりシール固定される。この内蓋体６と収納体４の底部とのシー ルを強固にして、開封の際収納体４が変形しても固定しておいた内蓋体６が脱離 しないようにすることで、乾燥剤３を誤って口にすることは防止できる。したが って、内蓋体６は収納体４とのシールを強固にできる材質のものが選択される。 内蓋体６は防湿性材料でも或いは透湿性材料でもかまわないが、防湿性材料を使 用する場合には、錠剤２を収納する空間との水蒸気の流通を持たせるため、開孔 を設ける。

【００２４】 そして、まず成形した収納体４の底部に乾燥剤３を設置し、その上に成形した 内蓋体６を重ね合わせ、周辺部を収納体４の底部にシール固定し乾燥剤３を収納 固定する。次に、錠剤２を収納してから、外蓋体５を重ね合わせ、周辺部を加熱 によりシール、密封することによって、本考案の錠剤包装体１が得られる。

【００２５】 この時、収納体４の内部で錠剤２と乾燥剤３とが内蓋体６によって分離され錠 剤２が上方に位置する構造であり、外蓋体５を開封して中から錠剤２を取り出し たときに乾燥剤３は収納体４の底部に収納されているので、これを誤って取り出 し口にすることはない。また、錠剤２と乾燥剤３とが直接接触しないため、安全 性が高い。

【００２６】 さらに、錠剤２は外蓋体５と内蓋体６とにより保持された状態となり、外部か らの衝撃に対しても強く、崩れ易い錠剤の保護に有効な構造である。

【００２７】 上記収納体４、外蓋体５及び内蓋体６はいずれもヒートシール可能な材料が用 いられる。

【００２８】 まず、収納体４は、例えば、厚さ25μｍのポリエチレンテレフタレートフィル ム（以下「ＰＥＴ」と略記）からなる最外層、この内側に厚さ50μｍのアルミニ ウム箔（以下「Ａ１」と略記）、該Ａ１の内側に厚さ70μｍのポリ塩化ビニルフ ィルム（以下「ＰＶＣ」と略記）、および厚さ50μｍのポリプロピレンフィルム （以下「ＰＰ」と略記）からなる内層を順次設けた積層材料、あるいはＰＰ／ポ リ塩化ビニリデン（以下「ＰＶＤＣ」と略記）／ＰＰの構成の共押し出しシート （ＰＶＤＣ：25μｍ，総厚 700μｍ）等からなる。

【００２９】 外蓋体５は、例えば、厚さ12μｍのＰＥＴからなる最外層、この内側に厚さ９ μｍのＡ１、および厚さ30μｍのＰＰからなる内層を順次設けた積層材料、ある いは厚さ12μｍのＰＥＴからなる最外層、この内側に厚さ９μｍのＡ１、および 厚さ30μｍのポリエチレンフィルムからなる内層を順次設けた積層材料等からな る。

【００３０】 また、内蓋体６は、例えば、ポリプロピレン不織布、孔のあいたＰＰやＰＶＣ 等の単体、或はこれらの積層材料からなる。

【００３１】 なお、前述したように、本実施例の構造においては、内蓋体６と収納体４との シール部分は強固で容易には剥離しないことが望ましい。一方外蓋体５と収納体 ４とのシール部分はあとで開封するため剥離できるようなシール強度を持たせる ことが必要であり、このためには、外蓋体５及び収納体４のそれぞれのシール面 側（つまり内層側）に例えばＰＰのうちで層間剥離性を有する変性ポリプロピレ ンを用いるなどの方法が挙げられる。

【００３２】 図２は本考案の錠剤包装体の別の実施例を示す断面図である。

【００３３】 本実施例の錠剤包装体１は、前述の実施例と同様、収納体４、外蓋体５及び内 蓋体６からなっているが、図２より明らかなように、収納体４の側壁に段部４ａ を形成し、この段部４ａの上に内蓋体６をシール固定するようにしている。この ようにすると内蓋体６の成形の手間が省ける。

【００３４】 そして、本実施例の錠剤包装体１は、まず成形した収納体４の底部に乾燥剤３ を収納し、その上に内蓋体６を重ね合わせ、周辺部を加熱により収納体４の段部 ４ａにシール固定し、次いで錠剤２を収納した後、外蓋体５を重ね合わせ、周辺 部を加熱によりシール、密封することによって得られる。なお、本実施例の収納 体４、外蓋体５及び内蓋体６に用いる材料としては、前述の実施例で具体的に挙 げた材料と全く同様である。

【００３５】 かかる場合も、収納体４の内部で錠剤２と乾燥剤３とが内蓋体６によって分離 され、錠剤２が上方に位置し、互に直接接触しない構造になっており、外蓋体５ を開封して中から錠剤２を取り出す際に乾燥剤３は収納体４の底部に収納されて いるため、これを誤って取り出すような不都合は起こらない。また、錠剤２は外 蓋体５と内蓋体６によって保持された状態であり、外部からの衝撃に対してもこ れを緩和する構造を形成している。さらに、錠剤２が乾燥剤３と直接接触しない ため安全性にも優れている。

【００３６】 図３は本考案の錠剤包装体のまた別の実施例を示す断面図である。

【００３７】 本実施例の錠剤包装体１は、収納体４と、該収納体４の上下の両面にそれぞれ 重ねて周辺部をシール、密封する外蓋体５および底蓋体９とからなっている。

【００３８】 収納体４は、図３より明らかなように、防湿性材料をトレー状に成形し、かつ 底部を上方へ凸状に成形したものである。該収納体４は、中に錠剤２を収納でき るだけの容積と、底部の凸状成形部分７に下方から乾燥剤３を収納できるだけの 容積を有する。また、上記凸状成形部分７には、錠剤２を収納する空間との水蒸 気の流通を持たせるため、少なくとも１箇所の開口部８を有し、乾燥剤３が収納 体４の内部に含まれる水分を吸収できるようになっている。

【００３９】 そして、本実施例の錠剤包装体１は、まず成形した収納体４に上方から錠剤２ を収納すると同時に下方から凸状成形部分７に乾燥剤３を収納し、次いで上下の 両面にそれぞれ外蓋体５および底蓋体９を重ね合わせ、周辺部を加熱によりシー ル、密封することによって得られる。

【００４０】 本実施例の収納体４、外蓋体５および底蓋体９に用いる材料としては、前述の 実施例で具体的に挙げた材料と同様であるが、本実施例の構造では、収納体４の 底部と底蓋体９とのシール部分は強固で容易には剥離できないことが望ましい。

【００４１】 本実施例によれば、収納体４の内部に収納された錠剤２と収納体４の底部に収 納された乾燥剤３とが収納体４の凸状成形部分７によって分離され錠剤２が上方 に位置する構造になっており、上部の外蓋体５を開封して中から錠剤２を取り出 すときに乾燥剤３は凸状成形部分７の下側に収納されていて見えないため、これ を誤って取り出し口にする危険性は全くない。また、錠剤２は乾燥剤３とは直接 接触しないため安全である。また、さらに錠剤２は上の外蓋体５と収納体４の凸 状成形部分７とによって保持されているため、外部からの衝撃に対しても強い構 造で、錠剤２の保護作用に優れている。

【００４２】 上記実施例ではいずれも平坦な外蓋体５を用いたが、本考案の目的を逸脱しな い範囲で、平坦でない、例えば成形した外蓋体を使用してもよい。具体的には、 図４（ａ）に示すように、若干の凸状に成形した外蓋体や、同図（ｂ）に示すよ うな内方に突出する緩衝凸部１０を形成した外蓋体が例示できる。同図（ａ）の 構成とすれば、収納部を大きくすることができる。また、同図（ｂ）の構成とす れば、錠剤の保護性をより高くすることができる。

【００４３】

【考案の効果】

以上詳細に説明したように、本考案の錠剤包装体によれば、常に上方の蓋体側 に錠剤が位置し、しかも乾燥剤は直接目に見えない収納体の底部に収納されてい て容易には取り出せない状態なので、錠剤の取り出しの際、誤って乾燥剤を取り 出す恐れがないという優れた効果を奏する。

【００４４】 また、錠剤と乾燥剤とが直接接触することがないから安全面で優れ、さらには 錠剤が上下両面から保持されているので外部からの衝撃を緩和する働きがあり、 錠剤の保護作用に優れている。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案の錠剤包装体の一実施例を示す断面図で
ある。

【図２】本考案の錠剤包装体の別の実施例を示す断面図
である。

【図３】本考案の錠剤包装体のまた別の実施例を示す断
面図である。

【図４】外蓋体の別の構成を示す断面図である。

【図５】従来の錠剤包装体を示す断面図である。

【符号の説明】

１ 錠剤包装体 ２，１１ 錠剤 ３，１２ 乾燥剤 ４ 収納体 ５ 外蓋体 ６ 内蓋体 ７ 凸状成形部分 ８ 開口部 ９ 底蓋体 １０ 緩衝凸部

Claims (3)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 防湿性材料を成形した収納体及び外蓋体
   と、前記収納体の内部に固定する内蓋体とからなり、前
   記収納体の底部に乾燥剤を収納し、その上に前記内蓋体
   を重ねてその周辺部を収納体の内部にシールして乾燥剤
   を固定し、さらに錠剤を収納してその上に前記外蓋体を
   重ね、周辺部をシール、密封してなることを特徴とする
   錠剤包装体。
2. 【請求項２】 前記収納体の側壁に段部を形成し、この
   段部の上に前記内蓋体をシール、固定した請求項１記載
   の錠剤包装体。
3. 【請求項３】 防湿性材料を成形した収納体と蓋体とか
   らなり、前記収納体は底部が上方へ凸状に成形され、か
   つこの凸状の成形部分に少なくとも１箇所の開口部を有
   しており、前記収納体に上方から錠剤を収納するととも
   に下方から上記凸状の成形部分に乾燥剤を収納し、上下
   の両面にそれぞれ蓋体を重ね、周辺部をシール、密封し
   てなることを特徴とする錠剤包装体。