JPH0585289B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 〔発明の技術分野〕 この発明は、放電加工装置の改良に関し、特に
精密加工を可能ならしめるために、加工エネルギ
ーまたは環境の変化等の影響により被加工物と電
極との間に生じる位置ずれを防止した放電加工装
置に関するものである。

〔従来技術〕

従来、この種の装置として第５図に示すものが
あつた。図において、１は加工槽、２は加工液、
３は電極、４は電極３の垂直方向の加工送りを行
う主軸、５は被加工物、６は加工槽１および被加
工物５を取り付けるテーブルで、図に矢印で示し
たＸ方向に移動できるようになつている。７はサ
ドルで、テーブル６を図の矢印でしめしたＹ方向
に移動させるようになつている。８は主軸４が上
下に摺動可能に保持されるヘツド、９はこのヘツ
ド８を支持するコラム、９ａはコラム前面、９ｂ
はコラム後面、１０はコラム９が取付けられこれ
を支持するベツド、１２はコラム９の上部に取り
付けられた通風ブロアである。

次に動作について説明する。加工槽１の加工液
２内で電極３と被加工物５との間に、図示のない
電源部より放電エネルギとなる電圧が印加される
と放電が発生し、被加工物５が加工される。この
場合、上記放電エネルギによつて加工液２の液温
の上昇と、この液温の上昇によつて加熱される加
工槽１およびテーブル６の温度上昇が生じる。こ
の温度上昇は加工開始から加工エネルギ量によつ
て徐々に上昇し、放電加工機本体における最大の
発熱源となる。この温度上昇した加工液２の上
面、加工槽１およびテーブル６からは、図の矢印
で示す１１の輻射熱が発生し、この輻射熱１１に
よつて上記発熱源に面しているコラム前面９ａが
加熱され、これらの表面温度が上昇する。さらに
室温などの放電加工装置周辺の影響を受けて、放
電加工装置各部の温度分布が変化する。

従来の放電加工装置は以上のように構成されて
いるので、被加工物の加工を行うにつれて、発熱
源に面した機械構造体の表面温度が、他の表面温
度と比較して上昇したとき、例えば図の２点鎖線
で示すように、コラム前面９ａ、主軸４は熱変形
を起し、電極３の位置は加工初期に比べて図のε
で示す位置ずれが生じるために、被工作物の加工
精度が低下するなどの欠点があつた。また、室温
などの変化によつても加工機構造部材の個々の熱
容量差による温度むらが発生し、上記同様の位置
ずれが生じていた。以上の対策として従来の放電
加工装置は冷却フアン１２をコラム上部やベツド
後部に設置し、外気を送り込むことによつて装置
各部の温度の均一化を計つていたが、通風経路が
明確でなく、また、構造体内部にのみ通風される
と云う欠点もあつた。

第６図は、加工機内部の通風が不十分な場合に
ついて、室温変化時の加工機温度分布、変位量の
実測結果を示した斜視図、第７図は室温変化によ
る電極３と被加工物５との間に生じる相対位置の
時間的変化を示した線図である。

〔発明の概要〕

この発明は、上記のような従来のものの欠点を
除去するためになされたもので、加工機主要構造
部材の外面に密着するカバーを設置し、通風ブロ
アから加工機内部に送り込まれた外気が加工機内
部を循環したのち、加工機主要構造部材に設けた
通風口を通じて、上記カバーと加工機主要構造部
材外面とで形成される空間を循環して外部に排出
される構成をとることで、加工機主要構造部材の
内外面とも通風が行なわれ、その結果、加工機構
造部材の熱変形による電極、被工作物間の相対位
置ずれ等で起こる加工誤差を低減させ、極めて精
度の高い加工を行うことのできる放電加工装置を
提供するものである。

〔発明の実施例〕

以下、この発明の一実施例を図に基づいて説明
する。第１図において８はヘツド、９はコラム、
１０はベツド、１２はベツド前面に設置した通風
ブロア、１３はコラム９及びベツド１０に設置さ
れた通風カバーであり、コラム９の前・後・側面
およびベツド１０の側面をおおうものである。１
４は通風カバー取付部の気密性を高めるために取
付けられたパツキン、１５ａはコラム９の上部部
に設けた通風口、１５ｂはコラム９とベツド１０
の接合部に設けた通風口、１６はベツド１０に取
り付けた通風カバー１３の前部に設けた排気口で
ある。

次に第１図の動作について説明する。第５図で
説明したと同様に、加工槽１にためられた加工液
２の中で電極３と被加工物５との間に放電を発生
させ、被加工物５の放電加工を行う場合に、被加
工液２、加工槽１及びテーブル６等の発熱源から
放熱される輻射熱は、コラム９、ベツド１０など
を加熱する。一方、通風ブロアによりベツド１０
内部に供給された外気は、ベツド１０内部を通過
したのち通風口１５ｂを通じてコラム９内部を通
過し、通風口１５ａを通じてコラム９の外面と通
風カバ１３とで形成される空間に送り出される。
通風カバー１３内に送り出された外気はコラム９
の前面、側面及び後面を通過したのち、ベツド１
０の側面を経由して排気口１６より外部に排出さ
れる。以上の過程において、加工機主要構造部材
であるコラム９、ベツド１０は通風ブロア１２に
より供給される外気によつて内外面から冷却さ
れ、コラム９、ベツド１０の温度分布は外気温に
近づくように均一化される。この結果、さきにの
べた発熱源による加工機本体の熱変形により発生
する相対位置ずれが抑制され、さらには室温・日
光などの環境変化に対しても加工機各部の温度が
均一化されるため、上記同様に相対位置ずれは減
少する。

第２図は通風ブロア１２をコラム９上部に設置
し、排気口１６を通風カバー上部に設けることに
より、コラム９上部で吸気・排気を行つた他の実
施例である。第３図は通風カバー１３に通風ブロ
ア１２を設置し、コラム９、ベツド１０の外面に
通風させたのち内面を通風させた他の実施例であ
る。第４図は通風カバー１３のテーブル６、サド
ル７に面する部分に第２の排気口１６ｂを設け、
一部の排気がテーブル６、サドル７を冷却するよ
うに構成した他の実施例である。また、本実施例
では通風ブロア１２をベツド１０に直接固定した
が、通風ホース、ダクトなどを利用して外部から
外気をを供給するようにしてもよい。また、通風
ブロア１２を複数設置することによつて、さらに
大きな効果が得られる。

〔発明の効果〕

以上のように、この発明に係る放電加工装置に
よれば、加工液、この加工液をためる加工槽、こ
の加工槽及び工作物を取付けるテーブル等の発熱
源からの熱輻射および室温、日光などの環境の変
化に対して、加工機外部に通風カバーを設置し、
通風ブロアにより供給された外気が加工機の内外
面を円滑に通過し、加工機各部の温度を均一化す
る構成としたので、発熱源からの機械構造体への
熱的影響を極力減少させることができ、よつて機
械構造体の熱変形量の差によつて生ずる電極・工
作物間の相対的な位置ずれをなくすことができ
る。さらに室温の急激な変化や上下方向の温度差
が生じても、加工機の温度の均一化がすみやかに
行なわれるため同様の効果が得られるので、極め
て精度の高い工作物の放電加工を行い得る効果を
奏する。

【図面の簡単な説明】

第１図ａ，ｂは本発明の一実施例の構成及びそ
の作動態様を示す概略図、第２図〜第４図の各
ａ，ｂはこの発明の他の実施例の概略図、第５図
は従来の放電加工装置の構成及びその作動態様を
示す概略図、第６図は加工機内部の通風が不十分
な場合についての室温変化時の加工機温度分布、
変位量の実測結果を示した斜視図、第７図は室温
変化による電極３と工作物５の間に生じる相対変
位の時間的変化をＸ，Ｙ，Ｚ方向別に示した線図
である。 １…加工槽、２…加工液、３…電極、４…主
軸、５…工作物、６…テーブル、７…サドル、８
…ヘツド、９…コラム、９ａ…コラム前面、９ｂ
…コラム後面、１０…ベツド、１１…輻射熱、１
２…通風ブロア、１３…通風カバー、１４…パツ
キン、１５ａ…通風口、１５ｂ…通風口、１６
ａ，１６ｂ…排気口。なお、図中、同一符号は同
一又は相当部分を示す。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 対向する電極と被加工物間に放電を発生させ
   ることにより加工を行う放電加工装置において、
   コラム、ヘツドなどの加工機主要構造部材の外面
   に少なくとも１個所に排気口を有するカバーを装
   着し、このカバーの装着される前記加工機主要構
   造部材の部分に少なくとも１個所に通風口を設
   け、加工機内部へ外気を送り込む通風ブロアをベ
   ツド若しくはコラムに設置し、この通風ブロアに
   よる強制空冷を加工機外部にも行うことを特徴と
   する放電加工装置。 ２ 通風ブロアと加工機本体とを、通風ホースま
   たはダクトで接続したことを特徴とする特許請求
   の範囲第１項記載の放電加工装置。 ３ 通風ブロアを複数個設置したことを特徴とす
   る特許請求の範囲第１項または第２項記載の放電
   加工装置。 ４ カバーと加工機主要構造部との間にパツキン
   を設置したことを特徴とする特許請求の範囲第１
   項または第２項記載の放電加工装置。