JPH0581475B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本発明は、車体の低重心化と燃料タンクの大容
量化に適するスクータ型車輛に関するものであ
る。

（従来の技術） 操向ハンドルと運転シートとの間に低床式の略
板状の足置台を備える２輪あるいは３輪のスクー
タがある。この種の従来のスクータは、通常エン
ジンおよび後輪の少なくとも上方をリヤカバーで
覆い、このリヤカバー内の上部に燃料タンクを、
またこの燃料タンクの上方に運転シートをそれぞ
れ配設している。しかしこのリヤカバー内の特に
上部にはエンジンの熱がこもり易く、燃料タンク
が加熱されるという問題があつた。

また燃料タンクの大容量化も求められている。
しかしこのように運転シートの底板に面して大容
量の燃料タンクを配置したのでは、特にタンクが
燃料で満たされている時に車体重心が高くなつて
望ましくないばかりか、往々にしてシート位置も
高くなつて運転者の路面への足付き性が悪化する
という新たな不都合が生じる。そこで前記足置台
の中央にボツクス状の空間部を上方へ突出させる
ように形成し、この中に燃料タンクを設けること
が考えられた（実公昭58−19105号）。しかしこの
場合には大容量化にも限度があるばかりか、足置
台の左右の足を置く位置（足置き位置）が左右に
分割されて狭くなる。また給油口が低くなり、給
油作業性が悪くなるという問題も生じる。

（発明の目的） 本発明はこのような事情に鑑みなされたもので
あり、燃料タンクの過熱を防ぎ、燃料タンクの大
容量化に適し、車体重心を低くでき、足置き位置
を広くかつ低くして乗降性を良好にできるスクー
タ型車輛を提供することを第１の目的とする。ま
たこの場合に給油作業性も悪化することがないス
クータ型車輛を提供することを第２の目的とす
る。

（発明の構成） 本発明によれば第１の目的は、操向ハンドルと
運転シートとの間に位置しほぼ車体幅に等しい横
幅を有する低床式略板状の足置台と、操向軸筒か
ら前記足置台の下方を通り前記運転シート下方に
至る側面視略Ｕ字状のフレームと、前記足置台の
後方に位置する後輪駆動用エンジンとを備えるス
クータ型車輛において、前記フレームは前記足置
台の左右両縁付近を通る左右一対のサイドチユー
ブを備え、前記足置台の下方には前記左右のサイ
ドチユーブ上に左右両縁部が乗り少くとも後部が
前記左右のサイドチユーブ間から下後方に膨出し
た扁平な燃料タンクを配設したことを特徴とする
スクータ型車輛により達成される。

また第２の目的は、さらに足置台の後部から運
転シート前部下面に向つて側面視斜後方へ立上が
るリヤカバーの立壁に、足置台上方へ開閉可能な
蓋板を設け、この蓋板の内側に燃料タンクの給油
口を臨ませることにより達成される。

（実施例） 以下図面に基づき、本発明を詳細に説明する。

第１図は本発明の一実施例である２輪スクータ
の側面図、第２図は同じく一部を省いた平面図で
ある。

これらの図で符号１０はフレームである。この
フレーム１０は操向軸筒１２から後記足置台５２
の下方を通り後記運転シート５６の下方へ至る側
面視略Ｕ字状に形成されている。すなわちこのフ
レーム１０は、操向軸筒１２と、ダウンチユーブ
１４と、このダウンチユーブ１４の下端から後方
斜め上方へ延びる左右一対のサイドチユーブ１
６，１６ａ，１６ｂとを備える。ここにサイドチ
ユーブ１６ａ，１６ｂは足置台５２の左右両縁付
近を通る。操向軸筒１２に左右へ回動自在に保持
された操向軸には、操向前輪１８および操向ハン
ドル２０が取付けられている。

２２は動力ユニツトであり強制空冷式２サイク
ル直立型の後輪駆動用エンジン２４と、伝動ケー
ス２６とが一体に組付けられ、側面（第１図）お
よび平面（第２図）から見て略Ｌ字状に形成され
ている。すなわちエンジン２４は、伝動ケース２
６の後輪に取付けられた後輪２８の前方に位置
し、横置きの片持ちクランク軸３０とやや後傾し
て上下方向に動くピストン３２とを備えている。
エンジン２４の反伝動ケース２６側には、吸気清
浄器３４が取付けられている。この吸気清浄器３
４内には、フイルタ３６によつて左右に第１、第
２室３８ａ，３８ｂが画成され、第１室３８ａに
は第２室３８ｂとクランク室とを連通するように
気化器４０が配設されている。この結果、第１室
３８ａに形成した吸気口４２により第１室３８ａ
に入つた吸気は、フイルタ３６、第２室３８ｂ、
気化器４０、さらにリード弁（図示せず）を通つ
てクランク室に吸入される。

この動力ユニツト２２の前端は前記サイドチユ
ーブ１６に上下揺動可能に連結され、またその後
部は緩衝ユニツト４４によつて弾力的に支持され
ている。

前記サイドチユーブ１６は後輪２８の上縁付近
に高さに延びていて、その上方には電池４６、潤
滑オイルタンク４８、小物入れケース５０が配設
されている。

５２は低床式略板状の足置台であり、前記ダウ
ンチユーブ１４下端およびサイドチユーブ１６前
部を覆い車体の横幅にほぼ等しい横幅を持つよう
に作られている。またこの足置台５２の上面は平
坦であり運転者が両足を置く位置（足置き位置）
は左右に連続している。５４はリヤカバーであ
り、足置台５２に連続し、前記動力ユニツト２
２、後輪２８の上方を覆うように作られ、その内
部上方には、電池４６、オイルタンク４８、小物
入れ５０が収容されている。このリヤカバー５４
の上部には、運転シート５６が開閉自在に取付け
られている。

５８は燃料タンクであり、足置台５２内からリ
ヤカバー５４内の前部にかけて入るように側面略
Ｌ字型に作られている。すなわち足置台５２内の
部分５８ａはほぼ水平かつ扁平な盤状であり左右
の両縁部はサイドチユーブ１６ａ，１６ｂに上か
ら乗り、その後部は両サイドチユーブ１６ａ，１
６ｂ間から下後方に膨出している。またリヤカバ
ー５４内の部分５８ｂはサイドチユーブ１６に沿
つて上方へ立上つている。このリヤカバー５４内
部分５８ｂの上部には斜め上前方を指向する給油
口５８ｃが形成され、ここにキヤツプ６０が取付
けられている。燃料タンク５８の足置台５２内部
分５８の底面には、電磁式燃料ポンプ６２が取付
けられている。この燃料ポンプ６２はタンク５８
内の燃料を前記気化器４０に送る。また足置台５
２の後部から運転シート５６の前部下面に向つて
側面視斜後方へ立上がる立壁となる前記リヤカバ
ー５４は、前記キヤツプ６０に対向する部分が足
置台５２上方へ開閉可能な蓋板６４となつてい
る。この蓋板６４を開きキヤツプ６０を外して給
油を行う。

この実施例によれば、燃料タンク５８のリヤカ
バー５４内部分５８ｂ付近にはエンジン２４の熱
がこもりにくいので、タンク５８が過熱されたり
燃料の蒸発量が増えたりすることがない。またタ
ンク５８は足置台５２の中だけでなく、Ｌ字型に
して左右のサイドチユーブ１６ａ，１６ｂ間から
下後方にも大きく膨出させたので、タンク５８の
著しい大容量化が可能になる。ここに、タンク５
８を燃料で満たした時にも、燃料タンク５８は十
分低い位置にあるので車体重心が低くなり、走行
安定性が良好になる。

またリヤカバー５４内部分５８ｂが上方に起立
していので、その上部に設けた給油口５８ｃも高
くなり、給油時に身体を大きく屈曲させることな
く楽な姿勢で給油でき、この給油口５８ｃの前に
は足置台５２上方の空間が広く空いているから、
作業性が良い。さらにシート底板に面する燃料タ
ンクを大容量化する場合のように、燃料タンクを
大容量化してもシートが高くなるということもな
い。

第３図は他の実施例の一部の側面図である。

この実施例は、前記第１，２図の実施例におけ
る燃料タンク５８を２つに分割したものである。
すなわちこの実施例の燃料タンク７０は、足置台
５２内部分７０ａと、リヤカバー５４内部分７０
ｂと分割され、両部分７０ａ，７０ｂがパイプ７
２，７２で連通されたものである。また７０ｃは
給油口である。

この実施例によればタンク７０を複数に分割し
て配置できるので、配置上の自由度が増すと共に
各部分７０ａ，７０ｂ内に仕切壁を設けることな
く加減速時の燃料の前後移動を抑制できる。なお
第３図では第１図と同一部分には同一符号を付し
たので、その説明は繰り返さない。

以上の各実施例は２輪スクータであるが、本発
明は３輪以上のスクータにも適用できる。

（発明の効果） 特許請求の範囲第１項の発明は以上のように、
左右両縁部が左右のサイドチユーブ上に乗り少く
とも後部が両サイドチユーブ間から下後方へ膨出
する扁平な燃料タンクを配設したものであるか
ら、リヤカバー内の上部にこもるエンジンの熱に
より燃料が過熱されることなく、車体重心を低く
しつつ燃料タンクの大容量化が図れる。また足置
台上面はほぼ平坦にして、足置き位置を広く確保
し乗降性を良好にすることもできる。

また特許請求の範囲第２項の発明によれば、足
置台から運転シートの前部下面に向つて側面視斜
後方へ立上がる立壁に足置台上方へ開閉可能な蓋
板を設け、この蓋板の内側に給油口を臨ませたか
ら、この給油口は比較的高い位置になると共に、
斜上方に向つて開口させることができ、しかもそ
の前に足置台上方の広い空間があるので給油時の
作業性が良い。なお給油口付近が給油時に汚れて
も、リヤカバーの蓋板を閉じれば汚れは見えず給
油口のキヤツプもかくすことができるから外観が
よい。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明の一実施例である２輪スクータ
の側面図、第２図はその一部を省いた平面図、第
３図は他の実施例の一部の側面図である。 １０……フレーム、１６ａ，１６ｂ……サイド
チユーブ、２０……操向ハンドル、２４……エン
ジン、２８……後輪、５２……足置台、５４……
リヤカバー、５６……運転シート、５８，７０…
…燃料タンク、５８ｃ，７０ｃ……給油口、６４
……蓋板。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 操向ハンドルと運転シートとの間に位置しほ
   ぼ車体幅に等しい横幅を有する低床式略板状の足
   置台と、操向軸筒から前記足置台の下方を通り前
   記運転シート下方に至る側面視略Ｕ字状のフレー
   ムと、前記足置台の後方に位置する後輪駆動用エ
   ンジンとを備えるスクータ型車輛において、 前記フレームは前記足置台の左右両縁付近を通
   る左右一対のサイドチユーブを備え、前記足置台
   の下方には前記左右のサイドチユーブ上に左右両
   縁部が乗り少くとも後部が前記左右のサイドチユ
   ーブ間から下後方に膨出した扁平な燃料タンクを
   配設したことを特徴とするスクータ型車輛。 ２ 操向ハンドルと運転シートとの間に位置しほ
   ぼ車体幅に等しい横幅を有する低床式略板状の足
   置台と、操向軸筒から前記足置台の下方を通り前
   記運転シート下方に至る側面視略Ｕ字状のフレー
   ムと、前記足置台の後方に位置する後輪駆動用エ
   ンジンとを備え、前記エンジンと後輪との少なく
   とも上方および前方をリヤカバーで覆つたスクー
   タ型車両において、前記フレームは前記足置台の
   左右両縁付近を通る左右一対のサイドチユーブを
   備え、前記足置台の下方には前記左右のサイドチ
   ユーブ上に左右両縁部が乗り少くとも後部が前記
   左右のサイドチユーブ間から下後方に膨出した扁
   平な燃料タンクを配設し、前記足置台の後部から
   運転シート全部下面に向つて側面視斜後方へ立上
   がる立壁に足置台上方へ開閉可能な蓋板を設け、
   この蓋板の内側に前記燃料タンクの給油口を臨ま
   せたことを特徴とするスクータ型車輛。