JP3006857B2 - スクータ型二，三輪車の収納箱装置 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本発明は、操向ハンドルと運転シートとの間の下方に
足載台を、また運転シートの下方にユニットスイング式
の動力ユニットをそれぞれ備える小型の二、三輪車に適
用される収納箱装置に関するものである。

（発明の背景） この種のいわゆるスクータ型の二、三輪車において、
ヘルメットを収納可能な収納箱を設ける場合は、運転シ
ートとその下方に位置する動力ユニットとの間にこの収
納箱を配設していた。この値は運転シートの開閉により
ヘルメットなどの荷物を出入れできると共に、足載台も
十分に広く確保できる点で優れたものであった。しかし
ながら、動力ユニットの上に収納箱が重なるため、運転
シートの移動が高くなり、運転者の着座位置が高くなる
ため低重心化に限界があった。

（発明の目的） 本発明はこのような事情に鑑みなされたものであり、
ヘルメットを収納可能な大容量の収納箱を設けたにもか
かわらず車両の低重心化を図ることができ、ヘルメット
などの大型の荷物の出し入れもし易くすることができ、
しかも乗降性の良い車両の収納箱装置を提供することを
目的とする。

（発明の構成） 本発明によればこの目的は、操向ハンドルと運転シー
トとの間に下方に位置する足載台と、運転シートの下方
に位置するユニットスイング式動力ユニットとをそれぞ
れ備え、前記動力ユニットの前部に位置するエンジンを
前記運転シートのほぼ直下に配設したスクータ型の二、
三輪車において、前記左右の足載台間かつ前記運転シー
トの前縁より前方に配設されヘルメットを収納可能にし
た収納箱と、この収納箱を上方から覆うように前記運転
シートとは別体に形成され前記運転シートの着座面とほ
ぼ同じ高さの運転シート前面上縁から滑らかに前下方へ
傾斜する蓋板とを備え、この蓋板を車体幅方向の縦断面
形状が上方へほぼ円弧状に凸となるように形成する一
方、この蓋板はその前下部を支点としてその後上部を前
上方へ開閉可能にしたことを特徴とするスクータ型二、
三輪車の収納箱装置、により達成される。

（実施例） 第１図は本発明の一実施例の配置を示す側面図、第２
図は同じく平面図、第３図は第１図におけるIII−III線
付近の断面図、第４図は第１図におけるIV矢視図であ
る。

第１、２図において、符号10は車体フレームであり、
操向軸筒12と、これから斜下後方に下降する一本のダウ
ンチューブ14と、前端がこのダウンチューブ14の下端付
近に固着され、その後部が斜上後方に上昇する左右一対
のメインフレーム16、16とを有する。両メインフレーム
16、16は、適宜のクロスパイプ18、20、22、およびブラ
ケット24で相互に結合されている。また両メインフレー
ム16、16の下部、すなわちダウンチューブ14の後方の水
平部分には、この水平部分よりやや上にあってそれぞれ
左右側方へ膨らむように折曲されたサイドフレーム26、
26が固着されている。

30は操向軸筒12に保持された操向軸であり、その下端
には前記フォーク32が固定され、この前のフォーク32に
操向前輪43が保持されている。操向軸30の上端には十字
継手36を介して操向ハンドル38が後傾するように接続さ
れている。なおこの操向ハンドル38はダウンチューブ14
と、２本のパイプ40（一方のみ図示）を介して操向軸筒
12とに固定されたステー42に軸支されている。44はこの
ステー42に取付けられたメインキースイッチである。

50は動力ユニットであり強制空冷式単気筒エネルギ52
と無断変速機を収容する伝動ケース54とを一体化したも
のである。伝動ケース54はエンジン52の左側から後方に
のび、その後端に後輪56の保持されている。この動力ユ
ニット50の前端はリンク58を介してメインフレーム16側
のブラケット24に連結されている。動力ユニット50の後
端は１本のクッションユニット60により支持されてい
る。62は排気管であり、リンク58付近からエンジン52の
下方を通って、後輪56の右側に位置する排気マフラ64に
接続されている。

66はレッグシールド、68は操向ハンドル38に固定され
たハンドルカバーであり、両者の合面は第４図に示すよ
うに下方へ凸なほぼ球面状に形成されている。またレッ
グシールド66の上前縁は前方から見てハンドルカバー68
の前へ重なる。

この結果ハンドル38を回転させた時にレッグシールド
66とハンドルカバー68との間隔が大きくなることがな
く、また走行中に合面間に雨水が進入しないように対策
されている。

70は収納箱である。この収納箱はフルフェイス型ヘル
メット72を収納可能な大型のものである。収納箱70の碗
底状の底部70aは、前記メインフレーム16、16とサイド
フレーム26、26とで囲まれる空間に上方から入れられ、
ほぼ平板状の後面70bはメインフレーム16の斜面に沿っ
て斜上後方へ立上がり、その上部がブラケット22に固定
されている。この収納箱70には左右一対の足載台74、74
の一部が一体に形成され、これら足載台74はサイドフレ
ーム26の上に支持される（第３図）。第２図にはこの足
載台74、74の足を載せる範囲の全体が斜線で示されてい
る。

76は運転シートであり、前記メインフレーム16、16の
後部すなわち動力ユニット50の上方に配設され、その前
部はブラケット22および収納箱70の後面70bの上縁を覆
っている。すなわちこの運転シート76は、前記動力ユニ
ット50のエンジン52のほぼ直上に位置し、前記収納箱70
の左右の足載台74、74間であってかつこの運転シート76
の前縁よりも前方に位置する。この運転シート76の後面
にはテールランプ78が埋め込まれている。

運転シート76の下方を覆うサイドカバー80は前記収納
箱70の側方にのびている。このサイドカバー80の前縁は
また足載台74の後部上方に開き、この足載台74をサイド
カバー80とで走行風をエンジン62に導くエンジン冷却風
取入口82を形成している（第３図）。

84は収納箱70の蓋板である。この蓋板84は収納箱70を
上方から覆うように運転シート76とは別体に形成され、
運転シート76の着座面とほぼ同じ高さに位置する運転76
の前面上縁から滑らかに前下方に傾斜している。そして
その車体幅方向の縦断面形状が上方へ向ってほぼ円弧状
に凸となっている。すなわち収納箱70の開口縁70cをヘ
ルメット72の側方を前後に通すことにより収納箱70の開
口を大きく確保する一方、蓋板84の左右縁をこの開口縁
70cまでのばしている。この結果蓋板84の後部を上方へ
開いた時に収納箱70の開口を大きくすることができ、ヘ
ルメット72の出し入れが容易になる。ここに蓋板84は上
方にほぼ円弧状に凸となっているためヘルメットの形状
にほぼ沿うことになり、ヘルメットの収納に好適とな
る。なお蓋板84はその前縁がリンク式のヒンジ85で連結
され、蓋板84を開いた時に蓋板84全体が上方に移動して
レッグシールド66との干渉が防止される。また蓋板84の
縁後部にはキー86が固定されている。

また、90はレッグシールド66内に収納された燃料タン
クである。エンジンの燃料ポンプは、この燃料タンク90
の下部付近の位置92a、あるいは収納箱70の左側の位置9
2bに配設される。

94は運転シート76の下に収納された潤滑オイルタン
ク、96は電池である。98はリヤフェンダ、100はエアク
リーナであり、これらは動力ユニット50支持されてい
る。

この実施例では動力ユニット50のエンジン52は上方に
起立しているが、このエンジン52を前方へ略水平に倒し
てもよい。この場合には、収納箱の後面（第１図の70b
に相当する位置）にヘルメット内部側へ陥没する凹部を
形成し、この凹部内へエンジンの頂部や点火栓付近を進
入させることができる。ここに収納箱の内側に開閉可能
な窓を設け、この窓を開くことにより点火栓の着脱を行
うようにするのが望ましい。

（発明の効果） 本発明は以上のように、運転シートをエンジンのほぼ
直上に配設し、収納箱を左右の足載台間かつ運転シート
の前縁よりも前方に配設し、これを覆う蓋板を運転シー
トとは別体としかつ運転シートの着座面とほぼ同じ高さ
の運転シート前面上縁から滑らかに前下方に傾斜するよ
うに設けたものであるから、運転シートおよび収納箱位
置を低くすることができ、このため車両の低重心化が図
れる。また蓋板は幅方向の縦断面形状が上に向って凸と
なるようにしたから、収納箱の開口縁を下げて開口を大
きくでき、荷物の出し入れがし易くなる。さらにこの蓋
板は前下りに傾斜し、かつ車体幅方向の断面が略円弧状
に凸となっているから、乗降時に足が当たりにくくな
り、乗車時には足をこの蓋板の曲面に沿わせてのばすこ
ともできる。また収納箱は運転シートの着座面の高さま
で上下方向に拡大でき、かつ蓋板はその縦断面形状を上
方へ凸としたから、収納箱の容量を大幅に増大させるこ
とができる。このように運転シートを低くして楽な乗車
姿勢をとれるようにしつつ収納箱の容量も十分に大きく
することができる。

さらに蓋板は運転シートとは別体でその前下部を中心
にしてその後上部を前上方へ開閉できるようにしたの
で、運転シートの開閉とは関係なく収納箱だけの開閉を
容易に行うことができ、特に大型のヘルメットの出し入
れも容易になる。従って運転シートの着座したまま蓋板
を開閉して荷物の出し入れをすることもできる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明の一実施例の配置を示す側面図、第２図
は同じく平面図、第３図は第１図におけるIII−III線付
近の断面図、第４図は風防付近の正面図である。 38……操向ハンドル、 50……動力ユニット、 52……エンジン、 70……収納箱、 74……足載台、 76……運転シート、 84……蓋板、 85……ヒンジ。

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.⁷，ＤＢ名) B62J 9/00

Claims (1)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】操向ハンドルと運転シートとの間に下方に
   位置する足載台と、運転シートの下方に位置するユニッ
   トスイング式動力ユニットとをそれぞれ備え、前記動力
   ユニットの前部に位置するエンジンを前記運転シートの
   ほぼ直下に配設したスクータ型の二、三輪車において、 前記左右の足載台間かつ前記運転シートの前縁より前方
   に配設されヘルメットを収納可能にした収納箱と、この
   収納箱を上方から覆うように前記運転シートとは別体に
   形成され前記運転シートの着座面とほぼ同じ高さの運転
   シート前面上縁から滑らかに前下方へ傾斜する蓋板とを
   備え、この蓋板を車体幅方向の縦断面形状が上方へほぼ
   円弧状に凸となるように形成する一方、この蓋板はその
   前下部を支点としてその後上部を前上方へ開閉可能にし
   たことを特徴とするスクータ型二、三輪車の収納箱装
   置。