JPH05608Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案は、湯と水とを混合して所望する温度の
温水を吐出する湯水混合水栓において、水室の膨
張水による圧力上昇を防止し、水量調節ハンドル
の操作性を軽減すると共に、弁体及び水栓本体の
破壊を防止するようにした技術に関するものであ
る。

〔従来の技術〕

従来の一般的な湯水混合水栓を示せば第２図の
部分断面平面図に示す通りである。同図に示す如
く、従来の湯水混合水栓は、概略横長筒状の水栓
本体１内に、湯室２、水室３及びこれらの室２，
３へ通路４（第２図では水室３側のみを示す）を
介して連通する混合室（図示せず）が形成されて
いる。そして、水栓本体１の両端側には湯量調節
ハンドル５と水量調節ハンドル６とが取り付けら
れており、湯室２及び水室３と通路４との間には
混合室側へ流入する湯と水の量をそれぞれ調節す
る開閉弁７（第２図では水室３側のみを示す）が
設けられている。この開閉弁７は、セラミツク等
で成形された二枚の固定デイスク弁体７ａと回動
デイスク弁体７ｂとより成り、回動デイスク弁体
７ｂは湯量調節ハンドル５及び水量調節ハンドル
６にスピンドル８を介して連結されている。

また前記湯室２及び水室３は、それぞれ湯導入
管９及び水導入管１０を介して湯供給管１１及び
水供給管１２に連通接続されている。第２図にお
いて、１３及び１４はそれぞれ湯と水の止水栓で
ある。この止水栓１３及び１４と湯室２及び水室
３との間には、第３図に示す逆止弁１５（第３図
では水導入管１０側のみを示す）が配設されてい
る。

而して、湯室２及び水室３へ供給された湯と水
とは、開閉弁４によつてそれぞれ混合室へ流入す
る量が決定され、これにより所望する温度の温水
に混合される。そして、吐水管１６の吐水口（図
示せず）から吐出される。

〔考案が解決しようとする問題点〕

上述のように構成された従来の湯水混合水栓に
あつて、今、湯のみを連続的に吐出させて使用し
ていると仮定すると、水室３は逆止弁１５と開閉
弁７とにより密閉状態となつている。この状態で
湯のみの吐出が継続すると、湯室２と水室３とを
区画する隔壁１７及び水栓本体１の周壁等を通じ
て水室３内の水が加熱され、膨張する。そして、
この膨張水により水室３内の圧力が上昇し、とき
として100Kg／cm²になることもあつた、そのため、
水室３側の開閉弁７の固定デイスク弁体７ａが回
動デイスク弁体７ｂに対して強固に圧接され、水
量調節ハンドル６による流量操作が円滑でなくな
るという欠点があつた。また前記膨張水による異
常圧力により前記弁体７ａ及び７ｂが損傷した
り、水栓本体１に亀裂が発生したりする等の損壊
事故もあつた。

〔問題点を解決するための手段〕

本考案は、従来の湯水混合水栓の前記問題点に
鑑みてこれを改良除去したものであつて、水室内
の圧力が膨張水により上昇を始めると、所定圧力
になつた時点で水室内の膨張水を湯室側へ流出さ
せ、水室内が異常な圧力に上昇するのを防止する
ようにした湯水混合水栓を提供せんとするもので
ある。

而して、前記問題点を解決するために本考案が
採用した手段は、湯と水とを混合して所望する温
度の温水を吐出するようにした湯水混合水栓にお
いて、湯室と水室とを区画する隔壁に、水室側か
ら湯室側へ膨張水を流出させるリリーフ弁を配設
している。

〔作用〕

湯のみを連続的に吐出させている状態で、水室
内の水が加熱されて膨張し、水室内の圧力が上昇
を始めると、所定の圧力でリリーフ弁が開弁動作
をし、水室と湯室とを連通する。そのため、水室
内の膨張水は湯室側へ流出し、水室内の圧力が異
常に高くなることはない。

〔実施例〕

以下に、本考案の構成を図面に示す実施例に基
づいて説明すると次の通りである。なお、従来の
場合と同一符号は同一部材である。

第１図は本考案の一実施例に係る湯水混合水栓
を示す部分断面平面図である。同図に示す如く、
この実施例にあつては、湯室２と水室３とを区画
する隔壁１７にリリーフ弁２０を配設している。
該リリーフ弁２０は、隔壁１７に螺着された弁ケ
ース２１と、該弁ケース２１の連通孔２２に嵌合
装着された弁体２３と、該弁体２３を常時は着座
方向（第１図の右方向）へ付勢するスプリング２
４とより成つている。２５は弁ケース２１の湯室
２側に形成された弁座である。リリーフ弁２０が
開弁動作を開始する圧力は、前記スプリング２４
の付勢力を変更することにより自由に設定するこ
とが可能である。このようなリリーフ弁２０の前
記隔壁１７への装着は、水量調節ハンドル６及び
開閉弁７の装着孔を利用して行えばよい。なお、
第１図において、２６は隔壁１７とリリーフ弁２
０との間をシールするための弁ケース２１に嵌合
装着されたパツキンである。また同図において、
２７は弁ケース２１の水室３側の外周面に形成さ
れたナツト部、２８は弁体２３が着座した状態で
弁座２５との間のシールを行うための弁体２３に
嵌合装着されたパツキン、２９は弁軸３０に螺着
されたスプリング２４装着用のナツトである。

このように構成された湯水混合水栓にあつて、
今、湯のみを連続的に吐出させて使用していると
仮定すると、水室３は従来の場合と同様に逆止弁
１５と開閉弁７とにより密室となつている。この
ため、隔壁１７及び水栓本体１の周壁を通じて水
室３内の水が加熱されて膨張し、水室３内の圧力
は上昇を始める。そして、水室３内の圧力がリリ
ーフ弁２０の開弁動作を開始する設定圧力に達す
ると、弁体２３がスプリング２４の付勢力に抗し
て第１図の左方向へ移動し、弁座２５から離れて
湯室２と水室３とを連通孔２２を介して連通させ
る。このため、水室３内の膨張水が水室３からリ
リーフ弁２０の連通孔２２を通つて湯室２側へ流
出し、水室３内の圧力がリリーフ弁２０の前記設
定圧力よりも高くなるのを防止する。膨張水の湯
室２側への流出により、水室３内の圧力がリリー
フ弁２０の設定圧力よりも低くなると、リリーフ
弁２０の弁体２３はスプリング２４の付勢力によ
り弁座２５へ着座し、連通孔２２を閉塞する。従
つて、水室３内の圧力は常時リリーフ弁２０の設
定圧力以下に保たれ、従来の湯水混合水栓のよう
に異常に高くなることは決してない。それ故、開
閉弁７の固定デイスク弁体７ａが、回動デイスク
弁体７ｂに対して強固に圧接されることもなく、
また前記両弁体７ａ，７ｂ及び水栓本体１が損壊
する等の事故もない。

ところで、本考案は上述の実施例に限定される
ものではなく、適宜の変更が可能である。例え
ば、湯水混合水栓は湯量調節ハンドル５と水量調
節ハンドル６とが別個に設置された二ハンドル式
のものを示したが、一つのハンドルにより湯と水
の流量を調節するようにしたシングルレバー式の
ものであつてもよい。またリリーフ弁２０が開弁
動作を開始する設定圧力や、リリーフ弁２０自体
の形状、種類等も適宜の変更が可能である。

〔考案の効果〕

以上説明したように本考案にあつては、湯のみ
の吐出を連続して行つている使用状態において、
水室側の水が加熱されて膨張し、水室内の圧力が
上昇すると、所定圧力でリリーフ弁が水室と湯室
とを連通させ、前記水室内の膨張水を湯室側へ流
出させる。そのため、水室内の圧力は、常時前記
リリーフ弁が開弁動作を開始する設定圧力以下に
保たれる。それ故、開閉弁の操作が重くなつた
り、また開閉弁自体や水栓本体が損壊を受ける等
の事故もない。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の一実施例に係る湯水混合水栓
の全体を示す部分断面平面図、第２図は従来の湯
水混合水栓の全体を示す部分断面平面図、第３図
は第２図の湯水混合水栓における逆止弁の取付構
造を示す背面断面図である。 ２……湯室、３……水室、１７……隔壁、２０
……リリーフ弁。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 湯と水とを混合して所望する温度の温水を吐出
   するようにした湯水混合水栓において、湯室と水
   室とを区画する隔壁に、水室側から湯室側へ膨張
   水を流出させるリリーフ弁を配設したことを特徴
   とする湯水混合水栓。