JPH0558731A - 母相が異なる内部構造を持つ2種類の炭素からなる炭素繊維強化炭素複合材料の製造方法 - Google Patents

母相が異なる内部構造を持つ2種類の炭素からなる炭素繊維強化炭素複合材料の製造方法

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JPH0558731A
JPH0558731A JP3224060A JP22406091A JPH0558731A JP H0558731 A JPH0558731 A JP H0558731A JP 3224060 A JP3224060 A JP 3224060A JP 22406091 A JP22406091 A JP 22406091A JP H0558731 A JPH0558731 A JP H0558731A
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carbon fiber
carbon
weight
composite material
tar pitch
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Tomoyuki Uruno
智 之 宇留野
Mitsuo Saga
峨 三 男 嵯
Osamu Ebato
修 江波戸
Tsuneo Kaneshiro
城 庸 夫 金
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JFE Steel Corp
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Kawasaki Steel Corp
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 母相が異なる内部構造を持つ2種類の炭素か
らなる高強度な炭素繊維強化炭素複合材料の製造方法を
提供する 【構成】 炭素繊維構造体に、有機溶媒で溶解したター
ルピッチを含浸した後、前記有機溶媒を蒸発乾燥させ、
ついで熱硬化性樹脂を含浸させ、続いてこれを加熱、加
圧、成形し、得られたタールピッチを含む樹脂成形体を
焼成、炭化することにより、母相が異なる内部構造を持
つ2種類の炭素からなることを特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、高強度な炭素繊維強化
炭素複合材料の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】炭素繊維強化炭素複合材料(以下、C/
Cという)の一般的な製造方法は、炭素繊維束、炭素繊
維織布および炭素繊維不織布などを用いた炭素繊維構造
体と熱硬化性樹脂とを用いて、まず通常の繊維強化樹脂
複合材料と同様に成形型を用いることで任意の形状の樹
脂成形体を得る。ついで、真空、窒素ガス、アルゴンガ
ス等の非酸化性雰囲気で焼成し樹脂を炭化することでC
/Cとする。
【0003】このとき熱硬化性樹脂を用いる理由は、一
度硬化すると加熱しても再溶融しないため、焼成中に型
崩れを起こさず賦形が容易なためである。
【0004】しかしながら熱硬化性樹脂を用いると、成
形硬化時に炭素繊維に残留応力を生じ、焼成炭化時にそ
の応力が開放されないままC/Cとなるため、炭素繊維
の能力を十分に引き出すことができないという欠点を持
っている。
【0005】一方、タールピッチをバインダーに用いて
C/Cを作製する場合、焼成時にタールピッチは再溶融
するため複雑な形状は維持できず賦形が困難であるとい
う欠点があるものの、溶融により熱硬化性樹脂の場合の
ような残留応力が生じない。また、タールピッチは熱硬
化性樹脂と比較して易黒鉛化性であることから、C/C
化した場合に炭素繊維の周囲の母相が黒鉛化しやすいと
いう特徴を持っている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】前述のように、熱硬化
性樹脂およびタールピッチはC/Cのバインダーとして
はそれぞれ欠点を持つものの、高強度で複雑な形状のC
/Cを容易に製造するために必要な特徴を持っている。
ここで、本発明者等はお互いの欠点を補いつつ自身の特
徴を生かした製造方法によりC/C化すれば、複雑な形
状でも容易に高強度なC/Cが得られる点に着目した。
【0007】すなわち、本発明は、母相が異なる内部構
造を持つ2種類の炭素からなる高強度な炭素繊維強化炭
素複合材料の製造方法を提供することを目的としてい
る。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に本発明によれば、炭素繊維構造体に、有機溶媒で溶解
したタールピッチを含浸した後、前記有機溶媒を蒸発乾
燥させ、ついで熱硬化性樹脂を含浸させ、続いてこれを
加熱、加圧、成形し、得られたタールピッチを含む樹脂
成形体を焼成、炭化することにより、母相が異なる内部
構造を持つ2種類の炭素からなることを特徴とする母相
が異なる内部構造を持つ2種類の炭素からなる炭素繊維
強化炭素複合材料の製造方法が提供される。
【0009】本発明でタールピッチとは、コールタール
系ピッチ、石油系ピッチ等をいう。また、本発明でコー
ルタールピッチは、特に好ましい。ここで、前記タール
ピッチの目付量は、乾燥後の重量比で前記炭素繊維構造
体100重量部に対し3〜10重量部であることが好ま
しい。
【0010】また、前記熱硬化性樹脂の目付量は、乾燥
後の重量比で前記炭素繊維構造体100重量部に対し2
0〜45重量部であることが好ましい。
【0011】以下に本発明をさらに詳細に説明する。本
発明に用いる炭素繊維構造体は、マンドレルに巻取った
繊維束、平織りや朱子織り等の織布、フェルトやマット
状の不織布および炭素繊維束を3次元構造に織り上げた
ものの何れでも良い。
【0012】前記炭素繊維構造体に、有機溶媒で溶解し
たタールピッチを含浸する。前記有機溶媒としては、ベ
ンゼン、トルエン、キシレン、ピリジン、キノリン等を
挙げることができる。
【0013】ここで、炭素繊維構造体に含浸されたター
ルピッチは、つぎに乾燥により前記有機溶媒を蒸発させ
る。このとき、溶媒を蒸発させたあとのタールピッチは
炭素繊維表面上に固体として存在し、次の樹脂含浸の際
に溶出しにくい状態であることが好ましいため、常温で
固体のもの、好ましくは軟化点が80℃以上のものを用
いる。
【0014】前記溶媒量は、タールピッチの目付量が乾
燥後の重量比で炭素繊維100重量部に対して3〜10
重量部となるように調節する。これは、3重量部未満で
は炭素繊維構造体全体に均一にタールピッチが含浸され
ず、10重量部超では成形後に樹脂成形体内で熱硬化性
樹脂の相が不連続になるためである。
【0015】次にこれに熱硬化性樹脂を含浸する。熱硬
化性樹脂としては、フェノール樹脂、フラン樹脂、エポ
キシ樹脂、ポリイミド樹脂等を挙げることができる。
【0016】熱硬化性樹脂は、アセトン、メタノール等
の溶媒によって希釈可能なものであれば、常温で液体の
ものでも固体でもよい。この溶媒の量は、熱硬化性樹脂
の目付量が乾燥後の重量比で炭素繊維100重量部に対
して20〜45重量部となるように調節する。これは、
20重量部未満ではC/C化した時のバインダー量が不
足し、45重量部超では炭素繊維の体積分率が低下し高
強度なものが得られないためである。
【0017】これらの含浸物をバインダーとして、公知
の繊維強化樹脂複合材料を製造する場合と同様の方法
で、成形型を用い加熱、加圧し任意形状のタールピッチ
を含む樹脂成形体を得る。
【0018】この後に焼成炭化することで、タールピッ
チが炭化した易黒鉛化性炭素と、熱硬化性樹脂が炭化し
た難黒鉛化性炭素の2種類の異なる内部構造を持つ炭素
からなる母相を持った炭素繊維強化炭素複合材料が得ら
れる。
【0019】さらに続いて種々の特性を向上させるため
に、公知の方法により緻密化および黒鉛化を適宜行うこ
とも可能である。
【0020】本発明により成形硬化前の炭素繊維の近傍
に、焼成時に再度溶融するタールピッチを配すること
で、成形硬化時の残留応力を焼成で開放し、なおかつ炭
素繊維構造体全体または相互を、焼成で再溶融しない熱
硬化性樹脂によって結合することで、製品の形状を維持
しつつ焼成することを可能にした。これによって、複雑
な形状でも容易に高強度なC/Cが得られる。
【0021】タールピッチと熱硬化性樹脂または熱可塑
性樹脂を均一に混合してしまう方法(炭素、1990、
No.141、P17−22)や、特公昭63−114
68号に示されているように炭素繊維とバインダーとの
化学結合を抑制する目的でポリエチレンとエポキシ樹脂
からなる2相状態の母相を形成する方法と、本発明とは
根本的に異なる。
【0022】すなわち、前者の方法は、ピッチと熱硬化
性樹脂の混合物またはピッチと熱可塑性樹脂の混合物を
用いるために、得られる組織は光学的に均一な組織であ
るため、強度向上の余地が残されており、また成形性が
悪いという問題点がある。また、後者の方法は、樹脂被
覆を施した炭素繊維の製造方法であり、C/Cの製造法
に用いた場合には、炭素繊維とマトリックス(熱硬化性
樹脂、エポキシ樹脂)との結合が弱く強度に問題があ
る。
【0023】
【実施例】以下に本発明を実施例に基づき具体的に説明
する。
【0024】(実施例1)フィラメント数3000本の
PAN系炭素繊維(東レ製トレカM40)を使用した平
織り織布を10cm角に切断したものを、ベンゼンで溶
解したタールピッチ(川崎製鉄(株)製PKQL)中に
浸漬し、乾燥後のタールピッチの目付量を重量比で炭素
繊維100重量部に対し6重量部とした。次に、この炭
素繊維織布をフェノール樹脂(郡栄化学製レジトップP
L−2211、不揮発分58%)中に浸漬し、ロールで
搾り、樹脂の目付量を乾燥後の重量比で炭素繊維100
重量部に対し30重量部とした。
【0025】この炭素繊維織布を10枚積層した後に、
繊維強化複合材料成形用オートクレーブを用いて常法に
より雰囲気加圧5kg/cm2、温度150℃の条件で2時間
保持し、樹脂成形体を得た。この樹脂成形体にオーブン
で200℃にて後硬化を行ったのち、窒素ガス雰囲気
下、20℃/hrの昇温速度で1000℃まで昇温し炭
化することで、目的とする炭素繊維強化炭素複合材料を
得た。
【0026】このサンプルから試験片を切り出し、3点
曲げ試験を実施したところ、曲げ強度は平均しておよそ
30kg/mm2であった。
【0027】(比較例1)実施例1と同様の方法で樹脂
成形体を準備する際に、乾燥後のタールピッチの目付量
を重量比で炭素繊維100重量部に対し1.5重量部と
したサンプルを作製した。このサンプルを実施例1と同
様の方法で焼成し、同様の方法で3点曲げ試験を行った
ところ、曲げ強度が10〜20kg/mm2までの間でばらつ
いた。
【0028】(比較例2)実施例1と同様の方法で樹脂
成形体を準備する際に、乾燥後のタールピッチの目付量
を重量比で炭素繊維100重量部に対し15重量部とし
たサンプルを作製した。このサンプルを実施例1と同様
の方法で焼成したところ、サンプルの周囲からタールピ
ッチが溶出した。このサンプルについても同様の方法で
3点曲げ試験を行ったところ、曲げ強度が15〜28kg
/mm2までの間でばらついた。
【0029】
【発明の効果】本発明によれば、炭素繊維構造体に有機
溶媒で溶解したタールピッチを含浸した後に溶媒を蒸発
乾燥させ、ついで熱硬化性樹脂を含浸することで、焼成
炭化した後の母相が、異なる内部構造を持つ2種類の炭
素からなることによる高強度な炭素繊維強化炭素複合材
料を得ることができる。また、炭素繊維の近傍にタール
ピッチを原料とする易黒鉛化性の炭素が配されること
で、高靱性化も期待できる。
フロントページの続き (72)発明者 江波戸 修 千葉県千葉市川崎町1番地 川崎製鉄株式 会社技術研究本部内 (72)発明者 金 城 庸 夫 千葉県千葉市川崎町1番地 川崎製鉄株式 会社技術研究本部内

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】炭素繊維構造体に、有機溶媒で溶解したタ
    ールピッチを含浸した後、前記有機溶媒を蒸発乾燥さ
    せ、ついで熱硬化性樹脂を含浸させ、続いてこれを加
    熱、加圧、成形し、得られたタールピッチを含む樹脂成
    形体を焼成、炭化することにより、母相が異なる内部構
    造を持つ2種類の炭素からなることを特徴とする母相が
    異なる内部構造を持つ2種類の炭素からなる炭素繊維強
    化炭素複合材料の製造方法。
  2. 【請求項2】前記タールピッチの目付量は、乾燥後の重
    量比で前記炭素繊維構造体100重量部に対し3〜10
    重量部である請求項1に記載の母相が異なる内部構造を
    持つ2種類の炭素からなる炭素繊維強化炭素複合材料の
    製造方法。
  3. 【請求項3】前記熱硬化性樹脂の目付量は、乾燥後の重
    量比で前記炭素繊維構造体100重量部に対し20〜4
    5重量部である請求項1または2に記載の母相が異なる
    内部構造を持つ2種類の炭素からなる炭素繊維強化炭素
    複合材料の製造方法。
JP3224060A 1991-09-04 1991-09-04 母相が異なる内部構造を持つ2種類の炭素からなる炭素繊維強化炭素複合材料の製造方法 Pending JPH0558731A (ja)

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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2008540857A (ja) * 2005-05-03 2008-11-20 ナノコンプ テクノロジーズ インコーポレイテッド 炭素複合材料およびその製造方法
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CN115404714A (zh) * 2022-08-25 2022-11-29 易高环保能源科技(张家港)有限公司 一种低阻抗碳纤维纸的制备方法

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Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20020903