JPH0549229U - 工具ホルダ - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 工具ホルダを交換する際に、工具ホルダのテ
ーパシャンク部と工作機械の主軸穴のテーパ面との喰い
付きを圧縮空気によって容易に解除できるようにして、
工具ホルダの抜き出しを容易にする。 【構成】 ホルダ本体１１のテーパシャンク部１３の外
周面に、端面１５から円周溝１４まで長手方向に複数の
凹溝１６を設け、工作機械の主軸穴２１内部から供給さ
れる圧縮空気を凹溝１６に充満させて、テーパシャンク
部１３の外周面と主軸穴２１のテーパ面との喰い付きを
解除する。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は、例えばマシニングセンタのような工作機械の主軸に着脱されるテー パシャンク付き工具ホルダに関するものである。

【０００２】

【従来の技術】

一般に、工作機械の主軸穴は工具ホルダの装着を容易にするため、７／２４テ ーパを有し、一方、これに対応するように工具ホルダのシャンク部の外周面も７ ／２４テーパとなっている。このように、７／２４テーパを有する主軸穴に、工 具ホルダのテーパシャンクを嵌合して重切削を行うと、工具ホルダのシャンク部 の外周面と主軸穴のテーパ面間に過剰な力が働き、その結果、喰い付きを起こし 、工具ホルダが抜き出し難くなる。

【０００３】 即ち、図８に示すような工具ホルダのホルダ本体１のテーパシャンク部２を、 工作機械の主軸３の主軸穴４から矢印方向に抜き出す場合に、工作機械主軸穴４ とテーパシャンク部２とのテーパ密着面積が大きいため、喰い付きが生ずること がある。

【０００４】 工作機械の主軸側が引きねじによって工具ホルダを引き上げる場合においては 、テーパ面が喰いついた場合には、従来では引きねじを緩めて上部からハンマ等 で衝撃を与えて喰い付きを解除している。また、主軸３側が工具ホルダをプルス タッド５により引き上げ、主軸穴４内にホルダ抜き出し機構が内蔵されている場 合でも、テーパ面が喰い付きを起こした場合は、ハンマ等で工具ホルダの側面へ 衝撃を与えて喰い付きを解除している。

【０００５】

【考案が解決しようとする課題】

しかし、主軸穴４と工具ホルダのテーパシャンク部２との喰い付きを解除する ために、工作機械又は工具ホルダにハンマ等で衝撃を与えることは、工作機械及 び工具ホルダの劣化に結び付き、精度不良の原因にもなるという問題を有してい る。特に、マシニングセンタのような自動工作機械にあっては、自動工具交換動 作に支障を来すことになり、自動運転が不可能に成る虞れがある。

【０００６】 本考案の目的は、上述の問題点を解消し、主軸穴と工具ホルダのテーパシャン ク部との喰い付きがあっても、工具交換時に工具ホルダを工作機械主軸から容易 に抜き出し得るようにした工具ホルダを提供することにある。

【０００７】

【課題を解決するための手段】

上述の目的を達成するための本考案に係る工具ホルダは、ホルダ本体のテーパ シャンク部の外周面に、端面からテーパシャンク部の途中まで長手方向に複数の 凹溝を設け、これらの凹溝に工作機械主軸の穴内部から圧縮空気を供給すること を特徴とするものである。

【０００８】

【作用】

上述の構成を有する工具ホルダは、工具交換時に工作機械の主軸穴の内部から 供給される圧縮空気がテーパシャンク部に設けた凹溝に充満して、テーパシャン ク部の外周面と主軸穴のテーパ面との喰い付きを解除するため、工具ホルダを主 軸穴から容易に抜き出すことができる。

【０００９】

【実施例】

本考案を図１〜図７に図示の実施例に基づいて詳細に説明する。 図１は本考案に係る工具ホルダのシャンク部の側面図を示し、図２はその正面 図である。図面において、１１はホルダ本体、１２はそのフランジ部、１３は工 作機械の主軸穴に挿入されるテーパシャンク部である。

【００１０】 テーパシャンク部１３の外周面は、主軸穴への着脱を容易にするため、７／２ ４テーパとなっており、その途中の稍々フランジ部１２側寄りの位置には円周溝 １４が設けられ、端面１５から円周溝１４にかけてテーパ面の長手方向に沿う複 数の凹溝１６が設けられている。これらの凹溝１６には、主軸穴の内部から供給 される圧縮空気が充満されるようになっており、ホルダ本体１１を主軸に装着し た状態において、凹溝１６は主軸端面から外に出ないような範囲内に設けられて いる。

【００１１】 図３はホルダ本体１１を抜き出す方向に加わる圧力Ｐ’の分布状態を示してい る。主軸２０に挿入したホルダ本体１１を交換する場合に、主軸穴２１の奥から 供給される圧縮空気の圧力によって工具ホルダが主軸穴２１から抜き出される。

【００１２】 図４は図３のＡ部分を拡大した説明図であり、ホルダ本体１１を抜き出す方向 に加わる圧力Ｐ’は、凹溝１６の内部まで作用して抜き出し力Ｐが大きくなるの で、比較的小さな空気圧でもホルダ本体１１を容易に抜き出すことが可能となる 。

【００１３】 なお、上述の実施例はテーパシャンク部１３の途中に円周溝１４を設けて凹溝 １６から円周溝１４に圧縮空気を導入し、テーパシャンク部１３の全周に亘って 均等に圧力Ｐ’を作用させる場合を示したが、図５に示すように円周溝１４の底 面１４ａを軸線を平行にして段部１４ｂを大きくすれば、受圧面積を増加して抜 き出し力を更に増大することができる。ただし、円周溝１４を省略して凹溝１６ をテーパシャンク部１３の途中で行き止まりとしてもよい。なお、凹溝１６の数 は必ずしも図示のように１２個にする必要はなく、その位相も同一間隔にすると は限らない。

【００１４】 工作機械の主軸が均一に面圧を受けるように、工具ホルダによって凹溝１６の 位置を適宜に変更することが好ましい。また、凹溝１６の断面形状は、図６(a) 、(b) 、(c) に例示するように半円形、角形或いはＶ字形等の種々の形状にする ことができる。更に、図７に示すように凹溝１７を工作機械の主軸穴２１側に設 けてもよい。

【００１５】

【考案の効果】

以上説明したように本考案に係る工具ホルダは、工具交換時に工作機械の主軸 穴の内部から供給される圧縮空気によってテーパ面の喰い付きが削除されるため 、工作機械の主軸から容易に抜き出すことが可能である。従って、テーパ面の喰 い付きを解除するために、従来のようにハンマ等で工作機械や工具ホルダに衝撃 を与える必要がなく、工作機械及び工具ホルダの劣化及び精度不良化を防止する ことができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】工具ホルダのテーパシャンク部の側面図であ
る。

【図２】正面図である。

【図３】圧力分布状態の説明図である。

【図４】図３のＡ部分の拡大説明図である。

【図５】他の実施例の断面図である。

【図６】凹溝の形状例の断面図である。

【図７】主軸穴に凹溝を設けた断面図である。

【図８】従来例の断面図である。

【符号の説明】

１１ ホルダ本体 １２ フランジ部 １３ テーパシャンク部 １４ 円周溝 １５ 端面 １６、１７ 凹溝 ２０ 主軸 ２１ 主軸穴

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 ホルダ本体のテーパシャンク部の外周面
   に、端面からテーパシャンク部の途中まで長手方向に複
   数の凹溝を設け、これらの凹溝に工作機械主軸の穴内部
   から圧縮空気を供給することを特徴とする工具ホルダ。