JPH0637163Y2 - コンクリ−ト型枠の枠板固定具 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 −産業上の利用分野− この考案は、現場打ちコンクリートを打設する際に使用
される型枠に関し、より詳細には、型枠の相対向する枠
板相互を所定の間隔で保持するセパレータボルトに当該
枠板を締着するための固定具に関するもので、枠板にウ
レタン製化粧版を添設した化粧枠板を使用する際に特に
好適な固定具を提供しようとするものである。

−従来の技術− コンクリート型枠のセパレータボルトと枠板とを締着す
る固定具として、近時第５図に示すような固定具が用い
られている。この種の固定具１は、裁頭円錐形の合成樹
脂製コーン２と金属製螺杆７からなり、該螺杆７の先端
の雄ネジ部13はコーン２の大径側端面に突出しており、
基端の雌ネジ部11はコーン２の小径側端面に臨出してい
る。図示の固定具１では、コーン２の中央に貫通孔３を
設け、当該コーンの小径側端面に前記貫通孔３と同軸に
凹所５を形成し、一方前記貫通孔３と同径の頭部６を有
する金属製螺杆７の頭部端に前記コーンの凹所５に嵌合
する鍔９を形成し、更に該頭部端にセパレータボルト10
と螺合する雌ネジ部11を設け、該金属製螺杆７を前記コ
ーンの貫通孔３に挿通して該鍔および頭部をそれぞれ前
記コーンの凹所５および貫通孔３に嵌装して一体にした
ものである。

ところで、打設されたコンクリート躯体の表面に凹凸模
様を形成する際には、化粧枠板14を用いるが、この化粧
枠板14は、第６図に示すように、凹凸模様を有するウレ
タン製化粧版15を外板16にピン17等で添設したものであ
り、このような化粧枠板14を従来の固定具１でセパレー
タボルト10に装着する作業は、下記のような手順でさな
れていた。

まず化粧枠板14の化粧版15にコーン２の大径側12の径に
見合う大きさの嵌合孔18を穿孔し、更に該孔から露出す
る外板16に金属製螺杆７の雄ネジ部13を挿通する小孔19
を穿設する。そして化粧版15側から固定具１の雄ネジ部
13を該小孔19に挿通して外板16の反対側からナット部材
20で締めつけて化粧枠板14に固定具１を締着する。次に
締着された固定具の雌ネジ部11にセパレータボルト10の
端部を螺合して枠板相互を所定間隔で保持するのであ
る。

−考案が解決しようとする問題点− ところが、従来の固定具１を用いて第６図に示すように
化粧枠板14を固定した場合、従来の固定具１はコーン２
の周面全体がテーパ状となっているので、化粧版15とコ
ーン２との間に楔状の空隙21が生じ、コンクリート打設
時に該空隙21にコンクリートが流れ込んでカルデラ状の
突条が形成され、化粧枠板14を取り外した後、その突条
を削り落とさなければならず、削除作業に多大の時間と
手間を要していた。

本考案は上記問題点を解決することを目的としたもの
で、通常の枠板を用いた型枠の構築作業に支障を及ぼす
ことなく、しかも化粧枠板を使用する際にもカルデラ状
の突条が生ずることがないコンクリート型枠締付用の固
定具を提供することにある。

−問題点を解決するための手段− 以下図面に付した符号を用いて説明すると、本考案に係
るコンクリート型枠の枠板固定具24は、略裁頭円錐形の
コーン２の大径側12に化粧枠板14の化粧版15の厚さより
丈高な短円筒状の筒体部25を一体に成形したことを特徴
とするものである。より詳細には、略裁頭円錐形のコー
ン２の中央部にこれを貫通する金属製螺杆７が設けら
れ、その先端の雄ネジ部13が前記コーン２の大径側端面
から突出し且つその基端の雌ネジ部が前記コーン２の小
径側端面に臨出しているコンクリート型枠の枠板固定具
において、螺杆７のコーン２の大径側への移動を阻止す
る鍔９を備え、螺杆７はこれを回動させるための面取り
部23を有し、コーン２はその大径側から小径側へと連続
的に縮小する外径を備え、かつ該コーンの大径側12に化
粧枠板14の化粧版15の厚さより丈高な短円筒状の筒体部
25を一体に形成したものである。

−作用− 第３図は本考案の固定具24で対向する枠板の一方に化粧
枠板14を備えたコンクリート型枠を構築する作業手順を
示したものである。

まず、表面に凹凸模様を有するウレタン製の化粧版15を
外板16にピン17等で添設して化粧枠板14を形成する
（ａ）。次にコーン２の筒体部25に見合う径の嵌合孔18
を化粧版15に穿設し（ｂ）、該孔18から露出する外板16
に固定具２の金属製螺杆７の雄ネジ部13を挿通する小孔
19を穿設し（ｃ）、化粧版15側から固定具24を挿入して
小孔19に雄ネジ部13を挿通し、外板16の背面で金属製螺
杆７をナット部材20で締着する。次に締着された固定具
24の雌ネジ部11にセパレータボルト10の一端を螺合した
後（ｄ）、反対側のコンクリート枠板22に該セパレータ
ボルト10の他端27を押し付けて目印を付し、該目印の位
置にセパレータボルトの他端27を挿通する小孔19を穿設
し、セパレータボルト10の他端27に受けナット26を螺入
した後前記枠板22の小孔19にセパレータボルト10の他端
27を挿通してナット部材20で該枠板22を締着するのであ
る。

図示のものでは、化粧枠板14に対向する枠板22の締着を
固定具を用いないで行っているが、必要により該枠板22
をこの考案の固定具24または従来の固定具１を用いて締
着してもよいことは勿論である。

−実施例− 第１図および第２図は本考案の枠板固定具24の分解斜視
図および断面図である。図中、従来の固定具と同一の部
材には同一の符号を付してその説明を省略する。25は略
裁頭円錐形のコーン２の大径側12に一体に形成された短
円筒状の筒体部である。この筒体部25の高さ（幅）Ｌは
化粧版15の厚さより僅かに丈高に形成されている。

筒体部25は、コーン２の円錐面の大径側に連接する円筒
面として形成すれば良いが、第４図（ａ）ないし（ｃ）
に示すような態様で形成することもできる。ここで第４
図（ａ）は筒体部25を僅かな勾配を有する円筒面とした
ものであり、同図（ｂ）はコーン2b全体を弾丸形状にし
てその大径側に略円筒形の筒体部25が連続的な面として
形成されるようにしたものである。また、同図（ｃ）は
円筒形の筒体部25と僅かに勾配を有する円筒形の筒体部
25cとを２段に設けたものである。

金属製螺杆７は、合成樹脂製コーン２の貫通孔３に小径
側４から挿通され、更に押入されて該螺杆の頭部６およ
び鍔９がコーン２の貫通孔３と凹所５とに嵌着されて一
体化されている。この状態で金属製螺杆７先端の雄ネジ
部13がコーン２の筒体部25の端面から突出している。こ
の突出した雄ネジ部13は、前述したように、締着しよう
とする化粧枠板14に穿設された小孔19を貫通し、外枠16
の背面からナット部材20を螺着して化粧枠板14に締着さ
れる。螺杆７の頭部６に一体形成された六角柱部23は、
硬化したコンクリート躯体から固定具24を取り外して再
使用するために設けられたものであり、ボックスドライ
バー等を該六角柱部23に嵌合して金属製螺杆７を回転さ
せることにより、螺杆７及びコーン２をセパレータボル
ト10から取り外すことができるようにしている。

−考案の効果− 第３図（ｄ）より明らかなように、本考案に係るコンク
リート型枠の枠板固定具24を用いれば、コーンの筒体部
25が化粧版15の嵌合孔18の内周と密着するので、コンク
リート打設時にコンクリートが固定具24と嵌合孔18との
間に浸入することがなく、カルデラ状の突条の発生を防
止することができる。従って化粧枠板14を取り外した後
に従来必要であった突条の削り取り作業が不要となる。
また、本考案に係る枠板固定具24は化粧枠板14以外の通
常の枠板（例えば枠板22）の締着にもそのまま用いるこ
とができ、その作業に支障をきたすこともない。

【図面の簡単な説明】

第１図および第２図は本考案の枠板固定具の一実施例を
示す分解斜視図および断面図、第３図（ａ）ないし
（ｅ）は本考案の固定具で化粧枠板を有する型枠を構築
する作業手順を示した説明図、第４図はコーンのその他
の形状を示した側面図、第５図は従来の固定具の分解斜
視図、第６図は従来の固定具の装着構造を示す断面図で
ある。 図中、 2:コーン、7:金属製螺杆 10:セパレータボルト、11:雌ネジ部 12:コーンの大径側、13:雄ネジ部 14:化粧枠板、15:化粧版 24:枠板固定具、25:筒体部

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】略裁頭円錐形の合成樹脂製コーン（２）と
   該コーンの軸芯を貫通する金属製螺杆（７）からなり、
   該螺杆（７）の先端の雄ネジ部（13）はコーン（２）の
   大径側端面から突出し、前記螺杆（７）の基端の雌ネジ
   部（11）はコーン（２）の小径側端面に臨出しているコ
   ンクリート型枠の枠板固定具において、螺杆（７）のコ
   ーン（２）の大径側への移動を阻止する鍔（９）を備
   え、螺杆（７）はこれを回動させるための面取り部（2
   3）を有し、コーン（２）はその大径側から小径側へと
   連続的に縮小する外径を備え、かつ該コーンの大径側
   （12）に化粧枠板（14）の化粧版（15）の厚さより丈高
   な短円筒状の筒体部（25）を一体に形成したことを特徴
   とする、コンクリート型枠の枠板固定具。