JPH0547467U - スクロール圧縮機 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 揺動スクロールとスラストプレートとの金属
接触をなくし、異常摩耗や焼付きなどにより圧縮機を損
傷させることがなく、メカニカル・ロスが小さくできる
スクロール圧縮機を得る。 【構成】 フレーム３のスラスト面に溝３ａを設け、こ
の溝３ａによりスラストプレート４を変形させ、潤滑油
を供給させたことにより、揺動スクロールの台板２ａの
スラスト面とスラストプレート４との間に油膜を発生し
易くした。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

この考案は、冷凍，空調機などに用いられるスクロール圧縮機に関するもので ある。

【０００２】

【従来の技術】

図６は例えば特開昭６３ー２５３８９号公報に示された従来のスクロール圧縮 機を示す断面図で、図において、１は固定スクロールで、渦巻側板１ａを備えて いる。２は揺動スクロールで、台板２ａと渦巻側板２ｂと揺動軸２ｃとを備えて いる。３は揺動スクロール２と主軸５を支承するフレーム、４は揺動スクロール の台板２ａの下面とフレームの間に介在するスラストプレート、６は揺動スクロ ール２の自転防止機構であるオルダムリング、７は主軸５の上端に所定量だけ偏 芯して設けられた揺動軸受で、揺動軸２ａを支承する。８は電動機ステータ、９ は電動機ロータ、１０は下部シェル、１１は上部シェルである。

【０００３】 次に動作について説明する。電動機ステータ８，電動機ロータ９から伝達され た回転トルクは主軸５を回転させると、揺動スクロールの揺動軸２ｃを介して揺 動スクロール２は揺動を開始し、固定スクロール１と揺動スクロール２との間に 圧縮室を形成し、作動流体を圧縮する。

【０００４】 以上のようなスクロール圧縮機においては、作動流体を圧縮中に固定スクロー ル１と揺動スクロール２を軸方向に開こうとするスラスト力が発生し、このスラ スト力はフレーム３に支承されたスラストプレート４により揺動スクロールの台 板２ａを支承することによって受ける。このとき、スラスト軸受の潤滑は揺動運 動をする揺動スクロール２の半径方向速度が０となる偏芯側と反偏芯側の点で油 膜が発生しにくい潤滑状態となり、低速運転域では揺動スクロール台板２ａのス ラスト面とスラストプレート４とが金属接触をしながら摺動する場合がある。

【０００５】

【考案が解決しようとする課題】

従来のスクロール圧縮機は以上のように構成されており、揺動スクロールの台 板はスラスト荷重を受けてスラストプレートに押し付けられるように揺動運動す るので、スラスト軸受の潤滑は揺動運動をする揺動スクロールの半径方向速度が ０となる偏芯側と反偏芯側の点で油膜が発生しにくい潤滑状態となり、特に、低 速運転域では揺動スクロール台板のスラスト面とスラストプレートとが金属接触 を生じ、この部分での異常摩耗や焼付きなどにより圧縮機を損傷させたり、メカ ニカル・ロスを増大させ、また、メカニカル・ロスの増大は揺動スクロールの温 度を高め、体積効率を低下させるなどの問題点があった。

【０００６】 この考案は上記のような問題点を解消するためになされたもので、揺動スクロ ールとスラストプレートとの金属接触をなくし、異常摩耗や焼付きなどにより圧 縮機を損傷させることがなく、メカニカル・ロスが小さくできるスクロール圧縮 機を得ることを目的とする。

【０００７】

【課題を解決するための手段】

この考案に係るスクロール圧縮機は、フレームのスラスト面に溝を設け、この 溝によりスラストプレートを変形させ、潤滑油を供給させたものである。

【０００８】

【作用】

この考案におけるスクロール圧縮機は、フレームのスラスト面に溝を設け、こ の溝によりスラストプレートを変形させ、潤滑油を供給させたことにより、揺動 スクロールの台板のスラスト面とスラストプレートとの間に油膜を発生し易くし た。

【０００９】

【実施例】

実施例１． 以下、この考案の一実施例を図１〜図３について説明する。図において、３ａ はフレーム３のスラスト力を受ける面に設けた周回溝である。

【００１０】 次に動作について説明する。スラスト力を受けた揺動スクロールの台板２ａは フレーム３のスラスト面に設置されたスラストプレート４に押し付けられるよう にして摺動する。この時、スラストプレート４を設置しているフレーム３のスラ スト面には、揺動運動する揺動スクロール２の反偏芯側の台板２ａ端部が溝巾の ほぼ中央となり、その溝巾は揺動スクロール２の揺動半径をＡとすると、２Ａ以 下であるようなフレーム３の主軸受中心を中心とした周回溝３ａが設けられてい るので、スラストプレート４は周回溝３ａの上方で揺動スクロールの台板２ａか らスラスト力を受けて凹状に変形し、さらに、この凹状部は揺動スクロールの台 板２ａの外縁部より外側にも及んでいるため、凹状部には潤滑油が流れ込む、そ して、次の瞬間には潤滑油が流れ込んだ凹状部分を揺動運動をする揺動スクロー ル台板２ａのスラスト面が覆うという動作を連続的に行なうので、揺動スクロー ルの台板２ａとスラストプレート４との間には常に油膜が発生した状態で金属接 触を起こすことなく、流体潤滑して摺動する。

【００１１】 実施例２． また、上記実施例ではスラストプレート４が設置されるフレーム３のスラスト 面に周回溝３ａを設けた場合について示したが、図４に示すように、フレーム３ のスラスト面に溝巾が２Ａ（Ａは揺動スクロール２の揺動半径）以下であるよう な複数の放射状の溝を設けてもよく、スラストプレート４は実施例１と同様な変 形が得られ、上記実施例と同様の効果を奏る。

【００１２】 実施例３． なお、図５に示すように、フレーム３のスラスト面に揺動運動をする揺動スク ロールの台板２ａ端部がほぼ中央となり、溝巾の直径が２Ａ（Ａは揺動スクロー ル２の揺動半径）以下であるような複数の円形状の溝を設けてもよく、上記実施 例と同様の効果を奏する。

【００１３】 実施例４． また、スラストプレート４が設置されるフレーム３のスラスト面を実施例１の 周回溝３ａの代わりに、周方向断面が波形となるように加工してもよく、上記実 施例と同様の効果を奏する。

【００１４】 実施例５． なお、スラストプレート４が設置されるフレーム３のスラスト面を実施例１の 周回溝３ａの代わりに、半径方向断面が波形となるように加工してもよく、上記 実施例と同様の効果を奏する。

【００１５】 また、上記実施例は揺動スクロール２に揺動軸２ｃが設けられた場合について 示したが、揺動スクロール２に揺動軸受７が設けられたタイプのスクロール圧縮 機においても同様の効果を奏する。

【００１６】

【考案の効果】

以上のように、この考案によればフレームのスラスト面に溝を設け、この溝に よりスラストプレートを変形させ、潤滑油を供給させたことにより、揺動スクロ ールの台板のスラスト面とスラストプレートとの間に油膜を発生し易くした構成 としたので、揺動スクロールとスラストプレートとの金属接触をなくし、異常摩 耗や焼付きなどにより圧縮機を損傷させることがなく、メカニカル・ロスが小さ くでき、信頼性の高いものが得られる効果がある。

【図面の簡単な説明】

【図１】この考案の実施例１によるスクロール圧縮機を
示す断面図である。

【図２】図１のスラストプレート付近の要部断面図であ
る。

【図３】図１のスラストプレートの平面図である。

【図４】この考案の実施例２によるスクロール圧縮機の
スラストプレートの平面図である。

【図５】この考案の実施例３によるスクロール圧縮機の
スラストプレートの平面図である。

【図６】従来のスクロール圧縮機を示す断面図である。

【図７】図６のスラストプレート付近の要部断面図であ
る。

【符号の説明】

１ 固定スクロール １ａ 渦巻側板 ２ 揺動スクロール ２ａ 台板 ２ｂ 渦巻側板 ３ フレーム ３ａ 周回溝 ４ スラストプレート

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 巻き方向が互いに逆の渦巻側板を有し、
   所定の偏芯量を介して組み合わされた固定スクロールと
   揺動スクロールと、揺動スクロールを軸方向に支承する
   フレームと、揺動スクロール台板とフレームとの間のス
   ラスト面に介在するスラストプレートとを備えたスクロ
   ール圧縮機において、フレームのスラスト面に溝を設
   け、この溝によりスラストプレートを変形させ、潤滑油
   を供給させたことを特徴とするスクロール圧縮機。