JPH0539978Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 「産業上の利用分野」 本考案は、ブレーキ倍力装置のシエル内を定圧
室と変圧室とに区画するダイヤフラムを備えたブ
レーキ倍力装置に関する。

「従来の技術」 従来、ブレーキ倍力装置として、シエル内に往
復動自在に設けたバルブボデイと、このバルブボ
デイに設けられて内周部に環状凹部を形成したパ
ワーピストンと、上記パワーピストンの背面に張
設されて、厚肉とした内周ビード部を上記パワー
ピストンの環状凹部に嵌合するとともに、外周部
を上記シエルの内周面に連結されて、シエル内を
定圧室と変圧室とに区画するダイヤフラムとを備
えたものは知られている。

そしてこの種のブレーキ倍力装置の組立時に
は、上記ダイヤフラムとパワーピストンとの間に
エアが残存することがないようにして、ダイヤフ
ラムをパワーピストンの背面に張設するようにし
ていた。

「考案が解決しようとする課題」 しかしながら、ダイヤフラムをパワーピストン
の背面に張設する際には、通常、ダイヤフラムの
内周ビード部が自己の弾性力でパワーピストンの
環状凹部若しくはバルブボデイに密着されてその
部分をシールするので、ダイヤフラムとパワーピ
ストンとの間に存在する全てのエアをパワーピス
トンの外周側から逃がさなければならず、その組
付け作業が煩雑なものとなつていた。

「課題を解決するための手段」 本考案はそのような事情に鑑み、上述したブレ
ーキ倍力装置において、上記内周ビード部におけ
る上記環状凹部との対向面に、半径方向内方に伸
びるエア抜き溝を形成するとともに、内周ビード
部における内周縁に、上記バルブボデイの外周面
に密着してその部分の気密を保持するリツプ部を
形成したものである。

「作用」 このような構成によれば、厚肉の内周ビード部
よりもリツプ部は拡開しやすいため、パワーピス
トンにダイヤフラムを取り付ける際に、上記リツ
プ部を拡開させることによつてバルブボデイの外
周に上記内周ビード部を容易に嵌装させて移動さ
せることができ、それによつて、上記内周ビード
部を環状凹部に容易に嵌合することができる。し
かも、この取り付け時には、上記環状凹部と内周
ビード部との間に介在するエアを、上記エア抜き
溝を介して内周部から定圧室側に向けて逃がすこ
とができるとともに、上記リツプ部の内方を通つ
て変圧室側に逃がすことができる。

したがつて、パワーピストンにダイヤフラムを
取り付ける際の組付け作業を極めて容易に行うこ
とができる。

「実施例」 以下図示実施例について本考案を説明すると、
第１図において、フロントシエル１とリヤシエル
２とで構成した密封容器内は、その中央部に設け
たセンタープレート３によつて前後のフロント室
４とリヤ室５との２室に区画してあり、かつ、上
記リヤシエル２およびセンタープレート３の軸部
に概略筒状のバルブボデイ６をそれぞれシール部
材７，８により気密を保つて摺動自在に貫通させ
ている。

上記バルブボデイ６には、上記フロント室４と
リヤ室５とに収納したフロントパワーピストン９
とリヤパワーピストン１０とをそれぞれ連結する
とともに、各パワーピストン９，１０の背面にフ
ロントダイヤフラム１１とリヤダイヤフラム１２
とをそれぞれ張設し、フロントダイヤフラム１１
の前後に定圧室Ａと変圧室Ｂを、またリヤダイヤ
フラム１２の前後にも定圧室Ｃと変圧室Ｄを形成
している。

上記２つの定圧室Ａ，Ｃと２つの変圧室Ｂ，Ｄ
との間の流体回路を切り換える弁機構１５は上記
バルブボデイ６内に設けてあり、該弁機構１５
は、バルブボデイ６に形成した環状の第１弁座１
６と、この環状の第１弁座１６よりも内側で上記
バルブボデイ６に摺動自在に設けた弁プランジヤ
１７の右端部に形成した環状の第２弁座１８と、
さらに両弁座１６，１８に第１図の右方からばね
１９によつて着座される弁体２０とを備えてい
る。

上記第１弁座１６と弁体２０とが接触する第１
環状シート部２１よりも外周側の空間は、バルブ
ボデイ６に形成した軸方向通路２２および半径方
向通路２３を介して上記定圧室ＡおよびＣに連通
させてあり、上記定圧室Ａは、フロントシエル１
に取付けた負圧導入管２４を介して図示しないイ
ンテークマニホールドに連通させている。

他方、上記第１環状シート部２１よりも内周側
で、第２弁座１８と弁体２０とが接触する第２環
状シート部２５よりも外周側部分、すなわち両環
状シート部２１，２５の中間部分の空間は、バル
ブボデイ６に形成した半径方向通路２６を介して
変圧室Ｄに連通させ、さらに該変圧室Ｄをバルブ
ボデイ６に形成した軸方向通路２７を介して変圧
室Ｂに連通させている。また、上記第２環状シー
ト部２５よりも内周側の空間は、フイルタ２８を
介して大気に連通させている。

上記バルブボデイ６に摺動自在に設けた弁プラ
ンジヤ１７の右端部は、図示しないブレーキペダ
ルに連動させた入力軸２９に連結させてあり、そ
の左端部は、プツシユロツド３０の基部に形成し
た凹部３０ａに収容したリアクシヨンデイスク３
１の右端面に対向させている。そして上記プツシ
ユロツド３０の左端部は、シール部材３２を介し
てフロントシエル１の軸部から摺動自在に外部に
突出させて図示しないマスターシリンダのピスト
ンに連動させている。また、上記バルブボデイ６
は、リターンスプリング３３によつて通常は図示
非作動位置に保持している。

然して、上記リヤパワーピストン１０は概略皿
状に形成してあり、その内周部分に軸方向前方に
伸びる筒状部１０ａと、その先端部から半径方向
内方に伸びるフランジ部１０ｂとを形成すること
により、上記筒状部１０ａの内周側に環状凹部３
４を形成している。また、リヤパワーピストン１
０の背面に張設されるリヤダイヤフラム１２も該
リヤパワーピストン１０の形状に倣つて概略皿状
に形成し、その中央部に上記バルブボデイ６が挿
通される貫通孔１２ａを穿設している（第２図）。

上記貫通孔１２ａを形成するリヤダイヤフラム
１２の内周ビード部１２ｂはそれよりも外周側の
部分よりも厚肉にしてあり、第３図に拡大して示
すように、上記リヤパワーピストン１０の環状凹
部３４内に嵌合してあり、その内周部分に、定圧
室Ｃ側から変圧室Ｄ側に向けて半径方向内方に傾
斜して延びるリツプ部１２ｃを形成し、かつこの
リツプ部１２ｃの半径方向外側部分を逃部１２ｄ
としている。

また、第３図および第４図に示すように、上記
内周ビード部１２ｂには、上記リヤパワーピスト
ン１０の筒状部１０ａとフランジ部１０ｂとの角
部に対向する部分を円錐形状に形成してその円錐
面１２ｅとパワーピストン１０との間に円周方向
に連続した空間３５を形成している。そしてこの
円錐面１２ｅに、上記内周ビード部１２ｂを筒状
部１０ａ内に押込む際に該内周ビード部１２ｂを
容易に弾性変形させるために、所定の間隔で所定
幅の切欠き部３６を形成している。

さらに、上記内周ビード部１２ｂの上記フラン
ジ部１０ｂと対向する端面には、いくつかの切欠
き部３６に連続する半径方向のエア抜き溝３７を
形成し、上記切欠き部３６およびエア抜き溝３７
介して上記円錐面１２ｅとパワーピストン１０と
の間に形成した空間３５とを上記貫通孔１２ａ内
に連通させている。

以上の構成において、リヤパワーピストン１０
に対するリヤダイヤフラム１２の取り付けは次の
ようにして行う。すなわち、リヤパワーピストン
１０を取り付けた状態のバルブボデイ６にリヤ側
からリヤダイヤフラム１２の内周ビード部１２ｂ
を嵌装し、その内周ビード部１２ｂよりも外周部
分をリヤパワーピストン１０の背面に重合させ、
次に内周ビード部１２ｂをフロント側に移動させ
て上記リヤパワーピストン１０の環状凹部３４に
嵌合する。その際、内周ビード部１２ｂの内周部
には上記リツプ部１２ｃが形成してあるので、該
リツプ部１２ｃが拡開することにより、バルブボ
デイへ６の外周部に内周ビード部１２ｂを容易に
嵌装してフロント側に移動させることができ、そ
れによつて、環状凹部３４内に内周ビード部１２
ｂをきわめて容易に嵌合することができる。ま
た、上記取り付けの際には、リヤパワーピストン
１０とリヤダイヤフラム１２の間に介在するエア
を上記円周方向に連続した空間３５に押出すこと
ができ、さらに該空間３５内のエアを上記内周ビ
ード部１２ｂに設けた切欠き部３６およびエア抜
き溝３７を介して貫通孔１２ａ内に排出し、さら
にそこから定圧室Ｃ内に逃がすことができるとも
に、上記リツプ部１２ｃの内方を通つて変圧室Ｄ
側にも逃がすことができるので、そのエア抜き作
業を容易に行うことができる。

そして、リヤパワーピストン１０にリヤダイヤ
フラム１２を取付ければ、上記内周ビード部１２
ｂよりも外周部分のリヤダイヤフラム１２がリヤ
パワーピストン１０に密着し、またリヤダイヤフ
ラム１２のリツプ部１２ｃもバルブボデイ６の外
周面に密着するので、それらの部分を介してエア
が漏洩することがない。

「考案の効果」 以上のように、本考案によれば、従来に比較し
てダイヤフラムを取付ける際の組付け作業が極め
て容易になるという効果が得られる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の一実施例を示す断面図、第２
図は第１図に示すリヤダイヤフラム１２の拡大断
面図、第３図は第２図の要部の拡大図、第４図は
第３図の左側面図である。 Ａ，Ｃ……定圧室、Ｂ，Ｄ……変圧室、１……
フロントシエル、２……リヤシエル、６……バル
ブボデイ、３５……空間、１０……リヤパワーピ
ストン、３６……切欠部、１２……リヤダイヤフ
ラム、３７……エア抜き溝、１２ｂ……内周ビー
ド部。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 シエル内に往復動自在に設けたバルブボデイ
   と、このバルブボデイに設けられて内周部に環状
   凹部を形成したパワーピストンと、上記パワーピ
   ストンの背面に張設されて、厚肉とした内周ビー
   ド部を上記パワーピストンの環状凹部に嵌合する
   とともに、外周部を上記シエルの内周面に連結さ
   れて、シエル内を定圧室と変圧室とに区画するダ
   イヤフラムとを備えたブレーキ倍力装置におい
   て、 上記内周ビード部における上記環状凹部との対
   向面に、半径方向内方に伸びるエア抜き溝を形成
   するとともに、内周ビード部における内周縁に、
   上記バルブボデイの外周面に密着してその部分の
   気密を保持するリツプ部を形成したことを特徴と
   するブレーキ倍力装置。