JPH0530609U - 自動変速機のコード取付け構造 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 作動油の漏洩がなく、誤配線や短絡がなく、
かつ作業性の良好なコード取付け装置を備えた安価な自
動変速機のコード取付け構造を得ること。 【構成】 コード取付け部１のターミナルケース１０の
隔壁１８を貫通するコード２６の一部の被覆材を剥離
し、剥離した被覆材の端部にストッパ部２９を形成し、
フルボンＦＲＷ電線等の金属線４１が露出した部分を外
側空洞１６に位置させ、外側空洞１６に接着剤を兼ねた
耐熱性、耐油性に富む合成樹脂２８を充填し、固化させ
ることを特徴とする。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

この考案は、ケース内部に例えばソレノイド弁等を配設した油圧制御装置を備 え、ケース外部に例えば制御機器を備え、前記ソレノイド弁と前記制御機器とを 電気的に連結するコードを有し、そのコードを前記ケースを貫通してそのケース に支持するようにした自動変速機のコード取付け構造に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】

車両用自動変速機においては、その油圧制御装置に、ソレノイド弁のように作 動油の中に浸漬して使用される電気機器があり、かつこの電気機器に指令信号を 発信する電子制御装置のような制御機器は、自動変速機ケースの外部に置かれて いる。このため、前記制御機器より電気機器に指令信号を伝達するコードは、自 動変速機ケースの外部からそのケースを貫通して穿設された穴を通してそのケー ス内に導入されて電気機器に連結される。自動変速機のコードを通す穴にはコー ドとの間にシール装置が必要であり、かつ通常１個の電気機器の制御には複数本 のコードが使用される。

【０００３】 自動変速機は、その作動中にその自動変速機のケース内の作動油が高温となる ので、前記ケース内で作動油に浸漬されて使用されるコードは膨潤又は硬化によ り被覆材が剥離される。従って従来、高温の作動油に浸漬されるコードとしては 耐油性および耐熱性に優れたテフロン（四ふっ化ポリエチレン）皮膜からなる被 覆材で被覆絶縁されたテフロン線が使用されてきた。従って、一本のテフロン線 が自動変速機のケースの内部と外部とを連絡するため、高価なテフロン線が長く なり不経済であり、またコードにストッパ部がなく作業ミスを起こし易く、テフ ロン線の内部の複数本の細線からなる金属線間の隙間およびテフロン被覆材と金 属線間の隙間を介して、前記自動変速機のケース内部の作動油が、毛細管現象で 前記ケース外部に漏洩するなどの欠点があった。

【０００４】 前記欠点を改善する目的で特公平１−５９４６７号公報に記載の技術が提案さ れている。図５は上記提案の従来の自動変速機のコード取付構造を示す一部欠截 断面図である。図において、１はコード取付け部、２はアルミニウム材からなる 自動変速機のケース、３は複数の外部のコード２７を束ねるためのさや管、９は コード取付け部１を嵌入するためケース２に穿設した穴、１０はコード取付け部 １の主要部で耐油性および耐熱性に富みかつ弾性のある６６ナイロン等の合成樹 脂材料からなり、全体的にみて中空円筒状に形成されたターミナルケース、１１ はターミナルケース１０の一方（内側）の開口端である袴部、１２はターミナル ケース１０の半径方向外方に突出させたフランジ、１３はターミナルケース１０ の袴部１１をＵ字状に切り込んで形成した複数個の止着手段であるタブ、１４は ターミナルケース１０の外部ほぼ中央部に設けたＯリング２４用の環状の溝、１ ５はターミナルケース１０の先端部に設けた断面が三角形状のゴムカバー２２の 係止部、１６はターミナルケース１０の外側空洞で、その奥で前記袴部１１に隣 接する部分はスペース１６ａを形成している。２３はゴムブッシュ、２４はＯリ ング、２５は接続端子、２６はケース２の内部に配設されている例えば耐熱性、 耐油性に富むテフロン線からなるコード、２７はケース２の外部に配設されてさ や管３により束ねられて制御装置に一端を接続されている例えばポリエチレン線 からなるコード、４１はコード２６の被覆材を剥離して現れた金属線、４２はコ ード２７の被覆材を剥離して現れた金属線である。

【０００５】 次に前記従来の自動変速機のコード取付け構造の組み立て方法について説明す る。ソレノイド弁に一端を電気的に接続されたテフロン線のコード２６の他端は 、自動変速機のケース２の穴９より外部に引き出され、軸方向に３個の貫通穴を 形成したゴムブッシュ２３の貫通穴に挿通して引き出されて、その他端の被覆材 の一部を剥離される。一方前記ケース２の外部に配設された制御装置に一端を電 気的に接続されたポリエチレン線のコード２７の他端は、ゴムカバー２２の内部 に挿通されて引き出されたのち、その端部の被覆材の一部を剥離される。そして 前記コード２６，２７の露出した金属線４１，４２の端部同士が導電性の金属板 よりなる接続端子２５でかしめられて接続される。コード２６，２７の接続端子 ２５による電気的接続が行われると、ゴムブッシュ２３はターミナルケース１０ の前記一方の開口端よりその外側空洞１６の奥に押し込まれ、前記スペース１６ ａに嵌入される。そののち、接続端子２５が位置する外側空洞１６にはコード２ ７側よりエポキシ樹脂またはシリコン樹脂のように絶縁性、耐熱性、耐油性に富 む合成樹脂２８が注入され、コード２６，２７及びその金属線４１，４２の接続 端子２５による接続部とターミナルケース１０の内周面との間隙を埋めるように 充填、固化され、ゴムカバー２２はターミナルケース１０の係止部１５に係止さ れたコードの取付けが完成される。こうして組み立てられたターミナルケース１ ０は溝１４にＯリング２４を装着したのち自動変速機のケース２の穴９に挿入さ れる。ターミナルケース１０が完全に挿入された所でタブ１３が広がる。従って タブ１３を内側に押し込まない限りターミナルケース１０はケース２より抜き取 ることができなくなり、液密状態に取り付けられる。

【０００６】

【発明が解決しようとする課題】

前記特公平１−５９４６７号公報に記載の自動変速機のコード取付け構造にお いては、作動油の漏洩を防止することはできた。しかしまた、下記のような問題 点がある。 （１）２種のコードを接続端子によって一本ずつ接続するため作業性が悪く組 み立て時間が長くなる。 （２）２種のコードの金属線の接続先を誤ることがあり、また金属線の細線が バラバラになり接続端子間の短絡が発生することがある。

【０００７】 この考案は、かかる問題点を解決するためになされたもので、作動油の漏洩を 防止し、かつ誤接続や短絡の発生がなく、作業性の良好な自動変速機のコード取 付け構造を得ることを目的とする。

【０００８】

【課題を解決するための手段】

この考案に係わる自動変速機のコード取付け構造は、中空円筒状で、そのほぼ 中央にその筒軸に垂直でコード数と等しい個数のコード穴を穿設した隔壁と、自 動変速機のケースに設けた穴に嵌合する外周面とを有し、その内部には前記隔壁 で２分される外側空洞と内側空洞を有するターミナルケースからなり、前記コー ドは耐熱性、耐油性に優れた被覆材で複数本の金属線を被覆したコードであり、 このコードを前記ターミナルケースの前記隔壁のコード穴に挿通し、前記外側空 洞に位置する部分の一部の被覆材を剥離し、その剥離部又は前記電気機器側の被 覆材端部にストッパ部を形成し、前記ターミナルケースの外側空洞に耐熱性、耐 油性に富む合成樹脂を充填、固化するようにしたことを特徴とする自動変速機の コード取付け構造である。また前記ストッパ部は金属板よりなるオートスプライ スバンドで形成することも、さらに、前記金属線にフルボンＦＲＷ電線を用いる ことは好適な実施態様として挙げることができる。

【０００９】

【作用】

この考案の自動変速機のコード取付け構造においては、コードの前記コード取 付け構造のターミナルケースの外側空洞に位置する部分の被覆材の一部を剥離し 、この剥離部分の被覆材の内部側の端部に熱圧着などによってストッパ部を形成 し、この部分をコード取付け構造内の外側空洞に挿通し、この外側空洞に接着剤 を兼ねる合成樹脂を充填、固着する構成としたので、前記コードの被覆材と金属 線の隙間又は金属線同士の隙間には合成樹脂が充填されることによって、前記ケ ース内の作動油が前記被覆材と金属線の隙間や金属線同士の隙間から漏洩するの を防止できる。また、異なるコードの接続を行うことがないので、誤配線の恐れ や短絡の発生もなく、ストッパ部の形成と相まって組み立て作業を簡単にするこ とができると共に金属線を安価なフルボンＦＲＷ電線で構成したので量産性に富 むものである。

【００１０】

【実施例】

図１はこの考案を車両用自動変速機に実施した一実施例の斜視図、図２は図１ の要部の断面図、図３は図１の自動変速機のコード取付け構造を示す一部欠截側 面図である。図３において、図５と同一部分又は相当部分は同一の符号で表して いて、詳細な説明は省略する。

【００１１】 この実施例は、車両用自動変速機のケースの内部の油圧制御装置に配設される ソレノイド弁等に一端を電気的に連結した複数本のコードの他端を、前記自動変 速機のケースの外部に配設されて前記ソレノイド弁等に信号を出力する電子制御 装置に電気的に連結し、コード取付け構造の内部の空洞に位置する上記コードの 一部分を剥離し、コード取付け構造内部の空洞を接着剤を兼ねる合成樹脂で充填 、固着し、このコート取付け構造を前記自動変速機のケースに止着したもので、 前記コード取付け構造は前記止着部のシール装置を兼ねるものである。各図にお いて、１は自動変速機のコード取付け部、２は自動変速機のケース、３はコード 取付け部１から外部の例えば電子式の制御装置に連結するコードを束ねて保護す るためのさや管、４はソレノイド弁、５は油圧制御装置、６はオイルバン、７は 油圧制御装置５のケース、８は作動油、１８はターミナルケース１０の袴部１１ （内側空洞１７）と外側空洞１６との境界に設けた隔壁、１９はコード２６の外 径にほぼ等しい内径を有する隔壁１８に穿設したコード穴、２９はコード２６の 被覆材剥離部分のケース内部側の被覆材端部を熱圧着して偏平に形成したストッ パ部である。なお、この実施例では、前記隔壁１８はターミナルケース１０と一 体に成形して形成したが、従来の例に示したようにターミナルケース１０を中空 円筒状とし、そのほぼ中央にゴムブッシュを嵌入して隔壁１８としてもよい。

【００１２】 次に、上記図１に示すこの考案の一実施例である自動変速機のコード取付け構 造の組み立て方法について説明する。

【００１３】 前記ケース２の外部に配設された制御装置に電気的に接続された耐熱性、耐油 性に富む例えば株式会社クラベ製フルボンＦＲＷ電線などからなるコード２６の 一端は、ターミナルケース１０の隔壁１８に軸方向に穿設された複数個のコード 穴１９に挿通して引き出される。この引き出されたコード２６のターミナルケー ス１０の中央部に位置する部分を適宜の長さ、例えばコード２６の外径が１．７ ｍｍである場合は約３ｍｍの長さに被覆材を剥離する。被覆材を剥離された部分 の変速機側の被覆材の端部は熱圧着加工により偏平に押し潰されて図３に示すよ うにストッパ部２９が形成される。これにより組み立て作業中にコード２６の自 動変速機のケース２側への抜け出しを防止できる。

【００１４】 こののちターミナルケース１０の外側空洞１６に例えばチバガイキー社製ＸＮ １２６３−２等の接着剤である電気絶縁性は勿論、耐熱性及び耐油性に富む合成 樹脂２８が、コード２６の被覆材と金属線４１との隙間および金属線４１同士の 隙間に行き渡るよう充填して固化される。ターミナルケース１０の溝１４にＯリ ング２４を装着して完成したコード取付け構造は、自動変速機のケース２の穴９ に止着手段であるタブ１３が外方向に開くまで挿入されて液密状態に取り付けら れる。

【００１５】 前記コード２６は電気絶縁性は勿論、耐熱性、耐油性に富んだものが要求され るが、最近は株式会社クラベから発売になったフルボンＦＲＷ電線などが低価格 で得られるようになった。従って、自動変速機を安価に製造するため、コードの 長さを短くするよう特に考慮する必要がなくなった。

【００１６】 図４はこの考案のコード２６のストッパ部２９の他の例を示す斜視図である。 前記コード２６の被覆材の剥離した端部にストッパ部２９を熱圧着により形成し たがこれに限ることはなく、例えば、図４に示すようにオートスプライスバンド ３０をかしめて取り付けても同様の効果が得られる。

【００１７】

【考案の効果】

この考案は以上説明したとおり、自動変速機のコード取付け構造において、１ 本のコードの途中の被覆材を剥離し、被覆材端部を例えば熱圧着してストッパ部 を形成し、被覆材を剥離した部分をターミナルケース内でコードの金属線同士お よび前記被覆材と金属線の隙間に浸透するよう接着剤である耐熱性、耐油性に富 む合成樹脂を充填、固化したので、作動油の漏洩を防止し、かつ作業中異なる２ 本のコードを接続する必要がなく、被覆材を剥離して露出させた金属線に触れる こともないので、誤接続や短絡の発生がなく、組み立て作業も簡単に短時間に終 了することができ、安価なフルボンＦＲＷ電線を使用したので安価に作業性の良 好な自動変速機のコード用取付け構造を得ることができるなどの優れた効果を奏 するものである。

【提出日】平成３年１１月１４日

【手続補正１】

【補正対象書類名】明細書

【補正対象項目名】０００６

【補正方法】変更

【補正内容】

【０００６】

【考案が解決しようとする課題】

前記特公平１−５９４６７号公報に記載の自動変速機のコード取付け構造にお いては、作動油の漏洩を防止することはできた。しかしまた、下記のような問題 点がある。 （１）２種のコードを接続端子によって一本ずつ接続するため作業性が悪く組 み立て時間が長くなる。 （２）２種のコードの金属線の接続先を誤ることがあり、また金属線の細線が バラバラになり接続端子間の短絡が発生することがある。

【図面の簡単な説明】

【図１】この考案の一実施例を車両用自動変速機に実施
した場合の斜視図である。

【図２】図１の実施例の要部の断面図である。

【図３】この考案の自動変速機のコード取付け構造の一
実施例を示す一部欠截側面図である。

【図４】この考案のコードのストッパ部の他の実施例を
示す斜視図である。

【図５】従来の自動変速機のコード取付け構造を示す一
部欠截側面図である。

【符号の説明】

１ コート取付け部 ２ ケース ３ さや管 ４ ソレノイド弁 ５ 油圧制御装置 ８ 作動油 ９ 穴 １０ ターミナルケース １６ 外側空洞 １７ 内側空洞 １８ 隔壁 １９ コード穴 ２４ Ｏリング ２６ コード ２８ 合成樹脂（接着剤） ２９ ストッパ部 ３０ オートスプライスバンド ４１ 金属線

Claims (3)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 自動変速機のケースの内部で作動油に浸
   漬されて使用される電気機器と前記ケースの外部に置か
   れている制御機器とを電気的に連結する１本以上のコー
   ドを支持し、前記ケースを貫通して該ケースに支持され
   る自動変速機のコード取付け構造において、 前記自動変速機のコード取付け構造は、中空円筒状で、
   そのほぼ中央にその筒軸に垂直で前記コード数と等しい
   個数のコード穴を穿設した隔壁と、前記自動変速機のケ
   ースに設けた穴に嵌合する外周面とを有し、その内部に
   は前記隔壁で２分される外側空洞と内側空洞を有するタ
   ーミナルケースと、耐熱性，耐油性に富む被覆材で複数
   本の金属線を被覆したコードとからなり、このコードを
   前記ターミナルケースの前記隔壁のコード穴に挿通し、
   前記外側空洞に位置する部分の一部の被覆材を剥離し、
   その剥離部又は前記電気機器側の被覆材端部にストッパ
   部を形成し、前記ターミナルケースの外側空洞に耐熱
   性，耐油性に富む合成樹脂を充填、固化してなることを
   特徴とする自動変速機のコード取付け構造。
2. 【請求項２】 請求項１のストッパ部は、オートスプラ
   イスバンドで形成したことを特徴とする請求項１記載の
   自動変速機装置のコード取付け構造。
3. 【請求項３】 請求項１の金属線は、フルボンＦＲＷ電
   線からなることを特徴とする請求項１又は請求項２記載
   の自動変速機装置のコード取付け構造。