JPH0529979Y2

JPH0529979Y2 -

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Publication number: JPH0529979Y2
Application number: JP1987057545U
Authority: JP
Priority date: 1987-04-17
Filing date: 1987-04-17
Publication date: 1993-07-30
Anticipated expiration: 2002-04-17
Also published as: JPS63165269U; US4967618A; US4893518A

Description

【考案の詳細な説明】〔産業上の利用分野〕本考案は、車両用の電動式チルト、テレスコピ
ツクステアリング装置の改良に関し、更に詳しく
は、この種のステアリング装置において位置調整
部分のガタの発生が有効に防止され得る電動式ス
テアリング装置に関するものである。

〔従来の技術〕

電動式ステアリング装置としては、電動式モー
タの駆動力によつてステアリングホイールの位置
が調整できるようになつているものであり、ステ
アリングホイールが傾動（チルト）するものと、
軸方向移動（テレスコピツク）するものとが知ら
れている。そして、従来の何れのタイプにあつて
も、ねじ軸を上部コラムに連結し、ねじ軸に螺合
したナツト部材をブラケツトに支持させると共に
電動モータで回転し、ねじ軸を軸方向に移動させ
てステアリングホイールの位置を調整するように
なつている。

〔考案が解決しようとする問題点〕

従来のチルト式の電動式ステアリング装置にあ
つては、電動モータの駆動力を上部コラムに伝達
する径路には、上記ねじ軸及びヒンジ部の他にも
減速機構、駆動力の伝達方向変換機構（ギヤー
等）が配設されるため、これら各部分においてガ
タが存在する。個々のガタは小さいものであつて
も、これらが累積されれば大きくなり、そのため
にステアリングホイールの傾動方向にガタが出る
ので剛性感がそこなわれ、運転時には操縦安定性
を欠くと共に振動や異音が発生し運転者に不快感
を与えるという問題があつた。

一方テレスコピツク式の電動式ステアリング装
置には、ヒンジ部分は通常ないが減速機構、及び
伝達方向変換機構は配設され、それによつてガタ
が生ずることは、チルト式電動式ステアリング装
置の場合と同様である。この様な電動式ステアリ
ング装置として例えば特開昭59−230861号広報に
示されているものが知られているが、このものは
部品点数が多く、構造が複雑になりかつ、リンク
の支点が２ケ所あるためガタが大きいと共に加工
が面倒という不具合がある。

本考案は上記事情を背景にしてなされたもので
あつて、部品点数を極力少なくし、構造も極力簡
単にし、しかも加工が容易であり、ねじ軸とナツ
ト部材との螺合部や、ヒンジ部及び減速機構にお
けるガタの発生が有効に防止され得る電動式ステ
アリング装置を提供することを目的としてなされ
たものである。

〔問題を解決するための手段〕

上記問題点を解決するために、本考案において
は、一端がステアリングギヤに連結された下部軸
２４が車体１０に固定されたブラケツト１２及び
下部コラム１４内に回転可能に収容され、一端に
ステアリングホイール３０を有する上部軸２８が
上部コラム１８内に回転可能に収容され、下部軸
の他端と上部軸の他端とが相互に連結されてお
り、上部コラムにはブラケツトに対してステアリ
ングホイールの位置を調整すべく結合されている
結合部近傍に両コラムと略平行に一端にねじ部を
有するねじ軸４０が配設され、該ねじ軸のねじ部
にブラケツトに固定されたハウジング３２により
回転可能にかつねじ軸の軸方向には移動不能に支
承されたナツト部材４４の中空穴が螺合され、ね
じ軸の他端は上部コラムに連結され、ナツト部材
を電動モータ６０で回転駆動してねじ軸を軸方向
に移動させることにより上部コラムを移動させる
電動式ステアリング装置において、前記ねじ軸にその長手方向とほぼ直角方向から
接触して、前記ねじ軸を前記ナツト部材に対して
一半径方向に付勢する付勢手段４１，４３を設け
たのである。

〔作用〕

前記ねじ軸が前記ナツト部材に対し半径方向の
一方向に押圧し両部材の螺合部を圧接された構成
となつているので、螺合部のねじ山の左右歯面が
押圧されて互いに同時に接触し、螺合部のバツク
ラツシユが防止されると共に、ねじ軸のヒンジ部
分が一方向に押圧され、ガタがない予圧された接
触が得られる。

さらに、ヒンジ部分のガタによるねじ軸のその
軸心を中心とした回転方向のガタも、ねじ軸を押
圧する手段とねじ軸との抵抗により防止される。

〔実施例〕

以下、本考案の実施例を図面をもとに説明す
る。

第１図及び第２図は本考案の電動式チルトステ
アリング装置を示す。

車両の車体部分１０には横断面コ字形の固定ブ
ラケツト１２が固定され、この固定ブラケツト１
２には下部コラム１４が固定されるとともに、チ
ルトピン１６によつて上部コラム１８がチルト可
能に取り付けられている。上部コラム１８に固定
されたピン２０がブラケツト１２に形成された円
弧穴２２内に延びており、円弧穴２２の側縁とピ
ン２０との当接によつて上部コラム１８の傾動が
規制されるようになつている。下部コラム１４及
び固定ブラケツト１２内を下部ステアリング軸２
４が延びており、その下端部（第２図中左端部）
は車輪の転舵装置（不図示）に連結されている。

一方、下部ステアリング軸２４の上端部はユニ
バーサルジヨイント２６を介して上部ステアリン
グ軸２８に連結されている。上部ステアリング軸
２８の上端部（第２図中右端部）にはステアリン
グホイール３０（第１図参照）が固定されてい
る。ステアリングホイール３０を回転操舵すれ
ば、上部ステアリング軸２８、ユニバーサルジヨ
イント２６及び下部ステアリング軸２４によりト
ルクが伝達されその結果車輪が転舵されることに
なる。第２図及び第３図に示すように、上記固定
ブラケツト１２の下面にはハウジング３２が固定
されており、このハウジングは第１部分３５と、
第２部分３７とから成る。雄ねじ３８を有するね
じ軸４０が第１部分から上部コラム１８の側に延
びており、雄ねじ３８にナツト部材である内輪
（ウオームホイール）４４の雌ねじ４５が螺合さ
れている。内輪４４の軸方向の中間部には歯すじ
が外側に凸となるようにゆるやかに湾曲した歯を
有するギヤー４６が形成され、その両側部外面に
は一対のボール転動溝４８が環状に形成されてい
る。ハウジングの第１部分３５には内輪のボール
転動溝４８に対向する環状のボール転動溝５０を
内面に有する一対の外輪５２が配置され、対向す
るボール転動溝４８と５０との間にはボール５４
が転動自在に介装されている。各々の内輪４４、
外輪５２及びボールによつて一対のアンギユラ軸
受が形成されている。アンギユラ軸受は、ハウジ
ングの第１部分３５の入口部に螺合されたカバー
５６により軸方向から予圧され組立状態に維持さ
れている。

上記ウオームホイールのギヤー４６には、ハウ
ジングの第１部分３５に固定された電動モータ６
０の出力軸６２に形成されたウオームギヤー６４
が嵌合しており、電動モータ６０を駆動すると、
出力軸６２は回転されウオームギヤー６４の回転
はナツト部材であるウオームホイール４４に伝達
されるとともに減速され、ウオームホイール４４
の回転によりねじ軸４０が軸方向（第２図中左右
方向、第３図中紙面と垂直な方向）に移動するよ
うになつている。

第２図及び第４図に示すように、ハウジング３
２の第２部分３７は縦長形状とされ、その底部に
はバネ４１を介してホルダ４３が配設されホルダ
にはつづみ状のローラ４７がピン４９によつて回
転可能に取り付けられている。ローラ４７はねじ
軸４０のおねじ３８以外の部分に接触し、ねじ軸
４０をその軸心方向と直交する方向に付勢してい
る。ハウジングの第２部分３７の開口部は、上記
ホルダ４３、ローラ４７等を装填した後、めくら
ぶた５１により閉鎖されている。

前記上部コラム１８の下面には両端を折り曲げ
横断面コ字形のブラケツト７０が固定されてお
り、その折曲げ部の間にねじ軸４０の他端部が延
び、このねじ軸の端部はピン７２によりブラケツ
ト７０に枢着されヒンジ部を形成している。

次に本実施例の作動について説明する。

運転者が所定のスイツチ（図示せず）を操作す
ると、電動モータ６０が作動して出力軸６２が回
転し、ウオームギヤー６４とウオームホイール４
４との噛合及びウオームホイール４４とねじ軸４
０との螺合を介してねじ軸４０が軸方向に移動さ
れる。

ここで、ねじ軸４０が第２図中左方向に移動し
た場合を考えると、ピン７２が左方向に移動する
のでブラケツト７０及び上部コラム１８が一体的
にチルトピン１６のまわりに右旋され、その結果
上部ステアリング軸２８及びステアリングホイー
ル３０の位置がより下方の位置にセツトされるこ
ととなる。ステアリングホイール３０のチルト量
は、電動モータ６０によるねじ軸４０の移動量に
よつて決定され、中立位置からの下方への最大チ
ルト量は上部コラムのピン２０が円弧穴２２の右
方側縁に当接することにより決定される（この時
ホイール３０は第１図中３０ａにて示す位置にあ
る）。また、これに対応するピン７２の揺動角度
は第２図中αで示されている。

一方、ステアリングホイール３０の上方へ（第
２図中ねじ軸４０が右方向に）のチルトは、電動
モータ６０をスイツチの操作により上記と逆方向
に回転させて、ねじ軸４０を第２図中右方向に移
動させ、上部コラム１８及び上部ステアリング軸
２８等をチルトピン１６のまわりに左旋すること
により達成される。ステアリングホイール３０の
中立位置からの上方へのチルト量は、ピン２０が
円弧穴２２の左方側縁に当接することにより決定
され、この時のホイール３０の位置が第１図中３
０ｂで示してある。またこれに対応するピン７２
の揺動角度は第２図中βで示してある。

この実施例では、ステアリングホイール３０の
チルト時にねじ軸４０とこれに関連するハウジン
グ３２及びブラケツト７０等との間に無理な力が
生ずることのないように工夫されている。

即ち、ねじ軸４０の移動によるブラケツト７０
の傾動時には、ピン７２はチルトピン１６を中心
とする円弧上を移動することになり、ピン７２即
ちねじ軸４０の他端部は、ねじ軸４０の軸方向と
略直交する方向（上部コラム１８の傾動方向）に
僅かに変位し、その結果ねじ軸４０全体としては
ハウジング３２に収容された部分を中心として僅
か傾動されることになるのである。

また、前述した如く、ねじ軸４０のおねじ３８
とウオームホイール４４のめねじ４５とは通常の
ねじの螺合であるためガタが生じ易い。しかし、
本実施例によれば、そのようなガタの発生が有効
に防止される。即ち、ねじ軸４０にはローラ４７
がバネ４１により押圧されており、ねじ軸４０は
ナツト部材４４に対し半径方向の一方向に押圧さ
れ、ねじ軸４０とナツト部材４４の螺合部は一方
向に圧接され、ねじ山の左右歯面が互に同時に接
触し、螺合部のバツクラツシユが生じない構造と
なつている。なお、ローラ４７は回転可能とされ
ているので、ねじ軸４０が軸方向に移動するとき
は自転してこれを案内し、移動の妨げとなること
はない。

なお、ナツト部材４４はねじ軸４０に螺合され
るナツトと、ウオームホイールと、アンギユラ軸
受の内輪とを兼ねており、このナツト部材及び周
辺が全体的にコンパクトになるとともに部品点数
も少なくて済んでいる。また、アンギユラ軸受を
一対形成したこと及びギヤー４６の歯すじ方向の
歯外面を緩やかな円弧状に形成したことは、ナツ
ト部材４４の調心をよりスムーズにするうえで有
効である。

なお、ハウジング３２の第２部分３７は第５図
に示すように下方に開口した形状とし、開口から
ピン４９によつてローラ４７を支持したホルダ４
３を装着し、バネ４１を装着した後、開口部に蓋
部材５１を螺合してもよい。このようにすれば、
蓋部材５１の位置を調整することによりバネ４１
の圧縮長さを変え、ローラ４７からねじ軸４０に
加わる弾発力の大きさを調整することができる。

次に、本考案の電動式テレスコピツクステアリ
ング装置について、第６図及び第７図をもとに説
明する。

下部コラム１４と上部コラム１８とがテレスコ
ピツクに嵌合されており、上部コラム１８には上
部軸２８が玉軸受２７により回転可能に支承さ
れ、上部軸２８の下端部にはスプラインチユーブ
３１が嵌合、固定されている。スプラインチユー
ブ３１には下部軸２４に形成されたスプライン３
３がスプライン嵌合している。

下部コラム１４には、第１部分３５と第２部分
３７とから成るハウジング３２が結合され、両部
分を貫通してねじ軸４０が延びている。ねじ軸４
０のおねじ３８にはウオームホイール４４が螺合
され、第１部分３５内に配置された一対のスラス
ト玉軸受３９により回転可能に支承されている。
ウオームホイール４４のギヤー部４６は、モータ
６０の出力軸６２に形成されたウオームギヤー６
４と噛合されている。

ハウジング３２の第２部分３７には、前記第４
図に示した実施例と同様に、つづみ形のローラ４
７がピン４９を介してホルダ４３に支承されて配
置され、バネ４１の作用によりねじ軸４０に弾圧
されている。

本実施例によれば、モータ６０の回転によりウ
オームギヤー６４が回転され、ウオームホイール
４４が回転されると、ねじ軸４０が軸方向に移動
される。その結果、支持板７２を介して上部コラ
ム１８、上部軸２８及びスプラインチユーブ３１
等が一体的に移動され、ステアリングホイール３
０は第６図中３０ａで示す上限位置と、３０ｂで
示す下限位置との間で任意の位置に調整できる。

そして、この位置調整時と固定時にウオームホ
イール４４とねじ軸４０との螺合部に生ずるガタ
は、バネ４１によりローラ４７をねじ軸４０に弾
圧してねじ軸４０をウオームホイール４４に対し
半径方向の一方向に押圧することにより、前述し
たものと同様の理由により生じない構造となつて
いる。

なお、圧接部材は、上記実施例におけるローラ
４７のような回転部材ではなく、通常の（非回転
の）部材であつても良い。また、圧接部材は、バ
ネ４１による弾圧を用いず蓋部材５１を直接、ホ
ルダー４３に当接させ調整しても良い。

本考案はこの他にも、その趣旨を損なわない範
囲内で適宜変更、改良が可能であることは言うま
でもない。

〔考案の効果〕

前記の構成と作用により、ナツト部材とねじ軸
及びねじ軸のヒンジ部分が一方向に押され、ねじ
部の断面はねじ山の左右歯面が互に押圧され、ヒ
ンジ部は当接部が一方向に押圧されているのです
べての方向にガタが無い予圧された接触が得られ
る。このため、ねじ軸と結合されている上部コラ
ムと該コラムに回転可能に支承されている上部軸
及びステアリングホイールのガタがなくなり、剛
性感がそこなわれることがなく、操縦安定性が増
すと共に振動や異音の発生も防止される電動式ス
テアリング装置を得ることができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案に係る第１実施例を示す全体正
面図、第２図は第１図の要部縦断面図、第３図は
第２図における−断面図、第４図は第２図に
おける−断面図である。第５図は第１実施例
の変形例を示す第４図相当の断面図である。第６
図は本考案に係る第２実施例を示す全体正面図、
第７図は第６図の要部縦断面図である。主要部分の符号の説明、１２……下部コラム、
１８……上部コラム、２４……下部軸、２８……
上部軸、３０……ステアリングホイール、３２…
…ハウジング、３８……ねじ部、４０……ねじ
軸、４４……ナツト部材、４７……圧接部材、６
０……電動モータ、１６……チルトピン。

Claims

【実用新案登録請求の範囲】１一端がステアリングギヤに連結された下部軸
が車体に固定されたブラケツト及び下部コラム
内に回転可能に収容され、一端にステアリング
ホイールを有する上部軸が上部コラム内に回転
可能に収容され、下部軸の他端と上部軸の他端
とが相互に連結されており、上部コラムにはブ
ラケツトに対してステアリングホイールの位置
を調整すべく結合されている結合部近傍に両コ
ラムと略平行に一端にねじ部を有するねじ軸が
配設され、該ねじ軸のねじ部にブラケツトに固
定されたハウジングにより回転可能にかつねじ
軸の軸方向には移動不能に支承されたナツト部
材の中空穴が螺合され、ねじ軸の他端は上部コ
ラムに連結され、ナツト部材を電動モータで回
転駆動してねじ軸を軸方向に移動させることに
より上部コラムを移動させる電動式ステアリン
グ装置において、前記ねじ軸にその長手方向とほぼ直角方向か
ら接触して、前記ねじ軸を前記ナツト部材に対
して一半径方向に付勢する付勢手段を設けたこ
とを特徴とする電動式ステアリング装置。２前記上部コラムは前記ブラケツトに対してチ
ルトピンにより枢着され、前記下部軸と前記上
部軸とは自在継手を介して連結され、前記ねじ
軸の他端は前記上部コラムの傾動方向に揺動自
在に枢着され、前記ナツト部材は調心自在に前
記ハウジング内に支持されている実用新案登録
請求の範囲第１項に記載の電動式ステアリング
装置。３前記上部コラムは前記下部コラムに対してテ
レスコピツクに嵌合され、前記下部軸と上部軸
とはスプライン嵌合されており、前記ねじ軸の
他端が前記上部コラムに固定されている実用新
案登録請求の範囲第１項に記載の電動式ステア
リング装置。４前記ねじ軸の前記付勢手段は、その縦断面が
つづみ形状のローラである実用新案登録請求の
範囲第２項または第３項に記載の電動式ステア
リング装置。