JPH0529288U - スイツチング電源回路 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 最適なドライブ電流をスイッチングトランジ
スタに流すことで、オーバードライブやドライブ不足、
抵抗の発熱などの不具合を解消できるスイッチング電源
回路を提供する。 【構成】 過電流保護用抵抗Ｒ４の電圧降下によりスイ
ッチングトランジスタＱ１に流れるコレクタ電流Ｉc を
検出し、差動増幅器ＩＣ２で増幅し、ドライブ抵抗Ｒ１
の入力側の電圧Ｖ１を制御用トランジスタＱ４で制御
し、コレクタ電流Ｉc に応じた最適なドライブ電流（ベ
ース電流ＩB ）を設定する。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は、リンギング・チョーク・コンバータ方式（ＲＣＣ方式）によるスイ ッチング電源回路に関し、特にスイッチングトランジスタに最適なドライブ電流 を供給でき、動作の安定化が図れるスイッチング電源回路に関する。

【０００２】

【従来の技術】

図３に、従来から知られるＲＣＣ方式のスイッチング電源回路を示す。

【０００３】 この図で、端子１に直流電源Ｖinが入力されるトランス２の一次巻線２Ａは、 スイッチングトランジスタＱ１のコレクタに接続される。このトランジスタＱ１ のベースとエミッタ間には、制御用トランジスタＱ２が接続される。トランス２ のベース巻線２Ｂの一端は、ドライブ抵抗Ｒ１とコンデンサＣ１の直列回路を介 してスイッチングトランジスタＱ１のベースに接続される。スイッチングトラン ジスタＱ１のエミッタは、過電流保護用抵抗Ｒ４を介してこのベース巻線２Ｂの 他端に接続される。

【０００４】 ベース巻線２Ｂの一端とスイッチングトランジスタＱ１のベース間に接続され る抵抗Ｒ２とコンデンサＣ２はスピードアップ用であり、トランジスタＱ１のベ ースとベース巻線２Ｂの他端間に接続されるダイオードＤ１は逆耐圧防止用であ る。またスイッチングトランジスタＱ１のベースと制御用トランジスタＱ２のベ ース間に接続される抵抗Ｒ３とコンデンサＣ３は、位相補償用に使われる。制御 用トランジスタＱ２のベースに接続されるフォトカプラＩＣ１のフォトトランジ スタＱ３には、二次側の図示しない電圧検出回路からの検出出力が入力され、二 次側の電圧変動を安定化させる働きをする。 トランスの二次巻線２Ｃには、ダイオードＤ２と平滑コンデンサＣ４からなる 整流回路３が接続される。符号のＲL は、二次側に接続される負荷である。

【０００５】 この構成からなるスイッチング電源回路では、スイッチングトランジスタＱ１ が自励的にオン・オフを繰り返して直流電源Ｖinをスイッチングし、トランジス タＱ１のオン時にトランス２に蓄えられたエネルギが、トランジスタＱ１のオフ 時に二次巻線２Ｃに放出されて、出力端子４に直流電源Ｖout が取り出せる。 図４は、スイッチングトランジスタＱ１に流れるコレクタ電流Ｉc の波形と、 このトランジスタＱ１のベースを流れるベース電流ＩB の波形を示す。 このベース電流ＩB は、二次側の負荷ＲL の変動に関係なくほぼ一定であるが 、入力直流電源Ｖinの電圧変動に対しては変化する。

【０００６】

【考案が解決しようとする課題】

このようにベース電流ＩB は負荷ＲL の変動に関係なくほぼ一定であるから、 負荷ＲL が最も軽いときにコレクタ電流Ｉc が減少すると、ベース電流ＩB はド ライブオーバーぎみになる。

【０００７】 また入力される直流電源Ｖinの電圧が上昇すると、ベース電流ＩB が増加し、 抵抗Ｒ１が発熱するとともに、ドライブオーバーによるハンチングを引き起こす ようになる。

【０００８】 一方、負荷ＲL が増加するとコレクタ電流Ｉc は増加するが、ベース電流ＩB は抵抗Ｒ４の電圧降下により減少する方向に変化するため、ドライブ不良ぎみと なる。 同様に、入力直流電源Ｖinの電圧が低下した場合もベース電流ＩB が減少する ため、ドライブ不良ぎみとなる。

【０００９】 このように、負荷ＲL の変動が大きく、また入力直流電源Ｖinの電圧変動が大 きい場合は、安定動作の確保および抵抗Ｒ１の発熱などの問題解決が非常に難し くなる。

【００１０】 本考案は、このような従来の技術が持つ課題を解決するために提案されたもの であり、最適なドライブ電流をスイッチングトランジスタに流すことで、オーバ ードライブやドライブ不足、抵抗の発熱などの不具合を解消できるスイッチング 電源回路を提供することを目的とする。

【００１１】

【課題を解決するための手段】

上記目的を達成するために本考案は、直流電源が入力されるトランスの一次巻 線をスイッチングトランジスタに接続し、このトランスのベース巻線からスイッ チングトランジスタのベースにドライブ電流を供給してスイッチングトランジス タを自励的にオン・オフさせ、トランスの二次巻線に発生した交流を整流して直 流電源出力を得るリンギング・チョーク・コンバータ方式のスイッチング電源回 路において、上記スイッチングトランジスタに流れるコレクタ電流を検出するコ レクタ電流検出手段と、このコレクタ電流検出手段からの検出出力に基づき、上 記ドライブ電流を最適値に制御するドライブ電流制御手段とを有することを特徴 とする。

【００１２】

【作用】

上述した構成によれば、負荷変動や入力される直流電源の変動により、スイッ チングトランジスタのコレクタ電流が増減した場合に、このコレクタ電流の変化 を検出してドライブ電流を最適値に設定できるので、動作の安定化が図れる。

【００１３】

【実施例】

以下、本考案によるスイッチング電源回路の具体的な実施例を図面に基づき詳 細に説明する。図１に、このスイッチング電源回路の一実施例を示す。なお、従 来例のものと同様部分には、同一符号を付して重複する部分の説明を一部省略す る。

【００１４】 この図で、トランス２の一次巻線２Ａの一端に接続される入力端子１には直流 電源Ｖinが入力され、この一次巻線２Ａの他端がスイッチングトランジスタＱ１ のコレクタに接続される。トランス２のベース巻線２Ｂの一端とスイッチングト ランジスタＱ１のベース間には、ドライブ抵抗Ｒ１と制御用トランジスタＱ４の 直列回路が接続される。このスイッチングトランジスタＱ１のエミッタは、過電 流保護用の抵抗Ｒ４を介してベース巻線２Ｂの他端に接続される。

【００１５】 スイッチングトランジスタＱ１と過電流保護用抵抗Ｒ４の接続点Ｐ１は、差動 増幅器ＩＣ２の非反転入力端子に接続される。抵抗Ｒ１とトランジスタＱ４の接 続点Ｐ２とベース巻線２Ｂの他端間には、電圧検出用の抵抗Ｒ５，Ｒ６の直列回 路が接続され、これら抵抗Ｒ５，Ｒ６の接続点は差動増幅器ＩＣ２の反転入力端 子に接続される。この差動増幅器ＩＣ２の出力端子は、トランジスタＱ４のベー スに接続される。ここで、トランジスタＱ４、差動増幅器ＩＣ２および抵抗Ｒ５ ，Ｒ６は、スイッチングトランジスタＱ１と過電流保護用抵抗Ｒ４の接続点Ｐ１ の電圧Ｖe を基準とする定電圧回路を構成する。しかし、二次側の負荷ＲL に流 れる電流の変化によりスイッチングトランジスタＱ１に流れるコレクタ電流Ｉc が大きく変化するため、接続点Ｐ１の電圧Ｖe はコレクタ電流Ｉc に応じて変化 し、基準となる電圧Ｖe も変化することになる。過電流保護用抵抗Ｒ４は、スイ ッチングトランジスタＱ１に流れるコレクタ電流Ｉc を電圧降下として検出する 電流検出手段を兼ね、差動増幅器ＩＣ２、トランジスタＱ４および抵抗Ｒ５，Ｒ ６は、スイッチングトランジスタＱ１のドライブ電流（ベース電流ＩB ）を最適 値に制御する電流制御手段を構成する。

【００１６】 今、二次側の負荷ＲL が増加し、コレクタ電流Ｉc が増加すると、接続点Ｐ１ の電圧Ｖe は抵抗Ｒ４の電圧降下により上昇する。これにより差動増幅器ＩＣ２ の非反転入力端子に加わる電圧が上昇し、抵抗Ｒ１とトランジスタＱ４の接続点 Ｐ２の電圧Ｖ１は、電圧検出用の抵抗Ｒ５，Ｒ６の抵抗値をＲ５，Ｒ６とすると 、 Ｖe ・｛（Ｒ５＋Ｒ６）／Ｒ６｝ の比率で上昇するので、スイッチングト ランジスタＱ１に供給されるベース電流ＩB は増加する方向に変化し、最適なド ライブ電流に制御される。

【００１７】 また入力直流電源Ｖinの電圧が低下した場合も、コレクタ電流Ｉc が増加し、 接続点Ｐ１の電圧Ｖe が上昇するため、同様な動作でベース電流ＩB が増加し、 最適なドライブ電流に設定される。

【００１８】 一方、負荷ＲL に流れる電流が低下した場合および入力直流電源Ｖinの電圧が 上昇した場合は、上述した逆の動作により、スイッチングトランジスタＱ１のベ ース電流ＩB が減少する方向に変化して、最適なドライブ電流に制御される。

【００１９】 このようにこのスイッチング電源回路では、ドライブ電流を従来のように方形 波とするのではなく、スイッチングトランジスタＱ１のコレクタ電流Ｉc を検出 して、このコレクタ電流Ｉc に見合ったのこぎり波状のドライブ電流を供給する ことができ、ロスを極力低減できる。

【００２０】 これにより負荷ＲL に変動が生じた場合、入力直流電源Ｖinに電圧変動が生じ た場合に、動作の安定化を図ることができるとともに、抵抗Ｒ１での消費電力も 少なくなり、抵抗Ｒ１やスイッチングトランジスタＱ１による発熱を極力抑える ことができる。

【００２１】 つぎに、図２に示す本考案の他の実施例のスイッチング電源回路を説明する。 この実施例では、差動増幅器ＩＣ２の出力端子とトランジスタＱ４のベース間 に抵抗Ｒ７が接続されるとともに、この出力端子とベース巻線２Ｂの他端間に定 電圧ダイオードＤ３が接続される。これら抵抗Ｒ７と定電圧ダイオードＤ３は、 電流リミッタ回路を構成する。またベース巻線２Ｂの一端と差動増幅器ＩＣ２の 反転入力端子間には、過電流および過電圧保護回路を構成する定電圧ダイオード Ｄ４が接続されている。

【００２２】

【考案の効果】

以上説明したように本考案によれば、負荷変動や入力直流電源に変動が生じた 場合でも、スイッチングトランジスタに最適なドライブ電流を供給することがで きるので、ハンチングの要因となるオーバードライブやドライブ不足、発熱の発 生を防止でき、動作の安定化が図れ、信頼性が向上できる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案によるスイッチング電源回路の一実施例
を示す回路図。

【図２】本考案の他の実施例のスイッチング電源回路を
示す回路図。

【図３】従来のスイッチング電源回路を示す回路図。

【図４】スイッチングトランジスタに流れるコレクタ電
流とベース電流の特性を示す波形図。

【符号の説明】

２ トランス ２Ａ 一次巻線 ２Ｂ ベース巻線 ２Ｃ 二次巻線 ３ 整流回路 Ｑ１ スイッチングトランジスタ Ｑ２ 制御用トランジスタ Ｑ４ 制御用トランジスタ ＩＣ２ 差動増幅器 Ｒ１ ドライブ抵抗 Ｒ４ 過電流保護用抵抗 Ｒ５，Ｒ６ 電圧検出用抵抗

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 直流電源が入力されるトランスの一次巻
   線をスイッチングトランジスタに接続し、このトランス
   のベース巻線からスイッチングトランジスタのベースに
   ドライブ電流を供給してスイッチングトランジスタを自
   励的にオン・オフさせ、トランスの二次巻線に発生した
   交流を整流して直流電源出力を得るリンギング・チョー
   ク・コンバータ方式のスイッチング電源回路において、 上記スイッチングトランジスタに流れるコレクタ電流を
   検出するコレクタ電流検出手段と、 このコレクタ電流検出手段からの検出出力に基づき、上
   記ドライブ電流を最適値に制御するドライブ電流制御手
   段とを有することを特徴とするスイッチング電源回路。