JPH05280685A - 不断水挿入流体制御弁装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 流体管路中に流れ切換弁を不断水状態で挿入
し、もって流体管路を分岐する際に使用される不断水挿
入流体制御弁装置において、水頭損失と丈高の減少を図
ること。 【構成】 弁箱体の中間位置において既設流体管と同一
水平位置に分岐連通口を介して分岐管部を配し、弁箱体
内に互いに相互する方向に上下動する流れ切換弁を挿入
し、これらの弁体により分岐切断部と分岐連通口とを交
互に開閉する。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】Ａ．発明の目的 (1) 産業上の利用分野 この発明は、流体管路中に流体制御弁を不断水状態（流
体管路内の流れを予め設置された制水弁で止めることな
く流通状態で工事を実施すること）で挿入し、もって流
体管路を分岐し、もしくは止水する際に使用される装置
いわゆる不断水挿入流体制御弁装置に関する。

【０００２】(2) 従来の技術及びその問題点 本出願人は、この種の不断水挿入流体制御弁装置を種々
提案した。これらの装置のうちで、特願平３−１７４２
６７号（以下、先願技術という）のものは、分岐接続部
が既設流体管と同一平面位置にある点で他のものと相違
する。すなわち、該先願技術の制御弁装置は、既設流体
管の分岐位置の切断部に跨って水密に組み付けられ、そ
の上端に受口部を有するとともに、その中間に前記既設
流体管と同一平面位置に分岐接続管部を有し、該既設流
体管に直交して配される穿孔筒部を備えた弁箱体と；前
記弁箱体の穿孔筒部の受口部に嵌装して水密に配される
蓋体と；弁体と弁棒とからなり、該弁棒は前記蓋体に装
着されるとともに、該弁体は前記弁箱体の穿孔筒部内に
進退自在に配され、後退時には前記穿孔筒部の分岐接続
管部の開口部を閉塞し、進出時には該弁体に開設された
分岐連通孔と前記分岐接続管部の開口部とを連通すると
ともに既設流体管の流路を遮断する流れ切換弁と；から
なる構成を採る。

【０００３】そして、この流体制御弁装置は次のように
して使用され、作用を奏する。蓋体並びに流れ切換弁を
取り外した本装置を既設流体管の分岐予定位置に組み付
けて固定するとともに、その分岐接続管部に分岐管を接
続し、穿孔筒部の上端に作業用制水弁を取り付け、該制
水弁を介して穿孔機により既設管を穿孔切断する。その
後、穿孔機及び切断片を取り外したのち、作業用制水弁
を介して、流れ切換弁を組み込んだ蓋体を穿孔筒部の受
口部内に挿入し、該蓋体を固定する。しかる後、作業用
制水弁を撤去する。流れ切換弁の弁体を弁箱体内へ進出
させ、水流を遮断し、分岐接続管部を介して分岐管に通
水する。しかして、該先願技術の不断水挿入流体制御弁
装置によれば、流れ切換弁の開弁状態において流水は該
流れ切換弁の鉛直弁部で方向を転換され、直ちに分岐接
続部に流れ出るので、損失水頭が少なく、長期の使用に
おいて経済性を発揮する。そして、流れ切換弁を装着し
た蓋体を本装置に組み付ければ不断水作業用制水弁は早
期に撤去でき、かつ、流れ切換弁の引抜き作業はなく、
作業手間が減少し、作業効率が向上する。更には、本装
置を設置した後、バイパス管を配すればよく、時期を選
ぶことができ、作業の融通性が向上する。

【０００４】しかしながら、該先願技術においては、穿
孔筒部の長さが大きくなり、このため装置全体の丈高が
高く、掘削土量の増大のみならず、バイパス管の設置の
融通性が小さくなる。更に、流水は流れ切換弁により方
向を大きく曲げられ、若干の水頭損失が出る。

【０００５】(3) 発明が解決しようとする問題点 本発明は上記先願技術の利点を活用しつつ、更に発展さ
せたものであって、この種の不断水挿入流体制御弁装置
において、水頭損失と丈高との更なる減少を図る、こと
を目的とする。

【０００６】Ｂ．発明の構成 (1) 問題点を解決するための手段 本発明の不断水挿入流体制御弁装置は上記目的を達成す
るために、次の構成を採る。すなわち、既設流体管の分
岐位置の切断部に跨って水密に組み付けられ、 その上端に開口部を有するとともに、該既設流体管よ
りも大径にして、かつ該既設流体管に直交して配される
穿孔筒部と、該穿孔筒部の側面において前記既設流体
管と同一平面位置もしくはその近傍位置に突設された分
岐管部と、を備えた分岐管付き弁箱体と；前記分岐管付
き弁箱体の穿孔筒部の開口部に嵌装して水密に配される
弁蓋と；１つの弁棒と２つの弁体とからなり、前記弁棒
は前記弁蓋に装着されて、前記分岐管付き弁箱体の穿孔
筒部の中心軸上に配され、前記２つの弁体は前記弁棒に
共通して螺装され、前記穿孔筒部内を互いに独立して交
互に進退自在とされ、一方の第１弁体は切断部を開閉
し、他の第２弁体は分岐管部を開閉する、流れ切換弁
と；からなることを特徴とする。

【０００７】(2) 作用 本発明の流体制御弁装置は次のようにして使用され、作
用を奏する。弁蓋並びに流れ切換弁を取り外した本装置
を既設流体管の分岐予定位置に組み付けて固定するとと
もに、その分岐管部にバイパス管を接続し、穿孔筒部の
上端に作業用制水弁を取り付け、該制水弁を介して穿孔
機により既設管を穿孔切断する。その後、穿孔機及び切
断片を取り外したのち、作業用制水弁を介して、流れ切
換弁を装着した弁蓋を穿孔筒部の開口部内に挿入し、該
弁蓋を固定する。このとき、流れ切換弁の第１の弁体は
切断部の上位に位置し、該切断部を開放し、第２の弁体
は分岐管部との連通口を閉塞する。しかる後、作業用制
水弁を撤去する。流れ切換弁の第１弁体を弁箱体内へ進
出させ、水流を遮断し、これと同時に第２弁体は分岐管
部との連通口を開放し、分岐管部を介してバイパス管に
通水する。

【０００８】(3) 実施例 本発明の不断水挿入流体制御弁装置（以下「制御弁装
置」という）の実施例を図面に基づいて説明する。図１
〜図６は本制御弁装置Ｓの一実施例を示す。すなわち、
図１は閉弁状態での本制御弁装置Ｓの全体構造を示す縦
断面図、図２は開弁状態での本制御弁装置Ｓの縦断面
図、図３はその横断面図、図４はその水平断面図、図５
及び図６はその部分図である。図において、太矢印は水
流の流れ方向を示す。

【０００９】以下、水道管路を例にとって説明する。図
において、Ｐは地盤中に埋設された既設の配水管であっ
て、該配水管Ｐの分岐管配設部に本実施例の制御弁装置
Ｓが取り付けられる。Ｑは該配水管Ｐの分岐箇所に穿孔
機により切断された切断部である。

【００１０】図１〜図４を参照して、本実施例の制御弁
装置Ｓは、穿孔筒部１Ａと添設管部１Ｂと分岐接続部１
Ｃとを備え、配水管Ｐに組み付けられる分岐管付き弁箱
体１と；該弁箱体１の穿孔筒部１Ａの開口部内に装着さ
れる弁蓋２と；該弁蓋２に装着され、弁箱体１内へ進退
自在となっている流れ切換弁３と；の各主要構成部材か
らなるとともに、その他、上蓋５、係止ボルト６を含
む。

【００１１】以下、各部の詳細構造を説明する。分岐管付き弁箱体１ 分岐管付き弁箱体１は、穿孔筒部１Ａと添設管部１Ｂと
分岐管部１Ｃとからなり、該穿孔筒部１Ａは上部を開口
し下部は有底の直円筒体をなし、この穿孔筒部１Ａの同
一水準位置より添設管部１Ｂ及び分岐管部１Ｃが直交状
に配される。もっと詳しくは、穿孔筒部１Ａは、配水管
Ｐに直交して配されるとともに、その内径は配水管Ｐの
外径よりも十分に大径とされる。そして、該穿孔筒部１
Ａは、配水管Ｐの中心軸Ｏを含む水平面を境に上部穿孔
筒部１０ａと下部穿孔筒部１０ｂとに分割されている。

【００１２】穿孔筒部１Ａの上端にはフランジ１２が外
方へ張設され、また、その上部開口部内には弁蓋２を受
け入れるいわゆる受口部を形成する。該受口部に対応し
て穿孔筒部１Ａの上部においては、円周方向に適宣間隔
を保って、ボルト孔１３が螺設された螺筒１４が固設さ
れ、係止ボルト６が螺装される。穿孔筒部１Ａ内の途中
から底部に至るまで、後記する添設管部１Ｂ及び分岐管
部１Ｃの開口を避けて所定間隔を保って案内突条１６が
縦設されている。該案内突条１６は流れ切換弁３の２つ
の弁体の進退の案内をなす。また、穿孔筒部１Ａの内底
面の中央にはボス部１７が突設され、その中心に後記す
る流れ切換弁３の弁棒の先端が嵌入する案内孔１８が穿
設される。

【００１３】添設管部１Ｂは、穿孔筒部１Ａに連なって
形成され、上部及び下部の２つの半管状部材２０（上部
半管状部材２０ａ、下部半管状部材２０ｂ）よりなり、
これらの半管状部材２０の端面どおしを水密に衝合させ
る。２１は添設管部１Ｂの管軸方向端部の継ぎ手部で、
受口部２１ａ、該受口部２１ａ内に装填される環状のゴ
ム輪２１ｂ、該ゴム輪２１ｂを押圧する押輪２１ｃ及び
締付けボルト２１ｄよりなり、締付けボルト２１ｄの回
動締込みにより押輪２１ｃを介してゴム輪２１ｂを締め
込み、添設管部１Ｂの端部の水密をなす。押輪２１ｃに
は離脱防止ボルト２１ｅが締付けボルト２１ｄと間隔を
保って螺装され、このボルト２１ｅの刃先を配水管Ｐに
食い込ませて、離脱防止を図る。

【００１４】分岐管部１Ｃは、穿孔筒部１Ａの添設管部
１Ｂと同一水準位置すなわち配水管Ｐと同一水平位置に
おいて、この穿孔筒部１Ａの側面より突出して形成され
る。該分岐管部１Ｃは、添設管部１Ｂと同様に、前記し
たように配水管Ｐの中心軸Ｏを含む平面によって上下に
分割されるものであり、これらの半管状部材２３（２３
ａ，２３ｂ）の端面どおしを衝合する。２４は分岐管部
１Ｃの端部の継ぎ手部で、添設管部１Ｂのものに準じる
構成を採り、受口部２４ａ、該受口部２４ａ内に装填さ
れる環状のゴム輪２４ｂ、該ゴム輪２４ｂを押圧する押
輪２４ｃ及び締付けボルト２４ｄよりなる。そして、受
口部２４に替え、他の接続態様（例えば、フランジ接
手）を採ることは勿論自由である。穿孔筒部１Ａと分岐
管部１Ｃとは、分岐連通口２６を介して連通する。該分
岐連通口２６は本実施例では、相隣れる案内突条１６間
に一定の幅（後記する流れ切換弁３の第２弁体のパッキ
ングが当接する）を存して縦長状に形成されている。

【００１５】弁箱体１は、以上のように、配水管Ｐの中
心軸Ｏを含む水平面を境に上部弁箱体１ａと下部弁箱体
１ｂとからなる二つ割体とされ、その衝合端部には、外
方に張り出すフランジ２７が形成され、該フランジ２７
に穿設されたボルト挿通孔に挿通されたボルト・ナット
２８を介して一体的に組み立てられる。

【００１６】弁蓋２ 弁蓋２は、実質的に円板体をなし、厚肉状の縁部は弁箱
体１の受口部内に嵌装されるべく長めにされ、該縁部の
外側面に凹設されたパッキン溝に装着されたパッキン３
０により水密を保持する。該縁部の外側面はまた、パッ
キン３０より上位に受口部のボルト孔１３に対応して係
止ボルト６の先端部６ａを受け入れる係止孔３１が形成
される。弁蓋２の縁部の下端面は流れ切換弁３の上面が
当接し、該流れ切換弁３に対しストッパの機能を果す。
弁蓋２の上面部の中央はボス部３３に形成され、該ボス
部３３の中心には後記する流れ切換弁３の弁棒の挿通す
る弁棒挿通孔３４が開設される。弁蓋２の上面には、円
環状の上蓋５が当接する。該上蓋５の縁部には円周方向
に穿孔筒部１Ａのフランジ部１２のボルト挿通孔に対応
してボルト挿通孔が開設され、両ボルト挿通孔に締付け
ボルト・ナット３６が装着され、上蓋５の固定がなされ
る。

【００１７】流れ切換弁３ 流れ切換弁３は、１つの弁棒３Ａと該弁棒３Ａに螺装さ
れ該弁棒３Ａの回動に伴い互いに逆方向に進退動する２
つの弁体３Ｂ（第１弁体），３Ｃ（第２弁体）とからな
る。すなわち、弁棒３Ａは互いに逆ねじにされた上部ね
じ４０と下部ねじ４１とを有し、第１の弁体３Ｂは下部
ねじ４１に螺合し、その進退により切断部Ｑの孔を開閉
し第２の弁体３Ｃは上部ねじ４０に螺合し、その進退に
より分岐連通孔２６を開閉する。

【００１８】（弁棒３Ａ）もっと詳しくは、弁棒３Ａ
は、互いに逆ねじに形成された上部ねじ４０と下部ねじ
４１とを主体とし、穿孔筒部１Ａの中心軸上に配され、
その下端４２を弁箱体１Ａの下底の案内孔１８に嵌装入
される。その上部の弁軸部４４は弁蓋２の弁棒挿通孔３
４内に挿通され、パッキング４５を介して水密をなすと
ともに、該パッキング４５の上位に配された抜止めリン
グ（二つ割体よりなる）４６を着脱自在に押さえる押え
部材４７が弁蓋２のボス部上に取付け自在に配される。
４８は弁棒３Ａの上端の回動操作部である。

【００１９】（第１弁体３Ｂ）第１弁体３Ｂは、弁棒３
Ａより偏心した位置で切断部Ｑに臨む弁本体５０と該弁
本体５０の下部に弁棒３Ａに向かって延設され、弁棒３
Ａに螺合するねじ螺合部５１と、からなる。すなわち、
弁本体５０は、切断部Ｑを覆う十分な丈高を有し、か
つ、前面部を穿孔筒部１Ａの内周壁面に沿うよう、水平
横断面が実質的に円弧状をなす。そして、切断部Ｑに臨
むべく当該部分は凹部５３をもって切断部Ｑを受け入れ
るように凹設され、このため上部のみ庇部５４に形成さ
れる。この弁本体５０の外側には、凹溝を介してパッキ
ング５５が装着される。図５はこのパッキング５５を取
り出して示したものである。上部前面部５５ａ、側面部
５５ｂは穿孔筒部１Ａの内周面に摺接し、下部５５ｃは
穿孔筒部１Ａの底面に当接する。弁本体５０の両側部に
おいて、案内突条１６内に摺接し、上下動の案内をされ
る。

【００２０】ねじ螺合部５１は、弁本体５０の背面下部
より腕部５７が弁棒３Ａに向かって延設され、該腕部５
７の端部の凹溝内に角状のナット部材５８が共回りを阻
止されて嵌装されてなる。ナット部材５８にはねじ孔５
９が螺設され、該ねじ孔５９に弁棒３Ａの下部ねじ４１
が螺合する。この第１弁体３Ｂにおいては、弁本体５０
の前面を凹部５３としたが、格別凹曲面に形成する必要
はない。

【００２１】（第２弁体３Ｃ）第２弁体３Ｃは、弁棒３
Ａより偏心した位置で分岐孔に臨む弁本体６０と、該弁
本体６０の上部に弁棒３Ａに向かって延設され、弁棒３
Ａに螺合するねじ螺合部６１と、からなる。該第２弁体
３Ｃは実質的に第１弁体３Ｂに準じる構成を採る。すな
わち、弁本体６０は分岐連通口２６を覆うに十分な丈高
を有し、かつ、外側面を穿孔筒部１Ａの内周壁面に沿う
形状とされ、このため、水平横断面が実質的に円弧状を
なす。第１弁体３Ｂとは違い凹部は形成されず、その前
面６３はそのまま分岐連通口２６に臨む。この弁本体６
０の外側には、凹溝を介してパッキング６４が装着され
る。図６はこのパッキング６４を取り出して示したもの
であり、上部前面部６４ａ、側部６４ｂ、下部前面部６
４ｃは穿孔筒部１Ａの内壁面に摺動当接する。弁本体６
０の両側面において、案内突条１６内に摺接し、上下動
の案内をされる。ねじ螺合部６１は、弁本体６０の背面
の上部より腕部６５が弁棒３Ａに向かって延設され、該
腕部６５の端部の凹溝内に角状のナット部材６６が共回
りを阻止されて嵌装されてなる。ナット部材６６にはね
じ孔６７が螺設され、該ねじ孔６７に弁棒３Ａの上部ね
じ４０が螺合する。

【００２２】この弁体３の特徴とするところは、第１弁
体３Ｂと第２弁体３Ｃとが共通する弁棒３Ａに螺合し、
該弁棒３Ａの回動に伴い、それぞれの弁体３Ｂ，３Ｃが
互いに逆方向に移動することである。すなわち、第１弁
体３Ｂが上位にあって切断部Ｑを開放するとき、第２弁
体３Ｃは下位にあり分岐連通口２６を閉塞し、逆に第１
弁体３Ｂが下位にあって切断部Ｑを閉塞するとき、第２
弁体３Ｃは上位に移り分岐連通口２６を開放する。

【００２３】上蓋５は前記したとおり、そのボルト・ナ
ット３６の締込みにより、弁蓋２を本固定する。係止ボ
ルト６はその回動締込みにより、その先端部６ａを弁蓋
２の係止孔３１に係止させ、弁蓋２の浮上りを阻止す
る。７０はキャップである。

【００２４】次に、本実施例の制御弁装置Ｓを配水管Ｐ
に不断水状態で取り付ける工事の手順について述べ、併
せて本制御弁装置Ｓの各部材の作用について説明する
（図７〜図１１参照）。ここでは、水道管分岐工事を例
に採って説明する。すなわち、図７・図８に示すよう
に、配水管Ｐの分岐工事区間の上下流よりバイパス管Ｂ
を分岐させ、旧配水管Ｐを区間Ｌにわたって撤去するも
のである。

【００２５】以下、施工手順に基づいて説明する。 (1) 配水管Ｐの分岐予定位置に、弁蓋２及び流れ切換弁
３を取り外した本装置Ｓの弁箱体１をその上下の二つ割
部分１ａ，１ｂを互いに衝接接合することにより、該配
水管Ｐ回りに水密に取り付ける。このとき、係止ボルト
６は後退させておく。また、弁箱体１の分岐管部１Ｃの
継ぎ手部２４には押輪２４Ｃに替えて盲蓋が仮固定され
る。

【００２６】(2) しかる後、図９に示すように、本制御
弁装置Ｓの穿孔筒部１Ａの上部にフランジ１２を介して
不断水作業用制水弁Ｈ並びに穿孔機Ｉを水密に取り付け
る。次いで、作業用制水弁Ｈを開き、穿孔機Ｉのカッタ
−Ｊを穿孔筒部１Ａ内に挿入し、配水管Ｐを切断する。
図９において、１００は穿孔機Ｉの駆動部、１０２はそ
の回転駆動軸、１０４はその水密筒である。

【００２７】(3) 配水管Ｐの切断片を抱持したカッター
Ｊを作業用制水弁Ｈの上方位置に引き上げ、該制水弁Ｈ
を閉じた状態で穿孔機Ｉを取り外す。

【００２８】(4) 図１０に示すように、弁蓋２に流れ切
換弁３を取り付け、弁体３Ｂ，３Ｃを所定の閉弁状態
（第１弁体３Ｂが上方位置にあり、第２弁体３Ｃが下方
位置にある）に保持し、該流れ切換弁３を弁蓋２を介し
て着脱自在とした弁装入装置Ｋを作業用制水弁Ｈ上に水
密に取り付け、制水弁Ｈを開いて弁蓋２を箱体１の開口
部内に嵌挿入する。このとき、流れ切換弁３の弁体３
Ｂ，３Ｃは穿孔筒部１Ａ内の案内突条１６に沿って挿入
され、かつ、弁棒３Ａの先端４２は穿孔筒部１Ａの底部
の案内孔１８へ嵌挿され、これにより、第２弁体３Ｃが
分岐管部１Ｃの開口２６を閉塞する。この状態で、水流
は通常状態で流れる。

【００２９】しかる後、係止ボルト６を回転前進させ、
その先端部６ａを弁蓋２の係止孔３１に挿入せしめて、
弁蓋２を仮固定する。図１０において、１１０は弁装入
装置Ｋの進退軸、１１２は該進退軸１１０の下端に取り
付けられ、流れ切換弁３との連結をなす継ぎ手、１１４
は本装置Ｋの水密を図る外筒、１１６は該外筒１１４の
作業用窓である。

【００３０】(5) 流れ切換弁３と弁挿入装置Ｋとの係合
を解き、次いで、弁挿入装置Ｋと作業用制水弁Ｈを取り
外す。しかる後、弁蓋２に上蓋５を当接し、締付けボル
ト・ナット３６により本固定する。図１はこの状態を示
す。この状態において、別途配されたバイパス管Ｂを本
装置Ｓの分岐管部１Ｃに接続する。すなわち、分岐管部
１Ｃの継ぎ手部２４の盲蓋が外され、バイパス管Ｂの先
端が継ぎ手部２４内に挿入され、押輪２４Ｃの締込みに
より水密が保持される。

【００３１】(6) 弁蓋２上に突出する弁棒３Ａの回動部
４８を回動し、流れ切換弁３の第１弁体３Ｂを弁箱体１
内に進入させる。第２弁体３Ｃはこれとは逆に上方へ引
き上げられる。これらの弁体３Ｂ，３Ｃは案内突条１６
に沿って上下動される。第１弁体３Ｂの底部が穿孔筒部
１Ａの底部に着底すると配水管Ｐ内の流れは止水側（上
流においては下流側、下流においては上流側）とは遮断
され、一方、第２弁体３Ｃは分岐連通口２６を開放し、
分岐管部１Ｃと連通状態となるので、上記流れは分岐管
部１Ｃを介してバイパス管Ｂへと流れ込む。図１１及び
図２〜図４はこの状態を示す。なお、弁棒３Ａの回動操
作を操作杆を介して手動で行う外、電動機を駆動によれ
ば、回動操作が容易であるとともに遠隔操作が可能とな
り便利である。

【００３２】(7) 分岐区間に含まれる既設の配水管Ｐを
所定区間Ｌにわたって、該配水管Ｐを切断して撤去す
る。しかる後、残部の配水管Ｐが添設管部１Ｂより引き
抜かれ、押輪２１ｃに替えて止水蓋（図８における符号
７２）が施され、既設配水管Ｐは完全に止水される。な
お、このように配水管Ｐの端部を引き抜くことなく、配
水管Ｐの残部管端部に止水蓋を施すこともできる。以上
によって分岐工事は終了する。

【００３３】本実施例の制御弁装置Ｓは叙上の態様で使
用されるものであるので、弁蓋２を取り付けた後、流れ
切換弁３の２つの弁体３Ｂ，３Ｃの交互の進退により通
水及び断水が自由であり、不断水工事の融通性が高い。
このため、バイパス管Ｂの配管作業における自由度が大
きくなり、合理的な工事設計を行うことができる。特
に、分岐管部１Ｃは配水管Ｐと同一水平位置に配される
うえ、弁体３Ｂ，３Ｃの上下動のストロークが短かく、
このため弁箱体１の丈高が短小化され、掘削土量の減少
をなすことができる。叙上の実施例では分岐管配設工事
を例に採ったが、所定区間Ｌの布設替え工事への適用は
上記工事の手順に準じて容易に実施できる。

【００３４】本発明は上記実施例に限定されるものでは
なく、本発明の基本的技術思想の範囲内で種々設計変更
が可能である。すなわち、以下の態様は本発明の技術的
範囲内に包含されるものである。 弁箱体１の分岐管部１Ｃは流体管Ｐの管軸に斜めに配
する態様を採ることもできる。また、本実施例では穿孔
筒部１Ａと分岐管部１Ｃとは絞り込んだ細長状の分岐連
通口２６を介して連通するが、分岐筒部１Ｃの口径が十
分に小さく、あるいは細長であればそのまま連通するこ
とができる。従って、この場合においては、分岐管部１
Ｃは既設配水管Ｐの中心軸Ｏより若干ずれて配されても
よい。 弁箱体１の添設管部１Ｂは必須のものではなく、穿孔
筒部１Ａの配水管Ｐに臨む開口で水密にかつ固定できる
ものであればよい。すなわち、溶接接合はこの態様を満
たす。

【００３５】Ｃ．発明の効果 本発明の不断水挿入流体制御弁装置によれば、流れ切換
弁の開弁閉弁動作が短いストロークで行うことができ、
かつ、流水は方向転換に際し上下動をすることなく直ち
に分岐部に流れ出る。このため、本装置全体の丈高を低
く抑えることができ、設置場所の融通性が高く、また、
流水の損失水頭が少なく、長期の使用において経済性を
発揮する。そして、本装置を設置した後、バイパス管を
配すればよく、時期を選ぶことができ、作業の融通性が
向上する。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の不断水挿入流体制御弁装置の一実施例
装置の閉弁状態の全体を示す縦断面図。

【図２】その開弁状態の図１と同様の縦断面図。

【図３】図２の III−III 線断面図。

【図４】図３のIV−IV線断面図。

【図５】流れ切換弁の第１弁体に装着されるパッキンの
全体斜視図。

【図６】流れ切換弁の第２弁体に装着されるパッキンの
全体斜視図。

【図７】水道管分岐工事の作業工程の初期状態を示す平
面図。

【図８】水道管分岐工事の作業工程の終了状態を示す平
面図。

【図９】水道管分岐工事の作業工程の初期工程を示す断
面図。

【図１０】水道管分岐工事の作業工程の中間工程を示す
断面図。

【図１１】水道管分岐工事の作業工程の終了工程を示す
断面図。

【符号の説明】

Ｐ…流体管、Ｑ…切断部、１…弁箱体、１Ａ…穿孔筒
部、１Ｃ…分岐管部、２…弁蓋、３…流れ切換弁、３Ａ
…弁棒、３Ｂ…第１弁体、３Ｃ…第２弁体、２６…分岐
連通口

Claims (3)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】既設流体管の分岐位置の切断部に跨って水
   密に組み付けられ、その上端に開口部を有するととも
   に、該既設流体管よりも大径にして、かつ該既設流体管
   に直交して配される穿孔筒部と、該穿孔筒部の側面に
   おいて前記既設流体管と同一平面位置もしくはその近傍
   位置に突設された分岐管部と、を備えた分岐管付き弁箱
   体と；前記分岐管付き弁箱体の穿孔筒部の開口部に嵌装
   して水密に配される弁蓋と；１つの弁棒と２つの弁体と
   からなり、前記弁棒は前記弁蓋に装着されて、前記分岐
   管付き弁箱体の穿孔筒部の中心軸上に配され、前記２つ
   の弁体は前記弁棒に共通して螺装され、前記穿孔筒部内
   を互いに独立して交互に進退自在とされ、一方の第１弁
   体は切断部を開閉し、他の第２弁体は分岐管部を開閉す
   る流れ切換弁と；からなることを特徴とする不断水挿入
   流体制御弁装置。
2. 【請求項２】穿孔筒部と分岐管部とは分岐連通口を介し
   て連通するとともに、第２弁体はこの分岐連通口を閉塞
   するに十分な大きさの弁本体を有する請求項１に記載の
   不断水挿入流体制御弁装置。
3. 【請求項３】１つの弁棒と２つの弁体とからなり、該弁
   棒は弁箱体の中心軸上に配され、前記２つの弁体は前記
   弁棒に共通して螺装され、前記弁箱体内を互いに独立し
   て交互に進退自在とされ、２つの弁口を互いに開閉する
   流れ切換弁。