JPH0527388Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案は枚葉印刷機において、印刷後搬送され
て紙積装置上へ排出される紙のうちから刷見本を
抜き取つて排出する刷見本排紙装置に関するもの
である。

〔従来の技術〕

枚葉印刷機において、印刷ユニツトで印刷され
た紙は、排紙チエーンの爪で咥えられて搬送され
たのち搬送終端部で爪から解放され、紙積装置上
に落下して積載される。このような印刷作業にお
いて、作業者は排出される印刷物のインキ、水の
濃度等が適正で不良印刷が行なわれていないかを
随時確認する必要がある。そこで従来、紙受けを
設けてこれを排紙落下径路へ水平に素早く進退さ
せ、１〜３枚の紙を抜き取つて正規の刷見本と比
較することが行なわれている。

しかしながら、このような装置においては、紙
受を進退させるときにこれが印刷紙に触れて印刷
面を汚したり、あるいは既に積載された紙の揃え
を乱したりするばかりでなく、作業者が絶えず排
紙部に位置する必要があつて作業能率が悪かっ
た。

そこで、本出願人は、特開昭58−47749号公報
に示されているように、正紙用紙積台の後方に別
の排紙受けを設けてカムの揺動により排紙爪の排
解放位置を紙積台上方と排紙受け上方とへ選択的
に切替える装置を提案した。

〔考案が解決しようとする問題点〕

しかしながら、このような先願の装置は、排紙
搬送方向と直交する方向へ積載紙を取り出す機種
のものには好適であるが、排紙搬送方向へ向つて
積載紙を取り出す機種のものの場合には、取り出
し方向に刷見本用紙受が突出しているので、作業
がやりにくいという不具合があつた。また、印刷
速度が遅い場合には、紙の走行慣性が小さいため
に紙が紙受けに達せず、排紙チエーンの走行とと
もに周回してくる後続の排紙爪が排紙中の刷見本
を巻き上げることがあつた。

本考案は以上のような点に鑑みなされたもの
で、機台後方へ積載紙の取り出しを妨げることな
くかつ印刷速度にかゝわらず円滑な刷見本の排紙
を可能にした枚葉印刷機の刷見本排紙装置を提供
することを目的としている。

〔問題点を解決するための手段〕

この目的を達成するために本考案では、排紙爪
による刷見本の咥え解放位置下方に設けた刷見本
用吸引移送装置の排紙移送下流側に、排紙受けを
水平姿勢よりも先端部が低くならないように突設
し、前記吸引移送装置を、排紙搬送上・下流側の
プーリと、これら両プーリ間に配設され多数の吸
引孔を有する吸引面を備えた吸気箱と、前記両プ
ーリ間に張架され吸気箱の吸引面にほゞ摺接して
走行し多数の吸引孔を有するベルトとで構成する
とともに、前記排紙移送下流側プーリを中空状に
形成してその内孔に圧縮にエア源を接続しこのプ
ーリの周面にエア噴出孔を設けた。

〔作用〕

排紙爪の咥えから解放された刷見本は、吸気箱
にほゞ摺接して走行するベルトに吸引されながら
移送され、この刷見本は排紙移送下流側プーリを
経て排紙受け上に排出される。この排出に際し刷
見本は誤つて下流側プーリの周面に密着して巻き
込まれようとすることがあるが、本装置ではエア
噴出孔から噴出するエアがこの刷見本に吹き付け
られるので、刷見本はプーリの周面から剥離さ
れ、巻き込まれることがない。

〔実施例〕

第１図ないし第４図は本考案に係る刷見本排紙
装置の実施例を示し、第１図はその側面図、第２
図は同じく一部破断して示す展開平面図、第３図
はエア吹きの側面図、第４図は同じく一部破断平
面図である。図示しない印刷装置側に設けられた
左右一対のスプロケツトと、排紙装置１のスプロ
ケツト軸２に軸着された左右一対のスプロケツト
３との間には、図に矢印Ａで示す方向に走行する
排紙チエーン４がそれぞれ張架されており、左右
の排紙チエーン４間に一定間隔で支架された複数
個の爪軸、爪台軸からなる各爪竿（図示せず）上
には、互いに対向する爪と爪台とからなる複数組
の排紙爪５（以下爪５と略称する）が並設されて
いる。そして、爪５は、爪と爪台との間で紙６を
咥え排紙チエーン４の走行によりこれを搬送する
とともに、搬送終端部に設けた爪開きカム７に爪
５側のカムフオロアを当接させることにより爪５
が開いて紙６を咥えから解放するように構成され
ている。そして、カム７は、これに付設した排紙
位置調整装置（図示せず）の作動により例えばカ
ム７を鎖線７Ａで示す移置へ移動させることによ
り、符号５で示す位置で開いていた爪５が符号５
Ａで示す位置で開くごとく調整されるように構成
されている。８は、排紙チエーン４の搬送終端部
下方に昇降自在に配設された紙積台であつて、符
号５で示す位置で爪５の咥えから解放された正規
の紙６は、落下中、紙当９に先端を当接させて紙
端を揃えられたのち紙積台８上に積載されるよう
に構成されている。

上記カム７の符号７Ａで示す位置への移動は、
前述した刷見本の採取時に行なわれるものであつ
て、符号５Ａで示す位置で開いた爪５Ａは、刷見
本６Ａを咥えてから解放して以下説明する排紙受
け上へ排紙するように構成されている。すなわ
ち、前記スプロケツト軸２を軸支する左右の排紙
フレーム１０には、全体を符号１１で示す吸引移
送装置の駆動軸１２が、排紙フレーム１０の外側
で原動側と駆動連結されて回転自在に軸支されて
いて第１図の時計方向へ回転しており、また駆動
軸１２の前方でこれよりもやゝ高い位置には、支
軸１３が左右の排紙フレーム１０に固定されて支
架されている。１４は両軸１２，１３に支持され
て軸方向に並列する複数個の小判形プレートであ
つて支軸１３に固定されており、駆動軸１２には
遊装されている。このプレート１４には、側面視
を逆台形状に形成されて上方へ開口する箱状の通
気箱１５が、ボルト１６で固定されて両軸１２，
１３間に配設されており、両軸１２，１３上に
は、プーリ１７，１８が吸気箱１５を挾んでそれ
ぞれ設けられている。このうちプーリ１７は駆動
軸１２に固定されており、プーリ１８は支軸１３
に遊装されていて両プーリ１７，１８間には、多
数の吸引孔１９ａを有するベルト１９が張架され
ている。駆動軸１２によるプーリ１７の回転によ
り周回するベルト１９の吸引孔１９ａは、吸気箱
１５の内部と連通されており、またプーリ１８の
周面には、吸引孔１９ａと連通する環状のエア通
路１８ａが設けられている。通気箱１５内部と図
示しないエア源の吸気側とは、プレート１４に設
けた吸気口１４ａとエアホース等を介して接続さ
れており、また、プレート１４に設けた吐出口１
４ｂはエア通路１８ａと連通しているとともに、
エアホー２等を介してエア源の排気側に接続され
ている。そして、プーリ１８を回転させてエア源
を作動することにより、ベルト１９の吸引孔１９
ａから吸引された大気が吸気箱１５内部と吸気口
１４ａおよびエアホース等を経てエア源に向い、
またエア源からのエアはエアホース等と吐出口１
４ｂおよびエア通路１８ａを経てベルト１９のプ
ーリ１８側吸込孔１９ａから吹き出すように構成
されている。さらに周回するベルト１９の上方に
は、吸引移送装置１１の構成部材としてのエア吹
き板２０が配設されている。すなわち、支軸１３
の上方には、前方エア源の排気口と接続された中
空状のエア管２１が左右の排紙フレーム１０間に
支架されており、細長い長方形状に形成されたエ
ア吹き板２０は、基端の固定部２０ａをこのエア
管２１に割締め固定されている。このエア吹き板
２０は、エア管２１との間をエア通路２０ｂで連
通された中空部２０ｃを備えており、中空部２０
ｃには多数のエア吹き孔２０ｄがベルト１９に向
つて開口されている。なお、エア吹き板２０とベ
ルト１９とは、互に対向して前記爪５とは機幅方
向へ位相を違えて配設されている。このように構
成することにより、符号５Ａで示す位置で爪の咥
えから解放された刷見本６Ａは、吸引孔１９ａか
らの吸引とエア吹き孔２０ｄからのエア吹きとに
よつてベルト１９に圧着され、ベルト１９の周囲
とともに移送されるとともに、移送終端部におい
て吸込孔１９ａから吹き出すエアによつてベルト
１９から解放される。

このように構成された吸引移送装置１１の移送
終端部である支軸１３からは、全体を符号２２で
示す排紙受けが前方へ突設されている。この排紙
受け２２は、排紙フレーム１０に隣接して支軸１
３に基端部のボスを遊装された左右一対の支持管
２２ａと、その基端を連結するステー２２ｂと、
両側の支持管２２ａの間にこれと平行して突出す
る複数個の支持管２２ｃと、全部の支持管２２
ａ，２２ｃの中間部を連結するステー２２ｄとで
支持部を枠組形成されており、各支持管２２ａ，
２２ｃには、横バー２２ｅで先端部を連結された
縦バー２２ｆが進退自在に嵌入されている。この
ように構成された排紙受け２２は、排紙作業中、
第１図に鎖線で示すように先端部が基端部よりも
高くなるように傾斜して前方へ突出しており、左
右の排紙フレーム１０に突設されたストツパ２３
によつて下向きへの回動を規制されている。ま
た、排紙作業中、縦バー２２ｆは支持管２２ａ，
２２ｃから引き出されている。そして、排紙受け
２２は、印刷作業が終ると縦バー２２ｆを支持管
２２ａ，２２ｃ内へ押込んで収納したのち、第１
図に実線で示すように起立させることによりこれ
を収納し、マグネツト２４への吸着によつて固定
するように構成されている。

以上のように構成された刷見本排紙装置の排紙
動作を説明する。通常の印刷作業時には、カム７
が第１図の実線位置にあり、排紙チエーン４の走
行により爪５に咥えられて搬送された印刷後の紙
６は、符号５で示す位置においてカムフオロアが
カム７に当接することによる爪５の開放によりそ
の咥えから解放され、紙積台８上へ排紙積載され
る。

そして、印刷作業中に刷見本６Ａを採取する場
合には、押しボタン操作等によるシリンダ作動等
でカム７を鎖線７Ａで示す位置へ移動させると、
排紙チエーン４の走行とともに周回する爪５は符
号５Ａで示す位置で開いて刷見本６Ａを咥えから
解放する。解放された刷見本６Ａは、先端部をエ
ア吹き板２０と走行するベルト１９とで捕捉さ
れ、吸引孔１９ａからの吸引とエア吹き孔２０ｄ
からのエア吹きとでベルト１９の表面に圧着され
て移送される。移送された刷見本６Ａは、排紙受
け２２上へ送り出されるが、このときプーリ１８
に添接されるベルト１９の吸引孔１９ａからはエ
アが吹き出しているので、刷見本６Ａはベルト１
９に巻付くことなく排紙される。

なお、前記実施例における刷見本の排紙は、制
御回路の設定により例えば押ボタンを押し続けて
いる間、何枚でも続けて排紙受け上へ排紙するこ
ともできるし、またカウンタにより正紙の一定枚
数排紙ごとに刷見本を排紙することもできる。

〔考案の効果〕

以上の説明により明らかなように、本考案によ
れば枚葉印刷機の刷見本排紙装置において、排紙
爪による刷見本の咥え解放位置下方に設けた刷見
本用吸引移送装置の排紙移送下流側に、排紙受け
を水平姿勢よりも先端部が低くならないように突
設し、前記吸引送装置を、排紙搬送上・下流側の
プーリと、これら両プーリ間に配設され多数の吸
引孔を有する吸引面を備えた吸気箱と、前記両プ
ーリ間に張架され吸気箱の吸引面にほゞ摺接して
走行し多数の吸引孔を有するベルトとで構成した
ことにより、爪の咥えから解放された刷見本は吸
引移送装置上に乗り吸引されて強制的に排紙受け
まで移送されるので、印刷速度が遅くても刷見本
が確実に排紙受けに到達して排紙されるととも
に、後続する紙を巻き上げることがない。また、
排紙受けが紙積台上の積載紙よりも上方にあるの
で、積載紙の運搬等を邪魔することがなく作業性
が向上する。さらに、前記両プーリのうちの排紙
移送下流側プーリを中空状に形成してその内部に
圧縮エア源を接続しこのプーリの周面にエア噴出
孔を設けたことにより、このプーリを経て排紙受
け上に排出される刷見本には、噴出孔から噴出す
るエアが吹き付けられるので、誤つえ下流側プー
リの周面に密着し巻き込まれようとする刷見本
は、プーリの周面から剥離されるので、プーリに
巻き込まれることがなく、円滑な排紙が行われ
る。

【図面の簡単な説明】

第１図ないし第４図は本考案に係る枚葉印刷機
の刷見本排紙装置の実施例を示し、第１図はその
側面図、第２図は同じく一部破断して示す展開平
面図、第３図はエア吹きの側面図、第４図は同じ
く一部破断平面図である。 ５，５Ａ……排紙爪、６Ａ……刷見本、１７，
１８……プーリ、１９……ベルト、１９ａ……吸
引孔、２２……排紙受け。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 正規の咥え解放位置よりも搬送下流側で開く排
   紙爪の咥えから解放された刷見本を排紙受け上に
   排紙する枚葉印刷機の刷見本排紙装置において、
   前記刷見本の咥え解放位置下方に、刷見本を吸引
   しながら移動してこの刷見本を移送する吸引移送
   装置を設け、この吸引移送装置の排紙移送下流側
   に、前記排紙受けを水平姿勢よりも先端部が低く
   ならないように突設するとともに、前記吸引移送
   装置を、排紙搬送上・下流側のプーリと、これら
   両プーリ間に配設され多数の吸引孔を有する吸引
   面を備えた吸気箱と、前記両プーリ間に張架され
   前記吸気箱の吸引面にほゞ摺接して走行し多数の
   吸引孔を有するベルトとによつて構成し、前記両
   プーリのうちの排紙移送下流側プーリを中空状に
   形成してその内部に圧縮エア源を接続し刷見本に
   エアを吹き付けてこのプーリに巻付けられようと
   する刷見本を剥離するエア噴出孔をこのプーリの
   周面に設けたことを特徴とする枚葉印刷機の刷見
   本排紙装置。