JPH0639848U - 枚葉印刷機の排紙装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 排紙積載装置を通過する際に、紙があばれに
よる傷や擦れの発生を防ぐ。 【構成】 第１パイル７の上面を覆うガイド位置と上面
を開放する退避位置との間を移動自在な紙ガイド２１を
紙当９側に設け、紙ガイド２１をガイド位置に進めるこ
とで紙６が通過する第１パイル７の上面が覆われ、紙ガ
イド２１によって通過する紙６がガイドされ、紙６の後
端のあばれやばたつきをなくし、紙６に傷や擦れが生じ
ることを防ぐ。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は、枚葉印刷機において印刷後搬送された紙を、搬送方向に並列する複 数組の排紙積載装置へ交互に排出する排紙装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】

枚葉印刷機において、印刷装置で印刷された紙は、印刷胴の爪から排紙チェー ンの排紙爪にくわえ替えられ、排紙チェーンの走行とともに搬送される。その後 、紙積台上で排紙爪から解放され、紙積台へ落下して積載される。

【０００３】 図５に基づいて従来の排紙装置を説明する。図５には従来の排紙装置の概略構 成を示してある。

【０００４】 印刷装置１側の圧胴２には排紙胴３が対向して設けられ、排紙胴３には排紙チ ェーン４が巻回されている。排紙チェーン４には多数の排紙爪５が設けられ、印 刷された紙６は排紙胴３から排紙爪５にくわえ替えられて排紙チェーン４の走行 とともに搬送される。

【０００５】 紙６の搬送方向には二組の排紙積載装置７，８（第１パイル７，第２パイル８ ）が並設されている。紙６は第１パイル７もしくは第２パイル８上で排紙爪５か ら解放され、第１パイル７もしくは第２パイル８に落下して積載される。

【０００６】 第１パイル７及び第２パイル８の搬送方向前側には紙当９が設けられ、排紙爪 ５から解放された紙６の先端は紙当９に当接して搬送方向に位置決めされて停止 する。また、第１パイル７及び第２パイル８の搬送方向後側には吸引車１０が搬 送方向に移動自在に設けられ、排紙爪５から解放された紙６の後端は吸引車１０ に吸引される。紙６の後端が吸引車１０に吸引されることにより、紙６が減速さ れ紙当９に当接する衝撃が緩和される。尚、吸引車１０は紙６のサイズに応じて 自動的に位置決めされるようになっている。

【０００７】 上述した排紙装置では、紙６は先ず第１パイル７上に積層され、積載量が所定 量に達すると紙６は第２パイル８に排紙される。第２パイル８に紙６を排紙して いる間に、第１パイル７に積まれた紙６を機外に取出すと共に次の排紙に備える 。第２パイル８の紙６の積載量が所定量に達すると、再び第１パイルに紙６を排 紙して第２パイル８に積まれた紙６を機外に取出す。これを繰り返して第１パイ ル７及び第２パイル８で交互に排紙することで、機械を停止することなく連続運 転が可能となる。これにより、生産性向上を図ることができる。

【０００８】 また、第１パイル７及び第２パイル８を備えることで、図示しない不良紙検出 装置で不良紙を検出し、不良紙のみを第２パイル８に排紙したり、印刷の検査等 により検査する任意の紙６のみを第２パイル８に取出すことも可能となる。

【０００９】

【考案が解決しようとする課題】

上述した排紙装置では、紙６を第２パイル８に排紙させる場合、排紙爪５にく わえられた紙６は第１パイル７上を通過するが、紙６の後端部はフリーでありば たつきやあばれが生じる。その際、搬送中の紙６が第１パイル７に接触して傷が 付いたり擦れが生じる虞や、第１パイル７に積まれた印刷紙のインクが付着する 虞があり、印刷品質上問題があった。また、第１パイル７に積まれた紙６にも傷 や擦れが生じると共に紙揃えがくずれる虞があった。

【００１０】

【課題を解決するための手段】

上記課題を解決するための本考案の構成は、紙端を保持して走行する搬送手段 と、紙の搬送方向に複数組並設される排紙積載装置と、紙の搬送方向後側におけ る排紙積載装置の上部に設けられる紙当とを備えた枚葉印刷機の排紙装置におい て、紙の搬送方向の最も後側以外の排紙積載装置の紙当側に設けられ排紙積載装 置の上面の少なくとも搬送方向後側を覆うガイド位置と上面を開放する退避位置 との間を移動自在な紙ガイド部材を備えたことを特徴とする。

【００１１】

【作用】

搬送手段によって搬送される紙が排紙積載装置上を通過する際、紙ガイドが上 面に進出し、紙ガイドによって紙の後端がガイドされて通過する排紙積載装置に 紙が接触することがない。

【００１２】

【実施例】

図１には本考案の一実施例に係る枚葉印刷機の排紙装置の全体構成を示してあ る。尚、図５で示した部材と同一物には同一符号を付して重複する説明は省略す る。

【００１３】 第１パイル７の紙当９側には紙ガイド部材（紙ガイド）２１が設けられ、紙ガ イド２１は搬送方向後側から第１パイル７の上面を覆うようになっている。

【００１４】 図２乃至図４に基づいて紙ガイド２１を説明する。図２には紙ガイド２１の平 面、図３には図２中のIII-III 線矢視、図４には紙ガイド２１の側面を示してあ る。

【００１５】 図において、２２は紙当軸であり、紙当軸２２は搬送方向に直交して第１パイ ル７（第２パイル８）の前側におけるフレーム２３に回動自在に支持されている 。紙当軸２２には、紙当９が複数個（図示例では５個）取付けられ、紙当軸２２ の回動によって５個の紙当９が同時に立つようになっている。

【００１６】 第１パイル７（紙６の搬送方向の最も後側以外の排紙積載装置）の紙当軸２２ 側のフレーム２３には搬送方向に沿って延びるガイド２４がそれぞれ取付けられ 、各ガイド２４にはベアリング２５を介して紙当軸２２と平行に延びるベース２ ６の両端が支持されている。ベース２６には複数個（図示例では９個）の支持板 ２７が立設され、各支持板２７には紙受け２８が取付けられ、紙受け２８はベー ス２６に対して紙６の搬送方向前側に延びている。紙受け２８の長さは最小紙の 紙６の寸法に略等しく、紙受け２８には多数のコロ２９が取付けられている。ベ ース２６がガイド２４に沿って移動することにより、紙受け２８は第１パイル７ の搬送方向後側の上面を覆うガイド位置と、上面を開放する退避位置との間を移 動自在になっている。

【００１７】 搬送方向後端における各フレーム２３にはベース２６と平行に延びる固定ベー ス３０の両端が取付けられている。固定ベース３０には中心Ｐを挾んで中心寄り の対称位置に長孔３１，３２が形成され、ベース２６には中心Ｐを挾んでフレー ム２３寄りの対称位置に長孔３３，３４が形成されている。中心Ｐを挾んで反対 側の長孔３１，３４及び長孔３２，３３にはカムフォロア３５，３６を介してレ バー３７，３８の両端が支持され、レバー３７，３８は中心位置で交差する状態 になっている。ベース２６の移動により、長孔３１，３４及び長孔３２，３３内 をカムフォロア３５，３６が移動する。

【００１８】 中心Ｐの位置にはエアシリンダ３９が固定され、エアシリンダ３９の駆動ロッ ド４０は紙６の搬送方向に往復駆動される。レバー３７，３８の交差部４１は互 いに回動自在に結合され、更に交差部４１は駆動ロッド４０に回動自在に支持さ れている。つまり、エアシリンダ３９の駆動で駆動ロッド４０が伸縮することに より、交差部４１が搬送方向に移動し、レバー３７，３８の両端がカムフォロア ３５，３６を介して長孔３１，３３及び長孔３２，３４内を移動し、ベース２６ が搬送方向に往復移動する。

【００１９】 上述した排紙装置では、紙６は先ず第１パイル７上に積層され、積載量が所定 量に達すると紙６は第２パイル８に排紙される。第２パイル８に紙６を排紙して いる間に、第１パイル７に積まれた紙６を機外に取出すと共に次の排紙に備える 。第２パイル８の紙６の積載量が所定量に達すると、再び第１パイル７に紙６を 排紙して第２パイル８に積まれた紙６を機外に取出す。これを繰り返して第１パ イル７及び第２パイル８で交互に排紙する。

【００２０】 第１パイル７に紙６が積まれている間は、エアシリンダ３９の駆動によりベー ス２６が搬送方向前側に移動し、紙受け２８が第１パイル７の上面から退避して 第１パイル７の上面を開放する（図中鎖線で示した状態）。この時、紙当９は立 った状態となると共に、吸引車１０が前進して紙６の後端を吸引する。

【００２１】 第１パイル７の積載量が所定量に達すると、切替信号により、第１パイル７側 の紙当９が倒れると共に第２パイル８側の紙当９が立った状態になる。同時に、 エアシリンダ３９の駆動によりベース２６が搬送方向後側に移動し、紙受け２８ が第１パイル７の上面を覆う（図中実線で示した状態）。紙６は第１パイル７を 通過して第２パイル８に排紙され、第１パイル７上を通過する際、紙６の後端部 は紙受け２８及びコロ２９にガイドされ、あばれやばたつきを起こすことがない 。

【００２２】 紙受け２８の長さは最小紙の寸法に合わせて設定され、最小紙の紙６が排紙さ れている場合、紙受け２８で第１パイル７の全面を覆った状態になる。また、最 大紙の紙６が排紙されている場合、図１に示すように、第１パイル７の搬送方向 後側の略半分を覆った状態になる。

【００２３】 最大紙の紙６を第２パイル８に排紙する場合、第１パイル７及び第２パイル８ の吸引車１０をそれぞれ搬送方向前側に移動させて紙６の後端を吸引する。この 時、第１パイル７の吸引車１０と紙受け２８の先端との間で紙６の後端がフリー になる部分が生じるが、紙６の後端が吸引車１０を離れた直後は安定を保って搬 送される。このため、紙６の後端にあばれやばたつきが生じる時点では紙受け２ ８にガイドされる状態になり、紙受け２８の長さが最小紙の寸法に設定されてい ても、吸引車１０を併用することで最大紙の紙６のガイドが可能となる。

【００２４】 上述した排紙装置では、紙６が第１パイル７を通過する際に、紙６の後端が紙 受け２８にガイドされるためあばれやばたつきが生じることがない。このため、 第１パイル７に紙６の後端が接触することがなくなり、紙６に傷や擦れ及びイン クの付着等が生じることがなく、第１パイル７に積まれた紙の紙揃えがくずれる ことがない。また、紙当９側から紙受け２８を移動させて第１パイル７を覆うよ うにしているため、紙受け２８の長さを短かくすることができ、紙受け部材の小 型化が図れる。

【００２５】 また、２本のレバー３７，３８によってベース２６を移動させて紙受け２８の 進退を行なっているので、エアシリンダ３９のストロークを短かくすることがで きる。このため、紙受け部材２１の小型化と高速化が図れ、高速印刷機への対応 が可能となる。

【００２６】 尚、上記一実施例では排紙積載装置（パイル）を２組設けた排紙装置を例に挙 げて説明したが、３組以上のパイルを備えた排紙装置に適用することも可能であ る。また、ベース２６の駆動をエアシリンダ３９を用いて行なったが、モータと 送りねじ等を用いてベース２６を駆動しても良い。

【００２７】

【考案の効果】

本考案の枚葉印刷機の排紙装置は、排紙積載装置の上面を覆うガイド位置と上 面を開放する退避位置との間を移動自在な紙ガイド部材を紙当側に設けたので、 紙ガイド部材をガイド位置に進めることで紙が通過する排紙積載装置の上面が覆 われ、紙ガイド部材によって通過する紙がガイドされ、紙の後端にあばれやばた つきが生じることがなくなる。この結果、排紙積載装置に紙の後端が接触せず、 搬送される紙や積載された紙に傷や擦れが生じるとがなくなり、製品の品質低下 を防ぐことができる。また、紙ガイド部材を紙当側から進退自在としているため 、紙ガイド部材を小型化し進退ストロークを短かくすることができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案の一実施例に係る枚葉印刷機の排紙装置
の全体構成図。

【図２】紙ガイドの平面図。

【図３】図２中のIII-III 線矢視図。

【図４】紙ガイドの側面図。

【図５】従来の枚葉印刷機の排紙装置の全体構成図。

【符号の説明】

６ 紙 ７ 第１パイル ８ 第２パイル ９ 紙当 ２１ 紙ガイド部材（紙ガイド） ２３ フレーム ２４ ガイド ２６ ベース ２８ 紙受け ３０ 固定ベース ３１，３２，３３，３４ 長孔 ３７，３８ レバー ３９ エアシリンダ ４０ 駆動ロッド

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 紙端を保持して走行する搬送手段と、紙
   の搬送方向に複数組並設される排紙積載装置と、紙の搬
   送方向後側における排紙積載装置の上部に設けられる紙
   当とを備えた枚葉印刷機の排紙装置において、紙の搬送
   方向の最も後側以外の排紙積載装置の紙当側に設けられ
   排紙積載装置の上面の少なくとも搬送方向後側を覆うガ
   イド位置と上面を開放する退避位置との間を移動自在な
   紙ガイド部材を備えたことを特徴とする枚葉印刷機の排
   紙装置。