JPH05270821A - 立方体状炭酸カルシウムの製造方法 - Google Patents

立方体状炭酸カルシウムの製造方法

Info

Publication number
JPH05270821A
JPH05270821A JP6243791A JP6243791A JPH05270821A JP H05270821 A JPH05270821 A JP H05270821A JP 6243791 A JP6243791 A JP 6243791A JP 6243791 A JP6243791 A JP 6243791A JP H05270821 A JPH05270821 A JP H05270821A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
carbon dioxide
slurry
calcium hydroxide
reaction
calcium
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP6243791A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2868329B2 (ja
Inventor
Kazuo Iriko
一雄 入交
Eiji Kanazawa
英爾 金沢
Yoshitami Kiyotani
悦民 清谷
Isao Matsushita
功 松下
Yuji Nomura
祐二 野村
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Toyo Denka Kogyo Co Ltd
Original Assignee
Toyo Denka Kogyo Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Toyo Denka Kogyo Co Ltd filed Critical Toyo Denka Kogyo Co Ltd
Priority to JP3062437A priority Critical patent/JP2868329B2/ja
Publication of JPH05270821A publication Critical patent/JPH05270821A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP2868329B2 publication Critical patent/JP2868329B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Classifications

    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C01INORGANIC CHEMISTRY
    • C01FCOMPOUNDS OF THE METALS BERYLLIUM, MAGNESIUM, ALUMINIUM, CALCIUM, STRONTIUM, BARIUM, RADIUM, THORIUM, OR OF THE RARE-EARTH METALS
    • C01F11/00Compounds of calcium, strontium, or barium
    • C01F11/18Carbonates
    • C01F11/182Preparation of calcium carbonate by carbonation of aqueous solutions and characterised by an additive other than CaCO3-seeds

Landscapes

  • Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Organic Chemistry (AREA)
  • Life Sciences & Earth Sciences (AREA)
  • Geology (AREA)
  • Inorganic Chemistry (AREA)
  • Compounds Of Alkaline-Earth Elements, Aluminum Or Rare-Earth Metals (AREA)
  • Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)
  • Paper (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】 本発明の目的は、粒子径0.2μ〜1μの分
散性のよい立方体状炭酸カルシウムの安価かつ効率的な
製造方法を提供することである。 【構成】 本発明の方法は、アルカリ性条件においてC
aイオンと錯塩を形成する物質を添加した水酸化カルシ
ウムスラリーに炭酸ガスまたは炭酸ガス含有気体を導入
して水酸化カルシウムの炭酸化を行い、ついでスラリー
の粘度が変化して最大値に達する前に炭酸ガスの導入を
停止し(第1段工程)、次に該反応途中に前記スラリー
に酸化カルシウムを投入しこの酸化カルシウムを水和さ
せ(第2段工程)、その後該スラリーに再び炭酸ガスま
たは炭酸ガス含有気体を導入して反応を終了させる(第
3段工程)ことよりなる。また、第2段工程において使
用する酸化カルシウムを予め吸湿処理するのが好まし
い。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、カルサイト型立方体状
炭酸カルシウムの製造方法に関するものであり、更に詳
しく言えば、製紙塗工用顔料や、製紙内填用充填剤、プ
ラスチック用充填剤、塗料用充填剤等として好適なカル
サイト型立方体状炭酸カルシウムを安価にかつ効率的に
製造する方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、粒子径0.1μ〜1.0μの立方
体状炭酸カルシウムを製造する技術として特許出願され
ているものは、大別して二つのタイプに分類することが
出来る。
【0003】その一つは、粒子径0.1μ以下のコロイ
ド立方体状炭酸カルシウムを種とし、この0.1μ以下
の立方体状炭酸カルシウムに水酸化カルシウムを添加し
炭酸化を行うことによって、0.1μ以下の種粒子を成
長させようとするものである。もう一つは、特定の水酸
化カルシウムスラリーの液温を20℃以下の低温に調整
し、かつ炭酸ガスの流量を調整することによって粒子径
0.1μ〜1.0μの立方体状炭酸カルシウムを製造す
るものである。
【0004】最初のコロイド立方体状炭酸カルシウムを
種として水酸化カルシウムを添加成長させる方法として
は、分散性のよい立方体状炭酸カルシウムを得るために
種々の特許が出願されている。
【0005】例えば特公昭54−28397号には、粒
子径0.1μ以下の立方体状炭酸カルシウムに水酸化カ
ルシウムを加えたスラリーを噴霧し、炭酸ガス含有気体
と接触させる工程を繰り返すことによって少しずつ粒子
を成長させ、粒子径0.1μ〜1.0μの立方体状炭酸
カルシウムを製造する方法が開示されている。該方法で
は一度に多量の水酸化カルシウムを添加すると、炭酸ガ
スとの反応時析出した炭酸カルシウムは種粒子を成長さ
せる以外に別に核を形成し、種粒子同志の凝集を引き起
こすので、1回の操作には少量の水酸化カルシウムしか
添加することが出来ず、種粒子の成長は極わずかであ
る。それ故に粒子径を0.2μ以上に大きくするために
は、かなり多くの操作回数を必要とし、工程がきわめて
煩雑となる。該特許出願の実施例によると、種粒子に
0.08μの立方体状炭酸カルシウムを使用した場合、
粒子径を0.15μにする為には5段階操作を必要と
し、又粒子径を0.5μとする為には実に20段階もの
繰り返し操作を必要とする。又粒子径を0.2μ以上に
成長させる場合は、種に対して水酸化カルシウムの総添
加量が極めて多くなるので(0.15μにするためには
水酸化カルシウムを種100gに対し74g必要とし、
0.5μにするためには296g必要とする。)、発明
者らの経験では種成長中に粒子同志の凝集が少なからず
発生し、最終物は分散性の良いものとは言えずある程度
凝集体を形成するものである。
【0006】又特公昭58−4331号では、熟成分散
処理を行った粒径0.1μ以下の立方体状炭酸カルシウ
ム種結晶スラリーに、水酸化カルシウムの一部を炭酸化
したものを反応系のpHが10.0以上となるように炭
酸ガスを通じながら添加することよりなる粒子径0.1
μ〜1.0μの立方体状炭酸カルシウムの製造方法が開
示されている。該方法では製造工程が立方体状炭酸カル
シウム種粒子の製造工程、生成した種粒子の熟成工程、
水酸化カルシウムの一部炭酸化工程、および種成長工程
の4工程よりなる。熟成工程に於いては、スラリーの加
熱、pH調整を必要とし、又処理時間も5時間以上の
(実施例では10時間以上)長時間を要し、種成長工程
に於いてはpHの調整維持をしながら、10時間以上の
長時間反応を行うため、製法的に相当複雑であり、又生
産性も効率の良いものとはいい難い。又前述のように、
粒子径0.1μ以下の種粒子を用いて粒子径を0.2μ
以上に成長させると、粒子同志の凝集が発生し、最終粒
子径を大きくすればするほどその度合は強くなる。
【0007】その他の種成長法の特許出願としては、特
開昭60−90818号、特開昭57−123822号
等が公開されているが、これらは前述のものも含め凝集
の発生を防ぐために少量ずつ水酸化カルシウムを添加炭
酸化する必要があるので、操作回数が多くなる、反応時
間に長時間を要する、工程が煩雑となる等効率のよい製
造方法とは言えず、又本質的に粒子径を大きくしようと
すれば、その成長機構により粒子同志の凝集は避けられ
ず、粒子径を大きくすればするほど分散性が悪化するも
のである。
【0008】粒子径0.1μ〜1.0μの立方体状炭酸
カルシウムを製造するもう一つの手法としては、特定の
水酸化カルシウムスラリーを20℃以下(好ましくは1
8℃以下)に温度調整し、反応初期段階の液温、及び炭
酸ガスによる反応速度を調節することよりなる方法が特
許出願されている。
【0009】例えば古くは特公昭42−14706号に
は、限定された消化方法により作成される粗粒子からな
る水酸化カルシウムスラリーを、反応初期過程のスラリ
ー温度を20℃以下(好ましくは15〜16℃)に保ち
ながら炭酸ガスを導入してなる新規な形状(変形角状)
の炭酸カルシウムに関する製造方法が開示されている。
該特許出願の方法では化合初期温度を低温に保つため
に、水酸化カルシウムスラリーの冷却及び化合初期段階
での反応液の冷却を必要とする。該特許公報中に述べら
れているように、水酸化カルシウムスラリーは生石灰を
水に投入して湿式消和を行って作成するので、消和発熱
によりスラリー温度は相当上昇し、最終液温は水酸化カ
ルシウム濃度にもよるが、通常の工業的な条件では40
〜70℃となる。このため消和生成水酸化カルシウムス
ラリーは、反応に際し20℃以下の温度にするために冷
却操作を必要とし、化合初期段階での反応熱の冷却も含
め工程が煩雑となり、生産効率の低下をきたし、ひいて
はコストアップを生ずるものである。
【0010】同様なタイプの例として特公昭59−12
607号には、生石灰を乾式消化して得られた水酸化カ
ルシウムを熟成した後スラリーとし、反応開始温度15
〜20℃にて炭酸ガス流速を3段階に調節して反応させ
る粒子径0.1〜0.5μの炭酸カルシウムの製造方法
が開示されている。該特許出願の方法では、水酸化カル
シウムは乾式消化で得られるため、スラリーとする前に
消化熱を事前に除去できる利点があるが、乾式消化方法
は湿式消化方法に較べ装置、工程等が煩雑であり、原料
のコストアップ、生産効率の低下を引き起こす。又実施
例によれば、反応初期温度は10〜18℃であり冬期、
地域性等を除外すれば、一般には冷却を必要とし且反応
初期段階に於ける冷却操作も必要とするので、少なから
ず操作方法が煩雑になる。
【0011】又、特開昭61−219716号では、反
応開始時の液温を25℃以下(好ましくは7〜18℃)
に調整した水酸化カルシウムに、反応初期段階のpHが
ある一定値以下に降下しないように炭酸ガスを導入反応
してなる粒子径0.1μ〜1.0μの立方体状炭酸カル
シウムに関する製造方法が開示されている。本発明者ら
によると該特許出願の方法によれば、化合初期温度が1
9℃以上になると粒子の凝集が発生し、形状的にも丸み
を帯びた紡錘状のものとなったので、実質分散性のよい
立法体状炭酸カルシウムを得るためには、18℃以下の
初期温度を必要とするものと考えられ、且、化合初期段
階での冷却をも必要とするので、先に述べた特公昭42
−14706号と同様工程の煩雑さ、生産効率の低下等
が指摘される。
【0012】
【発明が解決しようとする問題点】本発明は、従来の方
法の欠点を排除し、立方体状の炭酸カルシウムを安価に
且効率的に製造することを目的とする。更に詳しくは、
煩雑な工程を経ることなく又工業的に冷却操作を必要と
せずに、通常工業的に行われる反応液温、反応濃度で、
安価に粒子径0.2μ〜1.0μの分散性に優れた立法
体状炭酸カルシウムを製造する方法を提供するものであ
る。
【0013】
【問題点を解決するための手段】本発明は次の3段階の
工程より構成される:すなわち、アルカリ性条件におい
てCaイオンと錯塩を形成する物質を添加した水酸化カ
ルシウムスラリーに炭酸ガスまたは炭酸ガス含有気体等
を導入して水酸化カルシウムの炭酸化反応を行い、つい
でスラリーの粘度が変化して最大値に達する前に反応を
中断する工程(第1工程);第1工程終了後の一部炭酸
化水酸化カルシウムスラリーに酸化カルシウムを投入
し、酸化カルシウムを消化させる工程(第2工程);第
2工程で得られた一部炭酸化水酸化カルシウムスラリー
に再び炭酸ガスまたは炭酸ガス含有気体を導入し、全反
応を終了させる最終工程(第3工程)。以上の3工程よ
りなるものであり、最終生成物は分散性に優れた粒子径
0.2〜1.0μの立方体状炭酸カルシウムである。
【0014】又、本発明方法の第1工程に於いて使用す
る水酸化カルシウムスラリーには、予めアルカリ性条件
でCaイオンと錯塩を形成するような物質を添加する。
このような添加剤としてはサッカロース、グルコース、
フルクトースの様な糖類並びにその誘導体のような薬品
が挙げられ、これらのものの中から選んだ少なくとも1
種の化合物が使用される。
【0015】また、第2工程に於いて使用する酸化カル
シウムは、予め吸湿処理を施した方が製造可能温度範囲
がより広くなる。以下各条件について更に詳しく述べ
る。
【0016】第1工程:本発明方法の第1工程に使用す
る水酸化カルシウムとしては、従来より知られている湿
式消化または乾式消化等の通常の工業的方法によって作
成される水酸化カルシウムを使用することが出来る。使
用する炭酸ガスは純炭酸ガスはもちろんのこと、石灰石
の焼成によって発生するような炭酸ガス含有量10〜4
0%のガスを使用することが出来る。又炭酸ガスの水酸
化カルシウムスラリーへの導入量については、特に制限
を設けるものではない。水酸化カルシウムの第1工程初
期化合液温については、20℃以下の低温はもちろん、
20〜35℃の初期温度が可能であり、その場合特にス
ラリーの冷却を必要とせず、後述するように結果的にス
ラリー濃度を比較的高濃度とすることが出来るため、本
発明方法は工業的に有利な効率の良い製造方法と言えよ
う。
【0017】又、本発明方法に於いては水酸化カルシウ
ムに予めアルカリ性条件にてCaイオンと錯塩を形成す
る前記物質を添加する必要があり、添加を行わなかった
場合には第1工程水酸化カルシウムスラリー初期温度が
20℃以上の温度では良好な最終物を得ることが出来な
い。
【0018】又、第1工程の反応停止条件としては、水
酸化カルシウムスラリーのスラリー粘度が最大に達する
以前に停止する必要があり、最大点到達以後に停止した
場合は、良好な最終物を得ることが出来ない。この炭酸
化反応中のスラリー粘度の増減する位置は、使用する原
料水酸化カルシウムの消化方法、添加する薬品の種類、
量、水酸化カルシウムスラリー初期温度、水酸化カルシ
ウム濃度、反応槽形式等によって影響を受けるので、前
もって各因子の所定条件に於ける粘度変化の生ずる位置
を確認しておく必要がある。すなわち、各因子がある一
定条件のもとでは粘度の最大点はある一定の炭酸化率に
於いて生ずるので、予め予備テストより粘度最高到達点
の炭酸化率を知り、実際の化合に於いてはこの炭酸化率
に達する以前に反応を停止すればよく、現実的な停止条
件としては炭酸ガス流量、炭酸ガス濃度の一定な条件の
もとでは反応開始よりの時間によって決定することが出
来る。スラリーの粘度変化は反応途中のスラリーの状態
を観察することによっておおよそ知ることが出来るが、
正確に知るためには反応途中にてサンプリングを行い、
静置状態にてスラリーの沈降容積を測定することによっ
てその位置(時間)を知ることが出来る。すなわち粘度
が最大となる時点のものは、その前後のものに較べ沈降
体積が高くなることより検知できる。粘度が最大となる
位置は前述のような因子によって変化するが、本発明者
らの実験によると、その位置は炭酸化率が10%〜60
%の範囲で変化した。反応の停止位置については、粘度
が最大となる以前であれば特に直前である必要はなく、
早めに停止しても差し支えないものである。
【0019】第2工程:第1工程終了後、一部炭酸化し
た水酸化カルシウムスラリーに酸化カルシウムを投入
し、投入した酸化カルシウムの消化を行う。本操作を行
わずそのまま最終まで炭酸化を行った場合には粒子径
0.2〜1.0μの立方体状炭酸カルシウムを得ること
はできず、最終生成物は粒子径0.1μ以下のコロイド
炭酸カルシウムかあるいは紡錘形状の凝集した炭酸カル
シウムとなる。酸化カルシウムとしては、石灰石をコー
クス、重油等で焼成分解して得られたものを用いること
が出来る。
【0020】又、酸化カルシウムは予め吸湿処理操作を
行ったものを使用する方が、良好な最終生成物が得られ
易く製造可能な温度条件範囲が広くなる。酸化カルシウ
ムが水分を吸収する現象は一般に生石灰がふけると称さ
れており、大気中に長時間酸化カルシウムを放置してお
くとおこる。工業的に効率よく酸化カルシウムを吸湿さ
せるためには、強制的に高湿度下で吸湿を行うことが好
ましく、例えば高湿度に調湿した空気と接触させるか、
あるいは水蒸気を用いて吸湿させる様な方法があり、こ
のような方法によればきわめて短時間に目的とするもの
を得ることが出来る。吸湿量については吸湿重量増加が
10w%(乾量基準)以下が好ましく、大過剰に吸湿さ
せるとその効果が半減し、また生産効率性からも好まし
くない。通常の操作では吸湿量は0.5〜5w%の範囲
で行われる。酸化カルシウムの投入量については特に制
限を設けるものではないが、通常母液の一部炭酸化水酸
化カルシウムスラリー1リットルに対して25〜250
gの範囲で行われる。
【0021】酸化カルシウム投入後は、投入した酸化カ
ルシウムを水と反応させ水酸化カルシウムにする(消
化)が、通常の湿式消化と同様一部未消化の水酸化カル
シウムが残っている場合には篩処理によってこれを除去
し、次の第3工程に移ることが出来るが、経済性からみ
て少なくとも投入した酸化カルシウムの50%以上が消
化されることが望ましい。尚、第2工程は消化促進、均
一化のため攪拌下に行うことが望ましい。
【0022】第3工程:第2工程で消化させて得られた
一部炭酸化水酸化カルシウムスラリーに炭酸ガスを通じ
未反応水酸化カルシウムの全量を炭酸化反応させる。ス
ラリー濃度、温度等については、第2工程に於ける最終
状態によって決定され、特に加温、冷却、希釈等は必要
としない。炭酸ガスの導入量についても特に制限はな
く、工業的に有利なガス流量が選択される。反応の終了
はpHの降下によって検出され、pHが降下した時点で
炭酸ガスの導入を中止し反応終了とする。
【0023】以上述べた第1、第2、第3段工程操作に
より、粒子径0.2μ〜1.0μの分散性のよいカルサ
イト型立方体状炭酸カルシウムを作成することが出来
る。本発明の操作方法によって立方体状炭酸カルシウム
が析出する機構については、不明な点が多く充分解明さ
れているとはいい難い。推論としては、第1工程によっ
て析出する炭酸カルシウムの生成核をそのままで最終ま
で炭酸化を行うと0.1μ以下の微細なコロイド立方体
状炭酸カルシウムとなるが、炭酸化を途中で中断し、第
2工程で酸化カルシウムを投入することにより形態変化
を生じ、最終的に0.2〜1.0μの範囲の立方体状炭
酸カルシウムに成長するものと思われる。
【0024】
【発明の効果】本発明の方法によると、水酸化カルシウ
ムにCaイオンとアルカリ性条件に於いて錯塩を形成す
る物質を添加し炭酸化を行い、特定の条件に於いて炭酸
化を中断しその後吸湿処理を施した酸化カルシウムを投
入して消化を行い、再び炭酸化を行うといった操作方法
によって、分散性のよい粒子径0.2〜1.0μの立方
体状炭酸カルシウムを製造することができる。本方法に
よれば、粒子径0.1〜1.0μの立方体状炭酸カルシ
ウムの製法として既に公表されているような種結晶の作
成、水酸化カルシウムの多段添加、pHの制御、水酸化
カルシウム原料の制約、反応初期温度の制約(20℃以
下)、反応液の冷却または加温、ガス流速の多段制御等
の煩わしい工程操作を必要とせず、簡単かつ安価に分散
性のよい粒子径0.2〜1.0μの立方体状炭酸カルシ
ウムを製造することができる。
【0025】
【実施例】以下の実施例によって本発明を更に具体的に
説明する。
【0026】〔予備テスト〕容量30リッターの反応容
器に湿式消化により作成した水酸化カルシウムスラリー
並びに希釈用工業用水を投入し、水酸化カルシウム濃度
1.5w%のスラリーを20リットル作成した。次に該
スラリーを温度20℃に調整した後、サッカロース10
gを添加し、タービン型攪拌機にて攪拌しながら炭酸ガ
ス(純度99%以上)を6リッター/分で導入し炭酸化
を行った。炭酸化反応中スラリーを一定時間毎に少量サ
ンプリングし沈降容積を観察したところ、反応開始約7
分後に粘度の最大点が現れ、この時の炭酸化率を測定す
ると41%であった。又、炭酸化を最終まで続行して得
られた生成物の電子顕微鏡写真を観察したところ、粒子
径約0.04μのコロイド立方体状粒子であった(図
1)。尚炭酸化率は三木の方法1)にしたがい算出した。 1) 三木、石膏と石灰 No.91,260(196
7) 又水酸化カルシウムスラリー温度25、30℃について
も上記と同様の方法によって炭酸化反応を行った結果、
温度25℃については約6.5分後に沈降容積が最大と
なり、その時の炭酸化率は39%であり、温度30℃に
ついては約6分後に沈降容積が最大となり、その時の炭
酸化率は35%であった。電子顕微鏡写真の観察によれ
ば、最終物はいずれも20℃の時と同様粒子径0.04
μ前後のコロイド立方体状炭酸カルシウムであった。
【0027】〔実施例1〕予備テストの水酸化カルシウ
ムスラリー初期温度20℃について、予備テストと同様
の条件にて炭酸化反応を行い、反応開始後5分にて炭酸
ガスの導入を中止した。この時の炭酸化率は29%であ
った。次に炭酸化停止直後の同スラリーに吸湿粉状生石
灰(吸湿量0.81w%;乾量基準)1500gを投入
し、60分間消化を行い、その後150メッシュ篩によ
って未消化篩残を除去した。篩後のスラリー濃度は水酸
化カルシウム換算で7.3w%であった。ついで篩後の
同スラリーに再び炭酸ガスを8リットル/分で導入して
炭酸化を行い、再炭酸化開始55分後pHが7.5にな
った時点で炭酸ガスの導入を停止した。最終液温は消
化、反応熱により上昇し38.7℃であった。得られた
スラリーを濾過脱水し105℃で16時間乾燥後粉砕を
行い粉体のX線回折、BET比表面積測定、電子顕微鏡
写真撮影等を行った。
【0028】X線回折の結果得られた炭酸カルシウムの
結晶形はカルサイト型であった。BET比表面積の値は
3.3m2 /gであり、立方体で比重が2.6とすると
換算粒子径は次式より0.70μとなる。 実施例1で得た炭酸カルシウムの電顕写真を図2に示
す。形状的にはほぼ立方体状を有し分散性が良い。
【0029】〔実施例2〕水酸化カルシウムスラリー初
期温度を25℃とする以外は、実施例1と同様の条件に
て操作を行った。化合停止時(反応開始5分後)の炭酸
化率は26%、150メッシュフルイ後の水酸化カルシ
ウム換算濃度は7.5w%、再炭酸化後の化合時間は5
6分で最終液温は42.3℃であった。生成物のBET
比表面積は4.8m2 /gであり、BET換算粒子径は
0.48μである。その電顕写真を図3に示す。
【0030】〔実施例3〕水酸化カルシウムスラリー初
期温度を30℃とする以外は、実施例1と同様の条件に
て操作を行った。化合停止時(反応開始5分後)の炭酸
化率は28%、150メッシュフルイ後の水酸化カルシ
ウム換算濃度は7.9w%、再炭酸化後の化合時間は5
9分で最終液温は44.9℃であった。生成物のBET
比表面積は7.3m2 /gであり、BET換算粒子径は
0.32μである。その電顕写真を図4に示す。
【0031】〔比較例1〕水酸化カルシウムスラリーに
あらかじめサッカロースを添加することなく行う以外
は、実施例1と同様の条件にて操作を行った。反応最終
生成物は一次粒子径の分布が広く又二次凝集が激しかっ
た(図5)。
【0032】〔比較例2〕水酸化カルシウムスラリーの
炭酸化停止位置を反応開始後8分とする以外は、実施例
1と同様の条件にて操作を行った。化合停止時の炭酸化
率は48%であった。この反応最終生成物は微細な紡錘
形状物の凝集体であった(図6)。
【図面の簡単な説明】
【図1】予備テストの最終生成物の粒子構造の電顕写真
(倍率50000倍)。
【図2】実施例1の最終生成物の粒子構造の電顕写真
(倍率20000倍)。
【図3】実施例2の最終生成物の粒子構造の電顕写真
(倍率20000倍)。
【図4】実施例3の最終生成物の粒子構造の電顕写真
(倍率20000倍)。
【図5】比較例1の最終生成物の粒子構造の電顕写真
(倍率20000倍)。
【図6】比較例2の最終生成物の粒子構造の電顕写真
(倍率20000倍)。
フロントページの続き (51)Int.Cl.5 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 D21H 17/63 (72)発明者 松下 功 高知県高知市萩町2丁目2番25号 東洋電 化工業株式会社内 (72)発明者 野村 祐二 高知県高知市萩町2丁目2番25号 東洋電 化工業株式会社内

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 アルカリ性条件においてCaイオンと錯
    塩を形成する物質を添加した水酸化カルシウムスラリー
    に炭酸ガスまたは炭酸ガス含有気体を導入して水酸化カ
    ルシウムの炭酸化を行い、ついでスラリーの粘度が変化
    して最大値に達する前に炭酸ガスの導入を停止し(第1
    段工程)、次に前記スラリーに酸化カルシウムを投入し
    この酸化カルシウムを水和させ(第2段工程)、その後
    該スラリーに再び炭酸ガスまたは炭酸ガス含有気体を導
    入して反応を終了させる(第3段工程)ことよりなる粒
    子径0.2μ〜1μの分散性のよい立方体状炭酸カルシ
    ウムの製造方法。
  2. 【請求項2】 アルカリ性条件においてCaイオンと錯
    塩を形成する物質がサッカロース、グルコース、フルク
    トース等の糖類並びにその誘導体から選ばれた少なくと
    も1種の化合物である請求項1に記載した立方体状炭酸
    カルシウムの製造方法。
  3. 【請求項3】 第2段工程において使用する酸化カルシ
    ウムをあらかじめ吸湿処理してなる請求項範囲1または
    2に記載した立方体状炭酸カルシウムの製造方法。
JP3062437A 1991-03-05 1991-03-05 立方体状炭酸カルシウムの製造方法 Expired - Fee Related JP2868329B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP3062437A JP2868329B2 (ja) 1991-03-05 1991-03-05 立方体状炭酸カルシウムの製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP3062437A JP2868329B2 (ja) 1991-03-05 1991-03-05 立方体状炭酸カルシウムの製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH05270821A true JPH05270821A (ja) 1993-10-19
JP2868329B2 JP2868329B2 (ja) 1999-03-10

Family

ID=13200173

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP3062437A Expired - Fee Related JP2868329B2 (ja) 1991-03-05 1991-03-05 立方体状炭酸カルシウムの製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2868329B2 (ja)

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH07266398A (ja) * 1993-12-31 1995-10-17 Cheil Synthetics Inc 磁気記録媒体用二軸配向ポリエステルフィルムの製造方法
JP2006027915A (ja) * 2004-07-12 2006-02-02 Maruo Calcium Co Ltd 多面体炭酸カルシウムの製造方法
KR100854913B1 (ko) * 2007-10-01 2008-08-28 (주) 세화엠텍 초미립 경질 탄산칼슘 제조방법 및 장치
CN117682544A (zh) * 2024-02-04 2024-03-12 山东宇信纳米科技有限公司 一种复合晶形纳米碳酸钙的制备方法及应用

Cited By (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH07266398A (ja) * 1993-12-31 1995-10-17 Cheil Synthetics Inc 磁気記録媒体用二軸配向ポリエステルフィルムの製造方法
JP2006027915A (ja) * 2004-07-12 2006-02-02 Maruo Calcium Co Ltd 多面体炭酸カルシウムの製造方法
JP4711648B2 (ja) * 2004-07-12 2011-06-29 丸尾カルシウム株式会社 多面体炭酸カルシウムの製造方法
KR100854913B1 (ko) * 2007-10-01 2008-08-28 (주) 세화엠텍 초미립 경질 탄산칼슘 제조방법 및 장치
CN117682544A (zh) * 2024-02-04 2024-03-12 山东宇信纳米科技有限公司 一种复合晶形纳米碳酸钙的制备方法及应用
CN117682544B (zh) * 2024-02-04 2024-05-24 山东宇信纳米科技有限公司 一种复合晶形纳米碳酸钙的制备方法及应用

Also Published As

Publication number Publication date
JP2868329B2 (ja) 1999-03-10

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP2939659B2 (ja) 沈澱炭酸カルシウム
US6156286A (en) Seeding of aragonite calcium carbonate and the product thereof
US5910214A (en) Process for preparing calcium carbonate
US5342600A (en) Precipitated calcium carbonate
US5558850A (en) Precipitated calcium carbonate
CZ150498A3 (cs) Postup přípravy jemných částic uhličitanu vápenatého
US6294143B1 (en) Process for the preparation of discrete particles of calcium carbonate
EP0480587B1 (en) Precipitated calcium carbonate
RU2215692C2 (ru) Способ получения дискретных частиц карбоната кальция
CN109179471B (zh) 一种具有抗沉降性轻质碳酸钙的制备方法
HU187981B (en) Process for producing of medium granulated aluminium-hydroxide free choosable between 2 and 100 micron
JP2868329B2 (ja) 立方体状炭酸カルシウムの製造方法
US5993772A (en) Method for coproducing calcium carbonate and sodium hydroxide
JPH07196317A (ja) 製紙用フィラーとしての軽質炭酸カルシウムの製造法
JP2549857B2 (ja) 粒子径が制御された炭酸カルシウムの製造法
JPH0319165B2 (ja)
JP2556699B2 (ja) アラゴナイト結晶形炭酸カルシウムの製造方法
JP2652198B2 (ja) 炭酸カルシウムの製造方法
JP3626620B2 (ja) 炭酸カルシウムの製造方法
KR100370433B1 (ko) 에탄올-에틸렌 글리콜계에서 탄산화법을 통해 합성한 비정질 탄산칼슘을 이용한 칼사이트 제조방법
JPH05238730A (ja) 粒径0.0001〜0.001mmの紡錘状あるいは 球状炭酸カルシウムの製造方法
CN115872430A (zh) 一种比表面积可控的氢氧化钙的制备方法
MXPA99010702A (en) Seeding of aragonite calcium carbonate and the product thereof

Legal Events

Date Code Title Description
LAPS Cancellation because of no payment of annual fees