JPH05258932A - 磁気記録用磁性粉 - Google Patents

磁気記録用磁性粉

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JPH05258932A
JPH05258932A JP4088096A JP8809692A JPH05258932A JP H05258932 A JPH05258932 A JP H05258932A JP 4088096 A JP4088096 A JP 4088096A JP 8809692 A JP8809692 A JP 8809692A JP H05258932 A JPH05258932 A JP H05258932A
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JP
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magnetic powder
magnetic
coercive force
particles
ferrite
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JP4088096A
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Takanori Kido
高徳 貴堂
Atsuko Shimizu
厚子 清水
Kenzo Hanawa
健三 塙
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Resonac Holdings Corp
Original Assignee
Showa Denko KK
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 組成式MM’x Fe12+2x 19+4x (MはB
aおよびSrから選ばれる少くとも1種、M’はCo、
NiおよびZnから選ばれる少なくとも1種、xは0.
2〜1.5)で示され且つマグネトプランバイト型構造
(RSブロック)とスピネル型構造(Sブロック)とが
c軸方向に積層した構造を有する単結晶粒子からなる磁
気記録用磁性粉。好ましくは、Feの一部をCoy1Ni
y2Zny3Tiy (y1 +y2 +y3 =y)で示される平
均して3価となる異種元素で等量置換する。 【効果】 上記磁性粉は飽和磁化が高い値であり、保磁
力が適正な値に制御され、かつ保磁力分布が小さく、し
かも保磁力の温度係数が小さく、経時変化もない。よっ
て、高密度磁気記録用として最適である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は高密度磁気記録に係わ
り、特に塗布型高密度磁気記録媒体として有用な磁性粉
に関する。
【0002】
【従来の技術】磁気記録の分野において、ビデオ、デジ
タルオーディオなどが出現するにしたがい、高密度記録
の要求が高まっている。現在の主流である面内磁気記録
では、記録密度を大きくしようとすると、磁性層内の減
磁界が増加するために、記録密度の向上には限界があ
る。したがって、高密度記録用には垂直磁気記録が有望
である。
【0003】垂直方向に磁化容易軸をもつ磁気層の作り
方としては、スパッタリング法や蒸着法によりCo−C
rなどの薄膜を基盤の上に形成する方法と、バリウムフ
ェライト等の磁性粉末を結合剤とともに基盤の上に塗布
する方法とがあるが、塗布法は現在主流の技術であり、
よく確立されているので、塗布型の記録媒体の方が実用
性が高いといえる。
【0004】塗布型の垂直磁気記録はバリウムフェライ
ト粒子、特に六角板状のバリウムフェライト粒子を用い
て実現された。この際に用いる、磁性粒子は、先ず、そ
の粒径が超常磁性を示さない程度に微細であることが好
ましく、一般に、平均粒径0.01〜0.3μmのもの
が要求されている。この事実は、例えば、特開昭56−
125219号公報に「…垂直磁気記録が面内磁気記録
に対してその有為性が明らかとなるのは記録波長が1μ
m以下の領域である。しかしてこの波長領域で充分な記
録、再生を行うためには、上記フェライトの結晶粒径
は、…0.3μm以下が望ましい。しかし、0.01μ
m程度になると所望の強磁性を呈しないため、適切な結
晶粒径としては0.01〜0.3μm程度が要求され
る。」と記載されることからも理解できる。
【0005】次に、磁性粒子の分散性についてはできる
だけ優れていることが望ましい。この事実は、例えば、
特開昭56−155022号公報に「…塗料化した際、
均一に分散する性状を有しないと良好な記録媒体が得ら
れないため、少なくとも磁性粉作製時において個々の粒
子が焼結凝集しないことも必要である。」なる記載から
も窺らことができる。
【0006】また、磁性粒子の飽和磁化については、で
きるだけ大きいことが必要である。この事実は、例え
ば、特開昭56−149328号公報に「…磁気記録媒
体材料に使われるマグネトプランバイトフェライトにつ
いては可能な限り大きな飽和磁化…が要求される。」と
記載されることからも理解できる。特に60emu/g
以上の飽和磁化をもつものが切望されている。
【0007】さらに、磁性粒子の保磁力については、再
生出力およびヘッド特性との関連で、300〜1500
Oeのものが要求されており、その温度係数はできるだ
け小さいことが望ましい。この事実は、例えば、特開昭
56−149328号公報に「…微細化したときの保磁
力が500〜1500Oe程度の値を示す…マグネトプ
ランバイトフェライトを得ることが必要である。保磁力
は記録の高密度化、であり再生出力の点から大であるこ
とが望ましいが、ヘッド特性上の問題から約1500−
Oe程度が実用上の限界となる。」と記載されること、
また、特開昭62−132732号公報に「…磁気記録
媒体の保磁力は電磁変換特性に大きく影響するものであ
るが、この電磁変換特性が変動すると直ちに記録、再生
および消去特性に変動をもたらすことになる。すなわ
ち、環境温度が著しく異なる箇所においてかような温度
変化が大きい磁気記録媒体が使用されると、記録不良、
再生出力の低下、または記録の消去不良等が発生し、磁
気記録媒体としての機能が著しく低下する。…」と記載
されることから理解できる。特に、保磁力の温度係数が
1−Oe/℃以下のものが強く望まれている。
【0008】また、記録波長が1μm以下の領域で良好
な記録再生特性を得るには磁性粉の保磁力分布はできる
だけ小さいことが必要である。バリウムフェライトはC
o−γFe2 3 や金属鉄等の針状磁性粉に比べ、保磁
力分布が小さいので、これを生かして面内配向して短波
長領域での高出力を得ようという試みも最近なされてい
る。保磁力分布の指標の一つであるS* (ヒステリシス
ループにおいて、Hc値における接線とM=Mrとの交
点でのH値をH* としたとき、S* =Hc/H* で与え
られる)の値でいえば無配向の塗膜において0.6以上
なければいけない。
【0009】磁気記録用六角板状バリウムフェライト粒
子の代表的な製造法としては次の3つが知られている。 (1)第2鉄塩とバリウム塩とを含む水溶液にアルカリ
およびアルカリ炭酸塩を攪拌しながら混入して、pH値
が10以上の条件下に水酸化第2鉄と炭酸バリウムの共
沈物を得、この共沈物を完全に水洗、乾燥した後、90
0℃前後で熱処理をしてバリウムフェライト粒子を得る
方法(共沈−焼成法:特開昭56−60002号公
報)。
【0010】(2)Fe+3、Ba2+を溶解、あるいは共
沈したpH値10以上のアルカリ溶液を、オートクレー
ブ中で100〜374℃の温度に加熱して、バリウムフ
ェライト前駆体(結晶性、磁気特性が不完全なバリウム
フェライト)を反応生成した後、洗浄、乾燥、焼成(通
常800℃以上)してバリウムフェライト粒子を得る方
法(水熱合成法:例えば、M.Kiyama,Bul
l.Chem.Soc.Jpa.,49(1976),
1855および特開昭60−12973号公報)。
【0011】(3)BaO,Fe2 3 等のバリウムフ
ェライト構成成分原料とB2 3 等のガラス形成材料を
混合し、溶融したものを急冷凝固した後、熱処理してガ
ラス物質中にバリウムフェライトを析出させ、マトリッ
クスを溶解してバリウムフェライト粒子を抽出し、水
洗、乾燥する方法(ガラス結晶化法:例えば見城、井戸
日経ニューマテリアル、1986年4月28日号、52
頁、および特開昭56−67904号公報)。 上記した方法に代表される製造法によって平均粒径およ
び分散性が所望の条件を満足する磁気記録用バリウムフ
ェライト粒子を供給できることができる。
【0012】また、保磁力についても、バリウムフェラ
イトを構成するFeの一部をCo−Tiに代表される他
の元素で置換(例えば、J.Smit,H.P.J.W
ijn;Ferrites,1959年、208頁;参
照)することで所望の値とすることが可能である。ま
た、MO・nFe2 3 で示されるマグネトプランバイ
ト型とMO・Fe2 3 で示されるスピネル型のフェラ
イト相を共存させ、保磁力を制御する方法(特開昭56
−118304)や、マグネトプランバイト型フェライ
ト粒子の表面のみをスピネル型フェライトで変成し、磁
気特性を制御する方法(特開昭62−139123号公
報)も提案されている。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前項に
掲げたバリウムフェライトのFeの置換を行って保磁力
を制御する手法では、置換前のバリウムフェライトに比
べ、飽和磁化が低下するという不都合な事態を招くとい
う欠点を有していた。さらには、保磁力の温度安定性に
おいて、置換前のバリウムフェライト自体、温度上昇に
伴い、保磁力が増加するという特徴ある温度特性を示す
ものであるが、Fe置換を行うと温度係数はさらに増大
し、特開昭62−155504号公報に記載される例で
は5.4−Oe/℃に達するものもある。置換操作に伴
うかような磁気特性の劣化は、磁気記録をきわめて困難
ならしめるものであり、実用化の大きな妨げとなってい
た。
【0014】また、特開昭62−139123号公報に
見られるようなマグネトプランバイト型フェライト粒子
の表面のみを変成処理するものでは均質な変成処理を実
現することが著しく困難であることから磁性粉の保磁力
分布が広くなるという欠点があり、また変成部分が化学
的に不安定であるため磁気特性が経時変化するという欠
点がある。本発明の目的は、かような問題点に鑑み、飽
和磁化が高い値であり、保磁力が適正な値に制御され、
かつ保磁力分布が小さく、しかも保磁力の温度係数が小
さいという優れた磁気特性を示し、その磁気特性が経時
的に変化しない磁性粉を提供することにある。
【0015】
【課題を解決するための手段】本発明者らは前記問題点
を克服すべく、鋭意研究の結果、従来のマグネトプラン
バイト型フェライト単相粒子においてFeの一部を異種
元素と置換したものではなく、組成式MM’x Fe
12+2x 19+4x (MはBaおよびSrから選ばれる少な
くとも1種以上の元素または元素の組合せを、M’はC
o、NiおよびZnから選ばれる少なくとも1種以上の
元素または元素の組合せを、xは0.2〜1.5の数字
を表す)で示され、且つ、RSで示されるマグネトプラ
ンバイト型構造とSで示されるスピネル型構造とがc軸
方向に積層した結晶構造を有する単結晶粒子からなる磁
性粉、およびそのFeの一部が異種元素で置換された磁
性粉は、飽和磁化が高い値であり、保磁力が適正な値に
制御され、かつ保磁力分布が小さく、しかも保磁力の温
度係数が小さいという優れた磁気特性を示し、その磁気
特性が経時的に変化しないことを見出した。
【0016】以下、本発明の磁性粉について詳細に説明
する。本発明の磁性粉を示す組成式において、MはBa
およびSrから選ばれる少くとも1種であり、またM’
はCo、NiおよびZnから選ばれる少くとも1種であ
り、xは0.2〜1.5の範囲の数字を表す。すなわ
ち、本発明のフェライト磁性粉においては、マグネトプ
ランバイト型フェライトを構成する2価の元素(M)と
してBaおよびSrから選ばれる1種を用い、スピネル
型フェライトを構成する元素(M’)としてCo、Ni
およびZnの中から選ばれる少くとも1種を用いる。こ
れらの元素(M,M’)を上記組成式を満足する割合で
用いると、目的とする高い飽和磁化を有する磁性体が得
られる。これは、RSブロック(マグネトプランバイト
構造)よりも大きな単位重量当たりの磁気モーメントを
もつSブロック(スピネル型構造)が挿入された形で積
層した結晶構造をもつためである。M’をCo、Ni、
Znから選ぶ理由の一つはSブロックの単位重量当たり
の磁気モーメントをRSブロックよりも大きな値とする
ためである。また、このようなCo、Ni、Znの中か
ら選ばれた少なくとも1種の2価の元素から構成される
単位重量当たりの磁気モーメントが大きいSブロックの
挿入により粒子の一軸異方性が低減されるため保磁力が
減少する。同時に一軸異方性の温度依存性も変化し、保
磁力の温度係数が小さくなる。xが0.2未満であると
所望の高い飽和磁化値および温度安定性を得ることが困
難である。また、xが1.5を超えると生成フェライト
粒子中に六角板状でない巨大粒子が混入したり、スピネ
ル型構造(ブロック)の量が粒子間でばらついて保磁力
分布が大きくなる。
【0017】1500−Oe以下のさらに低い保磁力が
要求される場合には、Feの一部を異種元素で等量置換
することが好ましい。置換元素としては、挿入されるS
ブロックを構成する2価の金属元素であるCo、Ni、
Znと4価の非磁性元素であるTiを平均して3価とな
るように組合わせたもの〔Coy1Niy2Zny3Ti
y(y1 +y2 +y3 =y)〕がよい。これは磁性粉の
飽和磁化値を低減させないためである。置換量について
は、1組成式当り2yモルのFeを置換するとした場
合、yの値は1以下でなければならない。yの値が1を
超えると単結晶粒子の一軸異方性が失われるためであ
る。yの値が1を超えると単結晶粒子の一軸異方性が失
われ、磁気記録に必要な保磁力を得ることができない。
【0018】本発明の磁性粉は、一般に、0.01〜
0.2μmの平均粒径を有する。本発明の磁性粉を安価
に供給するには、例えば、特開昭64−5914号公報
に開示される共沈−焼成フラックス法を基本とすること
が好ましい。ただし、本発明の磁性粉においては粒子一
つ一つの均一性が特にきびしく要求されるため、再現性
良く確実に所望の磁性粉を得るには工夫が必要である。
【0019】すなわち、原料水溶液としては、M、
M’、FeおよびFeの置換元素の水溶性塩、好ましく
は塩化物を所望の配合比で純水に溶解して調整した水溶
液と、当量より過剰のアルカリとアルカリ炭酸塩、好ま
しくは水酸化ナトリウムと炭酸ナトリウムを溶解して調
整した水溶液を用意する。これらを混合することによっ
て共沈反応を生ぜしめ、前駆体を得る。この際、混合方
法に特に留意しないと所望の均一性を有する磁性粉を再
現性良く得ることは難しくなる。本発明者らは、ライン
ミキサーを用いて連続的に両液を混合することによって
所望の均一性を有する磁性粉を再現性良く得ることが可
能であるという知見に達した。特開昭64−5914号
公報から示唆される液滴滴下、もしくは同時混合では次
の理由で均一な前駆体を得ることは難しい。液滴滴下で
は反応の進行と共にpH変動が生じ、反応の初期と後期で
は条件が異なってしまう。また、同時混合では、その混
合条件は使用する反応槽、攪拌装置に依存するためそれ
らを変えた場合の再現性は期待しがたく、とくに工業規
模での生産を想定した場合には本発明で要求する均一性
を得ることは実質的に不可能である。ラインミキサーへ
両液を連続的に供給することにより、共沈反応の場をラ
インミキサー内に限定し、かつ共沈反応時のpHの値を一
定とすることができるため、均一な前駆体が得られるの
である。
【0020】反応時の液温については常温ないしは75
℃程度までの温度が好ましい。得られたアルカリ性懸濁
液を、希酸、好ましくは塩酸を用いてpH値を7〜10に
調整した後、瀘過、乾燥して固形物を回収する。この固
形物は共沈反応およびpH調整時に生成したNaClを主
体とする中性塩を含有しており、この中性塩を共存させ
たまま750〜950℃で0.5〜10時間程度の熱処
理を施してフェライトを結晶化させた後、純水でNaC
l等の不純物塩を洗浄除去し、乾燥することによって本
発明の磁性粉を得ることができる。
【0021】マグネトプランバイト型フェライトとスピ
ネル型フェライトとを何らかの形で共存させた従来技術
としては、特開昭56−118304号公報および特開
昭56−118305号公報に示される磁性粉末があげ
られるが、この磁性粉末はそもそも1,000−Oe以
上の保磁力を必要とする磁気カード用であり、本発明と
は技術課題を全く異にするものである。さらには、この
磁性粉末は、酸化物を出発原料とする乾式法によって供
給され、なおかつ粉砕工程を経るため、六角板状を呈す
る単結晶粒子ではなく、また平均粒径も0.6〜0.7
μmと粗大であり、本発明で規定するフェライト粒子と
は全く異なるものである。
【0022】また、本発明の主要な目的の一部である、
磁気記録用六角板状フェライト粒子の保磁力の温度安定
性を改善した従来技術としては、特開昭62−1391
24号公報に示される板状Baフェライト微粒子があげ
られるが、このフェライト微粒子は、水熱処理法で得た
BaO・n{(Fe1-a a 2 3 }(但し、4≦n
≦6、0<a≦0.2、RはCo(II)、Ti(IV) 又は
Co(II)以外の2価金属イオンを示す)の粒子表面をC
oフェライト(Co2+ x Fe2+ y ・Fe2 3、但し、
O<x≦1、0≦y<1、0<x+y≦1)で変成させ
るという手法、すなわちマグネトプランバイト型フェラ
イト単相の磁性粉末を利用し、その粒子表面のみを改質
することで磁気特性の改善を図ったものであり、本発明
におけるマグネトプランバイト型フェライト単相の磁性
粉末を利用することなく、マグネトプランバイト型構造
(RSブロック)とスピネル型構造(Sブロック)とが
c軸方向に積層した結晶構造からなる単結晶フェライト
粒子とは技術的思想が全く異なるものである。
【0023】表面変成を均質に行うことは著しく困難で
あるため、上記特許公開公報に記載されるような表面変
性磁性粉の保磁力分布は大きいが、本発明で規定する組
成および構造を有する単結晶粒子からなる磁性粉の保磁
力分布は小さく、マグネトプランバイト型フェライト単
相粒子からなる磁性粉の保磁力分布と同等である。さら
には、上記特許公開公報では、磁気特性の経時変化に関
する記載はないが、実施例に記載される磁性粉末は2価
のFe2+を含有しており、かつ最終工程が高々100℃
程度の温湯処理であるため、化学的にきわめて不安定で
あり、時間の経過とともに磁気特性が劣化することは避
けられない。これとは対照的に、本発明のフェライト粒
子は2価のFe2+を含有することなく、なおかつ最終工
程において750℃以上の熱処理が行われるため、化学
的にきわめて安定であり、磁気特性の経時変化の問題は
生じない。
【0024】同様な事例が特開昭62−265122、
特開昭62−265123、特開昭63−14411
7、特開昭63−144118、特開昭63−1441
19および特開昭63−144120号公報に開示され
ているが、これらはいずれもマグネトプランバイト型フ
ェライト単相粒子を利用し、その粒子表面のみを変成な
いしは改質するものであり、本発明で規定する磁性粉と
は明確に差別されうるものである。なお、特開昭63−
252930号公報の特許請求の範囲には「マグネトプ
ランバイト型結晶構造相とスピネル型結晶構造相とを含
むことを特徴とするヘキサゴナルフェライト磁性粉体」
なる記載があるが、その実施例をみるとマグネトプラン
バイト型フェライト単相粒子の表面のみを改質すること
が記載されるのみであって、本発明の磁性粉のようなマ
グネトプランバイト/スピネル積層構造は示唆されてい
ない。
【0025】また、本発明者らが先に提案した特開昭6
4−5914号公報に記載される磁性粉ではスピネル型
構造の割合が多すぎるため、飽和磁化は高い値となるも
のの、保磁力分布を小さくすることはきわめて困難であ
る。
【0026】
【作用】本発明の磁性粉がマグネトプランバイト単相粒
子よりも高い飽和磁化を示すのはRSブロック(マグネ
トプランバイト構造)よりも大きな単位重量当りの磁気
モーメントをもつSブロック(スピネル型構造)が挿入
された形で積層した結晶構造を有するためである。C
o、Ni、Znの中から選ばれた少くとも1種の2価の
元素から構成される単位重量当りの磁気モーメントが大
きいSブロックの挿入により粒子の一軸異方性は低減さ
れるため保磁力が減少し、同時に保磁力の温度係数が小
さくなる。特に、Sブロックの挿入量が、前記組成式中
のxの値として0.2以上であるため、温度係数は実用
上十分小さくなる。また、前記組成式中のxの値が1.
5以下であるため保磁力分布が大きくなることはない。
磁性粉中のFeの一部を異種元素、特に、挿入されるS
ブロックを構成する2価の金属元素であるCo、Ni、
Znと4価の非磁性元素であるTiを平均して3価とな
るように組合わせたもので置換すると保磁力はさらに低
い値に制御される。
【0027】
【実施例】以下、実施例について本発明の磁性粉を具体
的に説明する。実施例1 BaCl2 ・2H2 O0.1モル、CoCl2 ・6H2
O0.1モル、ZnCl2 0.055モル、NiCl2
・6H2 O0.025モル、TiCl4 0.08モルお
よび1.24molのFeCl3 ・6H2 O1.24モ
ルを3リットルの蒸留水に溶解した水溶液とNaOH6
モルおよびNa2 CO3 0.1モルを3リットルの蒸留
水に溶解した水溶液とをラインミキサーを用いて混合
し、共沈物スラリーを得た。このアルカリ性スラリーに
1N−HClを滴下してpHを9.0となるよう調整
し、濾過、乾燥、粉砕してNaClを含んだ共沈物微粉
末を得た。この粉末を空気中で820℃で2時間熱処理
し、その後蒸留水を用いて洗浄することによってNaC
l等の不純物塩を除去し、濾過、乾燥して組成式BaC
oNi0.25Zn0.55Ti0.8 Fe12.423で示される単
結晶粒子からなる磁性粉を得た。
【0028】この磁性粉を透過型電子顕微鏡で観察した
結果平均粒径は0.06μmであった。その中の一粒に
ついて高分解能観察したところRSブロックとSブロッ
クとがc軸方向に積層した構造の単結晶粒子であること
が確認された。この磁性粉の磁気特性をVSM(最大印
加磁場10kOe)により測定したところ、10kOe
における磁化値が60.0emu/gであり、保磁力は
800−Oeであり、20℃から120℃における保磁
力の温度係数は0.3−Oe/℃であった。磁気特性は
経時変化しなかった。保磁力分布の指標となるS* の値
は無配向塗膜において0.62であった。
【0029】実施例2〜6 金属塩化物の配合比を表1に示す組成となるよう調整し
た他は実施例1と同じ方法で磁性粉を製造し、特性を測
定した。特性は表1の通りであった。
【0030】比較例 金属塩化物水溶液をBaCl2 ・2H2 O0.1モル、
CoCl2 ・6H2 O0.08モル、TiCl4 0.0
8モルおよびFeCl3 ・6H2 O1.04モルを3リ
ットルの蒸留水に溶解した水溶液とした他は実施例と同
様な操作を施し組成式BaCo0.8 Ti0.8 Fe10.4
19で示される単結晶粒子からなる磁性粉を得た。
【0031】この磁性粉を透過型電子顕微鏡で観察した
結果平均粒径は0.06μmであった。その中の一粒に
ついて高分解能観察した結果RSブロックのみからなる
マグネトプランバイト型構造の単結晶粒子であることが
確認された。この磁性粉の磁気特性をVSM(最大印加
磁場10kOe)により測定したところ、10kOeに
おける磁化値が59.5emu/gであり、保磁力は8
70−Oeであり、20℃から120℃における保磁力
の温度係数は3.9−Oe/℃であった。磁気特性は経
時変化しなかった。保磁力分布の指標となるS* の値は
無配向塗膜において0.67であった。
【0032】
【発明の効果】本発明のRSブロック(マグネトプラン
バイト型構造)とSブロック(スピネル型構造)とが積
層した構造の単結晶粒子からなる磁性粉は、飽和磁化が
高い値であり、保磁力が適正な値に制御され、かつ保磁
力分布が小さく、しかも保磁力の温度係数が小さいとい
う優れた磁気特性を示し、その磁気特性が経時的に変化
しない。従って、この磁性粉は高密度磁気記録用として
最適である。
【0033】
【表1】

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 組成式MM’x Fe12+2x 19+4x (M
    はBaおよびSrから選ばれる少なくとも1種以上の元
    素または元素の組合せを、M’はCo、NiおよびZn
    から選ばれる少なくとも1種以上の元素または元素の組
    合せを、xは0.2〜1.5の数字を表す)で示され、
    且つマグネトプランバイト型構造(RSブロック)とス
    ピネル型構造(Sブロック)とがc軸方向に積層した構
    造を有する単結晶粒子からなることを特徴とする磁気記
    録用磁性粉。
  2. 【請求項2】 1組成式当り2y(yは1以下の数を表
    す)モルのFeをCoy1Niy2Zny3Tiy (y1 +y
    2 +y3 =y)で示される平均して3価となる異種元素
    で等量置換したことを特徴とする請求項1記載の磁気記
    録用磁性粉。
  3. 【請求項3】 平均粒径が0.01〜0.2μmである
    請求項1また2記載の磁気記録用磁性粉。
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