JPH05255102A

JPH05255102A - テストステロン−５−α−レダクターゼ阻害剤

Info

Publication number: JPH05255102A
Application number: JP4089451A
Authority: JP
Inventors: Hisayuki Komazaki; 久幸駒崎
Original assignee: Shiseido Co Ltd
Current assignee: Shiseido Co Ltd
Priority date: 1992-03-13
Filing date: 1992-03-13
Publication date: 1993-10-05
Anticipated expiration: 2020-01-19
Also published as: JP3611128B2

Abstract

(57)【要約】【目的】優れたテストステロン−５−α−レダクターゼ
阻害効果を有する阻害剤、養毛効果を有する養毛料およ
びニキビ改善効果を有する皮膚外用剤を提供することを
目的とする。【構成】カシ、テンモンドウ、バクモンドウ、エンゴザ
ク、コウブシ、コロンボ、コンズランゴ、サンシュユ、
サンズコン、サンシチソウ、セイヨウノコギリソウ、ト
コン、ミツガシワから選ばれる植物抽出物の一種又は二
種以上を有効成分とするテストステロン−５−α−レダ
クターゼ阻害剤、養毛料、皮膚外用剤。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、新規にして、かつ安全
なるテストステロン−５α−レダクタ−ゼ阻害剤を含有
することにより、脱毛防止、発毛、育毛、皮脂抑制など
を促進する効果に優れた養毛剤および皮膚外用剤に関す
るものである。本発明は、特に医薬品、医薬部外品、或
は化粧品分野において利用される。

【０００２】

【従来の技術】従来より、男性型の禿頭、粗毛症、脂漏
などの生理学上の徴候は、代謝系に男性ホルモンが過剰
に蓄積されることに起因する男性ホルモン刺激の増大に
基づいていることが知られている。また最近、毛根、皮
脂腺をはじめいくつかの器官において男性ホルモン活性
の本体は、５α−ジヒドロテストステロン（以下、５α
−ＤＨＴと略す。）であり、これは標的器官においてテ
ストステロンがテストステロン−５α−レダクタ−ゼ
（以下、レダクタ−ゼと略す。）により還元されること
によって生成することが周知になっている。そのため、
男性ホルモン刺激の増大に起因する男性型の禿頭、粗毛
症、脂漏などの徴候は、レダクタ−ゼを阻害することに
より低減あるいは防止することができると考えられ、レ
ダクタ−ゼを特異的に阻害するいくつかの阻害剤が見出
され、また合成されてきた。しかし、今までに新規に合
成された阻害剤は、ステロイド構造あるいはステロイド
類似構造を持っており、好ましくないホルモン様作用を
多少なりとも有しているという欠点があった。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】本発明者等は脱毛防
止、発毛、育毛、脂漏等に有効で、安全性に優れた天然
由来の薬剤を鋭意検討した結果、特定の植物抽出物がこ
の課題を解決しうることを見出し、本発明を完成するに
至った。

【０００４】

【課題を解決するための手段】すなわち、本発明の請求
項１は、カシ、テンモンドウ、バクモンドウ、エンゴサ
ク、コウブシ、コロンボ、コンズランゴ、サンシュユ、
サンズコン、サンシチソウ、セイヨウノコギリソウ、ト
コン、ミツガシワから選ばれる植物抽出物の一種又は二
種以上を有効成分とするテストステロン−５−αーレダ
クターゼ阻害剤である。請求項２は、カシ、テンモンド
ウ、バクモンドウ、エンゴサク、コウブシ、コロンボ、
コンズランゴ、サンシュユ、サンズコン、サンシチソ
ウ、セイヨウノコギリソウ、トコン、ミツガシワから選
ばれる植物抽出物の一種又は二種以上を含有することを
特徴とする皮膚外用剤である。請求項３は、カシ、テン
モンドウ、バクモンドウ、エンゴサク、コウブシ、コロ
ンボ、コンズランゴ、サンシュユ、サンズコン、サンシ
チソウ、セイヨウノコギリソウ、トコン、ミツガシワか
ら選ばれる植物抽出物の一種又は二種以上を含有するこ
とを特徴とする養毛料である。

【０００５】以下、本発明の構成について詳述する。本
発明に用いる植物抽出物としては以下の植物抽出物を用
いる。カシ（訶子）〔Ｔｅｒｍｉｎａｌｉａｃｈｅｂ
ｕｌａＲｅｔｚｉｕｓ〕の果実、テンモンドウ（クサ
スギカズラ、天門冬）〔Ａｓｐａｒａｇｕｓｃｏｃｈ
ｉｎｃｈｉｎｅｎｓｉｓＭｅｒｒｉｌｌ）の根、バク
モンドウ（ジャノヒゲ、麦門冬）〔Ｏｐｈｉｏｐｏｇｏ
ｎｊａｐｏｎｉｃｕｓＫｅｒ−Ｇａｗｌｅｒ〕の
根、エンゴサク（延胡索）〔Ｃｏｒｙｄａｌｉｓｔｕ
ｒｔｓｃｈａｎｉｎｏｖｉｉＢｅｓｓｅｒ〕の塊茎、
コウブシ（ハマスゲ、香附子）〔Ｃｙｐｅｒｕｓｒｏ
ｔｕｎｄｕｓＬ．〕の根茎、コロンボ〔Ｊａｔｅｏｒ
ｈｉｚａｃｏｌｕｍｂａＭｉｅｒｓ〕の根、コンズラ
ンゴ〔ＭａｒｓｄｅｎｉａｃｕｎｄｕｒａｎｇｏＲ
ｅｉｃｈｅｎｂａｃｈ〕の樹皮、サンシュユ（山茱萸）
〔ＣｏｒｕｎｕｓｏｆｆｉｃｉｎａｌｉｓＳｉｅｂ
ｏｌｄ〕の種子、サンズコン（山豆根）〔Ｓｏｐｈｏｒ
ａｓｕｂｐｒｏｓｔｒａｔａＣｈｅｎｅｔＴ．〕
の根茎及び根、サンシチソウ〔Ｃｙｎｕｒａｊａｐｏ
ｎｉｃａＪｕｅｌ．〕の葉、セイヨウノコギリソウ
〔Ａｃｈｉｌｌｅａｍｉｌｌｅｆｏｌｉｕｍ
Ｌ．〕、トコン（吐根）〔Ｃｅｐｈａｅｌｉｓｉｐｅ
ｃａｃｕａｎｈａＡ．Ｒｉｃｈａｒｄ〕の根、ミツガシ
ワ〔Ｍｅｎｙａｎｔｈｅｓｔｒｉｆｏｌｉａｔａ
Ｌ．〕の葉が用いられる。

【０００６】本発明で用いる植物抽出物の製造方法とし
ては植物（生薬等の乾燥品または生の植物）を溶媒、例
えば、熱水やメタノ−ル、エタノ−ル等の低級アルコ−
ルあるいは含水低級アルコ−ルあるいはプロピレングリ
コ−ル、１−３ブチレングリコ−ル等の多価アルコ−ル
あるいは含水多価アルコ−ル等の含水アルコ−ル等で抽
出して得られる。

【０００７】本発明における植物抽出物の配合量は、養
毛料あるいは皮膚外用剤全量中、乾燥物として０．００
５〜２０重量％が好ましく、さらに好ましくは０．０１
〜１０重量％である。０．００５重量％未満であると、
本発明でいう効果が十分に発揮されず、好ましくない。
２０重量％を超えると製剤上好ましくない。

【０００８】本発明の養毛料および皮膚外用剤は、液
状、乳液、軟膏など外皮に適用できる性状のものであれ
ばいずれでもよく、前記の必須成分に加えて必要に応じ
て、本発明の効果を損なわない範囲内で、化粧品、医薬
部外品、医薬品等に一般に用いられる各種成分、水性成
分、保湿剤、増粘剤、防腐剤、酸化防止剤、香料、色
剤、薬剤等を配合することができる。また本発明の養毛
剤および皮膚外用剤の剤型は任意であり、例えば育毛
剤、トニック、ヘア−クリ−ム、ム−ス、シャンプ−、
リンス、クリーム、乳液、化粧水、パック等の剤型をと
ることができる。

【０００９】

【実施例】次に実施例をあげて本発明をさらに具体的に
説明する。本発明はこれにより限定されるものではな
い。配合量は重量％である。

【００１０】（５αレダクターゼ阻害効果測定法）高安
らの方法（Ｓ．Ｔakayasu,Ｋ．Ａdachi,Ｊ．Ｃlin.Ｅnd
ocrinol.Ｍetab．，34，1098−1101(1972)）に従い、人
毛根を用い、テストステロンが５α−ＤＨＴに還元され
る量を測定し、各植物抽出物メタノールエキス乾燥物の
０．１％、７０％エタノール溶液についてテストステロ
ン−５−α−レダクターゼ阻害作用を検討し、結果を表
−１に示した。

【００１１】

【表１】

【００１２】表１より明らかなように、本発明に係わる
テストステロン−５α−レダクターゼ阻害剤は、優れた
阻害効果を有している。

【００１３】表−２に実施例１〜５及び比較例１を示
す。製造方法は以下の通りである。95％エタノールに各
植物抽出物および硬化ヒマシ油エチレンオキシド(40 モ
ル)付加物を添加し、攪拌溶解させ、次いでイオン交換
水を添加、混合して実施例１の液状の養毛料を得た。実
施例２〜５並びに比較例１も実施例１と同様にして得
た。

【００１４】

【表２】

【００１５】次に本発明の養毛料の脱毛防止、発毛効果
等の養毛作用を調べるために、人に対して、トリコグラ
ム試験を実施した。実施例１〜5 、比較例１の養毛料に
ついて行なった。

【００１６】（トリコグラム試験）養毛料の使用前と使
用後の抜去毛髪の毛根を顕微鏡下で観察し、毛根の形態
から休止期毛根数を計数し、その割合の増減によって養
毛料の養毛作用を比較した。休止期毛根とは成長の止ま
った毛の毛根であり、脱毛を訴える人は正常な人よりも
この休止期毛根の割合が多いことが認められている。実
施例１〜５および比較例１の各養毛料をそれぞれ男性被
験者10名の頭皮に１日２回、１回２mlずつ６カ月間連続
して塗布し、塗布直前および６カ月間塗布終了直後に被
験者１名につき100 本ずつ毛髪を抜去し、それぞれの毛
根を調べた。結果を表３に示した。

【００１７】

【表３】

【００１８】以上のように本発明に係る養毛料は、優れ
た養毛作用を有している。

【００１９】次に実施例をあげて本発明の皮膚外用剤の
製造方法およびニキビ改善作用をさらに具体的に説明す
る。

【００２０】実施例６（Ａ相）ソルビトール 3.0 グリセリン 5.0 レゾルシン 0.02 イオン交換水残部（Ｂ相）サンズコンのメタノールエキス乾燥物 0.08 サンシュユのメタノールエキス乾燥物 1.2 コウブシのメタノールエキス乾燥物 0.5 ポリオキシエチレン（６０）硬化ヒマシ油 0.5 ９５％エタノール 20.3 香料適量Ａ相の成分を混合溶解し、これにＢ相の混合溶液を攪拌
しながら加えて均一な溶液として化粧水を得た。

【００２１】実施例７（Ａ相）ソルビトール 3.0 グリセリン 5.0 レゾルシン 0.02 イオン交換水 68.0 （Ｂ相）カシのプロパノールエキス乾燥物 0.5 コロンボのメタノールエキス乾燥物 0.5 ポリオキシエチレン（６０）硬化ヒマシ油 0.5 ９５％エタノール 20.3 香料適量Ａ相の成分を混合溶解し、これにＢ相の混合溶液を攪拌
しながら加えて均一な溶液として化粧水を得た。

【００２２】実施例８（Ａ相）ミツロウ 10.0 パラフィンワックス６.0 ラノリン３.0 イソプロピールミリステート６.0 スクワラン８.0 流動パラフィン 26.0 テンモンドウのメタノールエキス乾燥物 0.5 コンズランゴのプロパノールエキス乾燥物 0.1 ミツガシワのエタノールエキス乾燥物 0.05 ポリオキシエチレンソルビタンステアレート 2.0 ソルビタンモノステアレート 4.2 防腐剤適量（Ｂ相）プロレングリコール 2.0 ポリオキシエチレン（６０）硬化ヒマシ油 1.0 水 29.0 Ａ相の成分を混合し、約７５°Ｃで加熱、溶解し、これ
に７５°Ｃに加熱したＢ相の混合液を攪拌しながら加
え、冷却し、４５°Ｃまで攪拌をつずけ放置してクリー
ムを得た。

【００２３】実施例９（Ａ相）ソルビトール 3.0 グリセリン 5.0 レゾルシン 0.02 イオン交換水 70.0 （Ｂ相）サンシチソウのメタノールエキス乾燥物 1.0 バクモンドウのメタノールエキス乾燥物 0.5 ポリオキシエチレン（６０）硬化ヒマシ油 0.5 ９５％エタノール 20.3 香料適量Ａ相の成分を混合溶解し、これにＢ相の混合溶液を攪拌
しながら加えて均一な溶液として化粧水を得た。

【００２４】実施例１０（Ａ相）ソルビトール 3.0 グリセリン 5.0 レゾルシン 0.02 イオン交換水 70.0 （Ｂ相）エンゴザクのエタノールエキス乾燥物 0.5 セイヨウノキギリソウのエタノールエキス乾燥物 0.4 ポリオキシエチレン（６０）硬化ヒマシ油 0.5 ９５％エタノール 20.3 香料適量Ａ相の成分を混合溶解し、これにＢ相の混合溶液を攪拌
しながら加えて均一な溶液として化粧水を得た。

【００２５】（ニキビ症状改善効果試験）実施例６〜８
および比較例（植物抽出物を添加しない化粧水）２の各
皮膚外用剤を男子４０名女子３０名で年齢１５〜２１才
を被験者とし、毎日２回、洗顔後に化粧水を少量塗布
し、２週間後にそのニキビ症状の改善効果を試験し、評
価した。（評価）各症状の程度を次の４つに区分した。全治：全部症状が無くなった。著効：著しく効果がある。有効：全て軽くなる。無効：使用前後で変化無し。結果は表−４に示した。

【００２６】

【表４】

【００２７】以上のように本発明に係る皮膚外用剤は、
優れた効果を有していることが確認された。

【００２８】

【発明の効果】本発明のテストステロン−５−α−レダ
クターゼ阻害剤は優れた養毛効果を持つ養毛料であり、
優れたにきび治療効果を持つ皮膚外用剤である。

Claims

【特許請求の範囲】

【請求項１】カシ、テンモンドウ、バクモンドウ、エン
ゴサク、コウブシ、コロンボ、コンズランゴ、サンシュ
ユ、サンズコン、サンシチソウ、セイヨウノコギリソ
ウ、トコン、ミツガシワから選ばれる植物抽出物の一種
又は二種以上を有効成分とするテストステロン−５−α
ーレダクターゼ阻害剤。
【請求項２】カシ、テンモンドウ、バクモンドウ、エン
ゴサク、コウブシ、コロンボ、コンズランゴ、サンシュ
ユ、サンズコン、サンシチソウ、セイヨウノコギリソ
ウ、トコン、ミツガシワから選ばれる植物抽出物の一種
又は二種以上を含有することを特徴とする養毛料。
【請求項３】カシ、テンモンドウ、バクモンドウ、エン
ゴサク、コウブシ、コロンボ、コンズランゴ、サンシュ
ユ、サンズコン、サンシチソウ、セイヨウノコギリソ
ウ、トコン、ミツガシワから選ばれる植物抽出物の一種
又は二種以上を含有することを特徴とする皮膚外用剤。