JPH05252079A - エコーキャンセラ - Google Patents

エコーキャンセラ

Info

Publication number
JPH05252079A
JPH05252079A JP8156692A JP8156692A JPH05252079A JP H05252079 A JPH05252079 A JP H05252079A JP 8156692 A JP8156692 A JP 8156692A JP 8156692 A JP8156692 A JP 8156692A JP H05252079 A JPH05252079 A JP H05252079A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
coefficient
echo
circuit
signal
double
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Withdrawn
Application number
JP8156692A
Other languages
English (en)
Inventor
Kensaku Fujii
健作 藤井
Toshiro Oga
寿郎 大賀
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Fujitsu Ltd
Original Assignee
Fujitsu Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Fujitsu Ltd filed Critical Fujitsu Ltd
Priority to JP8156692A priority Critical patent/JPH05252079A/ja
Publication of JPH05252079A publication Critical patent/JPH05252079A/ja
Withdrawn legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Filters That Use Time-Delay Elements (AREA)
  • Cable Transmission Systems, Equalization Of Radio And Reduction Of Echo (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】 本発明は、音声/TV会議装置などに用いる
エコーキャンセラに関するものであり、ダブルトークや
エコー経路変動に対してもエコー消去量が減少しないよ
うにすることを目的とする。 【構成】 受信信号に基づき擬似エコーを生成する適応
フィルタ31と、送信信号から擬似エコーを差し引いて
エコー成分を消去する減算器32と、ダブルトーク状態
を検出するダブルトーク検出回路33と、通常時に適応
フィルタ31のタップ係数を修正しダブルトーク状態時
にその係数修正を休止する係数修正回路34と、係数修
正回路34での係数修正に用いる信号をダブルトーク検
出回路33でのダブルトーク検出の遅延時間程度少なく
とも遅延させて係数修正回路34に入力させる遅延回路
35とを備えたものである。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、音声/TV会議装置な
どに用いるエコーキャンセラに関するものである。エコ
ーキャンセラは、例えば、ハンズフリー型電話機、音声
/TV会議装置あるいはディジタル加入者線伝送などに
使用される。例えばディジタル加入者線伝送において
は、回線の2線/4線変換部におけるハイブリッドトラ
ンスのミスマッチングにより送信信号が受信側に回り込
んで生じるエコーが通信品質を劣化させる。また音声/
TV会議装置や拡声電話機などではスピーカからの出力
音が部屋の壁などで反射してエコーとなってマイクロホ
ンに回り込むことによって快適な通話が妨げられる。エ
コーキャンセラはこれらのエコーを消去するためのもの
である。
【0002】
【従来の技術】図12には音声/TV会議装置で用いら
れる音響エコーキャンセラの従来例が示される。音声/
TV会議装置では会議参加者はマイクロホン5とスピー
カ24を用いて相互に通話する。このシステムでは、ス
ピーカ24から送出された受話音声Xj (出力信号)が
部屋の反射によってマイクロホン5にエコーgj (=Σ
j (i) Xj (i) 、但しhj (i) はインパルス応答)と
して回り込み、この回り込みによって生じる音響結合か
らハウリングが発生する危険がある。音響エコーキャン
セラは適応フィルタ1で合成した擬似エコーGj (=Σ
j (i) Xj (i)、但しHj (i) はタップ係数)でこの
エコーgj を相殺することによってその間の音響結合を
小さくすることを目的に導入される。
【0003】すなわち、スピーカ24から出力された受
話音声Xj はエコーgj となってマイクロホン5に入力
し、通信回線を経由して相手側装置のスピーカから出力
され、さらに相手側マイクロホンを経由して再び受話音
声Xj として戻ってくる。この一巡閉路の利得が1を超
えるならば、受話音声Xj は循環するたびに増幅され、
ついにはハウリングが発生する。エコーキャンセラはス
ピーカからマイクロホンに回り込んだエコーgj をエコ
ーキャンセラ内で合成した擬似エコーGj で相殺するこ
とによって、この一巡閉路の利得を1以下にしようとす
るものである。
【0004】このエコーキャンセラにおいて考慮してお
かなければならない重要な問題として、ダブルトーク、
エコー経路変動、狭帯域信号が生起した時のエコー消去
量の減少がある。
【0005】ダブルトークとは通信相手双方が同時に発
声している状態であり、このダブルトークがあると適切
な係数修正を行えなくなってエコー消去量(入力信号に
含まれるエコーと残留エコーに含まれるエコー成分のパ
ワー比)は一瞬のうちに減少する。ダブルトーク対策と
しては、ダブルトーク状態を検出したら、それらが終了
するまで係数修正回路2における係数修正処理を休止
し、適応フィルタのタップ係数が大きくずれてしまうこ
とがないようにする。
【0006】また部屋の残響特性(エコー経路)は人が
動くことによっても簡単に変わり、このエコー経路変動
があると擬似エコーのエコーに対する近似は大きく崩
れ、エコー消去量が減少してハウリングが発生する危険
が増大する。この発生を防止するためには、その変化に
素早く追随して適応フィルタのタップ係数を正しい値に
修正することが必要である。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】エコー消去量はダブル
トークによって一瞬のうちに減少する。いっぽう、ダブ
ルトークが起こってからそれが検出されるまでには時間
(残留エコーを用いて高速に検出する方法でも数ms)
かかる。このため一般には、ダブルトークを検出して係
数更新を休止したとしても、その休止時点までにエコー
消去量が大きく減少してしまう。
【0008】本発明はかかる問題点に鑑みてなされたも
のであり、その目的とするところは、ダブルトークやエ
コー経路変動に対してもエコー消去量が減少しないよう
にすることにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】図1は本発明に係る原理
説明図である。上述の課題を解決するために、本発明の
エコーキャンセラは、一つの形態として、受信信号に基
づき擬似エコーを生成する適応フィルタ31と、送信信
号から擬似エコーを差し引いてエコー成分を消去する減
算器32と、ダブルトーク状態を検出するダブルトーク
検出回路33と、通常時に適応フィルタ31のタップ係
数を修正しダブルトーク状態時にその係数修正を休止す
る係数修正回路34と、係数修正回路34での係数修正
に用いる信号をダブルトーク検出回路33でのダブルト
ーク検出の遅延時間程度少なくとも遅延させて係数修正
回路34に入力させる遅延回路35とを備えたものであ
る。
【0010】また本発明のエコーキャンセラは、他の形
態として、上述のエコーキャンセラにおいて、エコー経
路変動検出回路36と、エコー経路変動検出回路36で
エコー経路変動が検出された時には係数修正回路34で
の係数修正に用いる信号を遅延回路35で遅延させるこ
となく係数修正回路34に入力させる切替え回路37と
を更に備えたものである。
【0011】この2番目の形態のエコーキャンセラは狭
帯域信号の入力時にもエコー経路変動の時と同様に処理
するよう構成される。
【0012】また本発明のエコーキャンセラは、また他
の形態として、エコーキャンセラにおける係数修正回路
の係数推定法として、特性が未知の系に信号を送出し、
その応答からその系が与える伝達関数を推定して得られ
た値をその系を模擬する非巡回型適応フィルタの係数と
する処理であって、その系の応答とその系へ送出した信
号との相互相関関数を該送出信号のパワーで正規化した
値と、その系へ送出する信号の自己相関関数を該送出信
号のパワーで正規化した値と該非巡回型適応複の係数か
ら一つを除いた係数群との積との差分を、先に除いた一
つの係数の新しい推定値とし、この同様の処理を全係数
について実行するという相関法を用いている。
【0013】また本発明のエコーキャンセラは、さらに
他の形態として、係数修正回路の係数推定法として、特
性が未知の系に信号を送出し、その応答からその系が与
える伝達関数を推定して得られた値をその系を模擬する
非巡回型適応フィルタの係数とする処理であって、その
系の応答とその系へ送出した信号との相互相関関数と、
該非巡回型適応複の係数から一つを除いた係数群と該系
へ送出する信号の自己相関関数との積との差分を該送出
信号のパワーで除した値を、先に除いた一つの係数の新
しい推定値とし、この同様の処理を全係数について実行
するという相関法を用いている。
【0014】また本発明のエコーキャンセラは、他の形
態として、またダブルトークが検出されたならば該遅延
と相関関数の計算用シフトレジスタをリセットし、ダブ
ルトーク終了後は該シフトレジスタに該送出信号が満ち
てから係数更新を再開することを特徴とするものであ
る。
【0015】また本発明のエコーキャンセラは、他の形
態として、係数更新再開時に相互相関関数と自己相関関
数も合わせてリセットすることを特徴とするものであ
る。
【0016】
【作用】係数修正回路34における係数修正のために必
要な信号(受信信号や送信信号など)は遅延回路35で
所定の遅延Dを与えられてから係数修正回路34に入力
される。この遅延Dはダブルトーク検出回路33でのダ
ブルトーク検出遅延程度以上に設定される。これによ
り、ダブルトークが発生した時、ダブルトーク検出回路
33でそれを検出するために時間Dの遅延があったとし
ても、係数修正回路34に入力される信号も遅延回路3
5で時間D分遅延されているから、ダブルトーク検出回
路33でダブルトークが検出された時点で係数修正回路
34の係数修正を休止すれば、エコー消去量が大幅に減
少することを防げる。
【0017】一方、エコー経路変動があった時には係数
修正回路34での収束を高速化することが望ましく、こ
のため遅延回路35での時間Dの遅延はエコー経路変動
に対しては有害となる。そこで、エコー経路変動検出回
路36でエコ−経路変動が検出された時には、切替え回
路37によって遅延回路35を除去して信号を係数修正
回路34に直接的に入力するようにする。
【0018】また狭帯域信号に対してもエコー経路変動
と同様に扱うことができ、狭帯域信号の入力が検出され
た時には切替え回路37で遅延回路35を除去するよう
にする。
【0019】
【実施例】以下、図面を参照して本発明の実施例を説明
する。図2には本発明の一実施例としてのエコーキャン
セラの要部部分の構成が示される。図2において、1は
出力信号Xj (=受話音声)に基づき擬似エコーGj
生成する非巡回型の適応フィルタ、3は入力信号Y
j (=送話音声Sj +エコーgj +周囲騒音Nj )から
擬似エコーgj を差し引いて残留エコーEj を出力する
減算器であり、これらは従来の技術の項で説明したもの
と同じである。
【0020】4は擬似エコーGj と残留エコーEj に基
づいてダブルトーク状態を検出するダブルトーク検出回
路である。このダブルトーク検出回路4については例え
ば藤井等の「音声エコーキャンセラのためのダブルトー
クとエコー経路変動に関する検討」、信学技報、Ea9
1−82などを参照できる。
【0021】2は係数修正回路であり、この係数修正回
路では、擬似エコーを合成する適応フィルタの係数推定
アルゴリズムとして、収束速度の高速化を実現できる相
関法と称する新たな係数推定アルゴリズムを用いてい
る。この相関法では出力信号Xj と入力信号Yj の相関
関数に基づいてタップ係数の推定を行っている。この動
作については後で詳細に説明する。
【0022】5と6は遅延回路であり、ダブルトーク検
出回路4でダブルトークの検出に要する時間分程度の遅
延Dをそれぞれ出力信号Xj と入力信号Yj に与えて係
数修正回路2に入力させるものであり、シフトレジスタ
を用いて構成される。
【0023】この実施例装置の動作を以下に説明する。 相関法 まず、係数修正回路2における相関法による係数推定ア
ルゴリズムを説明する。一般的に用いられている学習同
定法は、図12に示す諸信号を用いて低域フィルタ表現
すると、時刻j+1における適応フィルタのm番目のタ
ップ係数値Hj+1(m)を推定する演算の構造は図3の
(A)のように表される。さらに、この低域フィルタ表
現に示す係数αj (m) を定数αとした係数推定法の演算
系を図3の(B)に示す。この図3の(B)の構成にお
いて収束速度は学習同定法と同程度となる。
【0024】ここで、入力信号Yj は Yj =Σh(i) Xj (i) +Sj +Nj (1) と表され、図3の(B)の系の巡回部への入力は〔Yj
−Σm j (i) Xj (i)〕Xj (m) である。この構成か
ら、収束の高速化は、巡回部に入力する外乱成分 DJ (m) =〔Σm Δj (i) Xj (i) +Sj +Nj 〕Xj (m) (2) Δj (i) =h(i) −Hj (i) (3) Σm :i=mを除くi=1〜Iの加算 を高速に排除することに等しいことが見出される。その
第1の方法はフィルタ係数αを1(帯域幅最小)とする
こと、その第2の方法は誤差の多い収束の初期に巡回部
に入力した誤差成分Σm Δj (i) Xj (i) を巡回部から
できるだけ早く排除する(フィルタ係数αを最小とす
る)ことである。しかし、この二つの方法は背反するも
のであり、図3の(B)に示す構成でこの二つを両立さ
せることは難しい。
【0025】この二つの方法を同時に有効とするのが相
関法である。この相関法では、推定誤差を巡回部に残す
結果となるΣm j (i) Xj (i) の減算を巡回部の出力
側(除算の手前)で行うように変更する。このとき、推
定誤差Δj (i) に起因する外乱成分は巡回部に残らず、
フィルタ係数αを1とする前記第1の方法の採用が可能
となる。
【0026】この構成において、図3の(B)に示す上
段巡回部は入力信号Yj と出力信号Xj (m) の相互相関
関数を与える。すなわち、式(1)の入力信号Yj に適
応フィルタを構成するシフトレジスタのm番目のタップ
出力Xj (m) を乗じて時刻j=1からJまでの和を計算
し、その和を相互相関関数aJ (m) とおくと、時刻Jに
おいて aJ (m) =ΣJ j j (m) =Σh(i) rJ (i,m) +ΣJ j j (m) +ΣJ j j (m) =h(m) rJ (m,m) +Σm h(i) rJ (i,m) +ΣJ j j (m) +ΣJ j j (m) =h(m) rJ (m,m) +Σm h(i) rJ (i,m) +bj (m) +cj (m) (4) rJ (m,m) =ΣJ j (m) Xj (m) (5) rJ (i,m) =ΣJ j (i) Xj (m) (i≠m) (6) bj (m) =ΣJ j j (m (7) cj (m)=ΣJ j j (m) (8) とおくことができる。但し、rJ (m,m) は受話信号Xj
のパワー、rJ (i,m) は受話信号Xj (i) の自己相関関
数であり、ΣJ はj=1〜Jの加算を表し、Σmはi=
mを除くi=1〜Iの加算を表し、エコー経路利得h
(i) は推定が完了するまで不変、α=1と仮定してい
る。
【0027】ここで、aJ (m) をrJ (m,m) で正規化
し、全信号を無相関と仮定すれば、J→∞において式
(4)の第2項以下は最も高速に0に収束し、正規化a
J (m) はh(m) に漸近することになる。
【0028】次に、巡回部の出力側に移動させたタップ
mを除く擬似エコーを式(6)に示す自己相関関数rJ
(i,m) を用いて合成し、式 (4) から差し引けば、その
差分は、 p J (m) =h(m) rJ (m,m) +Σm ΔJ (i) rJ (i,m) +bJ (m) +cJ (m) (9) と求められる。すなわち、式(4)と(9)の比較にお
いて、 Σm ΔJ (i) rJ (i,m) <Σm h(i) rJ (i,m) (10) が成り立つならば、推定誤差は減少して収束はさらに高
速化される。
【0029】図4はこの式(9)をパワーrJ (m,m) で
正規化したPJ (m) による係数推定の演算構造を示した
ものである。図4において、10は入力信号YJ 用入力
端子、11は出力信号XJ 用入力端子、12は擬似エコ
ーGJ の出力端子、1は擬似エコーGJ を合成する非巡
回型フィルタ、14は入力信号YJ と非巡回型フィルタ
1を構成するシフトレジスタの出力XJ (m) との相互相
関関数を計算する相互相関関数計算回路、15はそのシ
フトレジスタの出力XJ (i) の自己相関関数を計算する
自己相関関数計算回路、17は非巡回型フィルタ1のタ
ップ係数HJ (i) を記憶するタップ係数メモリ、16は
自己相関関数rJ (i,m) とタップ係数HJ (i) から推定
しようとするタップ係数を除いた係数列との積から合成
した擬似エコーに対応する成分を計算する擬似エコー対
応成分計算回路、18は擬似エコー対応成分計算回路1
6で合成した擬似エコー対応成分と相互相関関数計算回
路14で求めた相互相関関数との差分をとる減算器、1
9はその差分を出力信号Xj (i) のパワーrJ (m,m) で
正規化する除算器である。
【0030】なお、この構成による他、相互相関関数a
J (m) とΣm h(i) rJ (i,m) をパワーrJ (m,m) でそ
れぞれ正規化し、その両者の差分をとってPJ (m) をも
のであってもよい。
【0031】図5はタップ数I=512、修正定数K=
1、エコー対周囲騒音比約40dBとして係数推定を実行
した場合における、式(9)による相関法のエコー消去
量の収束特性を学習同定法との比較において示したもの
である。図5から分かるように、相関法ではj=512
程度以降から急速に収束するのに対して、学習同定法で
はj=4096程度にならないと収束しない。このよう
に相関法は学習同定法と比較すると、収束速度は約8倍
であり、またエコー消去量は飽和することなく増加し続
けてj=4096付近では学習同定法よりも約10dBも
高くなっており、収束特性が大幅に改善されていること
がわかる。
【0032】この相関法は本質的に安定である。すなわ
ち、本手法の安定性は図4に示す巡回部(4箇所)の利
得が1位かになる時において保証されることは明らかで
ある。このうち、相互相関関数aJ (m) とパワーr
J (m,m) 、自己相関関数rJ (i,m) の計算は、単なる累
積加算であり、その加算値を演算語長以内に納めるよう
に調整することは容易である。問題は係数推定値P
J (i) とHJ (i) を結ぶ帰還閉路である。
【0033】図4においてこの帰還閉路はi=mを除く
(I−1)本からなる。従って、推定誤差ΔJ (i) の大
きさをi=1〜Iについて等しいと仮定すると、係数推
定値PJ (i) を生じた推定誤差の(I−1)倍が推定誤
差として戻り、循環し続けることになる。すなわち、パ
ワーで正規化した自己相関関数において rJ (i,m) /rJ (m,m) ≦1/(I−1) (11) となるとき、この帰還閉路の利得は1以下となって係数
推定動作は安定する。またこの不等式が成り立つ時刻は
式(6)の加算項数が(I−1)となる時刻j=(I−
1)に等しい。さらにこの正規化自己相関関数は時刻j
に対して単調に減少し、この時刻以降、帰還閉路の利得
も1から単調に減少する。すなわち本相関法は本質的に
安定である。
【0034】さらに、この相関法は、収束の初期におい
て擬似エコーの合成と相互相関関数の計算を実行するタ
ップ数を制限して係数推定を実行する構造にすれば、劇
的に速い収束速度が実現される。すなわち、式(10)
から次の更なる高速化手法が見出される。その第1は、
小さなh(i) の推定に対して係数更新を休止(HJ (i)
=0)することであり、その第2は自己相関関数r
J (i,m) の積分項を少なくすることである。
【0035】まず第1の方法として式(10)をタップ
ごとにみると、大きいh(i) については大きいΔJ (i)
が許容されることが分かる。それは大きなh(i) につい
ては係数推定をj=(I−1)よりも早く実行できるこ
とを表している。
【0036】図6はエコー経路利得が減衰関数となるこ
とを利用して係数推定を実行するタップをi=1から順
に時間とともに一つずつ増加された場合のエコー消去特
性である。i=(I−1)以前において収束はさらに高
速化されていることが分かる。
【0037】第2の方法として式(10)を、 Σm J (i) rJ (i,m) −Σm J (i) rJ (i,m) <Σm h(i) rJ (i,m) (12) と書き改めると、左辺第2項rJ (i,m) の積分項数を少
なくすることでも左辺は小さくなることが分かる。図7
はこの手法を用いて得たエコー消去特性である。収束速
度が劇的に高速化されていることが分かる。但し、この
第2の方法では上式第1項と第2項の積分項数が異なる
ため、推定誤差が少なくなってくるとその違いは推定誤
差を激増させるので、誤差が激増する前に積分項数を一
致させる処理を必要とする。前掲の図7は第1の方法に
よる係数推定(図6)も平行して行い、j=512にお
いて第2の方法と交代させるようにしたものである。
【0038】ダブルトークに対する動作 本実施例のエコーキャンセラにおいては、以上に説明し
た相関法による推定アルゴリズムの係数修正回路2を用
いて適応フィルタ1のタップ係数を修正している。この
エコーキャンセラでは、通常時、出力信号Xj と入力信
号Yj はそれぞれ遅延回路5、6を経て係数修正回路2
に入力される。したがって、係数修正回路2における収
束遅延は、遅延回路5、6を持たない従来の場合よりも
遅延回路5、6での遅延時間D分だけ遅れることになる
が、通常時にはこの程度の遅れはエコーキャンセラの動
作に大きな影響を与えない。
【0039】ダブルトーク状態が生じてダブルトーク検
出回路4によりそれが検出されると、係数修正回路2に
おける相関関数の計算と係数修正の処理を休止する。相
関関数の計算も休止するのは、ダブルトークが検出され
た時点で係数更新(係数修正)を休止しても、自己相関
関数と相互相関関数を計算し続けるならば、係数更新の
再開後の係数は大きく乱れ、エコー消去量が減少してし
まうことになるからである。
【0040】それを防ぐために、ダブルトークが検出さ
れたならば、シフトレジスタからなる遅延回路5、6の
データをリセット(クリア)してダブルトーク時のデー
タを廃棄し、ダブルトーク状態が解消して遅延回路が正
常な信号で満たされた後、係数更新を再開する。また、
再開時に自己相関関数と相互相関関数も同時にリセット
する構成も可能である。
【0041】図8はその遅延Dを512とおき、式
(9)に従って係数推定を実行した時のエコー消去特性
を計算したものであり、j=4096〜4224までエ
コー対周囲騒音比を0dBとしてダドルトーク状態として
いる。収束遅延は遅延Dの影響を受けて1024(D+
I)程度と増加しているが、ダブルトークの影響は排除
されて同区間中においてもエコー消去量は減少すること
なく大きく保たれていることが分かる。但し、これ例に
おいては、ダブルトークは64ms以内に検出できるもの
と仮定している。
【0042】本発明の実施にあたっては種々の変形形態
が可能である。上述の実施例はダブルトーク対策を施し
たものであるが、エコー経路変動に対しては考慮されて
いない。音響エコーキャンセラではエコー経路変動が絶
えず起こる可能性があるので、そのエコー経路変動によ
ってもハウリングが引き起こされることのないような構
成とする必要がある。その第1の方策としては収束の高
速化である。この観点からすれば、前述のダブルトーク
対策のために導入した図2に示す遅延回路6、7の遅延
Dによる収束の遅延はむしろ有害となる。
【0043】そこで、エコー経路変動が検出されたなら
ば、相関計算値を記憶するレジスタをリセットし、信号
j 、Yj を遅延回路6、7を迂回させて直接的に係数
修正回路2に入力させて相互相関関数と自己相関関数を
計算するよう変更して、係数推定を実行すると共に、所
要エコー消去量が得られた適当な時点で遅延回路6、7
による遅延Dの挿入に戻す構成とする必要がある。図9
はかかる構成を持つ本発明の他の実施例としての音響エ
コーキャンセラを示すものである。
【0044】すなわち、図9の実施例は、前述の実施例
の回路に、エコー経路変動を検出するエコー経路変動検
出回路7と、出力信号Xj を遅延回路6を迂回して係数
修正回路2に入力させるスイッチ8と、入力信号Yj
遅延回路7を迂回して係数修正回路2に入力させるスイ
ッチ9とを新たに追加したものである。そしてエコー経
路変動検出回路7でエコー経路変動が検出されたならば
スイッチ8、9を切り換えて出力信号Xj 、入力信号Y
j を遅延回路6、7による遅延Dを与えずに直接に係数
修正回路2に入力し、収束の高速化を図る。
【0045】図10はエコー経路変動をj=4096で
発生させることにより、図9に示すエコーキャンセラの
有効性を確認するシミュレーションの結果である。但
し、エコー経路変動検出は、前述した残留エコーと擬似
エコーの相関を用いる手法を用いれば2ms(標本化周波
数8kHzで換算、以下同じ)程度の遅延で可能である
が、ここでは見やすいように、エコー経路変動の検出に
128msを要するものとしている。またスイッチの切換
えはエコー経路変動の検出から128ms後に行い、その
後の64ms間は係数更新を休止している。
【0046】更に狭帯域信号に対してもこのエコー経路
変動と同様にして対処することができる。すわなち、狭
帯域信号が収束後に生起する場合は、エコー消去特性に
変化に対して何らの処置も必要ではない。処置が必要な
のは狭帯域信号で収束した後、広帯域信号となる場合
(すなわち収束の初期において狭帯域信号であった場
合)である。しかし、この場合はエコー経路変動と同等
であるので、エコー経路変動検出と同様の処置で対応す
ることができる。すなわち全演算をリセットして推定演
算を再起動することが必要である。従って狭帯域信号検
出はエコー経路変動検出に代用される。また、収束後、
エコー経路変動を監視し続けるならば、残留エコーの増
加(エコー消去量の減少)に対しても、係数更新の実行
は不要になる。
【0047】図11は狭帯域信号(400Hzの正弦波)
で収束した後、j=4096において広帯域信号に変化
したときのエコー消去特性の例である。但し、エコー経
路変動の検出から128ms後以降、係数更新は全て休止
する構成とした。この場合、図9に示すダブルトーク検
出回路と遅延Dは不要となり、エコー経路変動検出だけ
で十分となる。また係数更新実行用演算資源はエコー経
路変動検出に流用できる。
【0048】以上に説明した実施例では、係数推定アル
ゴリズムとして、新たに提案した相関法を用いたが、本
発明はこれに限られるものではなく、係数修正回路の係
数推定アルゴリズムとして他のアルゴリズム、例えば学
習同定法、LMS法、最大傾斜法、繰り返し法、あるい
はカルマン法などの一般的に知られているアルゴリズム
を用いることができる。この場合、各アルゴリズムに応
じて係数修正回路での係数修正のために必要な信号は変
わるので、各アルゴリズムに応じた信号に遅延Dを与え
て係数修正回路に入力するよう構成すればよい。
【0049】またダブルトーク検出回路あるいはエコー
経路変動検出回路としても種々の方式のものが本発明に
適用可能である。
【0050】
【発明の効果】以上に説明したように、本発明によれ
ば、ダブルトークやエコー経路変動に対してもエコー消
去量が減少することを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る原理説明図である。
【図2】本発明の一実施例としてのエコーキャンセラを
示す図である。
【図3】実施例回路で用いている係数修正回路の係数推
定アルゴリズムである相関法を説明するための図であ
る。
【図4】実施例回路における係数修正回路(相関法)の
構成を示す図である。
【図5】相関法を用いた場合と学習同定法を用いた場合
のエコー消去特性を比較した図である。
【図6】推定タップ数の段階的増加によるエコー消去特
性を示す図である。
【図7】積分項数の漸増法を併用したエコー消去特性を
示す図である。
【図8】ダブルトーク時のエコー消去特性を示す図であ
る。
【図9】本発明の他の実施例としてのエコーキャンセラ
を示す図である。
【図10】エコー経路変動時のエコー消去特性を示す図
である。
【図11】狭帯域信号時のエコー消去特性を示す図であ
る。
【図12】音響エコーキャンセラの従来例を示す図であ
る。
【符号の説明】
1 非巡回型の適応フィルタ 2 係数修正回路 3 減算器 4 ダブルトーク検出回路 6、7 遅延回路 8、9 スイッチ 14 相互相関関数計算回路 15 自己相関関数計算回路 16 擬似エコー対応成分計算回路 17 タップ係数メモリ 18 加算器 19 減算器
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.5 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 H04Q 3/42 104 9076−5K

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 受信信号に基づき擬似エコーを生成する
    適応フィルタ(31)と、 送信信号から該擬似エコーを差し引いてエコー成分を消
    去する減算器(32)と、 ダブルトーク状態を検出するダブルトーク検出回路(3
    3)と、 通常時に該適応フィルタのタップ係数を修正し、該ダブ
    ルトーク状態時にその係数修正を休止する係数修正回路
    (34)と、 該係数修正回路での係数修正に用いる信号を該ダブルト
    ーク検出回路でのダブルトーク検出の遅延時間程度少な
    くとも遅延させて該係数修正回路に入力させる遅延回路
    (35)とを備えたエコーキャンセラ。
  2. 【請求項2】 エコー経路変動検出回路(36)と、 該エコー経路変動検出回路でエコー経路変動が検出され
    た時には該係数修正回路での係数修正に用いる信号を該
    遅延回路で遅延させることなく該係数修正回路に入力さ
    せる切替え回路(37)とを更に備えた請求項1記載の
    エコーキャンセラ。
  3. 【請求項3】 狭帯域信号の入力時にもエコー経路変動
    の時と同様に処理するよう構成された請求項2記載のエ
    コーキャンセラ。
  4. 【請求項4】 係数修正回路の係数推定法は、特性が未
    知の系に信号を送出し、その応答からその系が与える伝
    達関数を推定して得られた値をその系を模擬する非巡回
    型適応フィルタの係数とする処理であって、その系の応
    答とその系へ送出した信号との相互相関関数を該送出信
    号のパワーで正規化した値と、その系へ送出する信号の
    自己相関関数を該送出信号のパワーで正規化した値と該
    非巡回型適応フィルタのタップ係数から一つを除いたタ
    ップ係数群との積との差分を、先に除いた一つのタップ
    係数の新しい推定値とし、この同様の処理を他のタップ
    係数について実行するものである請求項1〜3の何れか
    に記載のエコーキャンセラ。
  5. 【請求項5】 係数修正回路の係数推定法は、特性が未
    知の系に信号を送出し、その応答からその系が与える伝
    達関数を推定して得られた値をその系を模擬する非巡回
    型適応フィルタの係数とする処理であって、その系の応
    答とその系へ送出した信号との相互相関関数と、該非巡
    回型適応フィルタのタップ係数から一つを除いたタップ
    係数群と該系へ送出する信号の自己相関関数との積との
    差分を該送出信号のパワーで除した値を、先に除いた一
    つのタップ係数の新しい推定値とし、この同様の処理を
    他の係数について実行するものである請求項1〜3の何
    れかに記載のエコーキャンセラ。
  6. 【請求項6】 ダブルトークが検出されたならば該遅延
    と相関関数の計算用シフトレジスタをリセットし、ダブ
    ルトーク終了後は該シフトレジスタに該送出信号が満ち
    てから係数更新を再開することを特徴とする請求項4ま
    たは5記載のエコーキャンセラ。
  7. 【請求項7】 係数更新再開時に相互相関関数と自己相
    関関数も合わせてリセットすることを特徴とする請求項
    6記載のエコーキャンセラ。
JP8156692A 1992-03-03 1992-03-03 エコーキャンセラ Withdrawn JPH05252079A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP8156692A JPH05252079A (ja) 1992-03-03 1992-03-03 エコーキャンセラ

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP8156692A JPH05252079A (ja) 1992-03-03 1992-03-03 エコーキャンセラ

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH05252079A true JPH05252079A (ja) 1993-09-28

Family

ID=13749848

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP8156692A Withdrawn JPH05252079A (ja) 1992-03-03 1992-03-03 エコーキャンセラ

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH05252079A (ja)

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2000341658A (ja) * 1999-05-27 2000-12-08 Nec Eng Ltd 話者方向検出システム
US7035398B2 (en) 2001-08-13 2006-04-25 Fujitsu Limited Echo cancellation processing system

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2000341658A (ja) * 1999-05-27 2000-12-08 Nec Eng Ltd 話者方向検出システム
US7035398B2 (en) 2001-08-13 2006-04-25 Fujitsu Limited Echo cancellation processing system

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP2538176B2 (ja) エコ―制御装置
EP0667700B1 (en) Echo cancelling method and apparatus using fast projection scheme
US8090093B2 (en) Echo canceller
JP2654894B2 (ja) 反響消去装置およびその方法
Munjal et al. RLS algorithm for acoustic echo cancellation
JPH05252079A (ja) エコーキャンセラ
JP3121983B2 (ja) 音響反響除去装置
JP3217614B2 (ja) 音響反響除去装置
JP3452341B2 (ja) エコーキャンセラ
JP3180543B2 (ja) 反響消去装置
JP3121998B2 (ja) 音響反響除去装置
JP2602750B2 (ja) 反響消去装置
JP3248551B2 (ja) 反響消去装置
JP2551869B2 (ja) 反響消去装置
JP3217618B2 (ja) 音響反響除去装置
JP3152815B2 (ja) 音響反響除去装置
JPH05252066A (ja) 適応フィルタのタップ係数の高速抽出法
JP3121969B2 (ja) 音響反響除去装置
JP3248550B2 (ja) 反響消去装置
JP3121997B2 (ja) 音響反響除去装置
JP3187715B2 (ja) 反響消去装置
JP3293706B2 (ja) 反響消去装置
JP3152825B2 (ja) 音響反響除去装置
JP3152822B2 (ja) 音響反響除去装置
JP3635644B2 (ja) エコーキャンセラ

Legal Events

Date Code Title Description
A300 Withdrawal of application because of no request for examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A300

Effective date: 19990518