JPH0521460Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本考案は、ドアの上縁部前端にコーナーブラケ
ツトが設けられた車両用ドア構造の改良に関す
る。

（従来の技術） 一般に、ドアの上縁部上方にサツシユが設けら
れたサイドドアにおいては、サイドドア上方のサ
ツシユ開口部全体をウインドガラスにすると、ウ
インドガラスとサイドドアとの形状によつては、
このシインドガラスを降ろしてサイドドア内に完
全に収容するのが困難な場合がある。このため、
サイドドア前方の上端コーナー部に三角形状のコ
ーナブラケツトを設け、ウインドガラスの前端部
をカツトしてサイドドア内に容易に収容できるよ
うにしている。

ところで、この種のサツシユ付サイドドアのコ
ーナーブラケツトはインナ部分とアウタ部分とか
らなり、これらがそれぞれサツシユを介してドア
パネルのインナパネルおよびアウタパネルに固定
された構造となつている。しかし、この場合、ド
アパネル（インナパネルおよびアウタパネル）が
剛性の低い薄肉板であるため、十分な取付強度が
得られないという欠点があるばかりでなく、イン
ナ部分とアウタ部分との間に挿入されるウインド
ガラスに対するシール性の面で問題がある。

そこで、このような問題を解決するために、例
えば実公昭61−14896号公報に開示されるように、
コーナーブラケツトをサイドドアのインナパネル
上縁よりも下方に延長するとともに、ドアパネル
内に設けられた上側ヒンジを補強するためのヒン
ジレインフオースメントをインナパネルの上縁ま
で延長し、上記コーナーブラケツトの延長部のイ
ンナ部分とヒンジレインフオースメントの延長部
とをインナパネルの上縁部に重合して固定したも
のが提案されている。

（考案が解決しようとする課題） しかしながら、上記提案のものの場合、コーナ
ーブラケツトのインナ部分の剛性の高いヒンジレ
インフオースメントを介してサイドドアのインナ
パネルに固定されているものの、コーナーブラケ
ツトのアウタ部分は、剛性の高い部材を介さずに
直にサイドドアのアウタパネルに固定されている
ため、コーナーブラケツトのアウタ部分の支持剛
性を十分に高めることはできない。また、高速走
行時に生じた負圧によつて外方に吸い寄せられる
ウインドガラスを保持するのが難しく、ウインド
ガラスがサツシユごと外方に吸い寄せられるの
で、サツシユと車体との間のシール性の点でも十
分である。

一方、例えばハードトツプ型自動車のように、
サツシユレス型サイドドアを採用したものもある
が、この種のサツシユレス型サイドドアにおいて
も、コーナーブラケツトを設けてウインドガラス
の昇降性を改善するとともに、ウインドガラスの
保持剛性を向上させることが試みられている。し
かしながら、サツシユレス型サイドドアでは、サ
ツシユ付サイドドア以上にコーナーブラケツトの
取付強度が要求され、単にサイドドアのインナパ
ネルおよびアウタパネルに取付けただけのコーナ
ーブラケツトでは、衝撃によつてドアパネルが僅
かに変形しただけでも、ウインドガラスに対する
シール性が悪化するなどの不具合を有している。

本考案はかかる諸点に鑑みてなされたもので、
その目的とするところは、ウインドガラスの前端
部がカツトされることに着目してコーナーブラケ
ツトにさらに改良を加えることにより、コーナー
ブラケツトのアウタ部分の支持剛性を高いものに
して、高速走行時に生じた負圧によつてウインド
ガラスがサツシユごと外方に吸い寄せられるのを
防止し、サツシユと車体との間のシール性を良好
なものにしようとするものである。

（課題を解決するための手段） 上記目的を達成するため、本考案の解決手段
は、インナパネルとアウタパネルとからなるドア
の上縁部前端にコーナーブラケツトが設けられて
いるとともに、ドア内に収容可能にカツトしたウ
インドガラスの前端が上記コーナーブラケツトの
インナ部分とアウタ部分との間に挿入されて目隠
しされるようにした車両用ドア構造を前提とす
る。そして、上記コーナーブラケツトのインナ部
分を、ドア上縁のインナパネルに接合すると共
に、そのインナパネルに対する接合部よりも下方
へ延長する一方、上記アウタ部分を、ドア上縁の
アウタパネルに接合すると共に、インナパネルに
配設された上側ヒンジレインフオースメントに向
かつて延びるよう、上記アウタパネルに対する接
合部の下端より屈曲して上記ウインドガラス前端
のカツト部分を通過しつつインナパネル側へ延長
する。さらに、上記インナ部分およびアウタ部分
の両延長部を、上記上側ヒンジレインフオースメ
ントと共にインナパネルに重合して固定する構成
としたものである。

（作用） 上記の構成により、本考案では、コーナーブラ
ケツトのインナ部分は、サイドドア上縁のインナ
パネルに接合されて下方に延長される一方、アウ
タ部分は、サイドドア上縁のアウタパネルに接合
されて、そのアウタパネルに対する接合部の下端
より屈曲してウインドガラス前端のカツト部分を
通過しつつドアインナパネル側の上側ヒンジレイ
ンフオースメントまで延長され、インナ部分およ
びアウタ部分の両延長部を剛性の高い上側ヒンジ
レインフオースメントと共にサイドドアのインナ
パネルに重合して固定したので、コーナーブラケ
ツトのアウタ部分が直にサイドドアのアウタパネ
ルに固定されたものに比して、コーナーブラケツ
トのアウタ部分の支持剛性が高いものとなり、高
速走行時に生じた負圧によつてサツシユごとウイ
ンドガラスが外方に吸い寄せられるのを防止する
ことができる。

また、コーナーブラケツトのインナ部分および
アウタ部分の延長部同士を上側ヒンジレインフオ
ースメントと共にサイドドアのインナパネルに重
合して固定したことにより、インナ部分およびア
ウタ部分の延長部同士が互いの接合部の下方で接
合されて、コーナーブラケツト自体の剛性強度が
高められる。

さらに、上記の如くアウタ部分の延長部によ
り、別途レインフオースメントを用いることなく
ドア内を車幅方向へ繋ぐ節が形成されて、ドアの
車幅方向への剛性強度が高められる。

（実施例） 以下、本考案の実施例を図面に基づいて説明す
る。

第１図ないし第３図において、１は自動車用フ
ロントドアのドアパネルであつて、該ドアパネル
１はインナパネル２とナウタパネル３とを接合し
てなり、ドアパネル１の上縁部にはドアパネル１
内外を連通する開口部４が形成され、この開口部
４を通してウインドガラス５を昇降移動させてウ
インドを開閉するようになされている。また、上
記ドアパネル１には、その上縁部より上昇したウ
インドガラス５を案内するサツシユ６が設けられ
ている。

上記ドアパネル１の上縁部前端のコーナー部１
ａには、三角形状のコーナーブラケツト７が設け
られている。上記コーナーブラケツト７内（後述
するインナ部分１０とアウタ部分１１との間）に
は、ドアパネル１内に収容可能にカツトされたウ
インドガラス５の前端が挿入されて目隠しされる
ようになつている。つまり、上記コーナーブラケ
ツト７がドアパネル１の上縁部前端のコーナー部
１ａに設けられたことによつて、上記ウインドガ
ラス５の前端を目隠ししつつ、ウインドガラス５
を降ろした際のサイドドア内への完全な収容を容
易なものにしている。

また、上記コーナーブラケツト７は、ケーシン
グ８と、該ケーシング８の骨格となる断面略コ字
状の骨部材９とで構成されている。上記骨部材９
はインナ部分１０とアウタ部分１１とからなる。
上記インナ部分１０は、ドアパネル１上縁のイン
ナパネル２に接合されていると共に、そのインナ
パネル２に対する接合部よりも下方に延長された
延長部１０ａを有している。一方、アウタ部分１
１は、ドアパネル１上縁のアウタパネル３に接合
されていると共に、後述するヒンジレインフオー
スメント１２に向かつて延びるよう、上記アウタ
パネル３に対する接合部の下端より車体内方に屈
曲して上記ウインドガラス５前端のカツト部分を
通過しつつインナパネル２側へ延長された延長部
１１ａを有している。

さらに、第４図にも示すように、上記ドアパネ
ル１内のインナパネル２側には、上側のヒンジ
（図示せず）の取付部１ｂを補強するためのヒン
ジレインフオースメント１２（上側ヒンジレイン
フオースメント）が配設されている。上記ヒンジ
レインフオースメント１２は断面略Ｌ字状に形成
されており、該ヒンジレインフオースメント１２
のインナパネル２側（第４図では手前側）へ取付
けられる上端部には、上方に延びるフランジ部１
２ａが形成されている。

そして、上記コーナーブラケツト７（骨部材
９）のアウタ部分１１の延長部１２ａは、前端を
カツトしたウインドガラス５に干渉することなく
そのウインドガラスのカツト部分を通過してイン
ナ部分１０の延長部１０ａまで導かれ、この両延
長部１０ａ，１１ａが上側ヒンジレインフオース
メント１２のフランジ部１２ａと共にドアパネル
１のインナパネル２に重合された後、この重合箇
所１３がスポツト溶接により固定されている。し
たがつて、上記実施例では、コーナーブラケツト
７（骨部材９）のイッナ部分１０は、トアパネル
１上縁のインナパネル２に接合されて下方に延長
される一方、アウタ部分１１は、ドアパネル１上
縁のアウタパネル３に接合されて、そのアウタパ
ネル３に対する接合部の下端より車体内方に屈曲
してウインドガラス５前端のカツト部分を通過し
つつインナパネル２側のヒンジレインフオースメ
ント１２まで延長され、インナ部分１０およびア
ウタ部分１１の両延長部１０ａ，１１ａを剛性の
高いヒンジレインフオースメント１２と共にイン
ナパネル２に重合された後、この重合箇所１３が
スポツト溶接により固定されているので、コーナ
ーブラケツトのアウタ部分を直にサイドドアのア
ウタパネルに固定していたものに比して、コーナ
ーブラケツト７のアウタ部分１１の支持剛性は高
められたものとなり、高速走行時に生じた負圧に
よつてウインドガラス５がサツシユ６ごと外方に
吸い寄せられるのを防止して、サツシユ６と車体
との間のシール性を良好なものにすることができ
る。

また、コーナーブラケツト７のインナ部分１０
およびアウタ部分１１の延長部１０ａ，１１ａ同
士をヒンジレインフオースメント１２と共にイン
ナパネル２に重合して固定したことにより、イン
ナ部分１０およびアウタ部分１１の延長部１０
ａ，１１ａ同士が互いの接合部の下方で接合され
て、コーナーブラケツト７自体の剛性強度の向上
を図ることができる。

さらに、上記の如くアウタ部分１１の延長部１
１ａにより、別途レインフオースメントを用いる
ことなくドアパネル１内を車幅方向へ繋ぐ節が形
成されて、ドアパネル１の車幅方向への剛性強度
の向上を図ることができる。

尚、上記実施例では、サツシユ６が設けられた
ドアパネル１に適用した場合について述べたが、
ハードトツプ型自動車のように、ドアパネルの上
縁部上方にサツシユが設けられないサツシユレス
型のドアパネルに適用しても良く、この場合、ウ
インドガラスと車体とのシール性を同様に良好な
ものにすることができる。

（考案の効果） 以上の如く、本考案における車両用ドア構造に
よれば、コーナーブラケツトのアウタ部分の延長
部がインナ部分の延長部まで導かれ、該両延長部
が上側ヒンジレインフオースメントと共にサイド
ドアのインナパネルに重合して固定されているの
で、コーナーブラケツトのアウタ部の支持剛性が
高められ、高速走行時に生じた負圧によつてサツ
シユごとウインドガラスが外方に吸い寄せられる
のを防止して、サツシユと車体との間のシール性
を良好なものにすることができる。

しかも、インナ部分およびアウタ部分の延長部
同士を互いの接合部の下方で接合してコーナーブ
ラケツト自体の剛性強度の向上を計ることができ
ると共に、アウタ部分の延長部によりドア内を車
幅方向へ繋ぐ節を形成してドアの車幅方向への剛
性強度の向上を図ることができる。

【図面の簡単な説明】

図面は本考案の実施例を示すもので、第１図は
ドアパネルの上縁部前端のコーナー部の斜視図、
第２図はドアパネルの正面図、第３図は第１図の
−線における断面図、第４図は上側ヒンジレ
インフオースメントの斜視図である。 １……ドアパネル、１ａ……コーナー部、２…
…インナパネル、３……アウタパネル、７……コ
ーナーブラケツト、１０……インナ部分、１０ａ
……延長部、１１……アウタ部分、１１ａ……延
長部、１２……ヒンジレインフオースメント。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 インナパネルとアウタパネルとからなるドアの
   上縁部前端にコーナーブラケツトが設けられてい
   るとともに、ドア内に収容可能にカツトしたウイ
   ンドガラスの前端が上記コーナーブラケツトのイ
   ンナ部分とアウタ部分との間に挿入されて目隠し
   されるようにした車両用ドア構造であつて、 上記コーナーブラケツトのインナ部分は、ドア
   上縁のインナパネルに接合されていると共に、そ
   のインナパネルに対する接合部よりも下方へ延長
   されている一方、 上記アウタ部分は、ドア上縁のアウタパネルに
   接合されていると共に、インナパネルに配設され
   た上側ヒンジレインフオースメントに向かつて延
   びるよう、上記アウタパネルに対する接合部の下
   端より屈曲して上記ウインドガラス前端のカツト
   部分を通過しつつインナパネル側へ延長されてお
   り、 上記インナ部分およびアウタ部分の両延長部
   は、上記上側ヒンジレインフオースメントと共に
   インナパネルに重合して固定されていることを特
   徴とする車両用ドア構造。