JPH05198397A - 円形加速器並びにビーム出射方法及び出射装置 - Google Patents

円形加速器並びにビーム出射方法及び出射装置

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JPH05198397A
JPH05198397A JP24993592A JP24993592A JPH05198397A JP H05198397 A JPH05198397 A JP H05198397A JP 24993592 A JP24993592 A JP 24993592A JP 24993592 A JP24993592 A JP 24993592A JP H05198397 A JPH05198397 A JP H05198397A
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Abstract

(57)【要約】 【目的】円形加速器からのビーム出射において、ビーム
の出射位置及びビーム径を一定に保ち、良質なビームの
出射及びビーム損失の防止を実現する。 【構成】円形加速器からのビーム出射において、出射の
ためのビームの振幅の増加をベータトロン振動の共鳴に
より行い、共鳴の安定限界内の粒子のベータトロン振動
振幅を増加させて、前記共鳴の安定限界を越えた粒子を
出射する。 【効果】ビーム出射時の軌道勾配,ターンセパレーショ
ンを一定にして出射できるので、ビームの出射位置及び
ビーム径を一定にしたビーム出射ができるとともに、出
射系におけるビーム損失を防止できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、荷電粒子ビームを周回
させ、出射させる円形加速器と、円形加速器のビーム出
射方法及び出射装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来の円形加速器では、電子やイオン等
の荷電粒子ビームを加速して周回させ、その周回軌道か
ら出射させた荷電粒子ビームを輸送系で輸送し、物理実
験や医療等に使用してきた。従来の荷電粒子ビームの出
射では、エー・アイ・ピー・コンファランス・プロシー
ディングズNo.127(1983年)(AIP Conference
Proceedings )の第53頁から第61頁において論じら
れているようにビームのベータトロン振動の共鳴が用い
られてきた。
【0003】ベータトロン振動の共鳴とは次のような現
象である。荷電粒子は左右又は上下に振動しながら周回
し、この振動をベータトロン振動という。ベータトロン
振動の周回軌道一周あたりの振動数をチューンと呼び、
チューンは周回軌道上に設けられた偏向電磁石や4極電
磁石などにより制御可能である。上記の従来例では、チ
ューンを整数±1/3に近づけると同時に、周回軌道上
に設けた共鳴発生用6極電磁石を励磁すると、周回して
いる荷電粒子のうち、ある境界以上の振幅を持つ荷電粒
子のベータトロン振動振幅が急激に増加する。この現象
をベータトロン振動の共鳴といい、前記境界を安定限界
と呼ぶ。共鳴の安定限界のベータトロン振動振幅の大き
さはチューンの整数±1/3からの偏差に依存し、この
偏差が小さい程小さくなる。そこで従来技術では、チュ
ーンを徐々に整数±1/3に近付け、すなわち安定限界
の大きさを徐々に小さくし、周回中の荷電粒子のうちベ
ータトロン振動振幅が大きな荷電粒子にまず共鳴を発生
させ、その後振動振幅が小さな荷電粒子に順次共鳴を発
生させて徐々に荷電粒子ビームを出射させていた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】上記の従来技術では、
次のような問題点が有った。
【0005】第1に、安定限界を小さくすると、出射位
置に設けられたデフレクター壁にビームが衝突し荷電粒
子を取り出すことが出来ない。すなわち、荷電粒子のベ
ータトロン振動振幅はほぼ一様に分布しているが、ある
一定振幅以下のベータトロン振動振幅を持つ荷電粒子を
取り出すことが出来ないので、荷電粒子の出射効率が低
くなる。
【0006】第2に、各安定限界における出射位置で出
射される荷電粒子の軌道勾配が変化する。出射用デフレ
クターは周回軌道に対して一定角度に設けられるので、
この角度からある一定角度以上ずれて出射される荷電粒
子ビームは出射用デフレクターを含めた輸送系の内壁に
衝突して消滅する。この結果、荷電粒子の出射効率が低
い,出射電流が変化し制御できないという問題点があっ
た。また、荷電粒子の軌道勾配が変わると、輸送系の出
口における出射位置も変化するという問題点があった。
【0007】第3に、円形加速器一周ごとのベータトロ
ン振動振幅の増加量がビームの出射中に変化することに
より、ビーム径が変化するという問題点があった。
【0008】第4に、これらの結果、出射中に輸送系出
口における出射位置,出射電流、又はビーム径などが変
化するので、物理実験や医療用としては好ましくないと
いう問題点があった。
【0009】第5に、安定限界の大きさを小さくするた
めに4極電磁石の励磁量を変化させる際に、安定限界は
一旦消滅した後、再び発生するので、一部のビームに共
鳴が発生せず出射効率が低下するという問題点があっ
た。
【0010】本発明の第1の目的は、周回中の荷電粒子
ビームの出射効率の高い円形加速器と、ビーム出射方法
及び出射装置を提供することにある。
【0011】本発明の第2の目的は、出射電流の大きい
円形加速器と、ビーム出射方法及び出射装置を提供する
ことにある。
【0012】本発明の第3の目的は、輸送系からの出射
ビーム位置のほぼ一定な円形加速器と、ビーム出射方法
及び出射装置を提供することにある。
【0013】本発明の第4の目的は、輸送系からの出射
ビーム径のほぼ一定な円形加速器と、ビーム出射方法及
び出射装置を提供することにある。
【0014】本発明の第5の目的は、出射電流を制御で
きる円形加速器と、ビーム出射方法及び出射装置を提供
することにある。
【0015】
【課題を解決するための手段】本発明の第1,第2の目
的を達成するために、荷電粒子ビームのベータトロン振
動を共鳴状態にすると共に、前記共鳴状態にする手段と
は別に前記荷電粒子ビームのベータトロン振動振幅を増
加する手段を設ける。
【0016】本発明の第1から第5の目的を達成するた
めに、安定限界を実質的に一定にして、前記荷電粒子ビ
ームのベータトロン振動振幅を増加する手段を設ける。
【0017】本発明の第5の目的を達成するために、更
にベータトロン振動振幅の増加速度を制御する手段を設
ける。
【0018】前記ベータトロン振動振幅を増加する手段
としては、以下のうちのいずれかの手段を用いる。
【0019】(1)ビームに時間的に変動する磁場を印
加する。
【0020】(2)ビームに時間的に変動する電場を印
加する。
【0021】(3)出射ビームと異なる粒子を出射ビー
ムに衝突させる。
【0022】
【作用】以下、本発明の作用を図を用いて説明する。図
1は、加速したビームを出射する円形加速器で、本発明
の概要を示す図である。円形加速器は、偏向電磁石3,
4極電磁石5,7,共鳴励起用電磁石9,出射用デフレ
クター13等から構成される。共鳴励起用電磁石9は、
共鳴発生用の多重極磁場を発生させる電磁石である。座
標系はビーム周回方向をs,水平方向をx,垂直方向を
yとする。ビームは、周回軌道である設計軌道1の周囲
を振動しながら周回する。このベータトロン振動振幅は
ビームを構成する粒子毎に異なり、振幅の大きな粒子か
ら小さな粒子まで混在している。従って、設計軌道1を
周回中のビーム径は、ベータトロン振動振幅の最大値に
より決まる。ベータトロン振動の周回軌道一周あたりの
振動数をチューンと呼び、水平方向チューンをνx、垂
直方向チューンをνyとする。水平,垂直方向チューン
νx,νyの値は、収束用4極電磁石5及び発散用4極
電磁石7の励磁量により調整できる。
【0023】4極電磁石5及び7を調整して水平方向チ
ューンνxまたは垂直方向チューンνyを整数±p/q
(既約分数)に近づけ、共鳴励起用電磁石9を励磁する
と、安定限界より大きなベータトロン振動振幅を持つ粒
子の振幅は共鳴により増加する。この時の共鳴をq次の
共鳴と呼ぶが、以下では3次の共鳴を例にとりビームを
水平方向から取り出す場合について説明する。
【0024】4極電磁石5及び7を調整して水平方向チ
ューンνxを整数±1/3に近づけ、共鳴励起用電磁石
9(3次共鳴の場合は6極電磁石を使用)を励磁すると
振動振幅の大きな粒子に3次共鳴が励起される。図1の
出射用デフレクター13が設置されているs方向位置を
soとし、s=soにおけるビームの周回毎のxとdx
/dsの関係(位相空間)を図2に示す。図2に示す破
線が、位相空間における安定限界を示している。安定限
界より外側、即ちベータトロン振動振幅が安定限界より
大きな粒子は、共鳴により、一周毎に振動振幅が急激に
増加する。図2の安定限界を越えた粒子に付けた番号は
周回数を示している。安定限界は、チューンνxの整数
±1/3からの偏差が小さいほど、共鳴発生用の多重極
磁場強度が大きいほど小さくなる。図2の20(内側を
20i,外側を20oで示す)は、図1の出射用デフレク
ター13の電極を示しており、電極20に衝突する粒子
は失われ、電極20の間の領域に入った粒子は円形加速
器の外へ出射される。
【0025】出射される粒子の出射用デフレクター位置
での軌道勾配dx/dsは、図2から分かるように概ね
Aに等しい。Aは例えば周回軌道と出射用デフレクター
とのなす角度に設定される。円形加速器から出射される
ビーム径は、出射用デフレクターに入るビーム径で決ま
る。また、3次共鳴の場合、安定限界を越えた粒子の3
周毎の変位増加量(q次共鳴の場合、q周毎の変位増加
量)をターンセパレーションTsと呼ぶが、Tsは安定
限界から離れるほど大きくなり、安定限界が小さいほど
小さくなる。従って、従来技術のように、ベータトロン
振動振幅の小さい粒子を出射するためにチューンを変化
させて安定限界を小さくすると、ターンセパレーション
Tsも小さくなるので、安定限界がある程度小さくなる
と出射用デフレクターの壁を乗りこえることができず、
壁に衝突してビームは消滅する。ビームの出射効率は、
出射用デフレクターの壁の厚さをTdとすれば、一次評
価として、(Ts−Td)/Tsとなる。従って、安定
限界を小さくするほど出射効率は低くなる。一般的に、
ベータトロン振動振幅が小さいほど、周回ビームの分布
は多いので出射効率は低くなる。そこで、本発明では、
安定限界内にある荷電粒子をベータトロン振動振幅を増
加させることによって安定限界の外に移動させる。その
結果、安定限界を小さくしなければ取り出せなかったベ
ータトロン振動振幅の小さな粒子も、ある程度のターン
セパレーションTsを保ったまま出射できる。従って、
出射効率の高い、又は出射電流の大きい円形加速器と、
ビーム出射方法及び出射装置を提供出来る。
【0026】次に安定限界を実質的に一定に保つことの
作用について述べる。安定限界は、前述したように、チ
ューンと共鳴発生用の多重極電磁石の励磁量を調整する
ことにより制御できる。図2は代表粒子の位相空間上の
軌跡を示したもので、他の粒子は図の軌跡間をたどって
移動する。即ち、図2の軌跡間にも多数の粒子が存在す
る。振動振幅が増加したビームのうち出射されるもの
は、出射用デフレクターの2つの電極20i,20o間に
入射したビームである。従って、安定限界を一定に保つ
と、出射ビームの勾配、即ち出射角度を一定に保てるば
かりでなく出射ビーム径,出射位置も一定に保つことが
出来る。このように、出射位置が一定で、且つターンセ
パレーションTsが一定になると、出射効率(Ts−T
d)/Tsも一定となる。出射ビームの勾配、ターンセ
パレーションTsについては、出射前に安定限界を設定
する際のチューン選定、即ち4極電磁石の励磁量,共鳴
励起用電磁石の励磁量の大きさの調整により変えること
ができるので、出射効率は一定で大きな値になる。
【0027】次に、ビームの特性を表わすエミッタンス
について説明する。ビームのエミッタンスはビームが位
相空間上で占める面積を表わし、ビームのサイズと軌道
勾配の分布幅の積に比例する。例えば、図5の位相空間
に示す安定限界内で周回中のビームのエミッタンスは、
図5の破線で囲まれた面積に等しい。一方、出射ビーム
の出射用デフレクター電極20付近での位相空間を図6
に示す。出射ビームのエミッタンスは、デフレクター電
極20i,20o 間に入るビームの幅ΔXと軌道勾配の変
化幅ΔPの積に等しい。前述の安定限界を実質的に一定
にして共鳴を発生させると、図6に示す軌道勾配の変化
幅ΔPは無視できる程度に小さく抑えられ、出射ビーム
のエミッタンスは一定で、小さな値に抑えることができ
る。
【0028】次に、前記共鳴の安定限界内にある粒子の
ベータトロン振動振幅を増加させる手段について説明す
る。安定限界内の粒子の振動振幅を増加させるための手
段としては、課題を解決するための手段で示した3つの
方法に大別される。
【0029】(1)の磁場は、出射する面が水平面の時
は垂直方向(y方向)に、出射面が垂直面の時は水平方
向(x方向)に印加する。これは、一周ごとの軌道勾配
の変化は小さいが、磁場によりビームの軌道勾配を変化
させ、この蓄積によりビームの振動振幅を大きくする。
磁場の時間変化は規則的,不規則的どちらでも良い。ビ
ームに磁場を印加する装置としては、電磁石,平行な線
状電極,平板電極、又は円弧状電極等を用いることがで
きる。これらの装置に時間的に変化する電流を流すこと
によりビームに時間変化する磁場が加わり、ベータトロ
ン振動振幅が増加する。
【0030】(2)の電場は、ビームの周回方向、即ち
s方向に印加するか、又は出射する面が水平面の時は水
平方向(x方向)に、出射面が垂直面の時は垂直方向
(y方向)に印加する。s方向に電場を印加するとビー
ムのエネルギーが変化する。ビームのエネルギーが変化
すると偏向電磁石部での軌道の曲率半径が変化するの
で、ベータトロン振動の中心軌道位置が変化し、結果的
にベータトロン振動振幅が変化する。x方向又はy方向
に電場を印加する場合は、(1)の磁場と同様に、ビーム
に横方向の力を与えることにより軌道勾配を変化させ、
ベータトロン振動振幅を増加させる。電場の時間変化は
規則的,不規則的どちらでも良い。電場の印加は、平行
な線状電極,平板電極、又は円弧状電極等に時間変化す
る電流を流すか、ボタン状電極や板状電極に時間変化す
る電圧を印加するか、高周波空胴に高周波を印加するこ
とにより行う。従って、電場の場合は、印加方向がどの
方向であっても電場をs方向とx方向又はy方向に分解
できるので、上記の2つの作用が発生し、ベータトロン
振動振幅を増加できる。
【0031】また、電極や空胴に時間変化する信号を加
えると電場と同時に磁場も発生するので、主に電場の効
果を利用するときも磁場の効果が重畳され、主に磁場の
効果を利用するときも電場の効果が重畳される。どちら
の場合でもベータトロン振動振幅は増加するため、単一
の場合と同様にビームが出射できる。
【0032】ビームのベータトロン振動振幅を増加させ
るために、前述のようにビームの進行方向に垂直に時間
変化する電場又は磁場を印加する場合、その周波数成分
は、ベータトロン振動に同期する周波数成分を含んでい
ることが望ましい。これは、ベータトロン振動に同期す
る周波数成分を含む電磁場をビームに印加すると、電磁
場がベータトロン振動に同期し、効率的にベータトロン
振動振幅を増加できるためである。ベータトロン振動に
同期する電磁場の周波数は、チューンの小数部、又は1
からチューンの小数部を引いた値と周回周波数の積から
求めることができる。ビーム出射の際に共鳴を発生させ
るために多重極電磁石が必要であるが、多重極電磁石を
励磁すると、ビームのチューンはベータトロン振動振幅
に依存して変化する。即ち、ベータトロン振動振幅の大
きいビームと小さいビームのチューンは異なる。また、
ビームのベータトロン振動振幅は、大きな値から無限小
まで連続的に分布するので、ビームのチューンも連続的
に分布する。従って、外部から印加する電磁場に複数の
周波数成分を持たせ、それらをビームのチューンに近い
値にすれば、効率的にベータトロン振動振幅を増加させ
ることができる。特に、上述のようにビームのチューン
が連続的に分布するので、連続的な周波数成分を有する
ノイズで、かつ、ベータトロン振動に同期する周波数成
分を含む電磁場を用いることが望ましい。ただし、単一
の周波数でも、分布するビームのチューンに概ね等しい
周波数を持つ電磁場を用いることにより、ベータトロン
振動振幅を増加させることは可能である。この場合、上
記の複数の周波数成分を持つ高周波に比べ、大きな電磁
場強度が必要になる。
【0033】また、外部から印加する電磁場に上述のノ
イズを用いた場合の別の効果を説明する。加速器の電磁
石の電流にリップルが含まれていると、これに同期して
チューンが時間的に変化し、図5の安定限界の大きさが
変化する。従って、従来のように図5の安定限界を徐々
に小さくする出射方法では、安定限界の大きさは電流リ
ップルに同期して振動しながら小さくなるので、ビーム
が間欠的に出射される可能性が高い。一方、強度がラン
ダムに変化する電磁場をビームに印加すると、ビームは
図5に示す位相空間内で拡散し、ベータトロン振動振幅
が増加する。この時、ノイズによるベータトロン振動振
幅の変化量をΔAn,時間をt,定数をDとすると、
(ΔAn2)=Dtと表せる。ここで、(ΔAn2)はビー
ムの振動振幅変化の全粒子についての平均値を示す。こ
れから、ビームの振動振幅変化の時間微分は0.5(D/
t)05となり、短時間内の増加率は大きいが、長時間で
の増加率は小さくなる。従って、長時間かけてゆっくり
とビームの振動振幅を増加させる場合でも、電磁石電流
のリップル周期程度の時間内ではベータトロン振動振幅
の増加幅を安定限界の変化幅よりも大きくできるので、
電源リップルの影響をほとんど受けずにビームを出射す
ることができる。
【0034】更に(3)では、円形加速器を周回中のビ
ームとは別の粒子を円形加速器内に入れ周回ビームと衝
突させる。衝突により生じる散乱の結果、軌道勾配が変
化し、周回ビームのベータトロン振動振幅が増加する。
衝突させる粒子は、中性粒子でも荷電粒子でもどちらで
も良い。また、衝突させる粒子はガスとして注入して
も、薄膜として加速器内に設置しビームを衝突させても
良い。
【0035】最後に、ベータトロン振動振幅の増加速度
を制御する手段の作用について述べる。出射電流は、安
定限界内粒子のベータトロン振動振幅の増加速度を制御
することにより調整できる。上記の(1)又は(2)の
電磁場を用いてベータトロン振動振幅を増加させる場合
は、電極等に印加する信号強度を変えることにより、電
場又は磁場の強度を変化させる。出射電流を増加させ速
くビームを出射する場合は印加する信号強度を大きく
し、出射電流を減小させゆっくりビームを出射する場合
は印加する信号強度を小さくする。同様の方法を用いる
ことにより、出射過程で出射電流を時間的に変化させる
こともできる。更に、出射電流を一定に保つ場合には、
軌道周回中のビームの分布に合わせて増加速度を調節す
る。
【0036】単位時間当りに出射されるビームの量は、
その時に加速器を周回しているビームの粒子数に概ね比
例する。周回ビームの粒子数は出射に伴い減少するの
で、一定割合でビームを出射するためには、出射中に電
磁場強度を強くすることによりベータトロン振動振幅の
増加速度を速くする必要がある。このようにして、出射
電流の量をベータトロン振動振幅の増加速度により制御
できるので、出射の開始及び停止を電磁場印加の開始及
び停止で制御できる。従って、予め決めた運転計画だけ
でなく、ビーム使用者側からの要求によるビームの出射
・停止も可能であり、更に、ビーム出射の緊急停止も行
える。
【0037】(3)の方法を用いる場合は、円形加速器
内に入れる他の粒子の数を調整することにより、電磁場
でベータトロン振動振幅を増加させる場合と同様に調整
できる。
【0038】また、上記の出射電流の調整のほかに、チ
ューン調整又は共鳴励起用電磁石の励磁量を変化させる
ことにより安定限界の大きさを変えて出射電流を調整す
る方法を加えることによっても、上記と同様に出射電流
を制御できる。
【0039】出射ビームの勾配、ターンセパレーション
Tsについては、出射前に安定限界を設定する際のチュ
ーン選定、即ち、4極電磁石の励磁量、共鳴励起用電磁
石の励磁量の大きさの調整により変えることができる。
【0040】
【実施例】以下、本発明の実施例を図面を用いて詳細に
説明する。
【0041】図1は、本発明の第1の実施例で、エネル
ギーがおよそ20MeVのプロトンを入射し、100M
eVまで加速後、出射する円形加速器の機器構成を示す
図である。円形加速器は、前段加速器16からのビーム
17をビーム輸送系18を介して入射させる入射器1
5,入射されたビーム17にエネルギーを与える高周波
加速空胴8,ビーム軌道を曲げる偏向電磁石3,ビーム
のベータトロン振動を制御する4極電磁石5,7,出射
時の共鳴を励起するための6極電磁石9,ビームに時間
変化する磁場を印加することにより共鳴の安定限界内粒
子のベータトロン振動振幅を増加させる高周波印加装置
14、及びベータトロン振動振幅が増加した粒子を出射
用ビーム輸送系に出射する出射用デフレクター13など
から構成される。これらの機器のうち、6極電磁石9,
高周波印加装置14、及び出射用デフレクター13は、
ビームを目標エネルギーまで加速した後の出射する過程
でのみ使用する。
【0042】入射器15から入射されたビームは、周回
する過程で偏向電磁石3で軌道が曲げられる。また、4
極電磁石では、設計軌道1からのずれに比例した力で軌
道勾配が変えられる。4極電磁石5は水平方向にビーム
を収束させ垂直方向にビームを発散させるように軌道勾
配を変え、4極電磁石7は水平方向にビームを発散させ
垂直方向にビームを収束させるように軌道勾配を変える
働きをする。これらの4極電磁石の働きにより、ビーム
は設計軌道1のまわりをベータトロン振動しながら周回
し、ベータトロン振動の振動数は、収束用4極電磁石
5,発散用4極電磁石7の励磁量により制御できる。入
射と加速の過程でビームを安定に周回させるには、加速
器一周あたりのベータトロン振動数(チューン)が共鳴
を生じない値にしておく必要があり、特に、次数の低い
共鳴を起こすチューンから離しておく必要がある。本実
施例では水平方向チューンνxを1.73 、垂直方向チ
ューンνyを1.23 になるように4極電磁石5,7を
調整しておく。この状態でビームは加速器内を安定に周
回するが、その過程で高周波加速空胴8からエネルギー
を与えられる。高周波加速空胴に印加する高周波の周波
数fは、ビームが周回する周波数の整数倍(n倍)にす
る。この高周波の周波数に同期するようにビームは、周
回方向即ちs方向にn個の塊状(バンチ状)になって周
回する。高周波加速空胴8からビームにエネルギーを与
えながら偏向電磁石3及び4極電磁石5,7、各々の磁
場強度比を一定に保ちながら、磁場強度を増加させる。
そうすると、偏向電磁石の曲線部では、ビームエネルギ
ーの増加による遠心力増加と偏向電磁石の励磁量の増加
による向心力増加とが釣合い、同一軌道を中心に周回す
る。この過程でのs方向の出射位置s=soでの位相空
間(x,dx/ds)上の軌跡を図3に示す。図3の位
相空間上の軌跡は、径が異なる相似形の楕円が多数なら
んでいるように見えるが、楕円の径の大きさがベータト
ロン振動振幅の大きさに対応し、楕円の径が小さいほど
ベータトロン振動振幅も小さくなる。
【0043】目標エネルギーまで加速した後、出射する
過程での運転方法を図4に示す。まず図4(1)に示す
ように高周波加速空胴8からのビームへのエネルギー付
与を停止する。これにより、ビームはバンチ状から連続
状ビームになる。次に、図4(2)で収束用4極電磁石
5の電源と発散用4極電磁石7の電源を調整し、水平方
向チューンνxを1.67 にする。次に図4(3)のよ
うに6極電磁石9に共鳴励起のための電流を流す。6極
電磁石9に流す電流は、周回中のビームのベータトロン
振動振幅が大きい粒子が安定限界内に納まる程度の値に
し、その値は予め計算で求めるか、出射の運転の繰り返
しを通じて求める。この時、出射用デフレクター13の
位置での位相空間は図5に示すようになり、位相空間に
おける軌跡は三角形状になる。次に、図4(4)に示す
ように、図1の円形加速器の高周波印加装置14によ
り、不規則な時間変化信号をビームに印加する。図7
に、高周波印加装置14の構成を示す。図7の電極2
5,26は棒状電極で水平方向に対向させて配置し、両
電極に逆向きの電流を電源24から流すことにより、図
7に示す方向の磁場と電場がビームに加わる。図7の負
荷抵抗23は、印加した電流が電極端部から電源側に反
射しないように設置している。ビームの軌道勾配が電
場,磁場の効果で変化し、図5に示す位相空間内のビー
ムのベータトロン振動振幅が増加し始め、図5に示す安
定限界をこえた粒子は、共鳴によりベータトロン振動振
幅が急激に増加し、出射用デフレクター13から出射さ
れる。その後も電極25,26に不規則信号を加えると
各粒子のベータトロン振動振幅は増加し、初期のベータ
トロン振動振幅が小さな粒子もやがて図5の安定限界を
こえ、出射用デフレクター13から出射される。図5の
位相空間で安定限界は一定であり、出射ビームの軌道勾
配dx/ds及びターンセパレーションTsも出射過程
で一定に保たれる。ここでは、図7に示すような電極を
用いたが、加速器を構成する各電磁石のうちのいずれか
の電源電流に時間変化する成分を重畳させるか、新た
に、出射時の共鳴の安定限界内の粒子のベータトロン振
動を増加させるための専用電磁石を設け、この電源電流
を不規則に変化させることにより上記と同様の出射がで
きる。
【0044】上記実施例では、ベータトロン振動振幅が
極めて小さいビームのチューンは4極電磁石で設定した
1.67 になっているが、共鳴発生用の多重極電磁石の
効果により、安定限界近くのベータトロン振動振幅の大
きな粒子のチューンはこの値から1.67−1.6666
=0.003 程度ずれ、振動振幅がこれらの間にあるビ
ームのチューンは1.6666と1.67の間に連続的に
分布する。一方、作用の項で述べたように、ビームのベ
ータトロン振動振幅を増加させるためには、ビームのチ
ューン分布に概ね等しい周波数成分を有する電磁場をビ
ームに印加することが望ましい。従って、図7の不規則
信号電源24は、きわめて広い周波数スペクトルのノイ
ズでもよいし、周波数帯域が周回周波数のおよそ0.6
5 倍から0.70 倍の範囲になっているか、もしく
は、その整数倍の周波数スペクトルを持たせるようにし
てもよい。不規則信号電源の一構成例を図8に示す。図
8に示すようにほぼ無限の周波数スペクトルを持つ雑音
源51からフィルター52を通して周波数が0から周回
周波数の0.025 倍までの周波数成分を通した後、ビ
ームの周回周波数の0.675 倍の周波数の信号を局部
発振器53で発生させてフィルター52の出力信号との
積を、乗算器54で求めると周回周波数の0.65倍から
0.7 倍までのスペクトルを持つ不規則信号を作ること
ができる。また、これ以外に局部発振器53を使用せ
ず、フィルター52の通過周波数を変化させることによ
っても、必要な周波数スペクトルを持つ高周波源を作る
ことができる。また、本実施例ではビームへの外乱とし
て不規則信号を用い、位相空間内でビームを拡散させる
ことにより、電磁石電源の電流リップルの影響を受けず
に一定電流でビームを出射できる。
【0045】次に、本発明の第2の実施例を説明する。
第2の実施例では、電極に印加する信号を規則的にする
以外は第1の実施例と同じ機器構成であり、出射時の運
転方法も図4と同じである。電極25,26には、図7
の不規則信号電源24の代わりに図9に示す単一周波数
信号源55を用いて、周波数がfの交流信号を印加す
る。周波数fは、ビームが周回する周波数Frev と、出
射時のチューンの整数からの端数0.33(=1−0.6
7)との積に等しい値とする。このような周波数の信号
を加えると、電極から加えられる外部信号の周期とベー
タトロン振動の周期が概ね一致するので、図5の安定限
界内の粒子についてもベータトロン振動振幅が増加し安
定限界をこえて、第1の実施例と同様に出射される。こ
のように、単一周波数の交流信号を加えた場合には、こ
の周波数に同期するチューンを持つ粒子に外部信号によ
る共鳴が生じ、その結果、急速に振動振幅を増加し短時
間の出射ができる。但し、外部信号に共鳴しない多数の
粒子は、前記共鳴粒子に比べ遅れて出射される。
【0046】また、上記実施例では、図9の単一周波数
の外乱を用いているが、図10に示す単一周波数信号源
55を複数個用いて、複数の周波数f1,f2,…,f
nの信号を和算器56を通して電極25,26に加えれ
ば、単一周波数の外乱を使用した場合に比べ、チューン
に幅を持つビームを出射し易くなる。この場合、印加す
る信号の周波数は、分布のあるチューンに近い値にする
ことが望ましい。
【0047】第1,第2の実施例では図7の25,26
に示す2つの電極を用い、両電極に逆極性の信号を加え
ることにより、ビームに電磁場が加わり、軌道勾配が変
化した。一方、同一の電極を用い、2つの電極に同じ極
性の信号を印加すると、電極25,26のs方向端部で
s方向の電界が生じ、ビームは加速又は減速されビーム
の軌道勾配が変化するので、ビームのベータトロン振動
振幅は増加する。この時、電極の構造は棒状だけでな
く、板状でもかまわない。また、両電極に逆極性の信号
を加える場合は、小円板状電極を用いることによりx方
向、又はy方向の電場を発生させることができる。一般
的には、金属電極に外部から時間変化する信号を加えれ
ば、電磁場が発生しビームの軌道勾配を変えることがで
きるので、ビームのベータトロン振動振幅を増加させる
ことができる。
【0048】次に、本発明の第3の実施例を説明する。
第3の実施例の機器構成を図11に示す。図1の実施例
1と異なる点は、出射のための2次共鳴(半整数共鳴)励
起のための多重極電磁石として8極電磁石30を用いる
ことと、共鳴の安定限界内のベータトロン振動振幅の増
加のためのに高周波印加用空胴31を用いることであ
る。ただし、高周波印加用空胴31は、ビームを低エネ
ルギーから高エネルギーまで加速するための高周波加速
空胴8とは別な空胴を使用する。第3の実施例について
ビームを所定エネルギーまで加速した後の運転方法を図
12に示す。加速終了後、図12(1)で高周波加速空
胴8を停止し、図12(2)で収束用4極電磁石5及び
発散用4極電磁石7を調整し、水平方向チューンνxを
1.55 に近づける。この後、8極電磁石30を励磁す
る。8極電磁石の磁場強度は、粒子が、異なる振幅でベ
ータトロン振動しながら安定に周回する強度にしてお
く。ここで、高周波印加用空胴31に、時間的に不規則
に変化する信号を印加する。この高周波印加用空胴31
は、図13に示すように、ビームの周回(s)方向に電
場が生じ、垂直(y)方向に磁場が生じる空胴で、この
空胴部でビームの軌道勾配が周回ごとに不規則に変化
し、初期のベータトロン振動振幅が大きな粒子から順次
安定限界を越え出射用デフレクター13から出射され
る。高周波印加用空胴31に不規則に変化する信号を加
え続けることにより、第1の実施例と同様な作用により
初期のベータトロン振動振幅が小さな粒子の振幅も大き
くなり、安定限界をこえて出射される。
【0049】次に、本発明の第4の実施例について述べ
る。第4の実施例は、出射中のビーム位置,ビーム電流
を調整する方法に関する実施例である。第4の実施例の
機器構成を図14に示す。図1の第1の実施例の機器構
成に加えて、出射ビームの軌道補正用電磁石35,ビー
ム位置計測装置32,電流計測装置33、及び制御用計
算機34が具備されている。本機器構成を用いた運転方
法を図15に示す。本実施例では、図14に示す制御用
計算機34に予め記憶させておいたパターンに従って、
高周波印加装置14に印加する不規則に時間変化する信
号の強度を制御する。制御用計算機34に記憶させる信
号強度パターンは、円形加速器にビームを入射・加速し
た後、出射するまでを1回の運転として、1回の運転毎
に決められる。入射,加速、及び出射の運転方法は図4
の運転方法と同じである。高周波印加装置14に印加す
る信号の強度パターンは、計算機に予め記憶させておい
た目標のビーム位置及びビーム電流の時間変化と、ビー
ム位置計測装置32及びビーム電流計測装置33で測定
されたビーム位置及びビーム電流との差が最小になるよ
うに決定する。目標のビーム電流は、時間的に一定のパ
ターンだけでなく、電流の出射,停止を繰返すようなパ
ターンでも、ベータトロン振動振幅を増加させる手段の
使用,停止により容易に実現できる。
【0050】本実施例では、ビーム計測装置を使って高
周波信号強度パターンを変化させて所望の特性を得るよ
うにしているが、ビーム計測装置を使わなくても、高周
波印加装置14から印加する信号の強度を出射中に増加
することにより時間的に一定のビーム電流を出射でき
る。これは、出射初期には、強度の小さな信号で出射可
能なベータトロン振動振幅の大きな粒子が多数存在する
のに対し、出射後期には周回する粒子数が減り、一定の
出射電流を得るためにはビームのベータトロン振動振幅
の増加速度を増加させることが必要となるからである。
従って、このような時間変化の高周波信号強度パターン
を予め与えておけば、図15の運転においてより短時間
で目標パターンを実現できる。
【0051】また、本実施例では目標のビーム特性を得
るために、高周波印加装置14に印加する信号強度のみ
を調整しているが、高周波信号の周波数及び周波数スペ
クトルの調整、更に、これに加えて共鳴の安定限界の大
きさの調整、即ち4極電磁石によるチューンの調整,共
鳴励起用の多重極電磁石9の強度調整、又は他の電磁
石、例えば、偏向電磁石3や軌道補正用電磁石35等を
使用しても同様の調整が行える。
【0052】上記実施例は正常運転時の出射ビームの制
御であるが、次に、図16を用いて第5の実施例であ
る、出射中の緊急停止時の運転方法を説明する。図16
で(5)までは通常運転で、図4の運転方法と同じであ
る。図16(6)で、ビーム使用系からの停止信号又は
各種安全系からの緊急停止信号の有無を判定し、停止信
号がある場合はビーム系増加のための高周波信号を停止
し、ビームの出射を停止する。ビーム出射のための高周
波信号は数μsで停止できるため、ビーム出射の停止が
短時間に確実に行える、また、この高周波信号の停止と
出射ビーム輸送系の電磁石による軌道変更を同時に使え
ばさらに確実にビームを停止できる。また、ビーム出射
を途中で停止しても、出射のための不規則信号を再び印
加することにより加速器に残っているビームを出射でき
る。図16は、出射のために不規則信号を印加する場合
であるが、単一又は複数の周波数の交流信号を印加する
場合についても全く同様である。
【0053】次に第6の実施例を図17を用いて説明す
る。第6の実施例では、中性粒子と周回ビームを衝突さ
せて共鳴の安定限界内の粒子のベータトロン振動振幅を
増加させる。図1の実施例では、時間変化する電磁場を
ビームに印加するために高周波印加装置14を使用した
が、本実施例では高周波印加装置14の代わりに中性粒
子注入装置36を使用する。本実施例での運転方法を図
18に示す。図18の(4)の中性粒子注入の部分を除
いては、図4の運転方法と同じである。中性粒子との衝
突により、周回ビームのベータトロン振動振幅を徐々に
増加させることができるので、共鳴の安定限界を一定に
保ちながら、ビーム位置,ビーム径,ターンセパレーシ
ョンが各々一定の出射が実現できる。出射電流の調整
は、中性粒子の注入量により調整できる。
【0054】次に第7の実施例を説明する。第7の実施
例では、周回ビームと異なる荷電粒子と周回ビームを衝
突させて共鳴の安定限界内の粒子のベータトロン振動振
幅を増加させる。図17の第6の実施例では、中性粒子
注入装置36を使用したが、本実施例では、その代わり
に図19に断面を示すイオン入射装置を使用する。イオ
ン源から出たイオンを水平方向に周回ビーム領域に打込
む。このイオン源からのイオン打込みは図18に示す運
転方法の中性粒子注入に代わって行うが、ビームの出射
については上記した他の実施例と同一の特性が実現でき
る。また、ガスやイオンを打込む領域に薄膜を設置し
て、荷電粒子ビームを衝突させても同じ出射が実現でき
る。
【0055】以下、本発明の効果をシミュレーションで
示す。シミュレーションの条件としては、荷電粒子とし
てプロトンを用い、周回時の最終エネルギーは300M
eV、利用する共鳴は第3の実施例で示した2次共鳴と
する。また、出射用デフレクターの電極の位置は、水平
方向で60mmとする。図20,21は従来技術の運転方
法で、共鳴発生前のベータトロン振動振幅が10mm,3
mmのプロトンに対して、チューンの1/2からのずれを
0.01とし、このずれを0.01から0.001 に変化させ
て共鳴させた時の位相空間を示す。2次共鳴の安定限界
は、3次共鳴と異なり楕円状の形を取る。一方、図2
2,23は、本発明の運転方法を示す図である。図22
は、共鳴発生前のベータトロン振動振幅が3mmのプロト
ンに対し、チューンの1/2からのずれを0.01 に調
整して共鳴させると共に、高周波印加装置14で不規則
にビームのベータトロン振動振幅を徐々に増加させる時
の位相空間を示す。図23は、図22の状態がさらに進
み、安定限界(約10mm)を超えたプロトンが出射され
ている時の位相空間を示す。従来の運転方法では、共鳴
発生前のベータトロン振動振幅が10mm,3mmの時のタ
ーンセパレーションTsは各々約10mmと約1mmであ
る。従って、従来技術ではベータトロン振動振幅が3mm
のプロトンは電極に衝突し、ほとんど出射させることが
できない。また、チューンの1/2からのずれを0.0
1から0.001に調整しているために、出射勾配が7m
radも変化する。一方、本発明では、共鳴発生前のベー
タトロン振動振幅が3mmでも、徐々にベータトロン振動
振幅が増加し約10mmになると共鳴を起こし、図21と
同様にターンセパレーションTs10mmで出射される。
また、初期のベータトロン振動振幅が3mmよりさらに小
さくなった場合と、初期振動振幅が10mmの場合の出射
用デフレクター位置における軌道勾配の差は0.01mra
d以下であり、出射ビームのエミッタンスは1π mm・mra
d以下である。このように、初期のベータトロン振動振
幅が10mm以下の小さな値のビームも、10mmの場合と
同様に出射できる。本発明では、チューン,ターンセパ
レーションTsを一定にできるので、出射勾配,出射位
置、及びビーム径を一定にできる。更に、ビームの分布
はベータトロン振動振幅が小さい方が多いので、従来の
運転方法では出射効率50%を得ることはできないのに
対して、本発明の運転方法では出射効率を90%以上に
することができる。
【0056】最後に、本発明の医療用加速器システムの
実施例を図24を用いて説明する。本実施例では前段加
速器16からのビームを入射器15により円形加速器10
1に入射する。円形加速器101の構成及びビームの出
射方法は図1に示した第1の実施例と同じであり、前段
加速器16からビームを入射した後、0.5 秒でビーム
を所望エネルギーまで加速し、1秒かけて長いパルス状
のビームを出射する。次の0.5 秒で電磁石の励磁量を
減少させて、次の入射・加速に備える。このようにし
て、ビームの入射・加速・出射を2秒ごとに繰り返す。
出射では、共鳴の安定限界を一定にし、出射用高周波印
加装置14によりベータトロン振動振幅を増加させ、ビ
ームに共鳴を発生させる。共鳴の安定限界が一定である
ため、出射用デフレクター位置での軌道勾配,ターンセ
パレーションが一定となり、時間的に一定の出射効率で
出射でき、出射効率90%以上を得ることができる。出
射用デフレクター13から出射されたビームは、ビーム
輸送系102により複数の治療室103へ輸送される。
輸送系102には、ビーム径や軌道勾配を調整する輸送
系電磁石104が設置されている。輸送されるビームの
エミッタンスは、図20,23を用いて説明したよう
に、1π mm・mrad以下である。ビームのサイズは、エミ
ッタンスとベータトロン関数と呼ばれる量の積の1/2
乗の2倍から求まる。ベータトロン関数は、ビーム輸送
系の位置によって異なるが、輸送系電磁石104の励磁
量を調整することにより20m以下に抑えることができ
るので、輸送系における最大ビームサイズは10mm程度
になる。従って、輸送系102に用いる真空ダクト径
は、余裕を見ても20mm以下の小型にすることができ
る。出射ビームの複数の治療室への輸送切替は、ビーム
切替用電磁石105を用いて行う。ビームの切替は、ビ
ームの出射過程、即ち1秒以内の短時間に繰り返し行
う。こうして、1回の出射中にビームを複数の治療室へ
繰り返し振り分ける。もちろん、1回の出射中は1つの
治療室にのみビームを輸送し、次の出射で次の治療室に
ビームを切り替えることも可能である。治療室で患者に
照射するビームのサイズ,位置などの調整は照射ビーム
調整電磁石(図示せず)を用いて行うが、本発明の出射
方法では出射ビームのエミッタンスは1π mm・mrad以下
で一定であるから、患者に照射するビームのサイズ及び
位置変化は3mm以下に抑えることができる。
【0057】
【発明の効果】本発明によれば、周回中の荷電粒子ビー
ムの出射効率の高い円形加速器と、ビーム出射方法及び
出射装置を提供できる。
【0058】また、本発明によれば、出射電流の大きい
円形加速器と、ビーム出射方法及び出射装置を提供でき
る。
【0059】また、本発明によれば、輸送系からの出射
ビーム位置のほぼ一定な円形加速器と、ビーム出射方法
及び出射装置を提供できる。
【0060】また、本発明によれば、輸送系からの出射
ビーム径のほぼ一定な円形加速器と、ビーム出射方法及
び出射装置を提供できる。
【0061】また、本発明によれば、出力電流を制御で
きる円形加速器と、ビーム出射方法及び出射装置を提供
できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施例の円形加速器を示す図で
ある。
【図2】位相空間における安定限界を示す図である。
【図3】ビームの入射・加速時の位相空間を示す図であ
る。
【図4】第1の実施例の出射時の運転方法を示す図であ
る。
【図5】第1の実施例の出射直前の位相空間を示す図で
ある。
【図6】第1の実施例の出射用デフレクター電極を示す
図である。
【図7】第1の実施例の高周波印加装置の構成を示す図
である。
【図8】図7の不規則信号電源の一構成例を示す図であ
る。
【図9】第2の実施例の単一周波数信号源の一構成例を
示す図である。
【図10】第2の実施例の複数周波数信号源の一構成例
を示す図である。
【図11】第3の実施例の加速器を示す図である。
【図12】第3の実施例の運転方法を示す図である。
【図13】第3の実施例の高周波印加用空胴を示す図で
ある。
【図14】第4の実施例の加速器を示す図である。
【図15】第4の実施例の運転方法を示す図である。
【図16】第5の実施例の運転方法を示す図である。
【図17】第6の実施例の加速器を示す図である。
【図18】第6の実施例の運転方法を示す図である。
【図19】第7の実施例のイオン入射装置を示す図であ
る。
【図20】共鳴前のベータトロン振動振幅が10mmのプ
ロトンを従来の運転方法で共鳴させた時の位相空間を示
す図である。
【図21】共鳴前のベータトロン振動振幅が3mmのプロ
トンを従来の運転方法で共鳴させた時の位相空間を示す
図である。
【図22】共鳴前のベータトロン振動振幅が3mmのプロ
トンを本発明の運転方法で共鳴させた時の位相空間を示
す図である。
【図23】図22の状態が進み、安定限界(約10mm)
を超えたプロトンが出射されている時の位相空間を示す
図である。
【図24】本発明の医療用加速器システムの一構成例を
示す図である。
【符号の説明】 1…設計軌道、3…偏向電磁石、5…収束用4極電磁
石、7…発散用4極電磁石、8…高周波加速空胴、9…
共鳴励起用電磁石、13…出射用デフレクター、14…
高周波印加装置、15…入射器、20…出射用デフレク
ター電極、22…真空ダクト、23…負荷抵抗、24…
電源、25…棒状電極、26…棒状電極、31…高周波
印加空胴、32…位置計測装置、33…電流計測装置、
34…計算機、50…増幅器、51…雑音源、52…フ
ィルター、53…局部発振器、54…乗算器、55…単
一周波数信号源、56…和算器。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 渡辺 洋之 茨城県日立市幸町三丁目1番1号 株式会 社日立製作所日立工場内

Claims (45)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】荷電粒子ビームを周回させる電磁石と、前
    記荷電粒子ビームを出射用デフレクターから出射する出
    射装置を具備する円形加速器において、 前記出射装置はビーム径3mm以下のビームを出射するこ
    とを特徴とする円形加速器。
  2. 【請求項2】荷電粒子ビームを周回させる電磁石と、前
    記荷電粒子ビームを出射用デフレクターから出射する出
    射装置を具備する円形加速器において、 前記出射装置はエミッタンスが1π(mm・mrad)以下のビ
    ームを出射することを特徴とする円形加速器。
  3. 【請求項3】荷電粒子ビームを周回させる電磁石と、前
    記荷電粒子ビームを出射用デフレクターから出射する出
    射装置を具備する円形加速器において、 前記出射装置は出射位置変化が3mm以下のビームを出射
    することを特徴とする円形加速器。
  4. 【請求項4】荷電粒子ビームを周回させる電磁石と、前
    記荷電粒子ビームを出射用デフレクターから出射する出
    射装置を具備する円形加速器において、 前記出射装置は出射効率50%以上でビームを出射する
    ことを特徴とする円形加速器。
  5. 【請求項5】荷電粒子ビームを周回させる電磁石と、前
    記荷電粒子ビームを出射用デフレクターから出射する出
    射装置を具備する円形加速器において、 前記出射装置は出射効率一定でビームを出射することを
    特徴とする円形加速器。
  6. 【請求項6】荷電粒子ビームを周回させる電磁石と、ベ
    ータトロン振動を共鳴状態にして前記荷電粒子ビームを
    出射用デフレクターから出射する出射装置を具備する円
    形加速器において、 前記出射装置は、前記共鳴状態にする手段とは別に前記
    荷電粒子ビームのベータトロン振動振幅を増加する手段
    を有することを特徴とする円形加速器。
  7. 【請求項7】前記ベータトロン振動振幅を増加する手段
    は、周回軌道上に設けられ、時間的に変動する磁場を発
    生させる手段であることを特徴とする請求項6に記載の
    円形加速器。
  8. 【請求項8】前記時間的変動はランダムであることを特
    徴とする請求項7に記載の円形加速器。
  9. 【請求項9】前記時間的変動は、ベータトロン振動に同
    期する周波数成分を含むことを特徴とする請求項7又は
    請求項8に記載の円形加速器。
  10. 【請求項10】前記ベータトロン振動振幅を増加する手
    段は、周回軌道上に設けられ、時間的に変動する電場を
    発生させる手段であることを特徴とする請求項6に記載
    の円形加速器。
  11. 【請求項11】前記時間的変動はランダムであることを
    特徴とする請求項10に記載の円形加速器。
  12. 【請求項12】前記時間的変動は、ベータトロン振動に
    同期する周波数成分を含むことを特徴とする請求項10
    又は請求項11に記載の円形加速器。
  13. 【請求項13】前記時間的変動は、その周波数が、ベー
    タトロン振動に同期する周波数に±5%以内で一致する
    ことを特徴とする請求項7又は請求項10に記載の円形
    加速器。
  14. 【請求項14】前記電場を発生させる手段は、前記荷電
    粒子ビームを加速させる加速空胴であることを特徴とす
    る請求項10に記載の円形加速器。
  15. 【請求項15】前記ベータトロン振動振幅を増加する手
    段は、前記荷電粒子ビームに前記荷電粒子ビームとは異
    なる他の粒子を衝突させる手段であることを特徴とする
    請求項6に記載の円形加速器。
  16. 【請求項16】前記ベータトロン振動振幅を増加する手
    段は、前記荷電粒子ビームの出射時に動作させることを
    特徴とする請求項6に記載の円形加速器。
  17. 【請求項17】荷電粒子ビームを周回させる電磁石と、
    ベータトロン振動を共鳴状態にして前記荷電粒子ビーム
    を出射用デフレクターから出射する出射装置を具備する
    円形加速器において、 前記出射装置は、チューンを実質的に一定にして前記荷
    電粒子ビームのベータトロン振動振幅を増加する手段を
    有することを特徴とする円形加速器。
  18. 【請求項18】荷電粒子ビームを周回させる電磁石と、
    ベータトロン振動を共鳴状態にして前記荷電粒子ビーム
    を出射用デフレクターから出射する出射装置を具備する
    円形加速器において、 前記出射装置は、前記共鳴状態にする手段では共鳴状態
    にできない前記荷電粒子ビームのベータトロン振動振幅
    を増加する手段を有することを特徴とする円形加速器。
  19. 【請求項19】荷電粒子ビームを周回させ、ベータトロ
    ン振動を共鳴状態にして前記荷電粒子ビームを出射用デ
    フレクターから出射する円形加速器のビーム出射方法に
    おいて、 前記共鳴状態にするステップとは別に、前記荷電粒子ビ
    ームのベータトロン振動振幅を増加するステップを有す
    ることを特徴とするビーム出射方法。
  20. 【請求項20】前記共鳴状態にするステップは、前記出
    射用デフレクターからのビームの出射角度を実質的に一
    定にするステップを有することを特徴とする請求項19
    に記載のビーム出射方法。
  21. 【請求項21】荷電粒子ビームを周回させ、ベータトロ
    ン振動を共鳴状態にして前記荷電粒子ビームを出射用デ
    フレクターから出射する円形加速器のビーム出射方法に
    おいて、 前記共鳴状態にする際に、共鳴状態にできない前記荷電
    粒子ビームのベータトロン振動振幅を増加することを特
    徴とするビーム出射方法。
  22. 【請求項22】荷電粒子ビームを周回させ、ベータトロ
    ン振動を共鳴状態にして前記荷電粒子ビームを出射用デ
    フレクターから出射する円形加速器のビーム出射方法に
    おいて、 前記共鳴の安定限界内の荷電粒子のベータトロン振動振
    幅を増加させ、前記共鳴の安定限界を超えた荷電粒子を
    出射することを特徴とするビーム出射方法。
  23. 【請求項23】荷電粒子ビームを周回させ、前記荷電粒
    子ビームを出射用デフレクターから出射する円形加速器
    のビーム出射方法において、 前記円形加速器一周あたりのベータトロン振動数を整数
    +p/q(既約分数)にほぼ等しくし、共鳴の安定限界
    内の荷電粒子のベータトロン振動振幅を増加させること
    を特徴とするビーム出射方法。
  24. 【請求項24】前記ベータトロン振動振幅の増加を前記
    荷電粒子ビームに電場又は磁場もしくは電場と磁場の両
    方を印加することによりおこなうことを特徴とする請求
    項19,21,22又は23に記載のビーム出射方法。
  25. 【請求項25】前記ベータトロン振動振幅の増加を強度
    がランダムに変動する電場又は磁場もしくは電場と磁場
    の両方を前記荷電粒子ビームに印加することによりおこ
    なうことを特徴とする請求項19,21,22,23又
    は24に記載のビーム出射方法。
  26. 【請求項26】前記ベータトロン振動振幅の増加を、ベ
    ータトロン振動に同期する周波数成分を含む電場又は磁
    場もしくは電場と磁場の両方を前記荷電粒子ビームに印
    加することによりおこなうことを特徴とする請求項1
    9,21,22,23,24又は25に記載のビーム出
    射方法。
  27. 【請求項27】前記共鳴の安定限界内でのベータトロン
    振動振幅の増加を出射直前の共鳴とは異なる共鳴により
    行うことを特徴とする請求項19,22,23又は24
    に記載のビーム出射方法。
  28. 【請求項28】前記共鳴の安定限界内でのベータトロン
    振動振幅の増加速度を変化させることにより出射ビーム
    を制御することを特徴とする請求項24,25又は26
    に記載のビーム出射方法。
  29. 【請求項29】ベータトロン振動振幅の増加のために印
    加する電場又は磁場もしくは電場と磁場の両方の強度を
    調整することにより出射ビームを制御することを特徴と
    する請求項24,25又は26に記載のビーム出射方
    法。
  30. 【請求項30】ベータトロン振動振幅の増加のために印
    加する電場又は磁場もしくは電場と磁場の両方の強度を
    ビームの出射中に大きくすることを特徴とする請求項2
    4,25,26,28又は29に記載のビーム出射方
    法。
  31. 【請求項31】ベータトロン振動振幅の増加のための電
    場又は磁場もしくは電場と磁場の両方をビームに印加す
    ることによりビームの出射を開始し、前記電磁場の印加
    の停止により出射を停止することを特徴とする請求項2
    9に記載のビーム出射方法。
  32. 【請求項32】ビーム出射を緊急停止する際に、ベータ
    トロン振動振幅の増加のための電場又は磁場もしくは電
    場と磁場の両方を停止することによりビームの出射を停
    止することを特徴とする請求項29に記載のビーム出射
    方法。
  33. 【請求項33】ベータトロン振動の共鳴の安定限界を調
    整することにより出射ビームを制御することを特徴とす
    る請求項19,21,22,23,24,25,26,
    27又は30に記載のビーム出射方法。
  34. 【請求項34】荷電粒子ビームの出射用デフレクター
    と、荷電粒子ビームにエネルギーを付与する手段とを有
    することを特徴とするビーム出射装置。
  35. 【請求項35】荷電粒子ビームの出射用デフレクター
    と、チューンを制御する手段と、前記荷電粒子ビームに
    エネルギーを付与する手段とを有することを特徴とする
    ビーム出射装置。
  36. 【請求項36】荷電粒子ビームの出射用デフレクター
    と、前記荷電粒子ビームのビーム径を増加させる手段と
    を有することを特徴とするビーム出射装置。
  37. 【請求項37】荷電粒子ビームの出射用デフレクター
    と、前記荷電粒子ビームの軌道勾配を繰り返し変化させ
    る手段とを有することを特徴とするビーム出射装置。
  38. 【請求項38】荷電粒子ビームを用いて照射治療を行う
    医療システムにおいて、 前記荷電粒子ビームを加速・蓄積し、そのベータトロン
    振動振幅を増加させることにより前記ベータトロン振動
    の共鳴の安定限界を超えた荷電粒子を出射する出射装置
    を有する円形加速器と、 前記出射装置から出射した前記荷電粒子ビームを照射室
    に輸送するビーム輸送系と、 前記照射室に設置され、前記荷電粒子ビームを照射対象
    に照射するビーム照射装置とを備えたことを特徴とする
    医療システム。
  39. 【請求項39】荷電粒子ビームを用いて照射治療を行う
    医療システムにおいて、 前記荷電粒子ビームを加速・蓄積し、そのベータトロン
    振動振幅を増加させることにより前記ベータトロン振動
    の共鳴の安定限界を超えた荷電粒子を出射する出射装置
    を有する円形加速器と、 前記出射装置から出射した前記荷電粒子ビームを複数の
    照射室に輸送するビーム輸送系と、 前記荷電粒子ビームを前記複数の照射室に振り分ける切
    替装置と、 前記照射室に設置され、前記荷電粒子ビームを照射対象
    に照射するビーム照射装置とを備えたことを特徴とする
    医療システム。
  40. 【請求項40】前記ビーム輸送系は、前記荷電粒子ビー
    ムの軌道を修正する定常磁場発生装置を有することを特
    徴とする請求項38又は請求項39に記載の医療システ
    ム。
  41. 【請求項41】前記切替装置は、各照射室の照射終了後
    に前記荷電粒子ビームを別の照射室に振り分けることを
    特徴とする請求項39に記載の医療システム。
  42. 【請求項42】前記切替装置は、前記荷電粒子ビームを
    前記複数の照射室に交互に振り分け、複数の前記ビーム
    照射装置を並列運転することを特徴とする請求項39に
    記載の医療システム。
  43. 【請求項43】荷電粒子ビームを用いて照射治療を行う
    医療システムにおいて、 前記荷電粒子ビームを加速・蓄積し、ビーム径3mm以下
    のビームを出射する出射装置を有する円形加速器と、 前記出射装置から出射した前記荷電粒子ビームを照射室
    に輸送するビーム輸送系と、 前記照射室に設置され、前記荷電粒子ビームを照射対象
    に照射するビーム照射装置とを備えたことを特徴とする
    医療システム。
  44. 【請求項44】荷電粒子ビームを用いて照射治療を行う
    医療システムにおいて、 前記荷電粒子ビームを加速・蓄積し、出射位置変化が3
    mm以下のビームを出射する出射装置を有する円形加速器
    と、 前記出射装置から出射した前記荷電粒子ビームを照射室
    に輸送するビーム輸送系と、 前記照射室に設置され、前記荷電粒子ビームを照射対象
    に照射するビーム照射装置とを備えたことを特徴とする
    医療システム。
  45. 【請求項45】荷電粒子ビームを用いて照射治療を行う
    医療システムにおいて、 前記荷電粒子ビームを加速・蓄積し、出射効率50%以
    上でビームを出射する出射装置を有する円形加速器と、 前記出射装置から出射した前記荷電粒子ビームを照射室
    に輸送するビーム輸送系と、 前記照射室に設置され、前記荷電粒子ビームを照射対象
    に照射するビーム照射装置とを備えたことを特徴とする
    医療システム。
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