JPH0517159B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 ［産業上の利用分野］ 本発明は荷役装置付自走台車に係り、更に詳し
くは荷物を吊り上げ吊り下げるための巻き上げ部
を、台車本体の一側方向および他側方向の両方向
に自由に大きく延出させることができる荷役装置
付自走台車に関する。

［従来の技術］ 従来、倉庫内に荷物を搬入したり、倉庫内の荷
物を搬出したり、または倉庫内において荷物を移
動したり等するための装置として、荷役装置付自
走台車が広く使用されている。

上記荷役装置付自走台車は、有人の荷役用自動
車（例えばフオークリフト）等に比較して小型に
構成することができ、狭い倉庫内において利用す
るのに便利であり、従来より種々の技術が提案さ
れている。例えば、特公昭51−3985号公報には走
行車輪をもつベース上に、側方に伸縮するスライ
ダーを設け、巻き上げ部を走行可能に支持した荷
役作業車が提案されている。また、特開昭53−
136262号公報等には、多段式のスライド部材をラ
ツクピニオン機構により駆動するようにしたマニ
ピユレータの伸縮装置が提案されている。

［発明が解決しようとする課題］ 荷役装置付自走台車は、その荷役装置が例えば
荷物を載置するためのフオークや、吊り上げ吊り
下げるための旋回アーム等として構成されてい
る。そして、荷物を積んだり、下ろしたりすると
きに旋回アームを旋回させたり、台車本体を走行
させたりしなければならない。このため、例えば
狭い通路を挟んで左右両側に棚が形成されている
ような狭い場所において、そこに置かれている荷
物を積込んだり、逆にこのような棚上に荷物を載
置したり、または右側の棚上の荷物を左側の棚に
移動したりする場合等がある。このような場合、
例えば、その場で360度回転走行できるような自
在な走行性能が要求されることがある。しかし、
従来の荷役装置付自走台車にはこのような要求に
応えることができなかつた。

本発明は述上の点に鑑み成されたものであり、
荷物を台車上に積み込んだり、或は台車上の荷物
を降ろすために要する移動スペースを可及的に小
さくできるようにするとともに、台車を自在に走
行させることができるようにして、荷物の搬入搬
出作業の合理化に大きく寄与することができる荷
役装置付台車を提供するにある。

［課題を解決するための手段］ 上記目的を達成するために本発明の荷役装置付
自走台車は、下面に複数の走行用車輪が配設され
ているベース上に、荷物を吊り上げたり吊り下げ
たりするための荷役装置を支持して成る荷役装置
付自走台車において、 下部が開口されている筒体よりなり、断面の大
きい筒体が小さい筒体を順次嵌合包持した状態で
連結されている複数のスライダーＳ１，Ｓ２，Ｓ
３と、 上記複数のスライダーＳ１，Ｓ２，Ｓ３を長手
方向の一側及び他側の両方向に進出させるために
配設された摺動手段８と、 上記複数のスライダーＳ１，Ｓ２，Ｓ３のう
ち、一番内側に嵌合包持されているスライダーＳ
３内に配設されていて、その長手方向の一側およ
び他側の両方向に走行自在に巻き上げ部１６と、 上記ベース２の下面に取り付けられた複数の旋
回軸受機構３２と、 上記旋回軸受機構３２のそれぞれにベアリング
３３を介して旋回自在に取り付けられた旋回部３
４と、 上記旋回部３４に回転自在に取り付けられた走
行用車輪３ａと、 上記旋回軸受機構３２を上記ベース２と平行な
面内において回動させる旋回手段と、 上記旋回部３４を構成する回転板３６の下面に
垂下されている支持板１４に取り付けられた支持
筒４３内に配設され、上記走行用車輪３ａを回転
駆動する走行用ギヤードモーター４４を有する走
行手段とを具備し、 上記摺動手段８が、上記スライダーＳ１上に固
着され、上記スライダーＳ３を摺動させるために
その一側に配設されているピニオンギヤー９、お
よび上記スライダーＳ２を摺動させるために他側
に配設されているピニオンギヤー１０と、 上記ピニオンギヤー９と対向するように、上記
スライダーＳ３上にその長手方向に沿つて配設さ
れているラツク１１と、 上記ピニオンギヤー１０と対向するように上記
スライダーＳ２上にそのの長手方向に沿つて配設
されているラツク１４と、 上記ピニオンギヤー９と上記ラツク１１とを係
合させるために、上記スライダーＳ１，Ｓ２にそ
れぞれ形成された切欠溝１２，１３、および上記
ピニオンギヤー１０と上記ラツク１４とを係合さ
せるために上記スライダーＳ１に形成された切欠
溝１５と、 上記ピニオンギヤー９と上記ラツク１１とを選
択的に係合させるために、上記ピニオンギヤー９
を上記ラツク１１に対して進退させるクラツチ機
構とにより構成されていることを特徴とする荷役
装置付台車である。

［実施例］ 次に、添付図面に従い本発明の荷役装置付台車
の一実施例を詳述する。

図中１は本体であり、例えば正方形状に形成さ
れたベース２の下面に４個の走行用車輪３ａ，３
ｂ，３ｃ，３ｄが配設されている。また、ベース
２の上面には４本の支柱４ａ，４ｂ，４ｃ，４ｄ
がそれぞれ立設されており、これらの支柱４ａ〜
４ｄに支持された状態で荷役装置５が構成されて
いる。

すなわち、上記荷役装置５は、下部に開口部６
が形成されているとともに、異なる直径に形成さ
れた複数のスライダーＳ１，Ｓ２，Ｓ３を連結し
て構成されている。各スライダーＳ１，Ｓ２，Ｓ
３の連結状態は、直径が一番大きいスライダーＳ
１が次に大きいスライダーＳ２を嵌合包持する。
次いで、この二番目に大きいスライダーＳ２が一
番小さい直径に形成されたスライダーＳ３を嵌合
包持して構成されているものである。

また、これらのスライダーＳ１，Ｓ２，Ｓ３間
には、摺動を容易にするための摺動ガイドとして
摩擦係数の小さいメタルベアリング７が配設され
ている。図の例では、スライダーの各４角にメタ
ルベアリング７を配した例を示してある。これら
により、スライダーＳ１内をスライダーＳ２が長
手方向の一側および他側に自在に走行できる。

また、スライダーＳ２内をスライダーＳ３が同
じく長手方向の一側および他側方向に自在に走行
できるので、荷役装置５は長手方向の一側および
他側方向に自由に伸縮可能である。なお、長手方
向の一側および他側へ摺動させる手段は、手動お
よび自動のどちらでも良いが、以下の例は自動の
一例を示す。

すなわち、８がスライダーＳ１，Ｓ２，Ｓ３の
摺動手段であり、図示せざる制御手段によつてこ
れらのスライダーＳ１，Ｓ２，Ｓ３を長手方向の
一側および他側方向に延出させるために配設され
ている。この摺動手段８は、スライダーＳ１上に
固着されており、長手方向に沿う一側にスライダ
ーＳ３を摺動させるためのピニオンギヤー９が配
設されているとともに、他側にはスライダーＳ２
を摺動させるためのピニオンギヤー１０が配設さ
れている。

そして、上記ピニオンギヤー９とスライダーＳ
３上に配設されたラツク１１を係合させるため
に、スライダーＳ１とＳ２上には、切欠溝１２お
よび１３が形成されている。これによつて、スラ
イダーＳ１の上側に配設されたピニオンギヤー９
とスライダーＳ３上に配設されたラツク１１を係
合させることができる。

上記スライダーＳ２上に形成されている切欠溝
１２は、上記スライダーＳ２の全長に渡つては形
成されていない。したがつて、ピニオンギヤー９
とラツク１１が係合したままであると、スライダ
ーＳ２は切欠溝１２の長さの範囲内でしか摺動で
きなくなつてしまう。

上記不具合を解消するために、ピニオンギヤー
９は第２図中１点鎖線で示した如く、スライダー
Ｓ３を摺動させた後は任意のクラツチ機構を介し
て上方に移動するように構成されている。

次いで、スライダーＳ２の摺動手段について説
明する。

このスライダーＳ２を摺動させるために、上記
スライダーＳ２上に上記ラツク１１と同様なラツ
ク１４が配設されている。そしてこのラツク１４
に上記ピニオンギヤー１０を係合させる。この係
合を可能にするためにスライダーＳ１上に切欠溝
１５が形成されている。次いで、１６はスライダ
ーＳ３内に、長手方向に走行可能に配設された巻
き上げ部であり、フツクＨを取り付けたワイヤー
ロープＷの巻き上げ手段と、スライダーＳ３内を
走行するための走行手段とによつて構成されてい
る。

上記走行手段としては種々のものが考慮される
が、本実施例においては、スライダーＳ３の垂直
部にレール１７を突設するとともに、上記レール
１７上に配設した走行用ローラー１８を乗せる。
そして、上記走行用ローラー１８を巻き上げ部１
６内に配設した図示せざる電動機によつて正逆方
向に回転させる。これによつて、巻き上げ部１６
は最先端に位置するスライダーＳ３内を長手方向
に沿つて一側方向と他側方向に走行することが可
能となる。

上記走行をスムースに行なわせるための案内手
段として、スライダーＳ３上から突設されたガイ
ド棒１９に巻き上げ部１６上から突設されたガイ
ド片２０を嵌合させている。これらのことから明
らかな通り、荷役装置５を構成するスライダーＳ
１，Ｓ２，Ｓ３は、互いに一定の長さ伸長させた
時は、連結されているスライダー同志が外れない
ようにストツパー機構を有する。

例えば、スライダーＳ３が一側方向または他側
方向に2/3突出するとスライダーＳ３上に突設さ
れている突片２１がスライダーＳ２上に配設され
たリミツトスイツチ２２の押圧片２２ａに当接す
る。これによつてスライダーＳ３の摺動が停止せ
しめられる。この時に、スライダーＳ２とスライ
ダーＳ３上からそれぞれ突設されているストツパ
ー２３と２４が当接してスライダーＳ３がこれ以
上摺動しないようにされている。

次いで、２５はスライダーＳ２上に配設された
突片であり、２６はスライダーＳ１上に配設され
たリミツトスイツチである。

上記リミツトスイツチ２６は、突片２５によつ
て押圧される押圧片２６ａを有している。また、
スライダーＳ２上にストツパー２７が、スライダ
ーＳ１上にはストツパー２８がそれぞれ突設され
ており、スライダーＳ２が全長の2/3突出した位
置でこれらのストツパー２７と２８が当接するよ
うになつており、スライダーＳ２がスライダーＳ
１に対して全長の2/3以上摺動しないように成さ
れている。

次いで、２９は巻き上げ部１６の側面に突設さ
れた突片であり、３０はスライダーＳ３の内面壁
上に配設された押圧片３０ａを有するリミツトス
イツチである。

上記リミツトスイツチ２０，２６，３０および
突片２１，２５，２９とストツパー２３，２４，
２８は一側方向と他側方向の両側にそれぞれ配設
されており、巻き上げ部１６とスライダーＳ３，
Ｓ２の一側方向と他側方向の両方向への移動限度
が規制されるようになつている。

このように構成された荷役装置５は、上記の如
く支柱４ａ〜４ｄによつて本体１の上方に配設さ
れている。そして、上記支柱４ａ〜４ｄ内にネジ
式ジヤツキ等を配設して支柱の高さを変え得るよ
うに成してもよい。それにより、荷役装置５の高
さ位置を条件に応じて調節できる。

上記のような荷役装置５を配設したベース２の
下面に配設された走行用車輪３ａ〜３ｄは、駆動
手段によつて駆動される。この駆動手段３１は
種々のものが考慮されるが、走行運動性を考慮し
て望ましく次のような駆動手段３１とする。

すなわち、ベース２の下面には旋回軸受機構３
２が取り付けられており、上記旋回軸受機構３２
にベアリング３３を介して旋回部３４が旋回自在
に取り付けられている。上記旋回部３４は、周面
にリングギヤ３５が形成されている円形の回転板
３６の上部に嵌合突部３７が突設されており、上
記嵌合突部３７と上記ベアリング３３が掛合して
いる。

上記リングギヤ３５には、ギヤ歯４０が噛合さ
れている。すなわち、ベース２上に旋回用モータ
ー３８が配設されていて、このモーター３８の出
力軸３９上に固着されているギヤ歯４０が上記リ
ングギヤ３５に噛合されている。

本実施例においては、旋回用モーター３８をベ
ース２上に配設した例を示したが、実際に製造す
る場合にはベース２の下面に配設するようにする
のが望ましい。これによつて旋回用モーター３８
が回動すると、そのトルクはギヤ歯４０を介して
リングギヤに伝わり回転板３６を回転させる。

次いで、４１，４２は上記回転板３６の下面に
垂下された支持板であり、走行用車輪を回転自在
に支持するためのものである。すなわち、上記支
持板４１には支持筒４３が取り付けられており、
上記支持筒４３内には走行用ギヤードモーター４
４が嵌合固着されている。

上記走行用ギヤードモーター４４の出力軸４５
にはギヤ歯４６が固着されており、その先端部は
支持板４２に取り付けられた支持筒４７に回転自
在に支持されている。次いで、４８は走行用車輪
３ａのホイールであり、周面にはウレタン樹脂で
形成されたタイヤ４９が配設されているととも
に、内側はベアリング５０ａ，５０ｂを介して上
記支持筒４３，４７と嵌合している。これによつ
て走行用車輪３ａは支持板４１，４２間に回転自
在に支持される。

そして、上記ホイル４８の内面上にはその全周
にわたつてリングギヤ５１が形成されており、上
記リングギヤ５１と上記ギヤ歯４６とが、図示し
ない伝達ギヤを介して噛合されている。

上記のように構成された駆動手段３１は、他の
走行用車輪３ｂ〜３ｄにも同様に配設されてお
り、これによつて走行用ギヤードモーター４４が
回転した時には走行用車輪３ａ〜３ｄが回転され
て本体１が走行する。

上記走行用ギヤードモーター４４、および旋回
用モーター３８を駆動させるための電源は図示せ
ざる給電線を介して外部から給電するようにして
もよく、無線で外部から操作する時にはベース２
の下面に配設したバツテリーＶから給電するよう
にしても良い。

外部から無線で操作する時には、その信号はベ
ース２の下面に配設した制御回路部５２に送られ
て、その送られた信号に基いて走行用車輪３ａ〜
３ｄに配設されている旋回用モーター３８、およ
び走行用ギヤードモーター４４を各々独立的に駆
動させるようにして本体１を前後左右に走行させ
たり、斜め方向に走行させたり、或いは大きく旋
回させたり、小さく旋回させたりする。

上記制御回路部５２に送信する信号は、例えば
第９図に示すような、マイクロコンピユーター５
３から送信するようにする。上記マイクロコンピ
ユーター５３は、中央処理装置５４、メモリ５
５、クロツクジエネレーター５６、システムコン
トローラー５７によつて構成されており、入出力
インターフエイス５８を介して入出力装置５９に
プログラムの実行指令を出したり、プログラムや
データを出し入れするように成されている。

入出力装置５９と上記制御回路部５２間は無線
の信号伝送路６０で接続されている。また、制御
回路部５２と各々の旋回用モーター３８および走
行用ギヤードモーター４４の間は有線の信号伝送
回路６１で接続されている。６２は、各々の旋回
路モーター３８および走行用ギヤードモーター４
４間に接続されたフイードバツク回路であり、旋
回用モーターの回動角度や、走行用ギヤードモー
ターの回転数を検出して制御回路部５２にフイー
ドバツクするために接続されているものである。
なお、図中６３は運搬する荷物６４は倉庫を示し
ている。

次に、上記実施例に基き動作を説明する。

本発明の荷役装置付自走台車は上記の如く構成
したものであるから、倉庫６４の内部を例えば第
１０図中矢示６５〜６９で示したように自由に走
行することができる。すなわち、場所Ａにおいて
荷物６３を吊り上げて場所Ｂに運搬したり、場所
Ｃにある荷物を場所Ｄに移動したり、或いは通路
７０を挟んで向い合わせに配設されている棚Ｅ，
Ｆ上の荷物を積んで場所Ａに運搬したりすること
を自在にできる。

また、矢示６５〜６９のように走行する場合に
は、各々の走行用車輪３ａ〜３ｄに配設されてい
る旋回用モーター３８の回動角度を独立的に駆動
させて走行用車輪３ａ〜３ｄの向きを独立的に変
化させたり、或いは同じく走行用車輪３ａ〜３ｄ
に独立的に配設されている走行用ギヤードモータ
ー４４の回転速度を独立的に制御することができ
る。

走行用車輪３ａ〜３ｄの向きの組み合わせは無
数にあるが、第４図〜第８図はその一例を示して
いる。すなわち、第４図に示すように走行用車輪
３ａ〜３ｄの向きを図中上下方向に沿う向きと
し、且つその回転数を全て同一とした場合には本
体１は図中上方または下方に直進する。

また、第５図に示すように全ての走行用車輪を
図中左右方向に沿う向きとし、且つその回転数を
全て同一とした場合には左方向または右方向に直
進する。斜めの方向に進行する場合には、第６図
に示すように全ての走行用車輪の向きを斜めに向
ける。

第６図の例では、全ての走行用車輪の向きを45
度方向に向けてあるので、その回転数を同一にし
た場合には右斜め前方45度方向、左斜め後方225
度方向に直進する。

また、第６図に示す例においては走行用車輪の
向きをこのままにして、各々の回転数を独立的に
変化させることによつて本体１を第６図中矢示で
示したように旋回させることができる。

すなわち、走行用車輪３ａは回転させないで走
行用車輪３ｂ，３ｄを中速度で回転させるととも
に、走行用車輪３ｃを高速度で回転させれば、本
体１を走行用車輪３ａを中心として旋回させるこ
とができる。

上記のような旋回は、各々の走行用車輪３ａ〜
３ｄの向きを、第７図のように向けても行なうこ
とができる。この場合には、旋回中心は走行車輪
３ｄとなる。

更に、第８図に示すように各々の走行用車輪の
向きを中心０に対して平行になるように向けた場
合には、本体１を中心０を中心にして回転させる
ことができるので、旋回に要するスペースを最小
にすることができる。

このように、各々の走行用車輪の向きと回転速
度（回転方向を含む）を独立的に制御することに
よつて本体１を前後、左右、斜め方向に直進させ
たり或いは旋回させたりすることが自由にできる
が、各々の旋回用モーター３８と走行用ギヤード
モーター４４の制御信号はマイクロコンピユータ
ー５３から発信される。

すなわち、上記マイクロコンピユーター５３
に、本体１を矢示６５〜６９の順序で進行させる
ために必要な旋回用モーター３８と走行用ギヤー
ドモーター４４の制御プログラムをあらかじめイ
ンプツトしておくことによつて、この走行を繰り
返し行なわせることができる。

本発明は、上記のようにして自在に走行する本
体１に前述した如くの荷役装置５を配設したもの
であるから、例えば通路７０のような挟い場所に
おける荷物の積降ろしを自由に行なうことができ
る。すなわち、上記荷役装置５は長手方向に沿つ
てスライダーを自由に延出させることができるも
のである。したがつて、通路７０を挟んで向い会
わせて配設されている棚Ｅ，Ｆの双方に置かれて
いる荷物を、本体１を動かすことなく自由に積み
込むことができる。

例えば、棚Ｅ上に置かれた荷物を本体１上に積
み込む場所について説明すると、先ず巻き上げ部
１６を棚Ｅ側に移動させる。上記移動は、図示せ
ざる手元スイツチによつて走行用ローラー１８を
回転させて行なう。これによつて巻き上げ部１６
を棚Ｅ方向、すなわち、スライダーが延出する方
向の先端部に位置させることができるので、荷役
装置５の全長を有効に利用することができる。

次いで、ピニオンギヤ９を動作させてスライダ
ーＳ３を棚Ｅ方向に摺動させる。上記ピニオンギ
ヤー９は、常時はスライダーＳ３上に配設された
ラツク１１と離間している。そして、動作時には
摺動手段８内に配設されたクラツチ手段によつて
第２図中下方に移動してラツク１１と係合するよ
うに成されている。

このようにして、スライダーＳ３が棚Ｅ方向に
摺動されて摺動限度位置迄延出されると、スライ
ダーＳ３上に突設されている突片２１がスライダ
ーＳ２上に配設されたリミツトスイツチ２２の押
圧片２２ａと当接しこれを押圧する。

このように、押圧片２２ａが押圧されるとその
信号は摺動手段８に送信される。これによつてピ
ニオンギヤ９の回転が停止させられるとともに、
上記ピニオンギヤ９は図中上方に持ち上げられ
る。次いで、上記摺動手段８はピニオンギヤ１０
を回転させる。上記ピニオンギヤ１０はスライダ
ーＳ１上に形成された切欠溝１５内を通つてスラ
イダーＳ２上に配設されたラツク１４と常時係合
している。このために、スライダーＳ２は棚Ｅ方
向に摺動させられる。このようにして、スライダ
ーＳ３，Ｓ２を摺動させて棚Ｅ方向に延出させ
る。そして、巻き上げ部１６に取着させられたフ
ツクＨが棚Ｅ上に置かれている荷物の真上に達し
た時にこれを停止する。

次いで、巻き上げ部１６内に配設された巻き上
げ手段を動作させてワイヤーロープＷを伸ばして
フツクＨを荷物に掛止させる。このようにして掛
止した後に、巻き上げ手段を動作させてワイヤー
ロープＷを巻き上げて荷物を吊り上げるようにす
る。

次いで、ピニオンギヤ１０を上記とは逆の方向
に回転させてスライダーＳ２を原点位置、すなわ
ちスライダーＳ１に対してスライダーＳ２が一側
と他側の双方向に延出していない位置迄摺動させ
る。スライダーＳ２が原点位置に復帰させられた
時には、図示せざる検出手段によつてそれが検出
されて摺動手段に送信される。

また、上記のようにスライダーＳ２が原点位置
に復帰された時は、摺動手段８はピニオンギヤ１
０の回転を停止させるとともに、ピニオンギヤ９
を前記とは逆の方向に回転させてスライダーＳ３
を原点位置に復帰させる。

上記の如くしてスライダーＳ３，Ｓ２が原点位
置に復帰した後に、巻き上げ部１６を操作して吊
り上げていた荷物をベース２に降ろすようにす
る。

次いで、巻き上げ部１６を棚Ｆ方向に移動させ
るとともにピニオンギヤ９，１０を前記とは逆の
方向に回転させてスライダーＳ３，Ｓ２を棚Ｆ方
向に延出させて、上記棚Ｆ上に置かれている荷物
を吊り上げるようにする。そして、再びスライダ
ーＳ２，Ｓ３を原点位置に復帰させた後に巻き上
げ部１６を操作して吊り上げていた荷物をベース
２上に降ろす。

このように、本発明の荷役装置付自走台車は長
手方向に沿う一側および他側の両方向に自由に延
出させることができる荷役装置を配設したもので
あるから、荷物を積み込みおよび積降ろしを挟い
場所でも自在に行なうことができる。すなわち、
一方向にのみしか延出させることしかできない荷
役装置の場所には棚Ｅ上の荷物を本体上に積んだ
後は、本体の向きを通路７０内で変えることがで
きない場所には一担外部に出て、向きを返転させ
た後に再び通路７０内に入つて棚Ｆ上の荷物を本
体１上に積み込むようにしなければならない。

しかし、本発明の台車の場合には上記のように
双方向に延出させることができる荷役装置５が配
設されているので、このような面倒な移動を行な
う必要が無い。したがつて、荷物の搬入搬出作業
効率を向上させることができるものである。

なお、本実施例においては省略したが、スライ
ダーＳ３の端部に嵌合溝１００を設け、上記嵌合
溝１００に第１１図に示すように荷物を載置して
運搬するためのツメ１０１を嵌合させたり、また
は第２図に示すように荷物を吊り上げて運搬する
ためのツメ１０２を嵌合させるようにしてもよ
い。またその動作の制御命令もプログラム制御の
他、通常の操作盤上における操縦かん制御等を採
用してもよい。

［発明の効果］ 以上詳述した如く本発明は、下面に複数の走行
用車輪が配設されているベース上に、荷物を吊り
上げたり吊り下げたりするための荷役装置を支持
して成る荷役装置付自走台車において、下部が開
口されている筒体よりなり、断面の大きい筒体が
小さい筒体を順次嵌合包持した状態で連結されて
いる複数のスライダーＳ１，Ｓ２，Ｓ３と、上記
複数のスライダーＳ１，Ｓ２，Ｓ３を長手方向の
一側及び他側の両方向に進出させるために配設さ
れた摺動手段８と、上記複数のスライダーＳ１，
Ｓ２，Ｓ３のうち、一番内側に嵌合包持されてい
るスライダーＳ３内に配設されていて、その長手
方向の一側および他側の両方向に走行自在に巻き
上げ部１６と、上記ベース２の下面に取り付けら
れた複数の旋回軸受機構３２と、上記旋回軸受機
構３２のそれぞれにベアリング３３を介して旋回
自在に取り付けられた旋回部３４と、上記旋回部
３４に回転自在に取り付けられた走行用車輪３ａ
と、上記旋回軸受機構３２を上記ベース２と平行
な面内において回動させる旋回手段と、上記走行
用車輪３ａを回転させて上記荷役装置５を任意の
方向に走行させる走行手段とを設けたので、荷物
を台車上に積み込んだり、台車上の荷物を降ろす
ために要する台車の移動スペースを可及的に小さ
くすることができる。また、荷物を積降ろしする
時は、本体１全体を移動させることなく、荷役装
置を一側または他側方向に延出させて行なうこと
ができるので、本体１を移動させるための十分な
スペースが無いような挟い場所でも荷役装置を使
用して直接荷物を積降ろしすることができる。更
に、ベース２の下面に配設した各走行車輪３ａを
水平面内に自由に回動させるようにしたので、狭
い場所を自由に走行させることができるととも
に、その場を動かずに回転走行させたりすること
もでき、これらによつて荷物の搬出搬入作業や移
動作業等の合理化に大きく寄与することができる
荷役装置付自走台車を提供する等種々の利点を有
する。

【図面の簡単な説明】

添付図面は本発明の実施例を示し、第１図は正
面図、第２図は第１図中−線に沿う断面図、
第３図は走行用車輪の駆動機構を説明するための
要部断面図、第４図〜第８図は走行用車輪の向き
の一例を示す図、第９図は旋回用モーターと走行
用ギヤードモーターの制御の一例を示す制御系統
図、第１０図は倉庫内における動作の一例を示す
図、第１１図および第１２図は変形例を示し、第
１１図は載置用のツメを取り付けた状態の側面
図、第１２図は吊り上げ用のツメを取り付けた状
態の側面図である。 なお図中、１……本体、２……ベース、３ａ，
３ｂ，３ｃ，３ｄ……走行用車輪、５……荷役装
置、６……開口部、８……摺動手段、Ｓ１，Ｓ
２，Ｓ３……スライダー。を示している。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 下面に複数の走行用車輪が配設されているベ
   ース上に、荷物を吊り上げたり吊り下げたりする
   ための荷役装置を支持して成る荷役装置付自走台
   車において、 下部が開口されている筒体よりなり、断面の大
   きい筒体が小さい筒体を順次嵌合包持した状態で
   連結されている複数のスライダーＳ１，Ｓ２，Ｓ
   ３と、 上記複数のスライダーＳ１，Ｓ２，Ｓ３を長手
   方向の一側及び他側の両方向に進出させるために
   配設された摺動手段８と、 上記複数のスライダーＳ１，Ｓ２，Ｓ３のう
   ち、一番内側に嵌合包持されているスライダーＳ
   ３内に配設されていて、その長手方向の一側およ
   び他側の両方向に走行自在に配設された巻き上げ
   部１６と、 上記ベース２の下面に取り付けられた複数の旋
   回軸受機構３２と、 上記旋回軸受機構３２のそれぞれにベアリング
   ３３を介して旋回自在に取り付けられた旋回部３
   ４と、 上記旋回部３４に回転自在に取り付けられた走
   行用車輪３ａと、 上記旋回軸受機構３２を上記ベース２と平行な
   面内において回動させる旋回手段と、 上記旋回部３４を構成する回転板３６の下面に
   垂下されている支持板４１に取り付けられた支持
   筒４３内に配設され、上記走行用車輪３ａを回転
   駆動する走行用キヤードモーター４４を有する走
   行手段とを具備し、 上記摺動手段８が、上記スライダーＳ１上に固
   着され、上記スライダーＳ３を摺動させるために
   その一側に配設されているピニオンギヤー９、お
   よび上記スライダーＳ２を摺動させるために他側
   に配設されているピニオンギヤー１０と、 上記ピニオンギヤー９と対向するように、上記
   スライダーＳ３上にその長手方向に沿つて配設さ
   れているラツク１１と、 上記ピニオンギヤー１０と対向するように上記
   スライダーＳ２上にそのの長手方向に沿つて配設
   されているラツク１４と、 上記ピニオンギヤー９と上記ラツク１１とを係
   合させるために、上記スライダーＳ１，Ｓ２にそ
   れぞれ形成された切欠溝１２，１３、および上記
   ピニオンギヤー１０と上記ラツク１４とを係合さ
   せるために上記スライダーＳ１に形成された切欠
   溝１５と、 上記ピニオンギヤー９と上記ラツク１１とを選
   択的に係合させるために、上記ピニオンギヤー９
   を上記ラツク１１に対して進退させるクラツチ機
   構とにより構成されていることを特徴とする荷役
   装置付台車。