JPH0517116A - グラフアイトの製造方法 - Google Patents

グラフアイトの製造方法

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JPH0517116A
JPH0517116A JP3169873A JP16987391A JPH0517116A JP H0517116 A JPH0517116 A JP H0517116A JP 3169873 A JP3169873 A JP 3169873A JP 16987391 A JP16987391 A JP 16987391A JP H0517116 A JPH0517116 A JP H0517116A
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pressure
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polymer
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Mutsuaki Murakami
睦明 村上
Toshiharu Hoshi
敏春 星
Kazuhiro Watanabe
和廣 渡辺
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Matsushita Electric Industrial Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 従来の製造工程が極めて複雑でかつ歩留りも
著しく低く、その結果高配向性のグラファイトが極めて
高価であったと言う欠点を解決し、製造方法が容易でコ
ストの安価な高分子フィルムを高温焼成して高品質グラ
ファイトを作成する方法を実現する事を目的とする。 【構成】 原料の高分子フィルム表面に少量の無機質粉
体を存在させ、複数枚の高分子フィルムを積層し、熱分
解温度領域で加圧しつつ焼成してもフィルム同士が融着
しないようにしたもので、これによって、加圧しつつ焼
成しても分解ガスはフィルム間を通ってスムーズに外部
に放出され、発生ガスによってフィルムが破壊にいたる
のを防ぐことが出来る。また、加圧によってフィルム内
部に歪が入る事を防ぐ事が出来、結果として、最終的に
グラファイト化したブロックの配向性特性を向上させる
ことが出来る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、X線モノクロメータ
ー、中性子線モノクロメーター、中性子線フィルター等
の放射線光学素子として利用される高配向性ブロック状
のグラファイトの製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】グラファイトは、抜群の耐熱性、耐薬品
性、高電気伝導性等のため工業材料として重要な地位を
占め、ガスケット、電極、発熱体、構造材として広く使
用されている。中でも高配向性グラファイトは、X線や
中性子線に対する優れた分光、反射特性を有するため
に、X線や中性子線のモノクロメーター、あるいはフィ
ルターとして広く用いられている。
【0003】この目的に使用されるグラファイトとして
は、天然に産するものを使用するのが一つの方法である
が、良質のグラファイトは生産量が非常に限られてお
り、しかも取り扱いにくい粉末状又はリン片状のため人
工的にグラファイトを製造することが行われている。こ
の様な人工的なグラファイトの製造方法としては、気相
中での炭化水素ガスの高温分解沈積と、その熱間加工に
よる方法がある。これは圧力を印加しつつ3400℃で
長時間再焼鈍すると言う工程によって作成する方法であ
る。この様にして作成されるグラファイトは、高配向性
グラファイト(HOPG)と呼ばれ、天然の単結晶グラ
ファイトと比較し得る優れた特性を有している。しか
し、この方法は製造工程が極めて複雑でかつ歩留りも著
しく低く、その結果、HOPGは極めて高価なものであ
った。
【0004】この様な従来の高品質グラファイトの製造
方法の欠点を解消し、製造方法が容易でコストの安価な
製造方法として、高分子フィルムを高温焼成して高品質
グラファイトを作成する方法が開発された。高分子材料
は一般的には難グラファイト材料に属し、たとえ300
0℃の高温に加熱しても良質のグラファイトに転化され
ることはない。しかしながら、最近の研究の結果、高分
子材料のいくつかは適当な熱処理によって良質なグラフ
ァイトに転化されることが分かってきた。それらの高分
子としては、ポリオキサジアゾール、芳香族ポリイミ
ド、芳香族ポリアミド、ポリベンゾイミダゾール、ポリ
ベンゾビスチアゾール、ポリベンゾオキサゾール、ポリ
チアゾール、ポリパラフェニレンビニレン等がある。こ
れらの知見に基づき、本発明者らは特許出願を行ってお
り、それらは特開昭61−275114号、特開昭61
−275115号、特開昭61−275117号等の公
報に開示されている。
【0005】これらの発明に基づき、高分子フィルムを
積層し、加圧焼成してブロック状のグラファイトを作成
すると言う検討がなされた。これらの例は特開平1−1
05199号公報および特開昭63−235218号公
報に開示されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら複数枚の
高分子フィルムを積層し、これを高配向性ブロックとす
るためには数多くの工夫が必要であり、単純に加圧焼成
するだけでは目的の高配向性グラファイトは得られな
い。高配向性グラファイトを得るためにはそれぞれのフ
ィルムがブロック内部できちんと配向していること、フ
ィルムの内部でグラファイト結晶がきれいに配列してい
ること、フィルム同士が接着していることが重要であ
る。しかしながら、例えば、上記の高分子フィルムはい
ずれも300から600℃の温度領域で熱分解を起こ
し、フィルムは急激に収縮を起こす。さらに、これらの
高分子は1000℃から2000℃付近の温度領域で
は、硬くて脆い言わゆるハードカーボンの状態となる。
従って、これらの高分子フィルムを積層し圧力を印加し
つつ熱処理を行っても、通常はフィルムの収縮変形によ
ってしわや内部構造の歪が生じ、極端な場合には破壊に
至ってしまう。従って、複数枚の高分子フィルムより高
配向性のグラファイトブロックを作成する技術のポイン
トは、高分子フィルムの伸びや縮みによって熱分解、炭
素化、グラファイト化の過程の間に生じた歪を、如何に
最終的なグラファイトブロックの中に残さないかという
点である。
【0007】そのために、例えば、熱分解温度領域では
本質的に圧力を印加せず、分解温度以上から2000℃
の温度領域で2から50kg/cm2の間の圧力を印加し、2
600℃以上では50kg/cm2以上の圧力を印加する様な
手法が使われる。熱分解温度領域で圧力が印加出来ない
のは、この領域で圧力を印加するとフィルム同士が融着
し、内部からの発生する分解ガスのスムーズな放出を妨
げ、ついにはその発生ガスによって炭素化物の破壊に至
るからである。分解温度以上から2000℃の間の圧力
操作は作成した炭素化物(ハードカーボンの状態にあ
る)を壊さない様に焼成して、分解温度領域で生じた内
部歪を取り除く工程である。また、2600℃以上の圧
力操作はグラファイト化を進めつつ、フィルム同士を接
着させる工程である。
【0008】上記の方法は、熱分解、炭素化、グラファ
イト化、接着の工程をそれぞれ制御して、高配向性のグ
ラファイトを作成する方法であり、この方法によりモザ
イクスプレッドの値が1.0゜から0.7゜程度の特性
を持つ高配向性のグラファイトブロックが得られるよう
になった。しかし、より優れた配向性を持つブロックの
実現には、熱分解過程において生じる歪をより小さくす
る事が重要である。そのためには熱分解過程において、
高分子フィルム同士の接着を防ぎ、分解ガスの放出をス
ムーズに行いつつ加圧することが望ましい。しかし、通
常、熱分解過程における加圧は上記の様に通常フィルム
同士の接着を起こすため、加圧は出来なかった。
【0009】本発明は、従来の製造工程が極めて複雑で
かつ歩留りも著しく低く、その結果高配向性のグラファ
イトが極めて高価であったと言う欠点を解決し、製造方
法が容易でコストの安価な高分子フィルムを高温焼成し
て高品質グラファイトを作成する方法を実現することを
目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】この目的を達成するため
に、本発明は、複数枚の高分子フィルムを積層し、高分
子フィルムの間に無機質粉体を存在させて加圧および熱
処理するように構成される。
【0011】
【作用】本発明は、上記構成により、高分子フィルムは
その熱分解工程において互いに接着する事がなくなり、
分解ガスが高分子フィルムの間を通ってスムーズに外部
に拡散する事が出来るようになる。即ち、高分子フィル
ムは互いに融着しないため、ある程度の圧力を印加する
ことが可能となり、高分子フィルム間で互いにすべり合
う事が出来、それによって高分子フィルムにしわや歪が
導入されることを防ぐことが出来る。
【0012】こうして作成された炭素化ブロックは、初
期に導入される歪が少ないために、それぞれの高分子フ
ィルムがブロック内部できちんと配向し、しかもフィル
ムの内部では結晶がきれいに配列した高配向性グラファ
イトとなる。
【0013】
【実施例】以下、本発明の一実施例について説明する
が、その前に本発明の概要について説明する。
【0014】本願出願人は前記問題点を解決すべく検討
の結果、ある粒径以下の大きさの無機質粉末を高分子フ
ィルムの間に存在せしめて熱処理することにより、高分
子フィルムはその熱分解工程において互いに接着するこ
とがなくなり、分解ガスがフィルムの間を通ってスムー
ズに外部に拡散することが出来るようになることを発見
して本発明に至った。この方法では、フィルムは互いに
融着しないため、ある程度の圧力を印加することが可能
となり、フィルム間で互いにすべり合うことが出来、そ
れによってフィルムにしわや歪が導入されることを防ぐ
ことが出来る。
【0015】こうして作成された炭素化ブロックは上記
の手法に従って高温処理が行われグラファイト化される
が、初期に導入される歪が少ないために従来の手法に比
べ配向性の優れたグラファイトブロックを得ることが出
来る。このとき用いられる無機質粉体の量は高分子フィ
ルムの融着を防ぎ、かつグラファイトの特性に悪影響を
与えない範囲で選択される。
【0016】以下、本発明の材料、手法について説明す
る。本発明では、各種ポリフェニレンオキサジアゾール
(POD)、ポリベンゾチアゾール(PBT)、ポリベ
ンゾビスチアゾール(PBBT)、ポリベンゾオキサゾ
ール(PBO)、ポリベンゾビスオキサゾール(PBB
O)、各種芳香族ポリイミド(PI)、各種芳香族ポリ
アミド(PA)、ポリ(フェニレンベンゾイミタゾー
ル)(PBI)、ポリ(フェニレンベンゾビスイミタゾ
ール)(PPBI)、ポリチアゾール(PT)、ポリ
(パラフェニレンビニレン)(PPV)のうちから選ば
れた少なくとも一種類の高分子フィルムが用いられる。
【0017】ここで各種ポリオキサジアゾールとはポリ
パラフェニレン−1.3.4−オキサジアゾール及びそ
れらの異性体を言う。また各種芳香族ポリイミドとは下
記一般式で表されるポリイミドである。
【0018】
【化1】
【0019】また、芳香族ポリアミドとは下記一般式で
表されるポリアミドである。
【0020】
【化2】
【0021】しかし、本発明は、これらのポリイミドや
ポリアミドに限定されるものではない。
【0022】本発明における原料高分子フィルムは、上
記のPOD、PBT、PBBT、PBO、PBBO、P
I、PA、PBI、PBBI、PT、PPV等の内から
選ばれるが、本発明の手法は 高温での熱処理によって
良質のグラファイトを生じるような高分子フィルムに対
しては同様に適用することが可能である。
【0023】本発明の方法では、出発原料として400
μm 以下の厚さを有するフィルムが用いられる事が望ま
しい。それは400μm 以上の厚さを有する原料を用い
た場合には、本発明の方法によってもフィルム内部から
発生するガスのためにフィルムの内部構造が破壊され高
配向性のグラファイトブロックを得ることが困難となる
ためである。
【0024】本発明による無機質粉体として、シリカ、
酸化カルシュウム、酸化マグネシュウム、酸化アルミニ
ュウム、酸化鉄、カーボン、グラファイト、酸化チタ
ン、炭酸カルシュウム、珪酸マグネシュウム、珪酸カル
シュウム、炭酸バリュウム、硫酸バリュウム、酸化鉛、
酸化クロム、炭化珪素、炭化カルシュウム等、及びこれ
らの混合物等、を代表例として挙げることが出来る。混
合物の例としてカオリン、クレー、酸性白土、タルク、
ベントン、ホワイトカーボン等を挙げることが出来る。
これらの無機質粉体は粉体のまま用いる事もできるし、
水あるいは有機溶剤等に分散された状態でも良い。ま
た、ステアリン酸誘導体の様な誘導体の形で用いること
も可能である。
【0025】これらの無機粉体の役割は、フィルム間の
融着を防ぎ、熱分解過程における加圧焼成を可能とする
ことにある。しかし、一方で無機粉体の量が多すぎると
この無機粉体自体が完成したグラファイトブロックの配
向性を乱し、かつ2600℃以上でのフィルム接着過程
での接着を妨げることになる。従って、無機粉体の量は
融着を防ぐと言う目的を達成するために必要な最少量で
あることが望ましい。
【0026】この様な観点から各種の無機粉体、および
その粒径を検討し最適量を検討した。その結果、粒径は
20μm 以下であることが必要で、より望ましくは1μ
m であることが分かった。さらに20μm 以下の粒径で
ある場合、融着を防ぐ為に必要な量はフィルム重量の1
%以下で、より望ましくは0.1%以下であることが分
かった。これらの条件を満たす無機粉体はグラファイト
の特性にほとんど悪影響を与えず、逆に熱分解過程にお
いて圧力を印加することで歪が除かれることによるプラ
スの効果が現れてくる。その結果、得られるグラファイ
トの特性は無機粉体を用いない製造方法に比べ著しく向
上する。
【0027】本発明の方法に対して、当然無機粉体を高
分子フィルム中にあらかじめ添加する方法が考えられ
る。しかし、その様な方法はフィルムの融着を防止する
という本発明の目的には適当でない。それは、内部添加
の方法では融着を防止するために本発明の方法に比べ遥
かに大量の添加が必要で、それらは最終的なグラファイ
トの性質に悪影響を与えるからである。ポリイミドの場
合、平均粒径10μm のシリカ粉体を用いた場合にフィ
ルム間の融着を防ぐために必要な最低量はフィルム重量
の5%であった。したがって、当然この様な無機粉体は
最終的なグラファイトの配向特性に悪影響をあたえるこ
とになる。
【0028】一方、従来の無機粉体を全く用いないプロ
セスではフィルム同士が融着しないようにしながら炭素
化するために、フィルムが伸び縮みする温度領域では本
質的に圧力を印加しない事が必要となる。ここで本質的
に圧力を印加しないと言う意味は、加圧の為の冶具の重
量などの微少な圧力は加えてもよいと言う意味である。
このときの許容される圧力の大きさは一般的に2kg/cm2
以下であり、好ましくは1kg/cm2以下である。これに対
し、本発明の様な無機粉体をし利用した場合、フィルム
フィルム同士の接着がしにくくなるため、最大10kg/c
m2 の加圧が可能となる。そのため得られた炭素化物
は、無機粉体を用いない場合に比べ、はるかにしわの少
ない物であった。そしてこうして得られた炭素化物を用
いてグラファイト化を行った所、平均0.2゜のロッキ
ング特性の向上が実現出来た。
【0029】以下、芳香族ポリイミドを例として本発明
の詳細について述べる。図1はポリイミド(デュポン社
製、カプトン、25μm )の面方向の伸び縮みの測定結
果である。ここに示すようにポリイミドは450から5
00℃でわずかに伸び、500から700℃の領域で急
激に元の長さの75%に収縮する。この温度領域は高分
子の熱分解領域に相当する。ポリイミド(カプトンHフ
ィルム)を用いて10Kg/cm2の圧力を印加し1000℃
まで昇温した場合、平均粒径0.02μmのシリカ粉体
を用いた場合にフィルム間の融着を防ぐために必要な最
低量はフィルム重量の0.01%であった。さらにこう
て得られたフィルムを200Kg/cm2の圧力下、3000
℃処理した結果、フィルム同士は良好に接着し、測定さ
れたロッキング特性は0.56°であった。
【0030】一方、平均粒径30μm のシリカ粉末を用
いた場合、フィルム間の融着を防ぐために必要な最低量
はフィルム重量の2%であった。この場合こうして得ら
れたフィルムを200Kg/cm2の圧力下、3000℃処理
したがフィルム同士は接着せず、1枚のフィルムで測定
したロッキング特性は1.8°であつた。
【0031】以上、述べた加圧、熱処理の製造方法は必
ずしもポリイミドに限定されることはなく、一般に熱処
理によって優れたグラファイトに転化される高分子につ
いては同様に適用することができる。
【0032】(実施例1)以下、本発明の第1の実施例
について説明する。
【0033】厚さ50μm のポリパラフェニレン−1.
3.4−オキサジアゾールフィルム表面上に平均粒径1
μm のタルク粉末を均一にまぶし、次に振動を加えなが
ら余分のタルク粉末取り除き、粉末量が高分子フィルム
の0.05%となる様に調整した。
【0034】こうして作製したフィルム100枚(2×
3 cm2)をグラファイト製の冶具にセットし、アルゴン
ガス雰囲気中10℃/min の速度で1200℃まで昇温
した。この間試料に5 kg/cm2 の圧力が印加されている
様にした。つぎに1200℃に達した後、同様の昇温速
度を保ちながら圧力を印加した。印加圧力は20 kg/cm
2 であり、温度が1400℃になるまで圧力を印加し
た。その後圧力を減少させ、温度が2600℃に昇温す
るまでの間では冶具の重量に相当する圧力のみが印加さ
れるようにした。温度が2600℃に達したのち、再び
圧力を印加した。印加圧力は200 kg/cm2 である。こ
の圧力を保ちながら3000℃まで昇温し熱処理を完了
した。この結果得られたグラファイトブロックはほとん
どしわのない均一な表面を有する物であった。
【0035】得られたグラファイトの特性を、理学電機
社製ローターフレックスRU−200B型X線回折装置
を用いて測定した。グラファイト(002)回折線のピ
ーク位置におけるロッキング特性測定の結果得られた回
折線の半値幅をもって評価した。測定の結果、ロッキン
グ特性は0.56°でありX線や中性子線のモノクロメ
ーターとして優れた特性を有することが分かった。
【0036】同様の処理をタルクを用いないフィルムで
行ったが、1200℃までの昇温過程においてフィルム
同士が融着し、内部から発生するガスのため破壊してし
まった。次に破壊を防ぐため1200℃までの焼成工程
での圧力を冶具重量による圧力のみとした、100g/cm
2 にして処理を行い、以降の処理を同様にした。得られ
たブロックのロッキング特性は0.8゜であつた。この
ことから本発明の手法がロッキング特性の向上に非常に
有効であることがわかった。
【0037】(実施例2)以下、本発明の第2の実施例
について説明する。
【0038】厚さ25μm 、のポリイミド(デュポン
社、カプトンHフィルム)表面上に平均粒径0.02μ
m のシリカ粉末を均一にまぶし、次に振動を加えながら
余分のシリカ粉末取り除き、粉末量が高分子フィルムの
0.02%となる様にした。
【0039】こうして得られたフィルム200枚(3×
3 cm2)を積層し、第1の実施例と同様の方法でグラフ
ァイト製の冶具にセットし、アルゴンガス雰囲気中10
℃/minの速度で1400℃まで昇温した。この間試料に
は4kg/cm2の圧力が印加されている様にした。つぎに1
400℃に達した後、同様の昇温速度を保ちながら30
kg/cm2 の圧力を加えながら、温度が1600℃になる
まで印加した。その後圧力を減少させ、温度が2700
℃に昇温するまでの間では冶具の重量に相当する圧力
(100 g/cm2)のみが印加されるようにした。温度が
2700℃に達したのち、再び圧力を印加した。印加圧
力は300 kg/cm2 である。この圧力を保ちながら30
00℃まで昇温し熱処理を完了した。この結果得られた
グラファイトブロックはほとんどしわのない均一な表面
を有する物であった。
【0040】得られたグラファイトの特性を、理学電機
社製ローターフレックスRU−200B型X線回折装置
を用いて測定した。グラファイト(002)回折線のピ
ーク位置におけるロッキング特性測定の結果得られた回
折線の半値幅をもって評価した。測定の結果、ロッキン
グ特性は0.48°でありX線や中性子線のモノクロメ
ーターとして優れた特性を有することが分かった。
【0041】同様の処理をシリカ粉末処理を施さないフ
ィルムを用いて行ったが、1400℃までの昇温過程に
おいて、フィルム同士が融着し内部から発生するガスの
ため破壊してしまった。次に破壊を防ぐため1400℃
までの焼成工程での圧力を事実上冶具重量による圧力で
ある、100 g/cm2として処理を行い、以降の処理を同
様にした。得られたブロックのロッキング特性は0.7
0゜であつた。この事から本発明の手法がロッキング特
性の湖上に非常に有効であることがわかった。
【0042】(実施例3)以下、本発明の第3の実施例
について説明する。
【0043】上述した第2の実施例と同様のシリカ処理
を、厚さ50μmの、PBT、PBBT、PBO、PB
BO、PA、PBI、PBBI、PT、PPVのフィル
ムについて行った。次に、各フィルム100枚を積層
し、それぞれをグラファイト製の冶具にセットし、アル
ゴンガス雰囲気中10℃/minの速度で1500℃まで昇
温した。この間試料には4 kg/cm2 の圧力が印加されて
いる様にした。つぎに1500℃に達した後、同様の昇
温速度を保ちながら圧力を印加した。印加圧力は30 k
g/cm2 であり、温度が1800℃になるまで印加した。
その後圧力を減少させ、温度が2800℃に昇温するま
での間では冶具の重量に相当する圧力のみが印加される
ようにした。温度が2800℃に達したのち、再び圧力
を印加した。印加圧力は300 kg/cm2 である。この圧
力を保ちながら3000℃まで昇温し熱処理を完了し
た。この結果得られたグラファイトブロックはほとんど
しわのない均一な表面を有する物であった。
【0044】比較のため、酸化処理を行わないフィルム
を用い1500℃までの熱処理過程での圧力をグラファ
イト冶具の重量に相当する100g/cm2 とし、以降同様
の処理を行ってグラファイトブロックを作成した。
【0045】得られたグラファイトの特性を、理学電機
社製ローターフレックスRU−200B型X線回折装置
を用いて測定した。グラファイト(002)回折線のピ
ーク位置におけるロッキング特性測定の結果得られた回
折線の半値幅をもって評価した。測定の結果を(表1)
に示す。
【0046】
【表1】
【0047】この結果から明かなようにこれらの高分子
から得られたグラファイトブロックはいずれもX線や中
性子線のモノクロメーターとして優れた特性であること
が分かった。
【0048】(実施例4)以下、本発明の第4の実施例
について説明する。
【0049】上述した第2の実施例と同様の処理を、厚
さ25μm 、のポリイミド(デュポン社、カプトンHフ
ィルム)表面上にそれぞれ、シリカ(平均粒径2μm、
0.2μm、0.02μm)酸化カルシュウム(平均粒
径1μm)、酸化マグネシュウム(平均粒径5μm)、
酸化アルミニュウム(平均粒径2μm)、カーボン(平
均粒径2μm)、グラファイト(平均粒径2μm)、酸
化チタン(平均粒径0.5μm)、炭酸カルシュウム
(平均粒径0.4μm)を用いて行った。
【0050】こうして得られたフィルム200枚(3×
3 cm2)を積層し、第1の実施例と同様の方法でグラフ
ァイト製の冶具にセットし、アルゴンガス雰囲気中10
℃/minの速度で1400℃まで昇温した。この間試料に
は4kg/cm2の圧力が印加されている様にした。つぎに1
400℃に達した後、同様の昇温速度を保ちながら30
kg/cm2 の圧力を加えながら、温度が1600℃になる
まで印加した。その後圧力を減少させ、温度が2700
℃に昇温するまでの間では冶具の重量に相当する圧力
(100 g/cm2)のみが印加されるようにした。温度が
2700℃に達したのち、再び圧力を印加した。印加圧
力は300 kg/cm2 である。この圧力を保ちながら30
00℃まで昇温し熱処理を完了した。この結果得られた
グラファイトブロックはほとんどしわのない均一な表面
を有する物であった。
【0051】得られたグラファイトの特性を、理学電機
社製ローターフレックスRU−200B型X線回折装置
を用いて測定した。グラファイト(002)回折線のピ
ーク位置におけるロッキング特性測定の結果得られた回
折線の半値幅をもって評価した。測定の結果を(表2)
に示す。
【0052】
【表2】
【0053】この結果から明かなように、これらの高分
子から得られたグラファイトブロックはいずれもX線や
中性子線のモノクロメーターとして優れた特性であるこ
とが分かった。
【0054】
【発明の効果】以上のように本発明は、複数枚の高分子
フィルムを積層し、高分子フィルムの間に無機質粉体を
存在させて加圧および熱処理するように構成したので、
高分子フィルムはその熱分解工程において互いに接着す
る事がなくなり、分解ガスが高分子フィルムの間を通っ
てスムーズに外部に拡散する事が出来るようになる。
【0055】即ち、高分子フィルムは互いに融着しない
ため、ある程度の圧力を印加することが可能となり、高
分子フィルム間で互いにすべり合う事が出来、それによ
って高分子フィルムにしわや歪が導入されることを防ぐ
ことが出来る。
【0056】これにより高い配向性をもつグラファイト
ブロックを得ることが出来る。このブロックは、従来の
グラファイトブロックの作成方法に比べ非常に簡単な方
法で作成される高品質のグラファイトであって、X線や
中性子線モノクロメーターとして、また中性子線のフィ
ルターとして広く使用することが出来る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例として使用されるポリイミド
(デュポン社製、カプトンHフィルム、厚さ25μm )
フィルムの伸び縮みを示す特性図

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 複数枚の高分子フィルムを積層し、前記
    高分子フィルムの間に無機質粉体を存在させて加圧およ
    び熱処理することを特徴とするグラファイトの製造方
    法。
  2. 【請求項2】 無機質粉体の重量が高分子に対し1%未
    満であることを特徴とする請求項1記載のグラファイト
    の製造方法。
  3. 【請求項3】 無機質粉体の平均粒経が20ミクロン以
    下であることを特徴とする請求項1記載のグラファイト
    の製造方法。
  4. 【請求項4】 高分子フィルムがポリオキサジアゾー
    ル、芳香族ポリイミド、芳香族ポリアミド、ポリベンゾ
    イミダゾール、ポリベンゾビスチアゾール、ポリベンゾ
    オキサゾール、ポリチアゾール、ポリパラフェニレンビ
    ニレンの中から選択された少なくとも1種類であること
    を特徴とする請求項1記載のグラファイトの製造方法。
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Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US5618615A (en) * 1994-07-06 1997-04-08 Matsushita Electric Industrial Co., Ltd. Graphite layer material
US7264869B2 (en) 2001-06-06 2007-09-04 Polymatech Co., Ltd. Thermally conductive molded article and method of making the same
WO2009060818A1 (ja) * 2007-11-06 2009-05-14 Kaneka Corporation グラファイトフィルムの製造方法
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JP2010228934A (ja) * 2009-03-26 2010-10-14 Fuji Electric Systems Co Ltd 薄板状成形体の加熱処理方法

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