JPH0516097Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案は、メロン等の果物や野菜を保冷包装す
るための青果物包装用組立箱に関する。

〔従来の技術〕

例えば、メロン、ぶどう等の贈答用青果物を保
冷包装して販売する場合、冷媒材であるドライア
イス又は蓄冷剤を収容する室と青果物類を収容す
る室を仕切つて設けた発泡ポリスチレン製の身箱
と、この身箱の上面に重合する発泡ポリスチレン
製の板状中蓋と、表面に印刷が施されていて上記
身箱に嵌装できるアート紙製の蓋箱で構成した包
装箱が用いられている。しかして、身箱と中蓋は
緩衝性と断熱性を保持するために合成樹脂発泡体
製であり、いわゆる型物成形体として製造された
ものを使用している。

身箱と中蓋及び蓋箱で構成した上記従来の包装
箱は身箱が型物成型体であるから、商品を収容し
た販売時における形態を良好に保持することはで
きるが、空き箱時に、これを輸送するとか保管す
る場合には扁平化することが不可能であつて、そ
の取扱いに極めて不便となるし、また、保管する
には広いスペースが必要になるといつた問題があ
る。

かかる欠点を解消する目的で、先に本考案者
は、一体に連成された複数のシート片を折曲組立
して内部に物品を収納する組立箱であつて、この
シート片は、ａ外側の平板や防水性樹脂シートと
ｂ段ボールの芯材とｃ物品保護用の突出部を形成
した防水性樹脂シートの成型品よりなる内装材を
積層したものからなり、上記芯材と内装材との間
には空気が密閉された空間が形成されていること
を特徴とする組立箱を提案した（実開昭61−
86219号）。

この組立箱によると緩衝性及び断熱性を一段と
向上でき、かつ、繰返しの折り曲げ操作にも十分
耐え得るヒンジ部を備えていて、展開及び組立て
が自在であつて、食品類と冷媒材を離間させて整
然と安定させてセツトできる収容部を有し、最終
流通段階としての店頭乃至は宅配販売に極めて便
利となる組立包装箱を構成できる。

〔従来技術の問題点〕

前記実開昭61−86219号公報に記載される組立
箱は、内側ばかりでなく組立箱の外側の防水も考
慮しているので、段ボールの外面に発泡体シート
と可撓性樹脂フイルムを内側の発泡体シートとは
別に使用しており、組立箱を形成するための各片
の果物、野菜等の果物包装時に、これら収納物が
発生するエチレンによる収納物の老化防止が施こ
されていない。

〔問題点を解決する具体的手段〕

本考案においては、前記実開昭61−86219号記
載の組立箱において、段ボールの外側の防水性樹
脂シートを取り除いてヒンジ特性を改良し、組立
時の各片の折り曲げを容易とすると共に、内装材
の防水性樹脂シートにゼオライト粉末や蛭虫、大
谷石の焼成した物の粉砕物等のエチレン吸収剤を
含有させることにより果物、野菜等の青果物の老
化を防ぐことができるようにしたものである。

更に、この折り曲げは、段ボールとしてコルゲ
ートの両面にライナーを設けた両面段ボールより
も、コルゲートの片面にライナーを設けた片面段
ボールを用いることにより、より向上される。

即ち、本考案は、一体に連成された複数のシー
ト片を折曲組立して内部に物品を収納する組立箱
であつて、このシート片はＡ段ボールの内側にＢ
物品保護用の突出部を形成したエチレン吸収剤を
含有した防水性樹脂シートの成型品よりなる内装
材を接着積層したものからなり、上記突出部にお
いて段ボールと内装材との間に密閉された空気室
が形成されていることを特徴とする青果物包装用
組立箱を提供するものである。尚段ボールは紙製
段ボールやプラスチツク製段ボールのどちらかを
使用してもよい。

〔実施例〕

以下に、本考案の実施例を添付図面を参照しな
がら説明すると、第１図の組立箱のシート１は、
芯材である両面ダンボール２の内側に、真空成形
によつて突出部４を設けた熱可塑性樹脂シートか
らなる防水性樹脂シート３をラミネートし、その
接合時に板状のダンボール２と突出部４との間を
密閉された空気室５に形成した組立箱である。

防水性樹脂シート３には、果物や野菜の老化を
防止するためにエチレン吸収剤を５〜15重量％含
有させてある。

第２図は、上記両面段ボール２の代りに片面段
ボール２を用い、ヒンジ７の折り曲げ性を改良し
たものである。

防水性樹脂シート３として発泡体樹脂シートを
用いる場合は、この発泡体シートの素材の樹脂の
融点または軟化点より低い融点または軟化点を有
する接着用の熱可塑性樹脂フイルムを予めラミネ
ートした複合シートとしておき、この複合シート
を真空成形する際に前記フイルムを溶融させて、
その溶融接着剤フイルム層によつて防水性樹脂シ
ート３をダンボール２にラミネートする。

エチレン吸収剤の防水性樹脂シートへの含有
は、防水性樹脂シート３が非発泡の樹脂シートで
ある場合は、直接、樹脂にエチレン吸収剤の粉末
を練り込んでシート状に成形してもよいが、発泡
シートの場合はブタン、ヘプタン等の発泡剤を用
いるときは発泡シート成形時にエチレン吸収剤が
これら発泡剤を吸収し、エチレン吸着能力が低下
するので第３図に示すように、防水性樹脂シート
３として、エチレン吸収剤６を５〜15重量％含有
する非発泡の樹脂フイルム内側層３ｃと発泡体基
材シート３ａと接着剤フイルム層３ｂの三層構造
とするのが好ましい。もつとも、発泡剤として熱
分解型のアゾジカーボンアミドを用いるときは、
発泡体シート３ａに直接、エチレン吸収剤を含有
させてもよい。

真空成形される防水性樹脂シートにはポリプロ
ピレン、高密度ポリエチレン、ポスチレン、ハイ
インパクトポリスチレン、エチレン、酢酸ビニル
共重合体、エチレン・メタクリル酸共重合体、低
密度ポリエチレン等の熱可塑性樹脂シート類ある
いはこれら樹脂発泡体による発泡体シート、例え
ばポリスチレンペーパー（PSP）や、発泡ポリプ
ロピレンシートが用いられる。防水性樹脂シート
として発泡体シートを用いた場合のダンボールへ
の接着用の熱可塑性樹脂フイルムにはエチレン・
酢酸ビニル共重合体、エチレン・メタクリル酸共
重合体、低密度ポリエチレン等の樹脂によるフイ
ルムが用いられる。

以上の如く構成されている積層材は、例えば第
４図、第５図に示す本考案の組立箱を構成する為
の資材（台紙）として用いられ、第４図と第５図
に示す組立箱はヒンジ部７′（第２図のヒンジ部
７）によつて展開及び組立が自在であり、また、
優れた緩衝性並びに断熱性を発揮できる。即ち、
ヒンジ部７′を接続部分とした底板１１、各側板
１２，１３，１４，１５及び蓋板１６を形成でき
るように本積層材をトリミングすれば、突出部
４′によつて底板１１上に形成された一方の凹部
ａに被包装物１７を、他方の凹部ａに冷媒材１８
をそれぞれ収容した包装箱を組立できる。この組
立箱は突出部４′と凹部ａによつて被包装物の収
容状態を安定させ、その断熱性と緩衝性によつて
被包装物を有効に保護し、直ちに販売に供するこ
とができ、また、空き箱時には扁平状態に展開で
きるので、輸送や保管する場合に輸送容積を減ら
すことができて大変便利である。

〔考案の効果〕

本考案は上記の如くであつて、断熱性、剛性及
び緩衝性は段ボールと空気室を形成する突出部の
存在によつて一段と向上し、被包装物を保護する
上に有効である。また、エチレン吸収剤を含有し
た防水性樹脂シートにより被包装物である青果物
の鮮度保持が図られ、防水性樹脂シートによりヒ
ンジ部は繰り返して用いる耐用性が向上する。

更に、芯材として片面段ボールを用いるとき
は、より組立時の折り曲げが容易となる。

【図面の簡単な説明】

第１図、第２図および第３図はそれぞれ組立箱
のシート片の断面図を示し、第４図は組立箱の展
開図を、第５図は第４図の組立箱に被包装物を収
容した開蓋時の斜視図である。 図中、１は組立箱のシート片、２は段ボール、
３は防水性樹脂シート、４は突出部、５は空気
室、７はヒンジ部である。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 １ 一体に連成された複数のシート片を折曲組立
   して内部に物品を収納する組立箱であつて、こ
   のシート片は、Ａ段ボールの内側にＢ物品保護
   用の突出部を形成したエチレン吸収剤を含有し
   た防水性樹脂シートの成型品よりなる内装材を
   接着積層したものからなり、上記突出部には段
   ボールと内装材との間に密閉された空気室が形
   成されていることを特徴とする青果物包装用組
   立箱。 ２ 段ボールＡが片面段ボールであることを特徴
   とする実用新案登録請求の範囲第１項記載の青
   果物包装用組立箱。 ３ 内装材Ｂの防水性樹脂シートは、エチレン吸
   収剤を含有する非発泡の樹脂フイルム内側層
   と、発泡体樹脂シート基材層と、ホツトメルト
   接着剤樹脂フイルム層の積層体シートであるこ
   とを特徴とする実用新案登録請求の範囲第１項
   記載の青果物包装用組立箱。