JPH0516079U - 微細位置決めテーブル - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 微細位置決めテーブルの位置調整構造を高剛
性にし、更に位置調節を高い縮小率で安定したものとす
る。 【構成】 微細位置決めテーブルは、基台に２次元変位
が可能に支承されているテーブル１、テーブルのＹ軸線
方向の第１当接面12及びそれと直角方向のＸ軸線方向の
第２当接面13の夫々に沿って設けられたテーブル位置調
整装置４、並びに夫々のテーブル位置調整装置に対向し
てテーブルを押圧する押圧部５から構成され、且つテー
ブル位置調整装置が、固定側部材、固定側部材に長手方
向可動に案内支承され、固定側部材とテーブルの第１当
接面及び第２当接面の夫々との間に嵌挿された可動テー
パ部材44、並びに可動テーパ部材の長手方向変位手段と
から構成されている。第１（第２）当接面側のテーパ部
材を固定側部材に対しＹ（Ｘ）軸線方向に所定量変位さ
せると、可動テーパ部材の楔作用によりテーブルは、Ｘ
（Ｙ）軸線方向に縮小変位し、Ｘ（Ｙ）軸線方向の位置
調節が行われる。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

この考案は、工作機械、測定器等における微細位置決めテーブルに関する。

【０００２】

【従来の技術】

従来の技術における位置決めテーブルは、図４に示すように二重構造であり、 基台91に形成されたＸ軸線案内92の上に滑動台93が滑動自在に搭載され、Ｘ軸線 案内と直角方向に滑動台に形成されたＹ軸線案内94の上にテーブル95が滑動自在 に搭載されている。

【０００３】 そして、滑動台93は、モータ96で駆動される送りねじ97により基台91に対しＸ 軸線方向に変位されるようになっており、テーブル95は、モータ98で駆動される 送りねじ99により滑動台93に対しＹ軸線方向に変位されるようになっている。 そこで、滑動台93及びテーブル95を夫々所望の位置に変位することにより、テ ーブル95は、基台91に対し２次元的に位置決めされることになる。

【０００４】

【考案が解決しようとする課題】

上記の従来の技術における位置決めテーブルは、Ｘ軸線方向に変位する部分と とＹ軸線方向に変位する部分とが別体で二重構造となっているため、剛性が低く 、更にねじ機構のみによる変位縮小であるのでテーブル上の対象物（工作物や測 定物）に対する加工精度や測定精度が低い。 この考案は、そのような欠点がない微細位置決めテーブルを提供するものであ る。

【０００５】

【課題を解決するための手段】

この考案の微細位置決めテーブルは、基台に２次元変位が可能に支承されてい るテーブル、テーブルのＹ軸線方向の第１当接面及びそれと直角方向のＸ軸線方 向の第２当接面の夫々に沿って設けられたテーブル位置調整装置、並びに夫々の テーブル位置調整装置に対向してテーブルを押圧する押圧部から構成され、且つ テーブル位置調整装置が、固定側部材、固定側部材に長手方向可動に案内支承さ れ、固定側部材とテーブルの第１当接面及び第２当接面の夫々との間に嵌挿され た可動テーパ部材、並びに可動テーパ部材の長手方向変位手段とから構成されて いる。

【０００６】

【作用】

上記の微細位置決めテーブルにおいては、Ｘ軸線方向の位置調節には第１当接 面側のテーブル位置調整装置を、Ｙ軸線方向の位置調節には第２当接面側のテー ブル位置調整装置を夫々操作する。

【０００７】 第１当接面側のテーブル位置調整装置の長手方向変位手段により可動テーパ部 材を固定側部材に対しＹ軸線方向に所定量変位させる。すると、可動テーパ部材 の楔作用によりテーブルは、押圧部に対向してＸ軸線方向に縮小変位し、Ｘ軸線 方向の位置調節が行われる。

【０００８】 上記のＸ軸線方向の位置調節と同様にして第２当接面側のテーブル位置調整装 置によりテーブルのＹ軸線方向の位置調節が行われる。 かくして、テーブルは、基台に対し２次元的に微細に位置決めされる。

【０００９】

【実施例】

この考案の実施例における微細位置決めテーブルを図面に従って説明する。 図１において、テーブル１は、平面的に２次元変位が可能に３箇所の支承部２ によって基台３に支承されている。

【００１０】 支承部２は、図３に示すように複式スラスト玉軸受構成であり、基台３に植設 され、上端にねじ部21が形成された支柱22に、下側軌道輪23、中間軌道輪24及び 上側軌道輪25が嵌合され、夫々の間には玉26，26‥‥が嵌装されている。下側軌 道輪23は、基台３に支承され、中間軌道輪24にはテーブル１の取付孔11の周縁部 が載せられ、中間軌道輪24とテーブル１とはねじ27で固着され、上側軌道輪25は 、ねじ部21に螺合する止めナット28で上方から止められている。

【００１１】 中間軌道輪24の内周面と支柱22の外周面との間及び取付孔11の内周面と上側軌 道輪25・止めナット28の外周面との間は、同じような隙間ｄがあけられている。 従って、テーブル１は、基台３に対し、水平全方向に距離２ｄの範囲で変位可能 である。 なお、中間軌道輪24の外周面には、下側軌道輪23との玉間隙を覆う防塵環29が 取付けられている。

【００１２】 基台３上には、図１及び図３に示すようにテーブル１のＹ軸線方向の一側面（ 以下第１側面という）12及びそれと直角方向（Ｘ軸線方向）の側面（以下第２側 面という）13の夫々に沿ってテーブル位置調整装置４a ，４b が設けられ、第１ 側面12及び第２側面13と反対側の夫々の側面（以下第３側面及び第４側面という ）14，15にはテーブル１をテーブル位置調整装置４に向って水平方向に押圧する 押圧部５a ，５b が少なくとも２箇所ずつ設けられている。

【００１３】 テーブル位置調整装置４a ，４b は、テーブル１の第１側面12及び第２側面13 の夫々の長さより多少長い断面コ字形の固定側部材と、固定側部材の凹部に嵌挿 され長手方向可動に支承された第１側面12（第２側面13）と略同長の可動テーパ 部材と、可動テーパ部材の長手方向変位手段とから構成されている。

【００１４】 基台３上に第１側面12（第２側面13）に沿って取付けられた断面コ字形の固定 側部材は、一体のものでもよいが、図３に示された例では、上面部材41と側面部 材42とが断面Ｌ字形となり下面部材43は別設され、全体として断面コ字形をなし ている。可動テーパ部材44の下面は、下面部材43の上面に直動転がり軸受（玉軸 受）45を介して支承され、上面は、上面部材41に下面に摺接し、両側面と側面部 材42及びテーブル第１側面12（第２側面13）との間には、直動転がり軸受（針状 ころ軸受）46が嵌装されている。

【００１５】 可動テーパ部材44の両端面には、夫々長手方向の穴が穿設され、一方の穴は、 ばね挿入穴44a となり、他方の穴44b の開口には、ナット44c が取付けられてい る。そして、側面部材42の両端部には、突出部42a ，42b が形成され、一方の突 出部42a に植設された長手方向の案内軸42c は、可動テーパ部材44のばね挿入穴 44a 内に突出し、案内軸42c を囲繞する圧縮コイルばね47は、ばね挿入穴44a の 底と突出部42a との間に嵌装されている。

【００１６】 他方の突出部42b には、長手方向のねじ軸48が回転自在に軸受されると共にモ ータ49が装着されており、ねじ軸48の先端部はナット44c とボールねじ関係とな って螺合しており、ねじ軸48の基端部は、モータ49のモータ軸と継手を介して結 合されている。

【００１７】 押圧部５は、基台３に固着されブラケット51に押圧部材52が圧縮コイルばね53 を介して突出するように設けられ、押圧部材52の先端面に取付けられたスラスト 玉軸受54がテーブル１の第３側面14（第４側面15）に当接して構成されている。

【００１８】 テーブル１の上面には、対象物（例えば、工作物、測定物）の位置決め保持装 置６が設けられている。 位置決め保持装置６は、テーブル１の上面に取付けられた案内部材61の直動転 がり軸受62，62により両側が支承され、先端部にＶブロック63を取付けた位置決 め部材64と、テーブル１の上面に取付けられ、位置決め部材64を長手方向に位置 決め進退する空気圧シリンダ65と、空気圧シリンダ66によりＶブロック63に対向 して進退する押圧部材67と、テーブル１の上面に植設されたピン軸68a 回りで回 動自在に取付けられ、対象物Ｗを上面部で押える押え爪68，68とから構成されて いる。

【００１９】 なお、基台３上には、テーブル１の両側において、テーブル１及び可動テーパ 部材44の位置決め移動を妨害しないように工作物を加工する主軸頭や測定物を測 定する測定器（図示しない）を装着する枠体の脚部７，７が取付けられている。

【００２０】 上記の微細位置決めテーブルの操作・作用について説明する。 空気圧シリンダ65及び空気圧シリンダ66を作動して、位置決め部材64及び押圧 部材67を後退位置にする。そこで、対象物Ｗをテーブル１上で位置決め部材64の Ｖブロック63と押圧部材67との間に置く。そして、空気圧シリンダ65を作動して 位置決め部材64を案内部材61に沿って前進させ、所定の位置に位置決めする。対 象物Ｗの基準周面をＶブロック63に当接させ、空気圧シリンダ66を作動して押圧 部材67を前進させ、対象物ＷをＶブロック63に押圧固定し、更に押え爪68，68を 回動し、対象物Ｗの上面と係合する。かくして、対象物Ｗは、テーブル１上での 所定位置に位置決めされて固定される。

【００２１】 次いで、対象物Ｗの位置を微細に調節して位置決めするのに際し、Ｘ軸線方向 の位置調節には第１側面のテーブル位置調整装置４a を、Ｙ軸線方向の位置調節 には第２側面のテーブル位置調整装置４b を夫々操作する。その各操作・作用は 、同様であるので、テーブル位置調整装置４a の方を代表にして説明する。

【００２２】 テーブル１は、押圧部５の圧縮コイルばね53のばね力をもって直動転がり軸受 46を介してＸ軸線方向で可動テーパ部材44に押圧されている。 その状態で、制御装置からの入力に基づいてモータ49が継手を介してねじ軸48 を所定量回転駆動する。するとナット44c とのボールねじ機構により、可動テー パ部材44は、圧縮コイルばね47の伸縮を伴って断面コ字形の固定側部材、即ち基 台３に対しＹ軸線方向に所定量変位する。すると、可動テーパ部材44の楔作用に よりテーブル１は、押圧部５の圧縮コイルばね53の伸縮を伴って、Ｘ軸線方向に 変位する。

【００２３】 モータ49の回転角がボールねじ機構により縮小されて可動テーパ部材44の変位 量となり、可動テーパ部材44の変位量は、テーパにより更に縮小され、テーブル １のＸ軸線方向の変位量となる。 従って、テーブル１は、距離２ｄの範囲内で非常に微細にＸ軸線方向に位置調 節される。

【００２４】 可動テーパ部材44のＹ軸線方向変位は、その両面の直動転がり軸受45，46によ り円滑に行われ、テーブル１のＸ軸線方向変位は、第２側面のテーブル位置調整 装置４b の直動転がり軸受46、押圧部５のスラスト玉軸受54及び支承部２のスラ スト玉軸受によりに円滑に行われる。

【００２５】 上記のＸ軸線方向の位置調節と同様にしてテーブル位置調整装置４b によりＹ 軸線方向の位置調節が行われる。 かくして、テーブル１、即ち対象物は、基台３に対し２次元的に微細に位置決 めされる。

【００２６】

【考案の効果】

この考案による微細位置決めテーブルは、従来の技術における位置決めテーブ ルのようなＸ軸線方向に変位する部分ととＹ軸線方向に変位する部分とが別体で ある二重構造をとらないで、単層構造であるから剛性が高く、更にテーパ部材の 楔作用を利用した変位機構で縮小変位を行うので、高い縮小率で安定した位置調 節ができる。従って、テーブル上の対象物（工作物や測定物）に対する加工精度 や測定精度が高い。

【図面の簡単な説明】

【図１】この考案の実施例における微細位置決めテーブ
ルの平面図である。

【図２】図１のII−II線における断面図である。

【図３】図１のIII −III 線における断面図である。

【図４】従来の技術における位置決めテーブルの斜視図
である。

【符号の説明】

１ テーブル 12 第１側面 13 第２側面 14 第３側面 15 第４側面 ２ 支承部 ３ 基台 ４ テーブル位置調整装置 41 上面部材 42 側面部材 43 下面部材 44 可動テーパ部材 45，46，62 直動転がり軸受 47，53 圧縮コイルばね 48 ねじ軸 ５ 押圧部 52 押圧部材

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 基台に２次元変位が可能に支承されてい
   るテーブル、テーブルのＹ軸線方向の第１当接面及びそ
   れと直角方向のＸ軸線方向の第２当接面の夫々に沿って
   設けられたテーブル位置調整装置、並びに夫々のテーブ
   ル位置調整装置に対向してテーブルを押圧する押圧部か
   ら構成され、且つテーブル位置調整装置が、固定側部
   材、固定側部材に長手方向可動に案内支承され、固定側
   部材とテーブルの第１当接面及び第２当接面の夫々との
   間に嵌挿された可動テーパ部材、並びに可動テーパ部材
   の長手方向変位手段とから構成されている微細位置決め
   テーブル。