JPH05116307A - インクジエツト記録方法,インクジエツト記録ヘツドおよびインクジエツト記録装置 - Google Patents

インクジエツト記録方法,インクジエツト記録ヘツドおよびインクジエツト記録装置

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JPH05116307A
JPH05116307A JP3281615A JP28161591A JPH05116307A JP H05116307 A JPH05116307 A JP H05116307A JP 3281615 A JP3281615 A JP 3281615A JP 28161591 A JP28161591 A JP 28161591A JP H05116307 A JPH05116307 A JP H05116307A
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heater
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吉久 滝沢
Masanori Takenouchi
雅典 竹之内
Kazuhiro Nakajima
一浩 中島
Toshiji Inui
利治 乾
Katsuhiro Shirota
勝浩 城田
Hisao Yaegashi
尚雄 八重樫
Norio Okuma
典夫 大熊
Masashi Miyagawa
昌士 宮川
Akira Asai
朗 浅井
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    • B41PRINTING; LINING MACHINES; TYPEWRITERS; STAMPS
    • B41JTYPEWRITERS; SELECTIVE PRINTING MECHANISMS, i.e. MECHANISMS PRINTING OTHERWISE THAN FROM A FORME; CORRECTION OF TYPOGRAPHICAL ERRORS
    • B41J2/00Typewriters or selective printing mechanisms characterised by the printing or marking process for which they are designed
    • B41J2/005Typewriters or selective printing mechanisms characterised by the printing or marking process for which they are designed characterised by bringing liquid or particles selectively into contact with a printing material
    • B41J2/01Ink jet
    • B41J2/135Nozzles
    • B41J2/14Structure thereof only for on-demand ink jet heads
    • B41J2/14016Structure of bubble jet print heads
    • B41J2002/14169Bubble vented to the ambience

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  • Particle Formation And Scattering Control In Inkjet Printers (AREA)
  • Ink Jet Recording Methods And Recording Media Thereof (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】 熱エネルギーによってインク中に気泡を発生
させ、この気泡の生成に伴なってインクを吐出するイン
クジェット記録方式であって、吐出の際に上記気泡を外
気と連通させる方式において、安定した吐出量制御を可
能とする。 【構成】 ヒータ21にパルスを印加することにより発
生する熱により、(b)に示すようにこのヒータ21の
近傍に生じた気泡6は膨張して、(c)に示すように吐
出口5において外気と連通する。そして、(d)に示す
ように、インク滴7が吐出される。ここで、ヒータ21
より吐出口5側に存在していたインクはほぼインク滴7
となる。このような構成において、例えば、(e)に示
すように、ヒータ22にパルスを印加して吐出を行った
場合は、ヒータ22より吐出口5側にあるインクがほぼ
インク滴7として吐出され、この体積はヒータ21の場
合より大きなものとなる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、熱エネルギーを利用し
てインクを吐出するインクジェット記録方法,インクジ
ェット記録ヘッドおよびインクジェット記録装置に関す
る。
【0002】
【従来の技術】インク滴を吐出し、これを被記録媒体上
に付着させて画像形成を行なうインクジェット記録方法
は、高速記録が可能であり、また比較的記録品位も高
く、低騒音であるという利点を有している。さらに、こ
の方法はカラー画像記録が比較的容易であって、普通紙
等にも記録でき、さらに装置を小型化し易いといった多
くの優れた利点を有している。
【0003】このようなインクジェット記録方法を用い
る記録装置には、一般にインクを飛翔インク滴として吐
出させるための吐出口と、この吐出口に連通するインク
路と、このインク路の一部に設けられ、インク路内のイ
ンクに吐出のための吐出エネルギーを与えるエネルギー
発生手段とを有する記録ヘッドが備えられる。例えば、
特公昭61−59911号、特公昭61−59912
号、特公昭61−59913号、特公昭61−5991
4号の各公報には、エネルギー発生手段として電気熱変
換体を用い、電気パルス印加によってこれが発生する熱
エネルギーをインクに作用させてインクを吐出させる方
法が開示されている。
【0004】すなわち、上記各公報に開示されている記
録方法は、熱エネルギーの作用を受けたインクが急峻な
体積の増大を伴なう状態変化を起こし、この状態変化に
基づく作用力によって、記録ヘッド部先端の吐出口より
インクを吐出し、この吐出インク滴が被記録媒体に付着
して画像形成を行なうものである。この方法によれば記
録ヘッドにおける吐出口を高密度に配設することができ
るので、高解像度、高品質の画像を高速で記録すること
ができ、この方法を用いた記録装置は、複写機、プリン
タ、ファクシミリなどにおける情報出力手段として用い
ることができる。
【0005】他方、熱エネルギを使用するものの実現条
件は全くないインクジェット記録方法としては、特開昭
54−161935号公報に記載される方法がある。こ
の公報では、図1に示すように円筒状発熱体30によっ
て液室内のインク31をガス化させ(図1、(a))、
このガス32をインク滴33と共にインク吐出口より吐
出させる(図1(b),(c))。この方法によれば、
ガス32を吐出口または吐出口付近から微小滴状に噴出
させてしまい、画質は不良となる。この公報の気泡は核
沸騰による気泡形成であると認められる。
【0006】また同様の核沸騰である、例えば特開昭6
1−185455号公報は、図2に示すように、小開口
40を有する板状部材41と発熱体ヘッド42との微少
間隙部43に満たされた液状インク44を発熱体ヘッド
42によって加熱し(図2(a),(b))、発生した
バブル45によって小開口40からインク滴46を飛翔
させると共に、急速に核沸騰で体積増加しているバブル
45を形成していたガスをも小開口40から噴出させて
(図2(c))記録紙上に画像を形成するものである。
【0007】さらに、同様の核沸騰を開示する特開昭6
1−249768号公報には、図3に示すように液状イ
ンク50に熱エネルギーを作用させてかなり大型化した
気泡を形成し、気泡の膨張力に基づいてインク小滴58
を形成、飛翔させると同時に気泡を形成していたガスを
も大開口52から大気中に噴出させるインクジェット記
録装置が単純に記載されている。
【0008】しかしながら、上記特開昭54−1619
35号、同61−185455号、同61−24976
8号に共通する構成は、気泡を形成しているガスを微小
インク滴として主たるインク滴の吐出と共に大気中に噴
出させてしまうことである。この結果、このガスの噴出
によってガス化してインクがスプラッシュやミストなど
を生じ、その結果記録紙の地汚れとなったり、装置内の
汚れとなることがあった。
【0009】また、例えば特開昭61−197246号
公報には、従来の熱エネルギーを用いたインクジェット
記録方法を変形させた方法を用いる熱転写的記録装置に
関する記載がある。すなわち、この装置では、図4に示
すように、記録媒体60に設けられた複数の孔61によ
って保持されるインク62を、発熱素子63を有する記
録ヘッド64によって加熱し、インク滴65を被記録媒
体66に吐出する。この記録装置は単発的なインク吐出
であり、加えて記録媒体60と発熱素子63とを完全に
密着させることが困難であるため、従来の吐出口を有す
る記録ヘッドを用いたインクジェト記録方法に比べ、熱
効率が低下しやすく高速記録に適さないといった問題が
ある。
【0010】
【背景技術】以上説明したようなインクジェット記録方
式の問題点を解決するため、本出願人は、吐出のために
インクを加熱することにより生成される膜沸騰による気
泡を、吐出口近傍で外気に連通させて吐出を行うインク
ジェット記録方式(以下、この方式を連通吐出方式とも
言う)について提案した(特願平2−112832号,
特願平2−112833号,特願平2−112834
号,特願平2−114472号)。
【0011】上記連通吐出方式によれば、気泡を形成し
ているガスが吐出されるインク滴と共に噴出することは
ないので、スプラッシュやミストなどの発生を低減し、
被記録媒体上の地汚れや装置内の汚れを防ぐことができ
る。
【0012】また、上記連通吐出方式の基本的な作用と
して、気泡が生成される部位より吐出口側にあるインク
は原理的に全てインク滴となって吐出されるということ
がある。このため、吐出インク量は、吐出口から上記気
泡生成部位までの距離等、記録ヘッドの構造によって定
めることができる。この結果、上記連通吐出方式によれ
ば、インク温度の変化等の影響をそれ程受けずに吐出量
の安定した吐出を行うことが可能となる。
【0013】以下、図5〜図8を参照して上記連通吐出
方式について説明する。
【0014】図5(a)および(b)は、上記連通吐出
方式を適用して好適な記録ヘッドおよびその吐出方法を
示すものであり、この記録ヘッドの具体的インク路構成
の2例を示す。しかしながら、本発明はこの構成に限定
されないことは勿論である。
【0015】図5(a)に示すインク路構成は、基板
(不図示)上に発熱抵抗層(ヒータ)2を具え、この基
板に、隔壁や天板が設けられることによって、共通液室
Cやインク路Bが形成される。また、これとともにイン
ク路Bの端部に吐出口5が形成される。E1,E2は、
それぞれ、ヒータ2にパルス上の電気信号を印加するた
めの選択電極、共通電極を示す。さらにDは保護層であ
る。
【0016】電極E1,E2を介した、記録データに基
づく上記電気信号の印加に応じて、電極E1,E2間の
ヒータ2は、蒸気膜を生じる急激な温度上昇を短時間の
うちに発生し(約300℃)、これにより、気泡6が生
成される。この気泡6は成長し、やがて吐出口5におけ
る基板側の端部Aで大気と連通する。そして、この連通
後、安定した吐出インク滴(破線7)が形成される。
【0017】この吐出において、気泡6がその成長過程
でインク路Bを完全に遮断しない(インク路B内のイン
クが吐出口5から突出したインクと連続している)ので
後続の吐出に対するリフィルが速やかに行われること、
また、300℃以上の比較的高温となった気泡の熱も外
気に放出されること等によって大きな蓄熱の問題(蓄熱
によるインク粘性低下や気泡形成の不安定化)も生ぜ
ず、各ヒータの駆動デューティーを高くすることができ
る。
【0018】図5(b)は、共通液室Cを不図示として
いるが、インク路Bを屈曲した形状としているものであ
り、屈曲部の基板面に発熱抵抗部(ヒータ)2を具えて
いる。吐出口5は、吐出方向にその断面積を減少する形
状であり、ヒータ2に対向してその開口が設けられてい
る。この吐出口5はオリフィスプレートOPに形成され
る。
【0019】図5(b)においても、上記図5(a)の
構成と同様に蒸気膜(約300℃)を生じさせて気泡6
を生成する。この気泡の生成により、オリフィスプレー
トOPの厚み部分のインクを吐出方向に押しやり、その
部分のインクを希薄にする。その後、気泡6は、吐出口
5の外気側周縁A1から内部側の吐出口近傍領域A2の
範囲で大気と連通する。この時、気泡6の成長は、イン
ク路を遮断しないもので、吐出方向へ向かう必要のない
インクをインク路B内のインクと連続した連続体として
残すことができ、インク滴7の吐出量の安定化および吐
出速度の安定化を実現することができる。
【0020】このような連通吐出方式によれば、吐出口
近傍への気泡成長を急激にしかも確実に行うことができ
るので、上記非遮断状態のインク路によるリフィル性も
手伝って、高安定高速記録を達成できる。また、気泡と
大気とを連通させることによって、気泡の消泡過程が無
くなり、キャビテーションによるヒータや基板の損傷を
防止することもできる。
【0021】以上示したインク吐出に伴う気泡と大気と
の連通は基本的にヒータ2の配設位置を吐出口5に近づ
けることによって実現できる。しかしながら、上述した
スプラッシュ等の抑制や吐出量の安定化を確実なものと
する条件であって、上記図5(a)および(b)に示す
構成に適用されて好ましい条件を以下に挙げる。
【0022】第1条件は、気泡の内圧が外気圧より低い
条件で気泡を外気と連通させることである。
【0023】すなわち、気泡の内圧が外気圧より低い条
件で気泡を外気と連通させることによって、気泡の内圧
が外気圧より高い条件で連通させる場合に生じていたス
プラッシュ等の吐出口近傍におけるインク飛散を低減で
き、また、上記2つの圧力が等しい場合よりも、吐出時
の不安定なインクをインク路内に引き込む力がわずかで
はあるが働くため、より一層安定したインク吐出と不要
インクの飛散防止を図ることができる。
【0024】上記第1条件とは別の条件として、気泡の
吐出口側端部における移動速度の1次微分値が負となる
条件で気泡と外気とを連通させるという第2条件、ま
た、吐出エネルギー発生手段の吐出口側端部から気泡の
吐出口側端部までの距離La と吐出エネルギー発生手段
の吐出口とは反対側の端部から気泡の吐出口とは反対側
の端部までの距離Lb とがLa /Lb ≧lを満足する第
3条件、もしくは、その両方の条件を満足して気泡と外
気を連通させることはより好ましい。
【0025】図6〜図8を参照して、上記第1条件をさ
らに詳しく説明する。
【0026】発泡からの経過時間tと、気泡体積Vおよ
び気泡内圧力Pとの関係は図6のようになるが、実際に
は、気泡はその成長の途中で連通するので、これらの関
係は図7に示されるようになる。すなわち、図7におい
て、t=tb(t1≦tb:t1は気泡内圧力pが外気
の圧力と等しくなる時刻)の時刻で気泡は外気と連通す
る。上記第1条件は、このとき気泡内圧力Pが外気の圧
力(OATM)より小さいという条件である。
【0027】この条件でインクを吐出させると、気泡内
圧力Pが外気圧より高い条件で気泡を外気と連通させて
インク滴を吐出させる(ガスが大気中に噴出する)場合
に比べ、前述したようにインクのミストやスプラッシュ
による記録紙や装置内の汚れを防止できる。また、この
ように気泡内圧力Pを大気圧より小さくして連通させる
場合、気泡の体積が比較的増大させてから気泡を外気と
連通させることができる。これにより、インクに対して
十分な運動エネルギーを伝達することができ、吐出速度
が大きくなるという効果も得られる。
【0028】上記第1条件を満たす記録ヘッドは、例え
ば図5(a)においてヒータ2の位置を吐出口5の方向
に近づけた位置に設けてある。これは気泡を外気と連通
させるために最も簡便にとれる手法である。しかしなが
ら、単にヒータ2を吐出口5に近づけるだけでは、上記
第1条件を満たすことができない。すなわち、上記条件
を満たすためには、ヒータの発生する熱エネルギー量
(ヒータの構成、形成材料、駆動条件、面積、ヒータの
設けられる基体の熱容量等に依る)、インク物性、記録
ヘッドの各部の大きさ(吐出口とヒータ間の距離、吐出
口や液路の幅および高さ)などを適切に設定することに
より、第1条件を満たす状態で外気と連通させることが
できる。
【0029】具体的には、例えばインク路形状は以下の
ように、気泡と大気との連通に寄与する。すなわち、イ
ンク路形状は、使用する熱エネルギー発生素子の形状に
よって幅がほぼ決定されてくるものの、具体的関係につ
いては経験則によって設定することが多い。しかしなが
ら、インク路の高さが、気泡の上記大気との連通の条件
に影響を与えることが明らかとなっている。従って、環
境等の外部の影響を受けにくく、またより一層の安定し
た気泡と大気との連通を行うためには、インク路の幅W
よりもインク路の高さHを低く(H>W)することが好
ましい。
【0030】また、例えば、連通する時刻を気泡の体積
でみれば、気泡が外気と連通しない場合に達するであろ
う気泡の最大体積、もしくは最大体積の70%以上、よ
り好ましくは80%以上の体積のときに気泡が外気と連
通するようにすることが好ましい。
【0031】次に、上記第1条件の別表現である上述の
第2条件、すなわち、気泡の膨張速度の1次微分が負と
なるとき気泡と外気とを連通させるという条件について
説明する。
【0032】インクが発泡を開始してから気泡が外気と
連通するまでの時間における気泡体積Vおよび気泡内圧
力Pの変化および気泡膨張速度dV/dtの変化を図8
に示す。
【0033】この図より、膨張速度の1次微分、すなわ
ち、体積Vの2次微分d2 V/dt2 を求めることによ
ってバブルの内圧と外圧との大小関係を知ることができ
る。すなわち、d2 V/dyt2 >0の期間で気泡の膨
張速度dV/dtは増加し、d2 V/dt2 <0で速度
dV/dtは減少する。従って、d2 V/dt2 =0の
ときに気泡内圧力Pと外気圧とが等しくなるといえる。
すなわち、d2 V/dt2 >0で、気泡内圧力Pは外圧
よりも高く、d2 V/dt2 ≦0のとき気泡内圧力Pは
外圧以下である。
【0034】図8で説明すると、発泡開始t=t0 より
t=t1 までは、気泡内圧力Pは、外気圧よりも高くd
2 V/dt2 >0となり、t=t1 より気泡が外気と連
通するまでの時間t=tb までは気泡の内圧は外気圧以
下であり、d2 V/dt2 ≦0となる。通常は、この一
般的理論が成立するが、インクの材質によってあるいは
インク路の抵抗によっても気泡体積の変化が生じるの
で、外気圧との関係はわずかに差を生じる場合がある。
このため第1条件以外の条件としてd2 /V/dt2
0を満足することは好ましく、また、第1条件とこの第
2条件との和は、より好ましいものとなる。
【0035】以上のように、体積Vの2次微分d2 V/
dt2 <0、すなわち膨張速度の1次微分が負のとき、
気泡が外気と連通することにより、気泡内圧力が外気圧
より低い条件で連通することができる。
【0036】上記第2条件によれば、気泡と外気との連
通時に連通部近傍にあるインクがインクを吐出するため
に過度に加速度を受けるために主インク滴と分離してし
まうといったことを解決することもできる。上記分離が
生じた場合、その近傍のインクがスプラッシュ状に飛び
散ったり、ミストとなって飛散することが顕著となり、
しかも高密度の吐出口配置では吐出口面へのインクの付
着による吐出不良を招くことがあるが、これを上記第2
条件によって解決することができる。
【0037】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記連通吐
出方式に改良を加え、簡便に吐出インク体積を制御可能
であり、例えば良好な階調記録を行うことができるイン
クジェット記録方法,インクジェット記録ヘッドおよび
インクジェット記録装置を提供することを目的とする。
【0038】
【課題を解決するための手段】そのために本発明では、
インクを吐出するための吐出口と、該吐出口に連通する
インク路とを具えた記録ヘッドを用い、前記吐出口から
インクを吐出するためのインクジェット記録方法におい
て、前記インク路において配列する複数の熱エネルギー
作用部のインクに、選択的に熱エネルギーを作用するこ
とにより、当該作用部に気泡を生成させる工程と、該工
程による前記気泡の生成に基づいて前記吐出口よりイン
クを吐出する過程で、当該気泡を前記吐出口において外
気と連通させる工程と、を有したことを特徴とする。
【0039】また、インクを吐出する他の吐出口と、該
吐出口に連通するインク路と、該インク路において配列
する複数の熱エネルギー作用部と、を具え、前記複数の
熱エネルギー作用部のインクに、選択的に熱エネルギー
を作用することにより、当該作用部に気泡を生成させ、
該気泡の生成に基づいて前記吐出口よりインクを吐出す
る過程で、当該気泡を前記吐出口において外気と連通さ
せて吐出を行うために用いられることを特徴とする。
【0040】さらに、インクを吐出するための吐出口
と、該吐出口に連通するインク路とを具えた記録ヘッド
を用いた前記吐出口からインクを吐出して記録を行うイ
ンクジェット記録装置において、前記インク路において
配列する複数の熱エネルギー作用部のインクに、選択的
に熱エネルギーを作用することにより、当該作用部に気
泡を生成させるための熱エネルギー作用手段、を具え、
前記気泡の生成に基づいて前記吐出口よりインクを吐出
する過程で、当該気泡を前記吐出口において外気と連通
させることを特徴とする。
【0041】
【作用】以上の構成によれば、選択的に熱エネルギーが
作用される、ヒータ等の熱エネルギー作用部から吐出口
までにあるインクはほぼインク滴として吐出される。こ
れにより、熱エネルギーを作用させる作用部の選択に応
じて、吐出インク量を制御することができる。
【0042】
【実施例】以下、図面を参照して本発明の実施例を詳細
に説明する。
【0043】図9は本発明のインクジェット記録方式を
説明するための記録ヘッド要部の模式的断面図である。
【0044】この記録ヘッドは、吐出口5に連通するイ
ンク路12において、その吐出方向に沿ってヒータを3
つ直列に(各ヒータはそれぞれ単独の発泡で形成した気
泡を外気に連通できるものであり、吐出口5の近傍にあ
る)配置(吐出口5に近いヒータからヒータ21,ヒー
タ22,ヒータ23とする)にしたものである。
【0045】図9(a)は発泡前の状態を示すものであ
る。この状態において、まず、ヒータ21に瞬間的に電
流を流しパルス的にヒータ近傍のインクを加熱すると、
インクは膜沸騰を起こし、勢いよく気泡6が発生し、膨
張を始める(図9(b))。気泡6は膨張を続け、特
に、インクによる慣性のより小さい吐出口5側へ成長
し、吐出口5から突き抜け外気と連通する(図9
(c))。このとき、気泡6より吐出口5側にあるイン
クは、この瞬間までに気泡6から与えられた運動量のた
めに前方へ吐出され、やがて独立な液滴7となって紙等
の被記録媒体へ飛翔する(図9(d))。これによって
吐出口5側先端部に生じた空隙には、後方のインクの表
面張力とインク路壁との濡れによって新たなインクが満
たされ、吐出前の状態に戻る。
【0046】このとき、吐出するインク滴7の体積は、
気泡6が外気と連通する本発明の方式にあっては、ヒー
タより吐出口側のインクに対して十分な運動エネルギー
を伝達することができるため、ヒータ21から吐出口5
までのインクのほぼ全てに相当することになる。従っ
て、ヒータ22に電流を流し気泡を発生させた場合に
は、同様に吐出するインク滴の体積は、ヒータ22から
吐出口5までのインクの体積のほぼ全量に相当すること
になる(図9(e))。同様に、ヒータ23に電流を流
し気泡を発生させた場合には、ヒータ23から吐出口5
までのインクのほぼ全量が吐出することになる(図9
(f))。
【0047】このように、駆動するヒータを記録情報に
応じて適宜選択することにより、吐出する液滴の体積を
変化させることができる。また、上記の場合、吐出する
インク滴の体積は、インク路12等の幾何学的な構造に
よって決まるので、周囲環境温度の変化やインク物性に
依存せず、常に安定した吐出体積を維持することが可能
となる。
【0048】一方、図10は、吐出の際に気泡が外気と
連通しない従来のインクジェット記録方式を示したもの
である。
【0049】この方式の記録ヘッドは、図9に示す構造
と同様に吐出口5に連通するインク路12に沿ってヒー
タを3つ直列に配置(吐出口5に近いヒータからヒータ
21,ヒータ22,ヒータ23とする)したものである
が、図9の本発明に用いたものとは、特にそれぞれのヒ
ータから吐出口5までの長さが異なるものである。すな
わち、この長さは図9に示すものより長く設定され、気
泡の連通は生じないようになっている。
【0050】図10(a)は発泡前の状態を示すもので
ある。まず、ヒータ21に瞬間的に電流を流し、パルス
的にヒータ近傍のインクを加熱すると、インクは膜沸騰
を起こし、勢いよく気泡61を発生させ膨張を始める
(図10(b))。この気泡61は膨張を続けるが、吐
出口5まで達することはなく、やがて気泡内圧力が減少
し、外気との圧力差により収縮を開始する。このとき吐
出口5から突出しているインク柱は、気泡61の消泡に
よって引き戻される部分とインク滴となる部分とに分離
される(図10(c),(d))。
【0051】このとき、駆動するヒータを適宜選択する
ことにより、多少インク滴体積を変化させることは可能
となるが(図10(e),(f))、上記インク滴の形
成、すなわち、消泡によって引き戻される部分とインク
滴となる部分とに分離されることによりインク滴体積が
決定されるため、インク滴体積の可変範囲が狭く、ま
た、周囲環境温度の変化やインク物性、その他外部因子
によって分離位置が変わるため、インク滴体積が変化し
てしまい、吐出インク滴の体積の制御が比較的困難であ
る。このように、図9と図10の比較から、本発明の優
れた効果が理解できよう。
【0052】なお、本発明の記録方式を実施する場合に
おいては、図9のヒータ22から吐出口5までのインク
を吐出させる場合、前記説明ではヒータ22のみを駆動
するものとした。しかし、気泡を外気と連通しやすくす
るため、吐出口5側のヒータ21もヒータ22と同時、
あるいは適宜タイミングをずらして(気泡の吐出口側へ
の膨張に応じて)駆動してもよい。従って、同様に、例
えばヒータ23から吐出口5までのインクを吐出する場
合には、ヒータ23だけでなくヒータ21、あるいはヒ
ータ21およびヒータ22双方とも適宜駆動してもよ
い。この場合は、吐出口側のヒータ程後に発泡させる方
が好ましい。
【0053】また、以上では、吐出口に連通するインク
路に沿ってヒータを3つ直列に配置した場合について説
明したが、本発明はこのような実施態様に限定されるも
のではなく、ヒータを2つ以上いくつ並べてもよい。さ
らに、上記説明では、可変可能なインク滴の体積はヒー
タの個数に依存することになっているが、すなわち、ヒ
ータが3つの場合には4値の階調記録が可能となってい
るが、生起した気泡の外気への連通効率を上げるため、
必要に応じてヒータの個数を増やしてもよい。すなわ
ち、4値の記録を行う場合であっても、ヒータを4個以
上直列に並べて適宜選択駆動して用いてもよい。
【0054】本発明は、複数ヒータ(独立して発熱部を
駆動できるものすべてを含む)を用いて気泡連通吐出方
式を達成するものであればすべてを含むものであり、少
なくとも吐出口側最近接の発熱部の気泡が外気と連通す
るものであれば、他の発熱部の気泡は単独で外気と連通
するものでなくて良い。この場合、複数ヒータ駆動にお
いて必ず吐出口側最近接の発熱部の気泡形成は必須とな
るが、階調数は他の複数ヒータの任意の組合せによる吐
出体積の変更により他の複数ヒータの数よりも多くなる
ことは利点である。
【0055】膜沸騰による気泡は、断熱膨張による成長
段階では隣接する気泡が互いに連通しないため、形成し
た気泡に対応して吐出量を得ることができ、連通時の気
泡内圧力の変化を防止できるので好ましいものである。
本発明技術思想に含まれるような互いの気泡が連通する
構成の場合は、気泡成長が互いの干渉を呼び、不安定に
なる場合があるものの、階調は従来より優れている。
【0056】以上説明したように、本発明は、ヒータ等
の熱エネルギー作用部において生起した気泡を吐出口に
おいて外気と連通させてインク滴を吐出する方式である
ため、吐出するインク滴の体積は、熱エネルギーに作用
部から吐出口までの幾何学的な寸法によって決定され
る。従って、記録時の環境の変化やインク物性に依存す
ることなく、常に安定したインク滴の体積の制御が可能
となる。この結果、階調や記録画像における部分的な濃
度の制御を安定して行うことが可能となる。
【0057】また、本発明にかかる上記気泡連通吐出方
式により、インクミストの発生を完全に抑え、かつ、気
泡の外気との連通効率を上げるためには、より好ましく
は、例えば「背景技術」の項で説明した本件1〜3のい
ずれかの条件で気泡を外気と連通させ吐出することが好
ましい。
【0058】以下、本発明のインクジェット方式に基づ
く具体的実施例を詳しく説明する。
【0059】<実施例1>図11に示す記録ヘッドを用
いて記録を行った。
【0060】この記録ヘッドは、基板1上に各インク路
12を隔てるように形成された隔壁8と、隔壁8に接合
するガラスの透明天板4と、各インク路12内の基板1
上に直列に形成された3つのヒータ(吐出口5に近い方
からそれぞれ符号21,22,23で示される)より構
成されている。3つのヒータ21,22,23は図示し
ない電極によって画像信号に応じて適宜選択して通電さ
れる。ヒータ21,22,23を有し、吐出口5に連通
する各インク路12のサイズは、高さが20μm,幅が
30μmであり、また、ヒータ21のサイズは幅25μ
m×長さ7μm、ヒータ22のサイズは幅25μm×長
さ10μm、ヒータ23のサイズは幅25μm×長さ2
0μmであって、吐出口5よりより離れたヒータ程、そ
の長さを長くしてある。それぞれのヒータ単独の加熱に
よって生じる気泡が十分に連通できるようにするためで
ある。ヒータ21の位置はその吐出口側の端から吐出口
5までの長さが5μmであり、ヒータ22の位置は、そ
の吐出口側の端から吐出口5までの長さが17μmであ
り、ヒータ23の位置はその吐出口側の端から吐出口5
までの長さが33μmである。また、1インチあたり3
60個の密度で48個のインク路を配置した。
【0061】この記録ヘッドに、 C.I.フードブラック2 3.0重量% ジエチレングリコール 15.0重量% N−メチル−2−ピロリドン 5.0重量% イオン交換水 77.0重量% よりなる各配合成分を容器中で撹拌し、均一に混合溶解
させた後、孔径0.45μmのポリフッ化エチレン系繊
維よりなるフィルタで濾過して得た粘度2.0cps
(20℃)のインクをインク供給口11より液室10に
供給し吐出を試みた。
【0062】まず、記録ヘッドのヒータ21のみを駆動
した。駆動条件は、駆動パルスの電圧9.0V、パルス
幅2.5μsecとし、このパルスを駆動周波数2kH
zで印加した。
【0063】連続する16個の吐出口よりインクを吐出
させた状況をパルス光源と顕微鏡を用い観察したとこ
ろ、発泡開始より約2μsec後に気泡が外気と連通し
ている様子が確認された。さらに独立した吐出インク滴
の体積は各ノズルとも5±1plの範囲に収まった。
【0064】次に、記録ヘッドのヒータ22を、9.0
V,2.5μsecのパルスで2kHzで駆動した。こ
の条件で連続する16個の吐出口よりインクを吐出させ
た状況をパルス光源と顕微鏡を用い観察したところ、発
泡開始より約2μsec後に気泡が外気と連通している
様子が確認された。さらに独立した吐出インク滴の体積
は各ノズルとも14±1plの範囲に収まった。
【0065】次に、記録ヘッドのヒータ23を、9.0
V,2.5μsecのパルスで2kHzで駆動した。連
続する16個の吐出口よりインクを吐出させた状況をパ
ルス光源と顕微鏡を用い観察したところ、発泡開始より
約2μsec後に気泡が外気と連通している様子が確認
された。さらに独立した吐出インク滴の体積は各ノズル
とも26±1plの範囲に収まった。
【0066】以上のように駆動するヒータを選択するこ
とにより、吐出するインク滴体積を変化させることが確
認できた。
【0067】<実施例2>図11に示す記録ヘッドと同
様のものを用いて記録を行った。
【0068】この記録ヘッドは、インク路12の寸法は
高さが20μm,幅が30μmであり、ヒータ21のサ
イズは幅25μm×長さ10μm、ヒータ22のサイズ
は幅25μm×長さ10μm、ヒータ23のサイズは幅
25μm×長さ20μmであって、長さは3つのヒータ
とも等しい。ヒータ21の位置はその吐出口側から吐出
口5までの長さが5μmであり、ヒータ22の位置は、
長さが20μmであり、ヒータ23位置は、同様の長さ
が35μmである。また、1インチあたり360個の密
度で48個のインク路を配置した。
【0069】この記録ヘッドで、まず、ヒータ21のみ
を駆動した。その条件は、9.0V、2.5μsecの
パルスとし、これを2kHzで駆動した。連続する16
個の吐出口よりインクを吐出させた状況をパルス光源と
顕微鏡を用い観察したところ、発泡開始より約2μse
c後に気泡が外気と連通している様子が確認された。さ
らに独立した吐出インク滴の体積は各ノズルとも6±1
plの範囲に収まった。
【0070】次に、ヒータ22を加熱し、ヒータ21を
1μm遅らせて駆動した。その条件はいずれも9.0
V,2.5μsecのパルスとし、2kHzで駆動し
た。これを連続する16個の吐出口よりインクを吐出さ
せた状況をパルス光源と顕微鏡を用い観察したところ、
ヒータ22による発泡開始より約3μsec後に気泡が
外気と連通している様子が確認された。さらに独立した
吐出インク滴の体積は各吐出口とも15±1plの範囲
に収まった。
【0071】次に、ヒータ23を駆動し、次いでヒータ
22を1μsecタイミングを遅らせて駆動し、さらに
ヒータ21をさらに1μsecタイミングを遅らせて駆
動した。駆動条件はいずれも、9.0V,2.5μse
cのパルスとし、2kHzで駆動した。連続する16個
の吐出口よりインクを吐出させた状況をパルス光源と顕
微鏡を用い観察したところ、ヒータ23による発泡開始
より約4μsec後に気泡が外気と連通している様子が
確認された。さらに独立した吐出インク滴の体積は各ノ
ズルとも28±1plの範囲に収まった。
【0072】なお、以上のように複数のヒータを駆動し
て連通,吐出を行う場合、ヒータのサイズをいずれも等
しいものとすることができる。
【0073】以上のように駆動するヒータを選択するこ
とにより、吐出する液滴体積を変化させることが確認で
きた。
【0074】<比較例1>図11に示す記録ヘッドと同
様のものを用いて吐出を行った。
【0075】この記録ヘッドは、インク路12の寸法が
高さが20μm,幅が30μm、ヒータ21のサイズが
幅25μm×長さ60μm、ヒータ22のサイズが幅2
5μm×長さ60μm、ヒータ23のサイズが幅25μ
m×長さ60μmである。ヒータ21は、その吐出口側
から吐出口5までの長さが、上記実施例1,2の場合よ
り長く80μmであり、ヒータ22の位置は、同様の長
さが170μmであり、ヒータ23位置は同様の長さが
270μmである。また、1インチあたり360個の密
度で48個のインク路を配置した。
【0076】まず、ヒータ21のみを駆動した。その条
件は、9.0V、2.5μsecのパルスとし、これを
2kHzで駆動した。連続する16個の吐出口よりイン
クを吐出させた状況をパルス光源と顕微鏡を用い観察し
たところ、気泡は外気と連通せず、消泡している様子が
確認された。さらに独立した吐出インク滴の体積は各吐
出口とも18plであった。
【0077】次に、ヒータ22を駆動し、ヒータ21を
1μsecタイミングを遅らせて駆動した。駆動条件は
いずれも9.0V,2.5μsecのパルスとし、2k
Hzで駆動した。連続する16個の吐出口よりインクを
吐出させた状況をパルス光源と顕微鏡を用い観察したと
ころ、気泡が外気と連通せず、消泡している様子が確認
された。さらに独立した吐出インク滴の体積は各吐出口
とも約20plであった。
【0078】さらに、ヒータ23を駆動し、次いでヒー
タ22を1μsecタイミングを遅らせて駆動し、さら
にヒータ21をさらに1μsecタイミングを遅らせて
駆動した。駆動条件はいずれも、9.0V,2.5μs
ecのパルスとし、2kHzで駆動した。連続する16
個の吐出口よりインクを吐出させた状況をパルス光源と
顕微鏡を用い観察したところ、気泡は外気と連通せず、
消泡している様子が確認された。さらに独立した吐出イ
ンク滴の体積は各吐出口とも約21plであった。
【0079】以上のように、連通吐出方式でない場合に
は、駆動するヒータを適宜選択してもインク滴体積の大
きな変化は実現できなかった。
【0080】図12は上記実施例1,2の記録を実施可
能なインクジェット記録装置の要部を示す概略斜視図で
ある。
【0081】図12において、記録ヘッド101は、そ
の記録紙107と対向する面に、記録紙107の搬送方
向に48個のインク吐出口(不図示)を具える。また、
記録ヘッド101には、この48個の吐出口それぞれに
連通してインク路(不図示)が設けられ、それぞれのイ
ンク路に対応して、記録ヘッド101を構成する基板に
インク吐出のための熱エネルギーを発生する3つのヒー
タがそれぞれ形成されている。これらヒータは、上述の
ように、記録データに応じてこれに印加される電気パル
スによって熱を発生し、これにより、インクに沸騰膜を
生じこの沸騰膜による気泡の生成に伴なって、この気泡
が外気と連通しながら上記吐出口から気泡が連通すると
ともにインクが吐出される。各インク路には、これらに
共通に連通する共通液室が設けられており、これに貯留
されるインクは、各インク路での吐出動作に応じてその
インク路に供給される。
【0082】キャリッジ102は、記録ヘッド101を
搭載し、また、記録紙107の記録面と平行に延在する
1対のガイドレール103と摺動可能に係合する。これ
により、記録ヘッド101は、ガイドレール103に沿
って移動することができ、この移動に伴なって所定のタ
イミングで上記記録面に向けてインクを吐出することに
より記録を行う。上記移動の後、記録紙107を、図中
矢印方向に所定量搬送し、再び上記移動を行い記録を行
う。このような動作を繰り返すことにより、記録紙10
7に、順次記録を行っていく。
【0083】上述した記録紙107の搬送は、その記録
面の上下にそれぞれ配設された各々1対の搬送ローラ1
04および105が回転することによって行われる。ま
た、記録紙107の記録面の裏側には、記録面の平面性
を保つためのプラテン106が配設されている。
【0084】なお、上述したキャリッジ102の移動
は、これに取付けられる不図示の例えばベルトがモータ
によって駆動されることによって可能となり、また、搬
送ローラ104および105の回転も同様にモータの回
転がこれらに伝達されることによって可能となる。
【0085】図13は、図12に示したインクジェット
記録装置の制御構成を示すブロック図である。
【0086】図13において、CPU200はこの装置
各部動作の制御処理やデータ処理等を実行する。ROM
200Aには、その処理手順等が格納され他、上述した
ヒータ21,22,23それぞれの駆動パルスデータが
格納される。また、RAM200Bは上記処理実行のワ
ークエリアとして用いられる。
【0087】記録ヘッド101におけるインク吐出は、
CPU200がヒータを駆動するための記録データおよ
び駆動制御信号をヘッドドライバ101Aに供給するこ
とにより行われる。また、CPU200は、上記キャリ
ッジ102を移動させるためのキャリッジモータ220
や搬送ローラ104,105を回転させるための紙送り
(P.F)モータ50の回転を、それぞれモータドライ
バ220Aおよび50Aを介して制御する。
【0088】なお、本発明を実施するにあたっては、本
発明の一特徴を構成する気泡連通吐出方式、すなわち、
インク吐出のために気泡が生成する過程で、気泡が吐出
口において外気と連通する方式が用いられるが、さらに
本発明が好適に実施されるには、上記「背景技術」の項
で説明した条件1〜3および気泡がその生成過程におい
て外気と連通するまではインク路を遮断しない(気泡の
生成によって吐出口より突出したインク塊は、インク路
内のインクと連続している)という条件を満たすことが
望ましい。
【0089】また、気泡を生成するための熱エネルギー
発生手段としては、上記実施例で示した電気熱変換体
(ヒータ)以外に、例えばレーザ光を用いることもでき
る。
【0090】(その他)なお、記録装置が記録できる記
録媒体の最大幅に対応した長さを有するフルラインタイ
プの記録ヘッドに対しても本発明は有効に適用できる。
そのような記録ヘッドとしては、複数記録ヘッドの組合
せによってその長さを満たす構成や、一体的に形成され
た1個の記録ヘッドとしての構成のいずれでもよい。
【0091】加えて、図12に示したシリアルタイプの
ものでも、装置本体に固定された記録ヘッド、あるいは
装置本体に装着されることで装置本体との電気的な接続
や装置本体からのインクの供給が可能になる交換自在の
チップタイプの記録ヘッド、あるいは記録ヘッド自体に
一体的にインクタンクが設けられたカートリッジタイプ
の記録ヘッドを用いた場合にも本発明は有効である。
【0092】また、本発明の記録装置の構成として、記
録ヘッドの吐出回復手段、予備的な補助手段等を付加す
ることは本発明の効果を一層安定できるので、好ましい
ものである。これらを具体的に挙げれば、記録ヘッドに
対してのキャッピング手段、クリーニング手段、加圧或
は吸引手段、電気熱変換体或はこれとは別の加熱素子或
はこれらの組み合わせを用いて加熱を行う予備加熱手
段、記録とは別の吐出を行なう予備吐出手段を挙げるこ
とができる。
【0093】また、搭載される記録ヘッドの種類ないし
個数についても、例えば単色のインクに対応して1個の
みが設けられたものの他、記録色や濃度を異にする複数
のインクに対応して複数個数設けられるものであっても
よい。すなわち、例えば記録装置の記録モードとしては
黒色等の主流色のみの記録モードだけではなく、記録ヘ
ッドを一体的に構成するか複数個の組み合わせによるか
いずれでもよいが、異なる色の複色カラー、または混色
によるフルカラーの各記録モードの少なくとも一つを備
えた装置にも本発明は極めて有効である。
【0094】さらに加えて、本発明インクジェット記録
装置の形態としては、コンピュータ等の情報処理機器の
画像出力端末として用いられるものの他、リーダ等と組
合せた複写装置、さらには送受信機能を有するファクシ
ミリ装置の形態を採るもの等であってもよい。
【0095】
【発明の効果】以上の説明から明らかなように本発明に
よれば、選択的に熱エネルギーが作用される、ヒータ等
の熱エネルギー作用部から吐出口までにあるインクはほ
ぼインク滴として吐出される。これにより、熱エネルギ
ーを作用させる作用部の選択に応じて、吐出インク量を
制御することができる。
【0096】この結果、階調記録や部分的な濃度制御等
を良好にかつ安定して行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】インク吐出方法の一従来例を説明するための記
録ヘッドの模式的断面図である。
【図2】インク吐出方法の他の従来例を説明するための
記録ヘッドの模式的断面図である。
【図3】インク吐出方法のさらに他の従来例を説明する
ための記録ヘッドの模式的断面図である。
【図4】インク吐出方法のさらに他の従来例を説明する
ための記録ヘッドの模式的断面図である。
【図5】(a)および(b)は、それぞれ本発明を適用
して好適な記録ヘッドおよびその吐出方法を説明するた
めの記録ヘッドの要部断面図である。
【図6】本発明の吐出方法にかかる気泡内圧力および気
泡体積の変化を示す線図である。
【図7】本発明の吐出方法にかかる気泡内圧力、気泡体
積および気泡膨張速度の変化を示す線図である。
【図8】本発明の吐出方法にかかる気泡内圧力、気泡体
積および気泡膨張速度の変化を示す線図である。
【図9】本発明のインクジェット記録方式を説明するた
めの記録ヘッド要部の模式的断面図である。
【図10】従来記録方式との比較を説明するための記録
ヘッド要部の模式的断面図である。
【図11】(a)および(b)は本発明の実施例に用い
られる記録ヘッドのそれぞれ分解斜視図および上面図で
ある。
【図12】本発明の上記各実施例を実施可能なインクジ
ェット記録装置の概略斜視図である。
【図13】図12に示した装置の制御構成の一例を示す
ブロック図である。
【符号の説明】
1 基板 4 天板 5 吐出口 6,61,62,63 気泡 7 インク滴 8 隔壁 10 液室 11 インク供給口 12 インク路 21,22,23 ヒータ 101 記録ヘッド 200 CPU 200A ROM 200B RAM
フロントページの続き (72)発明者 乾 利治 東京都大田区下丸子3丁目30番2号 キヤ ノン株式会社内 (72)発明者 城田 勝浩 東京都大田区下丸子3丁目30番2号 キヤ ノン株式会社内 (72)発明者 八重樫 尚雄 東京都大田区下丸子3丁目30番2号 キヤ ノン株式会社内 (72)発明者 大熊 典夫 東京都大田区下丸子3丁目30番2号 キヤ ノン株式会社内 (72)発明者 宮川 昌士 東京都大田区下丸子3丁目30番2号 キヤ ノン株式会社内 (72)発明者 浅井 朗 東京都大田区下丸子3丁目30番2号 キヤ ノン株式会社内

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 インクを吐出するための吐出口と、該吐
    出口に連通するインク路とを具えた記録ヘッドを用い、
    前記吐出口からインクを吐出するためのインクジェット
    記録方法において、 前記インク路において配列する複数の熱エネルギー作用
    部のインクに、選択的に熱エネルギーを作用することに
    より、当該作用部に気泡を生成させる工程と、 該工程による前記気泡の生成に基づいて前記吐出口より
    インクを吐出する過程で、当該気泡を前記吐出口におい
    て外気と連通させる工程と、を有したことを特徴とする
    インクジェット記録方法。
  2. 【請求項2】 前記複数の熱エネルギー作用部のインク
    に対する選択的な前記熱エネルギーの作用は、当該選択
    された作用部相互に作用のタイミングが異なることを特
    徴とする請求項1記載のインクジェット記録方法。
  3. 【請求項3】 前記連通時に前記インク路は前記気泡で
    遮断されていないことを特徴とする請求項1に記載のイ
    ンクジェット記録方法。
  4. 【請求項4】 前記連通時は、前記気泡の内圧が外気圧
    以下の条件で前記気泡を外気と連通させることを特徴と
    する請求項1または3に記載のインクジェット記録方
    法。
  5. 【請求項5】 前記連通時は、前記気泡の吐出方向先端
    部の移動速度の加速度が正でない条件で前記気泡を外気
    と連通させることを特徴とする請求項1ないし4のいず
    れかに記載のインクジェット記録方法。
  6. 【請求項6】 前記熱エネルギー発生手段は平面状をな
    し、当該平面の吐出口側端部と前記気泡の吐出口側端部
    との距離Laは前記平面の吐出口側とは反対側の端部と
    前記気泡の吐出口側とは反対側の端部との距離Lbに対
    して、La/Lb≧1なる条件下で、前記気泡を前記吐
    出口において外気と連通させることを特徴とする請求項
    1ないし5のいずれかに記載のインクジェット記録方
    法。
  7. 【請求項7】 インクを吐出する他の吐出口と、 該吐出口に連通するインク路と、 該インク路において配列する複数の熱エネルギー作用部
    と、 を具え、前記複数の熱エネルギー作用部のインクに、選
    択的に熱エネルギーを作用することにより、当該作用部
    に気泡を生成させ、該気泡の生成に基づいて前記吐出口
    よりインクを吐出する過程で、当該気泡を前記吐出口に
    おいて外気と連通させて吐出を行うために用いられるこ
    とを特徴とするインクジェット記録ヘッド。
  8. 【請求項8】 インクを吐出するための吐出口と、該吐
    出口に連通するインク路とを具えた記録ヘッドを用いた
    前記吐出口からインクを吐出して記録を行うインクジェ
    ット記録装置において、 前記インク路において配列する複数の熱エネルギー作用
    部のインクに、選択的に熱エネルギーを作用することに
    より、当該作用部に気泡を生成させるための熱エネルギ
    ー作用手段、を具え、前記気泡の生成に基づいて前記吐
    出口よりインクを吐出する過程で、当該気泡を前記吐出
    口において外気と連通させることを特徴とするインクジ
    ェット記録装置。
  9. 【請求項9】 前記選択的な熱エネルギーの作用は、吐
    出しようとする吐出量に応じてなされることを特徴とす
    る請求項8記載のインクジェット記録装置。
  10. 【請求項10】 前記複数の熱エネルギー作用部のイン
    クに対する選択的な前記熱エネルギーの作用は、当該選
    択された作用部相互に作用のタイミングが異なることを
    特徴とする請求項8または9に記載のインクジェット記
    録装置。
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