JPH0510112U - 車両用蓄電池の固定構造 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 本考案は、車両用蓄電池の脱着の際の作業性
を改善し、且つ確実に車体に固定することのできる車両
用蓄電池の固定構造を提供することを目的とする。 【構成】 本考案の車両用蓄電池の固定構造は、車両に
固設される突出縁固定ブラケット９によって車両用蓄電
池１の一側の下端縁を支持し、この突出縁固定ブラケッ
ト９と対向する車両用蓄電池１の側面側に設けられる取
付ブラケット１１の一側端を車両に固定すると共に、他
側端を当該車両用蓄電池１の負極側ターミナル３Ａに着
脱自在に固設することにより当該車両用蓄電池１を車両
に固定することを特徴とする。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は、車両用蓄電池の車両への着脱を容易かつ確実にする車両用蓄電池の 固定構造に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】

従来、車両用蓄電池の固定は、例えば図４に示すように断面円形の丸棒の一側 端に所定長の捩子を刻設し、他側をＪ字形に湾曲させた一組の取付けステー１０ ３Ａ，１０３Ｂと、この一組の取付けステー１０３Ａ，１０３Ｂの間を差し渡さ れ、ナットで取付けステー１０３Ａ，１０３Ｂに固定されるバッテリステー１１ １によって、構成される。

【０００３】 以下、具体的に説明すると、エンジンルーム内の車体に予め１対が２つの孔か らなる２対の取付け孔１０７Ａ、１０７Ｂを穿設しておき、この取付け孔１０７ Ａ、１０７Ｂにそれぞれ取付けステー１０３Ａ，１０３ＢのＪ字形部分を引っ掛 けると共に、この取付けステー１０３Ａ，１０３Ｂの間にバッテリ１０１を載置 し、さらにこの取付けステー１０３Ａ，１０３Ｂとの間にバッテリステー１１１ を掛け渡し、ナットで締め付けることによりバッテリステー１１１で車両用蓄電 池１０１を固定するようにしている。

【０００４】

【考案が解決しようとする課題】

しかしながら、このような車両用蓄電池の固定構造にあっては、２本の取付け ステー１０３Ａ，１０３Ｂの間に掛け渡されたバッテリステー１１１をナットに よって押し下げることで、車両用蓄電池１０１を締め付け、固定するようにして いることから、ナット締め付けの際にはバッテリステー１１１が極端に傾いて、 車両用蓄電池１０１に無理な力が加わらないようにしなければならず、また車両 用蓄電池１０１の交換の際には、これら２つのナットを完全にはずした後に、さ らにバッテリステー１１１を取り外してから車両用蓄電池１０１を交換しなけれ ばならず、脱着の際の作業性が非常に悪かった。

【０００５】 また、取付けステー１０３Ａ，１０３Ｂを車体に穿設された取付け孔に引っ掛 けるだけの構造となっていることから、車体に穿設された取付け孔１０７Ａ、１ ０７Ｂと取付けステー１０３Ａ，１０３Ｂとの間に間隙が残されたままとなり、 この取付孔を介して音や水等の出入りが可能であることから、防音及び防水の面 からも課題が残されていた。

【０００６】 本考案は、上記課題に鑑みてなされたもので、車両用蓄電池の脱着の際の作業 性を改善し、且つ確実に車体に固定することのできる車両用蓄電池の固定構造を 提供することを目的とする。

【０００７】

【課題を解決するための手段】

上記目的を達成するため本考案は、車両に固設される支持部材によって車両用 蓄電池の一側の下端縁を支持し、この支持部材と対向する車両用蓄電池の側面側 に設けられる固定部材の一側端を車両に固定すると共に、他側端を当該車両用蓄 電池の負極側ターミナルに着脱自在に固設することにより当該車両用蓄電池を車 両に固定すること要旨とする。

【０００８】

【作用】

本考案の車両用蓄電池の固定構造は、溶接等によって支持部材を車両に固設し 、この支持部材によって車両用蓄電池の一側の下端縁を支持するようにしている 。また、この支持部材と対向する車両用蓄電池の側面側には、一側端をボルト締 め若しくは溶接等によって車両に固定した固定部材を設け、この固定部材の他側 端をボルト締め等によって当該車両用蓄電池の負極側ターミナルに着脱自在に固 設することにより当該車両用蓄電池を車両に固定するようにしている。

【０００９】

【実施例】

以下、図面を参照して本考案に係る一実施例を説明する。

【００１０】 図１は本考案に係る車両用蓄電池の固定構造を示した斜視図である。なお、本 実施例で使用される車両用蓄電池１は、エンジンルーム内、トランクルーム内及 びフロント及びリアシート下等に車両の形状等に応じて適宜設けられるものであ り、本実施例ではエンジンルーム内に設けられた場合を例に説明するが、他の設 置場所においても同様である。

【００１１】 図１に示すように、本実施例で使用される車両用蓄電池１は、電槽ケースの上 面に配設される一対の負極側ターミナル３と正極側ターミナル５を後方側に配置 したときの一側側面の底部に突出縁７が形成され、負極側ターミナル３の外周面 にはナット３Ｂと螺合する捩子が刻まれており、また正極側ターミナル５は通常 の形状である。この突出縁７は、車両用蓄電池１の樹脂製の電槽ケースと一体に 形成されており、十分な強度が確保される。

【００１２】 支持部材として、この突出縁７と係合する突出縁固定ブラケット９は、剛性を 有する鉄板等を細長い板状に形成すると共に、その板体の長手方向に沿う一側を 前述の突出縁７と係合しうる形状に折り曲げ加工したものであり、他側は溶接等 によって強固に車体と接続される。

【００１３】 固定部材としての取付ブラケット１１は、鉄板等の細長い板体を端部から５〜 ８ｃｍ程のところで略直角にそれぞれ反対方向に折り曲げて、いわゆるクランク 状に形成してなり、その両端部分にはそれぞれ負極側ターミナル３と係合する切 込み１１Ａと取付ボルト１３が貫通する孔が設けられ、またその中間部分は車両 用蓄電池１の高さより極僅かに長くなるように調整される。さらに、この切込み １１Ａの開口方向は、取付ボルト１３の締め付け方向と反対となるように設けら れており、締め付けの際、この締め付けによる当該取付ブラケット１１の回転が 負極側ターミナル３に阻止されるので、容易かつ良好な締め付けを行うことがで きる。また、この取付ブラケット１１は、負極側ターミナル３と車両との間を接 続して、アースケーブルを兼ねる。

【００１４】 以下、車両用蓄電池１の取付けの際の手順について説明する。まず、予め車体 に固定されている突出縁固定ブラケット９に電槽ケース下端部の突出縁７を係合 させるようにして、車両の所定位置に車両用蓄電池１を載置する。次に、取付ブ ラケット１１下部の取付ボルト１３の孔と車両に穿設され、その内壁面に捩子の 螺刻された孔に位置合わせを行いつつ、この孔に取付ボルト１３を嵌装し、この 取付ボルト１３を取付ブラケット１１が固定されない程度の所定量だけ捩じ込む 。

【００１５】 続いて、この車両用蓄電池１上面の負極側ターミナル３に取付ブラケット１１ 上部の切込み１１Ａを係合させた後に、負極側ターミナル３の外周面に刻設され た捩子に螺合させてナット３Ｂを締め付けると共に、取付ボルト１３も締め付け て車両用蓄電池１を車両に固定する。このとき、取付ブラケット１１の中間部分 はナット３Ｂ及び取付ボルト１３の締め付けによって、若干湾曲することで、取 り付け等による誤差を吸収する。

【００１６】 次に、車両用蓄電池１の交換の際の手順について説明する。まず、古い車両用 蓄電池１の取り外しの際には、負極側ターミナル３のナット３Ｂ及び取付ボルト １３を緩めた後、当該車両用蓄電池１を突出縁固定ブラケット９に沿って突出縁 ７を滑らすように手前側に移動して、当該車両用蓄電池１をとり外す。次に、新 しい車両用蓄電池の取り付けの際には、新しい車両用蓄電池を同様にして手前側 から奥側へ突出縁固定ブラケット９に沿って突出縁を滑らすように移動して、設 置する。その後、先に取り外しの際に緩めただけの負極側ターミナル３のナット ３Ｂ及び取付ボルト１３をそれぞれ締め付けて車両用蓄電池１を車両に固定し、 交換作業を終了する。

【００１７】 すなわち、２つの捩子を緩めるだけで交換することが出来るので、脱着作業が 容易且つ短時間で行うことができ、さらに突出縁固定ブラケット９及び取付ブラ ケット１１によって位置決めされることから、だれが交換作業を行っても確実な 取付を常に行うことができる。また、このとき車両用蓄電池１を突出縁固定ブラ ケット９に沿って前後方向に移動することが出来ない場合には、ナット３Ｂ及び 取付ボルト１３を緩めた後、取付ブラケット１１をその開口とは反対方向に捻り ながら撓ますことにより車両用蓄電池１を上方に持ち上げることによって取り外 すことができるようになる。

【００１８】 なお、取付ボルト１３用の孔と車両との間に防水用のパッキングを介在させる ようにすることにより、当該取付ボルト１３用の孔をより確実に塞ぐことができ 、防水及び防音の面で優れた効果を期待することができる。

【００１９】 また、本実施例では、車両用蓄電池１は電槽ケース下端部に突出縁７を設け、 この突出縁７を突出縁固定ブラケット９に係合させるようにしたが、電槽ケース 下端部に突出縁７が無い場合には、突出縁固定ブラケット９の断面をいわゆるＬ 字形にして、その立上り部分で車両用蓄電池１の側面を押圧するようにして固定 しても良く、略同様の効果を得ることができる。

【００２０】

【考案の効果】

以上説明したように本考案の車両用蓄電池の固定構造によれば、車両用蓄電池 の脱着の際の作業性を改善し、且つ確実に車体に固定することのできる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案の一実施例を示す斜視図である。

【図２】図１に示した矢印Ｂ方向からの正面図である。

【図３】図１に示した矢印Ａ方向からの側面図である。

【図４】従来の車両用蓄電池の取り付け構造を示す側面
図である。

【符号の説明】

１ 車両用蓄電池 ３ 負極側ターミナル ５ 正極側ターミナル ７ 突出縁 ９ 突出縁固定ブラケット １１ 取付ブラケット １３ 取付ボルト

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 【請求項１】 車両に固設される支持部材によって車両
   用蓄電池の一側の下端縁を支持し、この支持部材と対向
   する車両用蓄電池の側面側に設けられる固定部材の一側
   端を車両に固定すると共に、他側端を当該車両用蓄電池
   の負極側ターミナルに着脱自在に固設することにより当
   該車両用蓄電池を車両に固定することを特徴とする車両
   用蓄電池の固定構造。