JPH0474550B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は可変容量形コンプレツサに係り、特に
自動車用として好適な可変容量形コンプレツサに
関する。

〔従来の技術〕

従来の流体機械は特開昭58−158382に記載のよ
うに、可変容量を行う場合、回転体自身に容量を
変化させる機構を付け加えていたため、ドライブ
ハブ、ジヤーナルなど、回転軸に対して非対象と
なつていた。またワブルプレートの傾斜角が変化
すると、ジヤーナルの回転中心が変化していた。

〔発明が解決しようとする問題点〕

上記従来技術は、回転体自身に容量を変化させ
る機構を付け加えていたため、ドライブハブ、ジ
ヤーナルなど非対象物の回転によるアンバランス
が発生する。これに対してバランスウエイトなど
を設けて対策しているが、ワブルプレートの傾斜
角が変化すると、ジヤーナルの回転中心が移動す
るなどして完全にアンバランスをなくすことが困
難である。このためアンバランスが偏心荷重とな
り、騒音、振動を増大させ、ユーザーに不快感を
与えるだけでなく、機械的振動により機械寿命を
短くするという問題があつた。

本発明の目的は、容量を変化させる機構部を非
回転とすることによつて回転による偏心荷重をな
くし、騒音、振動の少ない可変容量形コンプレツ
サを提供するにある。

〔問題点を解決するための手段〕

上記目的は、回転軸上に揺動自在に支承され、
ピストン装置と連結される回転板をシリンダブロ
ツクに固設される一対の駆動ピンで支持すると共
に、前記回転板の背面に対接して傾転可能に斜板
を設け、該斜板を機械的に押圧して傾転させるこ
とにより達成される。

〔作用〕

斜板支持部材にヒンジ機構で連結した斜板は、
斜板と斜板支持部材に設けた作動ピストンの動き
により非回転のまま傾斜角が変えられる。コンプ
レツサの高圧室と低圧室の圧力差が小さい場合、
つまり大容量を得たい場合には、ピストン機構の
作動室内の圧力と低圧室の圧力の差が少ないた
め、作動ピストンが斜板を押し上げる力が小さ
く、斜板の傾きは変わらない。一方高圧室と低圧
室の圧力差が大きい場合、つまり、高回転時や十
分冷却能力がある場合には、作動室内の圧力と低
圧室の圧力の差が大きくなるため、作動ピストン
が斜板を押し上け、斜板の傾斜角が小さくなりピ
ストンストロークが小さくなるため吐出容量が小
さくなる。

〔実施例〕

以下本発明の一実施例を図に基づき説明する。

第１図ないし第２図において、アルミニユーム
材からなる椀状ケーシング１の開放端面に前記ケ
ーシングと同様材質からなるサイドカバ２が数本
の組付ネジ３により締付固定されている。回転軸
４は、前記ケーシング１及びサイドカバ２の中心
にラジアルベアリング５，６を介して保持されて
る。またケーシング１と回転軸４の間にはクリツ
プ７により抜け止めされたメカニカルシール機構
８が施されている。

さらに、ケーシング１の内部には、ピストン駆
動機構部（運動変換機構部）９と作動流体室組立
体１０が収納されている。ここで運動変換機構部
９は、円板状の回転板１１が、その中心部を回転
軸４に移動自在に嵌合されたセンタボール１２に
よつて回転自在に支承され、その外周内端面の同
一円周上にはピストン１３の球部１４が回転自在
に保持されている（第５図参照）。前記センタボ
ール１２はストツパ１５と拡張スプリング１６に
より常に軸方向に押圧され回転板１１の芯出しを
行つている。

一方、作動流体室組立体１０は、偶数個の貫通
穴１７を有し、中心中空部を回転軸４に固着した
アルミニユーム材からなるシリンダブロツク１８
と、前記貫通穴１７に嵌合されたピストン１３、
凸部１９Ａを高圧室２０に嵌合し前記シリンダブ
ロツク１８の開放端面を密閉するシリンダヘツド
１９とからなつている。

また、前記シリンダブロツク１８にはドライブ
ロツド２１が植立され、そのロツド先端にはドラ
イブロツド２１上を移動自在で、且つ回転板１１
に固着されたドライブホール１１Ａ（第６図参照）
内を回転自在で、ラジアル方向にのみ移動自在
な、球面軸受２２が設けられ、シリンダブロツク
１８と回転板１１のトルク伝達を行つている。

また、前記シリンダブロツク１８の軸方向内端
面１８Ａに固定される鉄製からなる駆動ピン２１
は、圧入された後前記シリンダブロツク１８の端
面の駆動ピンの周囲近傍を局部的に塑性変形させ
て、塑性変形した材料を予め結合ピンに設けてお
いた結合溝２１Ａに塑性流動させ、結合精度の高
い固着を行つている。

前記駆動ピン２１は第３図から解るように偶数
個配設されたシリンダブロツクの貫通穴１７の穴
間に位置し、かつ回転軸７の中心を通る対角線上
一対配設されている。そして半径方向の距離は前
記貫通穴の中心半径よりいく分内径側にあつて、
駆動ピンの長さを必要最少限に抑えている。

２３は傾斜面２３Ａを有する環状の斜板支持部
材で、回転軸４と同心的に配置されて、ケーシン
グ１の内端面に固着されている。この斜板支持部
材の傾斜面の延長線上には第５図から解るように
二又の支持片２３Ｂが一体に形成されている。そ
して該支持片には前記斜板支持部材２３と前記回
転板１１間に配設された円板状の斜板２４の耳部
２４Ａが挟持されてピン２５により回動自在に支
承されている。２６はピストン機構部で、第５図
に示す如く、前記支持片２３Ｂのほぼ直角位置に
当る斜板支持部材２３の一部に形成されている。
上記機構部は、斜板支持部材２３に埋込まれる底
付筒部材２６１と、該筒部材にシールを介して滑
合される作動ピストン２６２と、該ピストンを押
上げるスプリング２６３と、圧縮作動室２６４
と、該作動室と高圧室とを連通するパイプ２６５
とから構成され、前記作動ピストン２６２の小径
端部２６６は前記斜板２４の一方面に凹面部２４
Ｂを介して係合されている。尚、２７は低圧室で
ある。

以上の構成において、例えば内燃機関により電
磁クラツチを介して回転軸４が回転させると、シ
リンダブロツク１８の回転と共に駆動ピン２１か
ら駆動力を受けて回転板１１も回転する。ここで
コンプレツサ起動時は吐出圧が小さく、斜板２４
も斜板支持部材２３の傾斜面２３Ａにそつて第１
図の最大傾斜を保つ。このためピストン１３は貫
通穴１７内を見かけ上往復運動し、低圧室２７Ａ
から流体を吸入し、回転しながら圧縮して高圧室
２０へ吐出する。

以上は可変容量が行なわれていない場合であ
り、大容量を必要とする時である。大容量を必要
とする場合は吐出圧力と吸入圧力の圧力差が小さ
い場合で、ピストン機構２６のピストン作動室２
６４がパイプ２６５を介して高圧室２０（吐出圧
力）と連通しているため、作動室２６４と低圧室
２７Ａ（吸入圧力）の圧力差が小さく、差圧によ
る作動ピストン２６２を押すとスプリング２６３
の合力がスプリング２６３の反力より小さい場合
である。

一方、高回転時や冷却能力が充分ある場合に
は、吐出圧と吸入圧の差圧が大きくなるため、作
動ピストン２６２を押す力と前記作動ピストン２
６２を常時斜板２４に押し付けているスプリング
２６３の合力がスプリング２６３の反力より大き
くなり、作動ピストン２６２が移動するにつれて
斜板２４の傾斜角を連続的に変え、最小時には第
２図に示すようにピストントロークが０になる。
尚、この時ストツパ１５がシリンダブロツク１８
に当接するため、作動ピストン２６２の移動は阻
止される。また、斜板２４はピン２５を中心とし
て回転するため、作動ピストン２６２の小径端部
２６６と保持板２４の凹面部２４Ｂは球面状とし
ている。

以上のように本実施例によれば、シリンダブロ
ツクの回転を一対の駆動ピンで回転板にトルク伝
達できるため、歯車伝達機構を採用したものに比
較して、歯車のバツクラツシユによる騒音、回転
軸の振れによる振動、騒音の発生のない極めて静
かなシリンダ回転形のエアコンプレツサを得るこ
とができる。

また、非回転の斜板の傾斜角を任意に傾転させ
ることにより可変容量制御を行うことができるた
め、回転による偏心荷重をなくし、騒音、振動の
少ない機械効率の優れた可変容量コンプレツサが
得られる。

さらに斜板は非回転であるため、簡単なヒンジ
機構でよく、高い機械的強度も要求されず、生産
性の点からみても非常に有利である。

斜板支持部材は単純な環状のスペーサで別部品
で構成でき、そこにシリンダ機構を埋込むことが
できるため取扱い性が良く、生産性と共に組付性
の優れたものとなる。

シリンダ機構は作動室をパイプを介して高圧室
と連通することだけで、任意の可変容量機構が容
易に得られる。

上記実施例において、斜板２４の摺接面は潤滑
について触れていないが、フツソ樹脂をコーテイ
ングするか、含油性の高い材料を使うことも有効
である。

また、斜板支持部材はケーシング成形時に一体
に鋳込でもよいことは当然である。

〔発明の効果〕

本発明によれば、シリンダブロツク回転タイプ
のコンプレツサに可変容量機構を与えると共に、
容量を変化させる機構部を非回転構造にして、騒
音、振動を抑えた、機械効率の優れた可変容量形
コンプレツサを得ることができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明の一実施例を示すコンプレツサ
のピストン機構部断面図を含む縦断面図、第２図
は第１図の０％運転時における縦断面図、第３図
は第１図の−断面図、第４図は第１図の−
断面図、第５図は第１図の−断面図、第６
図は第１図のドライブホールの上面斜視図であ
る。 １……ケーシング、２……サイドカバ、１１…
…回転板、１２……センタボール、１３……ピス
トン、１６……スプリング、２０……高圧室、２
３……斜板、２４……保持板、２５……ピン、２
６……ピストン機構部、２７，２７Ａ……低圧
室、２６４……作動室、２６２……作動ピスト
ン、２６３……スプリング。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 固定子に軸承された回転軸と固定関係にある
   シリンダブロツクと、該シリンダブロツクの複数
   個の貫通穴にそれぞれ配置されたピストンと、前
   記シリンダブロツクに対向して配置され、前記ピ
   ストンの他端を回動自在に保持した回転板と、前
   記シリンダブロツクの回転を駆動手段を介して前
   記回転板により伝達させる駆動機構部とを備え、
   前記ピストンと前記貫通穴とにより形成される作
   動流体室に低圧側通路から流体を吸入して高圧側
   通路に吐出するコンプレツサにおいて、前記駆動
   機構部は、前記回転軸上に揺動自在に支承される
   回転板と、前記シリンダブロツクの軸方向端面に
   固設されると共に前記回転軸と平行して延び、か
   つ他端が球面軸受を介して半径方向及び軸方向に
   移動自在に前記回転板に係合される一対の駆動ピ
   ンと、前記回転板の背面と摺動面を持つて対面し
   ていると共に、軸方向に傾転可能に一点を支持さ
   れる斜板と、該斜板を操作して回転板の傾転角を
   変化させる手段とを備えていることを特徴とした
   可変容量形コンプレツサ。 ２ 特許請求の範囲第１項記載のものにおいて、
   前記斜板はヒンジ機構を介して傾斜面を有する斜
   板支持部材に支承されていることを特徴とした可
   変容量形コンプレツサ。 ３ 特許請求の範囲第２項記載のものにおいて、
   前記斜板支持部材はケーシングの内面に固定さ
   れ、反固定面を傾斜面とした環状のスペーサであ
   ることを特徴とした可変容量形コンプレツサ。 ４ 特許請求の範囲第２項記載のものにおいて、
   前記斜板は前記斜板支持部材に埋込まれ、作動流
   体圧により駆動されるピストン機構と係合されて
   いることを特徴とした可変容量形コンプレツサ。 ５ 特許請求の範囲第４項記載のものにおいて、
   前記ピストン機構の作動室は高圧室に連結されて
   いることを特徴とした可変容量形コンプレツサ。 ６ 特許請求の範囲第５項記載のものにおいて、
   前記ピストン機構は、前記高圧室と低圧室の圧力
   差で動作するピストンと、該ピストンを前記斜板
   に常時密着させるスプリングとを含んでいること
   を特徴とした可変容量形コンプレツサ。 ７ 固定子に軸承された回転軸と固定関係にある
   シリンダブロツクと、該シリンダブロツクの複数
   個の貫通穴にそれぞれ配置されたピストンと、前
   記シリンダブロツクに対向して配置され、前記ピ
   ストンの他端を回転自在に保持した回転板と、前
   記シリンダブロツクの回転を駆動手段を介して前
   記回転板により伝達させる駆動機構部とを備え、
   前記ピストンと前記貫通穴とにより形成される作
   動流体室に低圧側通路から流体を吸入して高圧側
   通路に吐出するコンプレツサにおいて、前記駆動
   機構部は、前記回転軸上にセンタボールを介して
   揺動自在に支承される回転板と、前記シリンダブ
   ロツクのピストン間に位置する部分の軸方向端面
   に固設されて、前記回転軸と並行して延びる一対
   の駆動ピンと、該駆動ピンの他端に摺動自在に嵌
   合されて、前記回転板の周囲にラジアル方向に移
   動可能に配設される球面軸受と、前記回転板の背
   面と摺動面を介して対面し、軸方向に傾転可能に
   斜板支持部材に一点を支持固定した斜板と、該斜
   板の支持固定部より少なくとも下方に係合し、流
   体圧力により作動するピストン装置とから構成さ
   れることを特徴とした可変容量形コンプレツサ。 ８ 特許請求の範囲第７項記載において、前記セ
   ンタボールとシリンダブロツク間には常時拡張す
   るスプリングが介在されていることを特徴とした
   可変容量形コンプレツサ。 ９ 特許請求の範囲第７項記載において、前記ピ
   ストン装置の作動室は高圧室と連結されているこ
   とを特徴とした可変容量形コンプレツサ。 １０ 特許請求の範囲第７項記載のものにおい
   て、前記作動ピストンの小径端部は球面で、斜板
   に形成された凹面部に係合されていることを特徴
   とした可変容量形コンプレツサ。