JPH0451261B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明はダイカストマシンにおける射出方法に
関するものである。

〔従来の技術〕

ダイカストマシンは型締方向により堅型締式と
横型締式とに分類され、また溶湯の射出方向によ
り竪鋳込式と横鋳込式とに分類される。

第３図はこのうちの横型締、横鋳込式ダイカス
トマシンの金型と射出装置との概略構成図であつ
て、これを同図に基いて説明すると、型締状態で
示す固定金型１と可動金型２とには、接合面３を
境とするキヤビテイ４が設けられており、キヤビ
テイ４の下方には、可動金型２側に片寄つた小径
のゲート５と大径のランナ６とが互に連通して複
数個ずつ設けられている。固定金型１にランナ６
と直交して設けられたスリーブ孔７には、注湯口
８ａから注入される溶湯９を蓄える射出スリーブ
８が嵌合されており、そのランナ６に臨む先端部
には、分配器１０が設けられている。１１は配管
によりポンプ１２とタンク１３とにそれぞれ接続
された射出シリンダであつて、そのピストンロツ
ド１４にカツプリング１５で連結されたプランジ
ヤ１６のプランジヤチツプ１７は、射出スリーブ
１６に摺動自在に係入されており、射出シリンダ
１１のヘツドエンド側へ送油することによりプラ
ンジヤチツプ１７が射出スリーブ８内で前進して
溶湯９が圧縮され、この溶湯９は分配器１０で各
ランナ６への分配されたのち、ゲート５を経てキ
ヤビテイ４内へ射出されるように構成されてい
る。１８はカツプリング１５側に固定されてこれ
と一体的に移動するストライカであつて、その水
平部には磁気スケール１９が一体的に設けられて
おり、その移動経路近傍には制御器２０に接続さ
れた位置検出器２１が配設されている。２２はポ
ンプ１２と射出シリンダ１１との間に設けられた
流量制御弁であつて、そのソレノイドは制御器２
０に接続されており、制御器２０には弁開度を設
定して制御器２０に入力させる設定器２３が接続
されている。

このように構成されていることにより、注湯口
８ａから溶湯９を注入して射出シリンダ１１によ
りプランジヤチツプ１７を前進させると、これで
押された溶湯９は、分配器１０で各ランナ６へ分
配されたのち、ゲート５を経てキヤビテイ４内へ
射出される。この場合、カツプリング１５ととも
に移動するとストライカ１８の磁気スケール１９
と、位置検出器２１とによつてピストンロツド１
４のストローク位置が監視され、所定の位置に到
達すると、設定器２３にあらかじめ格納されてい
る弁開度が制御器２０に介して流量制御弁２２に
指令されるので、流量制御弁２２が開閉してピス
トンロツド１４の移動速度すなわち溶湯９の射出
速度が制御される。キヤビテイ４内に射出された
溶湯９が固化して冷却されると、可動金型２を開
いてキヤビテイ４内の製品を取出すが、このとき
ランナ６内の溶湯固形物は一般にビスケツトと呼
ばれてゲート５内の溶湯固形物とともに製品に付
属して取出される。そこでゲート５から取出され
た細い箇所をハンマ等でたヽくことにより、ビス
ケツトを製品から容易に切離すことができる。な
お、一般に複数個のゲート５の断面積総和が射出
スリーブ８の断面積の1/5〜1/15に設定されてい
る。

このようなダイカスト作業において、製品の商
品質化を計るためには、キヤビテイ４への溶湯９
の射出時にキヤビテイ４内のガスを溶湯９に巻き
込まれないようにしてキヤビテイ４外へうまく排
出することと、溶湯９の先端がゲート５を通過し
たのちキヤビテイ４内へ飛散しないようにするこ
と、およびこれらの点を考慮しながら射出時間を
最少限に抑え、溶湯が冷えることによる流動性の
低下をなくすことなどが必要な条件となつてい
る。

〔発明が解決しようとする問題点〕

しかしながら、第３図に示す従来のダイカスト
マシンにおいては前述したようにゲート５が絞ら
れて断面積が小さくなつているので、溶湯９の通
過速度が射出スリーブ８との断面積比に反比例す
るような形で増速されることにより、ゲート５を
通過し終つた溶湯９が、キヤビテイ４内へ噴霧状
に飛散してガスを巻き込み、この結果、製品に巣
が発生していた。と言つて溶湯９のゲート通過速
度を下げようとして射出速度全体を遅くすると生
産性が低下するばかりでなく、溶湯９が冷えて流
動性が低下し、いわゆる湯回りが悪くなつて製品
の表面状態が悪化する。

そこで、前記制御器２０を用いて溶湯９がゲー
ト５を通過し始めてからある時間の間は低速射出
としてそのあと高速射出に切換えることが考えら
れるが、本発明者等の実験によると、キヤビテイ
４内での溶湯９の飛散をなくすためには、溶湯９
のゲート通過速度を2m／sec以下にしなければな
らず、これを前記断面積比により射出スリーブ８
内への溶湯９の射出速度に換算すると、0.13〜
0.4m／secとなり、このような低速射出を溶湯９
の飛散がなくなるまで続けると、溶湯９が冷えて
しまう。

〔問題点を解決するための手段〕

このような問題点を解決するために本発明で
は、キヤビテイ部と射出スリーブとを連通してい
るゲート部に、そのゲート断面積を可変可能とす
る可動ゲートを設けたダイカスト用金型を用いて
射出する際に、この可動ゲートを、一射出工程中
において、溶湯キヤビテイ内へ射出する射出初期
には、可動ゲートを後退させておいてゲート断面
積を広くしておき、キヤビテイ内への溶湯の射出
がほぼ終了した時点では、可動ゲートを前進させ
てゲート断面積を狭くするように作動制御するよ
うにした。

〔作用〕

このように構成することにより、射出シリンダ
への送油圧力またはピストンロツドのストローク
位置を検出して信号を発し、射出初期にはゲート
の断面積を大きくしてやれば、射出速度が比較的
速くても、キヤビテイ内で溶湯を飛散させないよ
うな溶湯のゲート通過速度が得られ、またこの射
出速度であれば溶湯が冷えない。さらに、溶湯の
射出途中、特にキヤビテイへの溶湯の射出がほぼ
終了した時点では、可動ゲートによつてゲート断
面積を狭めることにより、キヤビテイ内の溶湯
に、製品の品質向上につながるような急速な圧力
伝播を行ない、その緻密化を図れる。

〔実施例〕 第１図は本発明に係るダイカスト用金型と射出
装置との概略構成図であつて、図において第３図
と同符号を付したものはこれと同構成であるから
その詳しい説明を省略し、以下簡単に説明する。
固定金型１のスリーブ孔７には、注湯口８ａから
注入された溶湯９を蓄える射出スリーブ８が挿入
されており、この射出スリーブ８には射出シリン
ダ１１のピストンロツド１４にカツプリング１５
で連結されたプランジヤ１６のプランジヤチツプ
１７が摺動自在に係入されている。カツプリング
１５に固定されたストライカ１８と一体の磁気ス
ケール１９には、設定器２３に接続された制御器
２０への信号を送る位置検出器２１が対向してい
る。射出シリンダ１１のヘツドエンド側とポンプ
１２とを接続する配管上に設けた流量制御弁２２
のソレノイドは、制御器２０に接続されており、
また射出シリンダ１１のロツドエンド側にはタン
ク１３が接続されている。

ここまでは第３図に示す従来の装置と同じであ
るが、本装置においては、金型１，２のキヤビテ
イ４に連続するゲート５Ａが、これに連続するラ
ンナ６と同断面積に形成されており、各ゲート５
Ａの近傍には、その断面積を一射出工程中に変化
させる手段として油圧シリンダ２４が、可動金型
２に埋め込まれてそれぞれ設けられている。すな
わち、ヘツドエンド側とロツドエンド側とをポン
プ２５とタンク２６とにそれぞれ接続された油圧
シリンダ２４のピストンロツド２７には、これと
ともにゲート５Ａ内のつけ根部へ進退してその断
面積を拡縮する可動ゲートとしての可動片２８が
装着されており、油圧または空圧のシリンダ２４
とタンク２５とを接続する配管内には、電磁弁２
９が設けられている。一方、前記射出シリンダ１
１とポンプ１２との間を接続する配管から分岐さ
れた配管には、射出シリンダ１１のヘツドエンド
側の圧力を検出して電磁弁２９のソレノイドへ信
号を送る圧力検出器３０が設けられており、射出
シリンダ１１のヘツドエンド側の圧力が所定値に
達すると開閉弁２９を開かせて可動片を前進させ
ることによりゲート５Ａつけ根部の断面積を縮小
させるように構成されている。

以上のように構成された射出装置による鋳込動
作を説明する。注湯口８ａから射出スリーブ８内
へ溶湯９を注入すると、あらかじめ設定器２３に
格納されている弁開度が制御器２０を介して流量
制御弁２２に指令されるので、流量制御弁２２が
開き、射出シリンダ１１のピストンロツド１４が
前進してプランジヤ１６が前進することにより、
溶湯９が押されて射出が開始される。射出開始に
際してシリンダ２４のピストンロツド２７は後退
していて可動片２８がゲート５Ａを全開してい
る。射出開始後はピストンロツド１４とともに移
動するストライカ１８の磁気スケール１９と、位
置検出器２１とによつてピストンロツド１４のス
トローク位置が監視され、所定の位置に到達する
と設定器２３から制御器２０を介して次の弁開度
が指令されるので、流量制御弁２２がさらに開い
て射出速度が低速から高速に切換えられる。第２
図は油圧と時間との関係線図であつて、縦軸に射
出シリンダ１１のヘツドエンド側の圧力ｐをと
り、横軸に射出開始からの所要時間ｔをとつて示
している。図において圧力P₁，P₂はダイカスト
の一般的射出方法である低速射出−高速射出の２
段階射出法の低速と高速とにそれぞれ対応する圧
力であり、また圧力Poは圧力検出器３０が圧力
を検出して信号を発する圧力であつて高速射出の
圧力P₂よりも大きく設定されている。さらに、
圧力P₃は溶湯９がキヤビテイ４の隅々まで充填
されたときの圧力である。すなわち、ゲート５Ａ
が開いた状態で射出が開始されて溶湯９がゲート
５Ａを通過してからしばらくは圧力P₁で低速射
出され、その後、圧力P₂の高速射出に切換えら
れる。この射出時にゲート５Ａが狭いと、前述し
たように溶湯９がゲート５Ａから高速でキヤビテ
イ４内へ噴出されるが、本装置ではゲート５Ａの
断面積が大きいので、ゲート５Ａを通過する溶湯
９の速度がさほど高速となることがなく、溶湯９
がキヤビテイ４内へ高速で噴出しない。そして、
圧力がPoに達すると、圧力検出器３０がこの圧
力を検出して信号を発し、電磁弁２９が開いてシ
リンダ２４のロツドエンド側へ送油され、ピスト
ンロツド２７とともに可動片２８が前進してゲー
ト５Ａつけ根部の断面積が縮小される。このあ
と、射出が続けられて溶湯９がキヤビテイ４内に
充填され、飽和圧力P₃となつて射出が完了する。

なお、本実施例ではシリンダ２４の電磁弁２９
へ信号を送る検出手段として射出シリンダ１１の
圧力を検出する圧力検出器３０を例示したが、第
１図に符号３１で示す歪検出器を設け、プランジ
ヤ１６の長手方向の歪によりプランジヤ１６が溶
湯９に加える圧力を検出して電磁弁２９へ信号を
送るようにしてもよい。また、ゲート５Ａの閉じ
信号は、圧力の他にプランジヤ１６の前進位置に
応じた信号によつて出すことができる。

また、可動片２８の先端形状をくさび状に形成
すれば、ゲート５Ａ内の溶湯固形物に切溝が入
り、製品取出後のビスケツトの切離しが容易にな
る。さらに射出後、可動片２８を引き戻してゲー
ト５Ａを開くタイミングは、可動片２８を中子の
１つと考えることにより、型締あるいは型開の前
後に行なわれる中子の操作に同調させればよい。

〔発明の効果〕

以上説明したように本発明によるダイカスト用
金型によれば、キヤビテイ部と射出スリーブとを
連通しているゲート部に、そのゲート断面積を可
変可能とする可動ゲートを設けたダイカスト用金
型を用いて射出する際に、この可動ゲートを一射
出工程中において、溶湯をキヤビテイ内へ射出す
る射出初期には、可動ゲートを後退させておいて
ゲート断面積を広くしておき、キヤビテイ内への
溶湯の射出がほぼ終了した時点では、可動ゲート
を前進させてゲート断面積を狭くするように作動
制御するようにしたので、金型キヤビテイへの溶
湯射出初期にはゲート断面積が大きいため、射出
スリーブ側からの射出速度が比較的速くても、ゲ
ートを通過する溶湯の速度がさほど速くならず、
キヤビテイ内への溶湯が高速で飛散してガスを巻
き込むというようなことが少なくなつて、製品の
品質が著しく向上するとともに、射出速度を高速
にすることができるから、溶湯が冷えない。ま
た、溶湯の射出途中、特にキヤビテイへの溶湯の
射出がほぼ終了した時点では、可動ゲートによつ
てキヤビテイ内の溶湯に対し最も接近している部
分でゲート断面積を狭めることにより、キヤビテ
イ内の溶湯に対して急速な圧力伝播を作用させ、
その緻密化を図ることが可能で、その結果として
いわゆる押湯効果を発揮させて製品の品質を向上
させることが可能となる。さらに、最終的には、
ゲート部を絞つて薄くするので、射出製品の取出
し後に、製品とランナやビスケツト部との切り離
しが容易であるという利点もある。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明を実施するための装置の１実施
例を示す概略構成図、第２図は射出シリンダのヘ
ツドエンド側圧力と射出開始からの所要時間との
関係線図、第３図は従来のダイカスト用金型と射
出装置との概略構成図である。 １…固定金型、２…可動金型、４…キヤビテ
イ、５Ａ…ゲート、８…射出スリーブ、２４…シ
リンダ、２８…可動片、３０…圧力検出器。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ キヤビテイ部と射出スリーブとを連通してい
   るゲート部に、そのゲート断面積を可変可能とす
   る可動ゲートを設けたダイカスト用金型を用いて
   射出する際に、この可動ゲートを、一射出工程中
   において、溶湯をキヤビテイ内へ射出する射出初
   期には、可動ゲートを後退させておいてゲート断
   面積を広くしておき、キヤビテイ内への溶湯の射
   出がほぼ終了した時点では、可動ゲートを前進さ
   せてゲート断面積を狭くするように作動制御する
   ことを特徴とするダイカストマシンにおける射出
   方法。