JPH0227969Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案は鋳込スリーブ内に注入された溶湯を、
射出シリンダのピストンロツドに連結されたプラ
ンジヤの前進で移動させて金型のキヤビテイ内へ
射出するダイカストマシンの射出装置に関するも
のである。

〔従来の技術〕

ダイカストマシンは型締方向により竪型締型と
横型締型とに分類されており、また、鋳込方向に
より竪鋳込型と横鋳込型とに分類されている。第
２図はこのうちの横型締横鋳込型ダイカストマシ
ンの射出装置を示す一部破断概略側面図であつ
て、これを同図に基いて説明すると、マシンベー
ス１上には固定盤２と他方の固定盤（図示せず）
とが４隅をタイロツド３で連結されて固定されて
おり、タイロツド３には、他方の固定盤側の型締
シリンダによりトツグル機構等を介し固定盤２に
対する遠近方向へ進退する可動盤４が支持されて
いる。５，６は固定盤２と可動盤４とにそれぞれ
対向して装着された固定金型と可動金型であつ
て、分割面７で分割されたキヤビテイ８を備えて
おり、可動盤４の進退によつて型締、型開するよ
うに構成されている。また、固定盤２のスリーブ
孔には、注湯口９を備えた射出スリーブ１０が挿
入固定されており、この射出スリーブ１０とキヤ
ビテイ８とは、湯道１１とゲート１２とで連通さ
れている。１３は注湯口９から注入されて射出ス
リーブ１０に蓄えられた溶湯を示している。一
方、固定盤２側には、射出シリンダ１４が設けら
れており、これに送入された油圧によつて進退す
るピストンロツド１５にカツプリング１６を介し
て連結されたプランジヤ１７の頭部であるプラン
ジヤチツプ１８は、射出スリーブ１０に進退自在
に嵌入されている。１９はカツプリング１６に固
定され射出シリンダ１４に沿つて延びるストライ
カであつて、固定部分に装着された磁気ヘツド２
０と対向する磁気スケール２１を備えており、磁
気ヘツド２０が磁気スケール２１の位置を検出し
て発する信号により、プランジヤ１７の進退動が
制御されるように構成されている。

以上のように構成されていることにより、型締
シリンダで可動盤４を移動させて金型５，６の型
締を行なつたのち、注湯口９から射出スリーブ１
０内へ溶湯１３を注入し、射出シリンダ１４の圧
油を送入してプランジヤ１７を図示の位置から前
進させると、溶湯１３は湯道１１とゲート１２を
経てキヤビテイ８内に射出され、製品が得られ
る。鋳込後は、可動盤４の移動により金型５，６
を開き、図示しない製品押出装置で製品をキヤビ
テイ８から押し出すことにより１回の鋳込サイク
ルが終了する。

このようなダイカストマシンにおける射出シリ
ンダ１４の射出速度は、最初低速でスタートして
キヤビテイ８へ溶湯１３が届くと同時に高速に
し、このままの高速で溶湯の充填を終つてプラン
ジヤを停止させるというパターンが従来からとら
れており、この速度制御は、前記磁気ヘツド２０
からのプランジヤ位置検出信号により油圧回路内
に設けた流量調節弁等の開度を変えることによつ
て行なわれている。

しかしながら、このような射出シリンダ１４と
その油圧回路においては、プランジヤチツプ１８
が射出スリーブ１０内を前進するときにスリーブ
１０内壁との間のかじりなどによつて負荷が変動
すると、プランジヤ１７の前進速度が変動し、ま
た射出圧力も変動するので、製品の品質が不均一
になるという問題があつた。

そこで従来、射出シリンダのピストン内に中空
状のスプールを設け、この射出シリンダにランア
ランド回路を設けることによつてこの欠点を解消
することが行なわれている。第３図はこの種射出
シリンダの断面図とその油圧回路図であつてこれ
を同図に基いて説明すると、シリンダ３０の内孔
に進退自在に嵌合されたピストン３１には、有底
中空状のピストンロツド３２が一体形成されてシ
リンダ３０から突出しており、この突出部は第２
図に示すプランジヤ１７にカツプリング１６を介
して連結されている。３３は、シリンダ３１の一
端に固定された有底中空状のスプールであつて、
シール材３４を介してピストンロツド３２の内孔
に挿入されており、スプール３３の内孔とピスト
ンロツド３２の内孔、およびピストンロツド３２
の内孔とシリンダ３０の内孔とは、複数個のポー
ト３５，３６によつてそれぞれ連通されている。
一方、アキユムレータ３７には、前記磁気ヘツド
２０と電気接続されたパイロツトチエツク弁３８
と可変絞り弁３９とを備えた高速配管４０と、同
じく磁気ヘツド２０と電気接続されたパイロツト
チエツク弁４１と可変絞り弁４１とを備えた低速
配管４３とが並列状に接続されている。また、両
配管４０，４３の合流部は、配管４４によつてシ
リンダ３０のヘツドエンド側ポート４５に接続さ
れており、またチエツク弁４６を備えた配管４７
によつてシリンダ３０のロツドエンド側ポート４
８に接続されているとともに、チエツク弁４９を
備えた配管５０によつてスプール３３に設けたポ
ート５１に接続されている。

このように構成されていることにより、図示の
状態において磁気ヘツド２０からの信号で低速配
管４３上のパイロツトチエツク弁４１が開き、ア
キユムレータ３７からの圧油は可変絞り弁４２に
設定された流量でポート４５へ送られ、ピストン
３１が前進して低速で射出が開始される。このと
きロツドエンド側の圧油はポート４８から配管４
７を通つて配管４４に合流するとともに、ポート
３５、スプール３３の内孔、ポート５１および配
管５０を経て配管４４に合流し、これらによつて
ランアランド回路が形成される。

そして、第２図における溶湯１３がキヤビテイ
８に届くと、磁気ヘツド２０がプランジヤ１７の
位置を検出して信号を発し、高速配管４０側のパ
イロツトチエツク弁３８が開き、アキユムレータ
３７からの圧油は可変絞り弁３９に設定された流
量でポート４５へ送られ、射出速度が高速に切替
えられる。ランアランド回路が形成されることは
低速の場合と同じである。

このように構成されていることにより、シリン
ダ３０のロツドエンド側には、射出開始時から圧
力が作用しているので、プランジヤチツプ１８の
かじりなどによる負荷変動があつても射出速度に
影響しない。

〔考案が解決しようとする問題点〕

しかしながら、このような第３図に示す従来の
射出シリンダにおいては、低速射出から高速射出
への切替に際し、低速側のパイロツトチエツク弁
４１を閉じて高速側のパイロツトチエツク弁３８
を開くという操作をすると、切替の瞬間に射出速
度が急低下しプランジヤチツプ１８がハンチング
して製品に巣ができたりするので、これを避ける
ために低速側のパイロツトチエツク弁３８を開い
たまま高速射出への切替を行なつており、この結
果、次のような問題が発生していた。

すなわち、例えば可変絞り弁４２による低速射
出速度を0.1ｍ／secに設定し、可変絞り弁３９に
よる高速射出速度を３ｍ／secに設定して射出作
業を行なつたのち、製品仕様の変更により鋳込条
件を変えようとして低速側可変絞り弁４２の設定
値を0.1ｍ／secから0.5ｍ／secに変更すると、高
速射出への切替時に高速射出速度が3.1ｍ／secか
ら3.5ｍ／secになつてしまい、製品に悪影響を及
ぼすという問題があつた。

〔問題点を解決するための手段〕

このような問題点を解決するために本考案で
は、中空状ピストンロツド内に挿入されてこれを
摺動自在に支持する中空状スプールを備えた射出
シリンダの、ロツドエンド側ポートとヘツドエン
ド側ポートとを接続するランアランド回路内に低
速射出用流量調節装置を設けるとともに、この射
出シリンダのスプールに設けたポートとシリンダ
のヘツドエンド側ポートとを接続するランアラン
ド回路内に高速射出用流量調節装置を設けた。

〔作 用〕

射出シリンダのヘツドエンド側へ送油するとピ
ストンが前進するとともに、低速側ランアランド
回路内のパイロツトチエツク弁が開き、低速用可
変絞り弁に設定された流量の圧油が合流してヘツ
ドエンド側ポートへ送られ、低速射出が行なわれ
る。このとき高速側ランアランド回路内の高速側
パイロツトチエツク弁は閉じている。溶湯の先端
部がキヤビテイに達して低速側パイロツトチエツ
ク弁が閉じ高圧側パイロツトチエツク弁が開く
と、高速用可変絞り弁に設定された流量の圧油が
合流してヘツドエンド側ポートへ送られ高速射出
に切替えられる。この場合、高速射出への切替時
に高速、低速両方のパイロツトチエツク弁が同時
に閉じることがあつても、シリンダのヘツドエン
ド側へはメーンの回路によつて送油が続けられて
いるので、ピストンロツドの速度が急低下しな
い。また、低速側の射出速度を変更しても高速側
のランアランド回路が独立しているので高速射出
速度が変化しない。

〔実施例〕

第１図は本考案に係るダイカストマシンの射出
装置の実施例を示す射出シリンダの縦断面図とそ
の油圧回路図であつて、射出シリンダの構成は第
３図に示す従来の射出シリンダと同構成であるか
ら、各部材にはこれと同符号を付してその詳しい
説明を省略する。また射出シリンダ以外の射出装
置全体の構成は第２図に示す従来の装置と同構成
であるからその説明を省略しこのあと必要あると
きは同図を用いて説明する。図において、N₂ガ
ス貯蔵用のタンク６０に接続されたピストンアキ
ユムレータ６１は、N₂ガスの圧力によりピスト
ン６２が前進して内部の圧油６３を所定圧力で送
り出すものであつて、このピストンアキユムレー
タ６１とシリンダ３０のヘツドエンド側ポート４
５とは配管６４で接続されており、この配管６４
内には、電磁弁６５からのパイロツト圧の遮断に
よつて開くパイロツトチエツク弁６６が設けられ
ている。また、シリンダ３０のロツドエンド側ポ
ート４８と配管６４とを接続する配管６７内に
は、電磁弁６８からのパイロツト圧の作用によつ
て閉じるパイロツトチエツク弁６９と、前記磁気
ヘツド２０からの信号で開閉する開閉弁７０と、
低速射出のための流量を設定可能な低速用の可変
絞り弁７１とが配設されており、これによつて配
管６４へ合流する低速側のランアランド回路が形
成されている。さらに、スプール３３のポート５
１と配管６４とを接続する配管７２内には、電磁
弁７３からのパイロツト圧の遮断によつて開くパ
イロツトチエツク弁７４と、高速射出のための流
量を設定可能な高速用の可変絞り弁７５とが配設
されており、これによつて配管６４へ合流する高
速側のランアランド回路が形成されている。

以上のように構成された射出装置の動作を説明
する。図示の状態において射出開始の指令によつ
て電磁弁６５のソレノイドが作動すると、パイロ
ツト圧が遮断されてパイロツトチエツク弁６６が
開き、ピストンアキユムレータ６１内の圧油６３
が設管６４を経てヘツドエンド側ポート４５へ送
給される。このとき高速側のパイロツトチエツク
弁が閉じており、低速側のパイロツトチエツク弁
６９と切替弁７０とが開いているので、シリンダ
３０のロツドエンド側にある圧油は可変絞り弁７
１に設定された流量により配管６７内を流れて配
管６４内を流れる圧油に合流する。したがつてピ
ストンロツド３２は、例えば0.1ｍ／secの低速で
前進し、プランジヤチツプ１８が前進してキヤビ
テイ８への溶湯１３の低速射出が行なわれる。

溶湯１３の先端部がキヤビテイ８に達すると、
磁気ヘツド２０がこのときのピストンロツド３２
の位置を検出して信号を発し、この信号により高
速射出用の電磁弁７３のソレノイドが作動してそ
のパイロツト圧でパイロツトチエツク弁７４が開
くとともに、低速側の開閉弁７０が閉じ、パイロ
ツトチエツク弁６９もパイロツト圧で閉じ。した
がつてシリンダ３０のロツドエンド側にある圧油
は、ポート３６、ポート３５、ポート５１を経て
配管７２に流れ、可変絞り弁７５に設定された流
量により配管６４内の圧油に合流する。この結
果、ピストンロツド３２は、例えば３ｍ／secの
高速に切替られて前進し、プランジヤチツプ１８
が前進して溶湯１３がキヤビテイ８へ充填され
る。

このような低速射出から高速射出への切替に際
しては、低速、高速両方のパイロツトチエツク弁
６９，７４が同時に閉じることがあつても、この
間に配管６４からの圧油がポート４５へ送給され
ているので、ピストンロツド３２の前進速度が急
低下することがない。

また、射出作業を終つたのち、製品仕様の変更
により鋳込条件を変えようとして低速側可変絞り
弁７１の設定値を例えば0.1ｍ／secから0.5ｍ／
secに変更しても、高速側のランアランド回路と
低速側のランアランド回路とがそれぞれ独立して
いるので、高速射出への切替時に高速射出速度が
変らない。

なお、配管６４内にも可変絞り弁を設ければ、
流量調節がさらに容易であるが、これは必ずしも
設ける必要はない。

〔考案の効果〕

以上の説明により明らかなように、本考案によ
ればダイカストマシンの射出装置において、中空
状ピストンロツド内に挿入されてこれを摺動自在
に支持する中空状スプールを備えた射出シリンダ
の、ロツドエンド側ポートとヘツドエンド側ポー
トとを接続するランアランド回路内に低速射出用
流量調節装置を設けるとともに、この射出シリン
ダのスプールに設けたポートとシリンダのヘツド
エンド側ポートとを接続するランアランド回路内
に高速射出用流量調節装置を設けたことにより、
低速射出から高速射出への切替時に低速、高速両
方のパイロツトチエツク弁が同時に閉じることが
あつてもメーン配管からの圧油がシリンダに送給
され続けているので、ピストンロツドの前進速度
が急低下せず製品の品質を良好な状態に維持する
ことができる。また、製品仕様の変更等によつて
低速射出速度を可変絞り弁によつて調節しても、
低速回路と高速回路とがそれぞれ独立しているこ
とにより高速射出速度が変化することがなく、従
来と比べて製品の品質が向上する。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案に係るダイカストマシンの射出
装置の実施例を示す射出シリンダの縦断面図とそ
の油圧回路図、第２図は従来におけるダイカスト
マシンの射出装置の概略側面図、第３図は同じく
射出シリンダの縦断面図とその油圧回路図であ
る。 ３０……シリンダ、３２……ピストンロツド、
３３……スプール、４５……ヘツドエンド側ポー
ト、４８……ロツドエンド側ポート、５１……ポ
ート、６７，７３……配管、６９，７４……パイ
ロツトチエツク弁、７１……低速用可変絞り弁、
７５……高速用可変絞り弁。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. シリンダ内で進退する中空状のピストンロツド
   と前記シリンダのヘツドエンド側に固定されて前
   記ピストンロツドの内孔へ摺動自在に挿入された
   スプールとからなる射出シリンダと、前記シリン
   ダのロツドエンド側ポートとヘツドエンド側ポー
   トとを接続する第１のランアランド回路と、前記
   スプールの固定側に設けたポートとシリンダのヘ
   ツドエンド側ポートとを接続する第２のランアラ
   ンド回路を備えるとともに、前記第１のランアラ
   ンド回路内に低速射出用流量調節装置を設け、第
   ２のランアランド回路内に高速射出用流量調節装
   置を設けたことを特徴とするダイカストマシンの
   射出装置。