JPH0450288Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） この考案はロールの構造に関し、さらに詳しく
は紙、フイルム等のウエブ用巻取機、送出機等に
付設されるコンタクトロール、接合プレスロール
等の構造に関する。

（従来の技術） 紙、フイルム等の巻取機には巻かれたロールウ
エブがしわにならず整然と巻き取られるようにコ
ンタクトロールが使用されている。このコンタク
トロールは連続的に搬送されてきたウエブの流れ
方向を変えるとともにロール状に巻かれたウエブ
の表面を押圧するように構成されている。しかし
ながら、コンタクトロールの押圧部分ではウエブ
の巻き込みと同時に空気をも巻き込み、空気が入
つたロールウエブはその端部が不揃いとなつた
り、しわが生じたりするという弊害があつた。

このような問題を解決するために、例えば、実
開昭60−193346号公報記載のようなコンタクトロ
ールが提案されている。このロールはウエブへの
空気の巻き込み防止と巻き込まれた空気の追い出
しを図るために、パイプ状のロール芯の外周にゴ
ム、合成樹脂等によつて外被部を形成してロール
本体を成型し、このロール本体の外周にロール本
体の中央部において方向が逆になり、ロール本体
から一定高さ突出する筋状部材を巻回したもので
ある。

そして、このようなロールは一般に次のような
方法で製造されていた。

即ち、ロール芯の外周にゴムを被覆して外被部
を形成した後、まずこれを加硫する。加硫後、前
記外被部を形成するゴム層表面に所定の螺旋状の
溝を刻設する。次いで、別途加硫成形してなる筋
状部材を前記ロール本体の溝に埋め込んで一体に
接着するか、あるいは、未加硫の筋状部材を前記
螺旋状の溝に埋め込み再度加硫することによつて
一体に製造していた。

（考案が解決しようとする問題点） しかしながら、上記従来のロール構造にはそれ
ぞれ次のような問題がある。

即ち、この種コンタクトロールは巻き取りの導
入部に位置して連続的に搬送されてきたウエブの
流れを変えるとともに、ロール状に巻かれたウエ
ブの表面を一定の力で押圧するように構成されて
いる。ロールウエブを押圧する時は軸に力がかか
るのでロールに撓みが生じてニツプ幅が不均一に
なる。このニツプ幅を均一にするためにはロール
の外周面を断面において円弧状に、即ち、クラウ
ン加工すればよい。しかしながら、クラウン加工
したロールでは均一なニツプ幅を得ることができ
るものの、ロールの中央部と両端部では円周長が
異なるために回転速度に差異が生じる。このため
に、ロールウエブにしわが生じたり、型崩れ等の
弊害が発生する。

また、クラウン加工したロールには、実公昭60
−193346号公報記載のような空気の巻き込み防
止、しわの除去を図るための筋状部材を設けるこ
とは困難である。これはクラウン加工したロール
では筋状部材を設けるための溝加工、さらに、詰
め込んだ筋状部材の研磨仕上げが極めて難しいか
らである。

（問題点を解決するための手段） この考案は上記に鑑みてなされたものであり、
従来の問題点を解決し、ニツプ幅を均一にし、し
かもロール状に巻かれるウエブへの空気の巻き込
みを防止するために次のような構成とした。

即ち、ロール芯の外周に可撓性材料からなる内
側カバー層と外側カバー層の２層のカバー層を設
け、前記内側カバー層を外側カバー層よりも軟質
の可撓性材料により外径が中央部から両端部に向
かつて漸次小さく形成するか、または前記内側カ
バー層を外側カバー層よりも硬質の可撓性材料に
より外径が中央部から両端部に向かつて漸次大き
く形成し、一方、前記外側カバー層は全長におい
て同一の外径寸法に形成するとともに、外周面に
ロール本体の中央部において方向が逆になる螺旋
状の溝を刻設する構造としたものである。

（実施例） 以下、この考案に係るロールの構造について詳
細に説明する。

第１図は断面図、第２図は一部拡大断面図であ
る。ロール本体１は両端に軸２を有するパイプ状
のロール芯３と、このロール芯３の外周面に形成
された内側カバー層４と、この内側カバー層４の
外周に設けられた外側カバー層５とからなり、外
側カバー層５にはロール本体中央部において方向
が逆になる螺旋状の溝６が刻設されている。

内側カバー層４と外側カバー層５は、例えば、
ゴム、プラスチツク等の可撓性材料からなり、硬
度が異なつている。内側カバー層４とロール芯３
との接着強度をよくするために、ロール芯３の表
面をシヨツトブラストまたはサンドブラストによ
つて表面処理を行い、その表面に接着剤を塗布し
た後、内側カバー層４を形成する。内側カバー層
４は円弧状に形成されており、その外径は中央部
から両端部に向かつて漸次小さくなつている。こ
のように、内側カバー層４を円弧状に形成した場
合には外側カバー層５よりも軟質の可撓性材料を
用いるのが好ましい。

外側カバー層５は内側カバー層４の外周に充分
な強度をもつて被覆接着されており、その外径は
一端から他端に亙つて等しくされている。従つ
て、外側カバー層５は中央部から両端部に向かつ
て漸次肉厚に形成されることになる。この外側カ
バー層５は内側カバー層４よりも硬質の可撓性材
料からなり、全体としてカバー層の圧縮量は中央
部よりも両端部にむかつて小さくなつている。

さらに、この考案に係るロールでは外側カバー
層５の外周面にロール本体１の中央部において方
向が逆になる螺旋状の溝６が刻設されている。溝
６の断面形状は楕円形状であり、開口部がつぼめ
られている。即ち、溝６の開口部の幅は内部の最
大幅よりも小さい。このように、溝６の開口部を
つぼめることによつて圧縮が容易になる。

第３図及び第４図は他の実施例における溝の断
面形状を示すもので、第３図は台形状のあり溝６
ａを刻設した場合であり、第４図は円形の一部を
切り取つた略Ｕ字状溝６ｂを刻設した場合であ
る。これらの実施例においても開口部の直径は内
部における最大直径よりも小さく、開口部がつぼ
められている。

尚、上記実施例では内側カバー層４の外周を円
弧状に形成した場合について説明したが、これと
は逆に内側カバー層４を中央部がくびれた鼓形
状、即ち、内側カバー層４の外径を中央部から両
端部に向かつて漸次大きく形成してもよい。この
場合にも外側カバー層５の外径は一端から他端ま
で同一に形成し、内側カバー層４よりも軟質の可
撓性材料を用いる。従つて、ロール全体としてカ
バー層の圧縮量は中央部よりも両端部にむかつて
小さくなつている。外側カバー層５の溝の形成は
前記実施例と同様であるのでその説明は省略す
る。

（考案の効果） 以上、説明したように、この考案に係るロール
は２層のカバー層を設け、中央部分から両端部に
向かつて次第に圧縮量を小さくなる構造としたか
ら、ロールの外径は一端から他端に亙つて同一で
あつてもニツプ幅が均一になり、また、ロール全
体として均一な回転速度を維持することができ、
ロールウエブにしわが生じることがない。

また、ロール外径が均一であるために溝加工が
容易であり、溝はロールウエブに対する空気の巻
き込み防止と、巻き込んだ空気の追い出し作用を
するのでロールウエブ間の空気を完全に除去する
ことができる。

【図面の簡単な説明】

第１図はこの考案に係るロールの概要を示す正
面断面図、第２図は第１図の一部拡大断面図、第
３図及び第４図は溝形状の他の実施例を示す一部
拡大断面図である。 １はロール本体、２は軸、３はロール芯、４は
内側カバー層、５は外側カバー層、６，６ａ，６
ｂは溝である。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. ロール芯の外周に可撓性材料からなる内側カバ
   ー層と外側カバー層の２層のカバー層を設け、前
   記内側カバー層を外側カバー層よりも軟質の可撓
   性材料により外径が中央部から両端部に向かつて
   漸次小さく形成するか、または前記内側カバー層
   を外側カバー層よりも硬質の可撓性材料により外
   径が中央部から両端部に向かつて漸次大きく形成
   し、一方、前記外側カバー層は全長において同一
   の外径寸法に形成するとともに、外周面にロール
   本体の中央部において方向が逆になる螺旋状の溝
   を刻設したことを特徴とするロールの構造。