JPH0446143Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 産業上の利用分野 本考案はオイルシール装置に関し、特にクラン
ク室予圧縮式二サイクル内燃機関のクランクケー
スとクランク軸との間の間〓を封合するのに適す
るオイルシールに係る。

従来の技術 従来のこの種オイルシールの一例として、クラ
ンク軸をクランクケースに対して回転可能に支持
する軸受に一体に組込まれて構成されたものがあ
る。このような構成のオイルシールは特殊な仕様
に基づいて製作されるのでその製作にかなり多く
の手間と費用がかかるうえに、軸受の外周面及び
内周面の封合が不完全であり、かつ軸受として重
量が比較的重くなるという欠点がある。

また、別の従来例として、外周縁に軸線方向に
延在する周壁を一体に形成しカツプ状支持部材
と、その内周縁に支持された環状弾性封合部材と
を有し、環状支持部材の軸線方向周壁の先端を装
置の軸線方向内方に向けて保持されたオイルシー
ルが知られている。この種のオイルシールは、ク
ランクケース側にクランクケースの内部空間に連
通する比較的大きいデツドスペースを形成するた
め、その分だけクランクケースの内部空間容積が
増大し、このため、クランク室予圧縮式二サイク
ル内燃機関の場合、混合気の一次圧縮比が低下
し、機関効率を低下させるという欠点がある。

考案が解決しようとする問題点 そこで、本考案はこのような従来のオイルシー
ルの欠点を取除くと共に簡単で便利な形のオイル
シールを提供することを目的とする。

問題点を解決するための手段 このような問題点を解決するため、本考案に係
るオイルシール装置は、軸線方向外方に開いたカ
ツプ状断面形状を有しかつ装置の固定構造の大径
開口部分内に支持される環状支持部材と、前記固
定構造の小径開口部分内に配設された軸受に支持
された回転軸の外周面に相対的摺擦回転可能に接
触する環状弾性封合部材とを有し、前記環状支持
部材の半径方向内方へ突出する環状突出部分に前
記環状弾性封合部材を固定するとともに、前記環
状支持部材の内方端壁部分を前記大径開口部分及
び小径開口部分の間の段部と前記軸受の外方端面
に当接せしめて構成されている。

作 用 従つて本考案の構成により、オイルシールによ
つて封合される装置の内部空間は、コ字状断面形
状環状支持部材の外方に開いたカツプ状断面形状
の体積分だけ減少する。

実施例 次に、本考案を図面の実施例に基づいて説明す
る。

図示した本実施例は本考案をチエーンソー用の
クランク室予圧縮式二サイクル内燃機関に適用し
た例であり、本考案により構成されたオイルシー
ル１は二サイクル内燃機関のクランクケース２及
びクランク軸３の間の間〓を封合するために設け
られている。クランクケース２はその一端部に軸
線方向に開いた段付開口４を形成して有し、開口
４は球軸受などのころがり軸受５が配設された小
径開口部分６と、それより軸線方向外方に同軸状
に形成されてオイルシール１を配設した大径開口
部分７とを有する。クランク軸３は軸受５によつ
て回転可能に支持されて開口４からクランクケー
ス２の外部へ延在している。クランク軸３のクラ
ンクケース２から外部に延在する部分の周囲に、
オイルポンプ装置などを含む固定部分８が開口４
を形成したクランクケース２の端部に隣接して配
置されている。

オイルシール１は、金属などの材料で作られた
環状支持部材９と、該支持部材９に支持されかつ
ゴムなどの弾性材料で作られた環状弾性封合部材
１０とを有する。

支持部材９は、コ字状断面形状に形成された全
体としてクランクケース２の軸線方向外方に開い
たカツプ状の薄壁構造を有し、その軸線方向外方
に延びる外周壁部分１１はクランクケース２の開
口４の大径開口部分７の内周面に密嵌されてい
る。外周壁部分１１の内方端から半径方向内方へ
延びる内方端壁部分１２は、クランクケース２の
開口４の段部１３及び軸受５の外方端面に当接し
ている。更に、内周壁部分１４は大径開口部分７
内で内方端壁部分１２の内周端から外周壁部分１
１と同心状に軸線方向外方に延在しており、外周
壁部分１１、内方端壁部分１２及び内周壁部分１
４は軸線方向外方へ開いた環状空間１５を画成し
ている。更に、内周壁部分１４はその外方端に半
径方向内方へ突出する環状内方突出壁部分１６を
一体に形成しており、この内方突出壁部分１６に
ゴム等の弾性材料よりなる環状弾性封合部材１０
が支持されている。

該封合部材１０は半径方向外方へ開いた環状溝
１７を形成して有し、この環状溝１７が支持部材
９の内方突出壁部分１６に嵌合しかつ焼付けなど
で固着されて、封合部材１０を支持部材９に固定
している。封合部材１０は軸線方向内方へ延在す
るその先端部分１８の内周面にクランク軸３の外
周面に接触する封合部１９を形成している。前記
先端部分１８はその外周面にばねリング２０を装
着しており、ばねリング２０は先端部分１８を半
径方向内方へ偏圧して封合部１９をクランク軸３
の外周面に密着させ、それらの間を流体密に封合
すると共にそれらの間の相対的摺擦回転を可能に
する。

更に、封合部材１０は封合部１９より軸線方向
外方の部分に環状のダスト阻止リツプ部分２１を
形成して有し、該リツプ部分２１はクランク軸３
の外周面に摺擦係合してダストが外部からクラン
クケース２の内部へ侵入するのを阻止する。更
に、封合部材１０は支持部材９への取付端部に軸
線方向外方へ突出する環状突出部分２２を一体に
形成しており、該突出部分２２はクランクケース
２の端面から外方へ突出して固定部分８との間で
異物の侵入を二重に阻止する。

本実施例の構成により、クランクケース２の開
口４の大径開口部分７は、その外周寄りのデツド
スペースとしての環状空間１５がオイルシール１
の支持部材９の内方端壁部分１２及び内周壁部分
１４で区画され、軸受５を介してクランクケース
２の内部空間に連通する残りのデツドスペース部
分２３はその容積を大きく縮小されている。ま
た、クランクケース２の内部空間内で混合気を一
次圧縮することにより生じる大径開口部分７のデ
ツドスペース部分２３内の圧力上昇は封合部材１
０をクランク軸３へ押圧する方向に作用し、この
ためクランクケース２内部からの流体の漏洩を確
実に防止する。なお、図示実施例によれば、内方
端壁部分１２と環状内方突出壁部分１６の二つの
面が部材相互の位置決め用に利用でき、断面係数
を大きくして支持部材９を薄肉とすることができ
て好適であるが、内周壁部分１４を設けずに、内
方端壁部分１２の半径方向内方端に直接封合部材
１０を取着することも可能であり、この場合はデ
ツドスペース２３を一層縮小することができる。

考案の効果 以上説明した本考案の構成により、本考案は特
にクランク室予圧縮式二サイクル内燃機関のクラ
ンク軸に軸封用に好適に利用することができ、そ
の場合クランク室のデツドスペースを減少し、そ
れにより混合気の一次圧縮比を増加して機関効率
を改善すると共に、クランク室のデツドスペース
の減少分だけクランクウエブの体積を減らすこと
ができ、機関の軽量化をはかることができ、さら
に、従来のデツドスペースを外方に向けて開放せ
しめて有効に利用できるなどの効果を奏する。

【図面の簡単な説明】

図面は本考案によるオイルシール装置の一実施
例を組込んだチエーンソー用のクランク室予圧縮
式内燃機関の要部の破断断面図である。 １……オイルシール、９……環状支持部材、１
０……環状弾性封合部材。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 軸線方向外方に開いたカツプ状断面形状を有し
   かつ装置の固定構造の大径開口部分内に支持され
   る環状支持部材と、前記固定構造の小径開口部分
   内に配設された軸受に支持された回転軸の外周面
   に相対的摺擦回転可能に接触する環状弾性封合部
   材とを有し、前記環状支持部材の半径方向内方へ
   突出する環状突出部分に前記環状弾性封合部材を
   固定するとともに、前記環状支持部材の内方端壁
   部分を前記大径開口部分及び小径開口部分の間の
   段部と前記軸受の外方端面に当接せしめたことを
   特徴とするオイルシール装置。