JPH0752356Y2 - 二サイクルエンジンのクランク室シール装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 この考案は、二サイクルエンジンのクランク室シール装
置の改良に関する。

〔従来の技術〕

二サイクルエンジンは、クランク室で吸気の一次圧縮を
行うので、オイルシールなどによって気密にする必要が
ある。クランク軸に出力取出しギヤとスターターを取付
ける場合は、第３図に示すように、クランクケースＡに
取付けたベアリングＢにクランク軸Ｃを挿通軸架し、内
周にシールリップＤを設けたワッシャＥをクランク軸Ｃ
に挿入してベアリングＢに当て、シールリップＤをクラ
ンク軸Ｃの外周に弾接させてシールし、スターターハブ
Ｆの軸筒部Ｇをクランク軸Ｃに挿入してスプラインＨ噛
合せで一体回転にし、軸筒部Ｇの外周にオイルシールＪ
を装着してシールするようにしている。尚、スターター
ハブＦがない場合には、下側に示すように軸筒部Ｇの部
分にスペーサー筒Ｋを取付ける。こうしてクランクケー
スＡとクランク軸Ｃの間をシールしている。

〔考案が解決しようとする課題〕

エンジンの分解修理のような場合には、クランク軸Ｃを
抜取ることがある。クランク軸Ｃを抜取ると、シールリ
ップＤを設けたワッシャＥが自由になり、オイルシール
Ｊの取付けのために設けた、クランクケースＡの孔の部
分にワッシャＥが落込み、クランク軸Ｃと芯ずれして、
クランク軸Ｃを再組付けで通すときに組付け難い。又、
それだけでなく、シールリップＤやオイルシールＪを傷
つけて洩れを生じる不都合がある。

この考案は、かかる点に鑑み、組付け作業がし易く、オ
イルシールのリップを切ることが少く、シールが確実に
できる二サイクルエンジンのクランク室シール装置を得
ることを目的とする。

〔課題を解決するための手段〕

上記目的を達成するために、この考案の二サイクルエン
ジンのクランク室シール装置は、クランクケースに取付
けたベアリングにクランク軸を軸架し、内側内周に内側
内周にシールリップを設けた筒体をクランク軸に挿入し
てベアリングに突当ててシールリップをクランク軸外周
に弾接させ、更にクランク軸に取付けるスターターハブ
の軸筒部をスプラインで回転一体にクランク軸に挿入し
て先端を筒体に突当て、筒体と軸筒部の外側にダブルリ
ップのオイルシールを装着し、筒体と軸筒部の突当て部
をダブルリップの中間に設けて、ダブルリップの一方を
筒体の外周に弾接させ、他方を軸筒部の外周に弾接させ
るようにしたことにある。

〔作用〕

クランク軸の外周と筒体との間は、筒体に設けたシール
リップでシールできる。そして、筒体の外周とスタータ
ーハブの軸筒部の外周は、ダブルリップのオイルシール
でシールでき、クランクケースとクランク軸の間を確実
にシールすることができる。分解修理などでクランク軸
を外した場合、筒体及び軸筒部は、オイルシールによっ
て保持されていて、芯ずれすることがないので、クラン
ク軸を再び組付ける作業が楽にでき、シールリップ及び
オイルシールのダブルリップを傷つけることもなくな
る。

〔実施例〕

以下、本考案の実施例を第１図及び第２図によって説明
する。

クランクケース１に設けた円孔に、ベアリング２のアウ
ターレースを固定する。ベアリング２のインナーレース
には、クランク軸３を挿通して軸架する。筒体４には内
側内周に弾性体でできたシールリップ５が取付けてあ
り、筒体４をクランク軸３に挿入してベアリング２のイ
ンナーレースに突当て、シールリップ５をクランク軸３
の外周に弾接させてシールする。スターターハブ６は、
ワンウェイクラッチ７を介してスターターギヤー８を取
付けたもので、軸筒部９をクランク軸３に挿入し、スプ
ライン10で一体に回転するようにして、先端を筒体４に
突当てる。クランクケース１のベアリング２の外側に
は、ダブルリップ11にしたオイルシール12を装着する。
筒体４と軸筒部９の突当て部をダブルリップ11の中間に
設け、ダブルリップ11の一方を筒体４の外周に弾接さ
せ、他方を軸筒部９の外周に弾接させてシールする。尚
第２図の二点鎖線部は、各々シールリップ５とダブルリ
ップ11の自由時を示す。クランクシャフト３には、更に
先端側に、タコメーターギヤー13と出力取出しギヤー14
を挿入し、ナット15で締着するようになっている。

〔考案の効果〕

以上説明したように、この考案は、上述のように構成し
たので、クランク軸の外周は筒体のシールリップでシー
ルでき、筒体とスターターハブの軸筒部の外周はオイル
シールのダブルリップでシールでき、クランクケースと
クランク軸の間を確実にシールすることができる。又、
分解修理などでクランク軸を外した場合に、筒体をオイ
ルシールで保持しておくことができ、クランク軸を再び
組付けるときに芯ずれがなくて、簡単に組付けることが
できる。そして、オイルシールのダブルリップを傷つけ
る心配も防ぐことができる。又、部品点数が増すことが
なく、コストアップなしで実施できる。

【図面の簡単な説明】

第１図及び第２図は本考案の一実施例を示し、 第１図は縦断面図、 第２図は要部拡大縦断面図、 第３図は従来例を示す縦断面図、 である。 １……クランクケース、２……ベアリング、３……クラ
ンク軸、４……筒体、５……シールリップ、６……スタ
ーターハブ、９……軸筒部、10……スプライン、11……
ダブルリップ、12……オイルシール。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】クランクケースに取付けたベアリングにク
   ランク軸を軸架し、内側内周にシールリップを設けた筒
   体をクランク軸に挿入してベアリングに突当ててシール
   リップをクランク軸外周に弾接させ、更にクランク軸に
   取付けるスターターハブの軸筒部をスプラインで回転一
   体にクランク軸に挿入して先端を筒体に突当て、筒体と
   軸筒部の外側にダブルリップのオイルシールを装着し、
   筒体と軸筒部の突当て部をダブルリップの中間に設け
   て、ダブルリップの一方を筒体の外周に弾接させ、他方
   を軸筒部の外周に弾接させるようにしたことを特徴とす
   る二サイクルエンジンのクランク室シール装置。