JPH0444635Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〈産業上の利用分野〉 本考案は、多色空気噴射式織機、特に３本以上
のノズルを用いて３本以上の緯糸を選択的に緯入
れする空気噴射式織機のノズル配置構造に関す
る。

〈従来の技術〉 従来、多色空気噴射式織機として、第７図及び
第８図に示すように、特殊筬方式のもの、すなわ
ち、筬１の筬羽２の織前３側に上下関係に凸部
４，５を形成して、それらの間に凹部６を形成す
ることにより、筬１の前面に凹部６の列による案
内溝７を形成し、この案内溝７の緯入れ側の側方
に緯糸Ａ〜Ｄ毎に設けたノズル８Ａ〜８Ｄのうち
所定のものを選択して、その選択したノズルから
空気を噴射することにより、緯糸を案内溝７に射
出し、この射出した緯糸を案内溝７に沿つて所定
の間隔で配設した複数の補助ノズル９Ａ〜９Ｎか
らの空気噴射により次々と吹送つて緯入れするよ
うにしたものが知られている。

このものにあつては、第８図に示すように反緯
入れ側の側方から見て４本のノズル８Ａ〜８Ｄを
それらが案内溝７に対しほぼ均等に相対するよう
に配設してある。

尚、１０は筬保持体、１１は緯糸端補足糸、１
２は緯糸検知器、１３は織布である。

〈考案が解決しようとする問題点〉 しかしながら、このように４本のノズル８Ａ〜
８Ｄを使用する場合、各ノズルの大きさを小さく
するのは緯糸牽引力の関係から限界があり、また
案内溝７を構成する凹部６の大きさは緯糸を安定
して飛走させるという観点から小さい方が良いた
め、第８図に示すように案内溝７に全てのノズル
８Ａ〜８Ｄの端面が均等に相対するように配設す
ると、ノズル８Ａ〜８Ｄの一部が案内溝７から外
れて凸部４又は５に重なつてしまう。すると、緯
糸は各ノズル８Ａ〜８Ｄからほぼ一直線状に飛走
するので、まれに緯糸が凸部４又は５に引掛かつ
て緯入れミスを生じることがあるという問題点が
あつた。

本考案は、このような従来の問題点に鑑み、特
殊筬方式において３本以上のノズルを使用しても
緯入れミスを生じることなく好適に緯入れを行う
ことのできる多色空気噴射式織機のノズル配置構
造を提供することを目的とする。

〈問題点を解決するための手段〉 このため、本考案は、筬羽に形成した奥壁と、
この奥壁に対しほぼ直交する上壁と、この奥壁に
対し鈍角をなす下壁とにより、織前側に拡開する
凹部を列設することにより、筬の前面に形成した
案内溝を有する多色空気噴射式織機において、３
本以上のノズルを織機の上下方向及び前後方向に
並べて配置し、そのうち筬側の１本のノズルを案
内溝に相対させると共にその軸線は筬と平行に配
置し、前記１本のノズルに対し上下方向に位置す
る他のノズルはこのノズルに対し下方に位置する
と共に、その軸線は上壁側を指向し、前記１本の
ノズルに対し前後方向に位置する他のノズルはこ
のノズルに対し織前側に位置すると共に、その軸
線は奥壁側を指向し、これらの他のノズルの軸線
は前記１本のノズルの軸線に対し１点で交わるよ
うにする構成としたものである。

〈作用〉 上記の構成においては、１本のノズルは案内溝
に真直ぐに相対しているため、このノズルから射
出される緯糸が案内溝から飛出すことはない。他
のノズルからの緯糸は案内溝内面の反射流が少な
いことと緯糸の飛走慣性力により案内溝から飛出
すことはない。そして、案内溝の大きさを１本の
ノズルが相対し得る大きさに制限できるので、緯
糸を安定して飛走させることができる。また、下
壁は奥壁と鈍角をなしているから、ノズルからの
噴射流が下壁に反射すると、奥壁と反対側の開放
側に反射し、緯糸がその気流に乗つて開放部から
飛び出し易いが、ノズルからの噴射流を飛び出し
易い下壁に指向させることなく、奥壁と上壁とに
指向させるようにしたから、飛び出しを生じるこ
となく、緯入れを行うことができる。

〈実施例〉 以下に本考案の一実施例を第１図〜第６図に基
づいて説明する。但し、図中従来例と同一要素に
は同一符号を付してある。

第４図は多色空気噴射式織機の概要を示してお
り、４本の緯糸Ａ〜Ｄはそれぞれの給糸体（図示
せず）から引出されて、それぞれの緯糸測長貯留
装置２０Ａ〜２０Ｄに貯留されており、各装置２
０Ａ〜２０Ｄからそれぞれのノズル８Ａ〜８Ｄに
引通されている。

緯糸測長貯留装置２０Ａ〜２０Ｄは同一構造で
あり、２０Ａを代表して、第５図及び第６図によ
り説明すると、静止状態に保持されたドラム２１
と、その周囲を旋転して緯糸Ａを巻付ける巻付け
腕２２と、ドラム２１の外周を覆うバルーニング
カバー２３とを備えている。そして、ドラム２１
に巻付けられて貯留される緯糸Ａは、織機のフレ
ームに立設したステー２４に固定してある円板状
のバツフルプレート２５の中央部に取付けたガイ
ド２６から引出して、ノズル８Ａに引通すように
してある。尚、バツフルプレート２５にはドラム
２１の中央部内面に向けてノズル孔２７を開口し
てあり、このノズル孔２７には圧力空気供給源か
らパイプ２８によつて導かれる圧力空気を常時又
は間歇的に供給するようにしてある。したがつ
て、ノズル孔２７から空気が噴射され、その噴射
流はドラム２１の内側に当たつてはね返り、図に
矢印で示すように流れるので、ドラム２１内周面
及びバルーニングカバー２３内周面への風綿の付
着を防止できる。

ノズル８Ａ〜８Ｄは、第１図〜第３図に示すよ
うに配置されている。

すなわち、４本のノズル８Ａ〜８Ｄは織機の上
下方向及び前後方向に２本ずつ並設し、先端部を
互いに近接させてある。

このうち、上側かつ筬側（後側）の最も多く使
用するノズル８Ａは、緯入れ方向に直状にして、
その端面を案内溝７に相対させてある。

上側かつ織前側（前側）のノズル８Ｂは、その
先端部を筬側に屈曲させ、その軸線l_Bが案内溝７
の端部の１点Ｐでノズル８Ａの軸線l_Aと交差し、
さらに案内溝７の底面（凹部６の奥壁）を指向す
るようにしてある。

下側かつ筬側のノズル８Ｃは、その先端部を上
側に屈曲させ、その軸線l_Cが案内溝７の端部の１
点Ｐでノズル８Ａの軸線l_Aと交差し、さらに案内
溝７の上側の側面（凹部６の上壁）を指向するよ
うにしてある。

下側かつ織前側のノズル８Ｄは、その先端部を
上側及び筬側に屈曲させ、その軸線l_Dが案内溝７
の端部の１点Ｐでノズル８Ａの軸線l_Aと交差し、
さらに案内溝７の底面と上側の側面との角部を指
向するようにしてある。

次に作用を説明する。

ノズル８Ａからの緯入れ時には、緯糸Ａはノズ
ル８Ａからの空気噴流に乗つて案内溝７内へ真直
ぐに射出される。したがつて、緯糸Ａはその空気
流により案内溝７に沿つて飛走し、補助ノズル９
Ａ〜９Ｎ（第７図参照）からの空気流に捉えられ
て、飛走位置を制御されつつ搬送される。

ノズル８Ｂからの緯入れ時には、緯糸Ｂはノズ
ル８Ｂからの空気噴流に乗つて案内溝７内へ斜め
に射出される。この際、空気流は案内溝７の底面
に当たるが、この底面は筬羽２が間隙をもつて並
設されることにより形成されているため、ある部
分の空気は筬羽２の間から後方へ逃げる。よつ
て、はね返り流はそれほど多くないので、このは
ね返り流に緯糸Ｂが搬送されても、緯糸Ｂの前方
への進行力が大きいので、織前側へはね返ること
はほとんどなく、またすぐに補助ノズル９Ａ〜９
Ｎからの空気流に捉えられて制御されるので、案
内溝７から緯糸Ｂが飛出すことはない。

ノズル８Ｃからの緯入れ時には、緯糸Ｃはノズ
ル８Ｃからの空気噴流に乗つて案内溝７内へ斜め
に射出される。この際、空気流は案内溝７の上側
の側面に当たるが、この側面も筬羽２の並設部で
あるため、ある部分の空気は筬羽２の間から上方
へ逃げる。また、空気流は案内溝７の上側の側面
と直交する案内溝７の軸線を含む平面内を進行す
るので、はね返り流も同一平面内になる。よつ
て、はね返り流はそれほど多くないこと、このは
ね返り流に緯糸Ｃが搬送されても緯糸Ｃの緯入れ
方向への進行力が大きいこと、及びはね返り流も
同一平面にあることから、緯糸Ｃは案内溝７内を
飛走し、また、すぐに補助ノズル９Ａ〜９Ｎから
の空気流に捉えられて制御されるので、案内溝７
から緯糸Ｃが飛出すことはない。

ノズル８Ｄからの緯入れ時には、緯糸Ｄはノズ
ル８Ｄからの空気噴流に乗つて案内溝７内へ斜め
に射出される。この際、空気流は案内溝７の底面
及び上側の側面に当たるが、これも前記同様筬羽
２の並設部であるため、ある部分の空気が逃げ
る。また、それらからのはね返り流はそれらの間
の角部に集約されるようになるので、その角部で
淀む。したがつて、緯糸Ｄはこの淀み部を飛走す
るようになつて、案内溝７内を飛走し、またすぐ
に補助ノズル９Ａ〜９Ｎからの空気流に捉えられ
制御されるので、案内溝７からの緯糸Ｄが飛出す
ことはない。

〈考案の効果〉 以上説明したように本考案のノズル配置構造に
よれば、案内溝に対し真直ぐに相対させるのは１
本のノズルであるが、上下方向及び前後方向にあ
る他のノズルを、この１本のノズルの軸線に対し
１点で交わるようにしたから、他のノズルからの
緯糸も緯入れミスを生じることなく案内溝内を飛
走させることができる。そして、案内溝の大きさ
を必要限度の大きさに制限できる。また、ノズル
からの噴射流を飛び出し易い下壁に指向させるこ
となく、奥壁と上壁とに指向させるようにしたか
ら、飛び出しを生じることなく、緯入れを行うこ
とができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の一実施例に係るノズル配置構
造を反緯入れ側から見た図、第２図は同上ノズル
配置構造を織前側から見た図、第３図は同上ノズ
ル配置構造を上方から見た図、第４図は多色空気
噴射式織機の概要図、第５図は緯糸測長貯留装置
の概要図、第６図は第５図の側面図、第７図は従
来例を示す多色空気噴射式織機の斜視図、第８図
は同上従来例の側面図である。 １……筬、７……案内溝、８Ａ〜８Ｄ……ノズ
ル。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 ３本以上のノズル８Ａ〜８Ｄを用い、それらの
   ノズルから選択的に緯糸Ａ〜Ｄを、筬羽に形成し
   た奥壁と、この奥壁に対しほぼ直交する上壁と、
   この奥壁に対し鈍角をなす下壁とにより織前側に
   拡開する凹部を列設することにより筬１の前面に
   形成した案内溝７に射出して、緯入れを行うよう
   にした多色空気噴射式織機において、 前記ノズル８Ａ〜８Ｄを織機の上下方向及び前
   後方向に並べて配置し、 筬側の１本のノズル８Ａを案内溝７に相対させ
   ると共にその軸線は筬１と平行に配置し、 前記１本のノズル８Ａに対し上下方向に位置す
   る他のノズル８Ｃ，８Ｄはこのノズル８Ａに対し
   下方に位置すると共に、その軸線は上壁側を指向
   し、 前記１本のノズル８Ａに対し前後方向に位置す
   る他のノズル８Ｂ，８Ｄはこのノズル８Ａに対し
   織前側に位置すると共に、その軸線は奥壁側を指
   向し、 これら他のノズル８Ｂ〜８Ｄの軸線は前記１本
   のノズル８Ａの軸線に対し１点で交わるようにし
   たことを特徴とする多色空気噴射式織機のノズル
   配置構造。