JPH044089B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 ＜産業上の利用分野＞ この発明は、多種類のパレツトの１つを適宜加
工位置に位置決め固定してこのパレツト上に載置
された工作物の加工を行う工作機械に関する。

＜従来技術＞ 従来、加工ユニツトの近傍に工具マガジンを設
置し、この工具マガジンと加工ユニツトの主軸と
の間で工具交換を行う工作機械は公知である。

しかしこのような従来の工作機械において、工
具を交換するには、工具を貯蔵する工具マガジン
ならびにこの工具マガジンと主軸との間で工具を
転送する転送アームを余分に設けなければなら
ず、設置スペース、コストの面で不利となり、と
くに加工個所を何個所も有する工作物の場合に
は、工具を何回も交換しなければならず、これに
要する時間はアイドルタイムとなつて加工能率を
低下させる欠点があつた。

このような欠点を解消するため、工作物を加工
するに必要な工具を予めセツトした状態でパレツ
トを加工位置へ位置決め固定し、このパレツト上
の工具に対して主軸を挿着結合することで短時間
に工具交換を可能にした工作機械をすでに特開昭
57−168808号として提案している。

しかるに上記提案ずみの工作機械は、単軸構成
であるため、加工穴を１ケ所毎に加工しなければ
ならず、その結果加工時間が長くなり、より短時
間に多数の加工穴が加工できる工作機械が要望さ
れていた。

＜発明の目的＞ 本発明はかかる要望を満足するためになされた
ものであり、その目的とするところは、複数の加
工穴を同時に加工して加工時間の短縮を計ること
である。

または本発明の他の目的とするところは、パレ
ツト交換に伴う軸間ピツチの変化に容易に対応で
きるようにすることである。さらに本発明の他の
目的とするところは、パレツト毎に工具を交換す
ることによつて構成を簡単にするとともに、加工
中の工具をパレツトの支持穴に支持することによ
つて加工精度を高めることである。

＜実施例＞ 以下本発明の実施例を図面に基づいて説明す
る。第１図、第２図および第３図において、Ｍは
本発明の工作機械を示し、この工作機械Ｍの前方
にはコンベアＣが設置され、未加工の工作物Ｗを
この工作機械Ｍの前方の搬入搬出位置RPへ搬送
したり、また搬入搬出位置RPへ搬出された加工
ずみの工作物Ｗを次工程へ搬送したりするように
なつている。工作機械Ｍの後方には搬送台車TC
が停止している。この搬送台車TCは、工作機械
Ｍにおいて使用ずみのパレツトＰを機外へ取出し
たり、また次に使用すべきパレツトＰを工作機械
Ｍに供給したりするもので、このパレツトＰを工
作機械Ｍに給排するとき、工作機械Ｍの近傍であ
る交換位置CPに停止し、交換後においては走行
路Ｌに沿つて走行して適宜保管装置にパレツトＰ
を保管するようになつている。

前記工作機械Ｍはベツド１０を備え、このベツ
ド１０上に加工ユニツト１１ならびに治具装置１
２が対向設置されている。加工ユニツト１１は固
定台１３を有し、この固定台１３上に送り台１４
がサーボモータ１５によつてＸ方向に摺動可能に
載置されている。この送り台１４上には主軸台
SH１，SH２がＹ方向に若干の間隔をおいて取付
され、この主軸台SH１，SH２には回転駆動モー
タＭ１，Ｍ２によつて回転駆動される主軸Ｓ１，
Ｓ２が前記送り台１４の摺動方向と平行をなす軸
線を中心として回転可能に軸承されている。前記
２つの主軸台SH１，SH２の内、主軸SH１は送
り台１４上に直接固定され、また主軸台SH２は
Ｙ方向に摺動可能なスライド台１９上に取付られ
ており、このスライド台１９をサーボモータ２０
によつて摺動させることによつて前記主軸Ｓ１，
Ｓ２の間隔を調整できるようになつている。

一方治具装置１２はパレツトＰと、治具ベース
２５を有する。このパレツトＰは工作物Ｗの種類
に応じて多数用意され、その１つが第４図に示す
位置決めクランプ装置３０によつて加工位置MP
に位置決めクランプされている。この位置決めク
ランプ装置３０は昇降体３１と、この昇降体３１
を昇降動作させる昇降シリンダ３２より構成さ
れ、この昇降体３１を上昇させた状態でパレツト
Ｐはこの昇降体３１をガイドとして容易に搬入搬
出され、また昇降体３１を下降させることでパレ
ツトＰはこの昇降体31によつて治具ベース２５上
に強固に位置決めクランプされるようになつてい
る。

前記パレツトＰの形状としては、中央に工作物
Ｗを支持する載置部を有し、両端に突出部３５を
有するＵ字形状をなし、この突出部３５の支持穴
４７にボーリングバーのごとき長い工具Ｔを両持
状態で回転並びに挿通可能に支持するようになつ
ている。そしてこの工具Ｔのテーパ部３７は加工
ユニツト１１に向けてパレツトＰの外方に突出さ
れ、このテーパ部３７と前記主軸Ｓ１，Ｓ２とを
ドローイングバー等の締着手段によつて着脱する
ようになつている。前記工具Ｔは１台のパレツト
Ｐ上に複数個用意され、両者の間には所定のピツ
チが確保されている。このピツチはそのパレツト
Ｐ上に載置される工作物Ｗの加工穴WHの心間距
離と等距離に設定されており、他のパレツトＰで
はそのパレツトＰに載置される工作物Ｗの加工穴
WHの心間距離の差異に応じて前記ピツチも相違
している。従つてこのパレツトＰを使い分けるこ
とで種々の工作物Ｗに対応することができる。

さらにパレツトＰにはリフタ４０が昇降可能に
設けられている。このリフタ４０は治具ベース２
５内に設けられたリフトシリンダ４１によつて昇
降動作され、工作物Ｗの加工穴Waに工具Ｔを挿
入あるいは抜出すとき、工作物Ｗをリフタ４０に
よつてパレツトＰ上より持上げることで、加工穴
内面に刃具４５による傷つきを防止するようにな
つている。なお、このリフタ４０とリフトシリン
ダ４１のピストンロツド４２はＴ溝等によつて係
脱可能な構成となつており、パレツトＰの搬入搬
出に障害となることはない。

また、５０は工作物ＷをパレツトＰ上にクラン
プするクランパである。

上記構成における作動を説明する。

図面はパレツトＰを加工位置MPに位置決めク
ランプし、そして工具ＴによつてパレツトＰ上に
クランプされた工作物Ｗの２つの加工穴WHを同
時に加工している状態を示している。このとき、
工具Ｔは支持穴４７に回転可能に支持され、長い
工具Ｔの振れが発生しにくいため、加工穴WHを
高精度に加工できる。

加工が終了すると、先ず適宜装置によつてクラ
ンパ５０がゆるめられ、その後リフタ４０によつ
て工作物Ｗが上方へ持上げられる。このとき工具
Ｔ上の刃具４５は第４図に示すように上向きで停
止されており、刃具４５は加工面より少し離れ
る。しかる状態で、サーボモータ１５により送り
台１４をＸ方向に後退させることにより工具Ｔは
加工穴WHにツールマークをつけることなくパレ
ツトＰの支持穴４７ならびに工作物Ｗの加工穴
WHより抜出される。

その後、図略の搬入搬出装置によつて加工ずみ
の工作物ＷがコンベアＣ上へ搬出され、またコン
ベアＣによつて運ばれてきた未加工の工作物Ｗが
パレツトＰの上に搬入される。搬入後送り台１４
がＹ方向に前進されて工具ＴがパレツトＰの支持
穴４７ならびに工作物Ｗの加工穴WH内に挿入さ
れ、しかる後、リフトシリンダ４１によつてリフ
タ４０およびこれと一緒に工作物Ｗが下降され
る。下降後、再び適宜装置によつてクランパ５０
が締付方向に作動され、工作物ＷはパレツトＰ上
に強固に固定される。その後回転駆動モータＭ
１，Ｍ２によつて主軸Ｓ１，Ｓ２が同時に回転駆
動され、２つの加工穴WHが同時に加工される。

以後、工作物Ｗの加工が終了すると同時に上記
動作でもつて次々と工作物Ｗの加工が行われる 一定個数の工作物Ｗの加工が終了し、次に種類
の異なる工作物Ｗの加工を行う場合には、パレツ
トＰの交換が必要となる。この場合には、先ず、
最終の工作物Ｗが搬出された後、送り台１４が前
進され、工作物Ｗがない状態で工具Ｔがパレツト
Ｐの支持穴４７内に挿入される。挿入後、主軸Ｓ
１，Ｓ２内の締着装置が作動して工具Ｔが開放さ
れるため、この工具ＴをパレツトＰに残した状態
で主軸台SH１，SH２のみがＹ方向に後退され
る。

その後、位置決めクランプ装置３０が作動する
ことで、パレツトＰは治具ベース２５上より持上
げられ、アンクランプ状態となる。しかるのち図
略のシフト装置によつて使用ずみのパレツトＰは
工具Ｔを支持した状態のまま昇降体３１にガイド
されて搬送台車TC上に搬出される。このパレツ
トＰを受取つた搬送台車TCは走行路Ｌ上を走行
して保管装置へ収容する。これと併行して別の搬
送台車TCによつて次に使用するパレツトＰが保
管装置より取出され、さらに走行路Ｌを走行して
交換位置CPに停止される。そして、図略のシフ
ト装置によつて搬送台車TC上のパレツトＰは昇
降体３１にガイドされながら加工位置MPにシフ
トされ、その後昇降シリンダ３２によつて昇降体
３１が下降されることで、パレツトＰは治具ベー
ス２５上に位置決めクランプされる。

上記動作と併行して加工ユニツト１１側では、
サーボモータ２０によつてスライド台１９がＹ方
向に移動され、この移動によつて主軸Ｓ１，Ｓ２
の間隔はパレツトＰ上の工作物Ｗの加工穴WHの
心間ピツチと同一寸法に設定される。軸間ピツチ
が調整されたのち、送り台１４はサーボモータ１
５によつてＸ方向に移動され、主軸Ｓ１，Ｓ２に
対してそれぞれ前記工具Ｔが挿着される。その
後、送り台１４がＸ方向に後退することで、工具
ＴがパレツトＰの支持穴４７より抜出され、しか
る状態で次に加工すべき工作物Ｗが図略の搬入搬
出装置によつてコンベアＣ上よりパレツトＰ上に
搬入される。続いて前記と同様の要領でもつて工
作物Ｗの加工穴WHへの工具Ｔの挿入、工作物Ｗ
の下降、工作物Ｗのクランプ、主軸Ｓ１，Ｓ２の
回転の順で工作物Ｗの加工が開始され、さらに加
工終了において主軸Ｓ１，Ｓ２の回転停止、工作
物Ｗのアンクランプ、工作物Ｗの上昇、工作物Ｗ
の加工穴WHからの工具Ｔの抜出しの順で作動
し、そして加工ずみの工作物Ｗが搬送される。

以後かかる動作を繰返すことで、２種類目の工
作物Ｗの加工が順次行われる。このようにパレツ
トＰ毎に工具Ｔを交換するようにした構成である
ので、工具交換専用の装置を設けなくても、工具
交換が行える。

＜発明の効果＞ 上記詳述したように本発明の工作機械は、加工
ユニツトと、この加工ユニツトと対向設置された
治具装置を備え、この治具装置には、治具ベース
と治具ベースに搬入搬出可能に載置される交換可
能な多種類のパレツトと、この多種類のパレツト
の１つを前記治具ベースに位置決め固定する位置
決めクランプ装置を設け、前記パレツトには、両
端に設けられ複数の工具をそれぞれ異なるピツチ
で回転可能にかつ挿通可能に支持する支持穴を有
する突出部と、突出部間に設けられワークを搬入
搬出可能に載置する載置部と、この載置部に載置
されたワークをクランプするクランプ装置を有
し、前記加工ユニツトには、複数の主軸と、前記
複数の主軸の軸間ピツチが前記パレツト上の工具
のピツチに合致するように調整する軸間調整装置
と、この複数の主軸を主軸軸線方向に移動して前
記パレツト上の工具をそれぞれ主軸に挿着結合す
る締着手段とを設けた構成であるので、複数の加
工穴を同時に加工して加工時間の短縮を図ること
ができる上、パレツト交換に伴う軸間ピツチの変
化に対応できる利点を有する。また、パレツト毎
に工具を交換するため、工具交換専用の装置を設
けなくても良く、構成が簡単になる効果が得られ
る。さらに、加工中に工具をパレツトの支持穴に
回転可能に支持するため、加工穴を高精度に加工
できる効果が得られる。

【図面の簡単な説明】

図面は、本発明の実施例を示すもので、第１図
は、本発明の工作機械の正面図、第２図は第１図
の矢視平面図、第３図は第１図の矢視側面
図、第４図は治具装置の拡大正面図である。 １１……加工ユニツト、１２……治具装置、１
３……固定台、１５……サーボモータ、１９……
スライド台、２０……サーボモータ、Ｐ……パレ
ツト、Ｓ１，Ｓ２……主軸。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 加工ユニツトと、この加工ユニツトと対向設
   置された治具装置を備え、この治具装置には、治
   具ベースと、治具ベースに搬入搬出可能に載置さ
   れる交換可能な多種類のパレツトと、この多種類
   のパレツトの１つを前記治具ベースに位置決め固
   定する位置決めクランプ装置を設け、前記パレツ
   トには、両端に設けられ複数の工具をそれぞれ異
   なるピツチで回転可能にかつ挿通可能に支持する
   支持穴を有する突出部と、突出部間に設けられワ
   ークを搬入搬出可能に載置する載置部と、この載
   置部に載置されたワークをクランプするクランプ
   装置を有し、前記加工ユニツトには、複数の主軸
   と、前記複数の主軸の軸間ピツチが前記パレツト
   上の工具のピツチに合致するように調整する軸間
   調整装置と、この複数の主軸を主軸軸線方向に移
   動して前記パレツト上の工具をそれぞれ主軸に挿
   着結合する締着手段とを設けたことを特徴とする
   工作機械。