JPH0434929B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 ［産業上の利用分野］ この発明は、所要の樹脂材料を加熱流動化し、
これを金型内に押し込んでプラスチツク製品を成
形する射出成形機に関する。

［従来の技術］ 第２図は、従来の電動式射出成形機を示すもの
で、型締装置Ａおよび射出装置Ｂを備えている。
型締装置Ａは、固定盤１とエンドプレート２とが
互いに対向した状態で架台３上に立設され、この
固定盤１とエンドプレート２の間に水平に架設さ
れたタイバー４に移動盤５が往復移動自在に支持
されてなつている。この固定盤１と移動盤５の互
いに対向する面には固定型１ａと可動型５ａが固
設され、両者により金型Ｍが構成されている。上
記エンドプレート２と移動盤５との間にはトグル
機構６が配設され、このトグル機構６は、エンド
プレート２に配設されたボールねじ機構７に連結
されており、このボールねじ機構７がタイミング
プーリ８、タイミングベルト９、タイミングプー
リ１０を介して型締用モータ１１により駆動され
ることにより、上記移動盤５を移動して型締め、
型開きを行うようになつている。上記トグル機構
６は複数のリンク部材１２を連結して、てこの原
理により型締圧力を高くするように構成されてお
り、また、ボールねじ機構７は、エンドプレート
２にスラスト軸受１３を介して回動自在に支持さ
れたボールナツト１４とボールねじ１５を組み合
わせてボールナツト１４を回動してボールねじ１
５を直線移動するようにしたものである。

一方、射出装置Ｂは、架台３ａ上に対向して立
設された一対の支持盤１６，１７の間にスライド
タイバー１８が水平に架設され、このスライドタ
イバー１８には駆動盤１９が往復自在に支持され
ている。前側（型締装置Ａの側）の支持盤１６に
はノズル２０及び加熱装置（図示略）を備えた射
出筒２１が固定支持されており、この射出筒２１
にはスクリユー２２が軸方向に移動自在に挿入さ
れており、このスクリユー２２の基端部２２ａは
スラスト軸受２３を介して上記駆動盤１９に回動
自在に支持されている。このスクリユー２２は駆
動盤１９に載置されたスクリユー回転用モータ２
４によりタイミングプーリ２５、タイミングベル
ト２６、タイミングプーリ２７とを介して回動さ
れるとともに、駆動盤１９と後支持盤１７との間
に設けられたボールねじ機構２８が、タイミング
プーリ２９、タイミングベルト３０、タイミング
プーリ３１を介して射出用モータ３２により駆動
されて駆動盤１９自体が往復移動され、スクリユ
ー２２を射出筒２１内でその軸方向に進退移動す
るように構成されている。このほか、架台３，３
ａどうしの一方を移動してノズル２０の前進、後
退をする装置、金型Ｍに具備されて成形品を突き
出して落とすエジエクタ装置（いずれも図示略）
などが設けられており、これらの装置は、通常、
電動モータの回転を上記のボールねじ機構により
直線運動に変換して駆動されている。

そしてこのような射出成形機においては、一連
の動作、すなわち、金型Ｍの開閉動作、すなわち
移動盤５の移動動作、型締動作、射出予備動作と
してのノズル２０の前進動作、金型Ｍ内への樹脂
材料の射出動作、次の射出準備としての樹脂材料
供給動作すなわちスクリユー２２の移動動作、不
良成形防止のための射出筒２１内樹脂材料の内圧
除去動作、ノズル２０後退動作、金型Ｍ内で所定
の成形品質を確保するための冷却・型締持続（保
圧）動作、金型Ｍの開閉動作、成形品取り出しの
ためのエジエクター前進動作、エジエクター後退
動作等の一連の運転動作を連続的に行なうように
なつている。

［発明が解決しようとする課題］ このような電動式の射出成形機は、従来の油圧
駆動のものに比べて制御における応答性が良く、
精密な成形品が得られ、また、作業環境の清浄
化、省エネルギー化などが計れるという利点を有
している。ところで、精密成形品の需要が高まる
につれて連続的に繰り返し成形をする際に、より
一層高精度の金型Ｍ内の圧力制御が必要となつて
おり、一方、射出周期を短くして成形生産性を向
上することも要望されている。そのためには、上
述の一連の運転動作をより高い制度で行なうこと
が必要とされるが、上記のような、駆動モータの
回転出力をボールねじ機構を介して往復運動に変
換する方法では、ボールねじとボールナツトとの
間の遊びや摩擦、あるいはボールねじの振動モー
メント等により動作遅れが生じることが避けられ
ず、上記のような要望に答えるには限界があつ
た。

この発明は上記のような事情に鑑みてなされた
もので、アクチユエータとしてリニアモータを使
用することにより、装置の応答特性を向上させた
射出成形機を提供することを目的とするものであ
る。

［課題を解決するための手段］ 上記の課題を解決するために、この発明は次の
様な射出成形機を採用した。

すなわち、固定盤に対して可動盤をタイバーに
沿つて進退移動してそれらに取り付けられた金型
を開閉する型締装置と、上記型締装置の一側に設
けられた射出筒内に進退、回転自在に挿入された
スクリユーを駆動して上記金型に樹脂を供給する
射出装置とを備えた射出成形機において、上記タ
イバーは金属製とされるとともに、上記可動盤は
リニアモータにより駆動され、上記リニアモータ
は、二次導体となる上記タイバーと、このタイバ
ーを貫通せしめる上記可動盤に設けられたステー
タとからなることを特徴としている。

［作用］ このような射出成形機においては、可動盤がリ
ニアモータにより運動の変換機構や減速機構なし
に、直接、直線的に駆動され、このリニアモータ
に供給する電源の電圧や電流を制御することによ
り、可動型やスクリユーの位置、駆動トルク等が
直接的に制御される。

また、タイバーが二次導体を兼ねているので二
次導体を別に設ける必要がなく、構造が簡単化さ
れ、型締装置の小型化が可能となる。

［実施例］ 以下、図面を参照してこの発明の実施例を説明
する。なお、上述した従来例と同一の箇所は符号
を同じくして説明を省略する。

第１図はこの発明の一実施例を示すもので、型
締装置Ａにおいてはトグル機構が除かれ、移動盤
５においてタイバー４を貫通せしめる貫通孔の周
囲に筒状のステータ４２が固設され、タイバー４
が二次導体４１となつて型締用リニアモータ４３
が構成されている。また、射出装置Ｂにおいて
は、上側のスライドタイバー１８が二次導体４４
となり、駆動盤１９のこの二次導体４４に外嵌す
る位置には筒状のステータ４５が固設されてお
り、この両者により射出用リニアモータ４６が構
成されている。

上記のリニアモータ４３，４６としては、リニ
アインダクシヨンモータ、リニア直流モータ等そ
れぞれの特性を生かしたものを採用する。また、
移動盤５または駆動盤１９の位置を検出する位置
検出器、金型Ｍ内の樹脂の圧力を直接的にあるい
は間接的に検出する圧力検出器が取り付けられて
おり、さらにこれらの検出器の検出値と、予め設
定された位置及び圧力設定値との差を検出してそ
の値に従つてリニアモータ４３，４６の制御機構
（方向・速度指令部及びトルクリミツタなどから
なる）に対して制御信号を生成する制御装置が設
けられている。上記の圧力検出器の一例として
は、スクリユー２２の基端部２２ａにロードセル
を添付して該基端部の歪みを検出し、スクリユー
２２にかかる反力を検出するようにしたものがあ
げられる。

次に、上記のように構成された射出成形機の作
用について述べる。

まず、射出成形機の運転に先立つて制御装置に
各種の速度、位置、圧力の設定値を入力してお
く。次いで、連続して射出成形工程を行うが、そ
の１サイクルの工程について述べる。

制御装置は、１つの射出成形工程の型閉開始時
刻になると型締用リニアモータ４３の駆動信号を
生成し、金型Ｍ保護のために金型保護区間（領
域）を低速度、低圧力にするように速度及びトル
クリミツタを制御して移動型５ａを移動して型閉
を行う。

次に、制御装置に型締力に相当するトルクリミ
ツタ信号を送つて移動型５ａ及び固定枠１ａを一
定の圧力で締めて保持し、射出用リニアモータ４
６を駆動して、射出筒２１内の樹脂材料を金型Ｍ
に射出する。その後、スクリユー２２の基端部２
２ａに設けられた圧力検出器の測定値と、予め制
御装置に入力された圧力設定値との差を検知し
て、その値に沿つて射出用リニアモータ４６を駆
動して保圧を制御する信号が生成される。この場
合には、速度指令値を一定としてトルクリミツタ
に制御信号を送つてトルクを指定して制御する方
法と、トルクを一定とし、速度指令値を指定して
制御する方法とが考えられる。次に、スクリユー
回転用モータ２４が駆動され、次の材料が射出筒
２１内に供給される。この時、保圧時と同様の制
御方法により、予定された固化完了時になると型
締用リニアモータ４３を逆転させて型開きが行わ
れ、１サイクルの工程が完了する。

上記のような構成及び作用の説明から明らかな
ように、このような射出成形機においては、駆動
源がリニアモータ４３，４６であるため、タイミ
ングプールやタイミングベルトなどの伝達機構、
及び回転運動を直進運動に変換する機構が不要で
あり、制御において作動の遅れが減少する。従つ
て、成形品の品質に大きく影響する冷却時の金型
Ｍ内の圧力の制御などが高い精度で行なえるとと
もに、工程の円滑な進行い促し、成形能率を向上
させる。

また、タイバー４，１８が二次導体４１，４４
を兼ねているので二次導体を別に設ける必要がな
く、構造が簡単化され、型締装置の小型化が可能
となる。

なお、上記においては、保圧を検知する圧力検
出機をスクリユー基端部２２ａに設け、この検出
値を制御装置にフイードバツクしつつ射出用リニ
アモータ４６の制御を行う、いわゆるクローズド
制御を行つたが、圧力検出器を設けず、予め各段
階における射出用リニアモータ４６の制御機構の
トルクリミツタへの電圧、電流値を適当に決めて
おき、その値のみに従つて制御していくオープン
制御方式としてもよい。

［発明の効果］ 以上詳述したように、この発明によれば、固定
盤に対して可動盤をタイバーに沿つて進退移動し
てそれらに取り付けられた金型を開閉する型締装
置と、上記、型締装置の一側に設けられた射出筒
内に進退、回転自在に挿入されたスクリユーを駆
動して上記金型に樹脂を供給する射出装置とを備
えた射出成形機において、上記タイバーは金属製
とされるとともに、上記可動盤はリニアモータに
より駆動され、上記リニアモータは、二次導体と
なる上記タイバーと、このタイバーを貫通せしめ
る上記可動盤に設けられたステータとからなるこ
ととしたので、可動盤がリニアモータにより運動
の変換機構や減速機構なしに、直接、直線的に駆
動され、このリニアモータに供給する電源の電圧
や電流を制御することにより、可動型やスクリユ
ーの位置、駆動トルク等が直接的に制御され、従
来の電動式射出成形機のような、駆動モータの回
転出力をボールねじ機構を介して往復運動に変換
する必要がなく、従つて、その変換機構の介在に
起因する動作遅れが生じることがなく、制御の応
答性が向上し、金型内の圧力を高精度で制御する
ことができ、高品質の成形品を得ることができ
る。

また、タイバーが二次導体を兼ねているので二
次導体を別に設ける必要がなく、型締装置を小型
化することが可能となり、製造コストが安くメン
テナンスが容易になるなどの優れた効果を奏する
ことができる。

【図面の簡単な説明】

第１図はこの発明の一実施例の構成を示す図、
第２図は従来例を示す図である。 １ａ……固定型、５ａ……移動型、２１……射
出筒、２２……スクリユー、４３……型締用リニ
アモータ、４６……射出用リニアモータ、Ｍ……
金型。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 固定盤に対して可動盤をタイバーに沿つて進
   退移動してそれらに取り付けられた金型を開閉す
   る型締装置と、上記型締装置の一側に設けられた
   射出筒内に進退、回転自在に挿入されたスクリユ
   ーを駆動して上記金型に樹脂を供給する射出装置
   とを備えた射出成形機において、 上記タイバーは金属製とされるとともに、上記
   可動盤はリニアモータにより駆動され、 上記リニアモータは、二次導体となる上記タイ
   バーと、このタイバーを貫通せしめる上記可動盤
   に設けられたステータとからなることを特徴とす
   る射出成形機。