JPH0428780Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 「産業上の利用分野」 本考案は、ラインヘツド型の感熱転写記録装置
に係り、特に熱溶融性転写材を担持する基体を無
端状に形成すると共に、転写材の転写位置下流側
にインク再塗布手段を配し、前記基体の繰り返し
再使用を可能ならしめた感熱転写記録装置に関す
る。

「従来の技術及びその問題点」 従来より、熱溶融性インクが担持されたインク
シートと記録紙とを印字ヘツドを介してプラテン
面に圧接した状態で該プラテンを間欠的に回動さ
せ、前記インクシートと記録紙との間に生ずる摩
擦力により両者が一体的に移動しながら所定情報
を記録紙に転写させる、ラインヘツド型の感熱記
録装置は既に公知である。

この種の記録装置においては、転写中は前記記
録紙とインクシートはインクを介して溶着される
為にその摩擦力は非常に大になるが、非印字中に
おける両者間の摩擦力は、印字ヘツドとインクシ
ート間の摩擦力より僅かに大きい程度である。

この為、例えばスキユー防止その他の理由に印
字位置上流側にバツクテンシヨンを付与する機構
を付設した場合、印字されない部分において記録
紙とインクシートの間にすべりが生じたり、又印
字されない部分と印字部分間で移送量に差異が生
じ、インクシートにしわが発生したりする場合が
あつた。

特に、後記実施例に示すような前記インクシー
トを無端状シートで形成し、インクシートの繰り
返し再使用を可能ならしめた感熱転写記録装置に
おいては、前記インクシートがインク再塗布機構
の対面位置を迂回しながら、所定の張力をもつて
印字位置まで周回−復帰し得るだけを駆動力を必
要とし、かかる駆動力を前記プラテンの回動によ
り生ずる摩擦力のみで付与する事は困難で、而も
前記摩擦力のみで所定の駆動力を得ようとする
と、インクシートに無理な力が加わりスキユーや
しわが発生し易い。

本考案はかかる従来技術の欠点に鑑み、特にイ
ンクシートの繰り返し再使用を可能ならしめた感
熱転写記録装置において、前記転写位置における
プラテンローラの他に、その下流側に配したイン
ク再塗布手段の対面位置においても駆動力を付与
し、インクシートに無理な力を加えることなくス
キユーやしわの発生を防止し、印字品質の向上を
図り得る感熱転写記録装置を提供することを目的
とする。

「問題点を解決する為の手段」 本考案は、熱溶融性転写材を担持する基体を無
端状に形成すると共に、転写材の転写位置下流側
にインク再塗布手段を配し、前記基体の繰り返し
再使用を可能ならしめた感熱転写記録装置におい
て、前記無端状基体をインク再塗布手段の対面位
置まで導く迂回ローラを、フリクシヨン機構を介
して駆動系と連結させるとともに、該迂回ローラ
の周速を、転写位置に配したプラテンローラの周
速より僅かに大になる如く構成し、該迂回ローラ
と基体間に生ずる摩擦力により基体にフオワード
テンシヨンを付与せしめるとともに、前記迂回ロ
ーラから転写位置に至る基体周回路上にテンシヨ
ンローラを配した事を特徴とする。

尚、前記迂回ローラに摩擦力を付与するには、
例えば迂回ローラ外周をゴム部材で形成すること
により簡単に達成し得、又前記フリクシヨン機構
としては例えばスリツピングクラツチ等を用いる
ことが出来る。

「作用」 かかる技術手段によれば、転写位置におけるプ
ラテンローラと、その下流側ら配した迂回ローラ
の二個所で前記基体に駆動力を付与させている為
に、基体に無理な力が加わることはなく周回させ
る事が出来る。

而も前記基体は迂回ローラを介してフオワード
テンシヨンが付与されている為に、基体にスキユ
ーやしわが発生することなく良好な印字品質が維
持し得る。

又本考案は、感熱転写記録であるために、転写
位置で記録紙側に溶着した基体が記録紙からの剥
離時に引張られ、張力の変動や衝撃的振動、更に
は引張力が生じる場合があるが、本考案は迂回ロ
ーラと該迂回ローラを駆動させる駆動系との間に
フリクシヨン機構が介在し、迂回ローラと基体間
は摩擦力を介して保持されている為に、前記張力
の変動や衝撃力、更には引張力が生じても迂回ロ
ーラの駆動力とフリクシヨン機構による滑り摩擦
抵抗により、フオワードテンシヨンとともに、前
記張力等の変動を吸収する力が働き、前記欠点を
阻止できる。

更に本考案の好適な実施例において、迂回ロー
ラと駆動系との間に緩衝部材を配設することによ
り、一層の引張力の安定化とプラテンローラとの
間に生ずる駆動タイミングのずれが完全に防止す
ることが出来る。

さて前記構成により転写位置から迂回ローラま
での張力の変動は吸収できるが、その下流側に位
置する前記迂回ローラから転写位置に至る基体戻
り側の張力変動は何等考慮されていない。

特に前記のように迂回ローラ位置でフオワード
テンシヨンを付与しようとすると、その下流側で
同してもたるみ若しくは振動が生じるのを避けら
れない。そしてこの様なたるみや振動が転写位置
まで波及すると円滑な転写の障害となる。

そこで本考案において前記周回路上にテンシヨ
ンローラを配した事を特徴としている。

「実施例」 以下、図面を参照して本考案の好適な実施例を
例示的に詳しく説明する。ただしこの実施例に記
載されている構成部品の寸法、材質、形状、その
相対配置などは特に特定的な記載がない限りは、
この考案の範囲をそれのみに限定する趣旨ではな
く、単なる説明例に過ぎない。

第１図乃至第３図は本考案の実施例に係るイン
クシート再使用形の感熱転写記録装置を示す。

第３図において、１は表面に熱溶融性インクが
塗布された無端状のインクシートで、ポリイミド
樹脂その他の硬質で且つ耐熱性を有する樹脂フイ
ルムで形成すると共に、その転写効率の向上を図
る為に、膜厚を約10μm程度の薄膜に設定してい
る。

そして該インクシート１は、プラテンローラ
２、プラテンローラ２に近接して配置された一対
のシヤフト１１ａ，１１ｂ、インク塗布装置４と
対面して配置した迂回ローラ１２、インクシート
１のスキユーを修正するスキユー修正ローラ３、
及びバネ１３に引張支持されインクシート１に所
定のテンシヨンを付与するテンシヨンローラ５に
巻装されている。

印字ヘツド７は、プラテンローラ２対面位置に
配設され、プラテン対面側に記録紙６幅に沿つて
発熱抵抗素子７ａをライン状に設けると共に、背
面側に配したバネ１４によりインクシート１及び
記録紙６をプラテン２周面に圧接可能に構成す
る。

又、インク塗布装置４は、熱溶融されたインク
が貯溜されたインク槽１５と、該インク槽１５内
に配置されたインク供給ローラ１６と、該供給ロ
ーラ１６の下流側にインク槽１５と接触させて配
置された矯正ロツド１７とから構成され、前記印
字抜けしたインクシート１に再度所定膜厚のイン
クを塗布させることが出来る。

この結果、記録紙６を介してプラテンローラ２
面に圧接されたインクシート１は、前記発熱抵抗
素子71列の選択的発熱によりインクシート１上に
担持されたインクが記録紙６に転写され一ライン
ドツト分の印字転写が行われる。そして該印字後
プラテンローラ２が図示しないステツプモータの
ステツプ回転により、一ラインドツト幅分だけ間
欠駆動し、この結果、記録紙６と共に、印字ヘツ
ド７を介して記録紙６に圧接されているインクシ
ート１も両者間に生じる摩擦力により追従して間
欠移送される。

そして印字抜けしたインクシート１は前記転写
位置の下流側にインク塗布装置４により再度均一
塗布された後、スキユー修正ローラ３によりイン
クシート１の曲りが修正されて、テンシヨンロー
ラー５により一定張力を保持しながら前記プラテ
ンローラ２面の所定位置に復帰周回し、再度印字
動作が行われ、以下これを繰り返すことが出来
る。

かかる構成は本出願人が先に提出した特願昭59
−274453号に記載されている為、その詳細な説明
は省略する。

さて、前述したように、前記プラテンローラ２
の回動により生ずる摩擦力のみでは、前記インク
シート１がインク塗布装置４上を迂回しながらプ
ラテンローラ２面の所定位置に復帰し得るだけの
駆動力を得ることが困難である為、本実施例にお
いては前記インクシート１を回動させる迂回ロー
ラ１２の軸端に駆動系を付設し、該迂回ローラ１
２を介してインクシート１に引張力を付勢させて
いる。

かかる駆動系の構成を第１図乃至第２図に基づ
いて説明する。

迂回ローラ１２は、その外周面をゴムその他の
高摩擦性の部材で形成すると共に、一側軸端を側
板２１外方まで延設させ、該軸端側にフランジ部
２２を嵌着し、更にその外側に回転輪２３を嵌合
させる。

回転輪２３は前記フランジ部２２が嵌入可能な
中ぐり穴２３ａを有し、その背面側に配設された
押圧バネ２４により、すべりクラツチ板２５を介
してフランジ部２２壁面を圧接すると共に、該回
転輪２３の外周溝部２３ｂにプーリ２６を回転自
在に嵌合させ、回転輪２３外周凹設部２３ｃに介
装されたゼンマイ状の薄板バネ２７を介して両者
２３，２６を連結させる。

前記薄板バネ２７は前記外周凹設部２３ｃ内で
所定回転数周回しながらその両端を、プーリ２６
一内周と回転輪溝部２３ｂ外周に形成されたスリ
ツト溝２３ｄ，２６ｄに夫々係合させ、前記回転
輪２３とプーリ２６間に所定の緩衝機能を付与す
る。

尚、緩衝機能が得られるものであれば薄板バネ
２７に限定されることなく、例えば柔軟材を充填
して緩衝機能が得られるよう構成されている。

そして前記プーリ２６は、タイミングベルト２
８を介してプラテンローラ２を駆動するステツピ
ングモータと連結され、プラテンローラ２と連動
して間欠回転するよう構成されている。

又、該プーリ２６は、その回転速度（角速度）
がプラテンローラ２の回転速度より大になるよう
直径比を設定している。

次にかかる構成の作用を説明する。

一ラインドツト分の印字が終了毎にステツピン
グモータが間欠駆動し、プラテンローラ２と共に
プーリ２６が回転し、薄板バネ２７を介して回転
輪２３にその回転力を伝達する。

一方、回転輪２３はすべりクラツチ板２５を介
して迂回ローラ１２と連結されているが、前述し
たように回転輪２３はプラテンローラ２の回転速
度より大なる回転速度で回転している為に、前記
プラテンローラ２の回転速度を超える回転輪２３
の回転力はすべりクラツチ板２５の当接面でスリ
ツプし、迂回ローラ１２に所定の引張力を付与す
る。

この際、前記回転輪２３上流側で駆動タイミン
グのずれ及び回転変動が生じても前記すべりクラ
ツチ板２５でこれを吸収し、迂回ローラ１２側に
は安定した且つ均一な引張力が得られる。

又本実施例においては、プーリ２６−と回転輪
２３間にも薄板バネ２７その他の緩衝材が介装さ
れている為、前記駆動タイミングのずれ等から生
じるプーリ２６側の振動を吸収し、更に滑らかな
引張力の付与が可能となる。

「考案の効果」 以上の記載より明らかな如く、本考案によれば
プラテン下流側の基体に、プラテンローラとの間
で生じる駆動タイミングのずれその他の張力の変
動を吸収し得る引張力を付与した為に、記録紙の
移送速度と、シート状基体の移送速度の相対速度
を実質的にゼロにすることが出来、基体のしわの
発生や印字品質の劣化を完全に防止することが出
来る。

等の種々の著効を有す。

【図面の簡単な説明】

第１図乃至第３図は本考案の実施例に係る基体
再使用形の感熱転写記録装置を示し、第３図は全
体概略図、第１図は要部横断面図、第２図は第１
図のＡ−Ａ線断面図である。 １……基体（インクシート）、２……プラテン
ローラ、１２……迂回ローラ、２５……フリクシ
ヨン機構（クラツチ板）。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 熱溶融性転写材を担持する基体を無端状に形成
   すると共に、転写材の転写位置下流側にインク再
   塗布手段を配し、前記基体の繰り返し再使用を可
   能ならしめた感熱転写記録装置において、前記無
   端状基体をインク再塗布手段の対面位置まで導く
   迂回ローラを、フリクシヨン機構を介して駆動系
   と連結させるとともに、該迂回ローラの周速を、
   転写位置に配したプラテンローラの周速より僅か
   に大になる如く構成し、該迂回ローラと基体間に
   生ずる摩擦力により基体にフオワードテンシヨン
   を付与せしめるとともに、前記迂回ローラから転
   写位置に在る基体周回路上にテンシヨンローラを
   配した事を特徴とする感熱転写記録装置。