JPH04287754A - 制動力制御装置 - Google Patents

制動力制御装置

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JPH04287754A
JPH04287754A JP7849491A JP7849491A JPH04287754A JP H04287754 A JPH04287754 A JP H04287754A JP 7849491 A JP7849491 A JP 7849491A JP 7849491 A JP7849491 A JP 7849491A JP H04287754 A JPH04287754 A JP H04287754A
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Abstract

(57)【要約】本公報は電子出願前の出願データであるた
め要約のデータは記録されません。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は車両の制動力を制御する
装置に関するものであり、特に車両の旋回性能を向上さ
せるために制動力を制御する技術に関するものである。
【0002】
【従来の技術】車両の旋回走行中に制動が行われた場合
、車輪のスリップ率が増加してコーリンリング力が減少
し、オーバステアやアンダステアが発生することがある
。この傾向を抑制する対策が旋回性能向上策であり、特
開昭60−248466号公報,特開平1−17805
9号公報等により既に知られている。
【0003】特開昭60−248466号公報に記載の
ものは、車輪のコーナリング力がその車輪のスリップ率
により変化することを利用したものであり、実際の旋回
特性がアンダステア傾向にあるかオーバステア傾向にあ
るかということとその傾向の強さとの双方を示す旋回特
性値が設定値以上となった場合に、前輪のブレーキと後
輪のブレーキとにアンダステア傾向またはオーバステア
傾向を抑制する制動力差を生じさせる制動力前後配分制
御手段が設けられる。オーバステア気味の場合には前輪
の制動力を増すことによりスリップ率を増して前輪のコ
ーナリング力を低下させ、後輪については逆に制動力を
減少させることによりコーナリング力を増大させるので
あり、それに対して、アンダステア気味の場合には後輪
の制動力を増すとともに前輪の制動力を減少させるので
あって、それによりニュートラルステアに戻すことがで
きる。
【0004】一方、特開平1−178059号公報に記
載のものは、右後輪と左後輪との制動力の差により車体
にヨーモーメントを発生させてアンダステア傾向または
オーバステア傾向を抑制するものであり、車体の横加速
度が設定横加速度以上となった場合に、右後輪のブレー
キと左後輪のブレーキとに上記ヨーモーメントを発生さ
せる制動力差を生じさせる制動力左右配分制御手段が設
けられる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】上記特開昭60−24
8466号公報に記載の制動力制御装置は、実ヨーレー
トの絶対値から目標ヨーレートの絶対値を差し引くこと
によって旋回特性値を取得し、車両の旋回方向が左であ
ると右であるとを問わず、旋回特性値が正であればその
絶対値が大きいほど強いオーバステア傾向を示すと判定
し、一方、旋回特性値が負であればその絶対値が大きい
ほど強いアンダステア傾向を示すと判定する。つまり、
実ヨーレートと目標ヨーレートとの符号(向き)が常に
一致するとの前提を用いて、車両の旋回方向が左である
と右であるとを問わず、旋回特性値が正であればオーバ
ステア傾向、負であればアンダステア傾向を示すと判定
するのである。
【0006】しかし、実ヨーレートと目標ヨーレートと
の符号が常に一致するとは限らず、例えば、車両直進中
に素早いレーンチェンジを行うためや、車両旋回中にド
リフト走行を行うために、後輪のすべる方向とは反対の
方向に操舵輪である前輪を操舵するいわゆるカウンタス
テア操作が行われると、実ヨーレートと目標ヨーレート
との符号が一致しなくなる。上記制動力制御装置はカウ
ンタステア状態にあるか否かとは無関係に実ヨーレート
の絶対値から目標ヨーレートの絶対値を差し引くことに
よって旋回特性値を取得するため、実際の旋回特性を正
しく判定できない場合があるという問題があった。以下
、具体的に説明する。
【0007】制動力前後配分制御においては本来、左旋
回時であれ右旋回時であれ、アンダステア傾向が生じる
場合には前輪が制動力減少側、後輪が増加側とされ、一
方、オーバステア傾向が生じるかまたはカウンタステア
状態に移行する場合には後輪が制動力減少側、前輪が増
加側とされるべきである。しかし、前記制動力制御装置
は、実ヨーレートの絶対値から目標ヨーレートの絶対値
を差し引くことによって旋回特性値を取得するから、カ
ウンタステア状態になければ、アンダステア傾向が生じ
れば旋回特性値が負、オーバステア傾向が生じれば正と
なって、実際の旋回特性の向きを正しく判定できるが、
カウンタステア状態にあると、旋回特性値が必ずオーバ
ステア傾向の場合と同様に正となるとは限らず、実ヨー
レートの絶対値と目標ヨーレートの絶対値との大小関係
によって正となったり負となったりしてしまい、実際の
旋回特性の向きを正しく判定できない。また、この制動
力制御装置は実ヨーレートの向きと目標ヨーレートの向
きとが互いに同じであるか異なるかとは無関係に旋回特
性値の絶対値を取得するから、実際の旋回特性の強さも
正しく判定できない。
【0008】なお、そのようにして取得した旋回特性値
を用いて制動力左右配分制御を行う場合にも、制動力前
後配分制御におけると同様な理由から、カウンタステア
状態では実際の旋回特性の向きおよび強さを正しく判定
できない。
【0009】本発明は、これらの事情を背景として、車
体の前後左右にそれぞれ設けられた車輪の実スリップ率
が各目標スリップ率となるように各車輪の制動力を制御
する制御力制御装置において、実際の旋回特性を正しく
反映したパラメータを用いることにより制動力前後配分
制御または制動力左右配分制御による十分な旋回性能向
上効果を得ることを課題として為されたものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】この課題を解決するため
に本発明に係る制動力制御装置は、(a) 車体の実ヨ
ーレートの目標ヨーレートからのヨーレート偏差に基づ
き、左側車輪と右側車輪との少なくとも一方の目標スリ
ップ率を変化させる左右輪目標スリップ率変化手段と、
(b) ヨーレート偏差と実ヨーレートとの積に基づき
、前側車輪と後側車輪との少なくとも一方の目標スリッ
プ率を変化させる前後輪目標スリップ率変化手段との少
なくとも一方を含むように構成される。
【0011】なお、実ヨーレートおよび目標ヨーレート
はいずれも、車体が回転する向きによって符号が異なる
ものである。また、ヨーレート偏差は、目標ヨーレート
から実ヨーレートを差し引いたものとしても、実ヨーレ
ートから目標ヨーレートを差し引いたものとしてもよい
【0012】
【作用】左右輪の目標スリップ率を変化させることによ
って制動力の左右配分を制御する制動力左右配分制御に
おいては、車両の左旋回時にアンダステア傾向が生じる
か、右旋回時にオーバステア傾向が生じるか、または右
旋回時にカウンタステア状態に移行する場合(以下、先
の場合という)には左輪が目標スリップ率増加側(制動
力増加側)、右輪が目標スリップ率減少側(制動力減少
側)とされ、一方、左旋回時にオーバステア傾向が生じ
るか、右旋回時にアンダステア傾向が生じるか、または
左旋回時にカウンタステア状態に移行する場合(以下、
後の場合という)には右輪が目標スリップ率増加側、左
輪が減少側とされる。実ヨーレートの目標ヨーレートか
らのヨーレート偏差は先の場合と後の場合とで符号が異
なり、実際の旋回特性の向きを正しく反映するとともに
、その強さも正しく反映するため、本発明に係る制動力
制御装置においてそのヨーレート偏差に基づいて左右輪
の少なくとも一方の目標スリップ率が変化させられれば
、カウンタステア状態にあるか否かを問わず制動力左右
配分制御が予定通り実現される。
【0013】一方、前後輪の目標スリップ率を変化させ
ることによって制動力の前後配分を制御する制動力前後
配分制御においては、左旋回時であれ右旋回時であれ、
アンダステア傾向が生じる場合(以下、先の場合という
)には前輪が目標スリップ率減少側(コーナリング力増
加側)、後輪が目標スリップ率増加側(コーナリング力
減少側)とされ、一方、オーバステア傾向が生じるか、
またはカウンタステア状態に移行する場合(以下、後の
場合という)には前輪が目標スリップ率増加側、後輪が
減少側とされる。ヨーレート偏差と実ヨーレートとの積
(前記従来装置における旋回特性値に相当する)は先の
場合と後の場合とで符号が異なり、実際の旋回特性の向
きを正しく反映するとともに、その強さも正しく反映す
るため、本発明に係る制動力制御装置においてその積に
基づいて前後輪の少なくとも一方の目標スリップ率が変
化させられれば、カウンタステア状態にあるか否かを問
わず制動力前後配分制御が予定通り実現される。
【0014】ところで、本出願人は本発明に先立って、
制動力前後配分制御において実際の旋回特性を正しく判
定するために、ヨーレート偏差と実ヨーレートの符号と
の積に基づき、前後輪の目標スリップ率を変化させる前
後輪目標スリップ率変化手段を案出した。しかし、この
前後輪目標スリップ率変化手段を採用する場合には、実
ヨーレートの符号はヨーレート偏差の絶対値の大小とは
無関係に変化するため、実ヨーレートの符号が正から負
に、または負から正に変化する際に上記積の値が大きく
変化し(符号が反転し)、目標スリップ率すなわち車輪
の制動力がやや大きく変化する場合があるという問題が
あることが判明した。そのため、本発明における前後輪
目標スリップ率変化手段は、実ヨーレートの符号が変化
する前後では実ヨーレートの絶対値は0に十分近いとい
う事実に着目し、ヨーレート偏差と実ヨーレートとの積
に基づき、前後輪の目標スリップ率を変化させるものと
されているのである。
【0015】
【発明の効果】以上の説明から明らかなように、本発明
の制動力制御装置においては、実際の旋回特性を正しく
反映したパラメータ、すなわちヨーレート偏差およびそ
れと実ヨーレートとの積を用いて各車輪の目標スリップ
率が変化させられるから、カウンタステア状態にあるか
否かを問わず制動力左右配分制御または前後配分制御に
よる十分な旋回性能向上効果が得られる。
【0016】また、本発明の前後輪目標スリップ率変化
手段を採用する場合には、実ヨーレートの符号が変化す
る際に目標スリップ率の変化が滑らかとなるため、各車
輪の制動力の変化が滑らかとなるという効果も得られる
【0017】
【実施例】以下、本発明のいくつかの実施例を図面に基
づいて詳細に説明する。図3において10はマスタシリ
ンダであり、2つの独立した加圧室を備えている。この
マスタシリンダ10はブースタ12を介してブレーキ操
作部材としてのブレーキペダル14に連携させられてお
り、ブレーキペダル14の操作力に比例した高さのブレ
ーキ圧を発生させる。一方の加圧室に発生したブレーキ
圧はプロポーショニング/バイパスバルブ(図において
P/Bで表す)16を経て主液通路18に伝達される。 主液通路18は途中から二股に分かれ、それぞれ電磁液
圧制御弁(以下、単に制御弁という)20を経て左右前
輪22,24のブレーキのホイールシリンダ26に接続
されている。他方の加圧室に発生したブレーキ圧はプロ
ポーショニング/バイパスバルブ16を経て主液通路3
0に伝達される。主液通路30も途中から二股に分かれ
、それぞれ制御弁32を経て左右後輪34,36のブレ
ーキのホイールシリンダ38に接続されている。
【0018】プロポーショニング/バイパスバルブ16
は、主液通路18を含むフロント系統が正常である場合
には、主液通路30を含むリヤ系統のブレーキ圧を比例
的に減圧し、フロント系統失陥時にはマスタシリンダ1
0からのブレーキ圧をそのまま左右後輪34,36のホ
イールシリンダ38に伝達する機能を有するものである
【0019】制御弁20は常には同図に示すようにホイ
ールシリンダ26をマスタシリンダ10に連通させる増
圧状態にあるが、ソレノイド40が比較的大きな電流で
励磁された場合には、ホイールシリンダ26をマスタシ
リンダ10から遮断してリザーバ42に連通させる減圧
状態に切り換わり、ソレノイド40が比較的小さな電流
で励磁された場合には、ホイールシリンダ26をマスタ
シリンダ10からもリザーバ42からも遮断する保持状
態に切り換わるものである。制御弁32もソレノイド4
4の励磁状態の切換えに応じて、ホイールシリンダ38
をマスタシリンダ10に連通させる増圧状態と、リザー
バ46に連通させる減圧状態と、いずれにも連通させな
い保持状態とに切り換わるものである。
【0020】上記リザーバ42のブレーキ液はポンプ4
8によって汲み上げられ、ポンプ通路50を経て主液通
路18に戻される。リヤ系統も同様にポンプ54および
ポンプ通路56を備えている。それらポンプ48,54
はモータ58によって駆動される。
【0021】フロント系統はまた、各ホイールシリンダ
26から制御弁20をバイパスしてマスタシリンダ10
へブレーキ液が還流することを許容する還流通路60を
備えており、各還流通路60にはブレーキ液の逆流を防
止する逆止弁62が設けられている。リヤ系統も逆止弁
64を備えた還流通路66を備えている。
【0022】図において70はコントローラを示す。コ
ントローラ70はコンピュータを主体とするものであっ
て、CPU72,ROM74,RAM76,タイマ78
,入力ポート80,出力ポート82およびバス84を備
えている。
【0023】入力ポート80にはブレーキスイッチ88
,車輪速度センサ90,92,94,96,操舵角セン
サ98,ヨーレートセンサ100および前後加速度セン
サ102が接続されている。ブレーキスイッチ88はブ
レーキペダル14の踏込みを検出するものである。車輪
速度センサ90,92,94,96は、左右前輪22,
24,左右後輪34,36のそれぞれの周速度である車
輪速度を検出するものである。操舵角センサ98は操舵
装置に取り付けられ、ステアリングホイールの操作角度
を、それが中立位置から左に操作された場合には正、右
に操作された場合には負として検出するものである。ヨ
ーレートセンサ100は車体に取り付けられて、左回り
のヨーレートを正、右回りのヨーレートを負として検出
するものである。前後加速度センサ102も車体に取り
付けられ、前向きの前後加速度を正、後向きの前後加速
度を負として検出するものである。出力ポート82には
前記制御弁20,32およびモータ58が接続されてい
る。ROM74には図1および図2のフローチャートで
表される制動スリップ制御プログラムを始めとする種々
のプログラムが格納されている。CPU72は制動スリ
ップ制御プログラムを実行することによって制御弁20
,32を制御し、また、制動スリップ制御時にポンプ4
8,54を駆動すべくモータ58を駆動することによっ
てホイールシリンダ26,38からリザーバ42,46
に排出されたブレーキ液をマスタシリンダ10に還流さ
せるのである。
【0024】以下、本車両用ブレーキ装置の作動を説明
する。前述のように、通常は、制御弁20,32がマス
タシリンダ10とホイールシリンダ26,38とを連通
させる状態にある。したがって、ブレーキペダル14が
踏み込まれれば、マスタシリンダ10およびホイールシ
リンダ26,38のブレーキ圧が上昇し、車両が制動さ
れる。
【0025】コントローラ70は電源投入後、制動スリ
ップ制御プログラムを実行する。まず、図1のステップ
S1(以下、単にS1で表す。他のステップについても
同じ)において初期設定が行われ、その後、S2におい
て左右前輪22,24および左右後輪34,36のそれ
ぞれの実車輪速度Vfl,Vfr,Vrl,Vrrが取
り込まれる。S3において実ヨーレートγa が取り込
まれるとともに実車体スリップ角βが推定される。車両
運動に関する線形2自由度の領域(車体の横すべりとヨ
ーとの線形の領域)では、実ヨーレートγa を入力信
号、実車体スリップ角βを出力信号とすると、それら実
ヨーレートγa と実車体スリップ角βとの間に (Gbo+Gb1・s)/(1+Tr ・s)なる伝達
関数が存在する。ただし、上式においてsはラプラス演
算子であり、また、Gbo,Gb1およびTr は後述
の推定車体速度Ve に関連し、ROM74に格納され
ているGboマップ,Gb1マップおよびTr マップ
に従って決定される。それらマップはそれぞれ、図4,
図5および図6のグラフで表される特性を持っている。 すなわち、本ステップにおいては、その伝達関数を用い
、実ヨーレートγa と推定車体速度Ve とに対応す
る実車体スリップ角βが演算されるのである。
【0026】その後、S4において各輪の実車輪速度V
fl,Vfr,Vrl,Vrrが前輪車軸の中心位置に
関して換算される。具体的には、図7に示すように、車
両のトレッドをt、ホイールベースをLとすれば、実車
輪速度Vflとt・γa /2との和が左前輪22の換
算車輪速度V1 、実車輪速度Vfrからt・γa /
2を差し引いた値が右前輪24の換算車輪速度V2 、
実車輪速度Vrlとt・γa /2とL・β・γa と
の和が左後輪34の換算車輪速度V3 、実車輪速度V
rrからt・γa /2を差し引いたものとL・β・γ
a との和が右後輪36の換算車輪速度V4 とされる
のである。それら換算車輪速度V1 ,V2 , V3
 およびV4 は各輪の旋回軌跡の差による影響と実車
体スリップ角βによる影響とを受けないものであり、各
輪が全くスリップしていなければ旋回状態の如何を問わ
ず互いに一致するものである。
【0027】続いて、S5において前後加速度Gx が
取り込まれ、S6において推定車体速度Ve が演算さ
れる。前後加速度Gx が0以上、かつ正の上限値Gu
p以下である場合には上記換算車輪速度V1 ,V2 
, V3 およびV4 の最小値が車体速度であると推
定され、前後加速度Gx が0より小さく、負の下限値
Glo以上である場合には換算車輪速度V1 ,V2 
, V3 およびV4 の最大値が車体速度であると推
定され、前後加速度Gx が上限値Gupより大きいか
、または下限値Gloより小さい場合には、前後加速度
Gx が初めてそうなったときの推定車体速度Ve (
前後加速度Gx が下限値Glo以上、かつ上限値Gu
p以下であった状態での最新の推定車体速度Ve )と
、そのときから現時点までの前後加速度Gx の積分値
との和が車体速度であると推定される。
【0028】その後、S7において、各輪の基準車輪速
度Vc−fl,Vc−fr,Vc−rlおよびVc−r
r(現在の走行状態(直進状態または旋回状態)におい
て各輪のスリップ率が0である場合に各輪が取る車輪速
度)が決定される。具体的には、推定車体速度Ve か
らt・γa /2を差し引いた値が左前輪22の基準車
輪速度Vc−fl、推定車体速度Ve とt・γa /
2との和が右前輪24の基準車輪速度Vc−fr、推定
車体速度Ve からt・γa /2とL・β・γa と
の和を差し引いた値が左後輪34の基準車輪速度Vc−
rl、推定車体速度Ve とt・γa /2との和から
L・β・γa を差し引いた値が右後輪36の基準車輪
速度Vc−rrとされるのである。続いて、S8におい
て、各輪の実スリップ率Sa−fl,Sa−fr,Sa
−rlおよびSa−rrが演算される。具体的には、各
輪の基準車輪速度Vc−fl,Vc−fr,Vc−rl
およびVc−rrから実車輪速度Vfl,Vfr,Vr
l,Vrrを差し引いた値を基準車輪速度Vc−fl,
Vc−fr,Vc−rlおよびVc−rrで割り算した
値がそれぞれ、実スリップ率Sa−fl,Sa−fr,
Sa−rlおよびSa−rrとされるのである。
【0029】続いて、S9において実操舵角θが取り込
まれ、S10において目標ヨーレートγd が演算され
る。実操舵角θを入力信号、目標ヨーレートγd を出
力信号とし、かつそれらが一次遅れ系上にあると仮定す
れば、それら実操舵角θと目標ヨーレートγd との間
にγo /(1+τ・s) なる伝達関数が存在する。ただし、上式においてsはラ
プラス演算子であり、また、γo およびτは推定車体
速度Ve に関連し、ROM74 に格納されているγ
o マップおよびτマップに従って決定される。それら
マップはそれぞれ、図8および図9のグラフで表される
特性を持っている。すなわち、本ステップにおいては、
その伝達関数を用い、実操舵角θと推定車速速度Ve 
とに対応する目標ヨーレートγd が演算されるのであ
る。
【0030】その後、S11において、目標ヨーレート
γd から実ヨーレートγa を差し引くことによって
ヨーレート偏差Δγが演算され、また、そのヨーレート
偏差Δγに実ヨーレートγa を掛け算することによっ
て旋回特性値Cが演算される。旋回特性値Cは旋回の方
向が左であると右であるとによっては符号が変わらず、
正であればその絶対値が大きいほどアンダステア傾向が
強いことを示し、負であればその絶対値が大きいほどオ
ーバステア傾向が強いことを示すものである。その後、
S12〜14において、各輪の目標スリップ率Sd−f
l,Sd−fr,Sd−rlおよびSd−rrが決定さ
れる。各輪の目標スリップ率Sd−fl,Sd−fr,
Sd−rl,Sd−rrは標準値So と各輪の前後輪
目標スリップ率変化量ΔSx−fl,ΔSx−fr,Δ
Sx−rl,ΔSx−rr(以下、それらをΔSx と
総称する)との和である。標準値So は本実施例では
4輪すべてについて同じ大きさとされているが、例えば
車両の運動特性に応じて互いに異ならせることが可能で
ある。
【0031】そして、具体的には、S12において、各
輪の前後輪目標スリップ率変化量ΔSx−fl,ΔSx
−fr,ΔSx−rlおよびΔSx−rrが旋回特性値
Cに関連して、ROM74に格納されているΔSx マ
ップに従って決定される。このマップは図10のグラフ
で表される特性を持っている。スリップ率とコーナリン
グ力との間には図11の破線グラフで表されるように、
スリップ率が大きいほどコーナリング力が小さい関係が
あるため、アンダステア傾向を抑制するために左右前輪
22,24のコーナリング力を増加させる一方左右後輪
34,36のコーリナング力を減少させることが必要で
ある場合には、左右前輪22,24の目標スリップ率を
減少させる一方左右後輪34,36の目標スリップ率を
増加させるのであり、また、オーバステア傾向を抑制す
るか、またはカウンタステア操作後の車体姿勢の復元を
促進するために左右後輪34,36のコーナリング力を
増加させる一方左右前輪22,24のコーナリング力を
減少させることが必要である場合には、左右後輪34,
36の目標スリップ率を減少させる一方左右前輪22,
24の目標スリップ率を増加させるのである。
【0032】要するに、目標スリップ率を前輪22,2
4と後輪34,36とで変える制動力前後配分制御にお
いては、左旋回時であれ右旋回時であれ、アンダステア
傾向が生じる場合(以下、先の場合という)には後輪3
4,36が目標スリップ率の増加側、前輪22,24が
減少側とされ、一方、オーバステア傾向が生じるか、ま
たはカウンタステア操作が行われる場合(以下、後の場
合という)には前輪22,24が目標スリップ率の増加
側、後輪34,36が目標スリップ率の減少側とされる
のであり、旋回特性値Cの符号は先の場合には正、後の
場合には負となり、また、旋回特性値Cの絶対値は実ヨ
ーレートγa と目標ヨーレートγd との隔たりを比
較的精度よく反映するから、車両の実際の旋回方向が左
であるか右であるかを判定することなく旋回特性値Cか
ら直ちに前後輪目標スリップ率変化量ΔSx−fl,Δ
Sx−fr,ΔSx−rlおよびΔSx−rrを正しく
決定し得る。
【0033】なお、本実施例においては、ブレーキ圧の
過剰な増圧および減圧を避けるため、図10に示すよう
に、前後輪目標スリップ率変化量ΔSx−fl,ΔSx
−fr,ΔSx−rlおよびΔSx−rrについて上限
値と下限値とが設けられている。
【0034】その後、S14において、各輪の目標スリ
ップ率Sd−fl,Sd−fr,Sd−rlおよびSd
−rrが標準値So と各輪の前後輪目標スリップ率変
化量ΔSx−fl,ΔSx−fr,ΔSx−rl,ΔS
x−rrとの和に決定される。ただし、本ステップの2
回目以後の各回の実行時には、各輪の目標スリップ率S
d−fl,Sd−fr,Sd−rlおよびSd−rrが
それの前回値と各輪の前後輪目標スリップ率変化量ΔS
x−fl,ΔSx−fr,ΔSx−rl,ΔSx−rr
の今回値との和に決定される。
【0035】その後、図2のS15において、ブレーキ
スイッチ88がブレーキペダル14が踏み込まれたこと
を検出したか否か、すなわちON状態にあるか否かが判
定され、そうでなければS16において各制御弁20,
32のソレノイド40,44に対して消磁信号が出され
た後、図1のS2に戻るが、そうであればS17以後の
ステップが実行され、これにより各制御弁20,32が
今回実現すべきブレーキ圧の制御モードが減圧モード,
保持モードおよび増圧モードの中から選択される。S1
7〜21のステップ群は4輪の各々について順に実行さ
れる。S17においては一車輪の実スリップ率Sa が
目標スリップ率Sd 以上であるか否かが判定され、そ
うであればS18において減圧モードが選択され、そう
でなければS19において、その車輪の実車輪速度Vw
の時間微分値である車輪加速度Gw が設定車輪加速度
Gwo以下であるか否かが判定される。そうであればS
20において保持モードが選択され、そうでなければS
21において増圧モードが選択される。その後S22に
おいて制御モードの選択が4輪すべてについて終了した
か否かが判定され、そうであればS23において、4輪
の制御弁20,32のそれぞれに、各々選択された制御
モードを実現する信号が出される。その後図1のS2に
戻る。
【0036】したがって、本実施例においては、実際の
旋回特性を正しく反映したパラメータであるヨーレート
偏差と実ヨーレートとの積を用いて前後輪の目標スリッ
プ率が変化させられるから、カウンタステア状態にある
か否かを問わず制動力前後配分制御による十分な旋回性
能向上効果が得られる。
【0037】さらに、本実施例においては、実ヨーレー
トの符号が変化する前後では実ヨーレートの絶対値は0
に十分近いという事実に着目し、ヨーレート偏差と実ヨ
ーレートとの積に基づき、前後輪の目標スリップ率が変
化させられるから、実ヨーレートの符号が変化する際に
おける目標スリップ率の変化が、ヨーレート偏差と実ヨ
ーレートの符号との積に基づいて前後輪の目標スリップ
率を変化させる場合に比較して滑らかとなり、ひいては
前後輪の制動力の変化が滑らかとなるという効果も得ら
れる。ただし、実ヨーレートの符号が変化する際におけ
る目標スリップ率の変化がそれ程問題とならない場合、
または別の手法によってその問題が解決できる場合には
、ヨーレート偏差と実ヨーレートの符号との積に基づい
て前後輪の目標スリップ率を変化させてもよく、このよ
うにしても車両の実際の旋回特性を正しく判定できると
いう効果は得られる。
【0038】以上の説明から明らかなように、本実施例
においては、コンピュータの、図1のS2〜6および9
〜14を実行する部分が前後輪目標スリップ率変化手段
を構成しているのである。
【0039】以上、本発明の一実施例として制動力前後
配分制御が可能な制動力制御装置を説明したが、本発明
は制動力左右配分制御が可能な制動力制御装置として実
施することも可能である。以下、それの一実施例を図面
に基づいて説明するが、先の実施例と共通の要素につい
ては共通の符号を使用することによって文章および図に
よる説明を省略する。
【0040】本実施例におけるコントローラ70のRO
M74には、図1のフローチャートが図12のフローチ
ャートとされた制動スリップ制御プログラムが格納され
ている。このプログラムにおいては、S101〜S11
0が図1のS1〜S10と同様に実行され、その後、S
111において、目標ヨーレートγd から実ヨーレー
トγa を差し引くことによってヨーレート偏差Δγが
演算される。続いて、S112および114において、
各輪の目標スリップ率Sd−fl,Sd−fr,Sd−
rlおよびSd−rrが決定される。各輪の目標スリッ
プ率Sd−fl,Sd−fr,Sd−rl,Sd−rr
は標準値So と各輪の左右輪目標スリップ率変化量Δ
Sy−fl,ΔSy−fr,ΔSy−rl,ΔSy−r
r(以下、それらをΔSy と総称する)との和である
【0041】そして、具体的には、S112において、
左右輪目標スリップ率変化量ΔSy−fl,ΔSy−f
r,ΔSy−rlおよびΔSy−rrがヨーレート偏差
Δγに関連して、ROM74に格納されているΔSyマ
ップに従って決定される。このマップは図13のグラフ
で表される特性を持っている。スリップ率と制動力との
間には図11の実線グラフで表される関係があり、特に
、スリップ率の利用域と制動力との間にはスリップ率が
大きいほど制動力が大きい関係が存在する。そのため、
アンダステア傾向を抑制するために旋回内輪の制動力を
増加させる一方旋回外輪の制動力を減少させることが必
要である場合には、旋回内輪の目標スリップ率を増加さ
せる一方旋回外輪の目標スリップ率を減少させるのであ
り、また、オーバステア傾向を抑制するか、またはカウ
ンタステア操作後の車体姿勢の復元を促進するために旋
回外輪の制動力を増加させる一方旋回内輪の制動力を減
少させることが必要である場合には、旋回外輪の目標ス
リップ率を増加させる一方旋回内輪の目標スリップ率を
減少させるのである。旋回内輪は、左旋回の場合には左
前輪22および左後輪34であり、一方、右旋回の場合
には右前輪24および右後輪36である。また、旋回外
輪は、左旋回の場合には右前輪24および右後輪36で
あり、一方、右旋回の場合には左前輪22および左後輪
34である。
【0042】要するに、目標スリップ率を左輪22,3
4と右輪24,36とで変える制動力左右配分制御にお
いては、左旋回時にアンダステア傾向が生じるか、右旋
回時にオーバステア傾向が生じるか、または右旋回時に
カウンタステア操作が行われる場合(以下、先の場合と
いう)には左輪22,34が目標スリップ率の増加側、
右輪24,36が減少側とされ、一方、左旋回時にオー
バステア傾向が生じるか、右旋回時にアンダステア傾向
が生じるか、または左旋回時にカウンタステア操作が行
われる場合(以下、後の場合という)には右輪24,3
6が目標スリップ率の増加側、左輪22,34が減少側
とされるのであり、ヨーレート偏差Δγの符号は先の場
合には正、後の場合には負となり、また、ヨーレート偏
差Δγの絶対値は実ヨーレートγa と目標ヨーレート
γd との隔たりを表すから、車体の旋回方向が左であ
るか右であるかを判定することなくヨーレート偏差Δγ
から直ちに左右輪目標スリップ率ΔSy−fl,ΔSy
−fr,ΔSy−rlおよびΔSy−rrを決定し得る
【0043】なお、本実施例においても、ブレーキ圧の
過剰な増圧および減圧を避けるため、図13に示すよう
に、左右輪目標スリップ率変化量ΔSy−fl,ΔSy
−fr,ΔSy−rlおよびΔSy−rrについても上
限値と下限値とが設けられている。
【0044】その後、図12のS114において、各輪
の目標スリップ率Sd−fl,Sd−fr,Sd−rl
およびSd−rrが標準値So と左右輪目標スリップ
率変化量ΔSy−fl,ΔSy−fr,ΔSy−rlお
よびΔSy−rrとの和に決定される。ただし、本ステ
ップの2回目以後の各回の実行時には、各輪の目標スリ
ップ率Sd−fl,Sd−fr,Sd−rlおよびSd
−rrがそれの前回値と左右輪目標スリップ率変化量Δ
Sy−fl,ΔSy−fr,ΔSy−rlおよびΔSy
−rrの今回値との和に決定される。続いて、図2のS
15以後のステップが実行される。
【0045】したがって、本実施例においては、実際の
旋回特性を正しく反映したパラメータであるヨーレート
偏差を用いて左右輪の目標スリップ率が変化させられる
から、カウンタステア状態にあるか否かを問わず制動力
左右配分制御による十分な旋回性能向上効果が得られる
【0046】以上の説明から明らかなように、本実施例
においては、コンピュータの、図12のS102〜10
6および109〜114を実行する部分が左右輪目標ス
リップ率変化手段を構成しているのである。
【0047】本発明はまた、制動力前後配分制御と制動
力左右配分制御とを常時一緒に行う制動力制御装置とし
て実施することも可能である。以下、それの一実施例を
図面に基づいて説明する。
【0048】本実施例におけるコントローラ70のRO
M74には、図1のフローチャートが図14のフローチ
ャートとされた制動スリップ制御プログラムが格納され
ている。このプログラムにおいては、S201〜S21
1が図1のS1〜S11と同様に実行され、その後、S
212において、各輪の目標スリップ率Sd−fl,S
d−fr,Sd−rlおよびSd−rrが決定される。 各輪の目標スリップ率Sd−fl,Sd−fr,Sd−
rl,Sd−rrは、標準値So と各輪の前後輪目標
スリップ率変化量ΔSx−fl,ΔSx−fr,ΔSx
−rl,ΔSx−rrと各輪の左右輪目標スリップ率変
化量ΔSy−fl,ΔSy−fr,ΔSy−rl,ΔS
y−rrとの和である。そして、具体的には、S212
において、各輪の前後輪目標スリップ率変化量ΔSx−
fl,ΔSx−fr,ΔSx−rlおよびΔSx−rr
が旋回特性値Cに関連して、図10のΔSx マップに
従って決定され、また、左右輪目標スリップ率変化量Δ
Sy−fl,ΔSy−fr,ΔSy−rlおよびΔSy
−rrがヨーレート偏差Δγに関連して、図13のΔS
y マップに従って決定される。その後、S214にお
いて、各輪の目標スリップ率Sd−fl,Sd−fr,
Sd−rlおよびSd−rrが標準値So と前後輪目
標スリップ率変化量ΔSx−fl,ΔSx−fr,ΔS
x−rlおよびΔSx−rrと左右輪目標スリップ率変
化量ΔSy−fl,ΔSy−fr,ΔSy−rlおよび
ΔSy−rrとの和に決定される。ただし、本ステップ
の2回目以後の各回の実行時には、各輪の目標スリップ
率Sd−fl,Sd−fr,Sd−rlおよびSd−r
rがそれの前回値と前後輪目標スリップ率変化量ΔSx
−fl,ΔSx−fr,ΔSx−rlおよびΔSx−r
rの今回値と左右輪目標スリップ率変化量ΔSy−fl
,ΔSy−fr,ΔSy−rlおよびΔSy−rrの今
回値との和に決定される。その後、図2のS15以後の
ステップが実行される。
【0049】したがって、本実施例においては、ヨーレ
ート偏差とそれと実ヨーレートとの積とに基づいてそれ
ぞれ、左右輪目標スリップ率変化量と前後輪目標スリッ
プ率変化量とが決定されるから、制動力左右配分制御と
前後配分制御とによる十分な旋回性能向上効果が得られ
る。
【0050】以上の説明から明らかなように、本実施例
においては、図14のS202〜206,209,21
0および214を実行する部分と、S211のうちヨー
レート偏差Δγを演算する部分と、S212のうち左右
輪目標スリップ率変化量ΔSy を決定する部分とが左
右輪目標スリップ率変化手段を構成し、同図のS202
〜206,209〜211および214を実行する部分
と、S212のうち前後輪目標スリップ率変化量ΔSx
 を決定する部分とが前後輪目標スリップ率変化手段を
構成しているのである。
【0051】本発明はさらに、制動力左右配分制御は常
に行うが、制動力前後配分制御は必要に応じて行う制動
力制御装置として実施することも可能である。以下、そ
れの一実施例を図面に基づいて詳細に説明する。
【0052】本実施例におけるコントローラ70のRO
M74には、図1のフローチャートが図15のフローチ
ャートとされた制動スリップ制御プログラムが格納され
ている。このプログラムにおいては、S301〜S31
1が図1のS1〜S11と同様に実行され、その後、S
312において、各輪の前後輪目標スリップ率変化量Δ
Sx−fl,ΔSx−fr,ΔSx−rl,ΔSx−r
rが旋回特性値Cに関連して、図10のΔSx マップ
に従って決定され、また、左右輪目標スリップ率変化量
ΔSy−fl,ΔSy−fr,ΔSy−rl,ΔSy−
rrがヨーレート偏差Δγに関連して、図13のΔSy
 マップに従って決定される。その後、S313におい
て、ヨーレート偏差の絶対値が設定ヨーレート偏差γm
ax 以下であるか否かが判定され、そうであれば、S
314aにおいて、各輪の目標スリップ率Sd−fl,
Sd−fr,Sd−rl,Sd−rrが標準値So と
左右輪目標スリップ率変化量ΔSy−fl,ΔSy−f
r,ΔSy−rl,ΔSy−rrとの和に決定され、そ
うでなければ、S314bにおいて、標準値So と前
後輪目標スリップ率変化量ΔSx−fl,ΔSx−fr
,ΔSx−rl,ΔSx−rrと左右輪目標スリップ率
変化量ΔSy−fl,ΔSy−fr,ΔSy−rl,Δ
Sy−rrとの和に決定される。ただし、S314aの
2回目以後の各回の実行時には、各輪の目標スリップ率
Sd−fl,Sd−fr,Sd−rl,Sd−rrの前
回値と左右輪目標スリップ率変化量ΔSx−fl,ΔS
x−fr,ΔSx−rl,ΔSx−rrの今回値との和
に決定され、また、S314bの2回目以後の各回の実
行時には、各輪の目標スリップ率Sd−fl,Sd−f
r,Sd−rl,Sd−rrの前回値と前後輪目標スリ
ップ率変化量ΔSy−fl,ΔSy−fr,ΔSy−r
l,ΔSy−rrの今回値と左右輪目標スリップ率変化
量ΔSy−fl,ΔSy−fr,ΔSy−rl,ΔSy
−rrの今回値との和に決定される。その後、図2のS
15以後のステップが実行される。
【0053】制動力前後配分制御による旋回性能向上策
は一般に、路面の摩擦係数が高い場合には有効であるが
、低い場合にはその効果が薄い。そのため、路面の摩擦
係数の高低とは無関係に常に制動力前後配分制御を行う
場合には目標スリップ率が無駄に変化させられる場合が
ある。そのため、本実施例においては、ヨーレート偏差
の絶対値が設定ヨーレート偏差以下である場合には路面
の摩擦係数が低いと判定して、制動力前後配分制御を省
略し、これにより目標スリップ率の無駄な変化を防止す
るのである。
【0054】以上の説明から明らかなように、本実施例
においては、コンピュータの、図15のS302〜30
6,309,310,313〜314bを実行する部分
と、S311のうちヨーレート偏差Δγを演算する部分
と、S312のうち左右輪目標スリップ率変化量ΔSy
 を決定する部分とが左右輪目標スリップ率変化手段を
構成し、同図のS302〜306,309〜311,3
13および314bを実行する部分と、S312のうち
前後輪目標スリップ率変化量ΔSx を決定する部分と
が前後輪目標スリップ率変化手段を構成しているのであ
る。
【0055】なお付言すれば、以上説明した実施例にお
いてはいずれも、各輪の目標スリップ率Sd がいずれ
も連続値であるヨーレート偏差Δγまたは旋回特性値C
に応じて連続的に変化させられるため、各輪の制動力が
不連続的に変化することが防止され、車体の挙動変化が
滑らかとなるという効果が得られる。ただし、目標スリ
ップ率Sd をそのように連続的に変化させることは本
発明を実施する上で不可欠ではなく、例えば、ヨーレー
ト偏差Δγまたは旋回特性値Cに応じて段階的に変化さ
せることが可能である。
【0056】また、以上説明した実施例においては、ヨ
ーレートセンサ100を用いて実ヨーレートγa を取
得するとともにその実ヨーレートγa を用いて実車体
スリップ角βを推定するようになっていたが、車体スリ
ップ角センサを用いて実車体スリップ角βを取得しても
よい。ところで、車体運動に関する線形2自由度の領域
では、実操舵角θを入力信号、実ヨーレートγa を出
力信号とすれば、それら実操舵角θと実ヨーレートγa
 との間に (Tr ・s+1)・γo /(a・s2 +b・s+
1)なる伝達関数が存在し、一方、実操舵角θを入力信
号、実車体スリップ角βを出力信号とすれば、それら実
操舵角θと実ヨーレートγa との間に (Gbo+Gb1・s)・γo /(a・s2 +b・
s+1)なる伝達関数が存在する。ただし、Tr ,γ
o ,GboおよびGb1はそれぞれ前述のように、図
6,図8,図4および図5のマップに従って取得される
値であり、また、aおよびbはそれぞれ、推定車体速度
Ve に関連し、図16および図17のマップに従って
取得される値である。したがって、ヨーレートセンサ1
00も車体スリップ角センサもなくても操舵角センサ9
8さえあれば、実操舵角θから実ヨーレートγa も実
車体スリップ角βも推定することができるのである。
【0057】また、以上説明した実施例においては、左
輪22,34と右輪24,36との間で制動力を異なら
せるとともに、前輪22,24と後輪34,36との間
でコーナリング力を異ならせるために各輪の目標スリッ
プ率Sd は可変、設定車輪加速度Gwoは不変とされ
ていたが、設定車輪加速度Gwoも可変とすることが可
能である。
【0058】また、以上説明した実施例においては、車
両制動時にブレーキによる制動力が制御されることによ
って各輪の目標スリップ率Sd が実現されるようにな
っていたが、エンジン,トランスミッション等による駆
動力を制御することによって各輪の目標スリップ率Sd
 を実現しても、ブレーキによる制動力の制御とエンジ
ン等による駆動力の制御との共同によって各輪の目標ス
リップ率Sd を実現してもよい。また、車両制動時に
限らず、車両非制動時にそれらの手法によって目標スリ
ップ率Sd を実現してもよい。すなわち、本発明にお
ける各輪の制動力とは、各輪が車体の進行を抑制する力
を意味しているのである。
【0059】以上、本発明のいくつかの実施例を図面に
基づいて詳細に説明したが、これらは文字通り例示であ
り、当業者の知識に基づいて種々の変形,改良を施した
態様で本発明を実施し得ることは勿論である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例である制動力制御装置におけ
る制動スリップ制御プログラムの前半部を示すフローチ
ャートである。
【図2】上記制動スリップ制御プログラムの後半部を示
すフローチャートである。
【図3】上記制動力制御装置を含む車両用ブレーキ装置
の系統図である。
【図4】図3におけるROMに格納されているマップを
示すグラフである。
【図5】図3におけるROMに格納されているマップを
示すグラフである。
【図6】図3におけるROMに格納されているマップを
示すグラフである。
【図7】実車輪速度と換算車輪速度との関係を説明する
ための図である。
【図8】図3におけるROMに格納されているマップを
示すグラフである。
【図9】図3におけるROMに格納されているマップを
示すグラフである。
【図10】図3におけるROMに格納されているマップ
を示すグラフである。
【図11】スリップ率と制動力とコーナリング力との関
係を説明するための図である。
【図12】別の実施例である制動力制御装置における制
動スリップ制御プログラムの前半部を示すフローチャー
トである。
【図13】上記制動力制御装置のROMに格納されてい
るマップを示すグラフである。
【図14】さらに別の実施例である制動力制御装置にお
ける制動スリップ制御プログラムの前半部を示すフロー
チャートである。
【図15】さらに別の実施例である制動力制御装置にお
ける制動スリップ制御プログラムの前半部を示すフロー
チャートである。
【図16】操舵角から実ヨーレートおよび実車体スリッ
プ角を推定するために用いる変数aを説明するためのグ
ラフである。
【図17】操舵角から実ヨーレートおよび実車体スリッ
プ角を推定するために用いる変数bを説明するためのグ
ラフである。
【符号の説明】
10  マスタシリンダ 20  電磁液圧制御弁 22  左前輪 24  右前輪 26  ホイールシリンダ 32  電磁液圧制御弁 34  左後輪 36  右後輪 38  ホイールシリンダ 70  コントローラ 88  ブレーキスイッチ 98  操舵角センサ 100  ヨーレートセンサ 102  前後加速度センサ

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】  車体の前後左右にそれぞれ設けられた
    車輪の実スリップ率が各目標スリップ率となるように各
    車輪の制動力を制御する制動力制御装置において、前記
    車体の実ヨーレートの目標ヨーレートからのヨーレート
    偏差に基づき、左側車輪と右側車輪との少なくとも一方
    の目標スリップ率を変化させる左右輪目標スリップ率変
    化手段と、前記ヨーレート偏差と前記実ヨーレートとの
    積に基づき、前側車輪と後側車輪との少なくとも一方の
    目標スリップ率を変化させる前後輪目標スリップ率変化
    手段との少なくとも一方を設けたことを特徴とする制動
    力制御装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
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US5560690A (en) * 1993-09-22 1996-10-01 Aisin Seiki Kabushiki Kaisha Distribution system for selectively controlling and supplying brake pressure to wheels

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Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US5560690A (en) * 1993-09-22 1996-10-01 Aisin Seiki Kabushiki Kaisha Distribution system for selectively controlling and supplying brake pressure to wheels
JPH08113131A (ja) * 1994-10-15 1996-05-07 Aisin Seiki Co Ltd 車両の制動制御装置

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