JPH04277022A - 多孔質中空糸膜及びその製造方法 - Google Patents

多孔質中空糸膜及びその製造方法

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JPH04277022A
JPH04277022A JP5935791A JP5935791A JPH04277022A JP H04277022 A JPH04277022 A JP H04277022A JP 5935791 A JP5935791 A JP 5935791A JP 5935791 A JP5935791 A JP 5935791A JP H04277022 A JPH04277022 A JP H04277022A
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JP
Japan
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hollow fiber
fiber membrane
porous hollow
metal
metal layer
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Application number
JP5935791A
Other languages
English (en)
Inventor
Masakatsu Sano
佐野 正勝
Nobuo Katsuura
信夫 勝浦
Osamu Igarashi
治 五十嵐
Atsushi Nakayama
敦 中山
Toshihide Imamura
今村 敏英
Kanichi Kadotani
門谷 皖一
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Nikko Kogyo KK
Komatsu Ltd
Original Assignee
Nikko Kogyo KK
Komatsu Ltd
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Publication date
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    • BPERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
    • B01PHYSICAL OR CHEMICAL PROCESSES OR APPARATUS IN GENERAL
    • B01DSEPARATION
    • B01D2325/00Details relating to properties of membranes
    • B01D2325/48Antimicrobial properties

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  • Chemical Or Physical Treatment Of Fibers (AREA)
  • Separation Using Semi-Permeable Membranes (AREA)

Abstract

(57)【要約】本公報は電子出願前の出願データであるた
め要約のデータは記録されません。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、金属層を有する多孔質
中空糸膜及びその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】多孔質中空糸膜は、従来より高純度水、
無菌水、血液の浄化、火力,原子力発電所の復水及び排
水の濾過等、液中の種々の混在物の濾過,除去に広く使
用されている。ところで、この多孔質中空糸膜は細菌の
透過を阻止するが、それ自体殺菌性を有していないため
、この中空糸膜を用いたモジュールでは、内部に濾過さ
れない殺菌が徐々に蓄積・増殖するおそれがある。また
、多孔質中空糸膜は絶縁性の樹脂から形成されているた
め帯電する傾向となり、付着物が逆電荷を帯びると多孔
質中空糸膜と付着物との間の付着力が高くなり、膜の逆
洗頻度を増すと共に膜の耐用年数を短くするおそれがあ
った。このことは、特に、火力,原子力発電所の復水,
排水に混在するクラッドを浄化する際に問題となってい
た。
【0003】そこで、多孔質中空糸膜自体に殺菌性を付
与するため、また、多孔質中空糸膜に導電性を付与して
帯電した電荷を放出するために、金属を表面にコートし
た多孔質中空糸膜の複数の従来例が存在する(特開昭6
0−261502号、特開昭63−152404号、特
開昭64−56106号)。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来の
中空糸膜の金属処理では、メッキ,蒸着,スパッタリン
グにより金属を中空糸膜へ単に付着させているだけなの
で、金属層を中空膜に十分付着することが困難であると
共に、金属層と中空糸膜との接着強度が弱く、金属層が
中空糸膜から剥離し易いという問題があった。例えば、
中空糸膜を湾曲させたりすると湾曲部において簡単に金
属層が剥離することがあった。また、中空糸膜への金属
の付着量は少なく、このことと、金属層の剥離の問題と
を合わせると、従来の中空糸膜では、殺菌性や導電性の
向上において、十分でないという問題があった。さらに
、金属の付着量が少ないことにより、中空糸膜の強化が
図れず膜の耐圧性能にも限界があった。
【0005】そこで、この発明は、多孔質中空糸膜と金
属層との接着強度を増大し、かつ金属の付着量も増大し
た多孔質中空糸膜を提供することを目的とし、あわせて
、このような多孔質中空糸膜を製造する方法を提供する
ことを目的とするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】そこで、この発明は、多
孔質樹脂に金属層を化学的に結合した多孔質中空糸膜を
提供することにより、多孔質中空糸膜と金属層との接着
強度を増大するとともに金属層の被覆量を増大させたも
のである。金属を多孔質樹脂、即ち、多孔質中空糸膜に
化学的に接合させるために、多孔質中空糸膜を金属塩溶
液で処理するに先立ち、エッチング処理をする。エッチ
ング処理は、高濃度のアルカリ、高濃度クロム酸・硫酸
、及び高濃度の硫酸・硝酸のいずれかにより行うことが
好ましく、多孔質中空糸膜の種類に応じて使い分けられ
る。
【0007】エッチング処理された多孔質中空糸膜を金
属塩溶液で処理すると、金属層と多孔質中空糸膜とが化
学的に結合する。金属層は、例えば、Pd又はPd,S
nと、Ni,Co,Fe,Mo,W,Cu,Re,Au
,Agの少なくとも一つの合金層から形成され、この金
属層は、無電解処理により形成されるのが好ましい。 この金属層上にさらに、例えば、Cr,Zn,Ag,A
u,Pt,Al,Mn,Bi,Se,Te,Cd,Ir
,Tiの少なくとも一つの金属からなる金属層を形成す
ることもできる。この金属層は電解処理によって形成さ
れるのが好ましい。エッチング処理及び金属処理により
十分な量の金属層が形成できることになる。
【0008】本発明に使用される多孔質中空糸膜として
は、エッチング処理によって金属との結合可能領域を形
成する官能基を生じるものが好ましく、特に、ポリアク
リロニトリル,ポリアリレート,ポリスルフォン,フェ
ノキシ樹脂,ポリアミドイミド,ポリエーテルスルフォ
ン,ABS,ポリエチレン,ポリプロピレン,ポリアミ
ド,ポリエーテルイミド,アクリルウレタン,ポリイミ
ド,シリコン系樹脂の少なくとも一つが挙げられる。
【0009】
【作用】この出願の発明者は、多孔質中空糸膜をエッチ
ングして金属塩溶液で処理すると、接着強度が高い金属
層を形成できる機構について鋭意検討し、次のように考
えた。高濃度のエッチング処理を多孔質中空糸膜につい
て行うと、樹脂の脱水素化,樹脂の酸化、樹脂の開裂・
加水分解等により、樹脂側に炭素ラジカル,カルボキシ
ル基(−COOH),カルボニル基(−C=O),水酸
基(−OH)基等の各種官能基が生じる。そして、これ
らの官能基に金属塩の金属原子又は金属イオンが結合す
ることにより、例えば、−CM,−COOM,−COM
,−OMを形成して金属(M)が中空糸膜を形成してい
る樹脂材に化学的に結合する。例えば、高濃度のクロム
酸・硫酸混合液を使用してポリプロピレンをエッチング
した場合の考えられる機構について説明する。高濃度ク
ロム酸・硫酸溶液では、
【化1】 の反応式に示すように、発生基酸素が発生する。そして
【化2】 の反応式に示すように、この発生基酸素はポリプロピレ
ンの三級炭素を酸化して、これは水酸基となる。この水
酸基は、アンモニア水中でアンモニウムイオン(NH4
+ ) とイオン化合物を形成し、次いで、金属原子又
は金属イオンと反応すると、金属(M)はアンモニウム
イオンと置換し、金属が配位又はイオン的に酸素原子に
化学的に結合する。従って、−COMの結合が生じ、中
空糸膜に金属が化学的に結合することになる。クロム酸
・硫酸濃度がさらに高くなったり、反応温度が高くなっ
た場合等エッチング条件がより厳しいものになると、

化3】 の反応式に示すようにポリプロピレンが開裂して、カル
ボキシル基が発生する。この場合でも、
【化2】の反応
と同様の機構により、カルボキシル基に金属原子又は金
属イオンが配位又はイオン的に結合して、−COOMが
生じることにより中空糸膜に金属が化学的に結合する。 従って、金属層と中空糸膜との境界では樹脂−金属の化
学的な結合が生じているために、中空糸膜に金属を確実
に被覆することができるとともに、金属層の接着強度を
従来に比較して大きく向上できる。
【0010】エッチング処理液としては、中空糸膜に前
記官能基を形成できるものである必要があり、高濃度の
クロム酸・硫酸溶液、高濃度の硫酸・硝酸混合液、高濃
度の水酸化ナトリウム,水酸化カリウム等の強塩基が挙
げられる。エッチング処理液は中空糸膜に前記官能基を
形成する必要から、高濃度であることが必要であり、具
体的には、クロム酸濃度が30〜50%で硫酸濃度が1
0〜40%のクロム酸・硫酸溶液、10〜30%濃度の
強アルカリ、10〜30%濃度の硫酸・硝酸溶液が挙げ
られる。また、中空糸膜は、エッチング処理液により前
記官能基を形成可能な反応基を有する樹脂から形成され
るものであることが望ましく、特に、三級炭素を有する
ポリプロピレン、不飽和結合を有するABS、C=O,
S=Oを有するポリスルフォン、−O−Si−O−Si
−を有するシリコーン系樹脂、O−C−Oのエーテル結
合を有するポリエーテルイミド、ポリエーテルスルフォ
ン、エーテル基及びOH基を有するフェノキシ樹脂、−
CN基を有するポリアクリロニトリルであることが望ま
しい。そして、高濃度アルカリエッチングで加水分解さ
れてカルボキシル基を生じるポリアリレート等のエステ
ル樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリアミドイミド系樹脂、
アクリルウレタン等のポリウレタン系樹脂、ポリエーテ
ルイミド系樹脂も望ましい。もっとも、ポリエチレン等
のようにこれらの反応基を有しない樹脂であっても、エ
ッチング条件をより厳しくすることにより炭素−炭素結
合が開裂したり、炭素が酸化される等により、前記官能
基を発生するものでも良い。以上のように、いかなるエ
ッチング処理液が使用されるかは、中空糸膜の形成樹脂
の種類に応じて決定される。尚、中空糸膜への金属の接
着に際しては、エッチングにより疎化された表面の一部
に金属がトラップされる物理的結合が生じているものと
も考えられる。
【0011】金属を中空糸膜に化学的に結合するために
は、無電解処理によることが好ましい。この時、金属処
理に際して還元反応を促進する触媒となる金属を介在さ
せて金属を化学的に結合することが望ましく、特に、無
電解処理の触媒となるPd又はPd,Snを介在させる
ことが望ましい。このような金属が結合した中空糸膜を
金属イオン、錯形成剤、及び還元剤を含有する金属イオ
ン溶液に浸漬すると、Pd表面で金属イオンの還元反応
が生じ、金属層が均一に形成される。特に、触媒金属は
中空糸膜に化学的に結合しているために、触媒金属量も
多くなり、この結果、金属の無電解処理層の被覆量を大
きくすることができる。金属の結合量は、エチッグ処理
液の濃度、エッチング処理時間、金属原子または金属イ
オン量を変更することによって制御することが可能であ
る。
【0012】無電解処理に際して金属イオンを発生させ
るための金属塩としては、硫酸塩,塩化物,硝酸塩の如
く水溶性のものであれば良く特に限定されない。無電解
処理されて中空糸膜に被覆される金属としては、例えば
、Ni,Co,Fe,Mo,W,Cu,Pd,Re,A
u,Agの少なくとも一種が挙げられる。この金属の被
覆量は、金属イオン濃度,温度,反応時間を変えること
によって制御可能である。金属被覆量の下限は、必要な
殺菌性,中空糸の強化,導電性等を発揮する観点から決
定され、そして、その上限は、中空糸膜の多孔質を必要
以上に閉塞しない観点から制限されることが望ましい。 還元剤としては、次亜リン酸ナトリウム等のリン化合物
、ホウ素化水素等のボロン化合物の他、ホルマリン、ブ
ドウ糖等公知のものが使用される。また、錯化剤として
は、金属イオンと安定した錯体を形成できるものである
なら良くアンモニア、クエン酸、酒石酸、シュウ酸等公
知のものが挙げられる。
【0013】本発明によれば、中空糸膜と金属被覆層と
の界面において金属と樹脂とが化学的に結合することに
より、金属が食い込んだ状態の傾斜的機能材料を得るこ
とができる。この状態では、金属層厚を中空糸膜肉厚に
対して10〜100%にもすることができ、金属被覆量
を、2.2×10−3〜15.0×10−3モル/m程
度まで増大することができる。金属被覆量が多いと、中
空糸膜の剛性が向上することにより中空糸に必要とされ
る耐圧性能を向上できるとともに、導電性を向上するこ
とができる。このような導電性中空糸膜は、電解処理が
可能となり、各種触媒作用(重合、クラッキング、水素
化、脱水素化、異性化、環化等)を有する金属を前記無
電解処理層上にさらに形成することができる。この結果
、中空糸膜の有用性を濾過・分離以外の反応膜にまで拡
張することができる。電解処理される金属としては、例
えば、Cr,Zn,Ag,Au,Pt,Al,Mn,B
i,Se  Te,Cd,Ir,Ti,Niの少なくと
も一つが挙げられる。尚、無電解処理される金属の中に
も触媒作用を有するものがあるので、このような金属層
を有する中空糸膜を反応膜として使用することができる
【0014】多孔質中空糸膜に金属層が形成されるとハ
ンダ付けが可能となり、多数の中空糸膜をモジュール化
するのに極めて有効となる。従来、中空糸膜をモジュー
ル化する場合は、多数の樹脂を束ねて両端部を接着剤(
例えば、エポキシ系樹脂、ウレタン系樹脂)で固定する
ことが行われている。しかし、従来の中空糸膜の中には
、例えばオレフィン系のように、接着剤に対して濡れ性
が悪く、モジュール化が困難であり、さらに、モジュー
ル化した後でも接着剤の固定部の強度が十分でない等の
ものがある。本発明のように多孔質中空糸膜に十分な量
の金属層が確実に形成できるようになると、ハンダ付け
が可能となり、中空糸膜のモジュール化がハンダ付けに
より簡単に行えることになる。
【0015】また、本発明によれば、中空糸膜に確実に
十分な量の金属層を被覆できるから、中空糸膜の導電性
を一層向上できることは、先に述べた通りである。本発
明により比抵抗が1〜20Ωcmの極めて導電性が良好
な中空糸膜を得られる。中空糸膜に十分な導電性を付与
できると、非水系溶液を中空糸膜で濾過する際に発生す
る静電気を完全に除去できる。従来は、このような静電
気を除去するために、金網を中空糸膜に巻きつけアース
を形成していたが、中空糸膜自体に十分な導電性を付与
できるため、このような操作を不要にできる。
【0016】また、十分な導電性を有する中空糸膜では
、所望に応じて中空糸膜を正又は負にチャージすること
ができる。このことは、溶液中に存在する浮遊物のチャ
ージに応じて中空糸のチャージをコントロールすること
により、中空糸膜の耐用年数を増大したり、または精密
濾過が可能となる、ことを意味する。即ち、浮遊物のチ
ャージと逆電荷に中空糸をチャージすると、浮遊物が中
空糸膜に付着するのを防止でき、この結果、多孔質中空
糸膜の逆洗頻度を低減させて中空糸膜の耐用年数を大幅
に向上できる。そして、浮遊物と同電荷に中空糸膜をチ
ャージすると、中空糸膜に存在する孔よりも小さい浮遊
物でもトラップでき、中空糸膜の孔径の大きさがそのま
までも精密な濾過が可能となる。
【0017】このような導電性を有する中空糸膜は、さ
らに、EMC(電磁環境両立)対策用としても有用であ
る。十分な量の金属層が被覆された中空糸膜内に信号線
を挿入することにより、EMC対策が簡単に行える。
【0018】本発明者が鋭意検討したところ、無電解処
理の際に使用される還元剤量、特に、リン量を制御して
、金属層中に存在するリン量を増減すると中空糸膜の導
電性をコントロールできることが見い出された。金属層
中のリン量が多くなると導電性は低下し、逆にリン量が
少なくなると、導電性が向上する。
【0019】被着力が十分高く、かつ十分な量の金属層
が中空糸膜に形成できることは、中空糸膜の耐熱性を向
上することにもなる。耐熱温度が低い中空糸膜(特に、
オレフィン系)でも、本発明のような金属層を形成でき
ることにより、耐熱温度を大幅に向上できる。従って、
中空糸を加熱殺菌等の加熱処理に供することができるよ
うになる。
【0020】
【実施例】次に本発明の実施例について説明する。 (実施例1)内径600μ,空孔率6%の多孔質ポリプ
ロピレン製中空糸膜を、クロム酸(CrO3 )30〜
50%、硫酸10〜40%の混合液(液温50〜65℃
)に数分間浸漬することにより中空糸膜をエッチング処
理した。次いで、クロム酸・硫酸溶液から中空糸膜を取
り出して十分水洗した後、塩酸の弱酸溶液、アンモニア
・苛性ソーダの弱アルカリ溶液を順に浸漬して中和する
。 この後、塩化パラジウム(PdCl2 )0.2〜5%
、塩酸20%、塩化第二錫(SnCl)15〜40%溶
液(液温30〜50℃)に中空糸膜を2〜数分浸漬する
ことによりPdを中空糸膜に化学的に結合させた。次い
で、中空糸膜を水洗の後、塩酸の弱酸溶液(液温40℃
)に1〜2分浸漬して再度水洗する。次いで、NiSO
4 (Ni1〜7%)、クエン酸ソーダ0.1〜0.3
mol、次亜リン酸ソーダ0.2〜0.5mol、アン
モニア水でpHを9.0〜10.0にした弱アルカリ性
のNiイオン溶液に中空糸膜を1〜15分間浸漬して無
電解メッキ処理を行った。この後中空糸膜を取り出して
水洗したところ、金属Ni層が形成されたNi被覆中空
糸膜を得ることができた。
【0021】このようにして得られた中空糸膜を径方向
に切断し、その断面を走査型電子顕微鏡(SEM)で調
べたことろ図1に示すようなSEM像(×250)が得
られた。図2は、図1を拡大したSEM像(×800)
である。図1、2において、図の右方向が最外表面であ
る。図1から明らかなように中空糸膜を形成する樹脂材
に連続して金属Ni層が図面の右方向に向かって均一、
かつ厚膜状に形成されていることが分かる。このことは
、エッチング処理及び金属処理がされていない生の中空
糸膜の図3に示すSEM像(×250)と比較すると明
らかとなる。尚、図3で上方向が中空糸膜の最外表面で
ある。
【0022】図4は、本実施例に係る多孔質中空糸膜の
側面外側のSEM像(×200)であり、図5はその拡
大SEM像(×1000)である。本実施例の多孔質中
空糸膜の外側表面に金属が付着していることは、前記生
の多孔質中空糸膜のSEM像と比較することにより明ら
かとなる。図6,7は図3,4にそれぞれ対応する応す
る生の中空糸膜のSEM像である。これらの図をそれぞ
れ対比してみると明らかなように、中空糸膜を形成する
多孔質樹脂の表面に金属層が均一に被覆していることが
分かる。尚、前記エッチング処理を多孔質中空糸膜につ
いて行うと、金属イオン溶液に対する濡れ性が向上して
Pdイオン溶液が多孔質内に浸透し、かつ前記
【化1】
【化2】に示す反応式によりPdが中空糸膜内で多孔質
樹脂と化学的に結合することができ、その結果、Niイ
オンが多孔質内に浸透すると、Pdを核として金属Ni
が析出する。従って、本実施例の中空糸膜は、金属Ni
層が中空糸膜表面から内部に渡って形成された傾斜機能
的材料となっている。そして、多孔質中空糸の細孔内部
まで金属が密着しているために、極めて大きい導電表面
積が得られることから、電池電極等に友好である。
【0023】NiSO4 (Ni1〜7%)に変えてC
uSO4 (Cu1〜7%)を使用した以外は前記実施
例と同様にして金属Cuが形成された複数の中空糸膜を
得た。この中空糸膜の金属Cu膜厚をそれぞれ計測した
ところ、金属Cu膜厚は、中空糸膜肉厚の平均20〜3
0であった。そして、金属被覆量は、平均6×10−3
mol/mであった。さらに、これらの中空糸膜の比抵
抗を測定したところ、平均3Ωcmであった。そこで、
通常のニッケルワット氏浴(液温40℃)に中空糸を1
〜3A/dmの条件で5〜10分間通電して電解処理を
行うことにより金属Ni層を形成した。そして、比抵抗
を測定したところ、平均1Ωcmであった。
【0024】次に、本実施例で得られた複数の中空糸膜
の表面に形成された無電解金属Ni層の耐剥離性能を、
テープ剥離試験(セロハン粘着テープCT−18(商品
名)、ニチバン製を使用)によって確認したところ、い
ずれの中空糸膜についてもNi層の剥離が認められなか
った。エッチング処理工程を省略した以外は前記実施例
工程と同様にした中空糸膜を複数製造したところ、金属
Ni層は殆ど中空糸膜に形成されなかった。
【0025】(実施例2)内径0.8mm,空孔率70
%の多孔質ポリアリレート製多孔質中空糸膜を、塩酸1
0〜20%溶液(液温30〜60℃)に数分間浸漬し、
次いで水洗する。この後、苛性ソーダ10〜30%溶液
(液温60℃)に5分間浸漬することによりエッチング
処理を行った。水洗の後、塩酸の溶液(塩酸10〜20
%,液温数十℃)に数分間、次いで、さらに塩酸の弱酸
溶液(塩酸数%、液温室温)に数分浸漬して中和をおこ
なった後、塩化パラジウム(PdCl2 )数%、塩酸
20%、塩化第二錫(SnCl)15〜40%溶液(液
温30〜50℃)に中空糸膜を2〜数分間浸漬すること
によりPdを中空糸膜に化学的に結合させた。次いで、
中空糸膜を水洗の後、硫酸10〜40%溶液(液温数十
℃)に数分間浸漬して水洗し、苛性ソーダ10〜20%
溶液(液温数十℃)に数分間浸漬して中和を行った後水
洗する。次いで、NiSO4 (Ni1〜7%)、クエ
ン酸ソーダ0.2mol、次亜リン酸ソーダ0.3mo
l、アンモニア水でpHを9.0〜10.0にした弱ア
ルカリ性のニッケルイオン溶液に中空糸膜を1〜15分
間浸漬させた。この後中空糸膜を取り出して水洗したと
ころ、ポリアリレートに金属Ni層が形成された金属被
覆中空糸膜を得ることができた。
【0026】この中空糸膜について、前記実施例1と同
様な方法により、金属被覆量,金属層厚、比抵抗を測定
したところ、それぞれ実施例1と同様の結果を得た。ま
た、実施例1と同様の方法により耐剥離性能試験を行っ
たところ、全く金属層の剥離は観察されなかった。
【0027】(実施例3)次に前記実施例1で得たポリ
プロピレン製多孔質中空糸膜の耐熱性の試験を行った。 本発明材としては、実施例1の条件でNi,Cuをそれ
ぞれ無電解処理によって被覆した中空糸膜を使用し、比
較材として金属が全く被覆されていない生のポリプロピ
レン中空糸膜を使用した。中空糸膜の耐熱性試験の操作
は次の通りである。金属製の棒状部材に中空糸膜の先端
をくくりつけ、それぞれの中空糸膜の他の先端に0.4
gの重りを取り付ける。そして、公知の潤滑油(エンジ
ン油10W−30)をビーカ内の潤滑油にこれら中空糸
膜の略全長が浸漬されるように、前記棒状部材を支持す
る。次いで、ホットプレート上で潤滑油を2〜3℃/分
の速度で加熱した。
【0028】この結果、中空糸膜が切断された温度は、
生の中空糸膜で75℃、Cu被覆中空糸膜で90℃、N
i被覆中空糸膜で120℃であった。この結果は、中空
糸膜に十分な量で、かつ、接着強度の高い金属層が形成
されることにより、耐熱性が向上できることを示してい
る。
【0029】(実施例4)次に、実施例3で得られた各
中空糸膜のハンダ付け性について試験を行った。本実施
例では、実施例3で得られた3種類の中空糸膜毎に数本
束ね、融点がそれぞれ72℃、68℃、58℃のハンダ
(千住金属工業株式会社製、低温棒ハンダ)でハンダ付
けし、そのハンダ付け性の良否を対比した。その結果、
Cu又はNiを被覆した中空糸膜ではハンダ付けが確実
に行えたのに対し、生の中空糸膜では全くハンダが付着
せず、ハンダ付けは全く不可能であった。
【0030】その他、ポリスルフォン、ポリエーテルス
ルフォンからなる多孔質中空糸膜について前記実施例1
又は2と同様の方法によりエッチング処理、無電解メッ
キ処理を行ったところいずれも均一で厚膜状の金属Ni
層が形成できた。
【0031】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
金属と多孔質中空糸膜とが化学的に結合した構成となっ
ているため、多孔質中空糸膜と金属層との接着強度を増
大し、かつ金属の被覆量も増大した多孔質中空糸膜を提
供することができる。そして、金属の被覆量も多くでき
るため、多孔質中空糸膜を十分導電化できる。導電化さ
れた多孔質中空糸膜には電解処理を行うことにより他の
金属を被覆することができるため、Pt等の触媒性金属
をさらに被覆することもできる。さらに、十分な量の金
属層が中空糸膜に被覆できることにより、中空糸膜の耐
圧性、耐熱性、及びハンダ付け性を一層向上できる。ま
た、本発明の多孔質中空糸膜は、中空糸膜のモジュール
化に有効である。さらにまた、本発明の多孔質中空糸膜
は、静電気の発生を防止できるため、非水系溶液に使用
することができる。また、金属被覆層と多孔質中空糸膜
との化学的な結合は、多孔質中空糸膜をエッチング処理
することにより簡単に可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】金属被覆された多孔質中空糸膜断面組織の走査
型電子顕微鏡写真である。
【図2】図1の拡大写真である。
【図3】金属層が形成されない多孔質中空糸膜の図1に
対応する走査型電子顕微鏡写真である。
【図4】金属層が形成された多孔質中空糸膜外側表面組
織の走査型電子顕微鏡写真である。
【図5】図4の拡大写真である。
【図6】金属被覆層が形成されない多孔質中空糸膜外側
表面組織の走査型電子顕微鏡写真である。
【図7】図6の拡大写真である。

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】  多孔質樹脂に金属層が化学的に結合し
    ていることを特徴とする多孔質中空糸膜。
  2. 【請求項2】  前記金属層は、Pd又はPd,Snと
    、Ni,Co,Fe,Mo,W,Cu,Re,Au,A
    gの少なくとも一つの合金層からなる請求項1記載の多
    孔質中空糸膜。
  3. 【請求項3】  前記金属層の上にさらに、Cr,Zn
    ,Ag,Au,Pt,Al,Mn,Bi,Se,Te,
    Cd,Ir,Ti,Niの少なくとも一つからなる金属
    層が形成されている請求項2記載の多孔質中空糸膜。
  4. 【請求項4】  前記多孔質中空糸膜は、ポリアクリロ
    ニトリル、ポリアリレート、ポリスルフォン、フェノキ
    シ樹脂、ポリアミドイミド、ポリエーテルスルフォン、
    ABS、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアミド、
    ポリエーテルイミド、アクリルウレタン、ポリイミド、
    シリコーン系樹脂のいずれか一種から形成される請求項
    1ないし3のいずれか記載の多孔質中空糸膜。
  5. 【請求項5】  多孔質中空膜をエッチング処理をする
    工程と、次いで、多孔質中空膜を金属塩溶液に浸漬して
    金属層を形成する工程と、を有する多孔質中空糸膜の製
    造方法。
  6. 【請求項6】  前記エッチング処理は、高濃度のアル
    カリ溶液、高濃度のクロム酸・硫酸溶液、及び高濃度の
    硫酸・硝酸溶液のいずれかに多孔質中空糸膜を浸漬する
    ことによる請求項5記載の方法。
  7. 【請求項7】  Pd又はPd,Snの金属塩溶液に多
    孔質中空糸膜を浸漬し、次いで、Ni,Co,Fe,M
    o,W,Cu,Re,Au,Agの少なくとも一つの金
    属イオンと錯形成剤と還元剤とを含む混合溶液に浸漬す
    ることにより、無電解金属処理層を形成する請求項5又
    は6記載の方法。
  8. 【請求項8】  多孔質中空糸膜を、さらに、Cr,Z
    n,Ag,Au,Pt,Al,Mn,Bi,Se  T
    e,Cd,Ir,Ti,Niの少なくとも一つの金属イ
    オン溶液に浸漬することにより、前記金属層上に電解金
    属処理層を形成する請求項7記載の方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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TWI631250B (zh) * 2016-05-20 2018-08-01 國立臺北科技大學 織物型彈性導電纖維膜及包含該纖維膜之織物型壓力感測器及智能開關
CN110066423A (zh) * 2019-04-24 2019-07-30 中原工学院 一种贵金属铂掺杂的荧光细菌纤维素的制备方法
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