JPH0417326B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 ［分野］ 本発明は電磁式ガス弁と、該ガス弁の作動電源
としての乾電池と熱電対を用いた熱電対式ガス安
全器に関する。

［従来技術］ 風呂釜や瞬間湯わかし器などに広く使われてい
るパイロツトバーナーの立ち消えによるガス洩れ
の危険を防止するための熱電対式ガス安全器は、
パイロツトバーナーを熱源として発生する熱起電
力によつて、常時は閉状態を保とうとする電磁式
ガス安全弁を電磁力の働きで開弁状態に維持させ
つづけようとするものであるから、熱起電力が所
望の水準に到達するまでの間に何らかの手段によ
つて強制的にガス安全弁を開状態に保たなければ
ならない。電磁式ガス安全弁および電磁式ガスメ
イン弁を点火操作当初の一定時間、つまり熱電対
の起電力が充分に高められるまでの間、およびガ
スメイン弁に点火させるまでの間、開または閉状
態に保ちつづけさせる方法としては、従来は手動
によつて弁体作動ボタンを一定時間押しつづける
か、乾電池から直接的に供給される電力に依存す
ることが行われてきた。しかし手動による方法は
操作がわずらわしいし、押しつけ圧の不足あるい
は押圧時間不足による点火失敗も住々にして起つ
た。また電池を直接的に電源として働かせるロツ
ク機構は、安全弁に所望時間だけ制御用電流を供
給するための比較的コストのかさむ熱電対の起電
力センサ付スイツチング機構とか、タイマー機構
付きスイツチング機構を別に用意しなければなら
ないし、乾電池の消耗もかなり早くて電池交換の
わずらわしさも無視し得ないものがあつた。

［発明の目的］ 本発明の目的は、電磁式ガス安全弁と、該安全
弁の作動電源としての乾電池と熱電対を用いた熱
電対式ガス安全器において、点火当初、所要時間
だけ、電磁式ガス安全弁を開弁、メイン弁を閉弁
させておくための機構の簡易化、および乾電池の
消耗を遅らせることにある。

［発明の構成］ 本発明の熱電対式ガス安全器は、ガス供給路に
設けられ、励磁すると開弁する電磁式ガス安全弁
と、該安全弁の下流の従分岐ガス供給路に設けら
れたパイロツトバーナと、前記安全弁の下流の主
分岐ガス供給路に介在し励磁すると開弁する電磁
式ガスメイン弁と、前記パイロツトバーナと並列
配置され前記メイン弁の先に設けられたメインバ
ーナと、前記パイロツトバーナに近接して組み付
けられたスパーカと、前記パイロツトバーナに近
接して組み付けられ前記電磁式ガス安全弁と並列
電気接続される熱電対と、支点に電気接続したコ
ンデンサを充電側接点に電気接続した乾電池で充
電する第１のスイツチと、該第１のスイツチの放
電側接点への切替わりに連動して前記スパーカと
前記電池とを電気接続する第２のスイツチと、前
記放電側接点と各弁との間に介在し、前記第１の
スイツチの放電側接点への切替わりから所要時間
の間は前記コンデンサの放電電流により前記電磁
式ガスメイン弁および電磁式ガス安全弁を励磁さ
せ、所要時間後は前記熱電対の起電力で前記電磁
式ガスメイン弁のみ励磁しないようにする抵抗と
を具備することを構成としている。

［作用および発明の効果］ 上記の構成により、本発明の熱電対式ガス安全
器は、つぎの作用効果を奏する。

（作用） 最初、第１のスイツチの支点は充電側にあり、
コンデンサは乾電池により満充電される。

点火を行う際には、第１のスイツチの支点を放
電側接点に切替える。

コンデンサの放電により電磁式ガス安全弁およ
びメイン弁が励磁し、安全弁体は開弁し、メイン
弁は閉弁する。上記切替わりに連動して第２のス
イツチが閉成し、スパーカと乾電池とが電気接続
され、スパークによりパイロツトバーナが点火す
る。

所要時間後、電磁式ガスメイン弁はコンデンサ
の放電電流で励磁されなくなり閉弁する。なお、
電磁式ガス安全弁は熱電対の起電力で励磁が維持
され開弁状態を保持する。

抵抗により、所要時間終了後に熱電対の起電力
で電磁式ガスメイン弁が励磁して閉弁することは
ない。

（効果） 簡単な機構で、点火当初、所要時間だけ確実
に、電磁式ガス安全弁、メイン弁を開弁、閉弁さ
せておける。

スパーカへの通電とコンデンサの充電のみ乾電
池の電力を使つているので乾電池の消耗は少な
い。

点火の際、スパーカが乾電池と直接電気接続す
るので、スパークの強度が弱まらず、安全確実に
ガス点火が行える。

［実施例］ 次に本発明の熱電対式ガス安全器を図に示す実
施例に基づいて説明する。

本発明の熱電対式ガス安全器は、乾電池DCと、
２次電源として働く比較的大容量のコンデンサー
Ｃと、該コンデンサーＣが蓄えた電力をガス供給
路Ｂに設けられた電磁式ガス安全弁２およびその
下流のガス供給路Ｂに設けられた電磁式ガスメイ
ン弁４に供給するための回路を切換える役目を帯
びた２接点スイツチSW１と、乾電池DCからパ
イロツトバーナー着火用スパーカー１１への電流
をON、OFFするためのスイツチSW２と、この
スイツチSW２と連動関係にあり、コンデンサー
Ｃを乾電池DCによつて充電させるための回路
（第１図）と、コンデンサーＣの放電を制御し、
電磁式ガス安全弁２および電磁式ガスメイン弁４
への電流を調整すると共に、熱電対の発生電流を
電磁式ガスメイン弁４に流入させないための抵抗
Ｒ１およびＲ２と、電磁式ガス安全弁２に電力を
供給するための熱電対１３とから構成されてい
る。

これらの主要構成要素の配置を第２図に示す。

電磁式ガス安全弁２より下流のガス供給路Ｂに
電磁式ガスメイン弁４が介在し、その先にメイン
バーナー１９が設けられている。また電磁式ガス
安全弁２の下流には電磁式ガスメイン弁４と並列
する状態でパイロツトバーナー弁３が、そしてそ
の先にパイロツトバーナー１２が取り付けてあ
る。このパイロツトバーナー１２に近接させて点
火装置１８および熱電対１３が組みつけられてい
る。

次に安全器の構造およびその作動をその平面図
並びに縦断図面としての第３図および第４図によ
つて説明する。

全体としてはほぼボツクス状をなし、ガスの滞
留空間でもある安全器ケーシングＡの上面に取付
けられた点火操作軸１と、この軸１を囲む様にし
てケーシングＡの各壁面に接して設けられたガス
導入口の開閉をつかさどる弁体２ａを備えた電磁
式ガス安全弁２、パイロツトバーナー弁３、およ
びメインバーナー１９へのガスの導入・遮断のた
めの電磁式ガス安全弁２より下流のガス供給路Ｂ
に介在され、弁体４ａを備えた電磁式ガスメイン
弁４と、これら各弁２，３，４を常時は閉または
開の状態に保つために組み込まれたばねの作用力
に抗して弁を解放させるための機械的作用力をお
よぼすための点火操作軸１に取付けられたカム
７，９，１０、並びにカム７，９，１０と連動す
る押圧片５と、電磁弁の開閉用電流を所望時期に
所要時間だけ供給するための乾電池DCによつて
充電される比較的大容量のコンデンサーＣの充放
電をつかさどる連動式のスイツチSW１、および
パイロツトバーナー点火装置１８の電源断続用ス
イツチSW２と、このスイツチSW２をON、OFF
させるためのカム１０と連動するスピンドル６と
を主要要素とし、これに熱電対１３の起電力を計
るための電流計２１、スパーカー点火時用のネオ
ンランプ２２、および空炊き防止スイツチ２３を
付属させて構成されている。

上記の様な構成を有する安全器の作動の有様を
以下に順次説明する。

安全器の点火操作軸１が“つまみ止”の位置を
占めたときの状態を安全器の平面および縦断面に
ついて描いた第３図および第４図、並びに電磁弁
の開閉をつかさどる電気回路図としての第１図に
おいて、電磁式ガス安全弁２はばねａによつて押
され閉状態にある。パイロツトバーナー弁３はば
ねｂによつて閉状態に置かれている。電磁式ガス
メイン弁４は押圧片５によつて強制的に押され閉
状態にある。連動関係にある１組のスイツチSW
１とSW２はばねｃの働きによつてスピンドル６
が戻され、SW２は開、SW１の充電側の接点は
閉状態に置かれる。スイツチSW１とSW２を連
動させる方法としては、スピンドル６に代る別の
連動機構を用いてもよい。

次に点火操作軸１を反時計方向に90゜近くまで
つまり“つまみ開”の状態まで回転させたときの
安全器の平面と縦断面をそれぞれ描いた第５図と
第６図および第１図において、点火操作軸１が回
転するとカム７の働きによつて突片８が回され電
磁式ガス安全弁２が開き、カム９の働きによつて
パイロツトバーナー弁３がばねｂに抗して開き始
める。そのときカム１０が働いてスピンドル６が
ばねｃに抗して引つぱられ、２つのスイツチSW
１，SW２のそれぞれの回路が切換わり、電磁式
ガスメイン弁４および電磁式ガス安全弁２の電磁
石に電流が流れ、スパーカー１１が働いてパイロ
ツトバーナー１２が点火し、次いで熱電対１３に
起電力が発生し電流計１２の指針が振れ始める。
そのとき電磁式ガス安全弁２、電磁式ガスメイン
弁４は比較的大容量のコンデンターＣが保有する
電力によつて強制的に吸着され、ネオンランプ２
２も点灯する。乾電池DCはここでは、1.5Vのも
のを使用、コンデンサーＣは本発明の目的を達成
するためには例えば6.8F、1.8Vといつた容量の
ものが必要である。

コンデンサー保有電力を有効に取り出せる時間
巾は10秒前後が適当で、この時間巾は抵抗Ｒ１お
よびＲ２並びにコンデンサーの容量等の選択によ
つて決定される。抵抗Ｒ１とＲ２の働きは (a) コンデンサーＣからの電流を制限して電磁式
ガス安全弁２と電磁式ガスメイン弁４の離脱時
間を任意に設定させる。

(b) コンデンサーＣからの電流により電流計２１
の指針が点火時まで振れない様にする。

(c) 熱電対１３の起電力によつて電磁式ガスメイ
ン弁４が吸着しつづけないようにする。

といつた３点が上げられる。抵抗値をＲ１＝Ｒ２
としても電磁式ガス安全弁２に対して電流計２
１、空だき防止スイツチ２３等が並列に入つてい
るために、離脱時間は電磁式ガス安全弁２より電
磁式ガスメイン弁４の方が長くなる。電磁式ガス
安全弁２より電磁式ガスメイン弁４の離脱時間を
長く設定しないと安全性に問題を生じる。上述の
理由から電気回路構成要素の各々の抵抗値の関係
は次の様に定める必要がある。

Ｒ１，Ｒ２＞MVR（電磁式ガスメイン弁４の
抵抗）、SVR（電磁式ガス安全弁２の抵抗）、TCR
（熱電対１３の抵抗） Ｒ１とＲ２はほぼ同じ抵抗値でよく、MVR、
SVR、およびTCRはほぼ同じ抵抗値である。

点火操作軸１を終端位置まで回転させコンデン
サーＣの放電電圧が低下した後の時期における安
全器の平面および縦断面が第７および第８に示さ
れている。

コンデンサーＣが放電を開始し、その有効電圧
が低下するまでの前記約10秒前後の間は、電磁式
ガスメイン弁４と電磁式ガス安全弁２はコンデン
サーＣの保有電力によつて強制的に吸着されてい
るが、熱電対１３の発生電圧も徐々に増加しその
電圧は電磁式ガス安全弁２に加算される。抵抗Ｒ
１の働きによつて電磁式ガスメイン弁４には加算
されることはない。そしてコンデンサーＣの保有
電力は徐々に放出される。

電磁式ガスメイン弁４に加えられる電圧が吸着
維持力を失う程に低下すると電磁式ガスメイン弁
４は強制力から解除され、電磁式ガスメイン弁４
はばねｄの働きによつて開き、ガスが流れてメイ
ンバーナー１９に着火し、ガス器具は使用状態に
入る。同時にばねｄの働きによつてロツク片２０
がはずれ、スピンドル６はばねｃによつて戻され
SW２は閉から開に、SW１は開から閉に切換わ
る。そしてスパーカー１１は停止し、ネオンラン
プ２２は消灯し、コンデンサーＣへの充電が開始
されるようになる。電磁式ガス安全弁２は当初は
コンデンサーＣの電力により強制吸着している
が、途中から熱電対１３の発生電力が加わり、そ
のまま吸着をつづける。

“つまみ止”の位置にもたらす時は、点火操作
軸１を時計回りに回転させると、カム９の働きに
よつて押圧片５が作動し電磁式ガスメイン弁４が
強制的に押されてメインバーナー１９へのガスの
供給が止まると同時にカム９によつてパイロツト
バーナー弁３が閉じパイロツトバーナー１２への
ガス供給が停止する。そして熱電対１３は冷却し
始め、電磁式ガス安全弁２への供給電圧が降下し
て電磁式ガス安全弁２も閉じ、最初の“つまみ
止”の状態に戻る。

また第９図に点火操作軸１を“つまみ止”の位
置から“つまみ開”を経て再び“つまみ止”の位
置にまで変化させた間の熱電対１３、電磁式ガス
安全弁２および電磁式ガスメイン弁４の電圧と、
電磁式ガス安全弁２、電磁式ガスメイン弁４、パ
イロツトバーナー弁３およびSW２の動き、並び
にスパーカー１１の働き、そしてパイロツトバー
ナー１２およびメインバーナー１９へのガス供給
状態の変化の相互関係を縦軸方向に変動する水平
線図として集終的に示した。

“つまみ止”から“つまみ開”に回すとスパー
カー１１に乾電池電流を流すためのスイツチSW
２が閉じ、同時にSW１が連動してコンデンサー
Ｃが蓄えた電力を電磁式ガス安全弁２および電磁
式ガスメイン弁４に流入させ、コンデンサーＣが
放電し終るまでの約10秒間、前者を開、後者を閉
の状態に維持しつづけさせる。この間着火したパ
イロツトバーナー１２によつて加熱された熱電対
１３は次第に起電力を増し、少くとも点火動作後
10秒以内には、電磁式ガス安全弁２を開状態に保
ちつづけるための水準に到達する。一方電磁式ガ
スメイン弁４に送入されるコンデンサー電力の衰
弱によつて電磁式ガスメイン弁４が解放されメイ
ンバーナー１９が燃焼を始める。“つまみ止”に
戻すと熱電対１３の起電力は衰えて電磁式ガス安
全弁２はスプリング力によつて閉鎖され電磁式ガ
スメイン弁４は機械的に封鎖される。

第１０図および第１１図は乾電池DCの電圧が
低下してきた状態の時、およびガスが供給されて
いない状態について、第９図と同様に各主要構成
要素の電圧または位置の変化を点火操作軸１の動
きに対応させグラフ化したタイムチヤートであ
り、いずれもフエイルセイフテイに作動すること
が判る。

【図面の簡単な説明】

第１図は、電磁弁の開閉をつかさどる電気回路
の略解図、第２図は本発明安全器の主要構成要素
においての作動系統略示図、第３図および第４図
は、本発明の熱電対式ガス安全器の低下操作軸が
“つまみ止”の位置にあるときの安全器の上面図
および縦断面図、第５図および第６図は同じく点
火操作軸が“つまみ開”の位置にもたらされ且つ
コンデンサーの放電電圧が充分高い時期の安全器
の上面図と縦断面図、第７図および第８図は“つ
まみ開”の位置にあつて且つコンデンサー電圧が
低下した時期の安全器の上面および縦断面図、第
９図は作動説明のためのタイムチヤート、第１０
図および第１１図は乾電池の電圧が低下してきた
状態の時、およびガスが供給されていない状態に
ついてのタイムチヤートである。 図中、２……電磁式ガス安全弁、１１……スパ
ーカー、１２……パイロツトバーナー、１３……
熱電対、Ｂ……ガス供給路、Ｃ……コンデンサ
ー、DC……乾電池、Ｒ１，Ｒ２……抵抗、SW
１……２接点スイツチ（第１のスイツチ）、SW
２……スイツチ（第２のスイツチ）。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ ガス供給路に設けられ、励磁すると開弁する
   電磁式ガス安全弁と、 該安全弁の下流の従分岐ガス供給路に設けられ
   たパイロツトバーナと、 前記安全弁の下流の主分岐ガス供給路に介在
   し、励磁すると開弁する電磁式ガスメイン弁と、 前記パイロツトバーナと並列配置され前記メイ
   ン弁の先に設けられたメインバーナと、 前記パイロツトバーナに近接して組み付けられ
   たスパーカと、 前記パイロツトバーナに近接して組み付けら
   れ、前記電磁式ガス安全弁と並列電気接続される
   熱電対と、 支点に電気接続したコンデンサを充電側接点に
   電気接続した乾電池で充電する第１のスイツチ
   と、 該第１のスイツチの放電側接点への切替わりに
   連動して前記スパーカと前記電池とを電気接続す
   る第２のスイツチと、 前記放電側接点と各弁との間に介在し、前記第
   １のスイツチの放電側接点への切替わりから所要
   時間の間は前記コンデンサの放電電流により前記
   電磁式ガスメイン弁および電磁式ガス安全弁を励
   磁させ、所要時間後は前記熱電対の起電力で前記
   電磁式ガスメイン弁のみ励磁しないようにする抵
   抗と を具備してなる熱電対式ガス安全器。