JPH04123858U - シヨルダーベルトアンカー調節装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 スルーアンカーを揺動自在に軸支するための
取付け部の強度を低下することなくスライドベースを薄
肉化し、重量を軽減すると共に加工性を向上させること
が可能で、且つスライドベースとプレートとの固定を強
固なものとし、スライド部材におけるロックピンの支持
の信頼性を高めることができる安価で良好なショルダー
ベルトアンカー調節装置を提供する。 【構成】 スルーアンカー２１を揺動自在に軸支するボ
ルト９を螺着するためのナット５を別個に作成した後
に、薄肉の金属平板によって形成されたスライドベース
２とプレート３に該ナット５を確実に固着した。スライ
ドベース２とプレート３の一端部を係着手段により直接
固定とし、他端部を組付けが容易な固着手段としてこれ
らを強固に固定した。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は、車両用シートベルト装置に用いられ、乗員の体格等に応じて肩ベル トの支持高さを調節することができるショルダーベルトアンカー調節装置の改良 に関する。

【０００２】

【従来の技術】

従来、車両の乗員等を座席に安全に保持するためのシートベルト装置としては 、連続ウェビングを用いて三点式シートベルト装置としたものがある。

【０００３】 この種のシートベルト装置では、図６に示す様に、ウェビング２２の一端部が リトラクター（巻取り装置）２７に係止され、他端部がスルーアンカー２３を通 ってセンターピラー２９の下端部に軸支されたアンカープレート２８に係止され ており、アンカープレート２８とスルーアンカー２３との間のウェビング中間部 に配設されたスルータング２４を車体略中央部に立設されたバックル２５に係合 させることにより、乗員を座席３０に拘束している。

【０００４】 更に、この様な三点式シートベルト装置においては、乗員の体格に合わせてウ ェビング２２の有効長を調節すると共に、乗員の肩部分へ正確にウェビング２２ を装着するために、センターピラー２９へ取り付ける前記スルーアンカー２３を 上下方向に自由に移動させて肩ベルトの支持高さを調節可能としたショルダーベ ルトアンカー調節装置３１が採用されている。

【０００５】 上記ショルダーベルトアンカー調節装置３１は、例えば図７に示すように、セ ンターピラー２９内に設けられたガイドレール３７に案内されて上下方向へ移動 可能にスライド部材４０を設け、該スライド部材４０に前記スルーアンカー２３ を取り付ける構成としている。そして、前記スライド部材４０は前記ガイドレー ル３７の上下方向複数位置の夫々で、拘束手段を介して下方への移動を阻止され た状態にガイドレール３７に拘束されるようになっている。

【０００６】 前記ガイドレール３７は、車室内におけるセンターピラー２９に締結されて車 体に固定された断面略コ字形状の鋼板からなり、その底部には長手方向に配設さ れた複数の係止孔４４を有すると共に、その両側端には屈曲形成されたガイドフ ランジ３７ａを備えている。

【０００７】 前記スライド部材４０は、ガイドレール３７の内方空間に位置すると共にスル ーアンカー２３を揺動自在に軸支するためのボルト３９が螺着されるスライドベ ース３２と、幅方向両端部が前記ガイドフランジ３７ａに相対摺動可能に嵌合し ているスライダー３３と、ガイドレール３７の外方に位置して幅方向両端部が前 記ガイドフランジ３７ａの外面に僅かに離間した状態で対向するプレート３４と が面接状態で皿子ネジ３８を介して締結されて構成されている。皿子ネジ３８は カバープレート４１も面接状態で共に締結している。

【０００８】 拘束手段としてのロックピン３５はスライド部材４０に支持されると共に、圧 縮コイルバネ３６の付勢力により前記係止孔４４との係合方向に付勢されており 、操作ボタン４３を押し下げることによって係止孔４４との係合を解除すること ができる。

【０００９】 そこで、乗員が操作ボタン４３を押し下げながらスライド部材４０を所望の位 置まで摺動させた後、操作ボタン４３から手を放すことによって、ロックピン３ ５が係止孔４４に係合し、スライド部材４０をガイドレール３７の所望の位置に 拘束することができる。

【００１０】

【考案が解決しようとする課題】

しかしながら、上述の如きショルダーベルトアンカー調節装置の場合、スライ ドベースに螺着したボルトによって前記スルーアンカーを揺動自在に軸支するた め、該スライドベースにネジ穴を設ける必要がある。そこで、このネジ穴の十分 な強度を得る為にスライドベースの肉厚をある程度厚くする必要があり、重量が 重くなるという問題があった。

【００１１】 また、前記スライドベースには、その他にもロックピンを支持するための貫通 孔や、皿子ネジによってスライダー及びプレートを面接状態で共に締結するため のネジ穴等を設けなければならず、スライドベース自体が厚肉の板材のため切断 が難しく加工工程も多いので、製造コストが高いという問題があった。

【００１２】 更に、上記ショルダーベルトアンカー調節装置の場合、車両衝突時にウエビン グに作用する引っ張り荷重は、殆ど前記ロックピンを介して車体に伝えられるの で、スライド部材におけるロックピンの支持の信頼性を高める必要があり、該ロ ックピンを支持しているスライドベースとプレートとの固定を強固なものとする ことが望まれている。

【００１３】 そこで、本考案の目的は上記課題を解消することにあり、スルーアンカーを揺 動自在に軸支するための取付け部の強度を低下することなくスライドベースを薄 肉化し、重量を軽減すると共に加工性を向上させることが可能で、且つスライド ベースとプレートとの固定を強固なものとし、スライド部材におけるロックピン の支持の信頼性を高めることができる安価で良好なショルダーベルトアンカー調 節装置を提供することである。

【００１４】

【課題を解決するための手段】

本考案の上記目的は、車体に取付けられ複数の係止部を有するガイドレールと 、スルーアンカーを介してウェビングを支持し前記ガイドレールに案内されて上 下方向へ移動可能なスライド部材と、該スライド部材に変位可能に設けられ前記 ガイドレールの上下方向複数位置の夫々で前記係止部と係合して下方への移動を 阻止するようにスライド部材を拘束する拘束手段と、前記スライド部材に変位可 能に設けられ変位操作されて前記拘束手段によるスライド部材の拘束状態を解除 する操作手段とを備えたショルダーベルトアンカー調節装置において、前記スラ イド部材は前記ガイドレールと摺接するスライダーを挟持すると共に前記拘束手 段を変位可能に支持するそれぞれ平板状のスライドベースとプレートとを有し、 該スライドベースとプレートとが互いの一端部を係着する係着手段と他端部を固 着する固着手段とによって固定されており、前記スライドベースには前記スルー アンカーを揺動自在に軸支するボルトを螺着するためのナット部材が前記プレー トを嵌通するようにして固着されていることを特徴とするショルダーベルトアン カー調節装置により達成される。

【００１５】

【作用】

即ち、本考案によると、スルーアンカーを揺動自在に軸支するボルトを螺着す るためのネジ部が、スライドベースと別体のナット部材により構成されているの で、スライドベースを薄肉の金属平板によって形成することができる。また、ス ライドベースとプレートの一端部が、例えば一方に屈曲形成された係合片と他方 に開口された係合穴とを係合させる係着手段によって直接固定されるので、スラ イドベースとプレートとを強固に固定することができる。

【００１６】

【実施例】

以下、添付図面に基づいて本考案の一実施例を詳細に説明する。図１は本考案 によるショルダーベルトアンカー調節装置１の部分断面正面図、図２及び図３は 図１におけるショルダーベルトアンカー調節装置１のＡ−Ａ断面矢視図及びＢ− Ｂ断面矢視図である。

【００１７】 ショルダーベルトアンカー調節装置１は、ガイドレール１７が長手方向を上下 方向とし、その上端部及び下端部を車室内におけるセンターピラー２９にボルト １２で締結して車体に固定されている。該ガイドレール１７は断面略コ字形状の 鋼板からなり、その底部には長手方向に配設された複数の係止孔１１を有すると 共に、その両側端には屈曲形成されたガイドフランジ１７ａを備えている。前記 係止孔１１は、下半分が半円断面で上半分が矩形断面とされており、該矩形断面 部の上縁はセンターピラー側に屈曲されて傾斜面１１ａが形成されている。

【００１８】 前記ガイドレール１７に案内されて上下方向へ移動可能に設けられるスライド 部材４２は、スライドベース２と、スライダー３と、プレート４とが面接状態で 固定されたスライド本体に該スライド本体の移動を拘束する拘束手段と該拘束手 段による拘束状態を解除する操作手段とを設け、これらをカバー１４で覆って構 成したものである。前記スライダー３は樹脂製で、幅方向の両端部には長手方向 へ延びる溝部３ａが形成されており、該溝部３ａは前記ガイドレール１７のガイ ドフランジ１７ａに相対摺動可能に嵌合している。前記スライドベース２は薄肉 の金属平板をプレス加工等により形成したもので、ガイドレール１７の内方空間 に位置し、幅方向端部がスライダー３を間に介在させてガイドフランジ１７ａに 対向している。これにより、スライドベース２は図２中の矢印Ｘ方向に作用する 荷重をガイドフランジ１７ａを介してガイドレール１７に支持させることができ る。前記プレート４は薄肉の金属平板からなり、ガイドレール１７の外方に位置 して幅方向両端部が前記ガイドフランジ１７ａの外面に僅かに離間した状態で対 向しており、該プレート４上には後述する操作ボタン１３及びカバー１４等を載 設するためのベース１６及びガーニッシュ１０がビス１５により固定されている 。

【００１９】 更に、前記スライドベース２の上端縁部にはほぼ直角に折り曲げた係合片２ａ が形成されている。係合片２ａの先端部２ｂは略Ｔ字形状に形成されており、該 係合片２ａの他の部分よりも広い幅を有している。スライドベース２の他端部近 傍にはナット５がかしめられて固着されており、スルーアンカー２１を揺動自在 に軸支するためのボルト９が螺着される。前記プレート４の先端部には前記係合 片２ａが挿入嵌合される開口４ａが形成されており、該開口４ａはその先端側が 幅狭の開口幅となる略Ｔ字形状に形成されると共に前記先端部２ｂの両端部が係 合する段部４ｃが形成されている。

【００２０】 そこで、図４に示すように、係着手段である前記スライドベース２の係合片２ ａを前記プレート４の開口４ａに挿入し、その先端部２ｂの両端部を段部４ｃに 係合させて係合片２ａと開口４ａとを嵌合することによってスライドベース２と プレート４の互いの一端部を係着した後に、前記スライダー３を挟持するように してこのスライドベース２とプレート４の互いの他端部を固着手段であるリベッ ト７により鋲着する。

【００２１】 即ち、係合片２ａと開口４ａとを係着することによりスライドベース２とプレ ート４の一端部が直接固定されるので、他端部を組付けが容易なリベット締めと しながらこれらを強固に固定することができ、組み立て性を向上することができ た。又、外周面を非円形に形成された前記ナット５の車内側端部がプレート４に 形成された嵌通孔に嵌通するようにして組み立てられるので、別個に作成したナ ット５をスライド本体に確実に固着することができる。従って、スライドベース ２に直接、ネジ部を形成することなく前記ボルト９の固定を保証することができ 、薄肉の金属平板によってスライドベース２を形成することができるので、スラ イドベース２の加工が容易となり、スライド本体を軽量化することができた。

【００２２】 この様な構成により、スライド部材４２はスライダー３がガイドフランジ１７ ａに対して摺動することで、ガイドレール１７に案内されて上下方向へ移動可能 となっている。

【００２３】 拘束手段としてのロックピン６は、軸部６ａと、フランジ部６ｂと、大径軸部 ６ｃとが同一軸線上に形成されており、その軸部６ａをプレート４に形成された 貫通孔４ｂに挿入し、大径軸部６ｃをスライドベース２に形成された貫通孔２ｃ に挿入することにより、スライドベース２及びプレート４に支持されている。大 径軸部６ｃは前記貫通孔２ｃに遊嵌し、スライダー３に形成された貫通孔３ｃ内 に位置するフランジ部６ｂが貫通孔２ｃの周囲でスライドベース２に当接した図 ３の状態では貫通孔２ｃを貫通してスライド部材４２の外方へ突出し、前記ガイ ドレール１７の係止孔１１内に進入するようになっている。

【００２４】 前記軸部６ａには圧縮コイルばねからなるリターンスプリング８が巻装されて いる。リターンスプリング８は、一端がフランジ部６ｂに支持され、他端がプレ ート４に支持されており、前記ロックピン６を係止孔１１との係合方向へ付勢し ている。

【００２５】 即ち、ロックピン６は強固に固定されたスライドベース２とプレート４とによ って確実にスライド部材４２に案内支持されるので、ウェビング２２よりスルー アンカー２１を介してスライド部材４２に作用する下方への荷重はガイドレール １７を介して確実に車体に伝えられる。従って、スライド部材４２をガイドレー ル１７に支持するロックピン６の信頼性を高めることができる。

【００２６】 操作手段としての操作ボタン１３は、ベース１６及びカバー１４により案内さ れてスライド部材４２の幅方向へ移動可能な一対の中空部材からなり、該操作ボ タン１３は圧縮コイルばねからなるリターンスプリング１８により互いに離間す る方向へ付勢されている。そして、この操作ボタン１３には、前記ロックピン６ が連係されている。即ち、夫々の操作ボタン１３の内方にはロックピン６を挟む ようにほぼ中央部まで幅方向に延びる壁部１３ａが配設されており、該壁部１３ ａの内方縁には傾斜面が形成されている。一方、ロックピン６には小径軸部６ｄ に溝部６ｅを配設し、溝部６ｅにプッシュナット１９が嵌着されており、該プッ シュナット１９の両端部が壁部１３ａの傾斜面に対向している。図３の状態では 、プッシュナット１９の両端部は壁部１３ａの傾斜面に係合していない。

【００２７】 従って、この図３の状態から一対の操作ボタン１３を挟持するようにして互い に近接する方向へ移動させれば、プッシュナット１９は相対的に壁部１３ａの傾 斜面を昇り上がることになるので、プッシュナット１９は図３中の矢印Ｘ方向へ 移動することになり、ロックピン６はリターンスプリング８の付勢力に抗して図 ３中の矢印Ｘ方向へ移動する。この時、ロックピン６は大径軸部６ｃがガイドレ ール１７の係止孔１１から完全に抜け出しており、ロックピン６がスライド部材 ４２の上下方向移動を妨げることはない。

【００２８】 そこで、操作ボタン１３を挟持したままスライド部材４２を任意の位置まで移 動して操作ボタン１３から手を放すと、ロックピン６がリターンスプリング８の 付勢力によって該当位置の係止孔１１に挿通されるので、スライド部材４２の上 下方向移動が再び拘束される。

【００２９】 尚、本考案におけるスライド部材を構成するスライドベース、スライダー及び プレート等は、上記実施例の形状に限定されるものではなく、種々の変更が可能 であることは勿論であり、スライドベースとプレートとを固定する固着手段及び 係着手段も上記実施例の手段に限定されない。

【００３０】 例えば、図５に示すように、スライドベース２の係合片２ａの先端部をほぼ直 角に屈曲形成し、該係合片２ａをプレート４の先端部に形成された開口４ａに挿 入嵌合することにより、スライドベース２とプレート４の互いの一端部を係着す ることもできる。また、これらの他端部を固着する固着手段もリベットに限らず 、ビス等により固定しても良い。

【００３１】

【考案の効果】

本考案によれば、スルーアンカーを揺動自在に軸支するボルトを螺着するため のナット部材が別個に作成された後にスライド部材に確実に固着されるので、ス ライドベースとプレートとを薄肉の金属平板によって形成することができる。ま た、スライドベースとプレートの一端部が直接固定されるので、他端部を組付け が容易な固着手段としながらこれらを強固に固定することができる。

【００３２】 従って、スルーアンカーを揺動自在に軸支するための取付け部の強度を低下す ることなくスライドベースを薄肉化し、重量を軽減すると共に加工性を向上させ ることが可能で、且つスライドベースとプレートとの固定を強固なものとし、ス ライド部材におけるロックピンの支持の信頼性を高めることができる安価で良好 なショルダーベルトアンカー調節装置を提供できる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案の一実施例に基づくショルダーベルトア
ンカー調節装置の部分破断正面図である。

【図２】図１に示したショルダーベルトアンカー調節装
置のＡ−Ａ断面矢視図である。

【図３】図１に示したショルダーベルトアンカー調節装
置のＢ−Ｂ断面矢視図である。

【図４】図１に示したスライドベースとプレートとの係
着手段を説明するための要部拡大斜視図である。

【図５】本考案の他の実施例に基づくスライドベースと
プレートとの係着手段を説明するための要部拡大斜視図
である。

【図６】三点式シートベルト装置の全体構成を説明する
ための概略斜視図である。

【図７】従来のショルダーベルトアンカー調節装置の縦
断面図である。

【符号の説明】

１ ショルダーベルトアンカー調節装置 ２ スライドベース ２ａ 係合片 ３ スライダー ３ａ 溝部 ４ プレート ４ａ 開口 ５ ナット ６ ロックピン ７ リベット ８ リターンスプリング ９ ボルト １０ ガーニッシュ １１ 係止孔 １２ ボルト １３ 操作ボタン １４ カバー １５ ビス １６ ベース １７ ガイドレール １８ リターンスプリング １９ プッシュナット ２１ スルーアンカー ２２ ウェビング ２３ スルーアンカー ２４ スルータング ２５ バックル ２７ リトラクター ２８ アンカープレート ２９ センターピラー ３０ 座席 ３１ ショルダーベルトアンカー調節装置 ３２ スライドベース ３３ スライダー ３４ プレート ３５ ロックピン ３６ 圧縮コイルバネ ３７ ガイドレール ３８ 皿子ネジ ３９ ボルト ４０ スライド部材 ４１ カバープレート ４２ スライド部材 ４３ 操作ボタン ４４ 係止孔

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 車体に取付けられ複数の係止部を有する
   ガイドレールと、スルーアンカーを介してウェビングを
   支持し前記ガイドレールに案内されて上下方向へ移動可
   能なスライド部材と、該スライド部材に変位可能に設け
   られ前記ガイドレールの上下方向複数位置の夫々で前記
   係止部と係合して下方への移動を阻止するようにスライ
   ド部材を拘束する拘束手段と、前記スライド部材に変位
   可能に設けられ変位操作されて前記拘束手段によるスラ
   イド部材の拘束状態を解除する操作手段とを備えたショ
   ルダーベルトアンカー調節装置において、前記スライド
   部材は前記ガイドレールと摺接するスライダーを挟持す
   ると共に前記拘束手段を変位可能に支持するそれぞれ平
   板状のスライドベースとプレートとを有し、該スライド
   ベースとプレートとが互いの一端部を係着する係着手段
   と他端部を固着する固着手段とによって固定されてお
   り、前記スライドベースには前記スルーアンカーを揺動
   自在に軸支するボルトを螺着するためのナット部材が前
   記プレートを嵌通するようにして固着されていることを
   特徴とするショルダーベルトアンカー調節装置。