JPH04107514U - ボールジヨイント用ダストカバー - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 ダストカバー小開口部のリテーナへの装着時
に、リテーナ円筒部上端縁の干渉によるダストカバー小
開口部内周面の亀裂発生を抑止し、ダストカバー小開口
部の装着をスムーズにすること。 【構成】 装着時にリテーナの円筒部の上端縁に対向す
るダストカバーの小開口部内周面の下端縁に周状欠肉部
が設けられ、該周状欠肉部の内周面が丸味を帯びた凸状
の輪郭を有する。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は、例えば自動車懸架装置及び操舵装置等に使用されるボールジョイン ト用ダストカバーに係り、特に、ボールスタッドの柄に嵌装されたリテーナの外 周にダストカバーの小開口部を装着するボールジョイント用ダストカバーに関す る。

【０００２】

【従来の技術】

従来、ダストカバーが長期の使用で胴膜部の反発力を喪失し、それによってダ ストカバーが潰れボールスタッドの柄に装着した小開口部が連接棒の球頭部側端 面から離れて隙間を生ずることがある。そこで、ダストカバー小開口部の移動を 防止するため、第１図左半部に示す如く、断面Ｌ字形の環状リテーナ１１１をボ ールスタッド１０２の柄１０３に嵌装し、小開口部１０９下面全体をリテーナ１ １１のフランジ部１１３で支持していた。このようなボールジョイント用ダスト カバーとしては、実公昭５６−４９０６号、同５６−１２４１８号，同６１−３ ６８０６号，特開昭５３−４１４７号等がある。

【０００３】

【考案が解決しようとする課題】

上述の如きボールジョイント用ダストカバーは、小組みされたボールジョイン ト１０１のボールスタッド１０２の柄１０３に、該円筒部１１２の先端をボール スタッド１０２の反球頭部側に向け圧入されたリテーナ１１１の外周部に、ダス トカバー１０８の一端小開口部１０９が装着される。該ダストカバー１０８の小 開口部１０９の内径は締代を持たせるため、装着前の自然状態では被装着物であ るリテーナ１１１の円筒部１１２の外径より若干小径に形成されている。そのた め、図５に示されるようにダストカバー１０８小開口部１０９のリテーナ１１１ への圧入直前においては、該内周面１２１の下端面１２４と、リテーナ１１１の 円筒部１１２の上端縁１１４が全面接触された状態となるが、圧入進行に伴い該 小開口部１０９の内径がリテーナ１１１の外径を越しながら拡径され、リテーナ １１１のフランジ部１１３の上端面にダストカバー１０８の小開口部１０９が着 座される。この圧入の際、リテーナ１１１の円筒部上端縁１１４に強く圧接され るダストカバー小開口部１０９の内周面１２１の下端縁部においては局部的な応 力集中により亀裂１２５が発生し易く、それ故ボールスタッド１０１内のグリス の外部への放出、及び砂塵、水等のボールスタッド１０１内部への侵入という問 題が生じる。

【０００４】 本考案は、この様な問題点を解決したボールジョイント用ダストカバーを提供 することを目的とする。

【０００５】

【課題を解決するための手段】

本考案は次のような構成である。

【０００６】 装着時にリテーナの円筒部上端縁に対向するダストカバーの小開口部内周面の 下端縁に周状欠肉部が設けられ、該周状欠肉部の内周面が丸味を帯びた凸状の輪 郭を有する。

【０００７】

【実施例】

以下、本考案の実施例を図面に基づいて説明する。

【０００８】 図２右半部は、本考案の実施例によるボールジョイント用ダストカバー８を表 し、図３は、該ダストカバー８の部分拡大図である。図１右半部は、本考案の実 施例によるボールジョイント用ダストカバー８を有するボールジョイント１を表 す。

【０００９】 図１右半部において、１はボールジョイントで、ボールスタッド２の一端球頭 部４がベアリング５を介してハウジング６内に揺動回転自在に軸支されると共に 、他端の柄３はハウジング６開口７から突出している。ボールスタッド２は、柄 ３のテーパ部２８が連接棒２０にナットで締付け固定される。連接棒２０は、例 えばナックルアーム等である。

【００１０】 ボールスタッド２の柄３の中間部２６に嵌装された環状のリテーナ１１は、ボ ールスタッド２の柄３に圧入嵌装された円筒状の円筒部１２とその一端から外径 方向に延出するフランジ部１３とより成り、そのフランジ部１３はボールスタッ ド２の球頭部４側に位置している。

【００１１】 ８はダストカバーで、ラバーまたは柔軟なプラスチック等により略円筒釣鐘状 に形成されている。ダストカバー８の一端小開口部９には、環状の補強環１５が 一体に埋設されることによって補強され、上端外周にはナックルアーム等の連接 棒２０との間をシールする周状リップが形成されている。この小開口部９はリテ ーナ１１の円筒部１２の外周に適度な締代を持たせ、ボールスタッドの軸線まわ りに摺動回転自在に装着されている。

【００１２】 また、図３に示される如く、ダストカバー８の小開口部９内周面２１の下端縁 には、該内周面２１に対して外周方向に欠肉された周状欠肉部２２が設けられ、 該周状欠肉部２２内周面２３は、丸味を帯びた凸状の輪郭を有する。

【００１３】 ダストカバー８の他端大開口部１０は、ハウジング６の開口７付近の外周に形 成された環状溝１７に嵌着され、更に大開口部１０の外周には、ハウジング６か らの離脱防止のための締付けリング１６が装着されている。又、締付けリング１ ６を用いずに該大開口部１０を圧入する構成のものでも良い。

【００１４】 次に、上述の如きボールジョイント用ダストカバーの装着方法について説明す る。

【００１５】 先ず、図４（イ）に示されるようにリテーナ１１をフランジ部１３が球頭部４ 側に位置するようにボールスタッド２の柄３のテーパ部２８付近に軽圧入する。 次いで、ダストカバー８の一端小開口部９をボールスタッド２の柄３に挿入し、 同様に柄３に挿入された連接棒２０により軸線方向に押圧されることによって、 該ダストカバー８の一端小開口部９がリテーナ１１の円筒部１２上端縁１４側か ら圧入される。該小開口部９の内径は押圧進行に伴い拡径され、小開口部９内周 の下端面がリテーナ１１のフランジ部１３の上端面に着座するまで押圧され、ダ ストカバー８の一端小開口部９が、リテーナ１１外周に装着される。

【００１６】 前記したダストカバー小開口部９のリテーナ１１への装着時において、リテー ナ１１の円筒部１２の上端縁１４に対向する、ダストカバー８の小開口部９内周 面２１の下端縁には周状欠肉部２２が設けられているので、該円筒部１２の上端 縁１４に干渉されるべき素材ボリュームが少なく、更に、該周状欠肉部２２の内 周面２３が丸味を帯びた凸状の輪郭を有するので、リテーナ１１の円筒部１２の 上端縁１４と該周状欠肉部２２の接線角度は圧入に従い漸次変化し、弾性材料よ りなるダストカバー８の周状欠肉部２２への局部的な応力集中が為されにくい。

【００１７】 他方のダストカバー８の他端大開口部１０は、ハウジング６の開口７付近の環 状溝１７に嵌着する。

【００１８】 その後、ナットを締付けて前記連接棒２０をリテーナ１１の円筒部１２上端縁 １４に当接させ、更に前記ナットを締付けて連接棒２０を軸線方向に下降させる ことによって、図４（ロ）に示されるように、ボールスタッド２の柄３の連接棒 ２０への嵌入固定が完了するまでリテーナ１１と該リテーナ１１に装着されたダ ストカバー８の小開口部９が同時に押し下げられ、固定される。

【００１９】

【考案の効果】

以上のように本考案によれば、ダストカバー小開口部のリテーナへの圧入装着 時において、リテーナ円筒部の上端縁に対向するダストカバーの小開口部内周面 の下端縁には周状欠肉部が設けられているので、円筒部上端縁に干渉されるべき 素材ボリュームが少なく、更に、該周状欠肉部の内周面が丸味を帯びた凸状の輪 郭を有するので、リテーナの円筒部上端縁と該周状欠肉部の接線角度は圧入に従 い漸次変化し、弾性材料よりなるダストカバーの周状欠肉部への局部的な応力集 中が為されにくい。従って、該部の亀裂発生が抑止されると共に、リテーナ外周 へのダストカバー小開口部装着がスムーズに実施できる。

【図面の簡単な説明】

【図１】左半部が従来のボールジョイント用ダストカバ
ーを装着したボールジョイント、右半部が本考案の実施
例によるボールジョイント用ダストカバーを装着したボ
ールジョイントを表す部分断面平面図である。

【図２】左半部が従来のボールジョイント用ダストカバ
ー、右半部が本考案の実施例によるボールジョイント用
ダストカバーを表す部分断面平面図である。

【図３】図２右半部の要部拡大断面図である。

【図４】（イ）は、ダストカバー小開口部の、リテーナ
圧入前の状態を表す図１Ａ部と同部の拡大図である。
（ロ）は、ボールスタッドの柄の連接棒への嵌入固定が
完了した状態を表す図１Ａ部の拡大図である。

【図５】従来のダストカバー小開口部のリテーナへの圧
入に伴う亀裂発生の状態を表す図１Ｂ部と同部の拡大図
である。

【符号の説明】

１ ボールジョイント ２ ボールスタッド ３ 柄 ４ 球頭部 ８ ダストカバー ９ 小開口部 １１ リテーナ １２ 円筒部 １３ フランジ部 １４ 円筒部の上端縁 ２０ 連接棒 ２１ ダストカバー小開口部内周面 ２２ 周状欠肉部 ２３ 周状欠肉部の内周面

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 連接棒（２０）に連接されるボールジョ
   イント（１）のボールスタッド（２）の柄（３）に、円
   筒状の円筒部（１２）と該円筒部（１２）の一端に形成
   されたフランジ部（１３）より成るリテーナ（１１）
   が、前記フランジ部（１３）がボールスタッド（２）の
   球頭部（４）側に位置するように嵌装されると共に、弾
   性材料よりなるダストカバー（８）の一端小開口部
   （９）が前記リテーナ（１１）の外周に装着されるボー
   ルジョイント用ダストカバーにおいて、装着時に前記リ
   テーナ（１１）の円筒部（１２）の上端縁（１４）に対
   向する、前記ダストカバー（８）の小開口部（９）内周
   面（２１）の下端縁に周状欠肉部（２２）が設けられ、
   該周状欠肉部（２２）の内周面（２３）が丸味を帯びた
   凸状の輪郭を有することを特徴とするボールジョイント
   用ダストカバー。