JPH0351751B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本発明は、スイミングプールの塗装法に関する
ものである。

（従来の技術） 近年需要の増大しているスイミングプールは、
多数の人によつて利用されるため、特に大腸菌な
どの菌種の繁殖を防止するために、塩素系殺菌剤
の利用が義務づけられている。例えば厚生省の昭
和53年度の通達によるとスイミングプールの水質
基準は、遊離残留塩素濃度は0.4ppm以上又は総
残留塩素濃度は1ppm以上となつている。

ところでスイミングプールは、コンクリート、
鋼、ステンレス、アルミ、FRPなどで作られて
いるが、いずれの材質であつても美観、材質保
護、メンテナンスの容易さから大半は、塗料エナ
メルが塗装されている。そしてこの塗装に用いら
れる塗料としては、アクリル樹脂系エナメル、エ
ポキシ樹脂系エナメル、ポリウレタン樹脂系エナ
メルがよく知られている。

（発明が解決しようとする問題点） しかしこのようなエナメル仕上げの場合、プー
ルに定期的に投入する塩素系殺菌剤（例えば次亜
塩素酸ナトリウム、次亜塩素酸カルシウム、トリ
クロールイソシアヌール酸）の遊離塩素により、
これらエナメルを形成している樹脂が劣化し、短
期間の間に塗り替えが必要となり、同時に水泳者
の身体、衣類に着色顔料が付着し水洗などでは容
易に取れないため、プール管理者の大きな悩みと
なつている。

そこで発明者の研究の結果、これは塗料中に配
合された顔料成分、特に着色顔料が、遊離塩素に
より化学反応を起し劣化することが判明した。こ
のような現象は、屋内スイミングプールの場合特
に顕著に現われ、これは太陽光線が当たらないた
めより、殺菌力を増すため、薬剤投入を多量にす
ることと、屋内スイミングプールは、密閉状態に
近く塩素が滞留することが原因と考えられる。

そのため現在では、屋内スイミングプールでは
塩素殺菌剤の影響を受け各種塗料（エポキシ樹脂
エナメル、ポリウレタン樹脂エナメル等）ともプ
ール使用開始後６カ月、早いものは２カ月で塗料
塗膜に欠陥が現われ、塗り替えを迫られている。

そこで本発明の目的は、エナメル塗膜の耐塩素
殺菌剤性を向上させ、かつ塗り替え期間を延長さ
せることのできるスイミングプールの塗装法を提
供することにある。

（問題点を解決するための手段） 本発明の特徴は、スイミングプールに塗布され
たエナメル塗膜の上に、顔料が全く配合されてい
ないかまたは樹脂表面に露出しない限度に顔料が
配合されているポリウレタン樹脂塗料で、最終仕
上げとして上塗りする方法にある。

そしてこのポリウレタン樹脂塗料の組成物は、
水酸基を有するエポキシ樹脂、ポリエステル樹
脂、アクリル樹脂の少なくとも一つと、水酸基と
反応性のあるイソシアネート基とを有する化合物
を主成分としたことにある。

このエポキシ樹脂としては、ビスフエノールＡ
型（商品名エピコート1004−油化シエル(株)）又は
アルカノールアミン等で開環したエポキシポリオ
ール（商品名アデカEPX5963−旭電化工業(株)製）
などである。

またポリエステル樹脂としては、オイルフリー
型ポリオール（商品名デスモフエン600−住友バ
イエルウレタン(株)製）又はカージユラー型ポリオ
ール（商品名バーノツクDE−140−65−大日本イ
ンキ化学工業(株)製などである。

アクリル樹脂としては、アクリルポリオール
（商品名タケラツクUA−999−60X−武田薬品工
業(株)製、商品名アクリデイツクＡ−801−大日本
インキ化学工業(株)製）などである。

また水酸基とは反応性のあるイソシアネート基
としては、HMD1（ヘキサメチレンジイソシアネ
ート）系（商品名コロネートHL−日本ポリウレ
タン工業(株)製）、XDI（キシレンジイソシアネー
ト）系（商品名タケネートＤ−110N−武田薬品
工業(株)製）又はIPDI（イソホロンジイソシアネー
ト）系（商品名マイテツクNY210A−三菱化成
工業(株)製）などである。

そして本発明は、前記の主剤と硬化剤を塗装前
にこれを混合して使用する二液型である。

また主剤中にエナメル色相例えばライトブル
ー、ブルー系に応じた着色顔料または透明顔料を
添加することによつて色相の違和感を低下させる
ことなく、スイミングプールの色に深みをもたせ
ることにより豪華さを出し、付着性を向上させる
ことてが望ましい。この着色顔料又は透明顔料
は、配合された顔料が樹脂表面に露出しない限度
の配合量、即ち塗料中に１〜10重量％程度であつ
て、10％を越えて添加すると、本発明の目的であ
る耐塩素殺菌剤性が低下するので、大体５％程度
の添加量で十分である。

（発明の効果） 本発明は、以上の構成を有するので、スイミン
グプールのエナメル塗膜の耐塩素殺菌剤性を抜群
に向上させ、それにより劣化したエナメル樹脂が
水泳者の身体、衣類に付着することを防止し、さ
らに塗り替え期間を延長させることができる効果
を有するものである。

（実施例） 次に本発明の実施例について説明する。

実施例１〜５、比較例１〜５ アルミ板（サイズ70×150×1.5mm）を脱脂処理
後表−１−１及び表−１−２の塗装系に従つて塗
布した。塗装は各層１日１回塗り。エナメルにつ
いては、乾燥膜厚30μ／回。クリヤー・カラーク
リヤーについては、乾燥膜厚30μ／回行つた。作
成したテストピースは、20℃、75％の恒温室で７
日間乾燥後、試験に供した。その結果を表−３に
示す。付着性、耐衝撃性は、７日間乾燥後、耐塩
素殺菌材性は60日間浸漬後の結果である。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ スイミングプールにエナメル塗膜を塗布し、
   その後このエナメル塗膜の上に、ポリウレタン樹
   脂塗料で上塗りをするものであつて、 上記上塗り塗料の組成物は、水酸基を有するエ
   ポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂の
   少なくとも一つを主剤とし、水酸基と反応性のあ
   るイソシアネート基を有する化合物を硬化剤とす
   るもので、 さらに上記上塗り塗料には、顔料が全く配合さ
   れていないかまたは樹脂表面に露出しない限度に
   配合されている ことを特徴とするスイミングプールの塗装法。 ２ 特許請求の範囲第１項において、上塗り塗料
   は、０〜10重量％の着色顔料又は、透明顔料を含
   有することを特徴とするスイミングプールの塗装
   法。