JPH0348888Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 【産業上の利用分野】

本考案は、自動車の折りたたみ式シートに関
し、詳しくは、シートバツクをフルリクライニン
グさせシートクツシヨンを横方向に起立回動させ
ることにより、車室内壁に沿つて収納することが
できる折りたたみ式シートであつて、収納時の自
動ロツク機構およびそのロツク解除機構を備えた
ものに関する。

【従来技術およびその問題点】

多目的車である乗用ワゴン車やジープ車などに
おいては、そのリヤシートとして固定状のシート
の代わりに、不要時に折りたたみ収納しうる折り
たたみ式シートが設けられることがある。このよ
うな折りたたみ式シートとしては、たとえば特公
昭56−36089号公報に示されているように、シー
トバツクをシートクツシヨンに対し、伏倒可能に
構成した後席シート全体を後方の荷室フロアに収
納するようにしたものがある。このような構成に
あつては、荷室フロアにシートを折りたたんだ状
態で置くことになるため、荷室として有効利用す
ることができる空間が狭くなるという問題点があ
り、とくに、荷室高さが小さくなるところから、
背の高い荷物を荷室に置くことができなくなると
いうことがあつた。また、シートバツクをシート
クツシヨン上に折りたたみ、さらにそれをフロン
トシートのシートバツクの背面に向けて倒立回動
させる収納型シートも多用されているが、この場
合、荷室の前後長がシートクツシヨンとシートバ
ツクの厚さ分減じられる。そこで、折りたたんだ
状態で荷室の上下高さおよび前後長さが減じられ
ることがなく、しかも荷室の左右幅の減少をでき
るだけ抑えることができる折りたたみ式シートと
して、次のようなものが提案されている。 すなわち、荷室内壁近傍に固定された支持ベー
スに対して横方向に起立回動可能に支持されたシ
ートクツシヨンと、このシートクツシヨンの後方
部においてヒンジを介してフルリクライニング可
能に支持されたシートバツクとを有し、シートバ
ツクをフルリクライニングさせた状態でシートク
ツシヨンを横方向に起立回動させることにより、
荷室内壁に沿うようにして収納できる折りたたみ
式シートである。このような折りたたみ式シート
であると、シートクツシヨンとシートバツクを一
連に連続させた格好で、車室内壁などに沿うよう
に収納されるから、荷室の上下、前後長さが減じ
られることはなく、また荷室内壁からの膨出量が
わずかとなり、荷室フロアは折りたたみ式シート
を設けない場合と同様の広い荷室空間を確保する
ことができ空間の有効利用を図ることができる。 ところで、上述の折りたたみ式シートの収納状
態での保持方法は、シートバツクの後部の一部に
係止具を有するバンドを設けるとともに、車室の
側壁にコートフツクを設け、シートを折りたたん
だ状態で、バンドの係止具をコートフツクに引つ
掛けるという方法が採用されている。しかしなが
ら、このような保持方法では、横方向に自由に回
動しうるシートのシートバツクの一部が車体の側
壁に吊されているのみであるので、車体の振動な
どに伴つてシートがガタつき、騒音を発生させる
という問題があるのみならず、さらに、折りたた
まれたシートを乗員が着座しうる状態とする場
合、および再び折りたたんで収納する場合、その
たびごとに上記バンドの係止具をコートフツクに
引つ掛け、または、外すという操作が必要であ
り、取扱いが非常に面倒だという問題がある。 本考案は、上述のような事情のもとで考え出さ
れたもので、上述した車室内壁に沿うように収納
される折りたたみ式シートを収納するとき、これ
を起立させると起立状態を保持するロツク機構が
自動的に作動するようにし、折りたたみ式シート
の収納操作をきわめて簡単にするとともに、この
折りたたみ式シートが収納状態で確実に固定保持
され、上記のロツク機構の解除がきわめて簡単に
かつ安全に行えるようにするものである。

【問題点を解決するための手段】

上述の問題を解決するため、本考案では、支持
ベースに対して横方向に起立回動可能に支持され
たシートクツシヨンと、このシートクツシヨンの
後方部においてヒンジを介してフルリクライニン
グ可能に支持されたシートバツクとを有し、シー
トバツクをフルリクライニングさせた状態でシー
トクツシヨンを横方向に起立回動させることによ
り、車室内壁に沿うようにして収納できる折りた
たみ式シートにおいて、その収納時に、シートク
ツシヨンを起立させると自動的にロツクされ、シ
ートクツシヨンの逆回動が阻止される自動ロツク
機構を設けるとともに、シートクツシヨンの裏面
に設けたブラケツトに対し回動可能であり、折り
たたみ式シートの使用時に折りたたみ式シートの
脚となり、かつ干渉部を有する可動レツグと、上
記ブラケツトに対し回動可能であり、かつ上記可
動レツグを倒したときのみ上記干渉部に干渉しう
るストツパ片を有するロツク解除レバーとからな
るロツク解除機構を設け、可動レツグを倒した状
態においては、上記ストツパ片が上記干渉部に干
渉してロツク解除レバーの解除方向回動が阻止さ
れる一方、可動レツグを起立させた状態において
は、上記ストツパ片が上記干渉部に干渉せず、ロ
ツク解除レバーを解除方向に回動できるようにし
ている。

【本考案の作用および効果】

本考案の折りたたみ式シートにおいては、自動
ロツク機構が設けられていることから、その収納
時において、折りたたみ式シートが完全に起立す
ると、自動的にロツクされるとともに、折りたた
み式シートが逆回動するのが阻止される。したが
つて、従来のようにバンドで車室内壁に支持させ
る場合に比して、折りたたみ式シートの収納時の
操作がきわめて簡単になり、操作性が良くなる。
また、従来のようにシートバツクの一部をバンド
で車室内壁に保持していた場合、折りたたみ式シ
ートが揺動することがあつたが、本考案では、シ
ートクツシヨンの基部が支持ベースにロツクされ
ていることから、車両が振動することがあつて
も、折りたたみ式シートのみが揺れたりすること
はなく、安定した固定収納状態が得られる。 さらに、本考案においては、上記の自動ロツク
機構のロツク解除機構として、干渉部を有する可
動レツグと、この可動レツグを倒したときのみ上
記干渉部に干渉しうるストツパ片を有するロツク
解除レバーとからなるロツク解除機構を設けてい
る。そのため、可動レツグを倒した状態において
は、上記ストツパ片が上記干渉部に干渉してロツ
ク解除レバーの解除方向回動が阻止される一方、
可動レツグを起立させた状態においては、上記ス
トツパ片が上記干渉部に干渉せず、ロツク解除レ
バーを解除方向に回動できる。したがつて、乗員
が折りたたみ式シートを倒して使用するときに
は、まず、可動レツグを起立させると、ロツク解
除レバーのストツパ片が可動レツグの干渉部と干
渉しないため、ロツク解除レバーを操作して自動
ロツク機構のロツクが解除でき、折りたたみ式シ
ートを倒して乗員が着できる状態にすることがで
きる。このように、ロツク解除機構の操作も非常
に簡単なものとなる。さらに、可動レツグを起立
させないと、ロツク解除レバーを操作することが
できないため、乗員が不用意にロツク解除レバー
を操作することがあつても、折りたたみ式シート
のロツクが解除されないため、非常に安全であ
る。すなわち、折りたたみ式シートの脚となる可
動レツグが立てないまま折りたたみ式シートを水
平状態として折りたたみ式シートの支持部を破損
させるといつた事故がないように手当している。

【実施例の説明】

以下、本考案の好ましい実施例を図面を参照し
つつ説明する。 第１図は、本考案の実施例を示す全体斜視図で
ある。この種の折りたたみ式シート１は、たとえ
ば、フロアパネル２に形成されたホイールハウス
３に前後一対の支持ベース４を設けるとともに、
これに対してシートクツシヨン５をその側部にお
いて横方向に起立回動可能に支持させ、さらにこ
のシートクツシヨン５の後方部にシートバツク７
をヒンジ６を介してフルリクライニング可能に支
持させることにより基本的に構成される。そし
て、シートクツシヨン５の裏面には、シートとし
ての使用時に起立させてシートないし乗員の重量
をフロアに対し支承させるための可動レツグ８が
設けられている。この折りたたみ式シート１は、
第１図に示すように、シートバツク７をフルリク
ライニングさせてシートクツシヨン５とシートバ
ツク７を一連のベツド状にした状態で、シートク
ツシヨン５を支持ベース４に対して横方向に起立
回動することにより、車室内壁に沿うようにして
収納される。 本考案では、上記の折りたたみ式シート１の収
納時の固定手段として、シートクツシヨン５を起
立するまで回動させたとき、自動的に作動してこ
の折りたたみ式シートを収納状態で固定する自動
ロツク機構９およびそのロツク解除機構１０を設
けている。 以下、折りたたみ式シート１および自動ロツク
機構９およびロツク解除機構１０の具体的な構造
を説明する。 第２図および第３図に示すようにシートクツシ
ヨン５の側部に一体的に形成されたブラケツト１
１ａに前後方向にのびるピン１１が固着され、こ
れが支持ベース４に明けられた支孔に通挿され
て、シートクツシヨン５が支持ベース４に対して
横方向回動可能に支持される。なお、図示例で
は、上記ピン１１にねじりバネ１３を套挿すると
ともに、これの一端を支持ベース４に、他端をピ
ン１１の先端に、それぞれ係止することにより、
ピン１１を支持ベース４に対して第２図時計回り
方向に弾力付勢している。そのため、ブラケツト
１１ａおよびシートクツシヨン５が起立する方向
に常時弾性的に付勢されることになり、シートク
ツシヨン５を起立回動させる力が、非常に少なく
てもよいという利点が生まれる。なお、折りたた
みシート１の重量が小さいときは、ねじりバネ１
３は設ける必要はない。 さらに、上記自動ロツク機構９は、支持ベース
４に固着され、かつ掛合部１６を有するロツクプ
レート１２と、ブラケツト１１ａに回動可能に設
けられたロツクフツク１４とを有している。ロツ
クフツク１４は、その先端に、ロツクプレート１
２の掛合部１６に掛合するための爪部１５が形成
されている。一端をブラケツト１０に止着し他端
をロツクフツク１４に止着されたトーシヨンバネ
１９をロツクプレート１２を支持するピン１２ａ
に套挿することにより、ロツクフツク１４はその
爪部１５が、ロツクプレート１２の外周に弾性的
に当接するように、すなわち、第２図時計周り方
向に常時弾性的に付勢されている。このため、シ
ートクツシヨン５が所定位置まで回動した時点
で、ロツクプレート１２の周部を滑動していたロ
ツクフツク１４の爪部１５が自動的にロツクプレ
ート１２の掛合部１６に掛入し、シートクツシヨ
ン５の逆回動が阻止される。 次に、この自動ロツク機構９を解除するには、
ロツクフツク１４を時計回りの付勢力に抗して反
時計回りに回動させればよいが、これには、シー
トの適所に設けたロツク解除機構１０と上記のロ
ツクフツク１４とを操作ケーブルで連結すればよ
い。本考案では、ロツクフツク１４の爪部１５と
は反対側の端部に設けられた係止部２０に、ケー
ブル１７のインナワイヤ１８の一端を止着すると
ともに、可動レツグ８の取付け部に設けたロツク
解除機構１０のロツク解除レバー２２に上記イン
ナワイヤ１８の他端を止着している。また、この
ロツク解除レバー２２は、可動レツグ８を起立さ
せないと操作できないようにして、可動レツグ８
を立てないままシートクツシヨン５を水平状態と
してシートクツシヨン５の支持部を破損させると
いつた事故がないように手当している。 すなわち、第２図および第４図に示すように、
シートクツシヨン５の裏面の好ましくはシートク
ツシヨンフレーム５ａに支軸２１ａを備えたブラ
ケツト２１を固定し、上記支軸２１ａに可動レツ
グ８の基端を起伏回動可能に支持させるととも
に、同じ支軸２１にロツク解除レバー２２を支持
し、このロツク解除レバー２２の一部に上記ケー
ブル１７のインナワイヤ１８の他端を止着してい
る。この可動レツグ８の基端には、角柱状の干渉
部２４が設けられるとともに、ロツク解除レバー
２２には、上記可動レツグ８がたたまれていると
きは干渉部２４と干渉し、逆に可動レツグ８が立
てられたときは干渉部２４に干渉しないストツパ
片２３が一体的に設けられる。これにより、可動
レツグ８のたたまれた状態にあつては、ストツパ
片２３が干渉部２４に干渉してロツク解除レバー
２２を動かすことができないようになつている。
一方、可動レツグ８を立てると、ストツパ片２３
は干渉部２４に干渉しなくなるため、ロツク解除
レバー２２を回動させてケーブル１７のインナワ
イヤ１８を引つ張り、ロツクフツク１４を第２図
反時計回りに回動させて爪部１５とロツクプレー
ト１２の掛合部１６との掛合を解除することがで
きるようになる。このように、ロツク解除が簡単
であるとともに、乗員が不用意にロツク解除レバ
ー２２を操作することがあつても、折りたたみ式
シートのロツクが解除されないため、非常に安全
である。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の折りたたみ式シートを示す全
体斜視図、第２図は第１図における方向矢視
図、第３図は折りたたみ式シートの自動ロツク機
構の分解斜視図、第４図はロツク解除機構の分解
斜視図である。 １……折りたたみ式シート、４……支持ベー
ス、５……シートクツシヨン、６……ヒンジ、７
……シートバツク、８……可動レツグ、９……自
動ロツク機構、１０……ロツク解除機構、２１…
…ブラケツト、２２……ロツク解除レバー、２３
……ストツパ片、２４……干渉部。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 支持ベースに対して横方向に起立回動可能に支
   持されたシートクツシヨンと、このシートクツシ
   ヨンの後方部においてヒンジを介してフルリクラ
   イニング可能に支持されたシートバツクとを有
   し、シートバツクをフルリクライニングさせた状
   態でシートクツシヨンを横方向に起立回動させる
   ことにより、車室内壁に沿うようにして収納でき
   る折りたたみ式シートにおいて、その収納時に、
   シートクツシヨンを起立させると自動的にロツク
   され、シートクツシヨンの逆回動が阻止される自
   動ロツク機構を設けるとともに、シートクツシヨ
   ンの裏面に設けたブラケツトに対し回動可能であ
   り、折りたたみ式シートの使用時に折りたたみ式
   シートの脚となり、かつ干渉部を有する可動レツ
   グと、上記ブラケツトに対し回動可能であり、か
   つ上記可動レツグを倒したときのみ上記干渉部に
   干渉しうるストツパ片を有するロツク解除レバー
   とからなるロツク解除機構を設け、可動レツグを
   倒した状態においては、上記ストツパ片が上記干
   渉部に干渉してロツク解除レバーの解除方向回動
   が阻止される一方、可動レツグを起立させた状態
   においては、上記ストツパ片が上記干渉部に干渉
   せず、ロツク解除レバーを解除方向に回動できる
   ようにしたことを特徴とする折りたたみ式シー
   ト。