JPH0329151Y2

JPH0329151Y2 -

Info

Publication number: JPH0329151Y2
Application number: JP7155383U
Authority: JP
Priority date: 1983-05-13
Filing date: 1983-05-13
Publication date: 1991-06-21
Also published as: JPS59176526U

Description

【考案の詳細な説明】（技術分野）本考案は、開封の際に台紙から紙粉や紙繊維の
発生することが少なく、しかも、エチレンオキサ
イドガス滅菌及びγ線滅菌のいずれの滅菌法にも
適する、改良されたブリスター包装用台紙に関す
る。

（従来技術）ブリスター包装は真空成形若しくは圧空成形な
どの手段により透明プラスチツクフイルムを成形
し、商品を挿入した後、台紙に取り付ける包装方
式であつて、内容物が外から透視でき、内容物の
形状に合わせて成形することにより、その保護を
確実に行なえる利点を有している。

近年、ブリスター包装を注射筒や注射針、若し
くはその他の医療器具の包装に応用する試みがな
されており、成形したプラスチツクフイルム（ブ
リスター）と台紙を接着して内容物を密封し、エ
チレンオキサイドガス滅菌（以下、単に「EOG
滅菌」と言う）若しくはγ線滅菌を行なつて内容
物を滅菌し、医療関係の用途に供することが行な
われている。

しかしながら、一般的なブリスター包装用の包
材をそのまま上記のような医療関係の用途に利用
することには問題点がある。たとえば、(イ)開封時
に台紙の接着面近くの層間で剥離するので紙粉や
紙繊維が発生し、医療器具に付着する欠点があ
る。或いは(ロ)紙／ポリエチレン／アルミニウム
箔／ポリエチレン／ホツトメルト型接着剤の構成
の台紙をγ線滅菌用に使用することは知られてい
るが、このような構成としても紙粉や紙繊維の発
生は防止できても、EOG滅菌には気体透過性が
ないので不向きである。更に(ハ)合成樹脂を含浸し
た紙にイミン系接着剤を塗布し、更にその上にヒ
ートシール部の接着性を制御する意味でニトロセ
ルロース樹脂を全面スポツトコートしたものもあ
るが、この場合にも開封時に若千の紙繊維が生じ
医療器具を汚染したり、或いはγ線滅菌時にイミ
ン系接着剤が褐変し商品の外観を損ない商品のイ
メージをダウンさせる等の問題があり、いずれも
不満足なものである。

（考案の目的）従つて、本考案の目的は、開封時に紙粉や紙繊
維が発生せず、しかもEOG滅菌及びγ線滅菌の
いずれにも適するブリスター包装用台紙を提供す
ることにある。

（考案の構成）本考案はポリエチレン、ポリプロピレン、アイ
オノマー、エチレン〜アクリル酸共重合体、エチ
レン〜酢酸ビニル共重合体より選択された樹脂か
ら成り、かつ表裏に貫通する微細孔を全面に形成
してある開孔複合フイルムの一方の面に、ポリエ
ステル、アイオノマー、エチレン〜酢酸ビニル共
重合体、エチレン〜アクリル酸共重合体より選択
された樹脂からなる接着層を介して紙が積層され
ており、かつ、前記開孔複合フイルムの他方の面
にはヒートシール剤層が積層されていることを特
徴とするブリスター包装用台紙をその主旨とする
ものである。

以下、図面を用いながら本考案を詳細に説明す
る。

第１図は本考案のブリスター包装用台紙の積層
構造を示す断面図であつて、微細孔４を有するフ
イルム１がその片面は接着層２を介して紙３に積
層してあり、又、他面にはヒートシール剤層５が
積層してある。

上記におけるフイルム１はポリエチレン、ポリ
プロピレン、エチレン〜アクリル酸共重合体、ア
イオノマー、エチレン〜酢酸ビニル共重合体から
なる群より選ばれた樹脂からなるもので、フイル
ム１の厚みとしては、ブリスター包装を行なつた
後の開封のしやすさからすると厚い方が好まし
く、最低でも20μm以上、好ましくは25μm以上で
あり、又、上限は特にはないが、経済的見地から
は通常40μm程度である。

フイルム１は又、その表裏に貫通する微細孔４
を全面に形成してある。この微細孔は後述するブ
リスター包装体のEOG滅菌に際し、真空引き及
びEOG導入を行なうためのものであつて、通常、
直径0.1mm程度、密度は50〜100個／cm²であり、例
えば熱針などにより形成される。

接着層２は上記のフイルムと後述する紙３を接
着すると共に、EOG滅菌の際に要求される必要
な透気度を有し、かつ、菌の通過を妨げる機能を
付与されている。

接着層２を構成する樹脂としてはポリエステル
系樹脂、アイオノマー、エチレン〜アクリル酸共
重合体、エチレン〜酢酸ビニル共重合体等を挙げ
ることができ、接着層２の厚みとしては通常２〜
5μm程度である。接着層２を構成する樹脂として
上記したもののうち、ポリエステル系樹脂を使用
するときは樹脂の透気度が比較的大きいので接着
層２の設け方はいかなる方法によつても得られる
層２の性能にはそれほど差違が生じない。又、ア
イオノマー、エチレン〜アクリル酸共重合体を用
いる場合には、エマルジヨン型、溶剤型のいずれ
のコーテイング用塗料によつて層２を形成して
も、非常に小さい、これら樹脂粒子間をぬつて空
気が流通する。エチレン〜酢酸ビニル共重合体の
場合には、樹脂粒子自体がポーラスな構造を持つ
たものを使うと、いかなる方法で層２を形成して
も空気の流通は可能である。

接着層２は上記した樹脂から構成されているの
で、EOG滅菌に必要な透気度を備え、かつ、菌
の通過を妨げるのに必要なサイズ度を与えること
ができる。なお後述する紙３として滅菌紙を用い
る際には滅菌紙自体が菌の通過を妨げる性能があ
るので接着層２を省いてもよい。又、接着層２を
構成する樹脂はいずれも低温で熱ラミネートが可
能であるので、複合フイルム１との熱ラミネート
時に微細孔がつぶれにくい。

次に紙３によいて説明すると、紙３としては通
常用いられる滅菌紙を使用することができ、滅菌
紙の坪量としては40〜95g／m²程度である。ここ
で言う滅菌紙とは広葉樹に比して繊維長の長い針
葉樹のパルプを原料とし、充分にたたいて繊維の
枝分かれを生じさせ、菌の通過を妨げるように製
作した紙を指す。

本考案においては接着層２が前記したように菌
の通過を妨げるので滅菌紙以外の一般の紙も使用
でき、一般の紙の例としては、上質紙、純白ロー
ル紙、片つや晒クラフト紙を挙げることができ
る。一般の紙の坪量としては40〜100g／m²であ
る。

微細孔を有するフイルム１、接着層２、及び紙
３の積層は、紙３の片面に予め接着層２を塗布等
により形成しておき、その後、接着層２にフイル
ム１が接するようにして重ねて熱融着させること
により行なえる。熱融着の際の加熱温度は使用材
料、厚みによつても異なるが、通常100〜180℃で
あり、圧力としては1.0〜3.5Kg／cm²程度であつ
て、比較的ゆるやかな条件で熱融着できるので微
細孔４が熱によりつぶれることはない。

ヒートシール剤層５はエチレン〜酢酸ビニル共
重合体系、ポリエチレン系、アイオノマー系、エ
チレン〜アクリル酸共重合体系の樹脂から成つて
おり、これらの１種若しくは２種以上の組み合わ
せからなる混合樹脂であつてもよい。例えばアイ
オノマーを用いてヒートシール剤層を構成する
と、このようなブリスター包装用台紙を用いたブ
リスター包装体を開封する際に一様な速度で滑ら
かに開封することがむずかしく開封が断続的に起
きる。しかし、エチレン〜酢酸ビニル共重合体を
まぜると開封の速度が一定で連続的に、即ち滑ら
かに開封ができる。

ヒートシール剤層５は構成する樹脂に合わせた
適宜なコーテイング法により形成でき、例えばロ
ールコーテイングやグラビアコーテイングが利用
できる。

なお、本考案においてはフイルム１の紙３側に
は接着層２を有し、又、反対側にはヒートシール
剤層５を有するので、透気度及び菌の通過を妨げ
るのに必要なサイズ度については、層２だけでな
く層５についても考慮しなければならないことは
言うまでもない。

第２図及び第３図は本考案のブリスター包装用
台紙の使用例を示す断面図であつて、第２図にお
いてはプラスチツクフイルムを成形して作成され
たブリスター６に第１図に示したブリスター包装
用台紙が載せられ、周囲をヒートシールすること
により密封した状態を示し、又、第３図において
は開封する際にフイルム１とヒートシール剤層５
の界面で剥離する状態を示している。

上記においてブリスター６としては通常の材料
から成るものが使用でき、材料の例としてはポリ
塩化ビニル、無延伸ポリプロピレン、ポリスチレ
ンなどの樹脂から成るフイルム若しくはシートに
接着のためのポリエチレン樹脂層を積層したも
の、或いポリエチレン樹脂／ナイロン樹脂／エチ
レン〜酢酸ビニル共重合体の３層シートと挙げる
ことができ、以上の材料からなるものはEOG滅
菌に向いている。又、γ線滅菌用としてはポリス
チレン（クリアレン）、スチレン／ブタジエン共
重合体（例えばフイリツプス製のＫレジン、旭ダ
ウ製のアサフレツクス）等に接着のためのポリエ
チレン樹脂を積層したものを例として挙げること
ができる。

ブリスター６と第１図に示すブリスター包装用
台紙とのヒートシールは通常の条件で行ない両者
が充分に接着すれば良い。

なお、ヒートシール剤層５がエチレン〜酢酸ビ
ニル共重合体により構成するときは、開封時には
ヒートシール剤層５の層間で凝集剥離し、その他
の樹脂で構成するときは第３図のようである。

（効果）本考案は以上の構成を有しているので、EOG
滅菌における空気及びEOGの透過が可能である
と共にγ線滅菌におけるγ線照射により性能が変
化することがなく、又、本考案のブリスター包装
用台紙をブリスター包装に用いると開封時には
HS剤が剥離するので紙粉や繊維を発生して内容
物や周囲を汚染することがなく、しかも、紙とフ
イルムとの間の接着層に菌を通過させない機能が
付与されているので、滅菌紙以外の一般の紙を用
いても構成できる利点を有している。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案のブリスター包装用台紙の断面
図、第２図は本考案のブリスター包装用台紙を使
用したブリスター包装体の例を示す断面図、第３
図は第２図に示したブリスター包装体を開封する
様子を示す断面図である。符号の説明、１……フイルム、２……接着層、
３……紙、４……微細孔、５……ヒートシール剤
層、６……ブリスター。

Claims

【実用新案登録請求の範囲】

ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン〜ア
クリル酸共重合体、アイオノマー、エチレン〜酢
酸ビニル共重合体より選択された樹脂から成り、
かつ表裏に貫通する微細孔を全面に形成してある
開孔複合フイルムの一方の面に、ポリエステル、
アイオノマー、エチレン〜酢酸ビニル共重合体、
エチレン〜アクリル酸共重合体より選択された樹
脂からなる接着層を介して紙が積層されており、
かつ、前記開孔複合フイルムの他方の面にはヒー
トシール剤層が積層されていることを特徴とする
ブリスター包装用台紙。