JPH0324898Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 この考案は自在継手のブーツの緊締構造に関
し、特に、自在継手に確実に固定することのでき
る自在継手のブーツの緊締構造に関するものであ
る。

〔従来技術およびその問題点〕

一般に、自在継手にブーツが取付けられた状態
は第４図に示すようになつている。

すなわち、自在継手２０は、内継手部材２１
と、この内継手部材２１の外側に設けられた外継
手部材２２とによつて形成される空所２３内に、
リテーナ２４によつて保持されている鋼球２５が
位置し、これによつて外継手部材２２と内継手部
材２１とが回転可能となつている自在継手２０が
構成されている。

そして、この自在継手２０の内継手部材２１に
はスプライン結合によつて駆動側シヤフト２６が
設けられ、また、前記外継手部材２２には従動側
シヤフト２７が一体に設けられている。

そして、自在継手２０の前記駆動側シヤフト２
６側に設けられたブーツ２８は、筒状をなすとと
もに、一端が拡大開口縁部２９となつており、ま
た、他端が開口縁部３０となつていて、そして、
拡大開口縁部２９と開口縁部３０との間は蛇腹部
３１が形成され、さらに、内部を前記駆動側シヤ
フト２６が貫通している弾性体によつて形成され
ている。

上記のようなブーツ２８は、その拡大開口縁部
２９の外側に位置するブーツ用固定バンド３２に
よつて前記外継手部材２２に固定されている。

このブーツ用固定バンド３２は、第６図および
第７図に示すように長板状の鋼板３３を環状に湾
曲したのちに両端部を重ね、そこに湾曲部材３４
をあててそれらを一体とした輪状をなし、また、
長板状の鋼板３３の所定の位置には対向する起立
片３５を設けてある。

上記のようなブーツ用固定バンド３２を用い
て、自在継手２０にブーツ２８を固定する場合に
は、まず、ブーツ用固定バンド３２の輪内にブー
ツ２８あるいは自在継手２０を挿通したのちに自
在継手２０の外継手部材２２にブーツ２８の拡大
開口縁部２９を被嵌する。

そして、ブーツ用固定バンド３２をブーツ２８
の拡大開口縁部２９の外側に位置して、ブーツ用
固定バンド３２を形成する湾曲部材３４を折り返
し、これによつて長板状の鋼板３３で形成された
環状の輪の大きさを縮小するとともに自在継手２
０の外継手部材２２との間でブーツ２８の拡大開
口縁部２９を挟持し、前記湾曲部材３４を起立片
３５で包み込むことで自在継手２０に対するブー
ツ２８の拡大開口縁部２９の固定は完了するもの
である。

しかしながら、上記のように構成されている自
在継手２０のブーツ用固定バンド３２にあつて
は、拡大開口縁部２９を圧縮する面圧は第５図に
示すようにほぼ一定となつており、また、その大
きさも比較的小さいために自在継手２０の内部の
グリースが外部へ漏れ、内部の潤滑性能を著しく
低下させ、あるいは内部の空気が外部へ漏れ、ブ
ーツの内部圧力が低下し、それによりブーツがへ
こんだり、あるいは破損したりするという危険性
を有し、さらに、外部からブーツ内部へ塵芥が侵
入する恐れもあつて密封機能が妨げられる危険性
があるという問題点を有していた。

この考案は前記のような従来のもののもつ問題
点を解決したものであつて、自在継手に取付けた
際の密封機能を増大させることのできる自在継手
のブーツの緊締構造を提供することを目的とす
る。

〔問題点を解決するための手段〕

上記の問題点を解決するためにこの考案は、自
在継手に被嵌した状態のブーツをブーツ用固定バ
ンドを用いて緊締する自在継手のブーツの緊締構
造であつて、前記ブーツに、その開口縁部の内周
面および外周面の対向する２ヵ所に環状突出部を
設け、前記ブーツ用固定バンドを、長尺で、か
つ、短手方向に湾曲させて湾曲部を形成し、前記
ブーツをバンドで緊締した際、ブーツの環状突出
部のみがバンドと当接するようにしたことを特徴
とする自在継手のブーツの緊締構造を採用したも
のである。

〔作用〕

この考案は上記の手段を採用したことにより、
自在継手に対してブーツを取付けた際の密封機能
を著しく向上させることができることとなる。

〔実施例〕

以下、図面に示すこの考案の実施例について説
明する。

第１図にはこの考案による自在継手のブーツの
緊締構造が示されていて、このブーツ用固定バン
ド１は、第６図および第７図に示すものと同一の
タイプではあるが、短手方向には２つの湾曲部
２，３を有し、この湾曲部２，３が環状となつて
いる。

また、前記ブーツ２８の拡大開口縁部２９に
は、その内周および外周の対応する２個所にそれ
ぞれ環状突出部４ａ，４ｂが設けられ、この環状
突出部４ａ，４ｂは前記ブーツ用固定バンド１の
湾曲部２，３に対応する位置となつており、ま
た、前記自在継手２０の外継手部材２２の外周面
には前記ブーツ２８の環状突出部４ｂを受入れる
窪み部５が設けられている。

そして、上記のように２つの環状の湾曲部２，
３が形成されたブーツ用固定バンド１を用いて自
在継手２０の外継手部材２２にブーツ２８を取付
ける際には、環状の湾曲部２，３がブーツ２８の
環状突出部４ａと当接するように位置して従来の
ものと同様にして緊締する。

すると、この緊締時の面圧は第２図に示すよう
になり、湾曲部２，３で押圧される環状突出部４
ａ，４ｂの位置で大きな面圧が作用し、これによ
つて密封機能を増大させることができることとな
る。しかも、ブーツ用固定バンド１は、その短手
方向に湾曲しているのでバンド自体がばね効果を
有していて密封効果が増大する。

第３図にはこの考案の他の実施例が示されてい
て、この実施例に示すもののブーツ用固定バンド
１の短手方向の断面は１つの湾曲部６で形成され
ている。

このようになつているブーツ用固定バンド１を
用いてブーツ２８を固定する際には、ブーツ２８
の拡大開口縁部２９に設けられた環状突出部４ａ
と当接するように位置したのちに緊締すると、環
状突出部４ａの部分を他の部分と比較して大きく
押圧するために面圧のピークが発生し、これによ
つて前記実施例のものと同様に密封機能を増大す
ることができるものである。

したがつて、いずれの実施例に示すものにあつ
ても、ブーツ用固定バンド１が湾曲部２，３，６
を持つためにばね効果が発揮されることと、ブー
ツ２８の環状突出部４ａ，４ｂに前記湾曲部２，
３，６が当接することとが相俟つて密封機能が増
大することとなる。

なお、前記実施例においては、ブーツ用固定バ
ンドとして始めから輪状に形成されていて、湾曲
部材を折り返すことで輪をつぼめるタイプのもの
を示したが、これに限定することなく、長尺状の
もので、取付けたのちに輪状にするタイプのもの
や、あるいはかしめタイプのものであつてもよい
ということは勿論である。

また、前記実施例においてはブーツの拡大開口
縁部を固定する場合について説明したが、他の縁
部の固定に用いてもよいということは勿論であ
り、さらに、ブーツの開口縁部の内周面および外
周面に環状突出部を設けたが、いずれか一方であ
つてもよいものである。

〔考案の効果〕

この考案は前記のように構成したことにより、
自在継手に取付けた場合には、内周面および外周
面の対向する２ヵ所に突出部が設けられているこ
とと、ブーツ用固定バンドが湾曲してばね効果を
有していることとによつて、突出部の部分の面圧
が著しく高められ、これによつて自在継手との間
の密封機能を著しく向上させることができるとい
うすぐれた効果を有している。

【図面の簡単な説明】

第１図はこの考案による自在継手のブーツの緊
締構造を示す概略図、第２図は緊締時の面圧を示
す図、第３図は他の実施例を示す概略図、第４図
は従来の構造を示す概略図、第５図は緊締時の面
圧を示す図、第６図および第７図はこの考案およ
び従来の場合のブーツ用固定バンドを示す図であ
る。 １，３２……ブーツ用固定バンド、２，３，６
……湾曲部、４ａ，４ｂ……環状突出部、５……
窪み部、２０……自在継手、２１……内継手部
材、２２……外継手部材、２３……空所、２４…
…リテーナ、２５……鋼球、２６……駆動側シヤ
フト、２７……従動側シヤフト、２８……ブー
ツ、２９……拡大開口縁部、３０……開口縁部、
３１……蛇腹部、３３……鋼板、３４……湾曲部
材、３５……起立片。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 自在継手２０に被嵌した状態のブーツ２８をブ
   ーツ用固定バンド１を用いて緊締する自在継手の
   ブーツの緊締構造であつて、前記ブーツ２８に、
   その開口縁部の内周面および外周面の対向する２
   ヵ所に環状突出部４ａ，４ｂを設け、前記ブーツ
   用固定バンド１を、長尺で、かつ、短手方向に湾
   曲させて湾曲部２，３，６を形成し、前記ブーツ
   ２８をバンド１で緊締した際、ブーツ２８の環状
   突出部４ａ，４ｂのみがバンド１と当接するよう
   にしたことを特徴とする自在継手のブーツの緊締
   構造。